JP2012201731A - 接着剤及びそれを使用した酸素バリア性フィルム - Google Patents

接着剤及びそれを使用した酸素バリア性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、食品包装用に使用でき酸素バリア性に優れるポリエステルを主体とし、ラミネート法に使用できる接着剤を提供することにあり、該接着剤を使用した酸素バリア性フィルムを提供する。
【解決手段】 非晶性ポリエステルポリオールと、多価フェノール及び多価ナフトールから選択される1種以上の多価フェノール性化合物と、これと反応しうる硬化剤とを含有する接着剤であって、前記非晶性ポリエステルポリオールが、オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と多価アルコールを主成分として重縮合して得た非晶性ポリエステルポリオール(A)である接着剤、及び該接着剤を使用した酸素バリア性フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酸素バリア性に優れる接着剤に関し、それを使用してなる酸素バリア性フィルムに関する。
食品や飲料等の包装に用いられる包装材料は、様々な流通、冷蔵等の保存や加熱殺菌などの処理等から内容物を保護するため、強度や割れにくさ、耐レトルト性、耐熱性といった機能ばかりでなく、内容物を確認できるよう透明性に優れるなど多岐に渡る機能が要求されている。その一方で、ヒートシールにより袋を密閉する場合には、熱加工性に優れる無延伸のポリオレフィン類フィルムが必須であるが、無延伸ポリオレフィンフィルムには包装材料として不足している機能も多い。
このようなことから、前記包装材料は、異種のポリマー材料を組み合わせた複合フレキシブルフィルムが広く用いられている。一般には、商品保護や各種機能を有する外層となる熱可塑性プラスチックフィルム層等と、シーラント層となる熱可塑性プラスチックフィルム層等からなり、これらを接着剤で貼り合わせて得る。貼り合わせ方法としては、外層用熱可塑性プラスチックと、接着剤と、シーラント層用熱可塑性プラスチックとを3層溶融押し出しし未延伸積層シートを成形後延伸する方法もあるが(例えば特許文献1参照)、ラミネートフィルム層に接着剤を塗布してシーラント層を接着させることで多層フィルムを製造するラミネート法(例えば特許文献2参照)が簡便であり主流となっている。
しかしながら、本用途に用いられる接着剤は一般に異種フィルム間を接着する機能のみしか持たないことが多い。
さらに近年では多層フィルムに対するさらなる高機能化が求められており、食品長期保存を目的として、酸化を抑えるため外部からの酸素の侵入を防ぐ酸素バリア性や、二酸化炭素バリア性、各種香気成分等に対するバリア性機能も要求されている。バリア機能を多層フィルムに付与する際、内層(シーラント側)に用いる無延伸ポリオレフィンフィルム類はガスバリア性に乏しい上、コーティングや蒸着によりバリア機能を付与することが困難である。そのため、外層側に用いている各種フィルム(ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)等のポリエステル系樹脂や、ポリアミド樹脂、延伸ポリオレフィン樹脂)にバリア機能を付与することが多い。
これらの外層側フィルムにコーティングによりバリア機能を付与する場合、バリアコーティング材料としては、耐レトルト性及び酸素バリア性の高い塩化ビニリデンが多用されてきたが、廃棄の焼成時にダイオキシンが発生する等の問題がある。また、ポリビニルアルコール樹脂やエチレン-ポリビニルアルコール共重合体をバリアコーティング材料として用いた場合酸素バリア性は高いが、耐ボイル、レトルトに劣る問題点がある。一方、アルミニウム等の金属蒸着層をガスバリア層として設けたフィルムは不透明で内部が視認できない上、電子レンジ使用ができない問題がある。また、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層をガスバリア層として設けたフィルムは高価な上、柔軟性に乏しくクラック、ピンホールによりバリア性能がばらつく問題点がある。
一方、ラミネート時に使用する接着剤に酸素バリア機能を付与する方法も知られている。この方法は、積層フィルムを作製するのに必須の工程及び構成により、特殊なガスバリア付与済みのフィルムを使用しなくともバリアフィルムを製造できる利点を持つ。その一方で接着剤には必須な柔軟な分子構造では一般にガス透過性が高い。そのため、接着能とバリア能とはトレードオフの関係にある事が多く、この解消が技術的な難易度を高めている。
例えば特許文献3や4では、メタキシリレンジアミンから誘導されたエポキシ樹脂硬化物および/またはポリウレタン樹脂硬化物を、酸素バリア性に優れる接着剤として使用している。しかしながら特に食品包装用接着剤には安全性や臭気フリーの観点から、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン系材料が使われることが多く、エポキシ樹脂硬化物はこれらの用途には使用しにくい問題点があった。さらに特許文献2や3の技術では高価なモノマー由来のメタキシリレン骨格を高含有率(少なくとも40質量%、実施例では50質量%以上含有した例が記載されている。)で含む必要があり包装材料を高価にしてしまう問題点があった。
特開2006−341423号公報 特開2003−13032号公報 特開2004−195971号公報 特開2008−188975号公報
本発明が解決しようとする課題は、食品包装用に使用でき酸素バリア性に優れるポリエステルを主体とし、ラミネート法に使用できる接着剤を提供することにあり、該接着剤を使用した酸素バリア性フィルムを提供することにある。
本発明者らは、非晶性ポリエステルポリオールと、多価フェノール及び多価ナフトールから選択される1種以上の多価フェノール性化合物と、これと反応しうる硬化剤とを含有する接着剤であって、前記非晶性ポリエステルポリオールが、オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と多価アルコールを主成分として重縮合して得た非晶性ポリエステルポリオール(A)である接着剤が、ラミネート法に使用でき、特に酸素バリア性に優れることを見出し、上記課題を解決した。
オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と多価アルコールを主成分として重縮合して得た非晶性ポリエステルポリオールは、骨格が非対称構造である。本発明者らは、該ポリエステルポリオールを使用した接着剤が特に酸素バリア性に優れることを見出し、更に多価フェノール性化合物と併用することで、その効果を更に高めることが出来ることを見出した。
即ち本発明は、非晶性ポリエステルポリオールと、多価フェノール及び多価ナフトールから選択される1種以上の多価フェノール性化合物と、これと反応しうる硬化剤とを含有する接着剤であって、
前記非晶性ポリエステルポリオールが、オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と多価アルコールを主成分として重縮合して得た非晶性ポリエステルポリオール(A)である接着剤を提供する。
また本発明は、前記記載の接着剤を使用したフィルムラミネート用接着剤を提供する。
また本発明は、同種または異種の複数の樹脂フィルムを接着してなる酸素バリア性フィルムであって、前記接着剤として前記記載の接着剤を使用する酸素バリア性フィルムを提供する。
本発明により、ラミネート法に使用でき、十分な基材間の接着能を持ちつつ、酸素バリア性に優れるポリエステル系接着剤を提供できる。
(接着剤 非晶性ポリエステルポリオール)
本発明で使用する非晶性ポリエステルポリオール(A)は、オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と多価アルコールを主成分として重縮合して得た非晶性ポリエステルポリオールである。
(オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物)
オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これにより酸素バリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示しガラス転移温度(Tg)が室温以下であることにより生じる十分な基材密着性が付与され、接着力と酸素バリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物の具体例としては、例えば、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。
(多価カルボン酸 その他の成分)
本発明の接着剤で用いられるポリエステルポリオールは、多価カルボン酸成分として前記オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独であるいは二種以上の混合物で使用することができる。
中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
(多価アルコール)
本発明で使用する多価アルコールは、特に限定はなく公知のポリエステルで使用される多価アルコールを使用することができる。具体的には、脂肪族ジオールとしては1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。また、3官能以上の多官能ポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸等が挙げられる。
中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、またはシクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオールが好ましい。酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコールを使用することが最も好ましい。
前記非晶性ポリステルポリオール(A)として、オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むジオールを必須成分として重縮合して得た、非晶性ポリエステルポリオール(以下、前記非晶性ポリステルポリオール(A)のうち「オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むジオールを必須成分として重縮合して得た、非晶性ポリエステルポリオール」を、「非晶性ポリエステルポリオール(A−1)」と称す)を使用することが好ましい。
非晶性ポリエステルポリオール(A−1)は、オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率が70〜100%であると、酸素バリア性を特に発揮することができ特に好ましい。
前記非晶性ポリエステルポリオール(A)として、前記非晶性ポリエステルポリオール(A−1)の前記必須成分以外に、前記多官能ポリオールを共重合させたポリエステルポリオールも好ましい(以下、前記非晶性ポリステルポリオール(A)のうち「オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1つのジオールと、多官能ポリオールとを重縮合させて得た非晶性ポリエステルポリオール」を特に「非晶性ポリエステルポリオール(A−2)」と称する)。前記多官能のポリオールを有することで得られるポリエステルポリオール(A−2)は分岐鎖を有し、高い架橋密度を得ることができる。架橋密度を高めることで、酸素等のガスが通過する隙間を減らすことが出来ると推定される。
中でも、多官能ポリオールとしては、イソシアヌル環を有するトリオールを用いることが好ましい。イソシアヌル環は高極性であり且つ3官能である。従って系全体を高極性化させることができ、且つ、架橋密度を高めることが可能であり、特に高湿下における酸素バリア性に優れる。
非晶性ポリエステルポリオール(A−2)においてイソシアヌル環を有するポリエステルポリオールの例としては、一般式(1)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物が挙げられる。
Figure 2012201731
(一般式(1)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(2)
Figure 2012201731
(一般式(2)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但しR、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(2)で表される基である)
前記一般式(1)において、R〜Rにおける−(CHn1−で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状でもよい。n1は、中でも2又は3が好ましく、2が最も好ましい。
前記一般式(2)において、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表す。
Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Xが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
Xは、中でもヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基、が好ましくヒドロキシル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、フタルイミド基、フェニル基が最も好ましい。
前記一般式(2)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基、等の、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましくエチレン基が最も好ましい。
前記一般式(1)において、R、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(2)で表される基である。中でも、R、R及びR全てが前記一般式(2)で表される基であることが好ましい。
また、R、R及びRのいずれか1つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R、R及びRのいずれか2つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R、R及びRの全てが前記一般式(2)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
前記一般式(1)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物の原料となるイソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸及びその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸及びその無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸およびその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、等のジオールを例示することができる。
中でも、イソシアヌル環を有するトリオール化合物として1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を使用し、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としてオルトフタル酸無水物を使用し、多価アルコールとしてエチレングリコール、又は1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼンを使用したイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物が、酸素バリア性や接着性に特に優れ好ましい。
このような、前記一般式(1)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物としては、トリオールとして1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸を用い、芳香族多価カルボン酸としてオルトフタル酸無水を用い、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いたポリエステルポリオール (THEI(oPAEG)nと略す)、トリオールとして1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸を用い、芳香族多価カルボン酸としてナフタレン2,3−ジカルボン酸を用い、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いたポリエステルポリオール (THEI(oNAEG)nと略す)、トリオールとして1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を用い、芳香族多価カルボン酸としてオルトフタル酸無水を用い、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いたポリエステルポリオール (THPI(oPAEG)nと略す)トリオールとして1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を用い、芳香族多価カルボン酸としてナフタレン2,3−ジカルボン酸無水を用い、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いたポリエステルポリオール( THPI(oNAEG)nと略す。)、等を上げることが出来る。
なお本願においてイソシアヌル環の含有量は、本願の接着剤全固形分の重量に対して、前記一般式(1)のR1〜R3を除いた残基(C3N3O3 = 126.05)がどのくらい含まれるかを、式(a)を用いて計算する。
Figure 2012201731
式(a)
P:イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物を表す
前述の通りイソシアヌル環は高極性であり且つ3官能である。従って系全体を高極性化させることができ、且つ、架橋密度を高めることが可能である。このような観点からイソシアヌル環を接着剤全固形分に対し5重量%以上含有することが好ましい。
前記イソシアヌル環は高極性であり、且つ水素結合性を形成しない。一般に接着性を高める手法として、水酸基、ウレタン結合、ウレイド結合、アミド結合などの高極性の官能基を配合させる方法が知られているが、これらの結合を有する樹脂は分子間水素結合を形成しやすく、ドライラミネート接着剤に良く使用される酢酸エチル、2−ブタノン溶剤への溶解性を損ねてしまう。しかしながらイソシアヌル環を有するポリエステル樹脂は該溶解性を損なわないので、容易に希釈可能である。従って分子間水素結合を形成せずに高極性であり且つ高い架橋密度が得られるので、酸素バリア性と接着性とを担保でき好ましい。
本発明で使用する非晶性ポリエステルポリオール(A)の製造方法は、特に限定はなく公知のポリエステルポリオールの重縮合法で製造することができる。例えば、通常、ジオールやポリオール等の多価アルコールの水酸基と多価カルボン酸のカルボキシ基の当量比(水酸基/カルボキシ基)は、1.02〜1.5が好ましく、1.05〜1.3がより好ましい。具体的には所定量の多価カルボン酸と多価アルコールを、触媒の存在下又は不存在下に150〜250℃程度で、1〜50時間程度、重縮合することによりエステル化又はエステル交換を行う。この際の触媒としては、チタンテトラブトキシド等のチタン系触媒、ジブチルスズオキシド等のスズ系触媒が好ましい。使用する反応原料全重量に対して1〜1000ppm用いられ、より好ましくは10〜100ppmである。1ppmを下回ると触媒としての効果が得られにくく、1000ppmを上回ると後のウレタン化の反応を阻害する傾向がある。触媒は、多価カルボン酸と多価アルコールと共に仕込んでもよいし、無触媒で予備重合を進めた後、添加してもよい。ポリエステルポリオールの製造においては、両末端をほとんど水酸基にし、カルボン酸末端を生成しないようにすることが好ましく、この目的のために、予備重合を行った後に前記の触媒を加えることが好ましい。
前記一般式(1)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオールの製造方法を例にとると、原材料として用いるイソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分を一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる。JIS−K0070に記載の酸価測定法にて 1 mgKOH/g以下、同じくJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて得られる水酸基価 Z mgKOH/gが 下記式(b)の右辺の数値(mgKOH/g)の±5%以内に入るまで反応を継続することで目的とするポリエステルポリオールを得ることができる。
Figure 2012201731

(式(b)中 Mnは所定の3官能ポリエステルポリオールの設定数平均分子量を表す)
あるいは、各々の原料を多段階に分けて反応させてもよい。また、反応温度にて揮発してしまったジオール成分を追加しながら、水酸基価を±5%以内に入るように調製してもよい。
前記ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は450〜5000であると接着能と酸素バリア能とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。また硬化剤としては、後述のポリイソシアネートが最も好ましく、適度な反応時間を付与でき、接着強度と酸素バリア能に特に優れる。この時の架橋密度としては0.4〜4.5mmol/gの範囲が好ましい。
また、多官能ポリオールを共重合させて得た前記非晶性ポリエステルポリオール(A−2)においても、数平均分子量で450〜5000であると、接着能と酸素バリア性とのバランスに優れ特に好ましい。また硬化剤としては、後述のポリイソシアネートが最も好ましく、適度な反応時間を付与でき、接着強度と酸素バリア能に特に優れる。この時のウレタン基濃度としては1.0〜6.0mmol/gの範囲が好ましい。
前記ポリエステルポリオール(A)は、ガラス転移温度が−30℃〜60℃の範囲が好ましい。より好ましくは−20℃〜50℃である。ガラス転移温度が60℃を超える場合、室温付近でのポリエステルポリオールの柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。一方−30℃を下回る場合、常温付近でのポリエステルポリオールの分子運動が激しいことにより十分な酸素バリア性が出ないおそれがある。
(接着剤 多価フェノール性化合物)
本発明で使用する多価フェノール性化合物は、多価フェノール及び多価ナフトールから選択される1種以上の多価フェノール性化合物である。
具体的には、ベンゼンに直結した水酸基を少なくとも2個以上有する化合物で、例えば、カテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、2,3−ジオキシトルエン、3.4−ジオキシトルエン、4− ter−ブチルカテコール、クレシルシン、オルシン、β−オルシン、m−キシロルシン、4−n−へキシルレゾルンン、2−メチルハイドロキノン、tar−ブチルハイドロキノン、2.5−ジーter−アシルハイドロキノン、2.5−ジェトキシハイドロキノン、2,3.6− )リメチルハイドロキノン、フロログルシノール、ピロガロール、ピロガロール−2−メチルエーテル、ピロガロールモノアセテート、1,3.5− )リオキシベンゼン、ビスフェノールA等の多価フェノール類や、ナフタレンに直結した水酸基を少なくとも2個以上有する化合物で、例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、I,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7ジヒドロキシナフタレン、1,2,3−トリヒドロキシナフタレン、1,2,4−トリヒドロキシナフタレン、1,4,5−トリヒドロキシナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロキシナフタレン、1,2,3,4,5,8−ヘキサヒドロキシナフタレン等の多価ナフトール類が挙げられる。中でも、酸素バリア性、塗工物着色、接着強度等の観点から、水酸基が2つ若しくは3つ結合している2価フェノール性化合物、3価フェノール性化合物が好ましく、更にはカテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが好ましく、その中でもレソルシノールが最も好ましい。
本発明で使用する多価フェノール性化合物を添加することで、架橋密度の向上、及び酸素バリア性向上に有効と推察される芳香環濃度を高められることにより酸素バリア性を高めることができると推定している。一方、1価フェノールや1価ナフトールは、架橋密度を高める効果を期待できないため、酸素バリア性を高める顕著な効果は得られない。また低分子成分として残存して溶出の恐れもあり、特に食品包装材料用の接着剤として用いる場合には適さない。
非晶性ポリエステルポリオールと、多価フェノール性化合物との配合比率は、非晶性ポリエステルポリオール/多価フェノール性化合物=98/2〜50/50(質量%)が好ましく、より好ましくは、98/2〜60/40である。多価フェノール性化合物の比率が2質量%に満たない量では所望する効果が得られないおそれがあり、一方多価フェノール性化合物の比率が50質量%を超える量では、ドライラミネート用接着剤としての塗工適性、更には接着強度等の物性を大きく阻害する恐れがある。
(接着剤 結晶性ポリエステル)
本発明においては、結晶性ポリエステルを併用してもよい。結晶性ポリエステルとしては特に限定はなく公知の結晶性ポリエステルを使用することができる。本発明において結晶性とは、示差熱分析法(DSC)により20℃/minの昇温条件下で、融点に相当する吸熱ピークにおける吸熱量が20J/g以上、より好ましくは30J/g以上であることを指し、結晶性ポリエステル(A)は該結晶性の条件を満たすものである。
具体的には、前記結晶性の条件を満たせば特に限定されないが、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分として重縮合して製造される脂肪族の結晶性ポリエステルが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、炭素原子数4〜12の直鎖状脂肪族ジカルボン酸が好ましく、その具体例としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸等が挙げられる。これらの中では、脂肪族ジオールとの反応性、固化促進等の観点から、コハク酸、アジピン酸が好ましい。脂肪族の結晶性ポリエステルは、結晶性ポリエステルの中では融点が比較的低いことにより溶融混合処理が容易で、非晶性ポリエステルと均一に混合しやすいため平滑な塗工面を作りやすく、酸素バリア能が安定する傾向にある。
脂肪族ジオールとしては、炭素原子数2〜12の直鎖状脂肪族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールであり、より好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,6−ヘキサンジオールである。
これらの脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールは、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、結晶性ポリエステルも混合物であってもよい。
更に、結晶性の条件を満たすものであれば、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオール、又は芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを重縮合して得られる半芳香族ポリエステルポリオールでもよい。その際、芳香族ジオールとしては、1,3ビスヒドロキシエチルベンゼン、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、4,4 ’ − ジヒドロキシジフェニル、4 , 4 ’ − ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’− ジヒドロキシジフェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ヒドロキシジフェニルスルフォン、4 ,4 ’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,6−ジヒドロキシナフタレンおよび1 , 5−ヒドロキシナフタレン等があげられ、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸及びその無水物等が挙げられる。
加えて、前述の芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸を重縮合するか、芳香環中に水酸基とカルボン酸の双方を含むモノマーであるp-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、o-ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸等を重縮合することで得られる全芳香族ポリエステル(液晶ポリマー類)を用いることもできる。
前記結晶性ポリエステルの製造方法は、前記非晶性ポリエステルポリオール(A−1)の合成方法と同様に行えばよい。
前記結晶性ポリエステルの数平均分子量は、500〜5000であると、塗工適性に優れた非晶性ポリエステルポリオールとの混合液が得られるため特に好ましい。また、本結晶性ポリエステルの末端がアルコールである結晶性ポリエステルポリオールである場合は、結晶ポリエステルポリオールも硬化剤と反応することで、硬化後の接着剤構造中に取り込まれるため特に好ましく用いられる。
一般に結晶性ポリエステルは、分子鎖間の凝集が強いことにより酸素バリア性が高いが、溶媒溶解性に極めて乏しくラミネート用接着剤には適さない。しかし本発明のように、前記酸素バリア性に優れる非晶性ポリエステルポリオールと混合して使用することで、取り扱いに優れ、且つ特に高い酸素バリア性を有する接着剤を得ることができる。
非晶性ポリエステルポリオールと、結晶性ポリエステルとの配合比率は、非晶性ポリエステルポリオール/結晶性ポリエステル=98/2〜50/50(質量%)が好ましく、より好ましくは、95/5〜60/40である。結晶性ポリエステルの比率が50質量%以上ではドライラミネート用接着剤としての塗工適性を大きく阻害する恐れがある。
(接着剤 硬化剤)
本発明で使用する硬化剤は、前記ポリエステルポリオールの水酸基と反応しうる硬化剤であれば特に限定はなく、ポリイソシアネートやエポキシ化合物等の公知の硬化剤を使用できる。中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レソルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
中でも、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートが好ましく、メタキシリレンジイソシアネート、メタ水素化キシリレンジイソシアネートが最も好ましい。
また、エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
前記硬化剤の使用量は、系中に存在する水酸基量、即ち使用するポリエステルポリオールの総水酸基量と、多価フェノール性化合物の総水酸基量とから換算する。即ち、系中で使用するポリエステルポリオールが前記ポリエステルポリオール(A)の場合には、前記ポリエステルポリオール(A)が有する水酸基と多価フェノール性化合物の水酸基量の和と硬化剤との割合で計算する。また、更に前記ポリエステルポリオール(A)と多価フェノール性化合物と前記結晶性ポリエステルポリオールとを併用する場合には、前記ポリエステルポリオール(A)が有する水酸基と多価フェノール性化合物と前記結晶性ポリエステルポリオールが有する水酸基の和と硬化剤との割合で計算する。具体的には、系中に存在する水酸基量と硬化剤の反応成分とが1/0.5〜1/5(当量比)となるように配合することが好ましく、より好ましくは 1/1〜1/3 である。
該範囲を超えて硬化剤成分が過剰な場合、余剰な硬化剤成分が残留することで接着後に接着層からのブリードアウトや、過度に架橋密度が高くなり、接着強度の大幅低下の恐れがあり、一方硬化剤成分が不足の場合には接着剤の硬化不良による接着強度不足の恐れがある。
前記硬化剤は、その種類に応じて選択された公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。例えば接着促進剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤は、各種フィルム材料に対する接着剤を向上させる意味でも好ましい。
(接着剤 その他の成分)
本発明の接着剤は、酸素バリア性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等が例示できる。膨潤性無機層状化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩( フィロケイ酸塩鉱物等) 、カオリナイト族粘土鉱物( ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等) 、アンチゴライト族粘土鉱物( アンチゴライト、クリソタイル等) 、スメクタイト族粘土鉱物( モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等) 、バーミキュライト族粘土鉱物( バーミキュライト等) 、雲母又はマイカ族粘土鉱物( 白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。膨潤性無機層状化合物は単独でまたは二種以上組み合わせて使用される。なかでも結晶性ポリエステルの結晶核剤として機能する各種の添加剤を加えた場合は、接着剤中の酸素バリア性の高い結晶部の形成を促進することができるため、特に好ましく用いることができる。結晶核剤としては有機系核剤、無機系核剤の何れも用いることができる。
また、接着剤層の耐酸性を向上させる方法として公知の酸無水物を併用することもできる。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5−(2,5−オキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、必要に応じて、更に酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
また、塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、接着剤と硬化剤の総量100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲が好ましい。
(接着剤の形態)
本発明の接着剤は、溶剤型又は無溶剤型のいずれの形態であってもよい。溶剤型の場合、溶剤はポリエステルポリオール及び硬化剤の製造時に反応媒体として使用され、更に塗装時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。これらのうち通常は酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。
本発明の接着剤は、基材フィルム等に塗工して使用することができる。塗工方法としては特に限定はなく公知の方法で行えばよい。例えば粘度が調整できる溶剤型の場合は、グラビアロール塗工方式等で塗布することが多い。また無溶剤型で、室温での粘度が高くグラビアロール塗工が適さない場合は、加温しながらロールコーターで塗工することもできる。ロールコーターを使用する場合は、本発明の接着剤の粘度が500〜2500mPa・s程度となるように室温〜120℃程度まで加熱した状態で、塗工することが好ましい。
本発明の接着剤は、酸素バリア性接着剤として、ポリマー、紙、金属などに対し、酸素バリア性を必要とする各種用途の接着剤として使用できる。以下具体的用途の1つとしてフィルムラミネート用接着剤について説明する。
本発明の接着剤は、フィルムラミネート用接着剤として使用できる。ラミネートされた積層フィルムは、酸素バリア性に優れるため、酸素バリア性フィルムとして使用できる。
本発明で使用する積層用のフィルムは、特に限定はなく、所望の用途に応じた熱可塑性樹脂フィルムを適宜選択することができる。例えば食品包装用としては、PETフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施してあってもよい。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的にはロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
また、フィルム表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理を施してもよい。
前記熱可塑性樹脂フィルムの一方に本発明の接着剤を塗工後、もう一方の熱可塑性樹脂フィルムを重ねてラミネーションにより貼り合わせることで、本発明の酸素バリア性フィルムが得られる。ラミネーション方法には、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、押出しラミネーション等公知のラミネーションを用いることが可能である。
ドライラミネーション方法は、具体的には、基材フィルムの一方に本発明の接着剤をグラビアロール方式で塗工後、もう一方の基材フィルムを重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせる。ラミネートロールの温度は室温〜60℃程度が好ましい。
またノンソルベントラミネーションは基材フィルムに予め室温〜120℃程度に加熱しておいた本発明の接着剤を室温〜120℃程度に加熱したロールコーターなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。ラミネート圧力は、10〜300kg/cm程度が好ましい。
押出しラミネート法の場合には、基材フィルムに接着補助剤(アンカーコート剤)として本発明の接着剤の有機溶剤溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、本発明の酸素バリア性フィルムは、作成後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、硬化剤としてポリイソシアネートを使用する場合であれば、室温〜80℃で、12〜240時間の間であり、この間に、ポリエステルポリオールと硬化剤とが反応し、接着強度が生じる。
本発明では、さらに高いバリア機能を付与するために、必要に応じてアルミニウム等の金属、あるいはシリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルムを併用してもよい。
本発明の接着剤は、同種または異種の複数の樹脂フィルムを接着してなる積層フィルム用の接着剤として好ましく使用できる。樹脂フィルムは、目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば包装材として使用する際は、最外層をPET、OPP、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用し、最内層を無延伸ポリプロピレン(以下CPPと略す)、低密度ポリエチレンフィルム(以下LLDPEと略す)から選ばれる熱可塑性樹脂フィルムを使用した2層からなる複合フィルム、あるいは、例えばPET、ポリアミド、OPPから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、OPP、PET、ポリアミドから選ばれた中間層を形成する熱可塑性樹脂フィルム、CPP、LLDPEから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した3層からなる複合フィルム、さらに、例えばOPP、PET、ポリアミドから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、PET、ナイロンから選ばれた第1中間層を形成する熱可塑製フィルムとPET、ポリアミドから選ばれた第2中間層を形成する熱可塑製フィルム、LLDPE、CPPから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した4層からなる複合フィルムは、酸素及び水蒸気バリア性フィルムとして、食品包装材として好ましく使用できる。
本発明の接着剤は高い酸素バリア性を有する事を特徴としていることから、該接着剤により形成されるラミネートフィルムは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されている酸素バリア性材料を使用することなく非常に高いレベルの酸素バリア性が発現する。また、これら従来の酸素バリア性材料とシーラント材料とを貼り合せる接着剤として併用することにより、得られるフィルムの酸素バリア性を著しく向上させることもできる。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。実施例中断りのない限り、「部」「%」は重量規準である。
(製造例1)無水フタル酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオール EGoPA600 の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール84.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600の非晶性ポリエステルポリオールを得た。
(製造例2)無水フタル酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオール EGoPA3000 の製造方法
製造例1におけるエチレングリコール84.2部を66.1部に変えた以外は製造例1と同様にして、数平均分子量3000の非晶性ポリエステルポリオールを得た。
(製造例3)無水フタル酸とネオペンチルグリコールとからなるポリエステルポリオール NPGoPA600 の製造方法
製造例1におけるエチレングリコールをネオペンチルグリコール153.4部に変えた以外は製造例1と同様にして、数平均分子量600の非晶性ポリエステルポリオールを得た。
(製造例4)無水フタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとからなるポリエステルポリオール CHDMoPA600 の製造方法
製造例1におけるエチレングリコールを1,4−シクロヘキサンジメタノール231.0部に変えた以外は製造例1と同様にして、数平均分子量600の非晶性ポリエステルポリオールを得た。
(製造例5)トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと無水フタル酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオール THEI(EGoPA)3 の製造方法
製造例1における無水フタル酸、及びエチレングリコールをトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261.3部、無水フタル酸444.4部、エチレングリコール193.6部に変えた以外は製造例1と同様にして、数平均分子量840の非晶性ポリエステルポリオールを得た。本ポリエステルはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの3箇所全ての水酸基に、オルトフタル酸、エチレングリコールの繰り返し単位1のエチレングリコール末端重縮合ポリエステルが結合した材料である。
(製造例6)トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと無水フタル酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオール THEI(EGoPA)2 の製造方法
製造例1における無水フタル酸、及びエチレングリコールをトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート261.3部、無水フタル酸296.2部、エチレングリコール129.1部に変えた以外は製造例1と同様にして、数平均分子量645の非晶性ポリエステルポリオールを得た。本ポリエステルはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの2箇所の水酸基に、オルトフタル酸、エチレングリコールの繰り返し単位1のエチレングリコール末端重縮合ポリエステルが結合し、1箇所がトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート由来の水酸基が残存した材料である。
(製造例7)コハク酸とエチレングリコールからなるポリエステル EGSuA1000 の製造方法
製造例1における無水フタル酸をコハク酸118.1部、エチレングリコール84.2部を71.6部に変えた以外は製造例1と同様にして、数平均分子量1000の結晶性ポリエステルを得た。
なお、結晶性か否かの確認は、次のように行った。
(株)パーキンエルマージャパン社製の示差走査熱量測定装置「Diamond DSC」を使用し、温度範囲を20℃〜200℃、昇温条件を20℃/minの条件で測定した。このときの吸熱ピークは91℃、このときの吸熱量は74.8J/gであった。
(非晶性ポリエステルポリオールと結晶性ポリエステルの混合物作成方法)
前記製造方法で得た非晶性ポリエステルポリオールと結晶性ポリエステルを100℃に加温し2時間攪拌することで、非晶性ポリエステルポリオールと結晶性ポリエステルの溶融混合法による混合物を得た。
(多価フェノール)
東京化成工業株式会社製「レソルシノール」、「カテコール」、「ヒドロキノン」、「フロログルシノール」、「ピロガロール」、「1,6−ジヒドロキシナフタレン」、「2,7−ジヒドロキシナフタレン」を使用した。
(硬化剤a)
三井化学製「タケネートD−110NB」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)と三井化学製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネート)を50/50(重量比)の割合で混合し硬化剤aとした。
(接着剤の製造方法)
前述の製造例で得られた各ポリエステルポリオール、溶融混合法で得た非晶性ポリエステルポリオールと結晶性ポリエステルの混合物、及び前述の多価フェノールの混合物をメチルエチルケトンで希釈し混合液を得、更に硬化剤aを表1〜表3に示す様に配合し、接着剤を得た。
前記接着剤を、バーコーターを用いて、塗布量5.0g/m(固形分)となるように厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製「E−5100」)に塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、接着剤が塗布されたPETフィルムの接着剤面と、厚さ70μmのCPPフィルム(東レ(株)製「ZK93KM」)とをラミネートし、PETフィルム/接着層/CPPフィルムの層構成を有する複合フィルムを作成した。次いで、この複合フィルムを40℃/3日間のエージングを行い、接着剤の硬化を行って、本発明の酸素バリア性フィルムを得た。
(評価方法)
(1)接着強度
エージングが終了した酸素バリア性フィルムを、塗工方向と平行に15mm幅に切断し、PETフィルムとCPPフィルムとの間を、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180度剥離方法で剥離した際の引っ張り強度を接着強度とした。接着強度の単位はN/15mmとした。
(2)酸素透過率
エージングが終了した酸素バリア性フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃0%RH、及び23℃90%RHの雰囲気下で測定した。なおRHとは、湿度を表す。
結果を表1〜表3に示す。
Figure 2012201731


Figure 2012201731

Figure 2012201731
この結果、実施例1〜12の多価フェノールを配合した接着剤を使用した酸素バリアフィルムは、0%RH下、90%RH下での酸素透過率が何れも、多価フェノールを配合していないポリエステルポリオール単独で使用した場合の参考例1〜7と比べて低く、高い酸素バリア性を示すことが判った。特に実施例7〜11の、イソシアヌル環を有する非晶性ポリエステルポリオールと多価フェノールとを配合した系は、酸素透過率が20cc以下と良好であり、更に、実施例12の、非晶性ポリエステルポリオールと結晶性ポリエステルポリオールとレソルシノールとを配合した系は、0%RH下、90%RH下何れの酸素透過率も最も低く、非常に良好な酸素バリア性を有することが分かった。加えて、各実施例ともラミネート強度は5N以上と実用には十分な値であった。
本発明の接着剤は、酸素バリア性を有するので、前記包装材用のフィルムラミネート用接着剤の他、例えば太陽電池用保護フィルム用の接着剤や表示素子用酸素バリア性基板の接着剤等の電子材料用接着剤、建築材料用接着剤、工業材料用接着剤等、酸素バリア性を所望される用途であれば好適に使用できる。

Claims (10)

  1. 非晶性ポリエステルポリオールと、多価フェノール及び多価ナフトールから選択される1種以上の多価フェノール性化合物と、これと反応しうる硬化剤とを含有する接着剤であって、前記非晶性ポリエステルポリオールが、オルト配向芳香族ジカルボン酸またはその無水物と多価アルコールを主成分として重縮合して得た非晶性ポリエステルポリオール(A)であることを特徴とする接着剤。
  2. 前記非晶性ポリエステルポリオール(A)が、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸またはその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つの多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコールを必須成分として重縮合して得た非晶性ポリエステルポリオールである請求項1に記載の接着剤。
  3. 前記多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1つのジオールである請求項2に記載の接着剤。
  4. 前記多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1つのジオールと、3官能以上の多官能ポリオールとである請求項2又は3に記載の接着剤。
  5. 非晶性ポリエステルポリオール(A)が、一般式(1)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤。
    Figure 2012201731

    (一般式(1)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但しn1は2〜4の整数を表す)、又は一般式(2)
    Figure 2012201731


    (一般式(2)中、n2は2〜4の整数を表し、n3は1〜5の整数を表し、Xは1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す)で表される基を表す。但しR、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(2)で表される基である)
  6. 結晶性ポリエステルを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤。
  7. 前記硬化剤が、ポリイソシアネートである請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の接着剤を使用したフィルムラミネート用接着剤。
  9. 同種または異種の複数の樹脂フィルムを接着してなる酸素バリア性フィルムであって、接着剤として請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤を使用することを特徴とする酸素バリア性フィルム。
  10. 包装材として使用する請求項9に記載の酸素バリア性フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014101422A (ja) * 2012-11-19 2014-06-05 Dic Corp 接着剤
JP2014133797A (ja) * 2013-01-09 2014-07-24 Dic Corp ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物、及びガスバリア性フィルム
WO2022259968A1 (ja) * 2021-06-11 2022-12-15 三井化学株式会社 接着剤および積層体
WO2023112688A1 (ja) * 2021-12-14 2023-06-22 Dic株式会社 接着剤、積層体、包装材

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