JP5821826B2 - 接着剤 - Google Patents
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前記ジオール化合物(A)の数平均分子量(Mn)が400〜3000の範囲であり
前記ポリイソシアネート(B)が、3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、ジイソシアネート化合物(b2)との混合物である接着剤により上記課題を解決した。
本発明で使用するジオール化合物(A)は、実質的に2個の水酸基を有し、数平均分子量(Mn)が400〜3000の範囲であるものである。これは一般に用いられているドライラミネート用接着剤での分子量範囲の5000〜10000に比べて低いため、合成に要する時間が短い上、合成後の接着剤化のプロセスも移送が容易なことにより簡素化できる利点がある。このジオール化合物(A)は2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)との固形分の合計が、接着剤用樹脂組成物の総質量中40質量%以上であれば、本発明の目的のひとつであるラミネート操作時の低VOCを達成できるため特に好ましい。
本発明で使用するポリエステルジオール(a0)を合成するために用いられる、ジオール成分(a1)は、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールの他に、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールの、エチレンオキサイド伸長物、水添化物を例示することができる。尚、これらのジオール成分と、ジカルボン酸との重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。
本発明で用いられるポリエステルジオール(a0)は、ジカルボン酸成分として具体的には、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。
本発明で用いられるポリエステルジオール(a0)は、前記のジオール成分(a1)、ジカルボン酸成分(a2)から重縮合によって得られるが、ごく一部の原料アルコールとして3個以上の水酸基を有する多価アルコール成分を少量用いることは許容される。これらの化合物としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価アルコールとしては三価アルコールが好ましい。また含有率としてはアルコール成分全体の2モル%以下が好ましい。
本発明で用いられるポリエステルジオール(a0)はジカルボン酸またはその無水物と、ジオール成分を一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる、公知慣用の方法により合成される。具体的な一例を示すと、原材料として用いるジオール成分と、ジカルボン酸またはその無水物と一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる。このとき、各々の原料を多段階に分けて反応させてもよい。また、反応温度にて揮発したジオール成分を追加しながら、水酸基価を±5%以内に入るように調整してもよい。本発明で用いるポリエステルジオールは分子量範囲が400〜3000と通常のドライラミネート用接着剤に比べて低いため合成に要する時間が短く、合成プロセスコストを低減することができる。
本発明では、前記ポリエステルジオール(a0)の水酸基価が35〜290mgKOH/g、酸価が0〜5mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて、測定することができる。酸価が5mgKOH/gより高いときは、ポリエステルジオールの分子中に片末端の水酸基を含有する分子が多くなることにより、ウレタン伸長反応が生じにくくなり、十分な初期ズリ強度が得られなくなる恐れがある。水酸基価が35mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、高固形含有率(ハイソリッド)化した場合、良好な塗工適性が得られない。逆に水酸基価が300mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られない。
反応に用いられる触媒としては、モノブチル酸化錫、ジブチル酸化錫等錫系触媒、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等のチタン系触媒、テトラ−ブチル−ジルコネート等のジルコニア系触媒等の酸触媒が挙げられる。エステル反応に対する活性が高い、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等の上記チタン系触媒と上記ジルコニア触媒を組み合わせて用いることが好ましい。前記触媒量は、使用する反応原料全質量に対して1〜1000ppm用いられ、より好ましくは10〜100ppmである。1ppmを下回ると触媒としての効果が得られにくく、1000ppmを上回ると後のウレタン化の反応を阻害する傾向がある。また、反応は触媒がなくとも進行する場合には無触媒で合成を実施してもよい。
本発明で用いるポリエステルジオール(a0)の数平均分子量は400〜3000である必要がある。分子量がこの範囲にあることにより接着剤用樹脂組成物の総質量が高いハイソリッド型の接着剤であっても、接着能と各種ラミネート操作とのバランスに優れる。より好ましい数平均分子量が500〜2800であり、更に好ましくは600〜2500である。
本発明で使用する硬化剤は3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、ジイソシアネート化合物(b2)の混合物である必要がある。これは、ポリエステルジオール(a0)の分子量の数平均分子量が400〜3000と汎用のドライラミネート用接着剤に比べて比較的小さな範囲であっても、良好な塗工ラミネート特性と、ラミネート強度とを両立させるためである。
多官能のイソシアネートは、主剤のポリエステルジオール(a0)を3次元的に架橋させることにより、接着剤を固化接着させる機能を持つ。従って、仮に硬化剤成分として3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)を含まなければ、ボイル、レトルト処理のような熱が加えられる条件下では接着層が剥離(デラミネーション)する問題が生じるおそれがある。多官能イソシアネートの官能基数には特に制限はないが、3官能以上であれは架橋材料として用いる多官能イソシアネートとしての機能は果たすことができるため、一般的に入手が容易である3価のポリイソシアネートを用いることが好ましい。
本発明では、硬化剤として前記の3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と2官能のイソシアネートを併用することに特徴がある。2官能であるジイソシアネートは、主剤のポリエステルジオール(a0)をウレタン伸張させることで高分子量化し、接着剤のラミネート操作時の必要特性の一つである初期ズリ強度を高くすることで、貼り合わせ時のトンネリングのトラブルを低減させる効果がある。ジイソシアネートの分子量については特に制限はないが、併用している3官能イソシアネートよりも先行して反応し、直鎖的にウレタン伸張させることで初期ズリ強度を高められる観点より、分子運動がしやすい低分子量が好ましい。従って、ジイソシアネートモノマーを用いても差し支えない。
3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、ジイソシアネート化合物(b2)の混合比は、用いるポリエステルジオール(a0)の分子量や、3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)や、ジイソシアネート化合物(b2)の分子量や、3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)の価数等に依存するため、一概には言えない。しかしながらこれらの各種イソシアネートが保有する効果を発揮する観点から、どちらか一方が少なすぎる場合には接着剤としての基本特性に問題が生じる場合がある。例えば、ジイソシアネート化合物(b2)が少なすぎる場合には、初期ズリ強度がでにくくなることにより、塗工ラミネート適性が悪くなり、トンネリング等のトラブルが生じる可能性がある。一方、3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)が少なすぎる場合には、耐ボイル、レトルト適性が架橋点密度が低くなりすぎることから、塗工ラミネート適性が悪くなる恐れがある。従って、3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、ジイソシアネート化合物(b2)の混合比はイソシアネート含有率換算で、1:5〜5:1の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、1:3〜3:1である。
ポリイソシアネート化合物を構成する化合物としては芳香族、脂肪族のジイソシアネート化合物が例示され、たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートが汎用のジイソシアネート化合物として例示される。これらは、モノマーとして用いた場合は、ジイソシアネート化合物(b2)として用いることができる。また、これらのイソシアネートモノマーの過剰量を、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等の2価の活性水素化合物や、ポリエステルジオール、ポリオールジオールと反応させたものでも良い。さらには、以上のイソシアネート化合物をブロック化したブロック化イソシアネートを用いても良い。
3価以上のポリイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート(b2)で例示した各種イソシアネートモノマーや化合物の3量体の多量体の他、イソシネートモノマーの過剰量を、多官能のアルコール体、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、などの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
本発明での接着剤の樹脂成分には非石油成分、特に植物由来成分がふくまれていると低VOC材料に加え、更に環境対応型材料となり好ましい。特にジオール化合物(A)の合成用モノマーとして、多価アルコール成分として、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が、多価カルボン酸としてコハク酸は現在植物由来成分が工業用レベルで市販されている。これらのモノマーが用いられると、ガスバリア機能も高くとくに好ましい。
本発明の接着剤は、ラミネート適性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等が例示できる。
特に、高いガスバリア機能を付与したい場合には本発明の接着剤に板状無機化合物を含有させても良い。板状無機化合物を併用した場合には形状が板状であることによりラミネート強度とバリア性が向上する特徴がある。本発明で使用される板状無機化合物としては、例えば、板状無機化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい
本発明の接着剤は主剤のジオール化合物(A)の分子量が汎用のドライラミネート用接着剤に比して低いため、ジオール化合物(A)とポリイソシアネート(B)の固形分の合計が、接着剤の総質量中40質量%以上であるハイソリッド型接着剤にしやすい特徴を有する。以降、これを不揮発成分と称する場合もある。
また、接着剤中40質量%以下であると、含まれる揮発成分の除去を行わねばならず、使用済みの有機溶剤が多量に発生し、環境負荷の低減の観点からは好ましくない。このため、好ましい範囲として、40〜80質量%を挙げることができる。
本発明の接着剤は、2個の水酸基を有するジオール化合物(A)がポリオール成分と、ポリカルボン酸成分から合成される実質的に2個の水酸基を有するポリエステルジオール(a0)であって、前記ポリエステルジオール(a0)がエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むジオール成分(a1)と、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含むジカルボン酸成分(a2)を重縮合した成分を含む場合には、各種ガスに対するガスバリア機能を持つ。遮断できるガスの対象としては、酸素、水蒸気の他、不活性ガス、アルコール、香り成分、各種有機溶剤、等が挙げられる。
本発明の接着剤は、溶剤型である必要がある。接着剤用の溶剤はポリエステルポリオール及び硬化剤の製造時に反応媒体として使用してもよい。更に塗装時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。これらのうち通常は酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール90.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量500のポリエステルポリオールであるジオール化合物(A1)を得た。このジオール化合物は水酸基価210mgKOH/g、酸価1.0mgKOH/gであった。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール66.1部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量3000のポリエステルポリオールであるジオール化合物(A2)を得た。このジオール化合物は水酸基価45mgKOH/g、酸価1.0mgKOH/gであった。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、ネオペンチルグリコール123.4部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1200のポリエステルポリオールであるジオール化合物(A3)を得た。このジオール化合物は水酸基価93mgKOH/g、酸価1.0mgKOH/gであった。
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、1,4−シクロヘキサンジメタノール231.0部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が4mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600のポリエステルポリオールであるジオール化合物(A4)を得た。このジオール化合物は水酸基価185mgKOH/g、酸価3.8mgKOH/gであった。
製攪拌機、窒素ガス導入管、コンデンサーを備えた反応容器にm-キシリレンジイソシアネート376gを仕込んだ。反応容器内部温度を60℃に設定し、ここに、製造例1で合成した、ジオール化合物(A)500gを予め酢酸エチル125gに溶解させ、樹脂成分が80質量%であるジオール化合物の酢酸エチル溶液625gを、1時間かけて滴下した。該溶液を完全に滴下し終わった後、60℃で3時間攪拌保持したのち、滴定によりイソシアネート価を測定した上で、プレポリマー化の反応を終了しoPAEGの両末端にmXDIが付加された不揮発分87.5%のプレポリマー(硬化剤)を得た。
(ポリイソシアネート化合物b1a)
三井化学製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、不揮発分75質量%)をNCOの官能基数が3である接着剤用硬化剤(ポリイソシアネート化合物b1a)として用いた。この化合物のNCO%は11.5%である。
DIC株式会社製「ディックドライKW75」(トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、不揮発分75質量%)をNCOの官能基数が3である接着剤用硬化剤(ポリイソシアネート化合b1b)として用いた。この化合物のNCO%は13.0%である。
BASF INOACポリウレタン株式会社製「ルブラネートM20S」(ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、不揮発分100質量%)をNCOの官能基数が3以上である接着剤用硬化剤(ポリイソシアネート化合b1c)として用いた。この化合物のNCO%は31.2%である。
三井化学製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネート)をNCOの官能基数が2である接着剤用の硬化剤(ジイソシアネート化合物b2a)として用いた。この化合物のNCO%は44.7%、不揮発分は100%である。
製造例5で製造した、oPAEG(Mn500)の両末端にm-キシリレンジイソシアネートを付加したプレポリマーをNCOの官能基数が2である接着剤用の硬化剤(ジイソシアネート化合物b2b)として用いた。この化合物のNCO%は9.6%、不揮発分は87.5%である。
表1中の実施例1〜5の配合比に従い、ジオール化合物と、ポリイソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物、酢酸エチルを配合し溶剤型接着剤を得た。この時、これらの実施例での接着剤のNCO/OH比率は1.4に、ザーンカップ粘度計NO.3での粘度が17秒プラスマナイス1秒になるように配合設定している。本接着剤は後述の方法で塗工ラミネートを実施し本発明での接着剤を用いた積層フィルムを得た。
表2中の比較例1〜6の配合比に従い、ジオール化合物と、ポリイソシアネート化合物かジイソシアネート化合物のどちらか一方と、酢酸エチルを配合し、溶剤型接着剤を得た。この時、これらの比較例での接着剤のNCO/OH比率は実施例同様の1.4に、ザーンカップ粘度計NO.3での粘度が17秒プラスマナイス1秒になるように配合設定している。本接着剤も後述の方法で塗工ラミネートを実施し本発明での接着剤を用いた積層フィルムを得た。
溶剤型ラミネート用接着剤主剤であるディックドライLX−703VL(DICグラフィックス社製:ポリエステルポリオール、不揮発分/約62%、Mn約7000、水酸基価11mgKOH/g)と、ポリイソシアネート化合物を表3の通りに混合して、溶剤型接着剤を得た。本接着剤はザーンカップ粘度計NO.3での粘度が17秒である。本接着剤も後述の方法で塗工ラミネートを実施し本発明での接着剤を用いた積層フィルムを得た。
前記の各種実施例、比較例溶剤型接着剤を、ドライラミネーター((株)武蔵野機械設計事務所、400m/mドライラミテストコーター)により塗工ラミネート試験を行った。試験条件はグラビア版100線/100μm、ラインスピード60m/分、塗工幅30cm、乾燥炉温度60℃で実施した。このときの塗布量は実施例及び、比較例1〜7では塗布量約5.0g/m2(固形分)、比較例8では塗布量約3.0g/m2(固形分)である。また、使用した基材フィルムは厚み15μmの延伸ナイロン(ONY)フィルム(ユニチカ(株)製「エンブレムON−BC」)、シーラントフィルムは厚み70μmの未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東レ(株)製「ZK93KM」)である。次いで、この複合フィルムを40℃/3日間のエージングを行い、接着剤の硬化を行って各種積層フィルムを得た。
(1)接着強度
エージングが終了した積層フィルムを、塗工方向と平行に15mm幅に切断し、ONYフィルムとCPPフィルムとの間を、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180度剥離方法で剥離した際の引っ張り強度を接着強度とした。接着強度の単位はN/15mmとした。接着強度が5N/15mm以上であれば実用上十分であるといえる。
エージングが終了した積層フィルムをシーラント(CPP)フィルムが内側になるように重ね、ヒートシーラー(テスター産業(株)、TP−201−B)を用い、10mm幅のシールバーで0.1MPa、1秒、210℃の条件でヒートシールした。これを15mm幅に切断し、(1)の接着強度測定と同条件、同試験装置を用いヒートシール部分を剥離した際の引っ張り強度をヒートシール強度とした。接着強度の単位はN/15mmとした。ヒートシール強度が25N/15mm以上であれば、実用上十分であると言える。
エージングが終了した積層フィルムを観察し、基材フィルムとシーラントフィルムとがずれたことにより生じるトンネリングの有無を観察した。トンネリングが生じた場合は×、トンネリングが生じない場合は○と判定した。
エージングが終了した積層フィルムを沸騰水中に入れ、30分間の熱水処理を行った。処理後の積層フィルムで、基材フィルムとシーラントフィルムとが剥離が見られた場合は×、剥離が生じていない場合は○と判定した。
エージングが終了した積層フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN1/50を用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃90%RHの雰囲気下で測定した。なおRHとは、湿度を表す。なお、各実施例、比較例で用いたONYフィルムの本条件での測定値は78cc/m2・day・atmであった。また、CPPフィルムでは本測定装置での測定レンジ400cc/m2・day・atmをオーバーし実質的にバリア機能を持たなかった。
各種実施例、比較例で作製した塗工ラミネート直前の接着剤液の粘度を、主剤、硬化剤を混合したのち直ちに、RICOSHA製ザーンカップ粘度計#3で測定を行った。粘度計で接着剤が完全に通過するまでの秒数は今回の実施例、比較例では塗工ラミネート適性に好適である16〜18秒の範囲になるように調整している。
更に、一定のガスバリア性を有するため、環境対応性に優れた食品包装材等に使用が可能なフィルムラミネート用接着剤としての利用が可能である。
Claims (7)
- 2個の水酸基を有するジオール化合物(A)と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなる接着剤において、
前記ジオール化合物(A)の数平均分子量(Mn)が400〜3000の範囲であり
前記ポリイソシアネート(B)が、3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、ジイソシアネート化合物(b2)との混合物である接着剤であって、
該ジイソシアネート化合物(b2)が、ポリオール成分と、ポリカルボン酸成分から合成される2個の水酸基を有するポリエステルジオール(a0)にイソシアネート化合物を付加させて得られる硬化剤であることを特徴とする接着剤。 - 前記ポリイソシアネート(B)で3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、ジイソシアネート化合物(b2)の混合比が、イソシアネート含有質量%換算で、1:5〜5:1の範囲である請求項1に記載の接着剤。
- ジオール化合物(A)とポリイソシアネート(B)の固形分の合計が、接着剤用樹脂組成物の総質量中40質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤。
- 2個の水酸基を有するジオール化合物(A)がポリオール成分と、ポリカルボン酸成分から合成される2個の水酸基を有するポリエステルジオール(a0)であって、前記ポリエステルジオール(a0)がエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むジオール成分(a1)と、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含むジカルボン酸成分(a2)を重縮合した成分を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の接着剤。
- オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つのポリカルボン酸又はその無水物である請求項4に記載の接着剤。
- オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の、ポリカルボン酸全成分に対する使用率が70〜100質量%である請求項4に記載の接着剤。
- 前記3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)及び、ジイソシアネート化合物(b2)が、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチルフェニルエタンジイソシアネート、及びこれらの水素添加物から選ばれる少なくとも一種のモノマー、オリゴマー、これらのイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物からなる群から選ばれる請求項4に記載の接着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012253222A JP5821826B2 (ja) | 2012-11-19 | 2012-11-19 | 接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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