JP4984622B2 - 多層構造体および多層構造体の製造方法 - Google Patents
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(1)前記第2の層に含まれる金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率が70〜100%である
(2)前記第1の層と第2の層とが隣接して積層されてなる
(3)基材層と前記第2の層との間に、前記第1の層が配されてなる
また本発明は、他の面において、基材層、無機層状化合物および樹脂を含む第1の層、および金属アルコキシドと水系媒体とが混合された金属アルコキシド混合液を用いて形成される第2の層を有する多層構造体の製造方法であって、該方法は、
第1の液体媒体、無機層状化合物および樹脂を含む第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して、前記無機層状化合物および樹脂を含む第1の層を前記基材層上に形成する工程、および
金属アルコキシドと水系媒体とが混合された前記金属アルコキシド混合液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記水系媒体を除去して、金属アルコキシド分散液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率が70〜100%である第2の層を前記第1の層上に形成する工程
を含む多層構造体の製造方法である。
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
中和度=(A/B)×100
A:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和されたカルボキシル基の全モル数
B:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和前のカルボキシル基の全モル数
R’m−M(−OR)n (I)
(式中、Mは金属元素を表し、R’は、同一または異なっていてもよく、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、メルカプト基に代表される反応性有機官能基あるいはアルキル基に代表される非反応性有機官能基を表し、Rは、同一または異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、mは0または正の整数、nは1以上の整数であり、かつm+nは金属元素Mの原子価と一致する。)
また本発明の多層構造体における第1の層は、無機層状化合物および樹脂を含む。樹脂に無機層状化合物を加えることにより、その系のガスバリア性が向上することは知られており、その関係は以下に示すNielsenの理論式で表される(LAWRENCE E. NIELSEN, Models for the Permeability of Filled Polymer Systems, J. MACROMOL. SCI.(CHEM.), 1967年, A1(5), 929-942))。
P/Pr=(1−Φ)/(1+AΦ/2)
P :系のガス透過度
Pr :樹脂のガス透過度
A :無機層状化合物のアスペクト比
Φ :無機層状化合物の体積分率
前記式から、同じアスペクト比の無機層状化合物を、同じ樹脂と組み合わせる場合、その系のガス透過度は、該系における無機層状化合物の体積分率が高いほど低くなる、すなわち無機層状化合物の体積分率に反比例することがわかる。
このことから、本発明の多層構造体の第1の層に無機層状化合物を含まないような多層構造体、例えば、基材層/樹脂Aのみからなる第1の層/金属アルコキシド混合液を用いて形成される第2の層 という構成の多層構造体と、基材層/無機層状化合物と樹脂Aのみからなる第1の層/金属アルコキシド混合液を用いて形成される第2の層 という構成の本発明の多層構造体について、そのガスバリア性を比較した場合、当然後者の多層構造体のほうがガスバリア性に優れ、そのガスバリア性能の向上には、第1の層に含まれる無機層状化合物の含有量のみが影響すると予測される。しかしながら実際には、本発明の多層構造体は、第1の層の無機層状化合物含有量から予測されるガスバリア性を超える、優れた性能を示すのである。
基材層/第1の層/第2の層(構成1)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層A(構成2)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層B/追加層C(構成3)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層D/追加層E/追加層F(構成4)、
基材層/第1の層/第2の層/樹脂層(構成5)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層B/追加層C/樹脂層(構成6)、
基材層/第1の層/第2の層/追加層D/追加層E/追加層F/樹脂層(構成7)
が挙げられる。
ここで追加層A、B、C、D、Eは、それぞれ第1の層または第2の層と同じ組成であってもよい。例えば構成2において追加層Aが第1の層と同じ組成であってもよく、構成3において追加層Bが第1の層と、追加層Cが第2の層と同じ組成であってもよい。また構成4において追加層DおよびFが第1の層と同じ組成であり、追加層Eが第2の層と同じ組成であってもよい。
架橋剤にキレート化合物を用いる場合には、架橋剤を混合した後の塗工液の安定性の観点から、該塗工液が酸性であることが好ましく、pH5以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。塗工液のpHに特に下限はないが、通常、0.5以上である。塗工液に塩酸等の酸性溶液を添加したり、塗工液をイオン交換処理することにより酸性とすることができる。
また本発明の多層構造体を包装材料として用いることにより、該包装材料で包装された内容物の酸素劣化を防ぐことができる。本発明の多層構造体を包装材料として用いる場合、その形状としては、フィルム、袋、パウチ、ボトル、ボトルキャップ、カートン容器、カップ、皿、トレー、タンク、チューブ等が挙げられる。本発明の多層構造体は、レトルト後バリア性に優れることから、特にレトルト用包装材料として好ましく用いられる。本発明の多層構造体により包装される内容物としては、ケーキ、カステラ等の洋菓子、大福、もち等の和菓子、ポテトチップス等のスナック菓子等の菓子類、竹輪や蒲鉾等の水産加工品、味噌、漬物、蒟蒻、ミートボール、ハンバーグ、ハム・ソーセージ等の食品、コーヒー、茶、ジュース等の飲料品、牛乳、ヨーグルト等の乳製品、米飯、カレー等が例示される。また食料品以外に、洗剤、入浴剤、化粧品といったトイレタリー製品、ガソリン、水素ガス等の燃料、粉末剤、錠剤、点眼薬、輸液バック等の医薬品および医療機器、ハードディスク、シリコンウエハ等の電子部品および電子機器等の包装材料としても用いることができる。
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。0.5μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察より求めた。
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。後述する塗工液中の無機層状化合物の平均粒径をペーストセルにて光路長50μmで測定し、さらに該無機層状化合物のみの希釈液中の平均粒径をフローセル法にて光路長4mmで測定した。いずれの場合も平均粒径の値は変わらず、塗工液中で無機層状化合物が充分に膨潤し劈開していることを確認した。この値を、各塗工液を用いて形成される層における無機層状化合物の平均粒径Lとみなした。
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、無機層状化合物の回折測定を粉末法により行い、無機層状化合物の単位厚さaを求めた。上述の方法で求めた平均粒径Lを用いて、該無機層状化合物のアスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。なお塗工液を乾燥したものについてもX線回折測定を行ない、無機層状化合物の面間隔が広がっていることを確認した。
210mm×300mmの多層構造体を、150℃2%RHのオーブン中で60分間熱処理した。
小型レトルト高圧蒸気滅菌器(アルプ(株)社製 RK-3030)を用いて、210mm×300mmの多層構造体を120℃で60分間、熱水にて湿熱処理した。湿度は100%RHと見なす。
湿熱処理した後の210mm×300mmの多層構造体を、23℃50%RH雰囲気下で24時間静置した。
JIS K7126に基づき、超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRANML、MOCON社製)にて、23℃90%RHの条件下で測定を行った。
塗工液(1)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1300gと、ポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%、重合度1,700、密度1.3g/cm3として体積分率を算出)130gとを混合し、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。該ポリビニルアルコール水溶液(60℃)を前記同様の条件で攪拌しながら、1−ブタノール122g、イソプロピルアルコール122gおよびイオン交換水520gを混合してなるアルコール水溶液を5分間かけて滴下した。滴下終了後、高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)に切り替え、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製、密度2.6g/cm3として体積分率を算出)82gを徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間攪拌を続けた。その後、さらにイソプロパノール243gを15分間かけて加え、次いで該混合系を室温まで冷却し、第1の無機層状化合物含有液を得た。
この第1の無機層状化合物含有液に対し、非イオン性界面活性剤(ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量%(前記分散液の重量を基準とする)を低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において添加し、その後系のpHが6となるようにイオン交換樹脂で調整し、第1の無機層状化合物分散液を調製した。
またさらに別の分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1067gと、ポリアクリル酸(和光純薬工業(株)製、平均分子量100,0000、密度1.3g/cm3として体積分率を算出)33gとを混合し、常温にて低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)でポリアクリル酸溶液を作製した。
第1の無機層状化合物分散液2519gとポリアクリル酸溶液1100gを、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において徐々に混合して混合液とし、さらに該混合液を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の条件で処理することにより、塗工液(1)を得た。
塗工液(1)中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は20vol%であった。塗工液(1)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
第1の無機層状化合物分散液における高純度モンモリロナイトの添加量を140gとしたこと以外は、塗工液(1)と同様の方法で、塗工液(2)を作製した。塗工液(2)中の樹脂と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は30vol%であった。塗工液(2)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)970gおよびイソプロパノール970gとを混合し、塩酸にてPH=2とし、テトラエトキシシラン(和光純薬工業(株)製)208gを加えた。低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で80℃に昇温し、該混合系を同温度で60分間攪拌した後室温に戻し、金属アルコキシド溶液を作製した。該金属アルコキシド溶液は、使用したテトラエトキシシランをSiO2に換算した濃度が3wt%の混合液である。さらに該分散釜にて、前記金属アルコキシド溶液200gにイオン交換水300gおよびイソプロピルアルコール300gを加え、低速攪拌下、室温にて10分間攪拌し、塗工液(3)を作製した。
塗工液(4)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)970gおよびイソプロパノール970gとを混合し、塩酸にてPH=2とし、テトラエトキシシラン(和光純薬工業(株)製)208gを加えた。低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で80℃に昇温し、該混合系を同温度で60分間攪拌した後室温に戻し、金属アルコキシド溶液を作製した。該金属アルコキシド溶液は、使用したテトラエトキシシランをSiO2に換算した濃度が3wt%の混合液である。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、塗工液(1)500gと、前記金属アルコキシド溶液230gを加え、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で、室温にて10分間攪拌して、塗工液(4)を作製した。
塗工液(5)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)970gおよびイソプロパノール970gとを混合し、塩酸にてPH=2とし、テトラエトキシシラン(和光純薬工業(株)製)208gを加えた。低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で80℃に昇温し、該混合系を同温度で60分間攪拌した後室温に戻し、金属アルコキシド溶液を作製した。該金属アルコキシド溶液は、使用したテトラエトキシシランをSiO2に換算した濃度が3wt%の混合液である。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、塗工液(2)500gと、前記金属アルコキシド溶液262gを加え、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で、室温にて10分間攪拌して、塗工液(5)を作製した。
塗工液(6)の作製
第1の無機層状化合物分散液の高純度モンモリロナイトのかわりに、ポリビニルアルコール(PVA117H)を41g添加し、ポリアクリル酸溶液におけるポリアクリル酸の添加量を43gとしたこと以外は、塗工液(1)と同様の方法で、塗工液(6)を作製した。塗工液(6)中には無機層状化合物は含まれず、樹脂のみが含まれている。
厚さ15μmの二軸延伸ナイロン(ONy)フィルム(商品名:ON-U;ユニチカ(株)製)の片面にコロナ処理したものを基材層とし、該基材層のコロナ処理面に、前述の塗工液(1)をテストコーター(康井精機製)を用いてマイクログラビア塗工法(グラビアロールの線数 300)により、塗工速度3m/分でグラビア塗工して乾燥温度100℃で乾燥し、無機層状化合物および樹脂を含む第1の層を形成した。第1の層の厚みは0.04μmであった。(以下、該第1の層をA1層と称する。)次にA1層上に、塗工液(3)を塗工液(1)と同様の方法で塗工して乾燥し、金属アルコキシド混合液を用いて形成される第2の層を形成した。(以下、該第2の層をB1層と称する。)さらに前記B1層上に塗工液(1)を先と同様の方法で塗工して乾燥し、層を形成した。(以下、該層をA2層と称する。)このようにして、基材層を含めて4層(基材層/A1層/B1層/A2層)の多層構造体を得た。該多層構造体における乾燥後のA1層/B1層/A2層(以下、塗工層と称する。)の合計厚みは0.09μmであった。A1層の厚みが0.04μmであったことから、同じ条件で塗工したA2層の厚みも0.04μmであり、また塗工層の厚みが0.09μmであったことから、B1層の厚みは0.01μmと求められた。
A1層、A2層の各層における無機層状化合物の体積分率は、用いた塗工液(1)中の樹脂と無機層状化合物の合計体積に占める無機層状化合物の体積分率と等しいとみなすことができ、20vol%である。またB1層における金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は100wt%であった。塗工層を単一の層とみなした場合、該塗工層における樹脂/無機層状化合物の平均体積比は80/20、金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は17wt%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
塗工液(1)のかわりに塗工液(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/C1層/B1層/C2層であり、乾燥後の塗工層の総厚み、すなわちC1層/B1層/C2層の厚みは0.09μmであった。C1層の厚みが0.04μmであったことから、同じ条件で塗工したC2層の厚みも0.04μmであり、また塗工層の厚みが0.09μmであったことから、B1層の厚みは0.01μmと求められた。
C1層およびC2層における無機層状化合物の体積分率は、30vol%であった。またB1層における金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は100wt%であった。また塗工層を単一の層とみなした場合、該塗工層における樹脂/無機層状化合物の平均体積比は70/30、金属アルコキシド分散液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は16wt%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
塗工液(1)および塗工液(3)のかわりに、塗工液(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/D1層であり、乾燥後のD1層の厚みは約0.12μmであった。D1層における樹脂/無機層状化合物の体積比は80/20、金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は17wt%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定したところ、7.1cc/m2・day・atmであった。この測定から、以下の式1に従い0.09μmあたりの酸素透過度に換算した結果を表1に示した。
(式1) P1=P0×(T1/0.09)
P1:D1層の厚み0.09μmあたりの酸素透過度(cc/m2・day・atm)
P0:多層構造体の酸素透過度(実測値)
T1:多層構造体のD1層の膜厚(μm)
なお基材層の酸素透過度は68.2cc/m2・day・atmであり、D1層の酸素透過度と比較して著しく高いため、考慮していない。すなわち多層構造体の酸素透過度を、D1層の酸素透過度と見なした。
塗工液(2)および塗工液(3)のかわりに、塗工液(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/E1層であり、乾燥後のE1層の厚みは約0.12μmであった。なおE1層における樹脂/無機層状化合物の体積比は70/30、金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は16wt%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定したところ、6.6cc/m2・day・atmであった。この測定から、上記式1に従い0.09μmあたりの酸素透過度に換算した結果を表1に示した。
第1の層を形成する塗工液(1)のかわりに塗工液(3)を用い、第2の層を形成する塗工液(3)のかわりに塗工液(1)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。すなわち、基材層上に塗工液(3)を用いて第1の層を形成し、該第1の層上に塗工液(1)を用いて第2の層を形成し、さらに該第2の層上に塗工液(1)を用いて層を形成した。得られた多層構造体の構成は、基材層/B1層/A1層/A2層であり、乾燥後の塗工層の総厚み、すなわちB1層/A1層/A2層の厚みは0.09μmであった。B1層の厚みが0.01μmであり、塗工層の厚みが0.09μmであったことから、同じ条件で塗工したA1層およびA2層の厚みはそれぞれ0.04μmと求められた。
A1層およびA2層における無機層状化合物の体積分率は、20vol%であった。またB1層における金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は100wt%であった。また塗工層を単一の層とみなした場合、該塗工層における樹脂/無機層状化合物の平均体積比は80/20、金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は17wt%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
塗工液(1)のかわりに、塗工液(6)を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層を含めて4層(基材層/F1層/B1層/F2層)であり、該多層構造体における乾燥後の塗工層の総厚み、すなわちF1層/B1層/F2層の厚みは0.09μmであった。F1層の厚みが0.04μmであったことから、同じ条件で塗工したF2層の厚みも0.04μmであり、また塗工層の厚みが0.09μmであったことから、B1層の厚みは0.01μmと求められた。
B1層における金属アルコキシド混合液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率は100wt%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔参考例〕
塗工液(3)のかわりに塗工液(1)を用いた以外は実施例1と同様にして、すなわち塗工液(1)を同じ条件で3回塗工して、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/A1層であり、乾燥後のA1層の厚みは約0.12μmであった。なおA1層における樹脂/無機層状化合物の体積比は80/20であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。その結果、酸素透過度は11.2cc/m2・day・atmであった。
A1層1μm当たりの酸素透過度、すなわち酸素透過係数Paは(式2)により1.34cc・μm/m2・day・atmと算出できる。
(式2)
Pa=P×da
Pa:A1層の酸素透過係数(cc・μm/m2・day・atm)
P :多層構造体の酸素透過度(cc/m2・day・atm)
da:A1層の厚み(μm)
一般にn層からなる多層構造体の酸素透過度は(式3)で表すことができる。前記参考例から求められたA1層の酸素透過係数Pa=1.34と、実施例1における多層構造体の酸素透過度P=4.2、A1およびA2層の厚み0.04、B1層の厚み0.01を式3に代入することにより、実施例1におけるB1層の酸素透過係数は、0.056cc・μm/m2・day・atmと算出できる。
(式3)
P=1/(Σ(dn/Pn)
P:多層構造体の酸素透過度(cc/m2・day・atm)
dn:第n番目の層の厚み(μm)
Pn:第n番目の層の酸素透過係数(cc・μm/m2・day・atm)
P2/P3=(1−Φ)/(1+AΦ/2)
P2 :系の酸素透過度
P3 :樹脂の酸素透過度
A :無機層状化合物のアスペクト比
Φ :無機層状化合物の体積分率
実施例1の多層構造体の構成は基材層/A1層/B1層/A2層であり、比較例4の多層構造体の構成は基材層/F1層/B1層/F2層である。A1層とF2層とは、いずれも樹脂成分としてポリビニルアルコール(PVA)とポリアクリル酸(PAA)を含み、その組成(モル比)はPVA:PAA=87:13である。A1層に含まれる無機層状化合物のアスペクト比は460であり、A1層の無機層状化合物の体積分率Φは0.2であるので、式4は
P2(20vol%)=0.017・P3
となる。P2(20vol%)の値は、先に算出したA1層の酸素透過係数Pa=1.34であるので、P3=78.8である。前記したようにF1層とA1層の樹脂部分の組成は同じであるので、F1層の酸素透過係数P3は78.8cc・μm/m2・day・atmであるといえる。
上記F1層の酸素透過係数P3、B1層の酸素透過係数を式3に代入することにより、比較例4の多層構造体の酸素透過度を算出することができ、その値は、5.6cc/m2・day・atmである。しかしながら実際の測定値は、36.3cc/m2・day・atmであった。すなわち、比較例4とは第1の層に無機層状化合物を含む点のみが異なる実施例1の多層構造体から予測される比較例4の多層構造体の酸素透過度は、実測値よりも低い、つまりガスバリア性に優れるように見積もられる。これは比較例4を基準にして言い換えると、比較例4の第1の層に無機層状化合物を20%添加した場合に予測される酸素透過度よりも、実施例1の多層構造体の酸素透過度のほうが低くなることを意味しており、このことから、本願発明のような構成の多層構造体とすることによって、予測を超えるガスバリア性に優れる多層構造体となることがわかる。
Claims (6)
- 基材層、無機層状化合物および樹脂を含む第1の層、および金属アルコキシドと水系媒体とが混合された金属アルコキシド混合液を用いて形成される第2の層を有する多層構造体の製造方法であって、該方法は、
第1の液体媒体、無機層状化合物および樹脂を含む第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して、前記無機層状化合物および樹脂を含む第1の層を前記基材層上に形成する工程、および
金属アルコキシドと水系媒体とが混合された前記金属アルコキシド混合液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記水系媒体を除去して、金属アルコキシド分散液由来の金属を全て金属酸化物に換算した場合の重量分率が90〜100%である第2の層を前記第1の層上に形成する工程、および
前記水系媒体を除去した後、熱処理を行う工程
を含む多層構造体の製造方法。 - 前記第1の層における無機層状化合物の体積分率が5〜70%である請求項1に記載の多層構造体の製造方法。
- 前記第1の層に含まれる樹脂が親水性であり、かつ2種類以上の官能基を含む樹脂である請求項1または2に記載の多層構造体の製造方法。
- 前記第1の層に含まれる樹脂が、官能基として水酸基とカルボキシル基を含む樹脂である請求項3に記載の多層構造体の製造方法。
- 前記金属アルコキシド混合液に含まれる金属アルコキシドの金属がSiおよび/またはAlである請求項1〜4いずれかに記載の多層構造体の製造方法。
- 請求項1〜5いずれかに記載の多層構造体の製造方法において、前記水系媒体を除去した後、熱処理し、次いで湿熱処理し、さらに乾燥処理を行う多層構造体の製造方法。
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