JP4735351B2 - 多層構造体および多層構造体の製造方法 - Google Patents
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(1)第2の層が最外層であり、該第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率が5〜30vol%である
(2)第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が、第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率よりも高い
(3)第2の層における第2の樹脂が、水溶性であり、かつ2種類以上の官能基を含む樹脂である
また本発明は、他の面において、基材層を有し、該基材層の少なくとも一方に第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の層と隣接して、第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層が積層されてなり、該第2の層が最外層である多層構造体の製造方法であって、該方法は、
第1の液体媒体とそれに含まれる前記第1の材料からなる第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して前記第1の材料からなる第1の層を前記基材層上に形成する工程、および
第2の液体媒体とそれに含まれる前記第2の材料からなる第2の塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記第2の液体媒体を除去して前記第2の材料からなる第2の層を前記第1の層上に形成する工程
を含み、
前記第2の塗工液は、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積の比率が5〜30vol%の要件を満たし、かつ、
前記第1の塗工液は、第1の材料の乾燥体積に対する第1の無機層状化合物の乾燥体積が、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積よりも高い、という要件を満たし、かつ、
第2の樹脂が、水溶性であり、かつ2種類以上の官能基を含む樹脂である、という要件を満たす多層構造体の製造方法である。
第1の無機層状化合物および第2の無機層状化合物としてはそれぞれ、液体媒体への膨潤性、劈開性を有する無機層状化合物が好ましく用いられ、粘土鉱物がより好ましく用いられる。
本発明で用いる無機層状化合物とは、液体媒体へ分散させる以前の状態として、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している物をいう。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス等の弱い結合力によってほぼ平行に積み重なった構造をいう。
無機層状化合物の中でも特に溶媒への膨潤性を持つ粘土鉱物が好ましく用いられる。
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
中和度=(A/B)×100
A:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和されたカルボキシル基の全モル数
B:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和前のカルボキシル基の全モル数
1/P=(1/P1)+(1/P2)
P :積層フィルムの酸素透過度(cc/m2・day・atm)
P1:基材フィルムの酸素透過度(cc/m2・day・atm)
P2:樹脂層の酸素透過度(cc/m2・day・atm)
具体的には、基材フィルムには厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材フィルム上に、酸素透過度を測定したい樹脂からなる層を形成して酸素透過度を測定し、樹脂層25μmあたりの酸素透過度を算出する。
多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれらをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえば、セルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、などが挙げられる。
基材層/第1の層/第2の層(構成1)、
基材層/無機層状化合物を含む追加層A/第1の層/第2の層(構成2)、
基材層/無機層状化合物を含まない追加層B/第1の層/第2の層(構成3)、
が挙げられる。
ここで無機層状化合物を含む追加層Aは、第1の層または第2の層と同じ組成であってもよい。例えば構成2において無機層状化合物を含む追加層Aが第1の層と同じ組成であってもよく、第2の層と同じ組成であってもよい。また構成3において、無機層状化合物を含まない追加層Bは第1の層および/または第2の層の樹脂成分と同じ組成であっても、異なっていてもよい。
架橋剤にキレート化合物を用いる場合には、架橋剤を混合した後の塗工液の安定性の観点から、該塗工液が酸性であることが好ましく、pH5以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。塗工液のpHに特に下限はないが、通常、0.5以上である。塗工液に塩酸等の酸性溶液を添加したり、塗工液をイオン交換処理することにより酸性とすることができる。
前記第1の塗工液は、第1の材料の乾燥体積に対する第1の無機層状化合物の乾燥体積が、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積よりも高く、かつ、第2の層における第2の樹脂が、水溶性であり、かつ2種類以上の官能基を含む樹脂である、という要件を満たす。ここで第1の材料の乾燥体積および第2の材料の乾燥体積とは、各塗工液から液体媒体を除去したときの第1または第2の材料の体積である。例えば塗工液中に、材料として無機層状化合物および樹脂を含む場合には、該無機層状化合物と樹脂の体積の合計体積となる。該乾燥体積は、多層構造体の各層の体積であるが、通常各層は液体媒体が完全に除去されて形成されるため、各層を形成するために用いる各塗工液に含まれる材料の体積を前記乾燥体積と見なしてもよい。塗工液に界面活性剤や架橋剤が含まれる場合、通常これらは少量であるので、前記乾燥体積は、無機層状化合物及び樹脂の合計体積と見なすことができる。
また本発明の多層構造体を包装材料として用いることにより、該包装材料で包装された内容物の酸素劣化を防ぐことができる。本発明の多層構造体を包装材料として用いる場合、その形状としては、フィルム、袋、パウチ、ボトル、ボトルキャップ、カートン容器、カップ、皿、トレー、タンク、チューブ等が挙げられる。本発明の多層構造体は、レトルト後バリア性に優れることから、特にレトルト用包装材料として好ましく用いられる。本発明の多層構造体により包装される内容物としては、ケーキ、カステラ等の洋菓子、大福、もち等の和菓子、ポテトチップス等のスナック菓子等の菓子類、竹輪や蒲鉾等の水産加工品、味噌、漬物、蒟蒻、ミートボール、ハンバーグ、ハム・ソーセージ等の食品、コーヒー、茶、ジュース等の飲料品、牛乳、ヨーグルト等の乳製品、米飯、カレー等が例示される。また食料品以外に、洗剤、入浴剤、化粧品といったトイレタリー製品、ガソリン、水素ガス等の燃料、粉末剤、錠剤、点眼薬、輸液バック等の医薬品および医療機器、ハードディスク、シリコンウエハ等の電子部品および電子機器等の包装材料としても用いることができる。
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。0.5μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察より求めた。
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。後述する第1の塗工液、第2の塗工液、および第3の塗工液中の無機層状化合物の平均粒径をペーストセルにて光路長50μmで測定し、さらに該無機層状化合物のみの希釈液中の平均粒径をフローセル法にて光路長4mmで測定した。いずれの場合も平均粒径の値は変わらず、第1の塗工液、第2の塗工液、および第3の塗工液中で無機層状化合物が充分に膨潤し劈開していることを確認した。この値を、第1の層および第2の層の無機層状化合物の平均粒径Lとみなした。
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、無機層状化合物の回折測定を粉末法により行い、無機層状化合物の単位厚さaを求めた。上述の方法で求めた平均粒径Lを用いて、該無機層状化合物のアスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。なお第1の塗工液、第2の塗工液、および第3の塗工液を乾燥したものについてもX線回折測定を行ない、無機層状化合物の面間隔が広がっていることを確認した。
上記明細書中に記載の方法により、下記に示すポリビニルアルコールおよびポリアクリル酸について評価し、いずれも目視により溶け残りが無いことを確認した。
210mm×300mmの積層体を、150℃2%RHのオーブン中で60分間熱処理した。
小型レトルト高圧蒸気滅菌器(アルプ(株)社製 RK-3030)を用いて、210mm×300mmの多層構造体を120℃で60分間、熱水にて湿熱処理した。湿度は100%RHと見なす。
210mm×300mmの多層構造体を、23℃50%RH雰囲気下で24時間静置した。
JIS K7126に基づき、超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRANML、MOCON社製)にて、23℃90%RHの条件下で測定を行った。
(1)第1の塗工液の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1300gと、ポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%、重合度1,700)130gとを混合し、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。該ポリビニルアルコール水溶液(60℃)を前記同様の条件で攪拌しながら、1−ブタノール122g、イソプロピルアルコール122gおよびイオン交換水520gを混合してなるアルコール水溶液を5分間かけて滴下した。滴下終了後、高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)に切り替え、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)82gを徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間攪拌を続けた。その後、さらにイソプロパノール243gを15分間かけて加え、次いで該混合系を室温まで冷却し、第1の無機層状化合物含有液を得た。
この第1の無機層状化合物含有液に対し、非イオン性界面活性剤(ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量%(前記分散液の重量を基準とする)を低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において添加し、その後系のpHが6となるようにイオン交換樹脂で調整し、第1の無機層状化合物分散液を調製した。
またさらに別の分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1067gと、ポリアクリル酸(和光純薬工業(株)製、平均分子量100,0000)33gとを混合し、常温にて低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で樹脂成分溶液を作製した。
第1の無機層状化合物分散液2519gと樹脂成分溶液1100gを、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において徐々に混合して混合液とし、さらに該混合液を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の条件で処理することにより、第1の塗工液を得た。
第1の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は20vol%であった。第1の塗工液中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
第1の無機層状化合物分散液の高純度モンモリロナイトの添加量を140gとしたこと以外は、第1の塗工液と同様の方法で、第2の塗工液を作製した。第2の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は30vol%であった。第2の塗工液中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
第1の無機層状化合物分散液の高純度モンモリロナイトの添加量を217gとしたこと以外は、第1の塗工液と同様の方法で、第3の塗工液を作製した。第3の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は40vol%であった。第3の塗工液中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
厚さ15μmの二軸延伸ナイロン(ONy)フィルム(商品名:ON-U;ユニチカ(株)製)の片面をコロナ処理したものを基材層とし、該基材層のコロナ処理面に、該基材フィルムの一方の面上にアンカコート剤(EL510−1/CAT−RT87=5/1(重量比):東洋モートン(株)製)を、テストコーター(康井精機製)を用いて、マイクログラビア塗工法により、塗工速度3m/分、乾燥温度80℃でグラビア塗工し、アンカーコート層(AC層)を形成した。当該アンカーコート層の乾燥厚みは0.05μmであった。
さらに基材層上に、アンカーコート層を介して、前述の第3の塗工液をテストコーター(康井精機製)を用いてマイクログラビア塗工法(グラビアロールの線数 300)により、塗工速度3m/分でグラビア塗工して乾燥温度100℃で乾燥し、無機層状化合物を含む第3の層を形成した。第3の層の厚みは0.2μmであった。該第3の層をA層とする。次にA層上に、第1の塗工液を第3の塗工液と同様の方法で塗工して乾燥し、無機層状化合物を含む第1の層を形成した。該第1の層をB層とする。基材層を含めて3層(基材層/AC層/A層/B層)の多層構造体を得た。該多層構造体における乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちA層/B層の厚みは0.4μmであった。なおA層における無機層状化合物の体積分率は、用いた第3の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積に対する無機層状化合物の体積分率と等しいとみなすことができ、40vol%である。またB層における無機層状化合物の体積分率は同様に、用いた第1の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積に対する無機層状化合物の体積分率と等しいとみなすことができ、20vol%である。A層の厚みが0.2μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.4μmであったことから、B層の厚みは0.2μmと求められた。またA、Bにおける無機層状化合物の平均体積分率は30vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
第3の塗工液のかわりに第2の塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/AC層/C層/B層であり、乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちC層/B層の厚みは0.4μmであった。なおC層における無機層状化合物の体積分率は、30vol%であった。またB層における無機層状化合物の体積分率は20vol%であった。C層の厚みが0.2μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.4μmであったことから、B層の厚みは0.2μmと求められた。またC、B層における無機層状化合物の平均体積分率は25vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
第1の塗工液のかわりに、第3の塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上に層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/AC層/A層であり、乾燥後のA層の厚みは約0.4μmであった。なおA層における無機層状化合物の体積分率は、40vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
第1の塗工液のかわりに第3の塗工液を、第3の塗工液のかわりに第1の塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上に層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/AC層/B層/A層であり、乾燥後のB層の厚みは約0.2μmであった。乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちB層/A層の厚みは0.4μmであった。なおB層における無機層状化合物の体積分率は、20vol%であった。またA層における無機層状化合物の体積分率は40vol%であった。B層の厚みが0.2μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.4μmであったことから、A層の厚みは0.2μmと求められた。またB層、A層における無機層状化合物の平均体積分率は30vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
アンカーコート剤のかわりに第3の塗工液を、第3の塗工液のかわりにアンカーコート剤を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上に層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/A層/AC層/B層であり、乾燥後のA層とB層の厚みはそれぞれ約0.2μmであった。なおB層における無機層状化合物の体積分率は、20vol%であった。またA層における無機層状化合物の体積分率は40vol%であった。またB層、A層における無機層状化合物の平均体積分率は30vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
Claims (8)
- 金属、樹脂、木材、セラミック、およびガラスからなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む基材層を有し、該基材層の少なくとも一方に第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の層と隣接して、第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層が積層されてなり、以下の条件(1)〜(3)を満たす多層構造体。
(1)第2の層が最外層であり、該第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率が5〜30vol%である
(2)第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が、第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率よりも高い
(3)第2の層における第2の樹脂が、水溶性であり、かつ水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシレート基、およびアンモニウム基からなる群より選ばれる2種類以上の官能基を含む樹脂である - 第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が、第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率よりも10vol%以上高い請求項1記載の多層構造体。
- 第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が15〜50vol%である請求項1または2に記載の多層構造体。
- 第2の層における第2の樹脂の官能基が、水酸基およびカルボキシル基である請求項1〜3いずれかに記載の多層構造体。
- 金属、樹脂、木材、セラミック、およびガラスからなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む基材層を有し、該基材層の少なくとも一方に第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の層と隣接して、第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層が積層されてなり、該第2の層が最外層である多層構造体の製造方法であって、該方法は、
第1の液体媒体とそれに含まれる前記第1の材料からなる第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して前記第1の材料からなる第1の層を前記基材層上に形成する工程、および
第2の液体媒体とそれに含まれる前記第2の材料からなる第2の塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記第2の液体媒体を除去して前記第2の材料からなる第2の層を前記第1の層上に形成する工程
を含み、
前記第2の塗工液は、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積の比率が5〜30vol%の要件を満たし、かつ、
前記第1の塗工液は、第1の材料の乾燥体積に対する第1の無機層状化合物の乾燥体積が、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積よりも高い、という要件を満たし、かつ、
第2の樹脂が、水溶性であり、かつ水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシレート基、およびアンモニウム基からなる群より選ばれる2種類以上の官能基を含む樹脂である、という要件を満たす多層構造体の製造方法。 - 第2の液体媒体を除去した後、熱処理を行う請求項5記載の多層構造体の製造方法。
- 第2の液体媒体を除去した後、熱処理を行い、その後湿熱処理を行う請求項5記載の多層構造体の製造方法。
- 第2の液体媒体を除去した後、熱処理し、次いで湿熱処理し、さらに乾燥処理を行う請求項5記載の多層構造体の製造方法。
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