JP5887728B2 - 多層構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、ガスバリア性に優れる多層構造体として、無機層状化合物を含む層を含む多層構造体が知られている。例えば特許文献2には、熱可塑性樹脂製フィルム上に、無機層状化合物を含む層が積層された多層構造体が、ガスバリア性に優れることが開示されている。
(1)無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を基材層表面に塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して、無機層状化合物層(I)を形成する工程
(2)該無機層状化合物層(I)上に、熱反応性組成物層(I)を形成し、予備構造体を製造する工程
(3)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程
また本発明は、他の面において、基材層、無機層状化合物層および樹脂層を含む多層構造体の製造方法であって、以下の工程を全て含む多層構造体の製造方法である。
(1)熱反応性組成物層(I)を基材層表面に形成する工程
(2)該熱反応性組成物層(I)上に、無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して無機層状化合物層(I)を形成し、予備構造体を製造する工程
(3)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程
さらに本発明は、他の面において、基材層、無機層状化合物層および樹脂層を含む多層構造体の製造方法であって、以下の工程を全て含む多層構造体の製造方法である。
(1)熱反応性組成物層(I)を基材層表面に形成する工程
(2)該熱反応性組成物層(I)上に、無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して無機層状化合物層(I)を形成する工程
(3)該無機層状化合物層(I)上に、熱反応性組成物層(II)を形成して予備構造体を製造する工程
(4)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)および(II)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程
(1)無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を基材層表面に塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して、無機層状化合物層(I)を形成する工程
(2)該無機層状化合物層(I)上に、熱反応性組成物層(I)を形成し、予備構造体を製造する工程
(3)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程
2種類以上の無機層状化合物を用いてもよい。
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
無機層状化合物分散液を調製する場合には、無機層状化合物の分散性の観点から、高圧分散装置を用いて高圧分散処理することが好ましい。高圧分散装置としては、例えばMicrofluidics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー(商品名:マイクロフルイダイザー)、ナノマイザー社製ナノマイザー、マントンゴーリン型高圧分散装置、イズミフードマシナリ製ホモゲナイザーが挙げられる。高圧分散処理とは、無機層状化合物分散液を複数本の細管中に高速通過させた後に合流させて、無機層状化合物分散液同士あるいは該無機層状化合物分散液と細管内壁とを衝突させることにより、無機層状化合物分散液に高剪断および/または高圧を付加する処理方法である。高圧分散処理では、無機層状化合物分散液を管径1μm〜1000μm程度の細管中に通過させ、このとき100kgf/cm2以上の最大圧力が印加されるように処理することが好ましい。最大圧力は500kgf/cm2以上であることがより好ましく、1000kgf/cm2以上であることが特に好ましい。また無機層状化合物分散液が細管内を通過する際、該分散液の最高到達速度は100m/s以上であることが好ましく、圧力損失による伝熱速度は100kcal/hr以上であることが好ましい。
無機層状化合物の層間の陽イオン濃度を調整する方法としては特に限定されないが、公知のイオン交換処理を行えばよい。イオン交換処理とは、例えば水素イオンおよび/またはリチウムイオンを有するイオン交換樹脂と、層間の陽イオンがナトリウムイオンである無機層状化合物および液体媒体を含む分散液とを接触させた後に、イオン交換樹脂の残渣を取り除く方法や、層間の陽イオンがナトリウムイオンである無機層状化合物および液体媒体を含む分散液を、半透膜を介して、水素イオンおよび/またはリチウムイオンを含有する液と接触させ、圧力差あるいは電気透析を利用してイオン交換する方法が挙げられる。無機層状化合物分散液をイオン交換した後は、そのまま無機層状化合物層(I)を形成するための塗工液として用いることができる。
また、多層構造体に含まれる無機層状化合物層中のリチウムイオンと水素イオンの合計の濃度が、400μmol/g以上であることが好ましく、500μmol/gであることがより好ましく、600μmol/gであることがさらに好ましい。
さらに好ましくは、ナトリウムイオン濃度が前記した条件を満たし、かつ、リチウムイオンと水素イオンの合計の濃度が、前記した条件を満たすことである。
多層構造体に含まれる無機層状化合物層が、前記したナトリウムイオン濃度や、リチウムイオン濃度、水素イオン濃度の要件を満たす場合には、耐水性に優れた多層構造体とすることができる。
熱反応性組成物とは、常温では液状、半固形状または固形状等であって常温下または加熱下で流動性を示す比較的低分子量の物質であるが、加熱処理により硬化反応や架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成し得る組成物である。本発明で用いる熱反応性組成物は、工程(2)で使用する際には溶剤に可溶であり、工程(3)において加熱処理することによって形成される樹脂層が、溶剤に不溶であるものが好ましい。
熱反応性組成物は、エポキシ系化合物と重合開始剤とを含む組成物か、水酸基を含むモノマーと、カルボキシル基を含むモノマーとを含む組成物であることが好ましい。
具体的には、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせや、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸や、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせ、またこれらの芳香族ヒドロキシカルボン酸の一部を芳香族アミノカルボン酸に置き換えたもの、芳香族ジオールの一部を、フェノール性水酸基を有する芳香族アミンおよび/または芳香族ジアミンに置き換えたもの、を用いることができるが、溶剤への溶解性など取り扱いの容易さから、(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸と(2)芳香族ジカルボン酸と(3)芳香族ジアミン、水酸基を有する芳香族アミンあるいは芳香族アミノ酸、とを含むことが好ましい。
上記(2)で示される芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられるが、イソフタル酸を含むことが好ましい。またこれらを2種類以上用いても構わない。
上記(3)で示される芳香族ジアミン、水酸基を有する芳香族アミンあるいは芳香族アミノ酸としては、例えば、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、アミノ安息香酸などが挙げられるが、4−アミノフェノールを含むことが好ましい。またこれらを2種類以上用いても構わない。
非プロトン性溶媒しては、例えば、1−クロロブタン、クロロベンゼン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン系溶媒、アセトニトリル、サクシノニトリルなどのニトリル系溶媒、N,N‘−ジメチルホルムアミド、N,N‘−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホランなどのスルフィド系溶媒、ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸などのリン酸系溶媒などが挙げられる。
熱反応性組成物層を形成するために用いる塗工液に含まれる液体媒体としては、該熱反応性組成物が溶解または分散する液体媒体であれば特に限定されないが、例えば上記有機修飾粘土鉱物を膨潤し劈開させる液体媒体や、上記非プロトン性溶媒が挙げられる。該塗工液には、密着性向上の観点から、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤の含有量は、通常、該塗工液100重量%中0.001〜5重量%である。
無機層状化合物層(I)上に熱反応性組成物層を形成する方法としては、前記した基材層上に無機層状化合物層(I)を形成する方法と同様の方法が使用できる。
工程(3)において予備構造体を加熱する条件としては、160〜400℃であることが好ましく、170〜380℃であることがより好ましく、200〜360℃であることがさらに好ましい。また該加熱処理は、水蒸気濃度が50g/m3未満の雰囲気下で実施することが好ましい。加熱処理する時間は通常1秒間〜24時間である。該加熱処理に用いる熱源は特に限定されるものではなく、工程(1)における乾燥処理と同様の方法を適用することができる。
式(1) −O−Ar1−CO−
式(2) −CO−Ar2−CO−
式(3) −X−Ar3−Y−
ここで、Ar1は、1,4−フェニレン、2,6−ナフタレン、または4,4‘−ビフェニレンを表わす。Ar2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、または2,6−ナフタレンを表わす。Ar3は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表わす。Xは−NH−であり、Yは、−O−または−NH−を表わす。
金属としては特に限定されないが、銅、鉄、銀、アルミニウム、シリカ、チタン等が挙げられ、またこれらの合金も含まれる。
樹脂としては熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができる。用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1などのオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物、エチレン−α・β不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α・β不飽和カルボン酸共重合体などのエチレン系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のエステル系樹脂;ナイロン−6(Ny−6)、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6−Ny)等のアミド系樹脂;ポリアリレート;ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン;AS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂;;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、セルロース誘導体等の樹脂単位重量あたりの水酸基の重量分率が20〜60%の割合を満たす水素結合性樹脂;カーボネート樹脂、サルホン樹脂、エーテルサルホン樹脂、エーテルエーテルケトン樹脂、フェニレンオキシド樹脂、メチレンオキシド樹脂、イミド樹脂等があげられる。
熱硬化性樹脂としては、公知のフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、また上記熱反応性組成物の熱反応物からなる樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、公知のエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
また基材層は、Ny-6/MXD6-Ny/Ny-6やPP/EVOH/PPのような多層フィルムであってもよく、アルミニウム、アルミナ、シリカが蒸着されたフィルムであってもよい。
(1)熱反応性組成物層(I)を基材層表面に形成する工程
(2)該熱反応性組成物層(I)上に、無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して無機層状化合物層(I)を形成し、予備構造体を製造する工程
(3)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程
熱反応性組成物層(I)は、基材層表面の一部に形成してもよく、全面に形成してもよい。
また、第二の態様における無機層状化合物層(I)は、第一の態様における無機層状化合物層(I)と同様の材料を用いて、同様の方法で形成することができる。
第二の態様では、工程(3)において予備構造体を加熱することにより、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くすると同時に、熱反応性組成物層(I)中の成分を反応させて樹脂層を形成する。これによって、無機層状化合物層と樹脂層との密着性に優れる多層構造体を得ることができる。
(1)熱反応性組成物層(I)を基材層表面に形成する工程
(2)該熱反応性組成物層(I)上に、無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して無機層状化合物層(I)を形成する工程
(3)該無機層状化合物層(I)上に、熱反応性組成物層(II)を形成して予備構造体を製造する工程
(4)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)および(II)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程
第三の態様の工程(3)で得られる予備構造体に含まれる熱反応性組成物層(I)および熱反応性組成物層(II)は、いずれも、反応が全て完了しておらず、工程(4)において反応を進行させることができる層である。ただし工程(3)で得られる予備構造体に含まれる熱反応性組成物層(I)は、工程(1)、(2)における熱反応性組成物層(I)よりも、該層に含まれるモノマーの反応が進行していてもよい。
熱反応性組成物層(II)は、無機層状化合物層(I)表面の一部に形成してもよく、全面に形成してもよい。
また、第三の態様における無機層状化合物層(I)は、第一の態様における無機層状化合物層(I)と同様の材料を用いて、同様の方法で形成することができる。
第三の態様では、工程(4)において予備構造体を加熱することにより、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くすると同時に、熱反応性組成物層(I)および(II)中の成分を反応させて樹脂層を形成する。これによって、無機層状化合物層と樹脂層との密着性に優れる多層構造体を得ることができる。
基材層を除去する場合、各態様に含まれるいずれの工程の後に行ってもかまわないが、多層構造体を得た後、基材層を除去することが好ましい。
基材層/無機層状化合物層/樹脂層(構成1)、
基材層/無機層状化合物層/樹脂層/追加層A(構成2)、
基材層/無機層状化合物層/樹脂層/追加層B/追加層C(構成3)、
基材層/無機層状化合物層/樹脂層/追加層D/追加層E/追加層F(構成4)、
基材層/樹脂層/無機層状化合物層(構成5)、
基材層/樹脂層/無機層状化合物層/追加層G(構成5)、
基材層/樹脂層/無機層状化合物層/追加層H/追加層I(構成6)、
基材層/樹脂層/無機層状化合物層/追加層J/追加層K/追加層L(構成7)
が挙げられる。
ここで追加層A、B、D、F、I、Kは無機層状化合物層と同じ組成であってもよく、また追加層C、E、G、H、J、Lは樹脂層と同じ組成であってもよい。
該多層構造体を、例えばディスプレイ用基板として用いた場合、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に比べ、軽量化、大型化という要求にこたえることができ、形状の自由度が高く、曲面表示が可能である。さらにはロールツーロール方式が可能であることからガラスよりも生産性が良くコストダウンの点でも有利である。また従来のプラスチック等を用いた基板と比較して、水蒸気や空気のガスバリア性が高く、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまうといった問題を解決できる。
またシリコン型あるいは色素増感型太陽電池の基板用途として用いた場合、本発明で得られる多層構造体をバックシートあるいは前面板として用いれば、水蒸気や酸素等のガスが電極や半導体、色素、電解質に作用することで起こる光電変換特性の劣化を抑制することができる。また耐熱性にも優れることから、薄膜でシリコン層等を形成する場合にも好適に用いることができる。また電子部品部材として用いる場合、耐熱性に優れ、またエッチングの際の耐アルカリ性、耐酸性に優れることからプリント配線基板用途として用いる場合にも好適である。
また本発明の製造方法で得られる多層構造体を包装材料として用いることにより、該包装材料で包装された内容物の酸素および水蒸気劣化を防ぐことができる。該多層構造体を包装材料として用いる場合、その形状としては、フィルム、袋、パウチ、ボトル、ボトルキャップ、カートン容器、カップ、皿、トレー、タンク、チューブ等が挙げられる。本発明の製造方法で得られる多層構造体により包装される内容物としては、ケーキ、カステラ等の洋菓子、大福、もち等の和菓子、ポテトチップス等のスナック菓子等の菓子類、竹輪や蒲鉾等の水産加工品、味噌、漬物、蒟蒻、ミートボール、ハンバーグ、ハム・ソーセージ等の食品、コーヒー、茶、ジュース等の飲料品、牛乳、ヨーグルト等の乳製品、米飯、カレー等が例示される。また食料品以外に、洗剤、入浴剤、化粧品といったトイレタリー製品、ガソリン、水素ガス等の燃料、粉末剤、錠剤、点眼薬、輸液バック等の医薬品および医療機器、ハードディスク、シリコンウエハ等の電子部品および電子機器等の包装材料としても用いることができる。
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。0.5μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察より求めた。
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。後述の塗工液(1)〜(3)を希釈し、該希釈液中の無機層状化合物の平均粒径を、フローセルにて光路長4mmで測定し、得られた平均粒径を無機層状化合物の平均粒径Lとみなした。
なお、該塗工液(1)〜(3)を希釈せずに、該塗工液中の無機層状化合物の平均粒径をペーストセルにて光路長50μmで測定し、この平均粒径と、希釈液で求めた平均粒径Lの値とがほぼ一致したとき、該分散液中で無機層状化合物が充分に膨潤し劈開していると認定した。
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、無機層状化合物そのものについて粉末法による回折測定を行った。これにより無機層状化合物の単位厚さaを求め、上述の方法で求めた粒径Lを用いて、アスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、粉末法による回折測定を行い、予備構造体および多層構造体に含まれる無機層状化合物層中の無機層状化合物の層間距離を求めた。
各実施例および比較例で、予備構造体を得るまでに行なった乾燥処理および加熱処理と同じ熱処理を、無機層状化合物を含む塗工液(1)〜(3)に行い、上記手法により層間距離1を求めた。層間距離1を、予備構造体における無機層状化合物層中の無機層状化合物の層間距離とみなした。
また、各実施例および比較例で、多層構造体を得るまでに行なった乾燥処理および加熱処理と同じ熱処理を、無機層状化合物を含む塗工液(1)〜(3)に行い、上記手法により層間距離2を求めた。層間距離2を、多層構造体における無機層状化合物層中の無機層状化合物の層間距離とみなした。
後述の塗工液(1)〜(3)について、誘導結合プラズマ発光分析装置(VISTA−PRO、Agilent Technologies社製)を用いて、ナトリウムイオンおよびリチウムイオン濃度を測定した。試料の調製方法は以下のとおりである。試料0.5gを蒸発皿に採取したあと、電気炉で乾式灰化(500℃)し、有機物を除去した。蒸発皿上の残渣を36%高純度塩酸0.4mLで溶解し、超純水で10mLに希釈したものを測定供試液とし、塗工液(1)〜(3)中のナトリウムおよびリチウム濃度を測定した。その後、該塗工液(1)〜(3)に分散している無機層状化合物の固形分濃度から、該塗工液(1)〜(3)を用いて形成される無機層状化合物層中のナトリウム濃度およびリチウム濃度を算出し、これをナトリウムイオンおよびリチウムイオン濃度とした。また塗工液(2)を用いて形成される無機層状化合物層中の水素イオン濃度については、塗工液(1)を用いて形成される無機層状化合物層中のナトリウムイオン濃度から、塗工液(2)を用いて形成される無機層状化合物層中のナトリウムイオン濃度およびリチウムイオン濃度を差し引いた値とした。
23℃、50%RH雰囲気下で24時間静置した多層構造体の表面に、カッターナイフで膜を貫通するように、1mm角100目の碁盤目状の切れ込みを入れ、これにテープ(No.2561 ニチバン(株)製)を貼り、次いで垂直方向に剥がして、樹脂層と無機層状化合物層との層間の剥離について、碁盤目100個あたりの剥離数で評価した。
○・・・0〜50%剥離
×・・・51〜100%剥離
50mm×50mmサイズの多層構造体を、水中に、23℃、1hr浸漬した。その後、塗膜の剥れを目視にて確認し、評価した。
○・・・剥離無し
×・・・一部剥離または全面剥離
JIS K7126に基づき、酸素透過率測定装置(OX−TRANML、MOCON社製)にて23℃、90%RHの条件下で測定を行った。
JIS K7129Bに基づき、水蒸気透過率測定装置(PERMATRAN W 3/33)にて、40℃90%RHの条件下で測定を行った。
(1)塗工液(1)の作製
攪拌機にて、室温下、イオン交換水1000gを高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)のもと、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)30gを徐々に加え、添加終了後、室温下にて60分間攪拌を続け、無機層状化合物層を形成するために用いる塗工液(1)を得た。該塗工液(1)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.22nmであり、アスペクト比Zは460であった。また該塗工液(1)から形成される無機層状化合物層中のナトリウムイオン濃度は900μmol/g、リチウムイオン濃度は測定限界以下であった。
塗工液(1)1030gについて、イオン交換樹脂(デュオライト C255LFH;日本水研(株)製)を30g添加し、その後30分間攪拌し、混合液(1)を得た。その後、フィルター(フルイ目の開きが297μm)を用いて、該混合液(1)をろ過してイオン交換樹脂の残渣を除去し、無機層状化合物層を形成するために用いる塗工液(2)を得た。該塗工液(2)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.22nmであり、アスペクト比Zは460であった。また該塗工液(2)から形成される無機層状化合物層中のナトリウムイオン濃度は40μmol/g、リチウムイオン濃度は測定限界以下、水素イオン濃度は860μmol/gであった。
イオン交換樹脂(デュオライト C−20LF;日本水研(株)製)60gと10%塩化リチウム水溶液600gとを混合し、次いで30分間高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)し、その後、該イオン交換樹脂を回収し、リチウム型イオン交換樹脂を作製した。塗工液(1)1030gについて、該リチウム型イオン交換樹脂を30g添加し、その後30分間攪拌し、混合液(2)を得た。その後、フィルター(フルイ目の開きが297μm)を用いて、該混合液(2)をろ過してイオン交換樹脂の残渣を除去し、無機層状化合物層を形成するために用いる塗工液(3)を得た。該塗工液(3)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.22nmであり、アスペクト比Zは460であった。また該塗工液(3)から形成される無機層状化合物層中のナトリウムイオン濃度は測定限界以下、リチウムイオン濃度は850μmol/gであった。
ガラス製容器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4−アミノフェノール273g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)および無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。該容器内を十分に窒素ガスで置換した後、攪拌しながら、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、内容物を取り出した。該内容物0.5gをN,N‘−ジメチルアセトアミド9.5gに加え、完全に溶解させ、熱反応性組成物層を形成するために用いる塗工液(4)を得た。
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、シクロヘキサノン206gと、クレゾールノボラック型エポキシ系化合物(ユニディックV8000C1 DIC(株)製)25.8g、およびポリイミド骨格含有化合物(ユニディックV8000 DIC(株)製)100gを混合し、高速攪拌し(3000rpm、周速度=8.2m/分)、室温下で30分間攪拌して溶解させ、熱反応性組成物層を形成するために用いる塗工液(5)を得た。
厚さ18μmの銅箔(3EL−VLP 三井金属鉱業(株)製;以下Cu)を基材層として用いた。該基材層のMIII処理面に前述の塗工液(4)を、アプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、基材層上に熱反応性組成物層(I)を形成した。その後、該熱反応性組成物層(I)上に、前述の方法と同様に、塗工液(2)をアプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、無機層状化合物層(I)を形成し、予備構造体(1)を得た。該予備構造体(1)について、窒素雰囲気下にて290℃、3時間加熱処理を行い、基材層、樹脂層および無機層状化合物層からなる多層構造体(1)を得た。該樹脂層の厚みは5μm、無機層状化合物層の厚みは2μmであった。その後該多層構造体(1)について評価を行った。結果を表1に示した。
基材層に厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200H/V 東レ・デュポン(株)製:PI)を用いた。該基材層についてコロナ処理を行い、該コロナ処理面に前述の塗工液(5)を、アプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、基材層上に熱反応性組成物層(I)を形成した。その後、該熱反応性組成物層(I)上に、前述の方法と同様に、塗工液(2)をアプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、無機層状化合物層(I)を形成し、予備構造体(2)を得た。該予備構造体(2)について、空気雰囲気下、200℃、1時間加熱処理を行い、基材層、樹脂層および無機層状化合物層からなる多層構造体(2)を得た。該樹脂層の厚みは5μm、無機層状化合物層の厚みは2μmであった。その後該多層構造体(2)について評価を行った。結果を表1に示した。
厚さ18μmの銅箔を基材層として用い、該基材層のMIII処理面に前述の塗工液(4)を、アプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、基材層上に熱反応性組成物層(I)を形成した。その後、290℃、3時間加熱処理を行い、基材層と樹脂層とからなる積層体を形成した。該樹脂層上に、塗工液(2)を用いて前述の方法と同様に、塗工液(2)をアプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、無機層状化合物層(I)を形成し、予備構造体(3)を得た。該予備構造体(3)について、窒素雰囲気下にて290℃、3時間加熱処理を行い、基材層、樹脂層および無機層状化合物層からなる多層構造体(3)を得た。該樹脂層の厚みは5μm、無機層状化合物層の厚みは2μmであった。その後該多層構造体(3)について評価を行った。結果を表1に示した。
厚さ50μmのポリイミドフィルムを基材層として用い、該基材層についてコロナ処理を行い、該コロナ処理面に前述の塗工液(5)を、アプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、基材層上に熱反応性組成物層(I)を形成した。その後、200℃、1時間加熱処理を行い、基材層と樹脂層とからなる積層体を形成した。該樹脂層上に、塗工液(2)を用いて前述の方法と同様に、塗工液(2)をアプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、無機層状化合物層(I)を形成し、予備構造体(4)を得た。該予備構造体(4)について、空気雰囲気下、200℃、1時間加熱処理を行い、基材層、樹脂層および無機層状化合物層からなる多層構造体(4)を得た。該樹脂層の厚みは5μm、無機層状化合物層の厚みは2μmであった。その後該多層構造体(4)について評価を行った。結果を表2に示した。
実施例1の予備構造体(1)の無機層状化合物層(I)上に、さらに塗工液(4)を熱反応性組成物層(I)と同様の方法でアプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、その後乾燥処理(80℃、20分間)し、熱反応性組成物層(II)を形成し、予備構造体(5)を得た。該予備構造体(5)について、窒素雰囲気下にて290℃、3時間加熱処理を行い、基材層、樹脂層、無機層状化合物層、樹脂層からなる多層構造体(5)を得た。該樹脂層の厚みはいずれも5μm、無機層状化合物層の厚みは2μmであった。その後該多層構造体(5)について評価を行った。結果を表2、3に示した。
比較例1の多層構造体(3)の無機層状化合物層上に、さらに塗工液(4)を熱反応性組成物層(I)と同様の方法でアプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、その後乾燥処理(80℃、20分間)し、熱反応性組成物層(II)を形成し、予備構造体(6)を得た。該予備構造体(6)について、窒素雰囲気下にて290℃、3時間加熱処理を行い、基材層、樹脂層、無機層状化合物層、および樹脂層からなる多層構造体(6)を得た。該樹脂層の厚みはいずれも5μm、無機層状化合物層の厚みは2μmであった。その後該多層構造体(6)について評価を行った。結果を表2、3に示した。
塗工液(4)のかわりに塗工液(2)を、塗工液(2)のかわりに塗工液(4)を用いた以外は実施例1と同様にして、予備構造体(7)を得た。該予備構造体(7)について、窒素雰囲気下にて290℃、3時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(7)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(7)について評価を行った。結果を表4に示した。
塗工液(4)のかわりに塗工液(2)を、塗工液(2)のかわりに塗工液(4)を用いた以外は比較例1と同様にして、予備構造体(8)を得た。該予備構造体(8)について、窒素雰囲気下にて290℃、3時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(8)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(8)について評価を行った。結果を表4に示した。
塗工液(5)のかわりに塗工液(2)を、塗工液(2)のかわりに塗工液(5)を用いた以外は実施例2と同様にして、予備構造体(9)を得た。該予備構造体(9)について、空気雰囲気下、250℃、1時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(9)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(9)について評価を行った。結果を表5、6に示した。
塗工液(2)のかわりに塗工液(3)を用いた以外は実施例5と同様にして、予備構造体(10)を得た。該予備構造体(10)について、空気雰囲気下、250℃、1時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(10)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(10)について評価を行った。結果を表5、6に示した。
実施例5と同様にして、予備構造体(11)を得た。該予備構造体(11)について、空気雰囲気下、200℃、1時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(11)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(11)について評価を行った。結果を表5、6に示した。
塗工液(2)のかわりに塗工液(1)を用いた以外は実施例5と同様にして、予備構造体(12)を得た。該予備構造体(12)について、空気雰囲気下、250℃、1時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(12)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(12)について評価を行った。結果を表5、6に示した。
厚さ50μmのポリイミドフィルムを基材層として用い、該基材層についてコロナ処理を行い、該コロナ処理面に前述の塗工液(2)を、アプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、基材層上に無機層状化合物層(I)を形成した。その後、250℃、1時間加熱処理を行い、基材層と無機層状化合物層とからなる積層体を形成した。該無機層状化合物層上に、塗工液(5)を用いて前述の方法と同様に、塗工液(5)をアプリケーターにて塗工(クリアランス150μm)し、乾燥処理(80℃、20分間)し、熱反応性組成物層(I)を形成し、予備構造体(14)を得た。該予備構造体(14)について、空気雰囲気下、250℃、1時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(14)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(14)について評価を行った。結果を表5、6に示した。
塗工液(2)のかわりに塗工液(3)を用いた以外は比較例7と同様にして、予備構造体(15)を得た。該予備構造体(15)について、空気雰囲気下、250℃、1時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(15)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(15)について評価を行った。結果を表5、6に示した。
実施例5と同様にして、予備構造体(11)を得た。該予備構造体(11)について、空気雰囲気下、350℃、1時間加熱処理を行い、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(18)を得た。該無機層状化合物層の厚みは2μm、樹脂層の厚みは5μmであった。その後該多層構造体(18)について評価を行った。結果を表7、8に示した。
アプリケーターにて塗工するかわりに、スピンコーターにて塗工(回転速度1000rpm、10秒間)したこと以外は実施例5と同様にして、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(16)を得た。該無機層状化合物層の厚みは0.05μm、樹脂層の厚みは1μmであった。その後該多層構造体(16)について酸素透過度を測定したところ、10cc/m2・day・atmであった。
アプリケーターにて塗工するかわりに、スピンコーターにて塗工(回転速度1000rpm、10秒間)したこと以外は比較例5と同様にして、基材層、無機層状化合物層および樹脂層からなる多層構造体(17)を得た。該無機層状化合物層の厚みは0.05μm、樹脂層の厚みは1μmであった。その後該多層構造体(17)について酸素透過度を測定したところ、50cc/m2・day・atmであった。
Claims (7)
- 基材層、無機層状化合物層および樹脂層を含む多層構造体の製造方法であって、無機層状化合物層中のリチウムイオンと水素イオンの合計の濃度が、400μmol/g以上であり、以下の工程を全て含む多層構造体の製造方法。
(1)無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を基材層表面に塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して、無機層状化合物層(I)を形成する工程
(2)該無機層状化合物層(I)上に、熱反応性組成物層(I)を形成し、予備構造体を製造する工程
(3)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程 - 基材層、無機層状化合物層および樹脂層を含む多層構造体の製造方法であって、無機層状化合物層中のリチウムイオンと水素イオンの合計の濃度が、400μmol/g以上であり、以下の工程を全て含む多層構造体の製造方法。
(1)熱反応性組成物層(I)を基材層表面に形成する工程
(2)該熱反応性組成物層(I)上に、無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して無機層状化合物層(I)を形成し、予備構造体を製造する工程
(3)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程 - 基材層、無機層状化合物層および樹脂層を含む多層構造体の製造方法であって、無機層状化合物層中のリチウムイオンと水素イオンの合計の濃度が、400μmol/g以上であり、以下の工程を全て含む多層構造体の製造方法。
(1)熱反応性組成物層(I)を基材層表面に形成する工程
(2)該熱反応性組成物層(I)上に、無機層状化合物および液体媒体を含む無機層状化合物分散液を塗工して、塗工膜を形成し、次いで20〜150℃の温度条件下で乾燥処理を行い、該塗工膜から液体媒体を除去して無機層状化合物層(I)を形成する工程
(3)該無機層状化合物層(I)上に、熱反応性組成物層(II)を形成して予備構造体を製造する工程
(4)該予備構造体を加熱して、無機層状化合物層(I)における無機層状化合物の層間距離を狭くし、かつ熱反応性組成物層(I)および(II)中の成分を反応させて樹脂層を形成して、多層構造体を得る工程 - 無機層状化合物分散液中の無機層状化合物のアスペクト比が、20〜10000である請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体の製造方法。
- 多層構造体に含まれる無機層状化合物層における無機層状化合物の体積分率が、90〜100vol%である請求項1〜4いずれかに記載の多層構造体の製造方法。
- 多層構造体に含まれる無機層状化合物層中のナトリウムイオン濃度が、400μmol/g以下である請求項1〜5いずれかに記載の多層構造体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により多層構造体を得た後、該多層構造体から基材層を除去して積層体を製造する方法。
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