JP2014108592A - 多層構造体、乾熱処理体、湿熱処理体および多層構造体の製造方法 - Google Patents

多層構造体、乾熱処理体、湿熱処理体および多層構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐油性および耐有機溶剤性に優れた多層構造体、乾熱処理体、湿熱処理体および多層構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】 環状オレフィン樹脂を含有する基材と
水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分(A)と、アルカリ金属イオン(B)とを含有し、以下の条件(1)および(2)を満たす樹脂組成物(C)からなる樹脂層と
を有する多層構造体。
(1)樹脂成分(A)に含まれる、水酸基の物質量とカルボキシル基の物質量との合計を100モル%としたとき、該水酸基の物質量が30〜95モル%であり、該カルボキシル基の物質量が5〜70モル%であること。
(2)樹脂組成物(C)に含まれるアルカリ金属イオン(B)の質量が、前記樹脂成分(A)の質量を100質量部としたとき、0.2〜5質量部であること。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐油性および耐有機溶剤性に優れた多層構造体および多層構造体の製造方法に関するものである。
従来から、環状オレフィン樹脂からなるフィルムは、透明性、耐熱性などに優れることが知られており、包装材料や、光学部材として用いられている(特許文献1参照)。
特開2002−114827号公報
しかしながら上記の環状オレフィン樹脂フィルムは、耐油性および耐有機溶剤性が十分ではなかった。
本発明は、耐油性および耐有機溶剤性に優れた多層構造体、乾熱処理体、湿熱処理体および多層構造体の製造方法を提供することを目的とするものである。
すなわち本発明は、環状オレフィン樹脂を含有する基材と
水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分(A)と、アルカリ金属イオン(B)とを含有し、以下の条件(1)および(2)を満たす樹脂組成物(C)からなる樹脂層と
を有する多層構造体に係るものである。
(1)樹脂成分(A)に含まれる、水酸基の物質量とカルボキシル基の物質量との合計を100モル%としたとき、該水酸基の物質量が30〜95モル%であり、該カルボキシル基の物質量が5〜70モル%であること。
(2)樹脂組成物(C)に含まれるアルカリ金属イオン(B)の質量が、前記樹脂成分(A)の質量を100質量部としたとき、0.2〜5質量部であること。
また本発明は、前記多層構造体を乾熱処理してなる乾熱処理体に係るものである。
また本発明は、前記乾熱処理体を湿熱処理してなる湿熱処理体に係るものである。
また本発明は、他の面において、環状オレフィン樹脂を含有する基材と樹脂層とを有する多層構造体の製造方法であって、
水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分(A)と、アルカリ金属イオン(B)とを含有し、以下の条件(1)および(2)を満たす樹脂組成物(C)と、
液体媒体と
を含有する塗工液を、
前記基材表面に塗工し塗工膜を形成した後、
前記塗工膜から前記液体媒体を除去して、樹脂層を形成する多層構造体の製造方法に係るものである。
(1)樹脂成分(A)に含まれる、水酸基の物質量とカルボキシル基の物質量との合計を100モル%としたとき、該水酸基の物質量が30〜95モル%であり、該カルボキシル基の物質量が5〜70モル%であること。
(2)樹脂組成物(C)に含まれるアルカリ金属イオン(B)の質量が、前記樹脂成分(A)の質量を100質量部としたとき、0.2〜5質量部であること。
本発明によれば、耐油性および耐有機溶剤性に優れた多層構造体、乾熱処理体、および湿熱処理体を得ることが出来る。
[環状オレフィン樹脂を含有する基材]
本発明の多層構造体は環状オレフィン樹脂を含有する基材と樹脂層とを有するものである。該環状オレフィン樹脂は、環状オレフィンの単独重合体あるいは環状オレフィンと他のコモノマーとの共重合体であり、脂環式構造を主鎖に、側鎖に、または主鎖と側鎖の両方に有するものである。また機械強度、耐熱性の点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
該環状オレフィンの具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン等の単環状オレフィン;3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン等の置換単環状オレフィン;ノルボルネン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン(ジメタノオクタヒドロナフタレン)等の多環状オレフィン;5−メチルノルボルネン等の置換多環状オレフィンが例示できる。
環状オレフィン樹脂の具体例としては、特開2003−183361公報に記載の熱可塑性ノルボルネン樹脂、特開2010−254885公報に記載の樹脂組成物、特開2002−114827公報に記載の環状オレフィン系重合体などが挙げられる。また商品名としては、ZEONOR、ZEONEX(日本ゼオン(株)製)、APEL(三井化学(株)製)、TOPAS(ポリプラスチックス(株)製)などが挙げられる。
環状オレフィン樹脂を含有する基材の形態は、例えばフィルム、シート、ボトル、シリンジ、容器等が挙げられる。またブロー成形用のパリソンであっても良い。
また該基材は多層基材であっても良い。該基材が多層基材である場合は、少なくとも一層が環状オレフィン樹脂を含有する層であり、特に本発明の多層構造体を、内容物に半導体製造用薬液等の高純度薬品用容器として使用する際、またアルブミン等のタンパク質、dl−カンフル、メントールなどの局所刺激性物質などを含む薬剤用容器として使用する際は、低溶出性、耐薬品性、低吸着性の点から、内容物と接する側に環状オレフィン層を配することが好ましい。例えば環状オレフィン樹脂層/中間層/環状オレフィン樹脂層のような多層基材が挙げられる。該中間層など、環状オレフィン樹脂を含有しない層を構成する材料としては通常樹脂であり、該樹脂としては、エステル系樹脂、アミド系樹脂、水素結合性樹脂などが挙げられる。
エステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
アミド系樹脂としては、ナイロン−6(Ny−6)、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6−Ny)等が挙げられる。
水素結合性樹脂としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、セルロース誘導体等が挙げられる。
また環状オレフィン樹脂を含有する基材の表面にアルミニウム、アルミナ、シリカなどの無機物が蒸着された基材であってもよい。
また本発明の基材は無延伸、一軸延伸、二軸延伸されたものであってもよい。
本発明の基材の形状がフィルムである場合、好ましい基材の一例として、樹脂製のヒートシール層を一方の表層として有し、かつ環状オレフィン樹脂を含有する層を有する基材が挙げられる。ヒートシール層を構成する樹脂としては、オレフィン樹脂、エチレン系共重合体、エステル樹脂、アクリロニトリル樹脂等が挙げられる。
オレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、またエチレンとα―オレフィンとの共重合体、プロピレンとα―オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
エチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物、エチレン−α,β不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−α,β不飽和カルボン酸共重合体等が挙げられる。
エステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
ヒートシール層を有する基材は、例えばヒートシール層形成用の樹脂と、環状オレフィン樹脂と、必要に応じて環状オレフィン樹脂およびヒートシール層形成用樹脂とは異なる樹脂とを共押出しする方法、ヒートシール層形成用の樹脂を液体媒体に溶解させた溶液を、環状オレフィン樹脂を含有する層を有する基材前駆体に塗工し、その後液体媒体を除去してヒートシール層を形成する方法、環状オレフィン樹脂を含有する層を有する基材前駆体の表面にヒートシール層形成用の樹脂を押出ラミネートする方法、ヒートシール性樹脂フィルムと、環状オレフィン樹脂を含有する層を有する基材前駆体とをドライラミネートする方法等が挙げられる。ここで、環状オレフィン樹脂を含有する層を有する基材前駆体とは、ヒートシール層を有する基材のうち、ヒートシール層とは異なる層で形成されるフィルムのことである。基材前駆体におけるヒートシール層を形成する面、およびヒートシール性樹脂フィルムにおける基材前駆体との積層面には、後述の表面処理を施すことが好ましい。
[樹脂層]
本発明の樹脂層は、水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分(A)と、アルカリ金属イオン(B)とを含む樹脂組成物(C)からなる。該水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分(A)としては、一分子中に水酸基とカルボキシル基とを含む樹脂(A1)であってもよく、水酸基を含む樹脂(A2)とカルボキシル基を含む樹脂(A3)とを含有する樹脂成分であってもよい。ここで、「水酸基」に、カルボキシル基中の「−OH」は含まない。一分子中に水酸基とカルボキシル基とを含む樹脂(A1)としては、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体や、ビニルアルコール−メタアクリル酸共重合体が挙げられる。水酸基を含む樹脂(A2)としては、ポリビニルアルコール、多糖類が挙げられる。カルボキシル基を含む樹脂(A3)としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物、ポリメタアクリル酸部分中和物、アクリル酸−メタアクリル酸共重合体等が挙げられる。
水酸基を含む樹脂(A2)としては、水系の液体媒体に溶解させることができ、取り扱いが容易であることや、多層構造体の耐油性および耐有機溶剤性の観点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールとは、ビニルアルコールに由来するモノマー単位を主成分として有するポリマーである。このような「ポリビニルアルコール」としては、例えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解して得られるポリマー(正確にはビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体)や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、tert−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体等を加水分解して得られるポリマーが挙げられる(「ポリビニルアルコール」の詳細については、例えば、ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、(株)高分子刊行会;長野ら、「ポバール」、1981年、(株)高分子刊行会を参照することができる)。ポリビニルアルコールにおける「ケン化」の程度は、70モル%以上が好ましく、85モル%以上のものがより好ましく、98%モル以上のいわゆる完全ケン化物がさらに好ましい。また、重合度は、100以上5000以下、200以上3000以下であることがより好ましい。
また、ポリビニルアルコールとして、水酸基以外の官能基を有するポリビニルアルコール誘導体も使用でき、水酸基以外の官能基として例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基、シリル基、シロキサン基、アルキル基、アリル基、フルオロアルキル基、アルコシキ基、カルボニル基、ハロゲン基等が例示できる。ポリビニルアルコール中の水酸基の一部がこれら官能基の1種または2種以上と置き換わっていてもよい。
多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれらをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえば、セルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、などが挙げられる。
カルボキシル基を含む樹脂(A3)は、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物、ポリメタアクリル酸部分中和物から選択される1種以上の樹脂であることが好ましい。上記カルボキシル基を含む樹脂(A3)の重量平均分子量は、2000〜10000000の範囲が好ましく、より好ましくは100000〜10000000が好ましい。
ポリアクリル酸部分中和物またはポリメタアクリル酸部分中和物は、ポリアクリル酸またはポリメタアクリル酸の水溶液に後述のアルカリ金属イオン供与化合物を添加して中和し、カルボキシル基の一部をアルカリ金属塩とすることにより得ることができ、ポリアクリル酸またはポリメタアクリル酸とアルカリ金属イオン供与化合物の量比を調節することにより、所望の中和度とすることができる。また中和度は以下の式により算出される。
中和度=(A/B)×100
A:ポリアクリル酸部分中和物またはポリメタアクリル酸部分中和物1g中の中和されて金属塩となったカルボキシル基のモル数
B:ポリアクリル酸部分中和物またはポリメタアクリル酸部分中和物1g中のカルボキシル基と中和されて金属塩となったカルボキシル基との合計モル数
またポリアクリル酸部分中和物またはポリメタアクリル酸部分中和物は、ポリアクリル酸完全中和物またはポリメタアクリル酸完全中和物の水溶液と水素イオン型イオン交換樹脂とを接触させることによっても得ることができる。ポリアクリル酸完全中和物またはポリメタアクリル酸完全中和物の水溶液と水素イオン型イオン交換樹脂と混合、攪拌した後に、該水素イオン型イオン交換樹脂の残渣を取り除く方法が挙げられ、該方法ではポリアクリル酸完全中和物またはポリメタアクリル酸完全中和物と水素イオン型イオン交換樹脂との量比、水溶液温度、攪拌時間を調製することにより、所望の中和度とすることができる。またポリアクリル酸完全中和物またはポリメタアクリル酸完全中和物の水溶液を、水素イオン型イオン交換樹脂が充填されたカラム中に通液する方法も挙げられ、該方法ではカラム長、通液速度、水溶液温度を調整することにより、所望の中和度とすることができる。また中和度は以下の式により算出される。
中和度=(C/D)×100
C:ポリアクリル酸部分中和物またはポリメタアクリル酸部分中和物1g中の金属塩として存在するカルボキシル基のモル数
D:ポリアクリル酸部分中和物またはポリメタアクリル酸部分中和物1g中のイオン交換されて生成したカルボキシル基と金属塩として存在するカルボキシル基との合計モル数
ポリアクリル酸部分中和物およびポリメタアクリル酸部分中和物は、耐油性、耐有機溶剤性、透明性の点から、上記中和度が0.1%〜20%であることが好ましい。
樹脂成分(A)に含まれる、水酸基の物質量とカルボキシル基の物質量との合計を100モル%としたとき、該水酸基の物質量が30〜95モル%であり、該カルボキシル基の物質量が5〜70モル%である。好ましくは、該水酸基の物質量が70〜95モル%であり、該カルボキシル基の物質量が5〜30モル%である。
また多層構造体の耐油性、耐有機溶剤性、耐水性の観点から、樹脂成分(A)に含まれる水酸基の質量とカルボキシル基の質量の合計が30〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは35〜55質量%である。前記水酸基の質量およびカルボキシル基の質量の合計は、該樹脂成分(A)の質量を100質量%としたときの値である。ここで言うカルボキシル基とは、上記中和したカルボキシル基についても含む。
樹脂成分(A)に含まれる水酸基とカルボキシル基との物質量は、公知のNMR法、IR法等により求めることができる。例えばIR法であれば、水酸基とカルボキシル基のモル比が既知のサンプルを用い、検量線を求め、算出することができる。またビニルアルコール単独重合体(完全ケン化物)と、アクリル酸単独重合体および/またはメタアクリル酸単独重合体を用いる場合は、予めその質量から水酸基およびカルボキシル基の物質量を算出することができる。樹脂成分(A)に含まれる水酸基およびカルボキシル基の合計質量測定については、物質量と同様、公知のNMR法、IR法等にて求めることができる。例えばIR法であれば、ポリオールユニット数が既知であるポリオール重合体および、ポリカルボン酸ユニット数が既知であるポリカルボン酸重合体について検量線を求め、算出することができる。またビニルアルコール単独重合体と、アクリル酸単独重合体および/またはメタアクリル酸単独重合体を用いる場合は、予めその質量から水酸基およびカルボキシル基の質量を求め、この合計量を用いることができる。
樹脂組成物(C)に含まれるアルカリ金属イオン(B)としては、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオンが挙げられる。該樹脂組成物(C)に含まれるアルカリ金属イオン(B)の質量は、該樹脂組成物(C)に含まれる樹脂成分(A)の質量を100質量部としたとき、0.2〜5質量部であり、好ましくは0.2〜2質量部である。
前記アルカリ金属イオン(B)は、通常、アルカリ金属イオン供与化合物に由来する。すなわち樹脂組成物(C)は、通常、アルカリ金属イオン供与化合物を含む。アルカリ金属イオン供与化合物としては、水酸化ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アルカリ金属イオンを含む無機層状化合物等が挙げられる。2種類以上のアルカリ金属イオン供与化合物を併用してもよい。
無機層状化合物とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している物をいう。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス等の弱い結合力によってほぼ平行に積み重なった構造をいう。無機層状化合物の中でも液体媒体への膨潤性、劈開性を有する粘土鉱物が好ましく用いられる。
粘土鉱物は、一般に(i)シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、(ii)シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層を両側から挟んでなる3層構造を有するタイプに分類される。(i)の2層構造タイプの粘土鉱物としては、カオリナイト族−蛇紋石族の粘土鉱物が挙げられる。(ii)の3層構造タイプの粘土鉱物としては、層間カチオンの数によって、タルク−パイロフィライト族、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族、脆雲母族、緑泥石族等の粘土鉱物が挙げられる。
カオリナイト−蛇紋石族の具体例としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、リザーダイト、アメサイト、バーチェリン、クロンステダイト、ネポーアイト、ケリアイト、フレイポナイト、ブリンドリアイト等が挙げられる。
タルク−パイロフィライト族の具体例としては、タルク、ウィレムサイト、ケロライト、ピメライト、パイロフィライト、フェリパイロフィライト等が挙げられる。
スメクタイト族の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、ボルコンスコアイト、スインホルダイト等が挙げられる。
バーミキュライト族の具体例としては、3八面体型バーミキュライト、2八面体型バーミキュライト等が挙げられる。
マイカ族の具体例としては、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、金雲母、黒雲母、鉄雲母、イーストナイト、シデロフィライトテトラフェリ鉄雲母、鱗雲母、ポリリシオナイト、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミノセラドン石、アルミノセラドン石、砥部雲母、パラゴナイト、レピドライト等が挙げられる。
脆雲母族の具体例としては、ザンソフィライト、クリントナイト、ビテ雲母、アナンダ石、真珠雲母、マーガイラト等が挙げられる。
緑泥石族の具体例としては、クリノクロア、シャモサイト、ペナンタイト、ニマイト、ベイリクロア、ドンバサイト、クッケアイト、スドーアイト等が挙げられる。
また、これら粘土鉱物を有機物でイオン交換等の処理し、分散性等を改良したもの(朝倉書店、「粘土の事典」参照;以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合もある)も無機層状化合物として用いることができる。粘土鉱物を処理する上記有機物としては、公知のジメチルジステアリルアンモニウム塩やトリメチルステアリルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩やフォスフォニウム塩、イミダゾリウム塩等を用いることができる。
上記粘土鉱物の中でも、(ii)の3層構造タイプの粘土鉱物であるスメクタイト族、バーミキュライト族およびマイカ族の粘土鉱物が好ましく、スメクタイト族が特に好ましい。スメクタイト族としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライトが好ましく、とりわけ液体媒体への膨潤性、劈開性の点からモンモリロナイトが好ましく用いられる。
2種類以上の無機層状化合物を用いてもよい。
アルカリ金属イオン供与化合物として用いられる無機層状化合物のアスペクト比は、20以上のものが好ましく、100以上のものがより好ましく、200以上のものがさらに好ましく用いられる。また、膨潤し劈開させやすく、樹脂層の強度が向上するという観点から、該無機層状化合物のアスペクト比は、10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましく、3000以下であることがさらに好ましい。
また、使用する無機層状化合物は、多層構造体の透明性、樹脂層の製膜性の観点から、平均粒径が5μm以下であることが好ましい。特に透明性が求められる用途に用いられる多層構造体の場合は、無機層状化合物の平均粒径は1μm以下であることがより好ましい。なお、無機層状化合物のアスペクト比および平均粒径とは、該無機層状化合物と、無機層状化合物を膨潤かつ劈開させる液体媒体とを含む無機層状化合物分散液中での値である。
本発明において、無機層状化合物のアスペクト比(Z)は、式:Z=L/aで定義される。式中、Lは無機層状化合物の平均粒径であり、aは、無機層状化合物の単位厚さ、即ち、無機層状化合物の単位結晶層の厚みを示し、粉末X線回析法(「機器分析の手引き(a)」(1985年、化学同人社発行、塩川二朗監修)69頁参照)により求められる。
無機層状化合物の平均粒径とは、液体媒体中の回折/散乱法により求めた粒径(体積基準のメジアン径)である。すなわち、無機層状化合物の分散液に光を通過させたときに得られる回折/散乱パターンから、ミー散乱理論等により、上記回折/散乱パターンに妥当な粒度分布を計算することにより求めることができる。具体的には、例えば粒度分布の測定範囲を適当な区間に分け、それぞれの区間について、代表粒子径を決定し、本来連続的な量である粒度分布を離散的な量に変換させて計算する方法が挙げられる。
本発明で用いる無機層状化合物は、具体的には、下記の膨潤性試験による膨潤値が5以上のものが好ましく、膨潤値が20以上のものがより好ましい。また、下記の劈開性試験による劈開値が5以上のものが好ましく、劈開値が20以上のものがより好ましい。
〔膨潤性試験〕
100mlメスシリンダーに液体媒体100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
〔劈開性試験〕
無機層状化合物30gを液体媒体1,500ml中に徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
本発明において無機層状化合物を膨潤し劈開させる液体媒体としては、無機層状化合物が親水性の膨潤性無機層状化合物の場合には、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられるが、とりわけ水、アルコール、水−アルコール混合物が好ましい。
また、無機層状化合物が有機修飾無機層状化合物の場合には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、メタクリル酸メチル、フタル酸ジオクチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、シリコンオイルなどを液体媒体として用いることができる。
本発明における樹脂組成物(C)はさらに可塑剤を含んでいても良い。該可塑剤を含むことで、後述する熱成形時の延伸性に優れるものとすることができる。該可塑剤とは、分子内の連続する2個以上の炭素原子のそれぞれに水酸基が少なくとも1個ずつ結合しており、分子量が200〜4000である化合物である。また塗工液を用いて樹脂層を形成する場合のハンドリングの良さの点から該可塑剤は水に溶解することが好ましい。
水への溶解性の点から、該可塑剤は、例えば、ポリソルビトール、ポリマンニトール、ポリズルシトール、ポリキシリトール、ポリエリトリトール、ポリグリセリン等の多価アルコールの多量体が好ましく、より好ましくはポリグリセリンである。これらの可塑剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
後述する熱成形時の延伸性の点、また多層構造体の耐傷付性の点から、可塑剤の分子量は、350〜3000であることが好ましく、500〜2500であることがさらに好ましい。
後述する熱成形時の延伸性の点から、樹脂層を形成する樹脂組成物(C)に含まれる可塑剤の量は、樹脂成分(A)100質量部に対して20〜150質量部であることが好ましく、25〜120質量部であることがより好ましく、40〜120質量部であることがさらに好ましく、60〜110質量部であることが最も好ましい。
樹脂組成物(C)は、目的や用途に応じて、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、着色剤など等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
[多層構造体]
本発明の多層構造体は、前記環状オレフィン樹脂を含有する基材と、前記樹脂層とを有するものである。
本発明の多層構造体は、前記樹脂層を二層以上有しても良い。多層構造体が樹脂層を二層以上有する場合、当該二層以上の樹脂層は、同じ樹脂成分(A)と同じアルカリ金属イオン(B)とを含有するものであってもよく、樹脂成分(A)及び/またはアルカリ金属イオン(B)が異なっていてもよい。また、当該二層以上の樹脂層は、樹脂成分(A)とアルカリ金属イオン(B)の含有量がそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
多層構造体が樹脂層を二層以上有する場合、二つの樹脂層は隣接することが、多層構造体の透明性の点から好ましい。
多層構造体の耐傷付性の点から、樹脂層が多層構造体の少なくとも一方の表層であることが好ましい。
多層構造体の層構成としては、
(1)基材/樹脂層
(2)基材/樹脂層α/樹脂層β
(3)樹脂層α/基材/樹脂層β
(4)樹脂層α/樹脂層β/基材/樹脂層γ/樹脂層δ
等が挙げられる。
また、基材の層構成が、環状オレフィン樹脂層/中間層/環状オレフィン樹脂層である場合、多層構造体の層構成としては、
(5)環状オレフィン樹脂層/中間層/環状オレフィン樹脂層/樹脂層
(6)環状オレフィン樹脂層/中間層/環状オレフィン樹脂層/樹脂層α/樹脂層β
(7)樹脂層α/環状オレフィン樹脂層/中間層/環状オレフィン樹脂層/樹脂層β
(8)樹脂層α/樹脂層β/環状オレフィン樹脂層/中間層/環状オレフィン樹脂層/樹脂層γ/樹脂層δ
等が挙げられる。
基材の層構成が、ヒートシール層/環状オレフィン樹脂層である場合、多層構造体の層構成としては、
(9)ヒートシール層/環状オレフィン樹脂層/樹脂層
(10)ヒートシール層/環状オレフィン樹脂層/樹脂層α/樹脂層β
等が挙げられる。
前記樹脂層α、樹脂層β、樹脂層γ、樹脂層δは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
各層の間にアンカーコート層や接着層を有していてもよい。
多層構造体が樹脂層を二層以上有する場合、二層以上の樹脂層が、前記アルカリ金属イオン(B)を有する無機層状化合物を含んでいても良い。二層以上の樹脂層が前記アルカリ金属イオン(B)を有する無機層状化合物を含み、かつ、二つの樹脂層のうち、少なくとも一層が多層構造体の表層であり、少なくとも一層が多層構造体の表層ではない場合、表層の樹脂層に含まれる無機層状化合物の体積分率(ただし、表層の樹脂層の体積分率を100体積%とする)は、耐傷つき性の点から表層ではない樹脂層に含まれる無機層状化合物の体積分率(ただし、表層ではない樹脂層の体積分率を100体積%とする)より高いことが好ましい。
多層構造体が樹脂層を二層以上有する場合、二層以上の樹脂層が、前記アルカリ金属イオン(B)を有する無機層状化合物を含んでいても良い。二層以上の樹脂層が前記アルカリ金属イオン(B)を有する無機層状化合物を含み、かつ、二つの樹脂層のうち、少なくとも一層が多層構造体の表層であり、少なくとも一層が多層構造体の表層ではない場合、表層の樹脂層に含まれる無機層状化合物の体積分率(ただし、表層の樹脂層の体積分率を100体積%とする)は、透明性の点から表層ではない樹脂層に含まれる無機層状化合物の体積分率(ただし、表層ではない樹脂層の体積分率を100体積%とする)より低いことが好ましい。
本発明の多層構造体における樹脂層の厚みは、通常0.05〜10μmの範囲である。本発明の多層構造体が樹脂層を二層以上有し、少なくとも一層が多層構造体の表層であり、少なくとも一層が多層構造体の表層ではない場合、表層ではない樹脂層の厚みが表層の樹脂層の厚み以上に厚いことが好ましい。
[乾熱処理体]
耐傷つき性を向上するために、本発明の多層構造体を、乾熱処理して、乾熱処理体とすることが好ましい。乾熱処理とは、100℃以上300℃以下、水蒸気濃度が50g/m3未満の雰囲気下で保持する処理である。乾熱処理温度は、好ましくは120℃以上、200℃以下である。乾熱処理する時間は通常1秒間〜1時間である。乾熱処理時の水蒸気濃度は、好ましくは0〜40g/m3である。乾熱処理する方法としては、例えば熱ロールと接触する方法、空気等の熱媒と接触する方法、赤外線により加熱する方法、マイクロ波により加熱する方法等が挙げられる。また本発明の多層構造体を後述の熱成形する際は、熱成形時の加熱処理を該乾熱処理とすることができる。
[湿熱処理体]
耐傷つき性をより向上するために、本発明の乾熱処理体を、湿熱処理して、湿熱処理体とすることが好ましい。湿熱処理とは、100℃以上の温度で水蒸気濃度が290g/m3超の雰囲気下または80℃以上の水中で保持する処理である。湿熱処理する時間は、通常1秒間〜1時間である。100℃以上の温度で水蒸気濃度が290g/m3超の雰囲気下での処理の場合、温度は120〜200℃の範囲内が好ましく、水蒸気濃度は500〜20000g/m3の範囲内が好ましい。80℃以上の水中で保持する処理の場合、温度は100〜140℃の範囲内が好ましい。前記湿熱処理を施す前に、前記乾熱処理体を例えば23℃、湿度50%RH条件下でエージングしてもよい。
湿熱処理体に含まれる水分を除去するために、湿熱処理後に乾燥処理を施しても構わない。乾燥処理は、通常、湿度50%RH以下、温度20〜100℃で1秒間〜24時間を保持する。
[多層構造体の製造方法]
本発明の多層構造体の製造方法としては、前記基材と、前記樹脂層とを共押出成形することにより製造する方法や、予め押出成形や射出成形、圧縮成形等により成形した基材と、予め成形した樹脂層とを接着する方法、上記樹脂組成物(C)と液体媒体とを含有する塗工液を、環状オレフィン樹脂を含有する基材表面に塗工し、塗工膜を形成した後、前記塗工膜から前記液体媒体を除去して、樹脂層を形成する方法等が挙げられる。厚みが薄く、かつ均一な厚みの樹脂層を容易に得られることから、上記樹脂組成物(C)と液体媒体とを含有する塗工液を、環状オレフィン樹脂を含有する基材表面に塗工し、塗工膜を形成した後、前記塗工膜から液体媒体を除去して、樹脂層を形成する方法が好ましい。
前記塗工液の製造方法としては、樹脂成分(A)、アルカリ金属イオン供与化合物をそれぞれ液体媒体に溶解あるいは分散させた後、これらを混合して塗工液とする方法や、樹脂成分(A)、アルカリ金属イオン供与化合物を同じ液体媒体に溶解または分散させて塗工液を得る方法などが挙げられる。また前記可塑剤を含む場合は、樹脂成分(A)、アルカリ金属イオン供与化合物、可塑剤をそれぞれ液体媒体に溶解あるいは分散させた後、これらを混合して塗工液とする方法や、樹脂成分(A)、アルカリ金属イオン供与化合物、可塑剤を同じ液体媒体に溶解または分散させて塗工液を得る方法などが挙げられる。
塗工液に含まれる液体媒体としては、前述の無機層状化合物を膨潤し劈開させる液体媒体が挙げられる。これらの液体媒体は、それぞれ単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。塗工液に含まれるアルカリ金属イオン供与化合物が無機層状化合物の場合は、該無機層状化合物を膨潤し劈開させる液体媒体を、塗工液の液体媒体として用いることが好ましい。
アルカリ金属イオン供与化合物として無機層状化合物を用いて塗工液を製造する場合には、該無機層状化合物を液体媒体に十分に膨潤し劈開させるために、高圧分散処理により前記無機層状化合物を液体媒体に分散させることが好ましい。高圧分散処理とは、無機層状化合物を液体媒体に混合した混合液を複数本の細管中に高速通過させた後に合流させて、前記混合液同士あるいは該混合液と細管内壁とを衝突させることにより、混合液に高剪断および/または高圧を付加する処理方法である。高圧分散処理では、混合液を管径1μm〜1000μm程度の細管中に通過させ、このとき100kgf/cm2以上の最大圧力が印加されるように処理することが好ましい。最大圧力は500kgf/cm2以上であることがより好ましく、1000kgf/cm2以上であることが特に好ましい。また、混合液が細管内を通過する際、該分散液の最高到達速度は100m/s以上であることが好ましく、圧力損失による伝熱速度は100kcal/時間以上であることが好ましい。前記高圧分散処理には、Microfluidics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー(商品名:マイクロフルイダイザー)、ナノマイザー社製ナノマイザー、マントンゴーリン型高圧分散装置、イズミフードマシナリ製ホモゲナイザー等の高圧分散装置を用いることができる。高圧分散処理する混合液には、樹脂成分(A)が含有されていてもよい。
塗工液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を含有する塗工液を基材に塗工して樹脂層を形成することにより、該樹脂層と、基材層との密着性を向上させることができる。界面活性剤の含有量は、通常、塗工液に含まれる液体媒体を100質量部としたときに、0.001〜5質量部である。これにより、基材と樹脂層との密着性の向上させることができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤など、公知の界面活性剤を用いることができる。とりわけ炭素原子数6以上24以下のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属塩、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体等のエーテル型の非イオン性界面活性剤(シリコーン系非イオン性界面活性剤)や、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド化合物等のフッ素型非イオン性界面活性剤(フッ素系非イオン性界面活性剤)を使用することが密着性向上の観点から好ましい。
基材に後述のアンカーコート層、樹脂層を塗工により設ける場合には、ダイレクトグラビア法、リバースグラビア法などのグラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法などのロールコーティング法、ドクターナイフ法、ダイコート法、バーコーティング法、ディッピング法、スプレーコート法などを適用することができる。容易に層を設けることができることからディッピング法、スプレーコート法、グラビア法を採用することが好ましい。
基材と樹脂層との密着性や、多層構造体が二層以上の樹脂層を互いに隣接して有する場合の二つの樹脂層の密着性を改良する目的で、該基材や樹脂層に予め表面処理することが好ましい。表面処理の方法としては、例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電子線放射処理、紫外線照射処理、酸処理、アンカーコート処理などが挙げられる。これらの方法は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
アンカーコート処理としては、エチレンイミン系、2液硬化型ウレタン系、酸変性オレフィン系のコート剤等を用いて、アンカーコート層を形成することができる。該アンカーコート層の厚みは、通常0.01〜20μmの範囲である。
本発明の多層構造体、乾熱処理体および湿熱処理体を容器やボトル等の成形体、あるいは後述する加飾シートとして用いる場合、予め所定の形状に賦形した基材の少なくとも一方の表面に上記樹脂層を形成しても良く、またシートあるいはパリソン等の予備成形した基材の少なくとも一方の表面に樹脂層を形成して多層構造体とした後、熱成形により所定の形状に賦形しても良い。該熱成形とは、基材や、多層構造体を加熱処理して所定の形状に賦形する成形方法であり、ブロー成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等が挙げられる。
熱成形は、熱成形する基材や、多層構造体の温度を100〜250℃で1〜60秒間保持した後に、該基材や、多層構造体の温度が、基材に含まれる環状オレフィン樹脂のガラス転移温度より30℃低い温度以上、該環状オレフィン樹脂のガラス転移温度より30℃高い温度以下の範囲内にある時に、該基材や該多層構造体を賦形することが好ましい。該ガラス転移温度については示差走査熱量計(DSC)等を用いて測定することができる。
多層構造体を熱成形する場合、熱成形時の加熱処理が上記乾熱処理に相当するため、多層構造体を熱成形して得られる成形品は、乾熱処理体である。多層構造体を熱成形して得られる乾熱処理体を湿熱処理して湿熱処理体を得ることができる。
また本発明の多層構造体を加飾シートとして使用する場合、シート状の多層構造体を熱成形し、予備賦形品を製造した後、該予備賦形品の基材側に、可塑化した熱可塑性樹脂を供給し、賦形することにより、成形品を得ることができる。具体的には、樹脂層を表層として有する多層構造体の表層の樹脂層が成形用金型のキャビティ内面と接するように密着させてセットした金型キャビティ内に、射出成形法や、射出圧縮成形法、射出プレス成形法等により、可塑化した熱可塑性樹脂を供給し、供給した該熱可塑性樹脂と予備賦形品とが貼合された成形品を得る方法が挙げられる。前記予備賦形品は、熱成形時の加熱処理により、本発明の乾熱処理体となる。
本発明の多層構造体における樹脂層は、上記乾熱処理あるいは熱成形の際に加熱処理することにより、水酸基とカルボキシル基との反応がより進行して耐水性、耐油性および耐有機溶剤性がより高くなる。また特に樹脂層が可塑剤を含む場合、延伸性に優れるため、上記熱成形時に樹脂層の割れを抑えることができる。
前記したような本発明の方法によれば、耐油性および耐有機溶剤性に優れた多層構造体、乾熱処理体、および湿熱処理体を製造することができる。
本発明の多層構造体は、耐有機溶剤性に優れるため、包装材料や容器として好適である。また本発明の多層構造体は耐傷付き性、耐熱性、光学特性に優れることから、加飾シートとして用いた成形品、基板、真空断熱パネルとして使用することが出来る。
包装材料や容器として使用する場合、多層構造体の形体としては、フィルム、袋、パウチ、ボトル、ボトルキャップ、カートン容器、カップ、皿、トレー、タンク、チューブ、シリンジが挙げられる。内容物としては食品類および非食品類が挙げられる。食品類としては、菓子類、加工食品、飲料品などが挙げられる。非食品類としては、トイレタリー製品、燃料、医薬品、電子部品および電子機器が挙げられる。
加飾シートとして用いた成形品としては、住宅外装部品、住宅内装部品、家具用部材、自動車外装部品、自動車内装部品、二輪車外装部品、家電部品、雑貨部品、看板などが挙げられる。住宅外装部品としては、雨樋、玄関化粧カバー、床下換気口などが挙げられる。住宅内装部品としては、インテリアドアユニット、クロゼット折戸ユニット、幅木、畳寄せ、回り縁、造作材、敷居すべり、窓額縁、手すり、床材、壁板、天井板などが挙げられる。家具用部材としては化粧板、引き出し、流し台回りの前面扉、ベットバンパー、テーブル、椅子、各種ケース、照明器具パーツ、額縁が挙げられる。自動車外装部品としては、バンパー、ドアミラー、フェンダーボディが挙げられる。自動車内装部品としては、インスツルメントパネル、ダッシュボード、ドアトリム、ボディーサイドトリムが挙げられる。二輪車外装部品としては、フード、カウリングなどが挙げられる。家電部品としては、冷蔵庫の扉、洗濯機防水バンなどが挙げられる。
また基板としては、ディスプレイ用基板、太陽電池用基板が挙げられる。ディスプレイ用基板としては、液晶ディスプレイ用基板、有機EL用などフレキシブルディスプレイ用基板などが挙げられる。また太陽電池用基板としては、シリコン型太陽電池用基板あるいは色素増感型太陽電池用基板などが挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。はじめに、以下の実施例における物性値の測定方法を説明する。
〔厚み測定〕
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)を用いて測定した。0.5μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)の断面観察より求めた。
〔粒径測定〕
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を用いて測定した。後述する塗工液中の粘土鉱物の平均粒径をペーストセルにて光路長50μmで測定した。さらに該塗工液を200倍程度に希釈した液中の粘土鉱物の平均粒径をフローセル法にて光路長4mmで測定した。いずれの場合も平均粒径の値は変わらず、塗工液中で粘土鉱物が充分に膨潤し劈開していることを確認した。塗工液の測定値を、樹脂層中の粘土鉱物の平均粒径Lとみなした。
〔アスペクト比計算〕
X線回折装置(XD−5A、(株)島津製作所製)を用い、粘土鉱物の回折測定を粉末法により行い、粘土鉱物の単位厚さaを求めた。上述の方法で求めた平均粒径Lを用いて、該粘土鉱物のアスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。なお塗工液を乾燥したものについてもX線回折測定を行ない、原料の粘土鉱物に比べて、塗工液の乾燥物中の粘土鉱物の面間隔が広がっていたため、樹脂中に粘土鉱物が分散していることを確認した。
〔樹脂成分(A)に含まれる水酸基の物質量とカルボキシル基の物質量の算出方法〕
実施例1〜3において、水酸基を含む樹脂(A2)としてポリビニルアルコール(完全ケン化物)を用い、カルボキシル基を含む樹脂(A3)としてポリアクリル酸を用いた。以下の式により、ポリビニルアルコール中の水酸基の物質量(モル)およびポリアクリル酸中のカルボキシル基の物質量(モル)を算出し、それぞれの値を両者の和で除し、モル%単位でそれぞれの物質量を求めた(ただし、水酸基とカルボキシル基との合計物質量を100モル%とする)。
水酸基の物質量(モル)=(樹脂(A2)の質量(g))/(樹脂(A2)を構成するモノマー単位1単位あたりの分子量)
カルボキシル基の物質量(モル)=(樹脂(A3)の質量(g))/(樹脂(A3)を構成するモノマー単位1単位あたりの分子量)
〔樹脂成分(A)に含まれる水酸基およびカルボキシル基の合計質量の算出方法〕
以下の式より水酸基の質量およびカルボキシル基の質量(ただし、樹脂成分(A)の質量を100質量%とする)を算出し、合計した。
水酸基の質量(質量%)=(17/(樹脂(A2)を構成するモノマー単位1単位あたりの分子量))×(樹脂(A2)の質量(g)/樹脂成分(A)の質量(g))×100
カルボキシル基の質量(質量%)=(45/(樹脂(A3)を構成するモノマー単位1単位あたりの分子量))×(樹脂(A3)の質量(g)/樹脂成分(A)の質量(g))×100
実施例1〜4においては、樹脂成分(A)の質量は、樹脂(A2)の質量と樹脂(A3)の質量の和である。
〔アルカリ金属イオン濃度測定〕
誘導結合プラズマ発光分析装置(Optima 3000、パーキンエルマー社製)を用いて、塗工液(1)および(2)の乾燥物のそれぞれについて、ナトリウムイオン濃度を測定し、それぞれ樹脂層(1)および樹脂層(2)中のナトリウムイオン濃度を求めた。試料の調整方法は以下のとおりである。塗工液の乾燥物1gずつ採取し、96%硫酸1ml添加した後、電気炉で灰化し、残った残渣物を5%塩酸に溶解させた。該溶液を誘導結合プラズマ発光分析装置に供試し、それぞれナトリウムイオン濃度を測定した。さらに樹脂層中のポリビニルアルコールとポリアクリル酸と粘土鉱物との質量比と、上記ナトリウムイオン濃度から、ポリビニルアルコールの質量とポリアクリル酸の質量の合計を100質量部としたときの、アルカリ金属イオンの質量を求めた。
〔乾熱処理〕
210mm×300mmの多層構造体を、150℃、水蒸気濃度5g/m3のオーブン中で60分間熱処理した。
〔塗工液の作製〕
(1)塗工液(1)の作製
分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1300gと、ポリビニルアルコール(AQ2117;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%、重合度1,700)130gとを混合し、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。該ポリビニルアルコール水溶液(60℃)を前記同様の条件で攪拌しながら、1−ブタノール122g、イソプロピルアルコール122gおよびイオン交換水520gを混合してなるアルコール水溶液を5分間かけて滴下した。滴下終了後、高速攪拌(3,000rpm、周速度=8.2m/分)に切り替え、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(商品名:クニピアG;クニミネ工業(株)製)82gを徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間攪拌を続けた。その後、さらにイソプロパノール243gを15分間かけて加え、次いで該混合系を室温まで冷却し、粘土鉱物含有液(1)を得た。この粘土鉱物含有液(1)に対し、非イオン性界面活性剤(ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)0.06質量部(後記塗工液(1)中の液体媒体の質量を100質量部とする)を低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において添加し、pHが6となるようにイオン交換樹脂で調整し、粘土鉱物分散液(1)を調製した。
またさらに別の分散釜(商品名:デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1067gと、ポリアクリル酸(和光純薬工業(株)製、平均分子量1,000,000)33gとを混合し、常温にて低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)で樹脂(A3)溶液を作製した。
粘土鉱物分散液(1)2519gと樹脂(A3)溶液1100gを、低速撹拌下(1500rpm、周速度4.1m/分)において徐々に混合して混合液とし、さらに該混合液を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて、1100kgf/cm2の圧力条件で処理することにより、塗工液(1)を得た。
塗工液(1)中の劈開したモンモリロナイト平均粒径Lは560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比Zは460であった。
(2)塗工(2)の作製
粘土鉱物分散液(1)のpHを4としたこと以外は、塗工液(1)と同様にして、塗工液(2)を作製した。
〔実施例1〕
環状オレフィン樹脂(商品名:アペル APL5014DP;三井化学(株)製)の150μmシートの両面をコロナ処理したものを基材として用いた。該基材の一方の表面上に、前述の塗工液(1)をバーコータ(♯28)を用いて、塗工して、80℃で20分間乾燥することにより、基材上に樹脂層Aを形成した。次いで樹脂層Aを形成した表面とは反対側の基材表面上にも、前述の方法と同様にして樹脂層A’を形成し、樹脂層A/基材/樹脂層A’からなる多層構造体(1)を得た。該樹脂層Aおよび樹脂層A’の厚みはそれぞれ0.4μmであり、樹脂層Aおよび樹脂層A’中のナトリウム濃度はそれぞれ0.7質量部(ただし、それぞれ樹脂層Aまたは樹脂層A’に含まれるポリビニルアルコールの質量とポリアクリル酸の質量の合計を100質量部とする)であった。得られた多層構造体(1)を乾熱処理した後、23℃、湿度50%RH雰囲気下で24時間エージングし、乾熱処理体(1)を得た。
乾熱処理体(1)の耐有機溶剤性を、以下の方法で評価した。23℃にて、乾熱処理体(1)の表面にトルエンを滴下し、5分間静置した後、該トルエンをふき取り、乾熱処理体(1)の様子を目視にて観察し、評価した。乾熱処理体(1)に割れ、ひずみ、および樹脂層の剥れが認められなかった。
また乾熱処理体(1)の耐油性を、以下の方法で評価した。23℃にて、乾熱処理体(1)をサラダ油に浸漬し、1時間静置した後、乾熱処理体(1)をサラダ油から取り出し、該乾熱処理体(1)に付着したサラダ油をふき取り、乾熱処理体(1)を、長さ60mm、幅20mmのサンプルについて、23℃にて、引張速度20mm/分の条件下で破断させるに要する力を測定し、これを23℃における破断強度(kgf/20mm)とした。乾熱処理体(1)の破断強度は11kgf/20mmであった。
結果を表1に示した。
〔実施例2〕
実施例1の塗工液(1)に替えて塗工液(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂層B/基材/樹脂層B’からなる多層構造体(2)を得た。該樹脂層Bおよび樹脂層B’の厚みはそれぞれ0.4μmであり、該樹脂層Bおよび樹脂層B’中のナトリウム濃度はそれぞれ0.4質量部(ただし、樹脂層Bまたは樹脂層B’それぞれに含まれるポリビニルアルコールの質量とポリアクリル酸の質量の合計を100質量部とする)であった。得られた多層構造体(2)を乾熱処理した後、23℃、湿度50%RH雰囲気下で24時間エージングし、乾熱処理体(2)を得た。乾熱処理体(2)の耐有機溶剤性、および耐油性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
環状オレフィン樹脂(商品名:アペル APL5014DP;三井化学(株)製)の150μmシートを基材とし、該基材の一方の表面上に、アンカーコート剤(商品名:アローベースSB1010;ユニチカ(株)製)を、バーコータ(♯8)を用いて、塗工して、80℃で5分間乾燥することにより、基材上にアンカーコート層Cを形成した。次いで該アンカーコート層Cの表面に、前述の塗工液(1)を実施例1と同様にして塗工、乾燥し、樹脂層Aを形成した。さらに樹脂層Aを形成した表面とは反対側の基材表面上にも、前述の方法と同様にして、アンカーコート層C’および樹脂層A’を形成した。こうして、樹脂層A/アンカーコート層C/基材/アンカーコート層C’/樹脂層A’からなる多層構造体(3)を得た。該アンカーコート層Cおよびアンカーコート層C’の厚みはそれぞれ0.8μm、樹脂層Aおよび樹脂層A’の厚みはそれぞれ0.4μmであり、樹脂層Aおよび樹脂層A’中のナトリウム濃度は0.7質量部(ただし、それぞれ樹脂層Aまたは樹脂層A’に含まれるポリビニルアルコールの質量とポリアクリル酸の質量の合計を100質量部とする)であった。得られた多層構造体(3)を乾熱処理した後、23℃、湿度50%RH雰囲気下で24時間エージングし、乾熱処理体(3)を得た。乾熱処理体(3)の耐有機溶剤性、および耐油性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
実施例(1)の多層構造体(1)について耐有機溶剤性、および耐油性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
環状オレフィン樹脂(商品名:アペル APL5014DP;三井化学(株)製)の150μmシートの耐有機溶剤性および耐油性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示した。結果を表1に示した。
Figure 2014108592
○:割れ、ひずみ、および樹脂層剥れが認められない。
×:割れ、およびひずみが認められる。

Claims (11)

  1. 環状オレフィン樹脂を含有する基材と
    水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分(A)と、アルカリ金属イオン(B)とを含有し、以下の条件(1)および(2)を満たす樹脂組成物(C)からなる樹脂層と
    を有する多層構造体。
    (1)樹脂成分(A)に含まれる、水酸基の物質量とカルボキシル基の物質量との合計を100モル%としたとき、該水酸基の物質量が30〜95モル%であり、該カルボキシル基の物質量が5〜70モル%であること。
    (2)樹脂組成物(C)に含まれるアルカリ金属イオン(B)の質量が、前記樹脂成分(A)の質量を100質量部としたとき、0.2〜5質量部であること。
  2. 樹脂成分(A)の質量を100質量%としたとき、該樹脂成分(A)に含まれる水酸基の質量とカルボキシル基の質量の合計が30〜60質量%である請求項1に記載の多層構造体。
  3. 前記樹脂成分(A)が、一分子中に水酸基とカルボキシル基とを含む樹脂(A1)である請求項1または2に記載の多層構造体。
  4. 前記樹脂成分(A)が、水酸基を含む樹脂(A2)と、カルボキシル基を含む樹脂(A3)とを含有する請求項1または2に記載の多層構造体。
  5. 前記樹脂(A1)が、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体またはビニルアルコール−メタアクリル酸共重合体である請求項3に記載の多層構造体。
  6. 前記樹脂(A2)が、ポリビニルアルコールである請求項4に記載の多層構造体。
  7. 前記樹脂(A3)が、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物、ポリメタアクリル酸部分中和物からなる群から選択される1種以上の樹脂成分である請求項4に記載の多層構造体。
  8. 前記アルカリ金属イオン(B)が、ナトリウムイオンである請求項1〜7いずれか一項に記載の多層構造体。
  9. 請求項1〜8いずれか一項に記載の多層構造体を乾熱処理してなる乾熱処理体。
  10. 請求項9に記載の乾熱処理体を湿熱処理してなる湿熱処理体。
  11. 環状オレフィン樹脂を含有する基材と樹脂層とを有する多層構造体の製造方法であって、
    水酸基およびカルボキシル基を含む樹脂成分(A)と、アルカリ金属イオン(B)とを含有し、以下の条件(1)および(2)を満たす樹脂組成物(C)と、
    液体媒体と
    を含有する塗工液を、
    前記基材表面に塗工し、塗工膜を形成した後、
    前記塗工膜から前記液体媒体を除去して、樹脂層を形成する多層構造体の製造方法。
    (1)樹脂成分(A)に含まれる、水酸基の物質量とカルボキシル基の物質量との合計を100モル%としたとき、該水酸基の物質量が30〜95モル%であり、該カルボキシル基の物質量が5〜70モル%であること。
    (2)樹脂組成物(C)に含まれるアルカリ金属イオン(B)の質量が、前記樹脂成分(A)の質量を100質量部としたとき、0.2〜5質量部であること。
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JP2018034813A (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 クリロン化成株式会社 水性飲料用フィルムバッグ

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