JP4217511B2 - ガスバリア性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高湿度下でも極めて優れたガスバリア性を示し、且つ、ボイル後のガスバリア性にも優れるガスバリア性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムは、優れた透明性、機械強度、加工適性、製袋性等の二次加工性等により、包装用フィルムとして汎用されている。
【0003】
上記熱可塑性樹脂フィルムに酸素バリア性等のガスバリア性機能を付与させる目的で、該熱可塑性樹脂フィルムのフィルム表面に塩化ビニリデン系樹脂や、ポリビニルアルコール系樹脂等のガスバリア性を有する樹脂からなる層を積層することが行われている。
【0004】
しかし、塩化ビニリデン系樹脂はガスバリア性には優れるものの、塩素系樹脂であるため焼却性や廃棄性に関してデメリットがある。また、ポリビニルアルコール系樹脂は、乾燥状態での酸素バリア性は優れているものの、高湿度下での酸素バリア性が、吸湿により極端に低下するという問題がある。
【0005】
このため、架橋や変性処理をしたり、他の化合物と複合したりする工夫がなされている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂フィルム上に金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドの加水分解物と、ポリビニルアルコールなど水酸基を有する水溶性樹脂との複合物からなる被膜を設けたガスバリア性フィルムが開示されている。
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に記載のガスバリア性フィルムは、高湿度下での酸素バリア性が吸湿により極端に低下するという問題の改善が図れるものの、特に90%RHを越えるような高湿度下では、そのガスバリア効果は十分でないばかりかボイル処理を施すとガスバリア層自体が溶解するといった問題があった。
【0007】
また、上記複合物からなるガスバリア層において更に高湿度下でのガスバリア性能を改良したフィルムとして、特許文献2には、熱可塑性樹脂フィルム上にポリビニルアルコールなど水酸基を有する水溶性樹脂、無機層状化合物及び金属アルコキシドの加水分解物よりなる複合物からなる被膜を設けたガスバリア性フィルムが、又、特許文献3には、ガスバリア層に金属アルコキシドの加水分解物あるいは加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種とポリビニルアルコールなど水素結合性樹脂との反応生成物、および平板状顔料を含むガスバリア性積層体が開示されているが、かかるガスバリア性フィルムにおいても、高湿度下でのガスバリア性及び熱水中でのボイル後におけるガスバリア性について、未だ改善の余地があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−192454号公報(請求項1−3)
【特許文献2】
特開2000−43219号公報(請求項1−6)
【特許文献3】
特開2001−260269号公報(請求項1−9)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、90%RHを越えるような高湿度下でも極めて優れたガスバリア性を示し、且つ、ボイル後のガスバリア性にも優れたガスバリア性フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、基材層上に、珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層を含むフィルムにエージング処理を施すことにより得たガスバリア性フィルムは、高湿度下でも極めて優れたガスバリア性を示し、且つ、ガスバリア層の基材層が積層される面と反対面に、シール層を積層したフィルム構成としたときのボイル後のガスバリア性にも優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層と、珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層を含むフィルムに、温度20℃〜80℃、相対湿度20%RH〜100%RHの雰囲気下でエージング処理を施すことを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法である
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層と珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層を含むフィルムにエージング処理を施すものである。
【0013】
本発明で用いられる基材層とガスバリア層を含むフィルムは、上記の層構成を有するものであれば特に制限なく、最外層や層間に他の層を設けてよい。具体的には、層間に設ける層として後述するアンカーコート層、接着層等が挙げられ、また、最外層や層間に設ける層として印刷層が挙げられる。
【0014】
ガスバリア層の厚みは特に制限されないが、ガスバリア性を勘案すると、0.1μm以上が好適であり、0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上が更に好ましい。また、ガスバリア層の耐久性、経済性、二次加工性等を勘案すると、その厚みは10μm以下が好適であり、6μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。
【0015】
ガスバリア層の厚みを上記範囲とすることにより、良好なガスバリア性を有したガスバリア性フィルムを得ることができる。なお、ガスバリア層の厚みとは、前記珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂、並びに、必要に応じて添加されるポリエチレンオキシド、その他の任意の添加剤よりなる層の厚みをいう。
【0016】
本発明の製造方法により得られるガスバリア性フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、5〜200μmが一般的であり、特に、10〜100μmが好ましい。なお、ガスバリア性フィルムの厚みは、上記ガスバリア層、基材層及び必要に応じて設けられるシール層、アンカーコート層等の他の層を積層した状態の総厚みをいう。
【0017】
本発明において、基材層の材質は、熱可塑性樹脂よりなるものであれば、特に限定されないが包装用途に用いることを勘案すると透明性を有するフィルムが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種又は2種以上のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとの1種又は2種以上のランダム又はブロック共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等の1種又は2種以上のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体、1−ブテン単独重合体、アイオノマー樹脂、さらにこれら重合体の混合物などのポリオレフィン系樹脂;石油樹脂、テルペン樹脂などの炭化水素系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXDなどポリアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン,アクリロニトリル系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリケトン樹脂;ポリメチレンオキシド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
その中でも、上記樹脂単独でフィルム化したものでガスバリア性に優れるものは高価であり、工業的な実施においては、透明性、機械的強度、包装適性なども優れるポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン,アクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましく、更に好ましくは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂である。
【0019】
上記熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、公知の方法が制限なく使用できる。具体的には、溶液キャスト法,Tダイ法,チューブラー法、カレンダー法など公知の方法が採用される。また、機械物性等を勘案すると、上記熱可塑性樹脂フィルムは延伸処理を施すことが好ましい。延伸方法は、公知の方法が何ら制限なく採用でき、例えば、ロール一軸延伸、圧延、逐次二軸延伸、同時二軸延伸、チューブラー延伸等が挙げられ、これらの延伸方法の中で、厚薄精度や機械物性等を勘案すると、逐次二軸延伸、同時二軸延伸が好ましい。
【0020】
また、熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、特に制限されず、用いる用途等を勘案して適宜選択すればよく、1〜200μmの範囲から適宜選択される。その中でも、延伸加工性、ガスバリア性、製袋加工性等を勘案すると5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
【0021】
更に、上記熱可塑性樹脂フィルムには、必要に応じて帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、滑剤、紫外線吸収剤、滑り性付与及びアンチブロッキング性付与を目的とした界面活性剤等の公知の添加剤を、本発明の効果を阻害しない程度配合してもよい。
【0022】
上記熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層は、包装用途、特にガスバリア性フィルムとして好適に使用されることを勘案すると、透明であることが好ましい。具体的には、ヘイズ値が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0023】
本発明において、ガスバリア層の一構成成分であるポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルアルコール系重合体及びその誘導体が使用される。例えば、けん化度75モル%以上のポリビニルアルコール、全水酸基の40モル%以下がアセタール化されているポリビニルアルコール、アルコール可溶変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール単位が60モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体等の共重合ポリビニルアルコール等が好ましく用いられる。その中でも、けん化度75モル%以上のポリビニルアルコールが得られるフィルムの透明性や高湿度下でのガスバリア性が良好なことからより好ましく用いられる。
【0024】
また、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、加工性を勘案すると、300〜5000であることが好ましく、500〜3500であることがより好ましい。
【0025】
本発明において、ガスバリア層の一構成成分である珪素アルコキシドの加水分解物には、珪素アルコキシドのアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物、珪素アルコキシド重縮合体、該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物、及びそれらの種々の混合物が包含される。
【0026】
上記珪素アルコキシドとしては、加水分解物が形成可能であれば特に制約されない。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、1−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の加水分解物が形成可能な珪素アルコキシドが挙げられる。
【0027】
珪素アルコキシド重縮合体や該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物には、上記珪素アルコキシドの加水分解とともに起こる、脱水及び/又は脱アルコールによる重縮合反応の結果として形成されるものが包含される。
【0028】
上記ガスバリア層において、珪素アルコキシドの加水分解物は、珪素アルコキシド由来の珪素がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、SiO換算で90〜500重量部、好ましくは、100〜350重量部、より好ましくは、120〜250重量部となるように存在せしめることが、優れたガスバリア性を示し、且つ、シール層を設けた場合のボイル後のガスバリア性にも優れた性能を発揮するために好ましい。
【0029】
本発明において、ガスバリア層の一構成成分である層状珪酸塩としては、公知のものが特に制限なく使用される。例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、有機ベントナイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、クリソタイル、リザーダイト、アンチゴライト、ペコラアイト、ネポーアイト、グリーナライト、カリオピライト、アメサイト、Alリザーダイト、バーチェリン、ブリンドリアイト、ケリアイト、クロンステダイト、パイロフィライト、タルク、ケロライト、ウイレムスアイト、ピメライト、ミネソタアイト、雲母、白雲母、フェンジャイト、イライト、セリサイト、海緑石、セラドナイト、トベライト、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、緑泥石、バーミキュライト等が挙げられる。これらの多くは天然の鉱物として産するが、化学合成法によって製造されたものでもよい。
【0030】
そのうち、モンモリロナイトを使用して得られたガスバリア性フィルムが、ガスバリア性に優れ、好適である。
【0031】
ガスバリア層において、層状珪酸塩の割合は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、好ましくは10〜150重量部、より好ましくは、20〜100重量部となるように存在せしめることが、優れたガスバリア性を発揮するために好ましい。
【0032】
また、本発明において、ガスバリア層の成分は、珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるものであれば特に制限されないが、ガスバリア層の形成時のクラック発生を防止し、また、使用時におけるフィルムの変形時においてもガスバリア層のクラック発生を防止するため、上記成分の他に、ポリエチレンオキシドを配合することが好ましい。該ポリエチレンオキシドとしては、平均分子量の高いものほどその効果が高く、平均分子量10万以上が好ましく、平均分子量50万以上がより好ましく、平均分子量200万以上のものが更に好ましく使用される。
【0033】
なお、該ポリエチレンオキシドの分子鎖末端は、水酸基でもあるいは化学修飾されていても何ら制限されないが、通常は、両末端が水酸基であるものが好ましく採用される。
【0034】
上記ポリエチレンオキシドは、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは、0.5〜2重量部の割合で配合することが好ましい。
【0035】
また、ガスバリア層の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を配合してもよい。
【0036】
例えば、ウレタン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等の架橋剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等のカップリング剤、水性イソシアネート、水性ポリウレタン樹脂、ポリエチレンイミン、水性エポキシエステル等の水溶性アンカーコート剤、アルミ系有機化合物、ジルコニア系有機化合物等が挙げられる。
【0037】
本発明で用いられる基材層とガスバリア層を含むフィルムは、珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層を下記の方法により基材層に形成することによって好適に得ることができる。
【0038】
例えば、層状珪酸塩を分散したポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液中で珪素アルコキシドの一部又は全部を加水分解して得られた水性溶液よりなるガスバリアコート剤を基材層に塗布し、乾燥せしめることによって得ることができる。
【0039】
上記水性溶液を調整するための溶媒としては、水単独あるいは水/低級アルコール混合溶媒などを特に制限なく使用することができるが、水/低級アルコール混合溶媒が好適に用いられる。上記低級アルコールとしては、炭素数が1〜3のアルコール、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、又はイソプロピルアルコールが好適である。
【0040】
また、上記水/アルコールの混合割合は、重量比で99/1〜20/80の範囲から適宜選択される。
【0041】
上記層状珪酸塩を分散して含有するポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液中における珪素アルコキシドの加水分解は、加水分解触媒の添加あるいは層状珪酸塩中の交換性イオンをプロトンにイオン交換して、予め上記水性溶液のpHを1〜5、好ましくは2〜4に調整した後、該水性溶液に珪素アルコキシドを添加してその一部又は全部を加水分解することが好ましい。
【0042】
上記加水分解触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、有機リン酸、蟻酸、酢酸、無水酢酸、クロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、粘液酸、2,4−ジエチルグルタル酸、アクリル酸、メタクリル酸、グルタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、桂皮酸、尿酸、バルビツル酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。その中でも、後述するpH調製の容易さや触媒除去処理の簡便さや更に得られるガスバリア層の透明性等を勘案すると、酸性陽イオン交換樹脂が好適である。また、層状珪酸塩中の交換性イオンをプロトン化する方法としては、陽イオン交換樹脂やイオン交換膜によるイオン交換が好適である。
【0043】
かかる陽イオン交換樹脂を使用したプロトン化は、層状珪酸塩を含む溶液を、例えば、ポリスチレン・スルホン酸型の強酸性イオン交換樹脂等の陽イオン交換樹脂と接触させる態様が挙げられる。
【0044】
また、イオン交換膜を使用したプロトン化は、陰極と陽極との間に陽イオン交換膜及びルーズ構造であることが好ましい陰イオン交換膜を交互に配列して陰極の存在する陰極室、陽極の存在する陽極室、及びその間に複数の隔室を形成した電気透析槽を構成し、陽極側に陰イオン交換膜を陰極側に陽イオン交換膜を有する室に層状珪酸塩を含む溶液を、該室と隣接する室に酸を供給しながら電気透析する方法、陰極と陽極との間に陽イオン交換膜及びバイポーラ膜を交互に配列して陰極の存在する陰極室、陽極の存在する陽極室、及びその間に複数の隔室を形成した電気透析槽を構成し、陽極側にバイポーラ膜を陰極側に陽イオン交換膜を有する室に層状珪酸塩を含む溶液を、該室と隣接する室に、希薄アルカリ水溶液であることが好ましい、電解質溶液を供給しながら電気透析する方法等が挙げられる。
【0045】
次いで、pHを前記範囲に調整した、層状珪酸塩を分散したポリビニルアルコール系樹脂の水性溶液に、珪素アルコキシドを添加し、かかる分散された層状珪酸塩の存在下に加水分解を行う。
【0046】
なお、本発明において、必要に応じてガスバリア層に添加されるポリエチレンオキシドは、上記製造工程の何処で添加してもよい。例えば、層状珪酸塩を分散せしめた後、珪素アルコキシドの加水分解前に添加してもよいし、珪素アルコキシドを加水分解後に添加してもよい。
【0047】
上記製造工程において、ガスバリアコート剤の安定性、得られるガスバリア層の着色、高湿度下での良好なガスバリア性の発現等を勘案すると、珪素アルコキシドを加水分解後、pH調整に使用した加水分解触媒を系外に除去することが好適である。
【0048】
珪素アルコキシドを加水分解後、加水分解触媒を系外に除去する方法は、特に制限されない。
【0049】
例えば、イオン交換樹脂の場合、ろ過等の物理的方法によって除去することが可能である。また、無機酸や有機酸を用いた場合では、該無機酸あるいは該有機酸に由来する陰イオン成分を水酸基イオン化した塩基性陰イオン交換樹脂により水酸基イオンへイオン交換し、ろ過により系外に除去する方法が好ましく採用される。
【0050】
珪素アルコキシドの加水分解は、相分離していた液相が均一相になるまで行うことが好ましく、この場合、部分的に加水分解した状態、完全に加水分解した状態、また、珪素アルコキシド同士の重縮合反応が進行した状態でもよい。
【0051】
上記ガスバリアコート剤は、最終的にpHが1〜5の範囲内に調整されることが、ガスバリアコート剤のゲル化防止、ガスバリア層を形成後のクラック防止、更に、高湿度下で良好なガスバリア性を発揮する上で好ましい。
【0052】
上記ガスバリア層と基材層との積層は、前述したガスバリアコート剤を基材層上に塗工して乾燥する方法によって行われる。
【0053】
上記ガスバリアコート剤を基材層上へ塗工するタイミングについては、珪素アルコキシドの加水分解が進行し、相分離していた液相が均一相になった時点から塗工可能である。また、得られるガスバリア層のクラック発生及びガスバリア性の低下を勘案すると、上記ガスバリアコート剤の変質が起きるまでに塗工することが好ましい。
【0054】
上記ガスバリアコート剤の塗工方法としては、特に制限されないが、高速での薄膜塗工可能な、溶液又は溶媒分散コーティング法が好ましい。これらコーティング法を具体的に例示すると、ロールコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キスコーティング、ダイコーティング、ロッドコーティング、バーコーティング、チャンバードクター併用グラビアコーティング、カーテンコーティング等により、ガスバリアコート剤を熱可塑性樹脂フィルム表面にコートする方法が好適である。
【0055】
上記基材層上のガスバリアコート剤を乾燥する方法としては、公知の乾燥方法が特に制限なく使用できる。具体的には、熱ロール接触法、空気・オイル等による熱媒接触法、赤外線加熱法、マイクロ波加熱法等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中で、フィルム外観等の仕上がりや乾燥効率等を勘案すると、空気・オイル等による熱媒接触法や赤外線加熱法が好ましい。空気・オイル等による熱媒接触法としては、加熱空気接触法が好ましい。
【0056】
上記ガスバリアコート剤の乾燥条件は特に制限されないが、ガスバリア性の発現や乾燥効率等を勘案すると、特に、60℃以上、基材の融点未満の温度範囲を採用することが好ましい。また、上記乾燥温度としては、80℃以上がより好ましく、特に90℃以上が更に好ましい。また、基材層の融点より10℃低い温度以下がより好ましく、特に15℃低い温度以下が更に好ましい。
【0057】
上記乾燥時間は、バリア性や乾燥効率等を勘案すると、5秒〜10分であることが好ましく、10秒〜5分であることがより好ましい。
【0058】
上記乾燥の前後に、必要に応じて、紫外線、X線、電子線等の高エネルギー線照射を施してもよい。また、高湿度下でのガスバリア性を更に向上させることを勘案すると、上記乾燥後、ガスバリア層に直接コロナ放電処理やフレームプラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0059】
本発明においては、基材層上に前記ガスバリア層を形成させてなるフィルムに、温度20℃〜80℃、相対湿度20%RH〜100%RHの雰囲気下でエージング処理を施す。相対湿度が20%RH〜100%RHの雰囲気下でエージング処理をすることは、ボイル後のガスバリア性に優れる効果があることから好ましい。相対湿度が20%RH未満であると、エージング処理して得られるガスバリア性フィルムは、ガスバリア層にシール層を積層した態様において、ボイル後のガスバリア性が低下する。
【0060】
本効果は、相対湿度が20%RH以上の雰囲気下でエージング処理をすることにより、本発明に用いられるガスバリア性フィルムのガスバリア層内で残存しているシラノール基同士の重縮合反応、珪素アルコキシドのアルコキシ基の加水分解やそれに伴う重縮合反応あるいはポリビニルアルコール系樹脂との水素結合等が進行し、ガスバリア層中のフリーボリュームが縮小するため発現すると想定される。
【0061】
上記推定に基づけば、シラノール基同士の重縮合反応、及び珪素アルコキシドのアルコキシ基の加水分解やそれに伴う重縮合反応等の進行に伴い、ガスバリア層中のシラノール基が減少することが予想される。そこで、NMRによりシラノール基の減少の確認を試みた。
【0062】
まず、本発明において使用されるガスバリアコート剤をテフロン(登録商標)シート上で温風乾燥させ溶媒を除去し、ガスバリア層を形成させた後、エージング処理を行って分析用サンプルを調製する。次に、該テフロン(登録商標)シートからガスバリア層をはがして粉砕し、CP−MAS法によりコンタクトタイム5ミリ秒で固体29Si−NMR測定を行い、得られたNMRスペクトルをSi(OH)、SiOH、SiOに帰属する3本の波形に分離し、SiOの波形より得られる面積を基準としてSi(OH)とSiOHの測定値を規格化する(Si(OH)やSiOHの感度と比較してSiOの感度は十分低いのでSiOの変化は無視できる)。この測定値を、エージング処理を行っていない分析用サンプルの測定値と比較することで、上記エージング処理によるガスバリア層中のSi(OH)、SiOHの減少を確認することができた。
【0063】
エージング処理時の温度は、20℃〜80℃の範囲であり、20℃未満の場合、エージングに要する時間が長くなる。また、80℃を超えると基材層自体の吸湿により印刷・製袋等の2次加工適性が低下する。
【0064】
具体的なエージング処理条件は、上記エージング処理の条件範囲内から、エージングによる基材層のしわ・たるみ等のダメージの発生しない範囲で決定すればよく、高湿度下でも極めて優れたガスバリア性を示し、且つ、ボイル後のガスバリア性にも優れることを勘案すると、温度30℃〜80℃、相対湿度30%RH〜90%RHの雰囲気下でエージング処理を施すことが好ましく、温度40℃〜70℃、相対湿度40%RH〜90%RHの雰囲気下でエージング処理を施すことがより好ましい。例えば、熱可塑性樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合、好ましくは、30℃〜50℃の温度で、相対湿度30%RH〜90%RHの範囲から選択され、温度40℃〜50℃、相対湿度40%RH〜90%RHの雰囲気でエージング処理を施すことがより好ましい。温度及び相対湿度は、基材層のしわ・たるみ等のダメージの発生しない条件範囲内であれば、より高く設定することがエージングに要する日数を低減し得ることから好ましい。
【0065】
エージングに要する日数は、適宜決定すればよく、生産性等を勘案すると例えば1日〜10日の範囲となるよう上記温度及び相対湿度を設定すればよい。
上記条件によるエージング処理を行う方法としては特に制限されない。好適な方法を例示すれば、上記基材層上にガスバリアコート剤を塗工・乾燥したフィルムを、温度、相対湿度を設定した恒温恒湿室等でエージング処理する方法を挙げることができる。また、フィルムをロール状に巻き取る場合、巻取り張力を低くしガスバリア性フィルム同士に空隙を設けたうえで恒温恒湿室でエージング処理する方法や、ロール状に巻き取る際に該ガスバリア層へ水蒸気を噴霧しエージング処理する方法等を用いてもよい。
【0066】
本発明において、基材層とガスバリア層との接着性をより向上せしめ、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性、耐久性をより向上させるために、ガスバリア層を積層する基材層の表面に、表面処理を施すことが好適である。
【0067】
かかる表面処理としては、公知の表面処理方法が何ら制限なく採用できる。例えば、大気中コロナ放電処理、窒素ガス中コロナ放電処理、炭酸ガス中コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、紫外線処理、オゾン処理、電子線処理、励起不活性ガスによるプラズマ処理等の表面処理方法を挙げることができる。また、これらの表面処理の併用処理をしてもよい。
【0068】
また、前記基材層とガスバリア層との接着強度をより向上させることを勘案すると、その層間にアンカーコート層を設ける方法が好ましく採用される。
【0069】
上記アンカーコート層の形成に使用されるアンカーコート剤としては、公知のものが特に制限されず使用できる。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等のアンカーコート剤が挙げられる。
【0070】
更に、本発明の方法によりガスバリア性フィルムを製造する際に、ヒートシール性等を付与する目的で、ガスバリア層の基材層が積層される面と反対面に、該基材層を構成する熱可塑性樹脂より低融点の熱可塑性樹脂よりなるシール層を積層してもよい。シール層に用いられる熱可塑性樹脂としては、市販のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等を挙げることができる。
【0071】
シール層を積層するのは、エージング処理の前でも後でもよいが、ガスバリア性フィルムの製造効率の点からエージング処理後とするのが好ましい。
【0072】
シール層の積層はドライラミネート、押出しラミネート等の公知の方法で行うことができる。
【0073】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明によれば、ガスバリア層として珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層を含むフィルムにエージング処理を施すことによって、従来では達成が不可能であった、極めて高いガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを提供することが可能である。
【0074】
また、上記極めて優れたガスバリア性は、ガスバリア層にシール層を積層した態様において、熱水中に放置後でも、優れたガスバリア性を維持することが可能であり、従来、ガスバリア層として使用されていた塩化ビニリデンコートフィルムにほぼ匹敵する特性をポリビニルアルコール系樹脂を使用したガスバリア層で達成することを可能とした。
【0075】
従って、本発明のガスバリア性フィルムの用途は、スナック等の乾燥食品を始めとし、珍味、生麺、生菓子等の中間水分食品や佃煮、惣菜、漬物、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の高水物食品のガスバリア性フィルムとして幅広い用途に対して有用である。
【0076】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例におけるフィルム物性については下記の方法により行った。
【0077】
(1)高湿度下のガスバリア性(酸素透過度)
JIS K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(Mocon社製;OX−TRAN100)を用いて高湿度下の酸素透過度を測定した。測定条件は、ガス流量20ml/minとし、温度23℃、基材層側の湿度を90%RH、ガスバリア層側の湿度を90%RHとした。湿度は日立計測器サービス(株)製
精密湿度調整システム RH−3S型にて調湿した。
【0078】
(2)ボイル後のガスバリア性(酸素透過度)
シール層を積層したガスバリア性フィルム単体を90℃の熱水中に30分間浸漬して熱水処理を施した。熱水処理は、熱水処理中にフィルムが浮かないようフィルム端部を内径18cmのステンレス製リング状型枠に固定して行った。熱水処理後、直ちにフィルムを水で洗浄し、10分以内にガスバリア性フィルムを酸素透過度測定装置にセットした。
【0079】
酸素透過度測定は、JIS K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(Mocon社製;OX−TRAN100)を用いて測定した。測定条件は、ガス流量20ml/minとし、温度23℃にて、基材層側の湿度を90%RH、シール層側の湿度を90%RHとした。湿度は日立計測器サービス(株)製 精密湿度調整システム RH−3S型にて調湿した。熱水処理したガスバリア性フィルムをセットし10分後に酸素透過度測定を開始し、測定開始から1時間後の酸素透過度をボイル後のガスバリア性として評価した。
【0080】
実施例1
水70重量部:エタノール30重量部の混合溶媒に、平均重合度1700・鹸化率98%以上のポリビニルアルコールを濃度が6.7%となるように70℃にて溶解させ、ポリビニルアルコールの6.7%溶液(A液と略記)を得た。
【0081】
水70重量部:エタノール30重量部の混合溶媒に、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、クニピアG)を濃度が3.3%となるように加え、60℃にて攪拌しながら分散させ、層状珪酸塩の3.3%分散溶液(B液と略記)を得た。
【0082】
上記A液とB液を重量比1/1の割合で混合した溶液を高圧分散装置により微分散化処理を施し、ポリビニルアルコール3.3%・層状珪酸塩1.7%の微分散溶液を得た。該微分散溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性イオン交換樹脂を加え、pH=3.0に調整した。該pH調整した微分散溶液にテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加え、室温下、テトラエトキシシランの加水分解が進行して均一相になるまで、約12時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去し、ガスバリアコート剤を得た。得られたガスバリアコート剤のpHは2.9であった。
【0083】
なお、該ガスバリアコート剤中のポリビニルアルコール/層状珪酸塩の重量部比は100/50である。
【0084】
厚み20μmのコロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、AD335AE/CAT10L=10重量部/1.4重量部を、酢酸エチル/トルエン=1重量部/1重量部の混合溶剤にて、不揮発分が6重量%となるよう調整)をアンカーコート層の乾燥重量が0.3g/mとなるようコーティングし、100℃で熱風乾燥してアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0085】
該アンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリプロピレンフィルムのアンカーコート層へ、上記で得られたガスバリアコート剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmになるようにベーカー式アプリケーターにて塗布し、100℃で2分間、熱風乾燥した。次いで、得られたコートフィルムを40℃×90%RHとした恒温恒湿室で4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。
【0086】
得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0087】
さらに、得られたガスバリア性フィルムのガスバリア層に、ドライラミネート用接着剤(東洋モートン社製、TM329/CAT−8B=1重量部/1重量部を、酢酸エチル溶剤にて、不揮発分が10%となるよう調整)を乾燥重量が2g/m2となるようにコーティングし、90℃で2分間乾燥させた後、該ドライラミネート用接着剤面に、シール層として40μmの無延伸ポリエチレンフィルムをラミネートして無延伸ポリエチレンフィルムを積層したガスバリア性フィルムを得た。
【0088】
得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0089】
実施例2
実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを40℃×70%RHとした恒温恒湿室で4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0090】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0091】
実施例3
実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを40℃×50%RHとした恒温恒湿室で4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0092】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0093】
実施例4
実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを50℃×40%RHとした恒温恒湿室で4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0094】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0095】
実施例5
実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを50℃×25%RHとした恒温恒湿室で4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0096】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0097】
実施例6
実施例1においてポリビニルアルコール・層状珪酸塩の微分散溶液に平均分子量400万のポリエチレンオキシドをポリビニルアルコール100重量部に対し1重量部加えた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアコート剤及びガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0098】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0099】
実施例7
実施例1においてテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で225重量となるよう加えた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアコート剤及びガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0100】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0101】
実施例8
厚み12μmのコロナ放電処理した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ放電処理面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、AD335AE/CAT10L=10重量部/1重量部を、酢酸エチル/トルエン=1重量部/1重量部の混合溶剤にて、不揮発分が6重量%となるよう調整)をアンカーコート層の乾燥重量が0.3g/mとなるようコーティングし、100℃で熱風乾燥してアンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0102】
該アンカーコート剤を塗工した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムのアンカーコート層へ、実施例1で得られたガスバリアコート剤を、乾燥後のガスバリア層厚みが2.0μmになるようにコーティングし、100℃で熱風乾燥して、コートフィルムを得た。次いで、得られたコートフィルムを60℃×50%RHとした恒温恒湿室で4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0103】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0104】
比較例1
実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを40℃×13%RHとした恒温恒湿室で4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0105】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0106】
比較例2
実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを50℃×13%RHとした恒温恒湿室で7日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0107】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0108】
比較例3
実施例1のA液100重量部に平均分子量400万のポリエチレンオキシド0.067重量部を添加し、ポリビニルアルコールとポリエチレンオキシドの混合溶液を得た。該混合溶液にビーズ状の水素イオン化した強酸性イオン交換樹脂とテトラエトキシシランをポリビニルアルコール100重量部に対し、珪素アルコキシド由来の珪素量(SiO換算)で150重量部となるよう加え、室温下、テトラエトキシシランの加水分解が進行して均一相になるまで、約12時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂や埃等の異物をろ過により除去し、ガスバリアコート剤を得た。得られたガスバリアコート剤のpHは4.1であった。該ガスバリアコート剤を用い、実施例1と同様にしてコートフィルムを得た後、該コートフィルムを40℃×90%RHとした恒温恒湿室で4日間のエージング処理を施し、ガスバリア性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0109】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したガスバリア性フィルムを得た。得られたシール層を積層したガスバリア性フィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0110】
比較例4
実施例1と同様にしてガスバリアコート剤を得た。エージング処理を施さなかったこと以外は、実施例1と同様にしてコートフィルムを得た。得られたコートフィルムの高湿度下のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0111】
さらに、実施例1と同様にしてシール層を積層したコートフィルムを得た。得られたシール層を積層したコートフィルムのボイル後のガスバリア性を評価し、その結果を表1に示した。
【0112】
【表1】
Figure 0004217511

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムよりなる基材層と、珪素アルコキシドの加水分解物、層状珪酸塩及びポリビニルアルコール系樹脂よりなるガスバリア層を含むフィルムに、温度20℃〜80℃、相対湿度20%RH〜100%RHの雰囲気下でエージング処理を施すことを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
  2. ガスバリア層と基材層とがアンカーコート層を介して積層されたフィルムにエージング処理を施す請求項1記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  3. エージング処理を施した後に、ガスバリア層の基材層が積層される面と反対面に、該基材層を構成する熱可塑性樹脂より低融点の熱可塑性樹脂よりなるシール層を積層する請求項1又は2のいずれかに記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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