JP3900555B2 - 組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無機層状化合物を媒体に分散させた分散組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、流通形態、包装技術の多様化、添加物規制、嗜好の変化などにより、食品等の包装や容器として用いる樹脂積層体や成形品に求められる重要な機能の1つとしてガスバリア性が挙げられる。
しかし、ガスバリア性は一般プラスチック材料の弱点でもあった。食品の変質要因としては、酸素、光、熱、水分等があげられ、とりわけ酸素はその起因物質として重要である。内容物を保護するために各種ガスバリア性は食品に大切な性質であり、バリア材は酸素を有効に遮断すると同時にガス充填や真空包装などの食品の変質を制御する手段にとってもなくてはならない材料である。また、酸素ガスだけでなく各種のガス、有機溶剤蒸気、香気などに対するバリア機能を有することにより、防錆、防臭、昇華防止に利用できることから、菓子袋、カツオパック、レトルトパウチ、炭酸ガス飲料容器等の食品用途に加え、化粧品、農薬、医療等の多くの分野で利用されている。
【0003】
熱可塑性樹脂よりなるフィルムの中で、特に配向されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルムは、優れた力学的性質や、耐熱性、透明性などを有し広く包装材料として用いられている。しかし、これらのフィルムを食品包装用として用いる場合には、酸素やその他の気体の遮断性が不十分であるため、酸化劣化や好気性微生物による内容物の変質を招き易かったり、香気成分が透過してしまい、風味が失われたり、外界の水分で内容物が湿り口当りが悪くなるなど、種々の問題を生じがちである。そこで通常は他のガスバリア性の良い膜層を積層するなどの方法がとられている場合が多い。
【0004】
従来より、ガスバリア性に優れた透明プラスチック素材も種々知られており、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等からなるフィルム等があるものの、これらプラスチック素材は未だ無視できない程度の酸素を透過するものである。また包装用途で、アルミ箔を使用した場合にはガスバリア性に優れるものの、内容物が見えないと云う欠点がある。
【0005】
一方、無機層状化合物に樹脂水溶液を添加した水性混合分散液などの組成物は包材などの用途に広く用いられている。また該組成物を製膜、シート化または基材と複合してなるシート、フィルム、成形品は光学材料、物質遮断性材料、ハードコート材などとして広く用いられている。しかしながら、無機粒子と樹脂を分散したものはガスバリア性や種々の有用な特徴を備えながら、樹脂のみからなる製品と比較し著しく透明性が損なわれるという問題点があった。また、樹脂材料としての特徴により、成形加工中あるいは成形品が静電気を帯び易く、空気中の水分の付着により表面が曇ったりすることによる透明性低下など、障害の原因となることもあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように無機層状化合物を含有する樹脂からなる組成物は広く用いられているが、食品をはじめとする各種包材用途においては、包装された製品がよく見えるために透明性に優れていることが求められる。商品展示時の美麗さはプラスチック包材に特有のものであり、より曇りの少なく透明なフィルムの提供が要求される。また工業的な生産においては、インラインでの乾燥に用いるオーブンの必要能力は固形分濃度に依存し、設備費を低く押さえるために固形分濃度をより高くすることが望まれる。また、液晶表示装置においては、熱可塑性樹脂からなる一軸配向性位相差フィルムを使用することにより、表示の白黒化およびコントラストの向上を実現することが可能になったが、視野角特性など問題点もまだ多く残されている。また、施設園芸用途では、農業用フィルムなどにおいて防曇性の速効性や持続性が求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、無機層状化合物と媒体とを混合した組成物を、細管中を高速通過させながら分割し、再合流させて組成物同士を衝突させることにより分散処理する方法であって、該細管中の最大圧力条件が100kgf/cm2以上であることを特徴とする無機層状化合物及び媒体からなる分散組成物の製造方法に関するものである。本発明の製造方法により製造される分散組成物を用いて得られる成形品または積層体は、HAZEが15以下と極めて優れた透明性を有するものである。本発明において、無機層状化合物および媒体を高圧分散装置で処理する際に、100kg/cm2 以上の圧力条件下で処理することで、成形品または積層体に加工したときの透明性により優れた組成物が得られ、また無機層状化合物の配向性制御に優れることから、ガスバリア性、防曇効果に優れており、屈折率異方性についても好ましいものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる無機層状化合物とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している無機化合物をいう。層状構造とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって略平行に積み重なった構造をいう。
【0009】
無機層状化合物の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物等を挙げることができる。ここに、カルコゲン化物とは、IV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,Ta)および/又はVI族(Mo,W)元素のジカルコゲン化物であって、式MX2 (Mは上記元素、Xはカルコゲン(S,Se,Te)を示す。)で表わされるものをいう。
【0010】
無機層状化合物の粒径は、フィルムとした際の製膜性ないし成形性の点からは、後述する方法により測定した無機層状化合物の粒径は、分散樹脂組成物としての製膜性ないし成形性の点で、通常、5μm以下であることが好ましい。分散樹脂組成物の透明性の点からは、この粒径は2μm以下であることが好ましく、透明性が重視される用途、例えば食品包装用途に用いる場合には、この粒径は1μm以下であることが更に好ましい。
【0011】
ガスバリア性の点からは、無機層状化合物のアスペクト比は50以上5000以下のものがよく用いられ、100以上であるものが好ましく、さらに好ましくは、200以上であるものがよい。アスペクト比が5000を越えるものも使用できるが、5000を越える無機層状化合物を得ることは技術的に難しく、またコストないし経済的にも高価なものとなる。製造が容易である点では、アスペクト比は2000以下(さらには1500以下)であることが好ましい。ガスバリア性および製造容易性のバランスの点からは、アスペクト比は200〜3000の範囲のものであることが好ましい。
【0012】
分散性を向上させるには、媒体中で膨潤・へき開する性質を有する無機層状化合物が好ましく用いられる。無機層状化合物の溶媒への膨潤・へき開性の程度は、以下の膨潤・へき開試験により評価することができる。無機層状化合物の膨潤性は、下記膨潤性試験において約5以上(更には約20以上)の程度であることが好ましい。一方、無機層状化合物のへき開性は、下記へき開性試験において約5以上(更には約20以上)の程度であることが好ましい。これらの場合、溶媒としては、無機層状化合物の密度より小さい密度を有する溶媒を用いる。無機層状化合物が天然の膨潤性粘土鉱物である場合、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
<膨潤性試験>
無機層状化合物2gを溶媒100mLにゆっくり加える(100mLメスシリンダーを容器とする)。静置後、23℃、24hr後の無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から前者(無機層状化合物分散層)の体積を読む。この数値が大きい程、膨潤性が高い。
<へき開性試験>
無機層状化合物30gを溶媒1500mLにゆっくり加え、分散機(浅田鉄工(株)製、デスパーMH−L、羽根径52mm、回転数3100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて周速8.5m/secで90分間分散した後(23℃)、分散液100mLをとりメスシリンダーに入れ60分静置後、上澄みとの界面から、無機層状化合物分散層の体積を読む。
【0013】
溶媒に膨潤・へき開する無機層状化合物としては、溶媒に膨潤・へき開性を有する粘土鉱物が特に好ましく用いられる。
かかる粘土系鉱物は、一般に、シリカの四面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を有する2層構造を有するタイプと、シリカの四面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした八面体層を両側から狭んでなる3層構造を有するタイプに分類される。前者の2層構造タイプとしては、カオリナイト族、アンチゴライト族等を挙げることができ、後者の3層構造タイプとしては、層間カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。
【0014】
これらの粘土系鉱物のより具体例としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げることができる。また、白水晴雄著、「粘土鉱物学」、1988年、(株)朝倉書店 などの文献を参照することができる。
【0015】
本発明に用いられる媒体は特に限定されないが、本発明の分散組成物を形成した際に、少なくとも一部溶解しているか、均一に分散しているものが好ましく用いられる。例えば、樹脂、重合性官能基を有する単量体が挙げられる。かかる樹脂としてはポリビニルアルコールおよびその類縁体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、セルロース等の多糖類およびその化学修飾物、ポリ−3−ヒドロキシブチレートおよび3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシアクリレート共重合体等の微生物産生ポリエステル、ポリ乳酸等の生分解性脂肪族ポリエステル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリヒドロキシ安息香酸等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド、ジエチレントリアミン−アジピン酸共重合体及びその塩等のアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、エチレン−アクリル酸共重合体およびその塩などのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のスチレンないしアクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート樹、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂等のエンジニアリングプラスチック樹脂、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピリジンおよびその塩、ポリエチレンイミンおよびその塩、ポリアリルアミンおよびその塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリビニルチオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の水素結合性基やイオン性基を分子中に有する樹脂があげられる。ここに水素結合性基とは、炭素以外の原子(ヘテロ原子)に直接結合した水素を少なくとも1個有する基をいう。この水素結合性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基等があげられる。また、イオン性基とは、水中において水分子の水和が可能な程度に局在化した「正または負」の少なくとも一方の電荷を有する基をいう。このようなイオン性基としては、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
【0016】
媒体として用いられる重合性官能基をもつ単量体とは、ビニル基、カルボキシル基、無水カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、エステル基、ハロゲン化アシル基、アミド基、スルホン基、ハロゲン化スルホニル基、アルデヒド基、ニトリル基、アセチル基、チオール基、チオカルボン酸基、チオアルデヒド基、イソシアネート基、燐酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基、シリル基、シロキサン基、アリル基、フルオロアルキル基、カルボニル基、ハロゲン基などの重合性官能基を少なくとも一つ以上もち、熱、放射線、電子線、中性子線、紫外線などのエネルギーを与えたり、重合開始剤の添加などにより、重合反応を引き起こす化合物である。
かかる重合性官能基を有する単量体の具体例としては、付加重合系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、テトラフルオロエチレン、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、ビニルシクロヘキサン、シアノアクリル酸エチル、シアン化ビニリデンなどが挙げられる。
【0017】
また縮合系単量体としては、ヘキサメチレンジアミン、メラミン、尿素、アニリン、フェノール、エチレングリコール、ビスフェノールA、テトラメチレングリコール、アジピン酸、ホルムアルデヒド、テレフタル酸、ホスゲン、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソシア酸エステル、ウレタン、フェニルイソシアナート、ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
開環重合系単量体としては、εカプロラクタム、ヘキサジメチルシロキサン、無水フタル酸、γおよびδラクトン、ラクチドグリコキシド、βプロピオラクトン、εカプロラクトン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシジルエーテル、ポリエチレンイミン、プロピレンイミン、テトラメチルシロキサン、エノールラクトン、アスノラクトン、イソマレイミド、イミノジオキソラン、ポリアプラミド、ポリω−アミノヘプタン酸、ポリω−アミノノナン酸、ポリウンデカンアミド、ポリラウリルラクタム、ポリエチレンジアミンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリオクタメチレンアジパミド、ポリデカメチレンアジパミド、ポリドデカメチレンアジパミドなどが挙げられる。これらの単量体はその誘導体を用いても、また複数の単量体を用いてもよい。
【0018】
本発明に用いられる媒体としては、溶媒中に溶解または分散された樹脂、単量体も含む。また水性エマルジョンを形成するポリ塩化ビニリデン系エマルジョン、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン、ポリウレタン系エマルジョン、ポリエステル系エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョンなども使用可能である。
【0019】
本発明の媒体の1つとして用いられるシランカップリング剤は、代表的なものにはアミノ系シランカップリング剤、ビニル系あるいはメタクリロキシ系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メチル系シランカップリング剤、クロロ系シランカップリング剤、アニリノ系シランンカップリング剤、メルカプイト系シランカップリング剤などを挙げることができる。
【0020】
本発明の媒体の1つとして用いられるエチレンビニルアルコール共重合体は、耐湿性とガスバリア性の点で通常、エチレン含有量20〜60モル%、好ましくは20〜45モル%、より好ましくは25〜40モル%のものであり、ビニルエステル成分のケン化度は通常、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上のものである。これより小さいものは、ガスバリア性、耐湿性が損なわれる。
【0021】
樹脂のさらに好ましいものとしては、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、多糖類およびその誘導体などがあげられる。
かかるポリビニルアルコールとは、ビニルアルコールのモノマー単位を主成分として有するポリマーである。このようなポリビニルアルコールとしては、例えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解ないしエステル交換(けん化)して得られるポリマー(ビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体となったもの)や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体等をけん化して得られるポリマーが挙げられる(「ポリビニルアルコール」の詳細については、例えば、ポバール会編、「PVAの世界」、1992年、(株)高分子刊行会;長野ら、「ポバール」、1981年、(株)高分子刊行会を参照することができる)。 ポリビニルアルコールにおける「けん化」の程度は、水への分散性の点で、通常、モル百分率で70%以上が好ましく、更には85%以上のものが好ましい。また、ポリビニルアルコールの重合度は、ポリビニルアルコール部分の耐久性やゲル化の点で通常、100以上10000以下、好ましくは、200以上6000以下、さらに好ましくは、300以上3000以下である。
【0022】
またポリビニルアルコール誘導体も使用でき、水酸基以外の官能基として例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基、シリル基、シロキサン基、アルキル基、アリル基、フルオロアルキル基、アルコシキ基、カルボニル基、ハロゲン基、等を一部有していても良い。
【0023】
さらに、本発明において使用可能な多糖類およびその誘導体には、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子、およびそれらを化学修飾してなるものも包含される。このような多糖類およびその誘導体の具体例としては、例えば、セルロース;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0024】
本発明で樹脂、単量体を溶解または分散させる溶媒としては水、有機溶媒あるいはこれらを複数混合させたものを使用することができる。かかる溶媒の具体例としては水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、フェノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ジオキサン、蟻酸、酢酸、クレゾール、ピリジン、アセトニトリル、アニソール、アラニン、エチルアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、ヘプタン、ノナン、テトラデカン、クロルベンゼン、ブロムベンゼン、ニトロベンゼン、エチルベンゼン、二硫化水素、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、エチルメルカプタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エピクロルヒドリン、エチレンオキシド、メチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0025】
本発明の分散組成物が分散液の状態である場合には、無機層状化合物を含む全固形分(無機層状化合物、樹脂、単量体等)濃度としては特に限定されるものではない。もちろん全固形分濃度を低下させれば分散は容易になるが、分散液をコーティングしたりするときの乾燥能力が膨大になるなどの点で不利となるので全固形分濃度はできるだけ高いことが望ましい。媒体、無機層状化合物の濃度は、通常、1〜70重量%であり、3〜20重量%が好ましく、4〜10重量%がより好ましい。分散組成物を用いて形成した成形品あるいは積層体中の無機層状化合物/樹脂(または重合性官能基を有する単量体)組成としては下記の通りである。無機層状化合物/樹脂の体積比(「仕込み」の際の比率)が通常、1/100〜100/1の範囲、好ましくは、5/95〜50/50の範囲、さらに好ましくは、10/90〜30/70の範囲である。また、この体積比が5/95〜30/70の範囲は、膜ないし成形物としての柔軟性の点で有利である。上記した無機層状化合物/樹脂の体積比(体積分率)が1/100より小さい場合には、無機層状化合物が付与すべき性質(例えば気体遮断性など)が低下する傾向にある。一方、該体積比が100/1を越えると、製膜性ないし成形性が低下する傾向がある。また、成形品または積層体としたときの折り曲げによる物性低下を抑制する点からは、体積比が7/93以上であることが好ましい。一方、本発明の分散組成物からなる層の柔軟性ないし基材からの剥離性の抑制の点からは、体積比が17/83以下であることが好ましい。すなわち、(無機層状化合物/樹脂)の体積比が7/93〜17/83の範囲は、柔軟性ないし基材からの剥離性の抑制の点からまた、折り曲げによる物性低下の抑制の点から、特に好ましい。このような体積比は、これらの成分の「仕込み」の際の重量比の分子(無機層状化合物の重量)および分母(媒体の重量)の値を、それぞれの密度で割り算して求めることができる。媒体(特に樹脂、例えばポリビニルアルコール)の密度は、一般に、結晶化度によって若干異なる場合があるが、上記体積比の計算においては、例えば、ポリビニルアルコールの結晶化度を50%と仮定して計算することができる。
【0026】
本発明において透明性を表わす指標としてHAZE(曇度)を用いるが、このHAZEを求めるには、本発明の分散組成物を基材上に製膜した成形品、あるいは基材にコーティングした積層体であって、最外層に該分散組成物の乾燥膜がある状態の測定値を求め、基材全体を基材と屈折率の同じ媒体中に浸漬した状態で測定した値を引いた結果を用いる。本発明の成形品あるいは積層体は、製品特に包装用途において外観を考慮したとき、HAZEについては25%以下が好ましく、さらには20%以下、特に15%以下が好ましい。
【0027】
本発明の分散組成物には、塗れ性、粘度調整の目的で各種溶剤を配合したり、必要に応じて添加剤を配合することができる。添加剤の一例としては顔料、界面活性剤、防かび剤、防腐剤、架橋剤、消泡剤、酸化防止剤などが挙げられる。顔料としてはプライマー用防錆顔料として、クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、燐酸亜鉛、鉛丹、亜鉛華、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩などが挙げられる。着色顔料として、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクドリン、インダンスロン、イソインドリノン、ベリレン、アンスラピリミジン、ベンズイミダゾロン、カーボンブラック、二酸化チタン、黒鉛、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄などが挙げられる。金属箔顔料として、アルミニウム箔、ブロンズ箔、錫箔、金箔、銀箔、銅箔、金属チタン箔、ステンレススチール箔、ニッケル箔、クロム箔、及び上述した金属の合金箔、プラスチックで被覆した金属箔などが挙げられる。光輝性顔料として、マイカ箔、箔状フタロシアニンブルー等が挙げられる。体質顔料としては、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク等が挙げられる。
【0028】
界面活性剤としては、例えば非イオン系、陰イオン系、陽イオン系、両性系などの任意の界面活性剤の中から、処理液の安定、発泡性、塗布性などの作業性を考慮し適宜選定して使用することができる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル、ソルビタン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン酸脂肪部分エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0029】
陰イオン系活性剤としては、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩、アルキル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩が挙げられる。
陽イオン系活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩が挙げられ、両性系としては、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタインが挙げられる。
【0030】
また、防かび剤及び防腐剤としては、第4級アンモニウム塩、含窒素硫黄化合物、含ハロゲン窒素硫黄化合物、有機ヨウ素系化合物、ベンズイミダゾール系化合物などを使用することができる。 防かび剤としては具体的には2−チアゾール−4−イルベンズイミダゾール、メチルベンズイミダゾール−2−イルカルバメート、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミド、テトラメチルチウラムジサルファイド、N−(トリクロロメチルチオ)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフタロニトリル、及び2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、ビス(2−ピリジルチオ)−ジンク−1,1−ジオキサイド等があるが、耐熱性を考慮すれば2−チアゾール−4−イルベンズイミダゾール、メチルベンズイミダゾール−2−イルカルバメート及び2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−イソフタロニトリル、ビス(2−ピリジルチオ)−ジンク−1,1−ジオキサイドが好ましい。
また防バクテリア剤としては具体的には1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、及び10,10’−オキシビスフェノキシアルシン等が用いられる。
【0031】
使用可能な架橋剤は特に限定されないが、かかる架橋剤の好適な例としては、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系カップリング剤、銅化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。耐水性向上の点からは、ジルコニウム化合物が特に好ましく用いられる。 ジルコニウム化合物の具体例としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウム塩;蟻酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニウム塩;炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、蓚酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム錯塩;等があげられる。 架橋剤の添加量は特に限定されないが、架橋剤の架橋生成基のモル数(CN)と樹脂の水素結合性基のモル数(HN)との比(K=CN/HN)が、0.001以上10以下の範囲になるように用いることが好ましい。このモル数の比Kは、0.01以上1以下の範囲であることが更に好ましい。
【0032】
さらに成形品及び積層体表面の濡れ性をより向上させるために溶剤を添加することができる。溶剤は単体では室温付近で液体で、基材に塗布、乾燥した際に蒸散しているようなものが好ましく用いられる。これには例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ペンタノール、オクタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。溶剤を液に加えて無機層状化合物を分散する場合に、加熱して撹拌することが分散性の上では望ましいため、溶剤の沸点が低すぎると溶剤が蒸散してしまうという問題が起こりうる。また、溶剤の沸点が高すぎると水分を蒸発させて塗膜を形成したときに溶剤が残ってしまうという問題がある。このため、溶剤は沸点が50℃から200℃(更には80℃から140℃)にあるものが好ましく、これにはメタノール、エタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、ペンタノール、オクタノール等が挙げられる。また、溶剤は複数種類用いてもよい。このようにして調製した液は、塗工したり、ディップコート、刷毛で塗布して使うことが可能である。
【0033】
本発明の分散組成物を製造するに際しては、高圧分散装置で処理することを特徴としている。配合の順序としては様々な方法が用いられる。例えば、媒体が樹脂水溶液あるいは樹脂分散液の場合には、水に対してまず樹脂を加え溶解、分散させ、次いで無機層状化合物を加え分散させる方法、他にも、無機層状化合物、樹脂の順で加える方法、無機層状化合物の分散液と樹脂の水溶液や分散液を混合する方法など複数の方法があるが、どの配合順序の方法を用いてもよい。また複数種類の樹脂、無機層状化合物を用いてもかまわないし、それぞれの原料を複数回にわたって加えてもかまわない。高圧分散装置で処理する前の段階における、無機層状化合物と媒体との混合の方法については特に限定されない。混合用の釜は温度制御用に温水やスチームなどの熱媒を通じることのできるジャケットを外壁に備えたものなどが好ましい。また、泡のかみこみや分散の均一化をはかる観点から、釜内部にバッフルのあるものなどが使用され、同様の理由から、分散翼の位置は釜の中心ではなく少しずらす(偏芯)ほうが好ましい。ただし、固形分濃度が比較的高くかつ分散良好な分散組成物を得るためには、無機層状化合物、媒体を混合した組成物を用い、泡をかみこみにくいように、内部を200mmHg以下に減圧した釜内で4000〜7000rpmの高速撹拌する方法が高い剪断力による効果を得やすい。
【0034】
ついで、無機層状化合物と媒体を混合した組成物を高圧分散装置で処理する。本発明で用いる高圧分散装置は、無機層状化合物と媒体を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合に、例えば、管径1〜1000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が100kgf/cm2 以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が100kcal/hr以上に達するものが好ましい。
【0035】
図1において、高圧分散処理装置内での高圧処理部の原理を模式的に示した。図1中、(B)のポンプにより(C)、(D)の細管部分で処理サンプルに高圧がかかる。そして瞬間的に最高速度に達する地点(E)の流速が300m/sec、体積1×10-33 の立方体中を1/(3×105 )secで通過し、サンプル温度が35℃上昇するとき、圧力損失によりサンプルにエネルギーが伝達される。伝熱速度はサンプルの比重が1g/cm3 、比熱1cal/g℃のとき、3.8×104 kcal/hrとなる。 上記のような高圧分散装置にはMicrofluidicsCorporation社製超高圧ホモジナイザー(商品名マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノマイザーがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザー等が挙げられる。
【0036】
本発明の分散組成物はそれ自身をキャスト製膜法などにより成型品とすることができる。また、積層体の製造方法としては特に限定はされず、積層体の少なくとも一層、特に中間体に用いられる。積層体を得るには、水を含む組成物を乾燥しフィルム化(キャスト製膜などの方法)したものを後から基材に貼合する方法、基材に含水組成物をコーティングする方法などが通常用いられる。分散組成物を乾燥させて得たフィルムを用いて積層体を得る方法には、共押出法、溶融コーティング法、押出ラミネーション法、ドライラミネーション法等が挙げられる。これらの積層体は、フィルム、シート、チューブ、カップ、ボトル等に成形できる。成形法としては熱溶融させることにより、Tダイ成形、インフレーション成形、射出成形、ブロー成形、延伸ブロー成形等の通常の成形法が使用できる。また、フィルムまたはシートは、一般的に行われる延伸加工、例えば一軸延伸、ゾーン延伸、フラット逐次延伸、フラット同時二軸延伸、チューブラー同時延伸を施すことができる。コーティングにより積層体を得る方法としては、ダイレクトグラビア法やリバースグラビア法及びマイクログラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコーティング法、及びドクターナイフ法やダイコート法、ディップコート法、バーコーティング法やこれらを組み合わせたコーティング法などの方法が挙げられる。
【0037】
本発明の分散組成物から形成される層の膜厚は、積層体の目的とする性質によって適宜選択でき特に制限はされない。通常、乾燥厚みで30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。下限については特に制限はないが、効果を得るためには1nm以上、さらには10nm以上、特に100nm以上であることが好ましい。
【0038】
本発明の分散組成物と共に積層体を形成する基材は、特に限定されず、フィルム状、シート状、ボトル状、トレイ状など特に形態に制限はない。その材質としては、樹脂、紙、アルミ箔、木材、布、不織布等の公知ないし一般的なものを目的・用途に応じて使用可能である。特にフィルム状である場合、無延伸である以外に、1軸、2軸に延伸されていてもよい。もちろん公知の下塗りやコロナ処理などがされていてもよく、これら表面処理は発明の目的を損しない範囲でフィルム状のみならずそれ以外の形態の基材についてなされていてもよい。
【0039】
基材として樹脂を用いる場合、かかる樹脂としては、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン一6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド等のアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のスチレンないしアクリロニトリル系樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)等のハロゲン含有樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂等のエンジニアリングプラスチック系樹脂等が挙げられる。
【0040】
本発明の分散組成物より得られる成形品あるいは積層体は、包装、液晶表示、施設園芸をはじめとする種々の用途に用いられる。例えば、無機層状化合物の複屈折を利用した位相差フィルムや層状構造による低分子拡散遅延効果を利用した気体・低分子拡散遮断性フィルム・成型品、などに用いることができる。気体遮断性フィルムとして食品・医薬品の包装用途に用いる場合、このフィルムに対して印刷や他のフィルムを更に積層することによって成型品として用いることができる。また本発明で得られる分散組成物は、特開平06−082779号公報に記載の用法、用途で無機層状化合物に合成ヘクトライト、媒体としてポリビニルアルコール樹脂水溶液を使用し、高圧分散装置処理することにより得られる分散組成物を成形し液晶表示装置に用いることができる。かかる液晶表示装置は、無機層状化合物の微細な分散状態や配向性の制御により、透明性、製膜性に優れた特性を有する。また無機層状化合物の層間に樹脂を複合させることにより、面内屈折率と厚み方向の屈折率が異なることで、面内に屈折率異方性がほとんどなく厚み方向の屈折率異方性が大きい、複屈折性、視野角度特性に優れた成形品あるいは積層体が得られる。さらに本発明で得られる分散組成物は、特開平08−53558号公報に記載の用法、用途で、無機層状化合物に合成ヘクトライト、媒体としてポリビニルアルコール水溶液を使用し、高圧分散装置で処理した分散組成物を用いて、施設園芸用途に用いることができる。本発明の製造法により得られた分散組成物を用いた成形品あるいは積層体は、無機層状化合物の微細な分散構造とバインダーとしての樹脂の複合により、優れた防曇効果の速効性と持続性を有し、なおかつ塗布膜の接着強度に優れたフィルムを得ることが可能になる。
【0041】
以下に本発明で用いる各物性測定法について説明する。
[平均粒径を求める方法]
分散組成物中の無機粒子の平均粒径を求める方法は、回折/散乱法による方法、動的光散乱法による方法、電気抵抗変化による方法、顕微鏡撮影後画像処理による方法などが可能である。動的光散乱法では複数の成分からなる媒体と、無機粒子が共存している場合、見かけ液粘度が単一の媒体と変わってしまうために評価しにくく、電気抵抗変化による方法は組成物の電解質濃度などに制限があり、顕微鏡撮影後画像処理による方法は分解能の問題があり、それぞれ使いづらい。回折/散乱法による方法は、媒体に実質上散乱が少なく(透明ということ)、粒子由来の散乱が支配的である場合には、媒体の成分数に関わらず無機粒子の粒度分布のみの情報が得られるため、比較的好ましく用いられる。
【0042】
[回折/散乱法による粒度分布・平均粒径測定]
回折/散乱法による粒度分布・平均粒径測定は分散組成物に光を通過させたときに得られる回折/散乱パターンをミー散乱理論などを用いてパターンに最も矛盾のない粒度分布を計算することによりなされる。市販の装置としては、コールター社製 レーザー回折・光散乱法 粒度測定装置LS230、LS200、LS100、島津製作所製 レーザー回折式粒度分布測定装置SALD2000、SALD2000A、SALD3000、堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置LA910、LA700、LA500、日機装製 マイクロトラックSPA、マイクロトラックFRA、などがあげられる。本発明の分散組成物は希釈なしで測定することが好ましい。散乱が強すぎて光透過性の低い液の場合は、光路長を短くとることで分散組成物を希釈なしで測定できる(例えば堀場製作所製LA910の場合にはバッチ式セル、ペーストセルなどで著しく光路長を短縮できる)。またこの測定方法では、粒子間距離が光源の波長以下であれば無機粒子を分離して識別できなくなってくるため、ある程度の距離(例えばサブミクロン以下)を隔てて(間に樹脂などを介在して)近接している複数の粒子は一つの粒子と認識する。このため、粒子同士の凝集による分散不良だけでなく、樹脂などを介在することで生じる分散不良についても本方法で評価することができる。
【0043】
[アスペクト比決定方法]
アスペクト比(Z)とは、Z=L/aの関係から求められる比である。ここに、Lは、分散組成物中、上記した回折/散乱法による粒径測定法により求めた無機層状化合物の粒径(体積基準のメジアン径)であり、aは、無機層状化合物の単位厚みである。この「単位厚みa」は、後述する粉末X線回析法等によって、無機層状化合物単独の測定に基づいて決められる値である。より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線回折ピークの強度をとった図2のグラフに模式的に示すように、観測される回折ピークのうち最も低角側のピークに対応する角度θから、Braggの式(nλ=2Dsinθ、n=1,2,3・・・)に基づいて求められる間隔を、「単位厚さa」とする(粉末X線回析法の詳細については、例えば、塩川二朗監修「機器分析の手引き(a)」69頁(1985年)化学同人社発行を参照することができる)。 媒体が樹脂のみのときの分散組成物を粉末X線回析した際には、樹脂媒体中における無機層状化合物の面間隔dを求めることが可能である。より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線回折ピークの強度をとった図3のグラフに模式的に示すように、上記した「単位厚さa」に対応する回折ピーク位置より、低角(間隔が大きい)側に観測される回折ピークのうち、最も低角側のピークに対応する間隔を「面間隔d」(a<d)とする。図4のグラフに模式的に示すように、上記「面間隔d」に対応するピークがハロー(ないしバックグラウンド)と重なって検出することが困難な場合においては、2θdより低角側のベースラインを除いた部分の面積を、「面間隔d」に対応するピークとしている。ここに、「θd」は、「(単位長さa)+(樹脂1本鎖の幅)」に相当する回折角である(この面間隔dの決定法の詳細については、例えば、岩生周一ら編、「粘土の事典」、35頁以下および271頁以下、1985年、(株)朝倉書店を参照することができる)。このように分散樹脂組成物の粉末X線回析において観測される回折ピーク(面間隔Sdに対応)の「積分強度」は、基準となる回折ピーク(「面間隔a」に対応)の積分強度に対する相対比で2以上(更には10以上)であることが好ましい。 通常は、上記した面間隔dと「単位厚さa」との差、すなわちk=(d−a)の値(「長さ」に換算した場合)は、 樹脂組成物を構成する樹脂1本鎖の幅に等しいかこれより大である(k=(d−a)≧樹脂1本鎖の幅)。このような「樹脂1本鎖の幅」は、シミュレーション計算等により求めることが可能であるが(例えば、「高分子化学序論」、103〜110頁、1981年、化学同人を参照)、ポリビニルアルコールの場合には4〜5オングストロームである(水分子では2〜3オングストローム)。上記したアスペクト比Z=L/aは、必ずしも、分散樹脂組成物中の無機層状化合物の「真のアスペクト比」と等しいとは限らないが、下記の理由により、このアスペクト比Zをもって「真のアスペクト比」を近似することには妥当性がある。すなわち、分散樹脂組成物中の無機層状化合物の「真のアスペクト比」は直接測定がきわめて困難である。一方、分散樹脂組成物の粉末X線回析法により求められる面間隔dと、無機層状化合物単独の粉末X線回析測定により求められる「単位厚みa」との間にa<dなる関係があり、且つ(d−a)の値が該分散組成物中の樹脂1本鎖の幅以上である場合には、分散樹脂組成物中において、無機層状化合物の層間に樹脂が挿入されていることとなる。したがって、分散樹脂組成物中の無機層状化合物の厚みを上記「単位厚みa」で近似すること、すなわち分散樹脂組成物中の「真のアスペクト比」を、上記した無機層状化合物の分散液中での「アスペクト比Z」で近似することには、充分な妥当性がある。上述したように、分散樹脂組成物中での真の粒径測定はきわめて困難であるが、樹脂中での無機層状化合物の粒径は、媒体が樹脂/溶媒のときの無機層状化合物の粒径とかなり近いと考えることができる。但し、回折/散乱法で求められる分散液中での粒径Lは、無機層状化合物の長径Lmaxを越える可能性はかなり低いと考えられるため、真のアスペクト比(Lmax/a)が、本発明で用いる「アスペクト比Z」を下回る(Lmax/a<Z)可能性は、理論的にはかなり低い。上述した2つの点から、本発明で用いるアスペクト比の定義Zは、充分な妥当性を有するものと考えられる。本発明において、「アスペクト比」または「粒径」とは、上記で定義した「アスペクト比Z」、または「回折/散乱法で求めた粒径L」を意味する。
【0044】
下記、実施例(実施例1、5、比較例2)に示したように、高圧分散装置で処理したものは、面間隔が大きくなっており、より高圧で処理したもののほうが面間隔はさらに増大している。このことは高圧で処理するほど層構造のへき開が、進んでいることを示している。
また、図8〜10の樹脂組成物は、無機層状化合物/樹脂の体積配合比がすべて1/1であり、濃度が異なる液から作製したフィルムである。このサンプルに使用している無機層状化合物の厚みは9オングストロームである。
体積配合比が1/1のときに面間隔が約20オングストロームとほぼ倍の値であることから、ほとんどすべての無機層状化合物がへき開しており、無機層状化合物の板間に樹脂が1/1の割合で相互作用した状態になっていることを示している。ほとんどの無機層状化合物がへきかいし同様の構造を取っていることは、鋭いピークがサンプル濃度によらず同じ位置に出現していることからも確認できる。
【0045】
[酸素透過度]
本発明の成形品または積層体は、無機層状化合物を用いた分散組成物を乾燥薄膜化してなる場合に、酸素遮断性を有するが、23℃、95%RH下での酸素透過度が1μmあたり30cc/m2 ・day・atm以下であり、20cc/m2 ・day・atm以下であることが好ましい。上記成形品または積層体は酸素遮断性に優れているのみならず、その他の気体分子、例えば、ヘリウム、窒素、炭酸ガス、水、リモネン、メントールなど低分子の香気成分などの遮断性にも著しく優れている。
【0046】
【発明の効果】
本発明の分散組成物を用いてなる成形体や積層体は、優れた透明性を発揮し、さらに優れた気体遮断性、水蒸気遮断性を有することから、食品包装をはじめ種々の用途に供することができる。また本発明の分散組成物を用いてなる成形体や積層体は、バリア性の観点からアルミ箔やガラスなどの金属や無機材料を必須としている用途にも用いることができ、かつ透明性にも優れている。なお、金属の不透明性やセラミックの脆さなどの弱点については、分散樹脂組成物である本発明がそれらより優れていることは言うまでもない。また本発明の製造法によれば、液作製における撹拌時間の短縮や高濃度均一分散液の作製といった効果も得られる。そのほかにも視野角度特性に優れた液晶表示装置や、防曇性に優れた施設園芸用途など幅広い用途に供される。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[フィルム透明性]
HAZEについてはヘーズメーター(スガ試験機製)を用い測定した。本発明で用いられるHAZEとは、JIS K 7105「プラスチック光学的特性試験方法」に記載されているように、式:[(散乱光透過率/全光線透過率)×100]なる%表示で示される値である。
【0048】
[酸素透過度]
酸素透過度測定装置(OX−TRAN 10/50A, MOCON社製)を用い、温度23℃で測定した。
【0049】
[粒径]
粒径についてはレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所製)を使用し、媒体の樹脂マトリックス中に存在する無機層状化合物とみられる粒子のメジアン径を測定した。
【0050】
(実施例1)
無機層状化合物として高純度モンモリロナイト(商品名クニピアG;クニミネ工業(株)製)を、媒体としてポリビニルアルコール(PVA117H;(株)クラレ製,ケン化度:99.6モル%,重合度1700)水溶液を用いた。水はイオン交換水(0.7 μS/cm以下)を用いた。水を1860g秤量し、分散釜(商品名デスパMH−L、浅田鉄工(株)製)に入れ、低速撹拌下、ポリビニルアルコール80gを加えた後、撹拌速度を上げ(1500rpm、周速度4.10m/秒)、昇温開始し95℃に達したらその温度で1時間撹拌を行なって完全に溶解させた。撹拌したまま60℃に温度を下げた後、1−ブタノール20gを滴下して加えて最終的な溶剤分率が重量にして1%となるように溶液を調製した。(以下液1と略記する)
1960gの液1を撹拌乳化装置(商品名:真空乳化装置PVQ-3UN 、みづほ工業(株)製)に仕込む。樹脂と無機層状化合物の体積比が4:1(重量が2:1)となるよう、高純度モンモリロナイト40gを加え、高純度モンモリロナイトが液中にほぼ沈んだことを確認後、600mmHg 、5000rpm で10分間撹半した(以下液2と略記する)。このとき粒径は1.483μmであった。2000g の液2を高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110-E/H、Microfluidics Corporation 製)に通し、1750kgf/cm2 で1回処理することで分散性良好な均一分散液を得た(以下液3と略記する)。分散液の固形分濃度は3.8体積%(6重量%)、粒径は0.465μmであった。PVAとモンモリロナイトからなる分散液をフィルム状にキャストして、X線回折測定を行うと図7のようになった。このグラフのピークから底面間隔を求めると41.2オングストロームであり、このときの無機層状化合物のアスペクト比は121であった。 液3を厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(内面コロナ処理品 商品名FOK;二村三昌(株) 製)を基材として、マイクログラビアコーターを用いライン速度6m/分、乾燥温度100℃で2回塗布・乾燥し積層体を得た。この積層体のHAZEは12.4%であり、高い透明性を示した。このときの塗工面の膜厚は512nmであった。またこうして得た積層体に無延伸ポリプロピレンフィルム(内面コロナ処理品 商品名パイレンP−1153;東洋紡績(株) 製)を市販の接着剤を用いてドライラミネートした。積層体の厚み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度は2.98cc/m2 ・day・atmであった。
【0051】
(実施例2)
分散液の固形分濃度が7.5体積%である以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.400μmとなった。この液を使用しコーティングを2回する以外は、実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZEが11.2%、塗工面の膜厚は650nmであった。
【0052】
(実施例3)
無機層状化合物添加後の撹半に撹半式分散器(商品名:クレアミックスCLM−0.8S、エム・テクニック(株)製)を使用し、1750kgf/cm2 の高圧分散装置で5回処理する以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.369μmとなった。この液を使用しコーティングを2回する以外は、実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZEが13.2%、塗工面の膜厚は656nmであった。
【0053】
(実施例4)
分散液の固形分濃度が4体積%である以外は、実施例3と同様にして分散試験を行った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.369μmとなった。この液を使用しコーティングを2回する以外は、実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE11.8%、塗工面の膜厚490nmとなった。この積層体の厚み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度がは16.79cc/m2 ・day・atmであった。
【0054】
(実施例5)
分散液の固形分濃度が6体積%、高圧分散装置での処理圧が500kgf/cm2 である以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.507μmとなった。この分散液をフィルム状にキャストして、X線回折測定を行うと図6のようになった。このグラフのピ−クから底面間隔を求めると34.0オングストロ−ムであった。 別途この分散液を用いて実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE9.7%、塗工面の膜厚789nmとなった。この積層体の厚み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度は4.50cc/m2 ・day・atmであった。
【0055】
(実施例6)
分散液中の樹脂と無機層状化合物の体積比が1:1(重量比1:2)、固形分濃度が3%である以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径0.632μmとなった。この分散液をフィルム状にキャストして、X線回折測定を行うと図8のようであった。このグラフのピ−クから底面間隔を求めると23.0オングストロ−ムであった。別途この分散液を用いて実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE9.9%、塗工面の膜厚154nmとなった。この積層体の厚み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度は0.69cc/m2 ・day・atmであった。
【0056】
(実施例7)
分散液の固形分濃度が6体積%、高圧分散装置がマントンゴーリン型高圧分散装置イズミフードマシナリ製ホモゲナイザであり、処理圧が500kgf/cm2 である以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。その結果液中に含まれる分散粒子の粒径は0.425μmとなった。また実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE8.2%、塗工面の膜厚629nmとなった。この積層体の厚み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度は2.84cc/m2 ・day・atmであった。
【0057】
(実施例8)
分散液の固形分濃度が6体積%、無機層状化合物添加後の撹拌に分散釜を使用した後、高圧分散装置により1750kgf/cm2 で1回処理する以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。その結果液中に含まれる分散粒子の粒径は0.494μmとなった。また実施例1と同様にして1回コーティングしたフィルムはHAZEが5.5%となった。
【0058】
(実施例9)
分散液の固形分濃度が6体積%、高圧分散装置での処理圧が200kgf/cm2 である以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径は0.877μmとなった。またこの液を利用し実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE14.1%となった。
【0059】
(比較例1)
分散液の固形分濃度が5体積%、体積組成比4:1になるように樹脂、無機層状化合物を仕込み、分散装置に高圧分散装置処理をせず分散釜のみを使用し、無機層状化合物添加後60℃、3100rpm(周速8.47m/s)で90分撹半する以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は液中に含まれる分散粒子の粒径1.697μmとなった。この液を使用しコーティングを2回する以外は、実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE20.9%、塗工面の膜厚731nmとなった。この積層体の厚み1μm当りの23℃、95%RH下での酸素透過度は37.29cc/m2 ・day・atmであった。
【0060】
(比較例2)
分散液の固形分濃度が6体積%になるように無機層状化合物、樹脂を仕込み、分散装置に高圧分散装置処理をせず、250kgスケールの分散釜(デスパ、浅田鉄工製)のみを使用し、樹脂分散時1209rpm(周速12.9m/s)、95℃、90分撹半、無機層状化合物分散時1209rpm(周速17.7m/s)、60℃、180分撹半する以外は、実施例1と同様にして分散試験を行った。結果は媒体に含まれる分散粒子の粒径1.730μmとなった。この分散液をフィルム状にキャストして、X線回折測定を行うと図5のようになった。このグラフのピ−クから底面間隔を求めると26.6オングストロ−ムであった。別途この分散液を用いてコーティングを2回する以外は、実施例1と同様にしてコーティングしたフィルムは、HAZE27.3%、塗工面の膜厚1172nmとなった。
【0061】
(実施例10)
無機層状化合物にモンモリロナイト(商品名クニピアG;クニミネ工業(株)製)、媒体にポリビニルアルコール(PVA117H:クラレ(株)の商品名)水溶液を使用し、実施例1と同様の方法にて作製した分散液をフィルム表面に塗布した積層体を、水を入れた容器に固定したところ、比較例1と同様の方法にて作製した分散液より得られたフィルムを水を入れた容器に固定したときに較べ、防曇性に優れ、透明性が優れていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、高圧分散装置内部構造と、高圧、高剪断処理により粒子を微細な状態に分散させる仕組みを模式的に示した図である。
【図2】図2は、無機層状化合物のX線回折ピークと、該化合物の「単位厚さa」との関係を模式的に示すスペクトルである。
【図3】図3は、無機層状化合物を含む樹脂組成物のX線回折ピークと、該組成物の「面間隔d」との関係を模式的に示すスペクトルである。
【図4】図4は、「面間隔d」に対応するピークがハロー(ないしバックグラウンド)と重なって検出することが困難な場合における樹脂組成物のX線回折ピークと、該組成物の「面間隔d」との関係を模式的に示すグラフである。この図においては、2θdより低角側のベースラインを除いた部分の面積を、「面間隔d」に対応するピークとしている。
【図5】図5は、面間隔d=26.6オングストロームの組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。測定は比較例2に記載した方法により作製した分散液より得たフィルムを用いて行った。
【図6】図6は、面間隔d=34.0オングストロームの組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。測定は実施例5に記載した方法により作製した分散液より得たフィルムを用いて行った。
【図7】図7は、面間隔d=41.2オングストロームの組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。測定は実施例1に記載した方法により作製した分散液より得たフィルムを用いて行った。
【図8】図8は、面間隔d=23.0オングストロームの組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。測定は実施例6に記載した方法により作製した分散液より得たフィルムを用いて行った。
【図9】図9は、面間隔d=21.4オングストロームの組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。フィルム作製に使用した組成物は、固形分濃度4.5%である以外は実施例6と同様にして作製した分散液より得たフィルムである。
【図10】図10は、面間隔d=21.2オングストロームの組成物のX線回折ピークを示すスペクトルである。フィルム作製に使用した組成物は、固形分濃度6%である以外は実施例6と同様にして作製した分散液より得たフィルムである。
【符号の説明】
A:サンプル投入
B:ポンプ加圧
C:流路分岐
D:衝突・剪断
E:圧開放・処理完了

Claims (6)

  1. 無機層状化合物と媒体とを混合した組成物を、細管中を高速通過させながら分割し、再合流させて組成物同士を衝突させることにより分散処理する方法であって、該細管中の最大圧力条件が100kgf/cm2以上であることを特徴とする無機層状化合物及び媒体からなる分散組成物の製造方法。
  2. 媒体が樹脂、溶媒中に溶解または分散させた樹脂、重合性官能基を有する単量体、あるいは溶媒中に溶解または分散させた重合性官能基を有する単量体であることを特徴とする請求項1に記載の分散組成物の製造方法。
  3. 無機層状化合物/樹脂または重合性官能基を有する単量体の体積配合比が100/1〜1/100の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の分散組成物の製造方法。
  4. 無機層状化合物のアスペクト比が200以上3000以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の分散組成物の製造方法。
  5. 媒体中に分散した無機層状化合物の粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の分散組成物の製造方法。
  6. 請求項1に記載の分散組成物の製造方法であって、無機層状化合物と媒体とを混合した組成物として、内部を200mmHg以下に減圧した釜内で4000〜7000rpmで攪拌して得られる、無機層状化合物と媒体とを混合した組成物を用いることを特徴とする分散組成物の製造方法。
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