JP4735351B2 - 多層構造体および多層構造体の製造方法 - Google Patents

多層構造体および多層構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は多層構造体および多層構造体の製造方法に関する。
従来、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる成形体は、その優れた力学的性質や耐熱性、透明性等により、食品分野、化粧品分野、農薬分野、医療分野等の多くの分野で、広く包装材料として用いられている。熱可塑性樹脂製成形体を包装材料として用いる場合には、内容物が酸素により劣化することを防ぐため、ガスバリア性が求められることが多い。このようなガスバリア性を有する包装材料として、例えば特許文献1には、ポリビニルアルコールと無機層状化合物である合成ヘクトライトからなる層が基材フィルム上に一層積層されてなる包装材料が開示されている。
特開平03−30944号公報
しかしながら前記のように、無機層状化合物を含む層を一層有する包装材料は、ガスバリア性が不十分であった。
本発明は、ガスバリア性に優れる多層構造体およびガスバリア性に優れる多層構造体の製造方法を提供する。
本発明は、基材層を有し、該基材層の少なくとも一方に第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の層と隣接して、第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層が積層されてなり、以下の条件(1)〜(3)を満たす多層構造体である。
(1)第2の層が最外層であり、該第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率が5〜30vol%である
(2)第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が、第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率よりも高い
(3)第2の層における第2の樹脂が、水溶性であり、かつ2種類以上の官能基を含む樹脂である
また本発明は、他の面において、基材層を有し、該基材層の少なくとも一方に第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の層と隣接して、第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層が積層されてなり、該第2の層が最外層である多層構造体の製造方法であって、該方法は、
第1の液体媒体とそれに含まれる前記第1の材料からなる第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して前記第1の材料からなる第1の層を前記基材層上に形成する工程、および
第2の液体媒体とそれに含まれる前記第2の材料からなる第2の塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記第2の液体媒体を除去して前記第2の材料からなる第2の層を前記第1の層上に形成する工程
を含み、
前記第2の塗工液は、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積の比率が5〜30vol%の要件を満たし、かつ、
前記第1の塗工液は、第1の材料の乾燥体積に対する第1の無機層状化合物の乾燥体積が、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積よりも高い、という要件を満たし、かつ、
第2の樹脂が、水溶性であり、かつ2種類以上の官能基を含む樹脂である、という要件を満たす多層構造体の製造方法である。
本発明の多層構造体は、ガスバリア性に優れる。また本発明の多層構造体の製造方法によれば、ガスバリア性に優れる多層構造体を製造することができる。
本発明の多層構造体は、基材層と、該基材層の少なくとも一方に、第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の材料における無機層状化合物の体積分率よりも低い体積分率の第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層を有し、該第1の層と第2の層とが隣接されてなり、かつ前記第2の層が最外層である。
第1の無機層状化合物および第2の無機層状化合物としてはそれぞれ、液体媒体への膨潤性、劈開性を有する無機層状化合物が好ましく用いられ、粘土鉱物がより好ましく用いられる。
本発明で用いる無機層状化合物とは、液体媒体へ分散させる以前の状態として、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している物をいう。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス等の弱い結合力によってほぼ平行に積み重なった構造をいう。
無機層状化合物の中でも特に溶媒への膨潤性を持つ粘土鉱物が好ましく用いられる。
粘土鉱物は、一般に(i)シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、(ii)シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を両側から狭んでなる3層構造を有するタイプに分類される。(i)の2層構造タイプの粘度鉱物としては、カオリナイト族およびアンチゴライト族等の粘土鉱物が挙げられる。(ii)の3層構造タイプの粘土鉱物としては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、およびマイカ族等の粘土鉱物が挙げられる。
これらの粘土鉱物としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等が挙げられる。また、これら粘土鉱物を有機物でイオン交換等の処理し、分散性等を改良したもの(朝倉書店、「粘土の事典」参照;以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合もある)も用いることができる。粘土鉱物を処理する前記有機物としては、ジメチルジステアリルアンモニウム塩やトリメチルステアリルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩やフォスフォニウム塩、イミダゾリウム塩等を用いることができる。
上記粘土鉱物の中でもスメクタイト族、バーミキュライト族およびマイカ族の粘土鉱物が好ましく、スメクタイト族が特に好ましい。スメクタイト族としては、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトが挙げられる。とりわけモンモリロナイトが好ましく用いられる。第1の無機層状化合物と第2の無機層状化合物は同じ種類であってよく、異なる種類であってもよい。
第1の層に含まれる無機層状化合物および第2の層に含まれる無機層状化合物のアスペクト比は、特に限定されるものではないが、200〜10000のものが好ましく用いられる。このようなアスペクト比の無機層状化合物を用いることにより、よりガスバリア性に優れる多層構造体となる。
第1の層に含まれる無機層状化合物および第2の層に含まれる無機層状化合物は、平均粒径が30μm以下であることが好ましい。このような平均粒径の無機層状化合物を用いることにより、得られる多層構造体はガスバリア性により優れ、さらに透明性にも優れるものとなり、また該多層構造体を製造する際の製膜性にも優れる。特に透明性が求められる用途では1μm以下であることが好ましい。
前記した無機層状化合物のアスペクト比(Z)とは、Z=L/aで定義される値である。ここで、Lは無機層状化合物の平均粒径であり、aは、無機層状化合物の単位厚さ、即ち、無機層状化合物の単位結晶層の厚みを示し、粉末X線回析法(「機器分析の手引き(a)」(1985年、化学同人社発行、塩川二朗監修)69頁参照)により求められる。
無機層状化合物の平均粒径とは、塗工液に含まれる液体媒体に無機層状化合物を分散させて、回折/散乱法により求めた粒径(体積基準のメジアン径)である。具体的には、無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた分散液に光を通過させたときに得られる回折/散乱パターンから、ミー散乱理論等により、上記回折/散乱パターンに最も矛盾のない粒度分布を計算することにより、無機層状化合物の平均粒径を求めることができる。例えば粒度分布の測定範囲を適当な区間に分け、それぞれの区間について、代表粒子径を決定し、本来連続的な量である粒度分布を離散的な量に変換させて計算する方法が挙げられる。本発明では、使用する塗工液に含まれる液体媒体と同じ液体媒体に、無機層状化合物を充分に膨潤させ、劈開させて平均粒径を求める。
第1の無機層状化合物および第2の無機層状化合物としては、下記の膨潤性試験による膨潤値が5以上のものが好ましく、膨潤値が20以上のものがより好ましい。また、下記の劈開性試験による劈開値が5以上のものが好ましく、劈開値が20以上のものがより好ましい。
〔膨潤性試験〕
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
〔劈開性試験〕
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
本発明で用いる液体媒体は、使用する無機層状化合物を膨潤し劈開させる液体媒体であることが好ましい。無機層状化合物が親水性の膨潤性粘土鉱物の場合には、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられるが、とりわけ水、アルコール、水−アルコール混合物が好ましい。
また、無機層状化合物が有機修飾粘土鉱物の場合には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、メタクリル酸メチル、フタル酸ジオクチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオイルなどを液体媒体として用いることができる。
第1の無機層状化合物および第2の無機層状化合物は、2種類以上の無機層状化合物を含んでもよく、また第1の層に含まれる無機層状化合物と第2の層に含まれる無機層状化合物は同じであってもよく、異なっていてもよい。
第2の材料は、水溶性であり、かつ2種類以上の官能基を含む第2の樹脂を含む。ここでいう水溶性とは、樹脂1gを純水1000gに加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、95℃で90分間攪拌させた後、目視にて溶け残りが無いこという。
2種類以上の官能基を含む第2の樹脂とは、一分子中に2種類以上の官能基を含む樹脂であってもよいし、第1の官能基を含む樹脂と第2の官能基を含む樹脂との混合物であってもよい。
第2の樹脂は、水溶性であることから、該樹脂に含まれる官能基は水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシレート基、アンモニウム基等の極性基であることが好ましく、また該官能基同士が共有結合性、あるいはイオン結合性の結合をし得ることが好ましい。
一分子中に2種類以上の官能基を含む樹脂としては、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体、ビニルアルコール−メタアクリル酸共重合体、ビニルアルコール−ビニルアミン共重合体、アクリル酸−ビニルアミン共重合体、メタアクリル酸−ビニルアミン共重合体等の共重合体が挙げられる。
また第2の樹脂が、第1の官能基を含む樹脂と第2の官能基を含む樹脂との混合物である場合、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリビニルアミン等のうち、2種類以上の組み合わせが挙げられる。
第2の材料に含まれる第2の樹脂としては、水系の液体媒体に容易に溶解させることができ、取り扱いが容易であることや、得られる多層構造体のガスバリア性の観点から、2種類の官能基として水酸基とカルボキシル基を含む樹脂であることが好ましい。一分子中に水酸基とカルボキシル基を含む樹脂である場合、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体、ビニルアルコール−メタアクリル酸共重合体であることが好ましく、また水酸基を含む樹脂とカルボキシル基を含む樹脂との混合物である場合、水酸基を含む樹脂としてポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、多糖類、カルボキシル基を含む樹脂としてポリアクリル酸またはポリメタアクリル酸またはポリアクリル酸部分中和物またはポリメタアクリル酸部分中和物であることが好ましい。
ポリビニルアルコールとは、ビニルアルコールのモノマー単位を主成分として有するポリマーである。このような「ポリビニルアルコール」としては、例えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解して得られるポリマー(正確にはビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体となったものや、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体等を加水分解して得られるポリマーが挙げられる(「ポリビニルアルコール」の詳細については、例えば、ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、(株)高分子刊行会;長野ら、「ポバール」、1981年、(株)高分子刊行会を参照することができる)。ポリビニルアルコールにおける「けん化」の程度は、70モル%以上が好ましく、85モル%以上のものがより好ましく、98%モル以上のいわゆる完全けん化品がさらに好ましい。また、重合度は、100以上5000以下、200以上3000以下であることがより好ましい。
また、ポリビニルアルコールとして、水酸基以外の官能基を有するいわゆるポリビニルアルコール誘導体も使用でき、水酸基以外の官能基として例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基、シリル基、シロキサン基、アルキル基、アリル基、フルオロアルキル基、アルコシキ基、カルボニル基、ハロゲン基等が例示できる。PVA中の水酸基の一部がこれら官能基の1種または2種以上と置き換わっていてもよい。
前記カルボキシル基を含む樹脂は、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物、ポリメタアクリル酸部分中和物から選択される1種以上の樹脂であることが好ましい。またアクリル酸とメタアクリル酸との共重合体も使用できる。上記カルボキシル基を含む樹脂の平均分子量は、2000〜1000000の範囲が好ましく、より好ましくは100000〜1000000が好ましい。
ポリアクリル酸部分中和物またはポリメタクリル酸部分中和物は、通常、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸の水溶液にアルカリを添加することにより得ることができる。ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とアルカリの量比を調節することにより、所望の中和度とすることができる。ポリアクリル酸部分中和物およびポリメタクリル酸部分中和物は、ガスバリア性や透明性の点から、以下の式により算出される中和度が0.1%〜20%であることが好ましい。
中和度=(A/B)×100
A:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和されたカルボキシル基の全モル数
B:ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸1g中に含まれる中和前のカルボキシル基の全モル数
第2の樹脂に含まれる水酸基とカルボキシル基のモル比は、水酸基:カルボキシル基=30:70〜95:5であることが好ましく、より好ましくは70:30〜95:5である。また、特に高湿度条件下でのガスバリア性により優れる多層構造体とするためには、第2の樹脂に含まれる水酸基およびカルボキシル基の合計重量が30〜60%であることが好ましく、より好ましくは35〜55%である。前記水酸基およびカルボキシル基の合計重量は、第2の樹脂の重量を100重量%としたときの値である。
第2の樹脂に含まれる水酸基とカルボキシル基のモル比は、公知のNMR法、IR法等により求めることができる。例えばIR法であれば、水酸基とカルボキシル基のモル比が既知のサンプルを用い、検量線を求め、算出することができる。またビニルアルコール単一重合体と、アクリル酸単一重合体および/またはメタアクリル酸単一重合体を用いる場合は、予めその重量から水酸基およびカルボキシル基のモル数を求め、モル比を算出することができる。第2の樹脂に含まれる水酸基およびカルボキシル基の合計重量測定については、モル比と同様、公知のNMR法、IR法等にて求めることができる。例えばIR法であれば、ポリオールユニット数が既知であるポリオール重合体および、ポリカルボン酸ユニット数が既知であるポリカルボン酸重合体について検量線を求め、算出することができる。またビニルアルコール単一重合体と、アクリル酸単一重合体および/またはメタアクリル酸単一重合体を用いる場合は、予めその重量から水酸基およびカルボキシル基の重量を求め、この合計量を用いることができる。
第2の材料に含まれる第2の樹脂が、水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂である場合、多層構造体の耐水性の点から、第2の材料がアルカリ金属イオンを含むことが好ましい。アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオンが挙げられる。第1の材料に含まれるアルカリ金属イオンの重量は、該第1の材料に含まれる樹脂の重量を100%とするとき、2000〜50000ppmであることが好ましく、より好ましくは2000〜20000ppmである。
前記アルカリ金属イオンは、アルカリ金属イオン供与化合物に由来する。すなわち第2の材料に含まれる第2の樹脂が水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂である場合、第2の材料はアルカリ金属イオン供与化合物を含むことが好ましい。アルカリ金属イオン供与化合物としては、水酸化ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、第2の無機層状化合物としてモンモリロナイトを用いる場合には、該モンモリロナイトの層間にナトリウムイオンが含まれるため、モンモリロナイトがアルカリ金属イオン供与化合物として作用する。したがって、第2の無機層状化合物として、モンモリロナイトを用いることがとりわけ好ましい。またアルカリ金属イオン供与化合物として、2種類以上を併用してもよい。
本発明で得られる多層構造体は、基材層の少なくとも一方に、第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層と、該第1の材料における無機層状化合物の体積分率よりも低い体積分率の第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層とが隣接して積層されてなる多層構造体である。
従来、無機層状化合物を含む層を有する構造体のガスバリア性は、前記層中の無機層状化合物の体積分率が高くなるほど良好になると考えられてきた。そうであれば、無機層状化合物を含む層における無機層状化合物の体積分率が同じであれば、ガスバリア性は同じになるはずである。しかしながら、本発明で得られる無機層状化合物の体積分率の異なる第1の層と第2の層とが隣接して積層されている多層構造体と、無機層状化合物の体積分率が前記第1の層と第2の層における無機層状化合物の平均体積分率(((前記第1の層に含まれる無機層状化合物の体積+第2の層に含まれる無機層状化合物の体積)/(前記第1の層の体積+第2の層の体積))×100)と等しい一つの層を有する構造体とを比較すると、本発明の多層構造体のほうがガスバリア性に優れることが明らかとなった。特に前記第2の層が最外層であり、該第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率が5〜30vol%であって、かつ第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が、第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率よりも高い多層構造体とすることにより、ガスバリア性に優れる多層構造体となる。
本発明の多層構造体は、第2の層は最外層であり、該第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率は、5〜30vol%であり、10〜20vol%であることが好ましい。第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率を前記のようにすることにより、ガスバリア性により優れた多層構造体を得ることができる。
また多層構造体のガスバリア性の観点から、第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が、前記第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率より高く、10vol%以上高いことが好ましい。またさらに第1の無機層状化合物の体積分率は。15〜50vol%であることが好ましく、15〜40vol%であることがより好ましく、20〜40vol%であることがさらに好ましい。第1の層および第2の層における無機層状化合物の体積分率の差を大きくすることにより優れたバリア性をもった多層構造体を得ることができる。なお本発明では、第1の層および第2の層を形成させる際用いる第1の塗工液および第2の塗工液から液体媒体等の揮発成分を除いた残分の体積に対する無機層状化合物の体積分率を、各層における無機層状化合物の体積分率とみなす。
本発明における第1の層を構成する第1の材料は、第1の無機層状化合物以外の成分を含んでもよい。第1の材料が含む他の成分は、通常樹脂である。第1の材料に含まれる第1の樹脂としては、前記した第2の材料に含まれる樹脂の他に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ウレタン系樹脂を挙げることができる。
多層構造体のガスバリア性の観点から、第1の材料に含有される樹脂は、該樹脂のみからなる厚さ25μmのフィルムを用いて、23℃0%RHの条件下で酸素透過度を測定した場合に、1000cc/m2・day・atm以下となる樹脂が好ましい。樹脂のみからなるフィルムを作製することが困難な場合には、他の樹脂からなる酸素透過度が既知の基材フィルム上に、酸素透過度を測定したい樹脂からなる層を形成して積層フィルムを調製し、この積層フィルムの酸素透過度を測定する。以下の式により基材フィルム上に形成した樹脂層の酸素透過度を求める。
1/P=(1/P1)+(1/P2)
P :積層フィルムの酸素透過度(cc/m2・day・atm)
P1:基材フィルムの酸素透過度(cc/m2・day・atm)
P2:樹脂層の酸素透過度(cc/m2・day・atm)
具体的には、基材フィルムには厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材フィルム上に、酸素透過度を測定したい樹脂からなる層を形成して酸素透過度を測定し、樹脂層25μmあたりの酸素透過度を算出する。
前記のような酸素透過度の条件を満たす樹脂としては、ポリビニルアルコール、EVOH、PVDC、PAN、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ポリアミド、ポリエステル、ウレタン系樹脂、水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂等が挙げられる。
ウレタン系樹脂としては、公知の1液硬化型ウレタン系樹脂や、ポリオールとイソシアネート化合物が反応してなる2液硬化型ウレタン系樹脂が挙げられる。
多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれらをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえば、セルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、などが挙げられる。
第1の材料における樹脂と第2の材料における第2の樹脂とは、同じ樹脂であることが好ましい。多層構造体のガスバリア性の観点から、第1の材料における樹脂および第2の材料における第2の樹脂は、いずれも水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂であることが最も好ましい。
本発明の多層構造体は、基材層を有する。基材層を構成する材料は特に限定されるものではなく、金属や、樹脂、木材、セラミック、ガラス等が挙げられる。また基材層の形態も特に限定されるものではなく、紙や、布、不織布、フィルム等が挙げられる。樹脂としては熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。本発明の多層構造体を包装材料として用いる場合には、基材層が熱可塑性樹脂から構成されることが好ましい。用いられる熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6(Ny−6)、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド等のアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のスチレン−アクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂等があげられる。熱硬化性樹脂としては、公知のフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。本発明の多層構造体がフィルムである場合には、基材層は無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよいが、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、アミド系樹脂のいずれかからなる二軸延伸フィルムであることが好ましい。また基材層はNy-6/MXD6-Ny/Ny-6やPP/EVOH/PPのような多層フィルムであってもよく、アルミニウム、アルミナ、シリカが蒸着されたフィルムであってもよい。
基材層は、第1の層と隣接して積層されていてもよく、接着層等の他の層を介して積層されていてもよい。第1の層は、基材層の片面あるいは両面に設けられていてもよく、基材層の一部あるいは全面に設けられていてもよい。
本発明の多層構造体は、第1の層、第2の層および基材層を有し、また第1の層、第2の層と同じ組成の層をそれぞれ複数層有していてもよい。本発明の多層構造体の構成としては、例えば
基材層/第1の層/第2の層(構成1)、
基材層/無機層状化合物を含む追加層A/第1の層/第2の層(構成2)、
基材層/無機層状化合物を含まない追加層B/第1の層/第2の層(構成3)、
が挙げられる。
ここで無機層状化合物を含む追加層Aは、第1の層または第2の層と同じ組成であってもよい。例えば構成2において無機層状化合物を含む追加層Aが第1の層と同じ組成であってもよく、第2の層と同じ組成であってもよい。また構成3において、無機層状化合物を含まない追加層Bは第1の層および/または第2の層の樹脂成分と同じ組成であっても、異なっていてもよい。
本発明の多層構造体がフィルムである場合は、ヒートシール層を有することが好ましい。ヒートシール層を構成する樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また本発明の多層構造体が容器である場合にも、蓋材とシールする面がシーラント層であることが好ましい。
ヒートシール層は通常基材層と積層されるが、その積層方法は特に限定されるものではない。例えばヒートシール層と基材層とを共押出しする方法、ヒートシール層を構成する樹脂を溶媒に溶解させた溶液を基材層に塗工し、その後溶媒を除去する方法、基材層上にヒートシール層を構成する樹脂を押出ラミネートする方法、ヒートシール層と基材層とをドライラミネートする方法等が挙げられる。ヒートシール層と基材層の積層面には、コロナ処理、オゾン処理、電子線処理や、アンカーコート剤の塗布等の処理がされていてもよい。
本発明の多層構造体である、基材層と、該基材層の少なくとも一方に第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の層と隣接して、第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層が積層されてなり、該第2の層が最外層である多層構造体の製造方法は、第1の液体媒体とそれに含まれる前記第1の材料からなる第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して前記第1の材料からなる第1の層を前記基材層上に形成する工程、および第2の液体媒体とそれに含まれる前記第2の材料からなる第2の塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記第2の液体媒体を除去して前記第2の材料からなる第2の層を前記第1の層上に形成する工程を含み、前記第2の塗工液は、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積の比率が5〜30vol%の要件を満たし、かつ、前記第1の塗工液は、第1の材料の乾燥体積に対する第1の無機層状化合物の乾燥体積が、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積よりも高く、かつ、第2の層における第2の樹脂が、水溶性であり、かつ2種類以上の官能基を含む樹脂である、という要件を満たす。
第1の塗工液は、第1の液体媒体とそれに含まれた第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる。第2の塗工液は、第2の液体媒体とそれに含まれた第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる。第1の塗工液および第2の塗工液を調製する場合には、無機層状化合物の分散性の観点から、高圧分散装置を用いて高圧分散処理することが好ましい。高圧分散装置としては、例えばMicrofluidics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー(商品名:マイクロフルイダイザー)、ナノマイザー社製ナノマイザー、マントンゴーリン型高圧分散装置、イズミフードマシナリ製ホモゲナイザーが挙げられる。高圧分散処理とは、塗工液を複数本の細管中に高速通過させた後に合流させて、無機層状化合物を含む塗工液同士あるいは該塗工液と細管内壁とを衝突させることにより、塗工液に高剪断および/または高圧を付加する処理方法である。高圧分散処理では、塗工液を管径1μm〜1000μm程度の細管中に通過させ、このとき100kgf/cm2以上の最大圧力が印加されるように処理することが好ましい。最大圧力は500kgf/cm2以上であることがより好ましく、1000kgf/cm2以上であることが特に好ましい。また塗工液が細管内を通過する際、該塗工液の最高到達速度は100m/s以上であることが好ましく、圧力損失による伝熱速度は100kcal/hr以上であることが好ましい。
第2の塗工液は、第2の材料として第2の無機層状化合物と第2の樹脂を含む。第1の塗工液も、第1の液体媒体とそれに含まれた第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなり、通常樹脂を含む。またこのように樹脂及び無機層状化合物を含む塗工液は、以下のような方法で調整することができる。例えば樹脂等を溶媒に溶解させてなる樹脂溶液と、無機層状化合物を予め液体媒体に膨潤し劈開させた無機層状化合物の分散液とを混合する方法、無機層状化合物を液体媒体に予め膨潤し劈開させた無機層状化合物の分散液に樹脂等を直接混合する方法、樹脂溶液と無機層状化合物とを混合する方法があげられる。充分に膨潤し劈開させた無機層状化合物を樹脂中に均一に分散させることができるため、樹脂等を溶媒に溶解させてなる樹脂溶液と、無機層状化合物を予め液体媒体に膨潤し劈開させた無機層状化合物の分散液とを混合する方法が好ましい。樹脂及び無機層状化合物を含む塗工液を調製する場合には、樹脂と無機層状化合物とを含む液を前記した高圧分散処理してもよいし、予め高圧分散処理した無機層状化合物の塗工液と、樹脂とを前記した方法で混合してもよい。
第1の塗工液および/または第2の塗工液に含まれる樹脂が、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等の水素結合基や、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基等のイオン性基といった架橋性反応基を有する樹脂である場合には、該塗工液に架橋剤を添加してもよい。用いられる架橋剤としては、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系カップリング剤、カルボジイミド系カップリング剤、銅化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。これら架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
塗工液に架橋剤を添加する場合、樹脂と架橋剤との配合割合は、樹脂中の架橋性官能基のモル数(即ち、水素結合性基およびイオン性基の合計のモル数)をHN、架橋剤中の配位子を含む架橋生成基のモル数をCNとすると、樹脂中の架橋性官能基のモル数に対する架橋剤中の架橋生成基のモル数の比K(K=CN/HN)が、0.001〜10となるように配合することが好ましく、0.01〜1とすることがより好ましい。架橋剤の配合割合が少なすぎると、耐水性改良効果が十分ではなく、多すぎると塗工液がゲル化しやすくなる。架橋剤を塗工液に添加する場合には、通常架橋剤を予めアルコール類等の溶媒に10〜90重量%溶解させた架橋剤溶液を、無機層状化合物及び樹脂を含む塗工液に添加する方法によって調整される。
架橋剤にキレート化合物を用いる場合には、架橋剤を混合した後の塗工液の安定性の観点から、該塗工液が酸性であることが好ましく、pH5以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。塗工液のpHに特に下限はないが、通常、0.5以上である。塗工液に塩酸等の酸性溶液を添加したり、塗工液をイオン交換処理することにより酸性とすることができる。
第1の塗工液および/または第2の塗工液には、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤を含有する第1の塗工液および/または第2の塗工液を塗工して第1の層および/または第2の層を形成することにより、該層と、それに隣接する層との密着性を向上させることができる。界面活性剤の含有量は、通常、塗工液100重量%中0.001〜5重量%である。界面活性剤の添加量が少なすぎる場合には密着性の向上効果が十分でなく、界面活性剤の添加量が多すぎる場合には、バリア性を低下させることがある。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤など、公知の界面活性剤を用いることができる。とりわけ炭素数6以上、24以下のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属塩、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体等のエーテル型の非イオン性界面活性剤(シリコーン系非イオン性界面活性剤)や、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド化合物等のフッ素型非イオン性界面活性剤(フッ素系非イオン性界面活性剤)を使用することが密着性向上の観点から好ましい。
第1の液体媒体とそれに含まれた第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の塗工液と、第2の液体媒体とそれに含まれた第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の塗工液とは、前記第2の塗工液は、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積の比率が5〜30vol%の要件を満たし、かつ、
前記第1の塗工液は、第1の材料の乾燥体積に対する第1の無機層状化合物の乾燥体積が、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積よりも高く、かつ、第2の層における第2の樹脂が、水溶性であり、かつ2種類以上の官能基を含む樹脂である、という要件を満たす。ここで第1の材料の乾燥体積および第2の材料の乾燥体積とは、各塗工液から液体媒体を除去したときの第1または第2の材料の体積である。例えば塗工液中に、材料として無機層状化合物および樹脂を含む場合には、該無機層状化合物と樹脂の体積の合計体積となる。該乾燥体積は、多層構造体の各層の体積であるが、通常各層は液体媒体が完全に除去されて形成されるため、各層を形成するために用いる各塗工液に含まれる材料の体積を前記乾燥体積と見なしてもよい。塗工液に界面活性剤や架橋剤が含まれる場合、通常これらは少量であるので、前記乾燥体積は、無機層状化合物及び樹脂の合計体積と見なすことができる。
基材層には、これを他の層と積層するにあたり、コロナ処理、オゾン処理、イオン処理、シラン等のガスを用いたフレーム処理、常圧または減圧プラズマ処理等の表面処理を予め施していてもよい。また、基材層表面にアンカーコート層を設けてもよい。アンカーコート層は、公知のエチレンイミン系、2液硬化型ウレタン系のアンカーコート剤等を用いて形成することができる。
アンカーコート層や第1の層、第2の層を塗工により設ける方法としてはダイレクトグラビア法、リバースグラビア法等のグラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコーティング法、ドクターナイフ法、ダイコート法、バーコーティング法、ディッピング法、スプレーコート法が挙げられる。また前記した追加層や樹脂層も、同様の方法により設けることができる。多層構造体がフィルムである場合には、均一な厚みの層を設けることができることからグラビア法を採用することが好ましい。
本発明の多層構造体を構成する各層の厚みは特に限定されるものではない。第1の層および第2の層の厚みは、ガスバリア性およびコストの観点から通常1nm〜10μmである。耐屈曲性の観点から、第1の層の厚みは第2の層の厚みと同等、あるいは薄いことが好ましい。前記した追加層や樹脂層の厚みも通常1nm〜10μmである。基材層上にアンカーコート層を有する場合には、アンカーコート層の厚みは通常0.01〜5μmである。
本発明の多層構造体を構成する各層は、本発明の効果を損なわない程度に、必要に応じて紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明の多層構造体は、使用前に予め100℃以上220℃以下で熱処理することが、のガスバリア性向上の観点から好ましい。熱処理に用いる熱源は特に限定されるものではなく、熱ロール接触、熱媒接触(空気等)、赤外線加熱、マイクロ波加熱等、種々の方法を適用することができる。熱処理時間は通常48時間以内である。
また本発明の多層構造体において、第1の材料および/または第2の材料に含まれる無機層状化合物以外の材料として、水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分を用いる場合は、前記熱処理後に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理することが好ましい。該湿熱処理とは、湿度90%RH以上、温度100℃以上の条件でエージングする処理である。湿熱処理の具体的な処理方法としては、水蒸気雰囲気下でエージングする方法や、多層構造体を熱水に浸漬する方法が挙げられる。湿熱処理する時間は、通常1秒間〜1時間である。湿熱処理後の乾燥処理とは、湿熱処理により樹脂製膜に与えられた湿気を除去する処理である。通常、湿度50%RH以下、温度20〜100℃で1秒間〜24時間エージングすればよい。熱処理した多層構造体を湿熱処理する前に、例えば23℃50%RH条件下でエージングしてもよい。
本発明で得られる多層構造体としては、タイヤやねじ、液晶ディスプレイ用、有機EL用などフレキシブルディスプレイ用基板あるいは封止材といった光学部品部材、太陽電池あるいは色素増感太陽電池などの基板、封止材のような電子部品部材等が挙げられる。例えば金属製ねじに第1の層および第2の層を積層して得られる被覆ねじは、酸素により劣化されにくい。このように、第1の層および第2の層を有さない従来の各種製品に第1の層および第2の層を積層して本発明の多層構造体とすることにより、従来酸素による劣化が問題となっていた製品の酸素劣化を抑制することができる。また真空断熱材パネルとして使用することもできる。
また本発明の多層構造体を包装材料として用いることにより、該包装材料で包装された内容物の酸素劣化を防ぐことができる。本発明の多層構造体を包装材料として用いる場合、その形状としては、フィルム、袋、パウチ、ボトル、ボトルキャップ、カートン容器、カップ、皿、トレー、タンク、チューブ等が挙げられる。本発明の多層構造体は、レトルト後バリア性に優れることから、特にレトルト用包装材料として好ましく用いられる。本発明の多層構造体により包装される内容物としては、ケーキ、カステラ等の洋菓子、大福、もち等の和菓子、ポテトチップス等のスナック菓子等の菓子類、竹輪や蒲鉾等の水産加工品、味噌、漬物、蒟蒻、ミートボール、ハンバーグ、ハム・ソーセージ等の食品、コーヒー、茶、ジュース等の飲料品、牛乳、ヨーグルト等の乳製品、米飯、カレー等が例示される。また食料品以外に、洗剤、入浴剤、化粧品といったトイレタリー製品、ガソリン、水素ガス等の燃料、粉末剤、錠剤、点眼薬、輸液バック等の医薬品および医療機器、ハードディスク、シリコンウエハ等の電子部品および電子機器等の包装材料としても用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各種物性の測定方法を以下に記す。
〔厚み測定〕
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。0.5μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察より求めた。
〔粒径測定〕
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。後述する第1の塗工液、第2の塗工液、および第3の塗工液中の無機層状化合物の平均粒径をペーストセルにて光路長50μmで測定し、さらに該無機層状化合物のみの希釈液中の平均粒径をフローセル法にて光路長4mmで測定した。いずれの場合も平均粒径の値は変わらず、第1の塗工液、第2の塗工液、および第3の塗工液中で無機層状化合物が充分に膨潤し劈開していることを確認した。この値を、第1の層および第2の層の無機層状化合物の平均粒径Lとみなした。
〔アスペクト比計算〕
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、無機層状化合物の回折測定を粉末法により行い、無機層状化合物の単位厚さaを求めた。上述の方法で求めた平均粒径Lを用いて、該無機層状化合物のアスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。なお第1の塗工液、第2の塗工液、および第3の塗工液を乾燥したものについてもX線回折測定を行ない、無機層状化合物の面間隔が広がっていることを確認した。
〔樹脂水溶性評価〕
上記明細書中に記載の方法により、下記に示すポリビニルアルコールおよびポリアクリル酸について評価し、いずれも目視により溶け残りが無いことを確認した。
〔熱処理〕
210mm×300mmの積層体を、150℃2%RHのオーブン中で60分間熱処理した。
〔湿熱処理〕
小型レトルト高圧蒸気滅菌器(アルプ(株)社製 RK-3030)を用いて、210mm×300mmの多層構造体を120℃で60分間、熱水にて湿熱処理した。湿度は100%RHと見なす。
〔乾燥処理〕
210mm×300mmの多層構造体を、23℃50%RH雰囲気下で24時間静置した。
〔酸素透過度測定〕
JIS K7126に基づき、超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRANML、MOCON社製)にて、23℃90%RHの条件下で測定を行った。
〔塗工液の作製〕
(1)第1の塗工液の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1300gと、ポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%、重合度1,700)130gとを混合し、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。該ポリビニルアルコール水溶液(60℃)を前記同様の条件で攪拌しながら、1−ブタノール122g、イソプロピルアルコール122gおよびイオン交換水520gを混合してなるアルコール水溶液を5分間かけて滴下した。滴下終了後、高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)に切り替え、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)82gを徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間攪拌を続けた。その後、さらにイソプロパノール243gを15分間かけて加え、次いで該混合系を室温まで冷却し、第1の無機層状化合物含有液を得た。
この第1の無機層状化合物含有液に対し、非イオン性界面活性剤(ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)0.1重量%(前記分散液の重量を基準とする)を低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において添加し、その後系のpHが6となるようにイオン交換樹脂で調整し、第1の無機層状化合物分散液を調製した。
またさらに別の分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1067gと、ポリアクリル酸(和光純薬工業(株)製、平均分子量100,0000)33gとを混合し、常温にて低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で樹脂成分溶液を作製した。
第1の無機層状化合物分散液2519gと樹脂成分溶液1100gを、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において徐々に混合して混合液とし、さらに該混合液を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の条件で処理することにより、第1の塗工液を得た。
第1の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は20vol%であった。第1の塗工液中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
(2)第2の塗工液の作製
第1の無機層状化合物分散液の高純度モンモリロナイトの添加量を140gとしたこと以外は、第1の塗工液と同様の方法で、第2の塗工液を作製した。第2の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は30vol%であった。第2の塗工液中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
(3)第3の塗工液の作製
第1の無機層状化合物分散液の高純度モンモリロナイトの添加量を217gとしたこと以外は、第1の塗工液と同様の方法で、第3の塗工液を作製した。第3の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積を100%としたとき、無機層状化合物の体積分率は40vol%であった。第3の塗工液中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
〔実施例1〕
厚さ15μmの二軸延伸ナイロン(ONy)フィルム(商品名:ON-U;ユニチカ(株)製)の片面をコロナ処理したものを基材層とし、該基材層のコロナ処理面に、該基材フィルムの一方の面上にアンカコート剤(EL510−1/CAT−RT87=5/1(重量比):東洋モートン(株)製)を、テストコーター(康井精機製)を用いて、マイクログラビア塗工法により、塗工速度3m/分、乾燥温度80℃でグラビア塗工し、アンカーコート層(AC層)を形成した。当該アンカーコート層の乾燥厚みは0.05μmであった。
さらに基材層上に、アンカーコート層を介して、前述の第3の塗工液をテストコーター(康井精機製)を用いてマイクログラビア塗工法(グラビアロールの線数 300)により、塗工速度3m/分でグラビア塗工して乾燥温度100℃で乾燥し、無機層状化合物を含む第3の層を形成した。第3の層の厚みは0.2μmであった。該第3の層をA層とする。次にA層上に、第1の塗工液を第3の塗工液と同様の方法で塗工して乾燥し、無機層状化合物を含む第1の層を形成した。該第1の層をB層とする。基材層を含めて3層(基材層/AC層/A層/B層)の多層構造体を得た。該多層構造体における乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちA層/B層の厚みは0.4μmであった。なおA層における無機層状化合物の体積分率は、用いた第3の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積に対する無機層状化合物の体積分率と等しいとみなすことができ、40vol%である。またB層における無機層状化合物の体積分率は同様に、用いた第1の塗工液中の樹脂成分と無機層状化合物の合計体積に対する無機層状化合物の体積分率と等しいとみなすことができ、20vol%である。A層の厚みが0.2μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.4μmであったことから、B層の厚みは0.2μmと求められた。またA、Bにおける無機層状化合物の平均体積分率は30vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔実施例2〕
第3の塗工液のかわりに第2の塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/AC層/C層/B層であり、乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちC層/B層の厚みは0.4μmであった。なおC層における無機層状化合物の体積分率は、30vol%であった。またB層における無機層状化合物の体積分率は20vol%であった。C層の厚みが0.2μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.4μmであったことから、B層の厚みは0.2μmと求められた。またC、B層における無機層状化合物の平均体積分率は25vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
第1の塗工液のかわりに、第3の塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上に層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/AC層/A層であり、乾燥後のA層の厚みは約0.4μmであった。なおA層における無機層状化合物の体積分率は、40vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
第1の塗工液のかわりに第3の塗工液を、第3の塗工液のかわりに第1の塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上に層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/AC層/B層/A層であり、乾燥後のB層の厚みは約0.2μmであった。乾燥後の無機層状化合物を含む層の総厚み、すなわちB層/A層の厚みは0.4μmであった。なおB層における無機層状化合物の体積分率は、20vol%であった。またA層における無機層状化合物の体積分率は40vol%であった。B層の厚みが0.2μmであり、また無機層状化合物を含む層の総厚みが0.4μmであったことから、A層の厚みは0.2μmと求められた。またB層、A層における無機層状化合物の平均体積分率は30vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
〔比較例3〕
アンカーコート剤のかわりに第3の塗工液を、第3の塗工液のかわりにアンカーコート剤を用いた以外は、実施例1と同様にして基材上に層を設け、多層構造体を得た。得られた多層構造体の構成は、基材層/A層/AC層/B層であり、乾燥後のA層とB層の厚みはそれぞれ約0.2μmであった。なおB層における無機層状化合物の体積分率は、20vol%であった。またA層における無機層状化合物の体積分率は40vol%であった。またB層、A層における無機層状化合物の平均体積分率は30vol%であった。
得られた多層構造体を熱処理した後、次いで前記多層構造体に湿熱処理を行い、さらに乾燥処理を行った。その後該多層構造体の酸素透過度を測定した。結果を表1に示した。
Figure 0004735351


Claims (8)

  1. 金属、樹脂、木材、セラミック、およびガラスからなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む基材層を有し、該基材層の少なくとも一方に第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の層と隣接して、第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層が積層されてなり、以下の条件(1)〜(3)を満たす多層構造体。
    (1)第2の層が最外層であり、該第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率が5〜30vol%である
    (2)第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が、第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率よりも高い
    (3)第2の層における第2の樹脂が、水溶性であり、かつ水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシレート基、およびアンモニウム基からなる群より選ばれる2種類以上の官能基を含む樹脂である
  2. 第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が、第2の層における第2の無機層状化合物の体積分率よりも10vol%以上高い請求項1記載の多層構造体。
  3. 第1の層における第1の無機層状化合物の体積分率が15〜50vol%である請求項1または2に記載の多層構造体。
  4. 第2の層における第2の樹脂の官能基が、水酸基およびカルボキシル基である請求項1〜3いずれかに記載の多層構造体。
  5. 金属、樹脂、木材、セラミック、およびガラスからなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む基材層を有し、該基材層の少なくとも一方に第1の無機層状化合物を含む第1の材料からなる第1の層、および該第1の層と隣接して、第2の無機層状化合物および第2の樹脂を含む第2の材料からなる第2の層が積層されてなり、該第2の層が最外層である多層構造体の製造方法であって、該方法は、
    第1の液体媒体とそれに含まれる前記第1の材料からなる第1の塗工液を基材層上に塗工し、次いで前記第1の液体媒体を除去して前記第1の材料からなる第1の層を前記基材層上に形成する工程、および
    第2の液体媒体とそれに含まれる前記第2の材料からなる第2の塗工液を、前記第1の層上に塗工し、次いで前記第2の液体媒体を除去して前記第2の材料からなる第2の層を前記第1の層上に形成する工程
    を含み、
    前記第2の塗工液は、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積の比率が5〜30vol%の要件を満たし、かつ、
    前記第1の塗工液は、第1の材料の乾燥体積に対する第1の無機層状化合物の乾燥体積が、第2の材料の乾燥体積に対する第2の無機層状化合物の乾燥体積よりも高い、という要件を満たし、かつ、
    第2の樹脂が、水溶性であり、かつ水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシレート基、およびアンモニウム基からなる群より選ばれる2種類以上の官能基を含む樹脂である、という要件を満たす多層構造体の製造方法。
  6. 第2の液体媒体を除去した後、熱処理を行う請求項5記載の多層構造体の製造方法。
  7. 第2の液体媒体を除去した後、熱処理を行い、その後湿熱処理を行う請求項5記載の多層構造体の製造方法。
  8. 第2の液体媒体を除去した後、熱処理し、次いで湿熱処理し、さらに乾燥処理を行う請求項5記載の多層構造体の製造方法。
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