JP2000254995A - 積層体 - Google Patents

積層体

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JP2000254995A
JP2000254995A JP11057429A JP5742999A JP2000254995A JP 2000254995 A JP2000254995 A JP 2000254995A JP 11057429 A JP11057429 A JP 11057429A JP 5742999 A JP5742999 A JP 5742999A JP 2000254995 A JP2000254995 A JP 2000254995A
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inorganic layered
layered compound
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JP11057429A
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English (en)
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Toshiya Kuroda
俊也 黒田
Taiichi Sakatani
泰一 阪谷
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性に優れ、特に、屈曲によるガス
バリア性低下が少なく、さらに、屈曲により低下したガ
スバリア性の回復率が高い積層体を提供する。 【解決手段】 支持体層1と、無機層状化合物(A)を
有する層(第1層)3と、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、遷移元素、周期表の3B族元素、4B族元素、5
B族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素
を含む無機化合物(B)を有する層(第2層)4とを、
この順に積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素、水蒸気等の
ガスバリア性に優れると共に高密着性による耐ゲルボフ
レックス性が改善された、包装資材等に好適な積層体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックフィルム等に代表される積
層体は、その柔軟性等によって食品等の包装資材として
好適に用いられている。このような積層体において、特
に、高硬度、耐化学薬品性、ガスバリア性等は、内容物
である、たとえば食品の保存性に対して重要な性質であ
る。
【0003】従来より、積層体に高硬度、耐化学薬品
性、ガスバリア性等を付与するために、無機化合物の薄
膜層を積層することが行われている。
【0004】たとえば、特開平10−44299号公報
には、熱可塑性高分子基材に、無機系層状化合物と高分
子よりなる層、金属および/または金属酸化物よりなる
層を積層し、ガスバリア性を高める技術が開示されてい
る。
【0005】上記公報では、ガスバリア性を良好にする
ために、無機系層状化合物と高分子よりなる層におい
て、高分子として、水溶性または水分散性の高分子が好
ましく用いられる。また、熱可塑性高分子基材との密着
性を良好にするために、上記高分子としてアクリル系高
分子および/またはウレタン系高分子等を用いることが
開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来公
報に記載のフィルム積層体では、ガスバリア性が必ずし
も十分でないという問題点を有している。このため、特
にガスバリア性が要求される用途、たとえば、マイクロ
波加熱調理や、殺菌等の用途において、利用性に欠ける
場合がある。
【0007】また、優れたガスバリア性を確保しなが
ら、該フィルム積層体を食品の保存等に用いる場合、ね
じれ(屈曲)の繰り返しによるピンホール形成を抑制で
きるという耐ゲルボフレックス性の面でまだ不十分であ
るという問題を生じている。すなわち、フィルム積層体
が繰返し屈曲された場合のガスバリア性の低下が著しい
ことから、強度および耐久性が不十分であるという問題
点を有している。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的は、ガスバリア性に優れ、
特に、屈曲によるガスバリア性低下が少なく、さらに、
屈曲により低下したガスバリア性の回復率が高い積層体
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、支持体層と、無機層
状化合物(A)を有する層と、アルカリ金属、アルカリ
土類金属、遷移元素、周期表の3B族元素、4B族元
素、5B族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種
の元素を含む無機化合物(B)を有する層とをこの順に
積層することにより、ガスバリア性、特に屈曲時のガス
バリア性および屈曲により低下したガスバリア性を回復
し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の積層体は、以上の課題
を解決するために、支持体層と、第1層と第2層とがこ
の順で積層されており、第1層が、無機層状化合物
(A)を有する層であり、第2層が、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、遷移元素、周期表の3B族元素、4B
族元素、5B族元素からなる群より選ばれる少なくとも
1種の元素を含む無機化合物(B)を有する層であるこ
とを特徴としている。
【0011】上記構成によれば、第1層においては、無
機層状化合物(A)が、その層状という形状により互い
に対面するように配向することから、上記無機層状化合
物(A)の迷路効果を生じて、上記第1層に対しガスバ
リア性を付与することができる。また、支持体層と、第
1層と、第2層とをこの順に積層することによって、特
に屈曲時のガスバリア性および屈曲により低下したガス
バリア性を回復することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
に基づいて説明すれば、以下の通りである。本発明の積
層体は、図1に示すように、支持体層1、無機層状化合
物(A)を有する層(第1層)3、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、遷移元素、周期表の3B族元素、4B族
元素、5B族元素からなる群より選ばれる少なくとも1
種の元素を含む無機化合物(B)を有する層(第2層)
4が、この順に積層されている構造を有している。
【0013】本発明に用いられる支持体層の形状は、特
に限定されないが、ボトル、トレイ状等の容器の形状;
シート、フィルム形状;チューブ形状;その他あらゆる
種類の成形品が挙げられる。上記例示の形状のうち、特
にフィルム形状が好ましい。
【0014】支持体層としては、具体的には、フィルム
形状である場合の例としては、たとえば、ステンレス
箔、銅箔、銀箔、金箔、アルミ箔等の金属箔;クラフト
紙、上質紙、構造紙、グラシン紙、パーチメント紙、合
成紙、ボール紙等の紙類;天然繊維からなる布、合成繊
維からなる布、不織布等の布類;セラミック製シート;
板ガラス;樹脂フィルム;等が挙げられる。
【0015】上記樹脂フィルムとしては、低密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、エチレン/プロピレン共
重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセ
ン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、ポリプロピ
レン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/メチ
ルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリ
オレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等
のポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,
6、メタキシレンジアミン/アジピン酸縮重合体、ポリ
メチルメタクリルイミド等のアミド系樹脂;ポリメチル
メタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ス
チレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリ
ロニトリル/ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリ
ル等のスチレン/アクリロニトリル系樹脂;ジ酢酸セル
ロース、トリ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹
脂:ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化
ビニリデン、テフロン等のハロゲン含有樹脂、ポリビニ
ルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、
セルロース誘導体等の水素結合性樹脂;ポリカーボネー
ト樹脂;ポリサルホン樹脂;ポリエーテルサルホン樹
脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリフェニレン
オキシド樹脂;ポレメチレンオキシド樹脂;液晶樹脂等
のエンジニアリングプラスチック系樹脂;等のフィルム
樹脂が挙げられる。
【0016】上記例示のフィルム樹脂は、延伸フィルム
であることが好ましく、特に、引っ張り強度等の強度に
優れている点から、2軸延伸フィルムがより好ましく、
2軸延伸ポリアミド、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ート、2軸延伸ポリエチレンナフタレート、および2軸
延伸ポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも
一種からなるフィルムがさらに好ましい。
【0017】支持体層と第1層との界面には、コロナ処
理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、
等の処理が施されていてもよい。また、これらの処理
は、インラインの多層形成機に組み込まれ、インライン
で行われていてもよい。
【0018】本発明の第1層に用いられる無機層状化合
物(A)とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構
造を有している無機化合物をいう。無機層状化合物
(A)の粒径は、0.01〜5μmが好ましく、0.0
1〜3μmの範囲内が特に好ましく、0.01〜1μm
の範囲内が最も好ましい。
【0019】無機層状化合物(A)の層状の程度を示す
アスペクト比は、無機層状化合物(A)の長径と厚みの
比で表される。アスペクト比としては、10〜1000
0の範囲内が好ましく、ガスバリア性に関しては、10
〜3000の範囲内がさらに好ましく、30〜2000
の範囲内が特に好ましく、200〜1000の範囲内が
最も好ましい。
【0020】アスペクト比が10未満であればガスバリ
ア性の発現が十分でなく、10000より大きいものは
技術的に難しく、経済的にも高価なものとなる。また、
粒径が3μm以下であれば透明性が、より良好となり、
さらに粒径が1μm以下であれば透明性の重視される用
途にはより好ましい。
【0021】本発明に用いられる無機層状化合物(A)
の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型
化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン
化物、粘土系鉱物等を挙げることができる。ここに「カ
ルコゲン化合物」とはIV族(Ti,Zr,Hf)、V
族(V,Nb,Ta)およびVI族(Mo,W)のジカ
ルコゲン化物であって、式MX2 (Mは上記元素, Xは
カルコゲン(S,Se,Te)を示す。) で表されるも
のをいう。
【0022】本発明で用いられる無機層状化合物(A)
の上記粒径とは、分散媒中、回折/散乱法により求めた
粒径をさす。第1層中での真の粒径測定はきわめて困難
であるが、回折/散乱法で用いた分散媒と同種の分散媒
で十分に膨潤、へき開させて、第1層に用いる樹脂に複
合させる場合、図2に示す第1層3における樹脂32中
での、へき開した無機層状化合物(A)31の粒径は、
分散媒中でのへき開した無機層状化合物(A)31の粒
径に相当すると考えることができる。
【0023】<平均粒径を求める方法>一般に、液体中
の粒子の平均粒径を求める方法は、回折/散乱法による
方法、動的光散乱法による方法、電気抵抗変化による方
法、液中顕微鏡撮影後画像処理による方法等が可能であ
る。
【0024】動的光散乱法では樹脂と粒子が共存してい
る場合、見かけ液粘度が純分散媒と変わってしまうため
に評価し難く、電気抵抗変化による方法は液の電解質濃
度等に制限があり、液中顕微鏡撮影後画像処理による方
法は分解能の問題があり、それぞれ使いづらい。回折/
散乱法による方法は、樹脂水性液に実質上散乱が少なく
(透明ということ)、粒子由来の散乱が支配的である場
合には、樹脂の有無に関わらず粒子の粒度分布のみの情
報が得られるため好ましい。
【0025】<回折/散乱法による平均粒径測定>回折
/散乱法による粒度分布・平均粒径測定は、膨潤してへ
き開した無機層状化合物(A)を水性分散媒に分散させ
た分散液に対し、光を通過させたときに得られる回折/
散乱パターンをミー散乱理論等を用いてパターンに最も
矛盾のない粒度分布を計算することによりなされる。
【0026】市販の装置としては、レーザー回折・光散
乱法による粒度測定装置(LS230、LS200、L
S100、コールター社製)、レーザー回折式粒度分布
測定装置(SALD2000、SALD2000A、S
ALD3000、島津製作所製)、レーザー回折・散乱
式粒度分布測定装置(LA910、LA700、LA5
00、堀場製作所製、および、マイクロトラックSP
A、マイクロトラックFRA、日機装製)等が挙げられ
る。
【0027】<アスペクト比測定方法>アスペクト比測
定方法の中で、特に、膨潤・へき開性を有する無機層状
化合物(A)の場合を例に採り、以下に説明する。
【0028】アスペクト比(Z)とは、Z=L/aの関
係から求められる比である。ここに、Lは、分散液中、
上記した回折/散乱法による粒径測定法により求めた無
機層状化合物(A)の粒径(体積基準のメジアン径)で
あり、aは、図2に示すへき開した無機層状化合物
(A)31の単位厚さ、すなわち、無機層状化合物
(A)31の単位結晶層の厚みを示す。この「単位厚さ
a」は、後述する粉末X線回折法等によって、無機層状
化合物(A)31の厚みを単独にて測定した結果に基づ
いて決められる値である。
【0029】より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線
回折ピークの強度を示した図3のグラフに模式的に示す
ように、観測される回折ピークのうち最も低角側のピー
クに対応する角度θから、Bragg の式(nλ=2Dsi
nθ、n=1,2,3・・・)に基づいて求められる間
隔を、「単位厚さa」とする(粉末X線回折法の詳細に
ついては、たとえば、塩川二朗監修「機器分析の手引き
(a)」69頁(1985年)化学同人社発行を参
照)。
【0030】また、上記第1層3が、無機層状化合物
(A)31以外の成分(たとえば樹脂32)を含む場合
には、第1層3を形成している組成物(樹脂組成物)と
無機層状化合物(A)31単独との粉末X線回折による
方法を用いることができる。
【0031】上記第1層3が、無機層状化合物(A)3
1以外に樹脂32を含む場合、分散液から分散媒を取り
除いてなる、第1層3に相当する樹脂組成物を粉末X線
回折する際には、通常、該組成物における分散している
各無機層状化合物(A)31の面間隔を、図2に示す面
間隔dとして求めることが可能である。
【0032】より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線
回折ピークの強度を取った図4のグラフに模式的に示す
ように、上記した「単位厚さa」に対応する回折ピーク
位置より、低角(間隔が大きい)側に観測される回折ピ
ークのうち、最も低角側のピークに対応する間隔を「面
間隔d」(a<d)とする。
【0033】図5のグラフに模式的に示すように、上記
「面間隔d」に対応するピークがハロー(ないしバック
グラウンド)と重なって検出することが困難な場合にお
いては、2θdより低角側のベースラインを除いた部分
の面積を、「面間隔d」に対応するピークとしている。
ここに、「θd」は、「(単位厚さa)+(樹脂1本鎖
の幅)」に相当する回折角である(この面間隔dの算出
法の詳細については、たとえば、岩生周一ら編、「粘土
の事典」、35頁以下および271頁以下、1985
年、(株)朝倉書店を参照)。
【0034】このように粉末X線回折において観測され
る回折ピークの「積分強度」は、基準となる回折ピーク
(「面間隔d」に対応)の積分強度に対する相対比で2
以上であることが好ましく、10以上であることがより
好ましい。
【0035】第1層が無機層状化合物(A)以外に樹脂
を含んでいる樹脂組成物を構成する場合には、上記した
面間隔dと「単位厚さa」との差、すなわちk=(d−
a)の値(「長さ」に換算した場合)は、樹脂組成物を
構成する樹脂1本鎖の幅に等しいかこれより大である
〔k=(d−a)≧樹脂1本鎖の幅〕。このような「樹
脂1本鎖の幅」は、シミュレーション計算等により求め
ることが可能である(たとえば、「高分子化学序論」、
103〜110頁、1981年、化学同人を参照)、ポ
リビニルアルコールの場合には4〜5オングストローム
である(水分子では2〜3オングストローム)。
【0036】第1層が無機層状化合物(A)以外に樹脂
を含んでいる樹脂組成物を構成する場合には、第1層中
の無機層状化合物(A)の「真のアスペクト比」は直接
測定がきわめて困難である。上記したアスペクト比Z=
L/aは、必ずしも、第1層中の無機層状化合物(A)
の「真のアスペクト比」と等しいとは限らないが、下記
の理由により、このアスペクト比Zをもって「真のアス
ペクト比」を近似することには妥当性がある。
【0037】粉末X線回折法により求められる上記面間
隔dと、無機層状化合物(A)単独の粉末X線回折測定
により求められる「単位厚さa」との間にa<dなる関
係があり、かつ(d−a)の値が該組成物中の樹脂1本
鎖の幅以上である場合には、各無機層状化合物(A)の
層間に樹脂が挿入されていることとなる。したがって、
第1層中の無機層状化合物(A)の厚みを上記「単位厚
さa」で近似すること、すなわち第1層中における無機
層状化合物(A)の「真のアスペクト比」を、上記した
無機層状化合物(A)の分散液中での「アスペクト比
Z」で近似することには、充分な妥当性がある。
【0038】上述したように、第1層における、無機層
状化合物(A)の真の粒径測定はきわめて困難である
が、第1層に樹脂が存在する場合での無機層状化合物
(A)の粒径は、分散液中(樹脂/無機層状化合物
(A)/分散媒)の無機層状化合物(A)の粒径Lに相
当すると考えることができる。
【0039】但し、回折/散乱法で求められる分散液中
での粒径Lは、無機層状化合物(A)の長径Lmaxを
越える可能性はかなり低いと考えられるため、真のアス
ペクト比(Lmax/a)が、本発明で用いる「アスペ
クト比Z」を下回る(Lmax/a<Z)可能性は、理
論的にはかなり低い。
【0040】上述した2つの点から、本発明で用いるア
スペクト比Zの定義は、充分な妥当性を有するものと考
えられる。本明細書において、「アスペクト比」または
「粒径」とは、上記で定義した「アスペクト比Z」、ま
たは「回折/散乱法で求めた粒径L」を意味する。
【0041】大きなアスペクト比を容易に与え、かつ、
第1層の平滑性および均一層を形成する観点からは、分
散媒に膨潤・へき開する性質を有する無機層状化合物
(A)が好ましく用いられる。
【0042】本発明に用いる無機層状化合物(A)の分
散媒への「膨潤・へき開」性の程度は、以下の「膨潤・
へき開」試験により評価することができる。無機層状化
合物(A)の膨潤性は、下記の膨潤性試験において、膨
潤値約5以上(さらには膨潤値約20以上)の程度であ
ることが好ましい。一方、無機層状化合物(A)のへき
開性は、下記へき開性試験において、へき開値約5以上
(さらにはへき開値約20以上)の程度であることが好
ましい。これらの場合、分散媒としては、無機層状化合
物(A)の密度より小さい密度を有する液体を用いる。
無機層状化合物(A)が天然の膨潤性粘土系鉱物である
場合、分散媒としては、水を用いることが好ましい。
【0043】<膨潤性試験>100mLメスシリンダー
に分散媒100mLを入れ、これに無機層状化合物
(A)2gをゆっくり加える。静置後、23℃、24h
r後の無機層状化合物(A)分散層と上澄みとの界面の
目盛から無機層状化合物(A)分散層の体積(mL)を
膨潤値として読む。この数値が大きい程、膨潤性が高
い。
【0044】<へき開性試験>無機層状化合物(A)3
0gを分散媒1500mLにゆっくり加え、分散機〔浅
田鉄工(株)製、デスパーMH−L、羽根径52mm、
回転数3100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の
距離28mm〕にて周速8.5m/secで90分間分
散した後(23℃)、分散液100mLをとりメスシリ
ンダーに入れ60分静置後、上澄みとの界面から、無機
層状化合物(A)分散層の体積(mL)をへき開値とし
て読む。
【0045】分散媒に膨潤・へき開する無機層状化合物
(A)としては、分散媒に膨潤・へき開性を有する粘土
系鉱物が特に好ましく用いられる。かかる粘土系鉱物
は、一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウム
やマグネシウム等を中心金属にした八面体層を有する2
層構造を有するタイプと、シリカの四面体層が、アルミ
ニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を両
側から狭んでなる3層構造を有するタイプに分類され
る。前者の2層構造タイプとしては、カオリナイト族、
アンチゴライト族等を挙げることができ、後者の3層構
造タイプとしては、層間カチオンの数によってスメクタ
イト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げること
ができる。
【0046】これらの粘土系鉱物としては、より具体的
には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロ
イサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィ
ライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナ
イト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘ
クトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニ
オライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュ
ライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げる
ことができる。
【0047】また、粘土系鉱物を有機物で処理したもの
(以下、有機修飾粘土系鉱物と称する場合もある)も無
機層状化合物(A)として用いることができる(なお、
有機物で処理した粘土系鉱物に関しては、朝倉書店、
「粘土の事典」参照)。
【0048】上記粘土系鉱物の中でも、膨潤性またはへ
き開性の観点から、スメクタイト族、バーミキュライト
族およびマイカ族が好ましく、さらに好ましくはスメク
タイト族が好ましい。スメクタイト族としては、モンモ
リロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイ
ト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトを例
示できる。
【0049】無機層状化合物(A)を膨潤またはへき開
させる分散媒は、たとえば天然の膨潤性粘土系鉱物の場
合、水、メタノール、エタノ−ル、プロパノール、イソ
プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、アセトン等が挙げられ、水やメタノー
ル等のアルコール類がより好ましい。
【0050】また、有機修飾粘土系鉱物の場合、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチル
エーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン
等の脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、四塩化炭素、
クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、
パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エ
チル、メタアクリル酸メチル(MMA) 、フタル酸ジオ
クチル(DOP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオイル等が挙
げられる。
【0051】第1層を構成する他の成分としては、特に
限定はなく、たとえば、界面活性剤、有機金属錯体、無
機高分子、有機高分子その他の樹脂等が挙げられる。
【0052】第1層で用いられる無機層状化合物(A)
の組成比は、特に限定されない。後述するアンカーコー
ト層を用いる場合には必要に応じて、少量の添加剤を除
いて実質上、無機層状化合物(A)単独で用いられてい
てもよい。アンカーコート層を用い、かつ、無機層状化
合物(A)を有する第1層を用いることにより、ガスバ
リア性を向上させることができると共に、特に、屈曲に
よるガスバリア性低下が少なく、さらに、屈曲により低
下したガスバリア性の回復率が高くなり、積層体の耐久
性を向上させることができる。
【0053】第1層で用いられる無機層状化合物(A)
の組成比は、特に、積層体に靭性すなわち、たとえば屈
曲等の外力に抗して破壊しない性質が要求される場合等
は、重量比(無機層状化合物(A)/第1層全体)で、
0.1〜1、さらには、0.3〜1の範囲内であること
が好ましい。
【0054】第1層には、他の成分として高水素結合性
樹脂が含まれていてもよい。すなわち、本発明にかかる
第1層が高水素結合性樹脂を含むことによって、ガスバ
リア性を向上させることができると共に、特に、屈曲に
よるガスバリア性低下が少なく、さらに、屈曲により低
下したガスバリア性の回復率が高くなり、積層体の耐久
性を向上させることができる。
【0055】高水素結合性樹脂とは、後述する水素結合
性基またはイオン性基を有する樹脂をいう。高水素結合
性樹脂中の水素結合性基またはイオン性基の含有量(両
者を含む場合は、両者の合計量)は、通常、20〜60
モル%であり、好ましくは30〜50モル%である。こ
れらの水素結合性基およびイオン性基の含有量は、たと
えば、核磁気共鳴(NMR)の手法(1H−NMR、1
3C−NMR等)によって測定することができる。
【0056】上述した水素結合性基としては水酸基、ア
ミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、
燐酸基等が挙げられ、イオン性基としてはカルボキシレ
ート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニ
ウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。水素結合性基
またはイオン性基の内、さらに好ましいものとしては、
水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、カ
ルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモニウム
基等が挙げられる。
【0057】高水素結合性樹脂の具体例としては、たと
えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール分率が
40モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合
体、多糖類、ポリベンゼンスルホン酸、ポリベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリル
アミンおよびその4級アンモニウム塩、ポリビニルチオ
ール、ポリグリセリン、ポリ塩化ビニリデン等が挙げら
れる。
【0058】積層体が屈曲されることによりガスバリア
性が低下することを防ぎ、さらに、屈曲されることによ
り低下したガスバリア性の回復率を高めるためには、上
記例示の樹脂の中でも、ビニル系樹脂が、特に好まし
く、ポリビニルアルコールがさらに好ましい。これらビ
ニル系樹脂が、屈曲された後の第1層が空気中の水分等
の外部の水分を吸収した場合にガスバリア性を回復させ
ることに寄与する。
【0059】ここで、ポリビニルアルコールとは、たと
えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解
ないしエステル交換(けん化)して得られるポリマー
(すなわち、ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体
となったもの)や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ
酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチル
ビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテ
ル重合体等をけん化して得られるポリマーが挙げられる
(ポリビニルアルコールの詳細については、たとえば、
ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、(株)
高分子刊行会;長野ら、「ポバール」1981年、
(株)高分子刊行会を参照)。
【0060】ポリビニルアルコールにおける「けん化」
の程度は、モル百分率で70%以上が好ましく、さらに
は85%以上のものが好ましく、98%以上のいわゆる
完全けん化品が特に好ましい。また、ポリビニルアルコ
ールにおける重合度は、100以上5000以下が好ま
しく、200以上3000以下がより好ましい。さら
に、本発明にいうPVAは、本発明の目的が阻害されな
い限り、少量の共重合モノマーで変性されていてもよ
い。
【0061】多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によっ
て生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれ
らをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえば、セ
ルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の
セルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プル
ラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン等が挙
げられる。
【0062】また、エチレン−ビニルアルコール共重合
体(以下:EVOHと記載) とは、ビニルアルコール分
率が40モル%以上80モル%以下であり、より好まし
くは、45モル%〜75モル%であるEVOHを意味す
る。また、EVOHのメルトインデックス(温度190
℃、荷重2160gの条件で測定した値;以下MIと記
す)は、特に限定されないが、0. 1〜50g/10分
である。さらに、本発明にいうEVOHは、本発明の目
的が阻害されない限り、少量の共重合モノマーで変性さ
れていてもよい。
【0063】本発明で高水素結合性樹脂が用いられる場
合には、高水素結合性樹脂に対してその耐水性を改良す
る目的で水素結合性基用の架橋剤を用いることができ
る。
【0064】上記架橋剤の好適な例としては、チタン系
カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系
カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシア
ネート系カップリング剤等のカップリング剤、アルミニ
ウム有機化合物、珪素有機化合物、水溶性エポキシ化合
物、銅化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物等が
挙げられる。
【0065】耐水性向上の点からは、チタン化合物、ジ
ルコニウム化合物、水溶性エポキシ化合物、シランカッ
プリング剤がさらに好ましく用いられる。
【0066】上記チタン化合物の具体例としては、テト
ラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタ
ネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチル
ヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチ
タンオルソエステル類、チタンアセチルアセトネート、
チタンテトラアセチルアセトネート、ポリチタンアセチ
ルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタ
ンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタ
ンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類、ポリ
ヒドロキシチタンステアレート等のチタンアシレート類
等が挙げられる。
【0067】前記のジルコニウム化合物の具体例として
は、たとえば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩
化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウ
ム等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、塩
基性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジ
ルコニウム塩;ギ酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、
プロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、
ステアリン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニウム
塩;炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウム
ナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸
ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリ
ウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニ
ウム錯塩等があげられる。
【0068】前記のアルミニウム有機化合物の具体例と
しては、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニ
ウム有機酸キレート等が挙げられる。
【0069】前記の水溶性エポキシ化合物の具体例とし
ては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタ
ンポリグリシジルエーテル、グリシジルエーテル系エポ
キシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系
エポキシ樹脂、あるいは脂肪族系エポキシ樹脂をあげる
ことができる。
【0070】前記のシラン系カップリング剤の例として
は、アミノ系シランカップリング剤、ビニル系あるいは
メタクリロキシ系シランカップリング剤、エポキシ系シ
ランカップリング剤、メチル系シランカップリング剤、
クロロ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカ
ップリング剤系が挙げられる。
【0071】これらの中で、キレート化合物が第1層を
形成するための塗工液中での安定性の面で好ましい。ま
た、塗工液の安定性の面では、液を酸性にすることによ
り、大幅に改良される。添加方法は、アルコール類で希
釈し添加する方法が好ましく用いられる。
【0072】架橋剤の添加量は特に限定されないが、架
橋剤の架橋生成基のモル数(CN)と樹脂の水素結合性
基のモル数(HN)との比K(K=CN/HN)が、
0.001以上10以下の範囲内になるように用いるこ
とが好ましい。このモル数の比Kは、0.01以上1以
下の範囲内であることが更に好ましい。
【0073】第1層が高水素結合性樹脂を含む場合に
は、無機層状化合物(A)と高水素結合性樹脂との重量
比(無機層状化合物(A)/高水素結合性樹脂)は、1
/9〜9/1、さらには、3/7〜8/2の範囲内であ
ることが好ましい。
【0074】また、第1層を分散液の塗工により形成す
る場合には、その液中の高水素結合性樹脂および無機層
状化合物(A)の濃度は特に限定されないものの、たと
えば、両者の合計で、通常、4〜15重量%程度で用い
られる。また、この場合の分散液は、後述する高圧分散
処理を行うことが、第1層の平面平滑性を向上させるた
めには、好ましい。
【0075】上記した第1層が、無機層状化合物(A)
の他に高水素結合性樹脂等の他の成分を含む場合におけ
る、これら各成分の配合ないし製造方法は、特に限定さ
れない。配合時の均一性ないし操作容易性の点からは、
たとえば、高水素結合性樹脂等の樹脂を溶媒に溶解させ
た液と、無機層状化合物(A)を分散媒により予め膨潤
・へき開させた分散液とを混合後、溶媒および分散媒を
除く方法(方法1)、無機層状化合物(A)を分散媒に
より膨潤・へき開させた分散液と樹脂とを混合して、上
記樹脂を分散媒中に溶解させた後、分散媒を除く方法
(方法2)、樹脂を溶媒に溶解させた液に無機層状化合
物(A)を加え、上記溶媒を分散媒として上記無機層状
化合物(A)を膨潤・へき開させて分散液とし、上記溶
媒を除く方法(方法3)、また樹脂と無機層状化合物
(A)を熱混練する方法(方法4)等が使用可能であ
る。
【0076】無機層状化合物(A)の大きなアスペクト
比が容易に得られる点からは、前3者の方法が好ましく
用いられる。また、前3者において、特に、第1層が高
水素結合性樹脂等の高分子を含む場合、高圧分散装置を
用いて高圧分散処理し、無機層状化合物(A)を含む組
成物分散液を調製する方が塗工後の第1層の平面平滑性
の観点等からは好ましい。
【0077】高圧分散装置としては、たとえばMicroflu
idics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー(商品名
マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナ
ノマイザーがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散
装置、たとえばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザー
等が挙げられる。
【0078】上記の前3者の方法において、溶媒や分散
媒を系から除去し、積層した後、得られた積層体を、た
とえば110℃以上220℃以下で熱エージングするこ
とは、とりわけ積層体の耐水性(耐水環境テスト後のガ
スバリア性の意味)を向上させることができて、好まし
い。
【0079】エージング時間に限定はないが、積層体が
少なくとも設定温度に到達する必要があり、たとえば熱
風乾燥機のような熱媒接触による方法の場合、1秒以上
100分以下が好ましい。熱源についても特に限定はな
く、熱ロール接触、熱媒接触(空気、オイル等)、赤外
線加熱、マイクロ波加熱等種々の方法が適用できる。
【0080】上記エージング処理は、第1層が高水素結
合性樹脂を含み、かつ、無機層状化合物(A)が膨潤性
を有する粘土系鉱物である場合に、耐水性の改良におい
て特に優れた効果を発揮する。
【0081】本発明における高圧分散処理とは、図7に
示すように、分散させるべき粒子または分散媒等を混合
した混合液を複数本の細管11中に高速通過させ衝突さ
せることにより、高剪断や高圧状態等の特殊な条件下
で、分散処理することである。
【0082】このような高圧分散処理では、該混合液
を、管径1μm〜1000μmの細管11中を通過させ
ることが好ましく、細管11を通過時に、混合液には、
最大圧力条件が100kgf/cm2 以上の圧力が印加
されることが好ましく、さらに、500kgf/cm2
以上がより好ましく、1000kgf/cm2 以上が特
に好ましい。また、混合液が、細管11内を通過する
際、上記混合液の最高到達速度が100m/s以上に達
することが好ましく、伝熱速度は100kcal/hr
以上のことが好ましい。
【0083】上記高圧分散処理に用いる高圧分散処理装
置内での高圧処理の原理を模式的に説明すると、まず、
ポンプ12により、細管11より太い管径を有するフィ
ーダー管13に混合液が吸引されて取り込まれる。続い
て、ポンプ12によって、フィーダー管13内の混合液
に対し、高圧が印加される。このとき、フィーダー管1
3に設けられた逆流防止弁(図示せず)により、フィー
ダー管13内の混合液は、細管11に向かって押し出さ
れる。したがって、混合液は、細管11内において、高
圧および高速状態となり、混合液の各無機層状化合物
(A)粒子が互いに、および細管11の内壁と衝突し
て、上記各無機層状化合物(A)粒子の径および厚さ、
特に厚さが細分化され、かつ、より均一に分散されて、
排出管14から外部に取り出される。
【0084】たとえば、細管11部分で処理サンプルで
ある混合液に対し、瞬間的に最高速度に達する地点の流
速が、たとえば300m/sの場合、体積1×10-3
3 の立方体中を1/(3×105 )secで通過し、混
合液の温度が35℃上昇するとき、圧力損失により混合
液にエネルギーが伝達される。伝熱速度は、混合液の比
重が1g/cm3 比熱1cal/g℃のとき、3.8×
104 kcal/hrとなる。
【0085】また、ここでいう耐水性は、樹脂が高水素
結合性樹脂のとき、また無機層状化合物(A)が膨潤性
を有する粘土系鉱物である場合に、特に優れている。
【0086】本発明の第1層を支持体層に積層する方法
としては、特に限定されないが、第1層を形成する組成
物分散液からなる塗工液を支持体層の表面に塗布、乾
燥、熱処理することにより塗工するコーティング方法
や、該組成物フィルムを後からラミネートする方法等が
好ましく、特に好ましくは上記のコーティング方法であ
る。コーティングする際、塗工液に含まれる樹脂は、分
散性の観点から、前記高水素結合性樹脂が好ましい。
【0087】コーティング方法としては、具体的には、
ダイレクトグラビア法やリバースグラビア法およびマイ
クログラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフ
ィード3本リバースコート法等のロールコーティング
法、およびドクターナイフ法やダイコート法、ディップ
コート法、バーコーティング法やこれらを組み合わせた
コーティング法等の方法が挙げられる。
【0088】本発明の第2層は、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属、遷移元素、周期表の3B族元素、4B族元
素、5B族元素、から選ばれた少なくとも1種の元素を
含有する無機化合物(B)を有する層である。第2層
は、要求される物性により組成が異なるが、特に、耐熱
ガスバリア性が要求される場合には、これらの中でも、
無機化合物(B)として、金属、金属酸化物、窒化物、
水酸化物が好ましい。
【0089】無機化合物(B)の具体例としては、アル
ミニウム、銀、金、白金、パラジウム、珪素酸化物、ア
ルミニウム酸化物および/または水酸化物、チタン酸化
物および/または水酸化物、ジルコニウム酸化物および
/または水酸化物、アルミニウム酸化物と珪素酸化物と
の複合物、亜鉛酸化物と珪素酸化物との複合物、カルシ
ウム酸化物と珪素酸化物との複合物、ほう素酸化物と珪
素酸化物との複合物、ポリシラザン等の珪素窒化物等が
挙げられる。
【0090】これら、無機化合物(B)からなる第2層
の形成方法としては、特に限定されないが、物理蒸着
法、化学蒸着法、ゾル−ゲル法等を用いることができ
る。
【0091】蒸着法の具体例としては、アルミニウム金
属、珪素酸化物、アルミニウム酸化物等の層形成を行う
方法;または、アルミニウム酸化物と珪素酸化物との複
合物、亜鉛酸化物と珪素酸化物との複合物、カルシウム
酸化物と珪素酸化物との複合物、ほう素酸化物と珪素酸
化物との複合物等の層形成を行う方法のような蒸着源を
複数用いる2元蒸着等が挙げられる。
【0092】ゾル−ゲル法の例としては、金属アルコキ
シド(テトラエチルオルトシリケート、チタンテトライ
ソプロキシド等)を脱アルコール反応等により、金属酸
化(水酸化)する方法で、珪素酸化物、チタン酸化物等
の層を形成する方法が挙げられる。
【0093】第2層に使用できる他の成分としては、限
定はなく、必要に応じて、化学蒸着法で有機化合物を複
合させたり、ゾル−ゲル法で活性水素化合物やイソシア
ネート化合物等の有機化合物を含有させてもよい。
【0094】第2層を第1層に対し積層する方法として
は、第2層を別途形成しておき、これを第1層に対し積
層する方法、第1層上への蒸着および/または塗工によ
り、第2層を積層する方法等が挙げられる。上記両者の
うち、第1層上への蒸着および/または塗工により、第
2層を積層する方法が好ましい。塗工の場合の具体的方
法としては、既述の第1層を支持体層上にコーティング
する方法等を用いることができる。
【0095】本発明における積層体の形状は特に限定さ
れないが、容器(ボルト、トレイ状等)、フィルム(シ
ートを含む)、チューブ、その他の成形品、等が挙げら
れる。これらのうち、フィルム形状であるフィルム積層
体(積層フィルム)が特に好ましい。
【0096】本発明の各層の厚み構成は特に限定されな
い。第1層の厚みが、0.001〜10μmの範囲内、
または第2層の厚みが0.001〜2μmの範囲内のい
ずれか1つの条件を満足することが好ましい。
【0097】また、積層体がフィルム積層体である場合
は、さらに、第1層の厚みが0.001〜2μm、第2
層の厚みが0.001〜0.5μm、特に、第1層の厚
みが0.001〜1μm、第2層の厚みが0.001〜
0.1μmが好ましい。
【0098】本発明の積層体には、支持体層と第1層と
の間にアンカーコート層を設けることができる。本発明
にかかる積層体にアンカーコート層がさらに設けられる
ことによって、積層体が屈曲されることによるガスバリ
ア性低下をさらに防止することができる。特に、第1層
に高水素結合性樹脂が含まれている場合においてアンカ
ーコート層を設けることにより、屈曲時のガスバリア性
低下を確実に防止できる。
【0099】アンカーコート層に用いられる化合物とし
ては、支持体層と第1層との接着強度を強化できるもの
であれば特に限定はなく、有機物、無機物等、種々用い
ることができる。具体的には、ポリエチレンイミンおよ
びその誘導体等のエチレンイミン系化合物、チタンテト
ライソプロポキシド、チタンアセチルアセトナート等の
アルキルチタネート系化合物、ポリブタジエン系化合
物、イソシアネート化合物、活性水素化合物等が挙げら
れる。
【0100】本発明に用いられるアンカーコート層に用
いられるイソシアネート化合物としては、トリレンジイ
ソシアネート(TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート
(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HD
I)、4,4'−メチレンビスシクロヘキシルイソシアネー
ト(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IP
DI)等がある。
【0101】また、アンカーコート層に用いられる活性
水素化合物としては、イソシアネート化合物と結合する
官能基を有するものであればよく、たとえば、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、
ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン等の
低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリオ
キシプロピレングリコール、エチレンオキシド/プロピ
レンオキシド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグ
リコール等のポリエーテルポリオール、ポリ−β−メチ
ル−δ−バレロラクトン、ポリカプロラクトン、ジオー
ル/二塩基酸からのポリエステル等のポリエステルポリ
オール等が挙げられる。
【0102】上記活性水素化合物においては、特に、低
分子量ポリオールが好ましく、さらに、低分子量ポリオ
ール中のジオールが望ましい。ここでジオールとはエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール等であり、二塩基酸として
アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、イソフタル
酸、テレフタル酸等である。その他のポリオールとし
て、ひまし油、液状ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポ
リカーボネートジオール、アクリルポリオール、ネオプ
レン等の活性水素化合物がある.イソシアネート化合物
と活性水素化合物の混合比は、特に限定されないが、イ
ソシアネート基と活性水素基、たとえば−OH,−N
H,−COOHとの当量関係を考慮し、添加量を決定す
るのが好ましい。たとえば、イソシアネート基のモル数
(AN)と活性水素化合物の活性水素基のモル数(B
N)との比R(R=AN/BN)が、0.001以上、
10以下の範囲内になるように用いることが好ましい。
このモル数の比Rは、0.01以上、1以下の範囲内で
あることが更に好ましい。モル数の比Rが0.001未
満では接着強度に劣り、10を超えると粘着性が高すぎ
て、ブロッキングが問題となる。
【0103】図6において、アンカーコート層2を支持
体層1へ積層する方法としては、特に限定されないが、
上記第1層3の支持体層1に対する積層方法の中では、
コーティングによる方法が特に好ましい。尚、アンカー
コート層2の厚みは特に限定されないが、高い接着強度
と第1層3の平面平滑性を阻害しないためには、できる
だけ薄層である必要がある。具体的には、0.001〜
1μmの範囲内が好ましく、0.005〜0.5μmの
範囲内がさらに好ましく、0.01〜0.1μmの範囲
内が最も好ましい。
【0104】コーティングによる方法としては、具体的
には、ダイレクトグラビア法やリバースグラビア法およ
びマイクログラビア法、2本ロールビートコート法、ボ
トムフィード3本リバースコート法等のロールコーティ
ング法、およびドクターナイフ法やダイコート法、ディ
ップコート法、バーコーティング法やこれらを組み合わ
せたコーティング法等の方法が挙げられる。
【0105】また、アンカーコート層を形成するための
アンカーコート剤溶液における溶剤成分は主として有機
溶媒であり、アルコール類、脂肪族炭化水素類、脂環族
炭化水素類、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン
類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、これらの混合
溶媒が挙げられる。
【0106】アンカーコート剤溶液を支持体層に対し、
膜状に塗布した塗工厚みは、特に限定されないが、乾燥
厚みが0.01μm〜5μmとなるように設定されるの
が好ましい。塗工厚みが大きいほどヒートシール強度に
は優れるが、耐ゲルボフレックス性には劣る。よって、
上記塗工厚みは、より好ましくは0.03μm〜2.0
μmであり、さらに好ましくは0.05μm〜1.0μ
mである。
【0107】また、本発明にかかる積層体には、本発明
の効果を損なわない範囲内で上記以外の層を設けること
もできる。また、上記の各層、すなわち、支持体層、第
1層、第2層、およびアンカーコート層には、必要に応
じて、他の成分、たとえば、紫外線吸収剤、着色剤、酸
化防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0108】本発明の塗工液に含まれる樹脂は、特に限
定されないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、アミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチ
レン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、セルロース系樹
脂、ハロゲン含有樹脂、水素結合性樹脂、液晶樹脂、ポ
リフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエ
ーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂
等が挙げられる。
【0109】また、本発明のフィルム積層体では、さら
に、第2層上に、ヒートシール性を向上させるための、
シーラント層を積層してもよい。シーラント層に用いら
れる樹脂は、特に限定されないがヒートシール強度や食
品の香り、樹脂臭等の脱着の問題から、ポリエチレン
(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合
体、エチレン―4-メチル―1-ペンテン共重合体、エチレ
ン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレンー酢
酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重
合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン
−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレ
フィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0110】シーラント層を積層する方法としては、特
に限定はされないが、たとえば上記シーラント層に用い
る樹脂を溶媒に溶解し、第2層の上にコーティングする
方法、シーラント層を第2層の上に押し出しラミネート
する方法、シーラント層を第2層の上にドライラミネー
トする方法等が好ましい例として挙げられる。また、シ
ーラント層と第2層との界面はコロナ処理、オゾン処
理、電子線処理やアンカーコート剤等の処理がされてい
てもよい。
【0111】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
支持体層、アンカーコート層、第1層および第2層の少
なくとも一つに対し、紫外線吸収剤、架橋剤、着色剤、
酸化防止剤等のさまざまな添加剤を混合してもよい。ま
た、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の層を
設けることができる。
【0112】本発明の積層体を包装袋として用いる場合
の包装袋の形状は特に制限されないが、たとえば、3方
シール包装袋、4方シール包装袋、ピロー包装袋、ガゼ
ット付包装袋、スタンディングパウチ等の形状が好まし
く用いられる。上記例示の形状の中で、スタンディング
パウチの形状は、本発明の効果を発揮する上で特に好ま
しい。また、製袋方法についても、特に制限はなく、各
種市販の製袋機が用いられる。
【0113】本発明の積層体の用途としては、たとえ
ば、菓子、洋菓子、味噌、漬物、こんにゃく、ちくわ、
蒲鉾、その他の水産加工品、ミートボール、ハンバー
グ、ハム・ソーセージ、ペットフード等の食品;農薬、
肥料、化粧品、芳香品、輸液パック、真空断熱材、半導
体包装、酸化性薬品包装、精密材料包装等の医療、電
子、化学、機械;等にガスバリア性包装材料として好ま
しく用いられ、特に、耐熱ガスバリア性が要求される用
途、たとえば、マイクロ波加熱調理、殺菌、レトルト・
ボイル殺菌、高温物・高温液体の包装、真空断熱材等に
好ましく用いられる。
【0114】本発明にかかる第1層は、界面活性剤をさ
らに含んでいてもよい。本発明で用いられる界面活性剤
としては、支持体層等と第1層との間の密着性を向上で
きるものであれば、特に限定されないが、たとえば、ア
ニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イ
オン性界面活性剤が挙げられる。
【0115】アニオン性界面活性剤としては、脂肪族モ
ノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸塩等のカ
ルボン酸型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレ
ンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、スルホこは
く酸ジアルキルエステル等のスルホン酸型、硫酸アルキ
ル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩等の硫酸エス
テル型、リン酸アルキル塩等のリン酸エステル型、ホウ
酸アルキル塩等のホウ酸エステル型等の炭化水素系アニ
オン性界面活性剤、パーフルオロデカン酸ナトリウム、
パーフルオロオクチルスルホン酸ナトリウム等のフッ素
系アニオン性界面活性剤、ポリジメチルシロキサン基と
カルボン酸金属塩とを有する重合体等陰イオン性基を有
するシリコーン系アニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0116】カチオン性界面活性剤としては、例えば、
アルキルアミン塩等のアミン塩型、アルキルトリメチル
アンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第四級ア
ンモニウム塩型等が挙げられる。
【0117】両性イオン性界面活性剤としては、N,N-ジ
メチル−N-アルキルアミノ酢酸ベタイン等のカルボキシ
ベタイン型、1-アルキル−1-ヒドロキシエチル−1-カル
ボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等のグリシン型
が挙げられる。
【0118】非イオン性界面活性剤としては、グリセリ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖
脂肪酸エステル等のエステル型、ポリジメチルシロキサ
ン基とアルキレンオキシド付加物の縮重合体、ポリシロ
キサン−ポリオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンブロックポリマー等のエーテル型、ポリエチレン
グリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル等のエステルエーテル型、脂肪族ア
ルカノールアミド等のアルカノールアミド型、パーフル
オロデカン酸−ジグリセリンエステルやパーフルオロア
ルキルアルキレンオキサイド化合物等のフッ素型が挙げ
られる。
【0119】上記界面活性剤の中では、特に、炭素数6
以上24以下のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカ
リ金属塩、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレ
ン共重合体等のエーテル型の非イオン性界面活性剤(シ
リコーン系非イオン性界面活性剤)や、パーフルオロア
ルキルエチレンオキサイド化合物等のフッ素型非イオン
性界面活性剤(フッ素系非イオン性界面活性剤)が好ま
しい。
【0120】本発明によれば、支持体層と、無機層状化
合物(A)を含む第1層と、第2層とをこの順に積層す
ることにより、ガスバリア性、特に屈曲時のガスバリア
性および屈曲により低下したガスバリア性を回復し得る
ことができ、また、支持体層と第1層との間にアンカー
コート層を積層することによって、さらに上記ガスバリ
ア性の回復率を向上させることができる。さらに、シー
ラント層を上記第2層上に積層した場合には、ヒートシ
ール強度に優れるフィルム積層体を得ることができる。
【0121】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。各種物
性の測定方法を以下に記す。
【0122】〔厚み測定〕0.5μm以上の厚みは、市
販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度
デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)に
より測定した。一方、0.5μm未満の厚みは、重量分
析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面積で除
し、更に組成物の比重で除した)または、IR法により
実際の塗工膜厚とIR吸収との検量線を作成し、検量線
より求めた。さらに本発明の樹脂組成物の塗工膜厚に関
する測定の場合等は、元素分析法〔積層体の特定無機元
素分析値(第1層由来)と無機層状化合物(A)単独の
特定元素分率の比から本発明の第1層と基材フィルムと
の比を求める方法〕によった。
【0123】〔粒径測定〕レーザー回折・散乱式粒度分
布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を使用
し、媒体の樹脂マトリックス中に存在する無機層状化合
物(A)とみられる粒子の体積基準のメジアン径を粒径
Lとして測定した。なお、分散液原液はペーストセルに
て光路長50μmで測定し、分散液の希釈液はフローセ
ル法にて光路長4mmで測定した。
【0124】〔アスペクト比計算〕X線回折装置(XD
−5A、(株)島津製作所製)を用い、無機層状化合物
(A)単独および第1層の粉末法による回折測定を行っ
た。これにより無機層状化合物(A)の単位厚さaを求
め、さらに樹脂組成物の回折測定から、無機層状化合物
(A)の面間隔が広がっている部分があることを確認し
た。上述の方法で求めた粒径Lを用いて、アスペクト比
Zを、Z=L/aの式により算出した。
【0125】〔ヒートシール試験〕後述する実施例1で
得られたフィルム積層体のシーラント層間をバーシーラ
ー〔フジインパルス(株)製,シール幅10mm,ヒー
トシール温度205℃,ヒートシール時間0.5秒〕で
ヒートシールを行い、15mm幅の短冊状にカットし、
オートグラフ(オートグラフAGS−100:島津製作
所製)にセットして500mm/minの引張り速度に
て、2方向からのヒートシール強度(T字剥離)の測定
をそれぞれ行った。上記の2方向とは、フィルム積層体
の製造時における樹脂の吐出方向であるMachinery Dire
ction (表中ではMDと略記した)および上記MDに対
し直行する方向であるTraverse Direciton(表中ではT
Dと略記した)である。
【0126】〔酸素透過度測定〕JIS K7126に
基づき、超高感度酸素透過度測定装置(OX−TRAN
ML、MOCON社製)にて所定温度で測定を行った。
【0127】〔耐ゲルボフレックス性テスト〕ASTM
F392に基づき、得られたフィルム積層体を23
℃、50%RH(Relative Humidit
y,相対湿度)の環境下で、24時間エージングした
後、筒状に保持した上記フィルム積層体を、恒温槽付ゲ
ルボフレックステスター〔東洋精機製作所製〕で、上記
筒状での中心軸を回転軸として440°ねじった後、元
にもどすテストを100回、繰り返し行った。
【0128】〔実施例1〕 〔アンカーコート層の形成〕本発明にかかる支持体層と
して、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ート(OPET)フィルム(商品名:エスペットT41
02;東洋紡績株式会社製、片面コロナ処理有り)を用
い、トルエン/メチルエチルケトン比が1/1混合溶媒
中にポリエステルポリオール(アドコートAD335A
E:東洋モノトーン(株)製)と、トルエンジイソシア
ネートとを15/1の重量比でトータル固形分濃度20
重量%となるように加えたものを該支持体のコロナ処理
面にグラビア塗工・乾燥し、約0.1μmのアンカーコ
ート層(ウレタン樹脂層)を形成した。
【0129】〔第1層の形成〕次に、撹拌機付分散釜
(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イ
オン交換水(比電気伝導率1μs/cm以下)1000
gと、本発明にかかる高水素結合性樹脂としてのポリビ
ニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製、ケ
ン化度;99.6%、重合度1,700)100gとを
仕込み、低速撹拌下(1,500rpm、周速度約4m
/秒)で95℃に昇温し、1 時間撹拌して溶解させて、
溶液(A)を得た。
【0130】溶液(A)を撹拌したまま、65℃まで温
度を下げた後、イオン交換水400gと、1−ブタノー
ル94gを予め混合したアルコール水溶液とをゆっくり
滴下した。滴下終了後65℃でさらに無機層状化合物
(A)としての高純度天然モンモリロナイト(商品名:
クニピアG;クニミネ工業(株)製)を粉末のまま50
g添加した。続いて、撹拌条件を高速撹拌(3000r
pm、周速度約8m/秒)に切り替え、90分間分散
し、混合液(B)を得た。
【0131】次に、高圧分散装置(商品名:超高圧ホモ
ジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporat
ion 製)に、上記の混合液(B)を通し、1,750k
gf/cm2 で1回処理することで、分散性が良好で均
一な分散液(C)を得た。分散液(C)の固形分濃度
は、約7.6重量%であった。
【0132】上記のようにして得たPVAと天然モンモ
リロナイトとからなる分散液(C)を乾燥固化後粉砕し
て、粉末X線解析を行い、膨潤・へき開した上記天然モ
ンモリロナイトの面間隔dを測定した。上記天然モンモ
リロナイトは、十分にへき開されていた。このときの上
記天然モンモリロナイトのアスペクト比は、200以上
であった。
【0133】次に、分散液(C)1500gを撹拌機付
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)
に仕込み、系のpHが約3となるように塩酸(約6g)
を添加して調整し、金属有機化合物としてのチタンアセ
チルアセトナート(商品名:TC100、松本製薬工業
(株)製)4gを、室温低速撹拌下(1,500rp
m、周速度4.10m/分)で徐々に添加した。その
後、撹拌を続けながら、非イオン性界面活性剤(商品
名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.15gを添加して、無機層状化合物(A)分散液を
得た。
【0134】上記無機層状化合物(A)分散液を上記支
持体層上に直接積層したアンカーコート層上にグラビア
塗工した後乾燥し、約0.4μmの第1層を形成・積層
した。
【0135】〔第2層の形成〕真空蒸着装置を用いて、
上記の方法で形成された第1層上にアルミニウム蒸着を
行い、第2層を形成し、本発明にかかる積層体(積層フ
ィルム)を得た。形成された第2層の厚みは、約0.0
4μmであった。
【0136】以上のようにして得られた本発明にかかる
積層体の80℃における酸素透過度を測定したところ、
0.1cm3 /m2 ・day・atm以下であった。ま
た、耐ゲルボフレックス性テスト後の80℃での酸素透
過度は、44cm3 /m2 ・day・atm、耐ゲルボ
フレックス性テスト後、40℃、90%RHで1日間保
管したものの酸素透過度は、6cm3 /m2 ・day・
atmと著しく回復したものであった。
【0137】〔比較例1〕実施例1で第1層を積層しな
いこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較用
の積層フィルムを得た。該積層フィルムの80℃での酸
素透過度を測定したところ、100cm3 /m2 ・da
y・atm以上であった。また、耐ゲルボフレックス性
テスト後の80℃での酸素透過度は、100cm3 /m
2 ・day・atm以上であった。さらに、耐ゲルボフ
レックス性テスト後40℃、90%RHで1日間保管し
たものの酸素透過度は100cm3 /m2 ・day・a
tmであった。
【0138】以上の結果から明らかなように、本発明の
積層フィルムは、比較例1の積層フィルムと比較して、
酸素透過度および耐ゲルボフレックス性テスト後すなわ
ち屈曲後の酸素透過度が低くガスバリア性に優れている
ことがわかる。さらに、耐ゲルボフレックス性テスト後
のガスバリア性の回復率が高いことがわかる。
【0139】
【発明の効果】本発明のフィルム積層体は、以上のよう
に、支持体層と、第1層と第2層とがこの順で積層され
ており、第1層が、無機層状化合物(A)を有する層で
あり、第2層が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷
移元素、周期表の3B族元素、4B族元素、5B族元素
からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む無
機化合物(B)を有する層である構成である。
【0140】それゆえ、第1層においては、無機層状化
合物(A)が、その層状という形状により互いに対面す
るように配向することから、上記無機層状化合物(A)
の迷路効果を生じて、上記第1層に対しガスバリア性を
付与することができる。また、支持体層と、無機層状化
合物(A)を含む第1層と、第2層とをこの順に積層す
ることによって、特に屈曲時のガスバリア性および屈曲
により低下したガスバリア性を回復することができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルム積層体の一例を示す概略断面
図である。
【図2】上記フィルム積層体の第1層を示す概略断面図
である。
【図3】上記フィルム積層体における無機層状化合物
(A)の「単位厚さa」を算出するための無機層状化合
物(A)のX線回折グラフである。
【図4】上記フィルム積層体における無機層状化合物
(A)の「面間隔d」を算出するための無機層状化合物
(A)のX線回折グラフである。
【図5】上記図4のグラフにおいて、「面間隔d」に対
応するピークがハロー(ないしバックグラウンド)と重
なって検出することが困難な場合における無機層状化合
物(A)の「面間隔d」を算出するときの、X線回折グ
ラフである。
【図6】本発明のフィルム積層体の他の例を示す概略断
面図である。
【図7】上記水性塗料の製造時に用いる、高圧分散処理
を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 支持体層 2 アンカーコート層 3 第1層 4 第2層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E086 AD03 AD04 AD05 BA04 BA13 BA14 BA15 BA18 BA24 BA40 4F100 AA00B AA02C AA12C AA17C AB01A AB01C AB10 AB33A AC00B AC10 AD01B AK01A AK01B AK21 AK42 AT00A BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C CA18 CC00D DG10A DG11A EH46 EH66 EJ17B EJ38 GB15 JA20B JB10B JB20B JD03 JD04 JK06 JL12 YY00B

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体層と、第1層と第2層とがこの順で
    積層されており、 第1層が、無機層状化合物(A)を有する層であり、 第2層が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移元
    素、周期表の3B族元素、4B族元素、5B族元素から
    なる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む無機化
    合物(B)を有する層であることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】無機層状化合物(A)が膨潤・へき開性を
    有することを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】無機層状化合物(A)が粘土系鉱物である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 【請求項4】第1層は、高圧分散処理された無機層状化
    合物(A)を含む組成物分散液を塗工することにより形
    成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れか1項に記載の積層体。
  5. 【請求項5】第1層が、高水素結合性樹脂を含むことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の積
    層体。
  6. 【請求項6】第1層の厚みが、0.001〜10μmの
    範囲内、または第2層の厚みが0.001〜2μmの範
    囲内の少なくともいずれか1つの条件を満足することを
    特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の積
    層体。
  7. 【請求項7】無機化合物(B)が金属、金属酸化物、窒
    化物より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とす
    る請求項1ないし6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 【請求項8】支持体層と第1層との間にアンカーコート
    層を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれ
    か1項に記載の積層体。
  9. 【請求項9】支持体層が、金属箔、紙、布、合成樹脂フ
    ィルムより選ばれる少なくとも1種であることを特徴と
    する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 【請求項10】積層体がフィルム形状であることを特徴
    とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の積層
    体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007283687A (ja) * 2006-04-19 2007-11-01 Sumitomo Chemical Co Ltd 多層構造体および多層構造体の製造方法
JPWO2007119825A1 (ja) * 2006-04-14 2009-08-27 三菱樹脂株式会社 ガスバリア積層体

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