JP6217967B2 - ガスバリア多層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、酸素、水蒸気等のガスバリア性に優れる多層フィルムに関する。
食品や飲料等の包装に代表的に用いられる包装材料は、様々な流通、冷蔵等の保存や加熱殺菌などの処理等から内容物を保護するため、強度や割れにくさ、耐レトルト性、耐熱性といった機能ばかりでなく、内容物を確認できるよう透明性に優れるなど多岐に渡る機能が要求されている。その一方で、ヒートシールにより袋を密閉する場合には、熱加工性に優れる無延伸のポリオレフィン類フィルムが必須であるが、無延伸ポリオレフィンフィルムには包装材料として不足している機能も多い。特に内容物の品質保持及び内容量保持という目的から高いバリア性が特に要求されている。このようなバリア包装材料は、通常、異種のポリマー材料、無機材料を積層させた多層フィルムとして用いられている。
ガスバリア機能を多層フィルムに付与する際、内層(シーラント側)に用いる無延伸ポリオレフィンフィルム類にコーティングや蒸着によりバリア機能を付与することが困難である。そのため、外層側に用いている各種フィルム(ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)等のポリエステル系樹脂や、ポリアミド樹脂、延伸ポリオレフィン樹脂)にバリア機能を付与することが多い。
これらの外層側フィルムにコーティングによりバリア機能を付与する場合、バリアコーティング材料としては、ガス又は水蒸気バリア性の高い塩化ビニリデンが多用されてきたが、廃棄の焼成時にダイオキシンが発生する等の問題がある。また、ポリビニルアルコール樹脂やエチレン−ポリビニルアルコール共重合体をバリアコーティング材料として用いた場合は酸素バリア性は高いが、水蒸気バリア性は付与できない問題があった。また、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層をガス又は水蒸気バリア層として設けたフィルムは高価な上、柔軟性に乏しくクラック、ピンホールによりガス・水蒸気バリア性能がばらつく問題点がある。
こうした問題を解決する一手法としてガスバリア機能を付与するコーティング材料について各種の検討が行われている。これらのコーティング材料ではガスバリア機能を促進する手段をして板状や層状のフィラーを添加することが広く行われている。例えば特許文献1では粘土を含有するコーティング材料を塗布した水蒸気バリア材であって、粘土鉱物が水素型スメクタイトである材料が記載されている。また、特許文献2ではNa化合物の含有率が少ない層状鉱物と、オキソ酸とオキソ酸の金属塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有した、ガスバリア機能を持つ無機層状化合物分散液および多層構造体の製造方法が記載されている。
また、コーティング材料を用いる以外に内側に用いる無延伸ポリオレフィンフィルムと、外側に用いるPETフィルム等の延伸フィルムとを接着させるラミネート用接着層にガスバリア機能を付与する検討が行われている。これらでも、ガスバリア機能を促進する手段をして板状や層状のフィラーを添加することが行われている。例えば特許文献3ではラミネート用接着層に10〜15nmの粒子の酸化アルミニウムや二酸化ケイ素の板状物を添加することによりバリア機能を高めた接着剤を用いた多層フィルムについて記載されている
特開2012−240868号広報 特開2012−177102号広報 特許第3829526号
ガスバリアを板状や層状のフィラーにより強化する場合には、フィラーをフィルム面に平行に配向できれば、効果的にガスバリア性を向上させることができると考えられる。フィラーを配向させるためには、なんらかのドライビングフォースが必要であるが、上記先行技術文献にはいずれもその方法についての記載がないため、配向がかならずしもフィルムと平行になっているとは限らず、これにより添加したフィラーが有効にガスバリア性の向上に寄与できていない可能性があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、多層フィルムのラミネート用接着剤層に含有させたフィラーを効率的にフィルムと略平行に配列させることにより、フィラーによるガスバリア機能を有効に発現させたガスバリア材を提供することにある。
本発明者らは、ラミネート用接着剤に含有させるフィラーの形状を、接着層の厚みに関連づけて規定し適切な形状を選定することで、ラミネート工程中でフィラーを多層フィルム中で略平行に配列させ、これによりバリア接着剤でのバリア機能を有効に強化、発現させうることを見出した。
即ち、本発明は、板状無機化合物を含有するラミネート用接着剤により貼り合わされたガスバリア性多層フィルムにおいて、
ラミネート用接着剤層の厚みLに対して、板状無機化合物の平面の最大長さの平均値、及び板状無機化合物の短片の幅の平均値が下記式を満たすことを特徴とするガスバリア性多層フィルムに関する。
Figure 0006217967
また、本発明はミネート用接着剤が、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を含有してなる樹脂組成物(C)を用いて得られるガスバリア性多層フィルムに関する。
本発明により多層フィルム中のラミネート接着層中のフィラーがフィルムに略平行に配列することでフィラーによるガスの遮断効果、迷路効果が十分に発揮されたガスバリア性に優れる多層フィルムを提供できる。
本発明は、板状無機化合物を含有するラミネート用接着剤により貼り合わされたガスバリア性多層フィルムにおいて、
ラミネート用接着剤層の厚みLに対して、板状無機化合物の平面の最大長さの平均値、及び板状無機化合物の短片の幅の平均値が下記式を満たすことを特徴とするガスバリア性多層フィルムに関する。
Figure 0006217967
ラミネート用接着層の厚みLとは接着剤が接着させる対象の2枚のフィルム間に充填された接着層の平均の厚みのことである。このときのLの値は包装の用途、形態により異なり特に制限はないが、一般的な軟包装用のラミネート用接着剤の場合には1〜8μmの間であることが好ましい。
また、本発明の多層フィルムでは、フィラーとして板状無機化合物を含有する接着層を含むことが特徴である。本発明に用いられる板状無機化合物は、多層フィルムのガスバリア性を高める効果を有する。こうした板状無機化合物の例としては、接着層の厚みLに対して、(数2)に示した、板状無機化合物の形状を満たすことができれば特に制限はない。
例として、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、各種金属水酸化物のうち層状構造を持つ水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化ニッケルのほか層状硫酸バリウム、ゼオライト、ポリリン酸アルミニウム、ベーマイト、ガラスフレーク、アルミニウムフレーク、金属箔、金属フレーク、窒化ホウ素、モンモリロナイト、バーミキュライト、雲母系化合物類、例示すると白雲母、金雲母、黒雲母、セリサイト、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等の他、ハイドロタルサイト類を例示することができる。
(板状無機化合物の形状)
本発明で用いられる板状化合物の形状としては、
ラミネート用接着剤層の厚みLに対して、板状無機化合物の平面の最大長さの平均値、及び板状無機化合物の短片の幅の平均値が下記式を満たす必要がある。
Figure 0006217967
この時、板状無機化合物の平面の最大長さの平均値/L≧2であることにより、板状化合物がフィルム面とは垂直に近い方向に配列することが物理的に不可能となり、面と略平行方向に半強制的に配列させられることでガスへの迷路効果が発現し、バリア機能が強化されやすくなる。接着層の厚みに対して平面の最大長さの平均値がより大きいほどフィルム面への配向が生じやすい傾向にあるため、より好ましい平面の最大長さの平均値/Lは≧3である。一方、平面の最大長さの平均値/Lが2よりも小さい場合には、強制的に配列させにくくなることにより配列方向がフィルム面に対してランダムになりやすく、ガスに対する迷路効果が発現しにくくなる問題が生じる。
また、板状無機化合物の短片の幅の平均値/Lは0.25より小さい必要がある。これにより板状無機化合物がフィルムの面の垂直方向に多少重なっても、接着層の厚みよりも薄い状態に収まることで、ラミネートフィルムの面状態が均一に保たれる。従って、前記の平均最大長さの条件を満たすと同時に、短片の幅の平均値/Lは0.25よりも小さいことが好ましく、より好ましくは0.2より小さく、更に好ましくは0.1より小さいことである。
一方、短片の幅の平均値が0.25よりも大きい場合には、フィラーが接着層内で積層した場合に、本来の接着層よりも無機化合物がはみ出すことによりラミネート状態を悪化させ、接着強度を低くしたり、気泡発生による層外観を劣化させる問題が生じる。
(板状無機化合物の平面の最大長さの平均値)
本発明での板状無機化合物の平面の最大長さの平均値とは、ある板状無機化合物の粒子を実際に電子顕微鏡(SEM)等で観察した場合の板平面の最大の長さの平均値のことである。ラミネート処理の際にフィラーが配列するのは板の最大の長さ部分が接着層の厚み内に収まろうとするためである。従って、この値が板状無機化合物の配列に重要な意味を持つ。平均値とするためには、例えば任意の100個の板状物をSEM観察して各板状物の最大の長さを測定した上で平均化することで算出できる。板状無機化合物の種類によっては、一部破砕され分級できなかった極めて小さい粒子が混入している場合もある。主要な粒子群での平面の最大長さと比べて1/5以下の微小な混入粒子は、本発明においては平均の算出からは除外することで、より実態に近い平面の最大長さの平均値とすることができる。
(板状無機化合物の短片の幅の平均値)
本発明での板状無機化合物の短片の幅の平均値とは、前記の平均最大長さと同様にSEM等で観察した場合の板状物の最小長さ部分の平均値のことである。ラミネート処理の際にフィラーが配列しながらも、接着層の垂直方向に複数の粒子が積層しても接着層内に収まるために本数値は重要な意味を持つ。平均値とするためには、例えば任意の100個の板状物をSEM観察して各板状物の短辺の長さを測定した上で平均化することで算出できる。板状無機化合物の種類によっては、一部破砕され分級できなかった極めて小さい粒子が混入している場合もある。主要な粒子群での平面の最大長さと比べて1/5以下の微小な混入粒子は本発明においても最大長さの平均値と同様に算出からは除外することで、より実態に近い短片の幅の平均値とすることができる。
(板状無機化合物のアスペクト比)
前記の板状無機化合物の形状に対する制限である最大長の平均値、及び短片の幅の平均値を勘案すると、本発明で使用される板状無機化合物のアスペクト比は8以上の板状無機化合物が多数を占めると想定される。一般にガスバリアに対してはアスペクト比が高いほうが良く、好ましくは10以上であり、更に好ましくは50以上、最も好ましくは70以上である。中でも雲母系の板状無機化合物では、アスペクト比が100を超える材料も知られており特に好ましく用いられる。
(板状無機化合物の含有率)
本発明では官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を含有してなる樹脂組成物(C)、及び板状無機化合物の総質量を100質量部とした場合、板状無機化合物の含有率はガスバリア能が向上するならば特に限定はないが、5〜50質量部であることが好ましい。5質量部以下の場合はバリア能が向上しにくく、50質量部以上ではは塗工表面の粘着性が低下することによりラミネート操作がしにくくなったり、ラミネート強度が不十分になったりする可能性があるためである。板状無機化合物の含有率(配合物のPWC)は下記式(e)により求めることができる。
Figure 0006217967
(板状無機化合物の分散方法)
本発明で用いる板状無機化合物の分散方法としては公知の分散方法が利用できる。例えば、ディゾルバー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントコンディショナー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、ナノミル、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができる。更により好ましくは、高い剪断力を発生させることのできる機器として、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二本ロール、三本ロール等が上げられる。これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
板状無機化合物の分散が不完全であると無機化合物の導入効果を十分に発揮できない場合がある。より良い分散を達成する方法として以下の方法を用いても良い。
その方法は、板状無機化合物を予め水、又は水と有機溶媒からなる混合溶媒に分散させ、樹脂(A)と均一混合した後、水、又は水と有機溶媒とを除去する方法である。本方法により樹脂(A)と板状無機化合物との均一な良分散体を製造ことができ、この分散体を硬化剤で硬化させることによりガスバリアに特に優れた樹脂組成物とすることができる。具体的に樹脂(A)を加温により流動状態にし、ここに水、または水と有機溶剤との混合溶液に分散された板状無機化合物を導入し攪拌により均一混合し、攪拌しつつ加温温度を高める、もしくは減圧することにより、水及び有機溶剤を除去する。
板状無機化合物の分散のために用いられる有機溶剤は、水と均一に混合するものであれば、特に制限はなく、公知慣用の有機溶媒を挙げることができる。このような溶媒の例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類や、アセトン、2-ブタノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒の他テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。しかし沸点が高い有機溶媒を使用した場合、有機溶媒の除去が困難となる為、有機溶媒の沸点は200℃以下が好ましく、より好ましくは120℃以下である。
(板状無機化合物を導入することによるその他の効果)
本発明では、適した形状の板状無機化合物を接着層に導入することによりガスバリア性の向上のみならず接着強度も高めることができる場合もある。
(樹脂成分)
[官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)]
本発明で使用する樹脂(A)は、官能基として1分子中に水酸基を有する樹脂であって、主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタンを含有してなることに特徴を有し、本発明の目的とする接着力、又はガスバリア性を発現させうるものであれば特に限定はない。
本発明で用いられるポリエステルは、公知の技術が使用でき、例えば多価アルコールと多価カルボン酸との反応により得ることが出来る。ポリエステルポリウレタンは、公知の技術が使用でき、例えばポリエステルポリオールとジイソシアネートとの反応により得ることが出来る。ポリエーテルは、公知の技術が使用でき、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどのオキシラン化合物を、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られる。ポリエーテルポリウレタンは、公知の技術が使用でき、例えばポリエーテルとジイソシアネートとの反応により得ることが出来る。
(多価カルボン酸)
本発明の樹脂(A)は、多価カルボン酸成分として具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。中でも、バリア性を得る為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングリコールがより好ましい。多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。
[官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)として好ましい成分]
本発明の2個以上の水酸基を有する樹脂(A)として、より具体的には、
・3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)、
・重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)、
・グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)、
・オルト配向多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)、
・イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)、
等を挙げることができる。
以下、各ポリエステルポリオールについて説明する。
[3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(A1)は、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)にカルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するものである。3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)は多価カルボン酸または多価アルコールの一部を三価以上とすることで得られる。
ポリエステルポリオール(A1)の多価アルコール成分および多価アルコール成分として、好ましくは、オルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分からなる3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)に、カルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られ、少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するものである。
(オルトフタル酸及びその無水物)
オルトフタル酸及びその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりガスバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力とガスバリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
(多価カルボン酸 その他の成分)
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)を合成する際に、多価カルボン酸成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上のカルボン酸を少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としては、トリメリット酸およびその酸無水物、ピロメリット酸及びその酸無水物等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価カルボン酸としては三価カルボン酸が好ましい。
これ以外の成分として本発明のポリエステルポリオール(I)は、本発明の効果を損なわない範囲において、前述の各種脂肪族多価カルボン酸、環族多価カルボン酸、香族多価カルボン酸等を用いることができる。中でもバリア機能を付与する為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコールを使用することが最も好ましい。
(多価アルコール その他の成分)
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(I)を合成する際に、多価アルコール成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上の多価アルコールを少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価アルコールとしては三価アルコールが好ましい。
これ以外の成分として本発明では多価アルコール成分として、本発明の効果を損なわない範囲において、前述した他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。
次に、本発明のポリエステルポリオール(I)とカルボン酸無水物又は多価カルボン酸との反応は、以下の様にして行う。
即ち、前記ポリエステルポリオール(I)に、多価カルボン酸又はその酸無水物をポリエステルポリオール(I)の水酸基と反応させることにより得ることができる。ポリエステルポリオール(I)と多価カルボン酸との比率は反応後の樹脂(A)の水酸基が2個以上必要であることより、多価カルボン酸はポリエステルポリオール(I)の水酸基の1/3以下と反応させることが好ましい。ここで用いられるカルボン酸無水物又は多価カルボン酸に制限はないが、多価カルボン酸とポリエステルポリオール(I)との反応時のゲル化を考慮すると、二価或いは三価のカルボン酸無水物を使用することが好ましい。二価のカルボン酸無水物としては無水コハク酸、無水マレイン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物等が使用でき、三価のカルボン酸無水物としてはトリメリット酸無水物等が使用できる。
前記ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200であることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて、測定することができる。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、良好な塗工適性が得られない。逆に水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られない。酸価が20mgKOH/gより小さい場合、分子間の相互作用が小さくなり、良好なガスバリア性、良好な初期凝集力が得られない。逆に酸価が200mgKOH/gを超える場合、樹脂(A)とイソシアネート化合物(B)との反応が早くなり過ぎ、良好な塗工適性が得られない。
[重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)]
また、本発明のポリエステルポリオール(A2)として、更に、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するものを挙げることができる。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A2)は、多価カルボン酸と多価アルコールを反応することにより得られ、多価カルボン酸、多価アルコールの成分として重合性炭素−炭素二重結合をもつ成分を使用することにより、ポリエステルポリオール(A2)の分子内に重合成炭素−炭素二重結合を導入することができる。
(重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸)
多価カルボン酸において重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸として無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその無水物等があげられる。中でも、炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましい。
(その他の多価カルボン酸)
本発明のポリエステルポリオール(A2)は、重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸以外の多価カルボン酸成分として前述の各種脂肪族多価カルボン酸、環族多価カルボン酸、香族多価カルボン酸等を用いることができる。中でもバリア機能を付与する為にはコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
(重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコール)
多価アルコールにおいて重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコールとして2−ブテン−1,4−ジオール等があげられる。
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコール以外の多価アルコール成分を用いても差し支えない。具体的には、前述の脂肪族多価アルコール、芳香族多価フェノール類等を使用することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングクリコールがより好ましい。
また、上記ポリエステルポリオール(A2)では、重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸、多価アルコールを使用することによりポリエステルポリオール(A2)に重合性二重結合を導入したが、水酸基を有するポリエステルポリオールと重合性二重結合を有するカルボン酸、又はカルボン酸無水物との反応であってもよい。この場合のカルボン酸としてはマレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸等の重合性二重結合を有するカルボン酸、オレイン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸等を用いることができる。この場合のポリエステルポリオールとしては2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールで好ましいが、イソシアネート化合物との架橋により分子伸長を考慮すると、水酸基は3個以上有することがより好ましい。ポリエステルポリオールの水酸基が1又は2個の場合、重合成二重結合を有するカルボン酸を反応することにより得たポリエステルポリオール(A2)の水酸基が0又は1個となり、イソシアネート化合物(B)との反応による分子伸長が起こり難くなり、接着剤としてのラミネート強度やシール強度、耐熱性等の特性が得られ難くなる。
前記ポリエステルポリオール(A2)の水酸基価が20〜250mgKOH/g、酸価が0〜100mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて、測定することができる。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、良好な塗工適性が得られない。逆に水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られない。
また、ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部であることに特徴を有する。
この範囲より低いと重合性二重結合間の架橋点が少なくなり、バリア性が得られ難くなり、高いと架橋点が多くなることにより硬化塗膜の柔軟性が著しく低下してラミネート強度が得られ難くなり好ましくない。
なお本願においてポリエステルポリオール(A2)中の重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分量(二重結合成分比率)は、式(a)を用いて計算する。
Figure 0006217967
ここでモノマーとは前記の多価カルボン酸、多価アルコールを指す。
また、本発明のポリエステルポリオール(A2)として、乾性油、又は半乾性油を挙げることができる。乾性油、又は半乾性油としては、炭素−炭素二重結合を有する公知慣用の乾性油、半乾性油等を挙げることができる。
[グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)]
本発明のポリエステルポリオール(A3)として、更に、一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオールを挙げることができる。
Figure 0006217967
(式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一般式(2)
Figure 0006217967
(式(2)中、nは1〜5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但し、R〜Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。)
前記一般式(1)において、R、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(2)で表される基である必要がある。中でも、R、R及びR全てが前記一般式(2)で表される基であることが好ましい。
また、R、R及びRのいずれか1つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R、R及びRのいずれか2つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R、R及びRの全てが前記一般式(2)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
Xは、1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Xが置換基によって置換されている場合、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
前記一般式(2)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基等の、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
前記一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステル樹脂化合物は、グリセロールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させて得る。
カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール等のジオールを例示することができる。
なお、本願においてグリセロール骨格の含有量は、本願のガスバリア性接着剤用有機樹脂組成物全固形分の質量に対して、前記一般式(1)におけるR〜Rを除いた残基(C=89.07)がどのくらい含まれるかを、式(b)を用いて計算する。
Figure 0006217967
P:グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)を表す。
本発明では、高いバリア性を発現するため、ガスバリア性接着剤用有機樹脂組成物中に5質量%以上のグリセロール残基を有することに特徴がある。
(ガスバリア性接着剤用有機樹脂組成物固形分の質量算出方法)
ガスバリア性接着剤用樹脂組成物の質量部から希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除く質量をガスバリア性接着剤用有機樹脂全固形分の質量とする。
一方、ポリエステル成分の原料であるアシル基がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりガスバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して基材密着性を阻害する結晶性が低いために酢酸エチルやメチルエチルケトン等の溶剤にも高い溶解性を示し且つガスバリア性に優れると推定される。
(多価アルコール)
本発明で使用するポリエステルポリオール(A3)は、多価アルコールとして、炭素原子数2〜6のアルキレンジオール以外の多価アルコール成分を、本発明の効果を損なわない範囲において共重合させてもよい。これには各種脂肪族多価アルコール、脂環族多価アルコール、芳香族多価フェノール等を例示することができる。
(多価カルボン酸)
本発明のポリエステルポリオール(A3)は、多価カルボン酸成分としてカルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、前述の脂肪族多価カルボン酸、不飽和結合含有多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸等を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。
[オルト配向多価カルボン酸成分と、多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)]
本発明で使用するポリエステルポリオール(A4)は、オルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分からなる。特に、前記オルトフタル酸及びその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する使用率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
(多価カルボン酸 その他の成分)
本発明のポリエステルポリオール(A4)は、多価カルボン酸成分として前記オルトフタル酸及びその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、前述の脂肪族多価カルボン酸、脂環族多価カルボン酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
(多価アルコール その他の成分)
多価アルコール成分及びその他の成分としては、前記エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノール以外のものを発明の効果を妨げない範囲で添加することができる。これには各種脂肪族多価アルコール、脂環族多価アルコール、芳香族多価フェノール等を例示することができる。
[イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)]
本発明の樹脂(A)は、下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)を含むと更に好ましい。
Figure 0006217967
(一般式(3)中、R〜Rは各々独立して、−(CH)n1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(4)
Figure 0006217967
(一般式(4)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。)
で表される基を表す。但しR、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である)
前記一般式(3)において、−(CH)n1−で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状でもよい。n1は、中でも2又は3が好ましく、2が最も好ましい。
前記一般式(4)において、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表す。
Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
Xの置換基は、中でもヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基、が好ましくヒドロキシル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、フタルイミド基、フェニル基が最も好ましい。
前記一般式(4)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基等の、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
前記一般式(3)において、R、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。中でも、R、R及びR全てが前記一般式(4)で表される基であることが好ましい。
また、R、R及びRのいずれか1つが前記一般式(4)で表される基である化合物と、R、R及びRのいずれか2つが前記一般式(4)で表される基である化合物と、R、R及びRの全てが前記一般式(4)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
前記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)は、イソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させて得る。
イソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。
該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール等のジオールを例示することができる。
中でも、イソシアヌル環を有するトリオール化合物として1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を使用し、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としてオルトフタル酸無水物を使用し、多価アルコールとしてエチレングリコールを使用したイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物が、ガスバリア性や接着性に特に優れ好ましい。
イソシアヌル環は高極性であり且つ3官能である。従って系全体を高極性化させることができ、且つ、架橋密度を高めることが可能である。このような観点からイソシアヌル環を接着剤樹脂全固形分に対し5質量%以上含有することが好ましい。
なお本願においてイソシアヌル環の含有量は、本願の接着剤樹脂全固形分の質量に対して、前記一般式(3)におけるR〜Rを除いた残基(C=126.05)がどのくらい含まれるかを、式(c)を用いて計算する。
Figure 0006217967
P:イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)を表す。
(ガスバリア性接着剤用樹脂組成物有機全固形分の質量算出方法)
ガスバリア性接着剤用樹脂組成物の質量部から希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除く質量をガスバリア性接着剤用有機樹脂全固形分の質量とする。
(樹脂(A)の合成方法の例)
樹脂(A)がポリエステルテルポリオールは、公知のポリエステルの製造方法により得ることができる。具体的には、触媒共存下、反応温度200〜220℃で、生成する水を系外へ取り除きながら反応させる製造方法にて合成できる。
具体的な一例を示すと、原材料として用いるイソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分を一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる。JIS−K0070に記載の酸価測定法にて1mgKOH/g以下、同じくJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて得られる水酸基価ZmgKOH/gが下記式(d)の右辺の数値(mgKOH/g)の±5%以内に入るまで反応を継続することで目的とするポリエステルポリオールを得ることができる。
Figure 0006217967
(式(d)中、Mnは所定の3官能ポリエステル樹脂の設定数平均分子量を表す。)
或いは、各々の原料を多段階に分けて反応させてもよい。また、反応温度にて揮発してしまったジオール成分を追加しながら、水酸基価を±5%以内に入るように調製してもよい。
反応に用いられる触媒としては、モノブチル酸化錫、ジブチル酸化錫等錫系触媒、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等のチタン系触媒、テトラ−ブチル−ジルコネート等のジルコニア系触媒等の酸触媒が挙げられる。エステル反応に対する活性が高い、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等の上記チタン系触媒と上記ジルコニア触媒を組み合わせて用いることが好ましい。前記触媒量は、使用する反応原料全質量に対して1〜1000ppm用いられ、より好ましくは10〜100ppmである。1ppmを下回ると触媒としての効果が得られにくく、1000ppmを上回ると後のウレタン化の反応を阻害する傾向がある。
これらの樹脂(A)の数平均分子量は450〜5000であると接着能とガスバリア能とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。より好ましくは数平均分子量が500〜3000である。また硬化剤としては、後述のポリイソシアネートが最も好ましく、適度な反応時間を付与でき、接着強度とガスバリア能に特に優れる。分子量が450より小さい場合、塗工時の接着剤の凝集力が小さくなりすぎ、ラミネート時にフィルムがズレたり、貼り合せたフィルムが浮き上がるといった不具合が起こり、逆に分子量が5000よりも高い場合、塗工時の粘度が高くなり過ぎて塗工が出来ないことや、粘着性が低い事よりラミネートができないといった不具合が発生する。また、数平均分子量は得られた水酸基価と設計上の水酸基の官能基数から計算により求めた。
本発明で使用する樹脂(A)は、ガラス転移温度が−30℃〜80℃の範囲が好ましい。より好ましくは0℃〜60℃である。更に好ましくは25℃〜60℃である。ガラス転移温度が80℃よりも高すぎる場合、室温付近でのポリエステルポリオールの柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。一方−30℃よりも低すぎる場合、常温付近でのポリエステルポリオールの分子運動が激しいことにより十分なガスバリア性が出ないおそれがある。
更に樹脂(A)をジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長により数平均分子量1000〜15000としたポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオールを接着剤として用いても良い。該ポリオールには一定以上の分子量成分とウレタン結合とが存在するために、優れたガスバリア性を持つ上、初期凝集力に優れ、ラミネート時に使用する接着剤としてさらに優れる。また、樹脂(A)とジイソシアネート化合物における水酸基とイソソアネート基の比率をイソシアネート過剰とすることで、末端をイソシアネート基とすることが出来、これを硬化剤として使用してもよい。
(接着剤 硬化剤)
本発明で使用する硬化剤は、前記樹脂(A)の水酸基と反応しうる硬化剤であれば特に限定はなく、ジイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物等の公知の硬化剤を使用できる。中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート化合物があり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られる。
中でも、良好なガスバリア性を得る為にはキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、メタキシリレンジイソシアネート、メタ水素化キシリレンジイソシアネートが最も好ましい。
本発明で使用する樹脂(A)とイソシアネート化合物(B)との硬化塗膜のガラス転移温度が−30℃〜80℃の範囲が好ましい。より好ましくは0℃〜70℃である。更に好ましくは25℃〜70℃である。ガラス転移温度が80℃よりも高い場合、室温付近での硬化塗膜の柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。一方−30℃よりも低い場合、常温付近での硬化塗膜の分子運動が激しいことにより十分なガスバリア性が出ないおそれや、凝集力不足による接着力低下のおそれがある。
前記メタキシレン骨格を含むポリイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネートの3量体、アミンとの反応により合成されるビューレット体、アルコールと反応してなるアダクト体があるが、3量体、ビューレット体と比べ、ポリイソシアネート化合物のドライラミネート接着剤に用いられる有機溶剤への溶解性が得られやすいという理由からアダクト体がより好ましい。アダクト体としては、上記の低分子活性水素化合物の中から適宜選択されるアルコールと反応してなるアダクト体が使用できるが、中でも、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリエタノールアミン、メタキシレンジアミンのエチレンオキシド付加物とのアダクト体が特に好ましい。
前記樹脂(A)と前記硬化剤とは、樹脂(A)と硬化剤との割合が樹脂(A)の水酸基と硬化剤の反応成分とが1/0.5〜1/10(当量比)となるように配合することが好ましく、より好ましくは1/1〜1/5である。該範囲を超えて硬化剤成分が過剰な場合、余剰な硬化剤成分が残留することで接着後に接着層からブリードアウトするおそれがあり、一方、硬化剤成分が不足の場合には接着強度不足のおそれがある。
重合性炭素−二重結合の重合を促進する為の触媒として公知の重合触媒を使用することができる。重合触媒としては遷移金属錯体があげられる。遷移金属錯体は、重合性二重結合を酸化重合させる能力を備える化合物であれば特に限定しないが、種々の金属或いはその錯体を用いることができる。例えば、コバルト、マンガン、鉛、カルシウム、セリウム、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅等の金属と、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、樹脂酸、トール油脂肪酸、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸等との塩を用いることができる。遷移金属錯体は樹脂(A)に対して0〜10質量部が好ましく、より好ましくは0〜3質量部である。
前記硬化剤は、その種類に応じて選択された公知の硬化剤或いは促進剤を併用することもできる。例えば接着促進剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤は、各種フィルム材料に対する接着剤を向上させる意味でも好ましい。
(その他の成分)
本発明で使用するポリエステル樹脂組成物は、ガスバリア性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナなどの無機充填剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤や、硬化塗膜の耐酸性を向上させるために、フタル酸無水物、コハク酸無水物等の酸無水物等が例示できる。
また、必要に応じて、更にガスの補足機能を有する化合物を添加してガスバリア効果を促進してもよい。酸素を補足する化合物としては酸化数の少ない酸化鉄、酸化錫等を例示することができる。また、水蒸気捕捉機能を有する化合物としては、例えば、シリカゲル類、珪酸カルシウム、ゼオライト、炭酸カルシウム、活性炭等の無機化合物が例示される。
また、塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲が好ましい。
(ポリエステル樹脂組成物を硬化させるガスバリア多層フィルムの形態)
本発明で使用するポリエステル樹脂組成物を硬化させるガスバリアフィルムは、ポリエステル樹脂組成物塗工液を基材となるフィルムに塗布、硬化させることによって得られる。塗工液は溶剤型又は無溶剤型のいずれの形態であってもよい。溶剤型の場合、溶剤はポリエステル樹脂及び硬化剤の製造時に反応媒体として使用され、更に塗装時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。特に本発明のポリエステル樹脂組成物はこれらのうち酢酸エチルやメチルエチルケトン溶剤への溶解性に優れることから、酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。
本発明で用いられるポリエステル樹脂の塗工方法としては特に限定はなく公知の方法で行えばよい。例えば、粘度が調整できる溶剤型の場合は、グラビアロール塗工方式等で塗布することが多い。また無溶剤型で、室温での粘度が高くグラビアロール塗工が適さない場合は、加温しながらロールコーターで塗工することもできる。ロールコーターを使用する場合は、本発明で使用するガスバリア性ポリエステル樹脂組成物の粘度が500〜2500mPa・s程度となるように室温〜120℃程度まで加熱した状態で、塗工することが好ましい。
本発明で使用するポリエステル樹脂組成物は、ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物として、ポリマー、紙、金属などに対し、ガスバリア性を必要とする各種用途のガスバリア性ポリエステル樹脂組成物としても使用できる。以下具体的用途の1つとしてフィルムラミネート用ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物について説明する。
(使用フィルム)
本発明で使用するポリエステル樹脂組成物を硬化されてなるガスバリアフィルムは、フィルムラミネート用ガスバリア性フィルムとして使用できる。
本発明で使用する積層用のフィルムは、特に限定はなく、所望の用途に応じた熱可塑性樹脂フィルムを適宜選択することができる。例えば食品包装用としては、PETフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施してあってもよい。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸或いは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的にはロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
また、フィルム表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理を施してもよい。
前記熱可塑性樹脂フィルムの一方に本発明で使用するガスバリア性ポリエステル樹脂組成物を塗布した後に乾燥工程、エージング工程を経ることで得られた本発明のポリエステル樹脂組成物を硬化させてなるガスバリアフィルムを公知のドライラミネート接着剤を用いて、もう一方の熱可塑性樹脂フィルムを重ねてラミネーションにより貼り合わせることで、ガスバリア性フィルムが得られる。ラミネーション方法には、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、押出しラミネーション等公知のラミネーションを用いることが可能である。ドライラミネーション方法は、具体的には、基材フィルムの一方に本発明で使用するガスバリア性ポリエステル樹脂組成物をグラビアロール方式で塗工後、もう一方の基材フィルムを重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせる。ラミネートロールの温度は室温〜60℃程度が好ましい。またノンソルベントラミネーションは基材フィルムに予め室温〜120℃程度に加熱しておいた本発明で使用するガスバリア性ポリエステル樹脂組成物を室温〜120℃程度に加熱したロールコーターなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。ラミネート圧力は、10〜300kg/cm程度が好ましい。
押出しラミネート法の場合には、基材フィルムに接着補助剤(アンカーコート剤)として本発明で使用するガスバリア性ポリエステル樹脂組成物の有機溶剤溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、本発明のガスバリア性フィルムは、作製後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、硬化剤としてポリイソシアネートを使用する場合であれば、室温〜80℃で、12〜240時間の間であり、この間に、ポリエステル樹脂と硬化剤とが反応し、接着強度が生じる。
本発明では、さらに高いバリア機能を付与するために、必要に応じてアルミニウム等の金属、或いはシリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルムを併用してもよい。
本発明で使用する樹脂(A)としてのガスバリア性ポリエステル樹脂組成物は、同種又は異種の複数の樹脂フィルムを接着してなる積層フィルム用のガスバリア性ポリエステル樹脂組成物として好ましく使用できる。樹脂フィルムは、目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば包装材として使用する際は、最外層をPET、OPP、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用し、最内層を無延伸ポリプロピレン(以下CPPと略す)、低密度ポリエチレンフィルム(以下LLDPEと略す)から選ばれる熱可塑性樹脂フィルムを使用した2層からなる複合フィルム、或いは、例えばPET、ポリアミド、OPPから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、OPP、PET、ポリアミドから選ばれた中間層を形成する熱可塑性樹脂フィルム、CPP、LLDPEから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した3層からなる複合フィルム、さらに、例えばOPP、PET、ポリアミドから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、PET、ナイロンから選ばれた第1中間層を形成する熱可塑製フィルムとPET、ポリアミドから選ばれた第2中間層を形成する熱可塑製フィルム、LLDPE、CPPから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した4層からなる複合フィルムは、酸素及びガスバリア性フィルムとして、食品包装材として好ましく使用できる。このように本発明で使用するガスバリア性ポリエステル樹脂組成物の用途はPET/CPPフィルムには限定されずに広く用いることができる。
本発明で使用するガスバリア性ポリエステル樹脂組成物は高いガスバリア性を有する事を特徴としていることから、該ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物により形成されるラミネートフィルムは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているガスバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのガスバリア性が発現する。また、これら従来のガスバリア性材料とシーラント材料とを貼り合せるガスバリア性ポリエステル樹脂組成物として併用することにより、得られるフィルムのガスバリア性を著しく向上させることもできる。また、本発明で使用するガスバリア性ポリエステル樹脂組成物についても、前記ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物と同様にして用いることができる。
(透過を遮断できるガス成分種類)
本発明のガスバリア用多層フィルムが遮断できるガスとしては水蒸気、酸素の他、二酸化炭素、窒素、アルゴン等の不活性ガス、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール成分、フェノール、クレゾール等のフェノール類の他、低分子化合物からなる香気成分類、例えば、醤油、ソース、味噌、レモネン、メントール、サリチル酸メチル、コーヒー、ココアシャンプー、リンス、等の香り成分を例示することができる。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
製造例1〜3には実施例、比較例、参考例に用いた樹脂(A)としての各種ポリエステルポリオール樹脂の製造例を示した。
(製造例1)グリセロールとオルトフタル酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオール樹脂「GLY3oPA7EG5」製造方法。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを276.27部、無水フタル酸1036.84部、エチレングリコール325.87部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.16部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1497。46のポリエステルポリオール樹脂「GLY3oPA7EG5」を得た。このポリエステルポリオール樹脂は1分子あたり平均3つのグリセロールを有する。尚、本ポリエステルポリオールは前記のポリエステルポリオール(A3)、(A4)の特徴を持つものである。
(製造例2)
オルトフタル酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオール樹脂「EGoPA」製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸396.34部、エチレングリコール173.73部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600のポリエステルポリオール樹脂「oPAEG」を得た。このポリエステルポリオール樹脂が有するグリセロールの質量%は、0.0%であった。尚、本ポリエステルポリオールは前記のポリエステルポリオール(A4)の特徴を持つものである。
(製造例3)トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとイソフタル酸とエチレングリコールポリエステルポリオール樹脂「THEI(OPAEG)3」製造方法
樹脂(A)
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸1136.5部、エチレングリコール495.3部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート668.1部及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppmに相当する量を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量約860、水酸基価195.4mgKOH/g、酸価0.9mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。
尚、本ポリエステルポリオールは前記のポリエステルポリオール(A4)、(A5)の特徴を持つものである。
以下に、硬化剤a、bとして各実施例、参考例、比較例で用いた硬化剤を記す。
(硬化剤a)
三井化学製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体 不揮発成分75.0% NCO% 11.5%)と三井化学製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネートモノマー不揮発分>99%,NCO% 44.6%)を75/25(質量比)の割合で混合し硬化剤aとした。
硬化剤aの不揮発分は、81.0%、NCO% 20.0%である。
(硬化剤b)
DICグラフィックス製「ディックドライKW−75」(トリメチロールプロパンと2,6―トリレンジイソシアネートとのアダクト体(不揮発分は75.0%、NCO%は13.4%)を硬化剤bとした。
(使用した無機化合物)
以下に無機化合物A〜Jとして、各実施例、比較例で用いた無機化合物を記す。無機化合物の形状は、5nm厚のプラチナ蒸着を行った後、走査型電子顕微鏡(SEM)(S−3400、日立ハイテク製)を用いた観察を実施した。粒子径に応じて倍率1000〜10000倍で観察した。まずは粒子が板状物主体かの判定を行い、板状であればこれらの粒子の形状を代表する100個の粒子を選択した。この時、分級の残りと想定されるような微小粒子や、板状物の表面にへばりつき、独立粒子として機能しないと想定される粒子は選択より除いた。また、板状粒子がある部分で結合し、集合体として存在する場合は、その集合体自体を1個の粒子とみなして観察を行った。各板状物の平面の最大長さ、及び、短辺の幅を計測しこれを平均することで、板状無機化合物の平面の最大長さの平均値、及び板状無機化合物の短片の幅の平均値を算出した。
以上の結果は、一般に光散乱等の手法で導出されているメーカーの平均粒子径とは異なる場合もあった。また、板状とは判定できなかった無機化合物についても、SEM観察により各粒子を100個選定した上で最大長さ、最小長さを計測し各平均値を算出した。
以下にSEM観察の結果、実施例及び比較例で用いた各種無機化合物での品番、材料、平面の最大の平均長さ及び、短片の平均幅、及びメーカーを記した。また、メーカー以外の情報については、表1に記した。
(板状無機化合物A)
PDM−5Y、合成マイカ、板状、平面の最大の平均長さ6.1μm、短片の平均幅0.16μm、トピー工業株式会社製
(板状無機化合物B)
TM−10、天然マイカ、板状、平面の最大の平均長さ12μm、短片の平均幅0.22μm、株式会社ヤマグチマイカ製
(板状無機化合物C)
HM6040、天然マイカ、板状、平面の最大の平均長さ19μm、短片の平均幅0.53μm、Anhui Heng Hao Science and Technology co.Ltd製
(板状無機化合物D)
ソマシフMEA、有機化マイカ、板状、平面の最大の平均長さ7.3μm、短片の平均幅0.38μm、コープケミカル株式会社製
(板状無機化合物E)
シルキーフレークF01、ガラス、板状、平面の最大の平均長さ17μm、短片の平均幅0.38μm、コープケミカル株式会社製
(板状無機化合物F)
CS-325DC、天然マイカ、板状、平面の最大の平均長さ27μm、短片の平均幅2.3μm、株式会社ヤマグチマイカ製
(板状無機化合物G)
SP−40、タルク、板状、平面の最大の平均長さ15μm、短片の平均幅3.5μm、富士タルク工業株式会社製
(板状無機化合物H)
DHT-4C、ハイドロタルサイト、板状、平面の最大の平均長さ0.87μm、短片の平均幅0.23μm、協和化学工業株式会社製
(非板状無機化合物I)
C60、ベーマイト、角柱状、平面の最大の平均長さ2.6μm、短片の平均1.9μm、大明化学工業株式会社製
(非板状無機化合物J)
LPZINC−11、酸化亜鉛、略球状、平面の最大の平均長さ6.8μm、短片の平均4.8μm、堺化学工業株式会社製
(無機化合物の分散方法;実施例1〜5、比較例1〜5)
撹拌機を備えた容器に製造例1〜3により製造したポリエステルポリオール樹脂を仕込み、90℃で加熱撹拌しポリエステルポリオールが十分に流動性を保つ状態とした。撹拌しながら各種の板状無機化合物、または、非板状無機化合物を後述の表2及び3に示した配合で添加し、90℃で均一となるまで撹拌した。これを冷却することで無機化合物をポリエステルポリオールに分散させた分散体を得た。
(各実施例、比較例でのポリエステルポリオール樹脂塗工液の製造方法)
無機化合物を含有するポリエステルポリオール樹脂塗工液として、前記方法で無機化合物を分散させたポリエステルポリオール/無機化合物分散体を酢酸エチルで希釈して、ポリエステルポリオール/無機化合物分散体溶液を得た。更に硬化剤aまたはbを表2及び3に示す様に配合し、後述の塗工方法で使用するポリエステルポリオール樹脂塗工液を得た。
(参考例でのポリエステルポリオール樹脂塗工液の製造方法)
無機化合物を含有しないポリエステルポリオール樹脂塗工液として、前記製造方法で得たポリエステルポリオールを酢酸エチルで希釈して樹脂溶液を得、更に硬化剤a又はbを表4に示す様に配合し、後述の塗工方法で使用するポリエステルポリオール樹脂塗工液を得た。
(塗工方法、及び積層体の製造その1)
ポリエステルポリオール樹脂塗工液を、バーコーター#4〜#8の何れかを用いて接着層の厚みが3μmになるように、厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製「E−5100」)に塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、この複合フィルムと厚さ15μmのナイロン(Ny)フィルム(ユニチカ(株)製「エンブレムON―BC」)を温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにてドライラミネートしてこの複合フィルムとを40℃/3日間かけて硬化させ、PET/ポリエステルポリオール樹脂組成物/Ny積層体である積層体Aを得た。
(塗工方法、及び積層体の製造その2)
ポリエステルポリオール樹脂塗工液を、バーコーター#4〜#8の何れかを用いて接着層の厚みが3μmになるように厚さ15μmのナイロン(Ny)フィルム(ユニチカ(株)製「エンブレムON―BC」)に塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、次いで、この複合フィルムと未延伸LLDPEフィルム(東セロ社製TUX−HC 60μ)を温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにてドライラミネートして、Ny/ポリエステルポリオール樹脂組成物/LLDPE積層体である積層体Bを得た。
(ラミネート層厚みLの測定)
積層体Aを包埋樹脂により包み込み樹脂を硬化させた後、ミクロトームを用いて積層体Aの断面を切り出した。この断面に5nmのプラチナ蒸着を行った後、走査型電子顕微鏡(S−3400、日立ハイテク製)を用い、SEM観察を実施し、NYとPET間のラミネート層厚みを測定した。このラミネート層厚みの数値及び、表1の各種板状、非板状無機化合物での平面の最大長さの平均値、及び短片の幅の平均値より無機化合物の平面の最大長さ/L、及び無機化合物の短片の幅/Lを算出した。
(水蒸気透過率)
エージングが終了した積層体Aを、水蒸気透過度試験法 伝導度法「ISO−15106−3」に準じ、Illinois社製測定装置を用いて、PETフィルムを加湿面とした上で40℃、90%RHの雰囲気下で評価を行った。なおRHとは、湿度を表す。
また、ポリエステル樹脂組成物を硬化させた樹脂塗膜単体の水蒸気透過率(バリア性)はPET/ポリエステルポリオール樹脂組成物/Ny積層体の測定結果より、式(a)を用いて計算した。
Figure 0006217967
P :水蒸気バリア性積層フィルムの水蒸気透過率
P1:塗膜単体の水蒸気透過率
P2:12μmPETフィルムの水蒸気透過率(46g/m・24時間として計算)
P3:15μmナイロンフィルムの水蒸気透過率(260g/m・24時間として計算)
(酸素透過率)
エージングが終了した積層体Aを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃、0%RHおよび90%RHの雰囲気下で測定した。
また、ポリエステル樹脂組成物を硬化させた樹脂塗膜単体の酸素バリア性はバリア性積層フィルム、PETフィルムおよびナイロンフィルムの測定結果より、式(a)を用いて計算した。
Figure 0006217967
P :バリア性積層フィルムの酸素透過率
P1:塗膜単体の酸素透過率
P2:12μmPETフィルムの酸素透過率(0%RH:130cc/m・24時間・atm、90%RH:100cc/m・24時間・atmとして計算)
P3:15μmナイロンフィルムの水蒸気透過率(0%RH:50cc/m・24時間・atm、90%RH:74cc/m・24時間・atmとして計算)
(ラミネート強度の測定方法)
エージングが終了した積層体Bを、塗工方向と平行に15mm幅に切断し、NyフィルムとLLDPEフィルムとの間を、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180度剥離方法で剥離した際の引っ張り強度をラミネート強度とした。ラミネート強度の単位はN/15mmとした。
(ラミネートフィルムの目視判定)
エージングが終了した積層体Aを目視で判定した。均一透明な場合は○、フィルムに浮き部分がみられ気泡が入っているものは×と判定した。
以上、使用した無機化合物の一覧を表1に、実施例1〜5での配合及び評価結果を表2に、比較例1〜5での配合、評価結果を表3に、参考例1〜3での配合、評価結果を表4に示した。
Figure 0006217967
Figure 0006217967
Figure 0006217967
Figure 0006217967
この結果、実施例1〜5に示した板状無機化合物を接着層に有し、且つ、接着層の厚みをLとして、無機化合物の平面の最大長さの平均値/Lが2よりも大きく、且つ、無機化合物の短片の幅の平均値/Lが0.25よりも小さい場合には、水蒸気透過率、酸素透過率とも無機成分を含まない同種の樹脂での各種参考例の値の1/3以下に低減(つまり高バリア化)し、ガスバリア機能が板状無機化合物により促進されることが示された。また、ラミネート強度も無機化合物を含有しない場合と概ね同等かより高く、いずれも5N/15mmより高いラミネート用接着剤として実用可能な値を示した。加えて外観も良好であった。
一方、比較例1〜5に示した接着剤では、比較例1、2の板状形状を持つ無機化合物の添加であっても、板状無機化合物の短片の幅の平均値/Lが0.25より大きい場合には、接着層由来の浮きと思われる気泡が混入することで、外観が悪く、加えて、水蒸気及び酸素透過率が無機化合物を含有していない各参考例よりも高く、バリア機能に劣る結果となった。
無機化合物が板状形状ではあるが、無機化合物の平面の最大長さの平均値/Lが2よりも小さい比較例3の場合には、無機成分なしの参考例に比べて外観を含む各種物性の変化は小さかったが、無機成分を添加した有点を見出すことができなかった。
これは、板状無機化合物が接着層内でフィルムと平行に配列することができていないためと推定される。更に比較例4,5の無機化合物のように、非板状形状を持つため無機化合物の平面の最大長さの平均値が2よりも小さく、且つ無機化合物の短片の幅の平均値/Lが0.25よりも大きい場合には、比較例1、2と同様に、外観、水蒸気、酸素透過率いずれもが無機成分を含有しない参考例よりも劣り無機化合物の添加が逆効果となった。
本発明のバリア性多層フィルムは、各種ガスへのバリア性を有するので、各種包装材用他、例えば太陽電池用保護フィルム用、表示素子用ガスバリア性基板用等に好適に使用できる。

Claims (25)

  1. 板状無機化合物を含有するラミネート用接着剤により貼り合わされたガスバリア性多層フィルムにおいて、
    ラミネート用接着剤層の厚みLに対して、板状無機化合物の平面の最大長さの平均値、及び板状無機化合物の短片の幅の平均値が下記式を満たし、層間が非イオン性であるか、或いは水に対して非膨潤性であり、前記板状無機化合物の平面の最大長さの平均値は前記板状無機化合物を顕微鏡で観察して測定した板平面の最大長さの平均値であり、前記板状無機化合物の短片の幅の平均値は、前記板状無機化合物を顕微鏡で観察した際の最小長さの平均値であることを特徴とするガスバリア性多層フィルム。
    Figure 0006217967
  2. ラミネート用接着剤が、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)、官能基として1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(B)を含有してなる樹脂組成物(C)からなる請求項1に記載のガスバリア性多層フィルム。
  3. 樹脂(A)の主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタン構造を有する請求項2に記載のガスバリア性多層フィルム。
  4. 樹脂(A)が芳香族環を有する請求項2又は3に記載のガスバリア性多層フィルム。
  5. 樹脂(A)の主骨格がポリエステル又はポリエステルポリウレタン構造であって、
    ポリエステル構成モノマー成分の多価カルボン酸全成分に対して、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の使用率が70〜100質量%であることを特徴とする請求項4に記載のガスバリア性多層フィルム。
  6. オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つである請求項5に記載のガスバリア性多層フィルム。
  7. 樹脂(A)が、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A1)である請求項2〜4の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
  8. ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200である請求項7に記載のガスバリア性多層フィルム。
  9. 樹脂(A)が、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)である請求項2〜4の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
  10. ポリエステルポリオール(A2)を構成する重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、マレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸である請求項9に記載のガスバリア性多層フィルム。
  11. ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部である請求項9又は10に記載のガスバリア性多層フィルム。
  12. 樹脂(A)が、一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)である請求項2〜4の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
    Figure 0006217967
    (式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は一般式(2)
    Figure 0006217967
    (式(2)中、nは1〜5の整数を表し、Xは、置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれるアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但し、R〜Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。)
  13. 前記一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)のグリセロール残基を、酸素バリア性ポリエステル樹脂組成物中に5質量%以上含有する請求項12に記載のガスバリア性多層フィルム。
  14. 樹脂(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)である請求項2〜4の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
  15. オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つの多価カルボン酸又はその無水物である請求項14に記載のガスバリア性多層フィルム。
  16. 樹脂(A)が、一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)である請求項2〜4の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
    Figure 0006217967
    (一般式(3)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(4)
    Figure 0006217967
    (一般式(4)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。)で表される基を表す。但しR、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。)
  17. イソシアネート化合物(B)が芳香族環を有するポリイソシアネートを含有するものである請求項2〜16の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
  18. 芳香族環を有するポリイソシアネートが、メタキシレンジイソシアネート、又はメタキシレンジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物である請求項17に記載のガスバリア性多層フィルム。
  19. 樹脂(A)を、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、又はケトン系溶剤若しくはエステル系溶剤を含有する混合溶剤に溶解させてなる請求項2〜18の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
  20. 樹脂組成物(C)が無溶剤型である請求項1〜19の何れかに記載のガスバリア性多層フィルム。
  21. 請求項1〜20の何れかに記載のガスバリア性多層フィルムが、酸素バリア性を有するものであるガスバリア性多層フィルム。
  22. 請求項1〜21の何れかに記載のガスバリア性多層フィルムに用いられる接着剤。
  23. 請求項1〜21の何れかに記載のガスバリア性多層フィルムを用いた不活性ガスバリア用多層フィルム。
  24. 請求項1〜21の何れかに記載のガスバリア性多層フィルムを用いたアルコールガスバリア用多層フィルム。
  25. 請求項1〜21の何れかに記載のガスバリア性多層フィルムを用いた保香用多層フィルム。
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