JP6075623B2 - ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物、及びガスバリア性フィルム - Google Patents
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Description
また、本発明は、接着力、ガスバリア性に優れるフィルムを提供することができる樹脂組成物、及び該樹脂組成物を硬化させてなるガスバリア性フィルム、及び該樹脂組成物をフィルム上で硬化させてなるガスバリア性フィルム積層体に関する。
1)エチレングリコール、グリセロール、無水フタル酸及び/又はオルトフタル酸を主構成とした重縮合物、
2)エグリセロールとエチレングリコールとのモル比が1:3〜1:0.33の範囲、
である、ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物を提供する。
さらに、本発明には前記ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物を硬化させてなる樹脂層で構成されたガスバリアフィルムも含まれる。
1.ポリエステルポリオール、硬化剤を含有してなるガスバリア性ポリエステル樹脂組成物であって、該ポリエステルポリオールが、
1)エチレングリコール、グリセロール、オルトフタル酸又はその無水物を主構成とした重縮合物、
2)グリセロールとエチレングリコールとのモル比が1:3〜1:0.33の範囲、
である、ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物、
2.該ポリエステルポリオールの数平均分子量が450〜3000の範囲である1.に記載のガスバリア性ポリエステル樹脂組成物、
3.前記硬化剤がイソシアネート化合物である1.又は2.に記載のガスバリア性ポリエステル樹脂組成物。
4.1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性ポリエステル樹脂組成物を硬化させてなるガスバリア性コーティング剤、
5.1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性ポリエステル樹脂組成物を硬化させてなるガスバリア性接着剤、
6.1.〜3.の何れかに記載のガスバリア性ポリエステル樹脂組成物を硬化させた樹脂層を有するガスバリア性フィルム。
本発明では、二価アルコールとしてエチレングリコールを主成分として用いる必要がある。エチレングリコールはアルコール間の炭素数が2と少ないことにより、これ以上の長鎖アルキルを骨格に持つポリエステルポリオールと比べ、分子間の自由体積孔が小さいことで分子が通過しにくく水蒸気、酸素を中心としたガスに対するバリア機能を付与しやすい。その一方で最低限の柔軟性を付与することで分子に一定の溶解性も与えることができるため、コーティング材料、接着剤として使用する際に高い溶剤溶解性を付与することができる。従って、二価アルコール成分としてはエチレングリコールを主成分として用いる必要がある。
本発明では発明の効果、特にガスバリア機能を損なわない範囲で、エチレングリコール以外の2価アルコール成分を用いても差し支えない。アルキル鎖があまりに長くなるとバリア機能が低下する可能性があるので、炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが許容される。これらの化合物としてはプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール等のジオールを例示することができる。この際の2価アルコール成分全体の10質量%以下であることが好ましい。
本発明では、三価アルコールとしてグリセロールを成分として用いる必要がある。グリセロールは三価であることによりポリエステルポリオールに架橋点を付与し分子鎖間距離を狭めることで水蒸気、酸素を中心としたバリア機能を付与することができる。グリセロールは三官能としては最短のアルキル鎖長で且つアルキル側鎖を持たないことも好適に用いられる理由である。
本発明では発明の効果、特にガスバリア機能を損なわない範囲で、グリセロール以外の3価以上の多価アルコール成分を用いても差し支えない。エリスリトール、ペンタエリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトール等を例示することができる。これらは、バリア機能の低下やゲル化防止の観点から、三価以上のアルコール成分全体の10質量%以下であることが好ましい。
本発明では多価アルコール成分のうち、グリセロールとエチレングリコールとのモル比はバリア機能と、合成時のゲル化防止とのバランスの観点から1:3〜1:0.33である必要がある。エチレングリコールの比率がここから外れ低くなると合成工程で3官能のグリセロールが多く含まれることにより合成の際にゲル化が起きるリスクが高くなる。また逆にエチレングリコールの比率がここから外れ高くなると、相対的にグリセロールの含有率が低くなりポリエステルポリオールの架橋点密度が低くなることでガスバリア機能が十分に発揮できない問題がある。さらに優れたゲル化防止とバリア機能とのバランスの観点からは好ましくはグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:1.5〜1:0.67の範囲である。
本発明ではジカルボン酸成分としてオルトフタル酸又はその無水物を用いる必要がある。
カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物は、ベンゼン環同士のスタッキングにより、分子間の自由体積孔が小さくガスバリア機能を付与しやすい。また、置換位置がオルト位であることにより分子鎖の回転運動が抑制されることでも高いバリア機能が付与される。加えて、非対称構造をとることにより汎用溶媒への溶解性が担保される特徴もある。
本発明では、オルトフタル酸又はその無水物以外のジカルボン酸が一部に含有されていても差し支えない。中でも芳香環にオルトフタル配向した化合物であるナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物等、オルトフタル酸、ナフタレン2,3−ジカルボン酸、ナフタレン1,2−ジカルボン酸、アントラキノン2,3−ジカルボン酸やこれらの化合物の一部に置換基を有する化合物を併用してもバリア機能や溶媒溶解性に対する影響が少なく差し支えない。
本発明では、発明の効果、特にガスバリア機能を損なわない範囲で他のカルボン酸化合物を併用してもよい。特に植物油系の化合物を併用すると原料の生物由来成分を増加させることが可能となる。具体的な例としては、椰子油、菜種油、胡麻油、コーン油、オリーブ油、コーン油等や、これらを構成する飽和脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸や、不飽和脂肪酸であるリノール酸、オレイン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、バクセン酸等を例示することができる。
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、ガスバリア素材としての特性と満たすことができれば特に制限はない。好ましい範囲としては450〜3000で、更に好ましくは500〜2500の範囲である。分子量が450よりも小さいと相対的に分子量が小さい硬化剤量が多くなりすぎることで、用途がラミネート用接着剤の場合はトンネリング等の問題が生じやすくなる可能性がある。その一方で分子量が3000を超えると、酢酸エチルやメチルエチルケトン等の汎用溶媒への溶解性が悪くなり、コーティング材料や接着剤として使用しにくくなる可能性がある。
本発明で使用する硬化剤は、前記ポリエステルポリオールの水酸基と反応しうる硬化剤であれば特に限定はなく、ポリイソシアネートやエポキシ化合物等の公知の硬化剤を使用できる。中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ガスバリア性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、ガスバリア機能を向上させるための層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等が例示できる。ガスバリア機能を向上させるための層状無機化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等)、アンチゴライト族粘土鉱物(アンチゴライト、クリソタイル等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物を硬化させてなるガスバリアフィルムは、ポリエステル樹脂組成物塗工液を基材となるフィルムに塗布、硬化させることによって得られる。塗工液は溶剤型又は無溶剤型のいずれの形態であってもよい。溶剤型の場合、溶剤はポリエステル樹脂及び硬化剤の製造時に反応媒体として使用され、更に塗装時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。特に本発明のポリエステル樹脂組成物はポリエステルポリオールがこれらのうちドライラミネート用の接着剤に汎用で用いられている酢酸エチルやメチルエチルケトン溶剤への溶解性に優れることから、酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。
また、本発明のガスバリア性ポリエステル樹脂組成物についても、前記ガスバリア性ポリエステル樹脂組成物と同様にして用いることができる。
本発明のガスバリア用多層フィルムが遮断できるガスとしては水蒸気、酸素のほか、二酸化炭素、窒素、アルゴン等の不活性ガス、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール成分、フェノール、クレゾール等のフェノール類の他、低分子化合物からなる香気成分類、例えば、醤油、ソース、味噌、レモネン、メントール、サリチル酸メチル、コーヒー、ココアシャンプー、リンス、等の香り成分を例示することができる。
また、本発明の樹脂組成物の主原料として用いられるグリセロール、エチレングリコールは生物由来原料が広く市販されているためこれらを用いても差し支えない。これらは再生可能原料であるため省資源の観点から好ましく用いることができる。
グリセロールとオルトフタル酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオール「GLY1oPA2EG2」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを92.09部、無水フタル酸296.2部、エチレングリコール124.1部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量476のポリエステル樹脂「GLY1oPA2EG2」を得た。このポリエステルポリオールでのグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:2である。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを92.09部、無水フタル酸444.36部、エチレングリコール186.21部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.07部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量668のポリエステル樹脂「GLY1oPA3EG3」を得た。このポリエステルポリオールでのグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:3である。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを276.27部、無水フタル酸592.4部、エチレングリコール130.2部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.09部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量920.89のポリエステル樹脂「GLY3oPA4EG2」を得た。このポリエステルポリオールでのグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:0.67である。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを276.27部、無水フタル酸1036.84部、エチレングリコール325.87部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.16部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1497。46のポリエステル樹脂「GLY3oPA7EG5」を得た。このポリエステルポリオールでのグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:1.67である。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを460.45部、無水フタル酸1185部、エチレングリコール260.09部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.19部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1749.70のポリエステル樹脂「GLY5oPA8EG4」を得た。このポリエステルポリオールでのグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:0.8である。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを276.27部、無水フタル酸740.7部、エチレングリコール715.09部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.19部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量2400のポリエステル樹脂「GLY7oPA5EG11」を得た。このポリエステルポリオールでのグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:0.71である
(製造例7)。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを237.9部、無水フタル酸1332部、エチレングリコール130.1部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.19部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1588のポリエステル樹脂「GLY6oPA7EG2」を得た。このポリエステルポリオールでのグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:0.33である。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸396.34部、エチレングリコール173.73部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600のポリエステル樹脂「oPAEG」を得た。このポリエステルポリオールはグリセロールを含まないためグリセロールとエチレングリコールとのモル比は0:1である。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを92.09部、無水フタル酸888.72部、エチレングリコール372部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.13部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1245.10のポリエステル樹脂「GLY1oPA6EG6」を得た。このポリエステルポリオールでのグリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:6である。
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを356.9部、無水フタル酸2283部、エチレングリコール130.1部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.19部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。この反応では、数平均分子量 、グリセロールとエチレングリコールとのモル比は1:0.22であるポリエステル樹脂「GLY9oPA12EG2」を得る予定であったが反応中にゲル化を生じ所望の樹脂を得ることができなかった。
製造例3におけるグリセロール92.09の代わりにトリメチロールプロパン134.17部へ置き換えた以外は製造例3と同様にして、数平均分子量710.68ポリエステルポリオール「TMP1oPA3EG3」を得た。
このポリエステルポリオールはグリセロールを含まないためグリセロールとエチレングリコールとのモル比は0:1である。
三井化学製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体 不揮発成分75.0% NCO% 11.5%)と三井化学製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネート不揮発分>99%,NCO% 44.6%)を50/50(質量比)の割合で混合し硬化剤aとした。
硬化剤aの不揮発分は、87.5%、NCO% 28.05%である。
前記製造方法で得たポリエステルポリオールを酢酸エチル、またはメチルエチルケトン(MEK)で溶解して、不揮発分50%の樹脂溶液を得、更に硬化剤を表1と3に示す様に配合し、後述の塗工方法で使用するポリエステル樹脂塗工液を得た。
ポリエステルポリオール樹脂塗工液を、バーコーターを用いて、塗布量5.0g/m2(固形分)となるように厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製「E−5100」)に塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、この複合フィルムと厚さ15μmのナイロン(Ny)フィルム(ユニチカ(株)製「エンブレムON―BC」)を温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにてドライラミネートしてこの複合フィルムとを40℃/3日間かけて硬化させ、PET/ポリエステルポリオール樹脂組成物/Ny積層体を得た。この積層体(ラミネートフィルム)を水蒸気透過率、酸素透過率測定用に用いた。
(ラミネート方法2)
ポリエステル樹脂塗工液を、バーコーターを用いて、塗布量5.0g/m2(固形分)となるように厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製「E−5100」)に塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、次いで、この複合フィルムと未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにてドライラミネートして、PET/ポリエステル樹脂組成物/CPP積層体を得た。この積層体(ラミネートフィルム)をラミネート強度測定用に用いた。
(ラミネート方法3)
ポリエステル樹脂塗工液を、バーコーターを用いて、塗布量5.0g/m2(固形分)となるように厚さ15μmのナイロン(Ny)フィルム(ユニチカ(株)製「エンブレムON―BC」)に塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、次いで、この複合フィルムと未延伸LLDPEフィルム(東セロ社製TUX−HC 60μ)を温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにてドライラミネートして、Ny/ポリエステル樹脂組成物/LLDPE積層体を得た。この積層体(ラミネートフィルム)をラミネート強度測定用に用いた。
エージングが終了した積層フィルムを、水蒸気透過度試験法 伝導度法「ISO−15106−3」に準じ、Illinois社製測定装置を用いて40℃、90%RHの雰囲気下で評価を行った。なおRHとは、湿度を表す。
また、ポリエステル樹脂組成物を硬化させた樹脂塗膜単体の水蒸気透過率(バリア性)はPET/ポリエステルポリオール樹脂組成物/Ny積層体の測定結果より、式(a)を用いて計算した。測定結果については塗布量5g/m2の透過率として換算した。
P1:塗膜単体の水蒸気透過率
P2:12μmPETフィルムの水蒸気透過率(46g/m2・24時間として計算)
P3:15μmナイロンフィルムの水蒸気透過率(260g/m2・24時間として計算)
エージングが終了した水蒸気バリア性フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃、0%RHおよび90%RHの雰囲気下で測定した。
また、ポリエステル樹脂組成物を硬化させた樹脂塗膜単体の酸素バリア性はバリア性積層フィルム、PETフィルムおよびナイロンフィルムの測定結果より、式(a)を用いて計算した。測定結果については塗布量5g/m2の透過率として換算した。
P1:塗膜単体の酸素透過率
P2:12μmPETフィルムの酸素透過率(0%RH:130cc/m2・24時間・atm、90%RH:100cc/m2・24時間・atmとして計算)
P3:15μmナイロンフィルムの水蒸気透過率(0%RH:50cc/m2・24時間・atm、90%RH:74cc/m2・24時間・atmとして計算)
エージングが終了した積層フィルムを、塗工方向と平行に15mm幅に切断し、PETフィルムとCPPフィルムとの間及び、NyフィルムとLLDPEフィルムとの間を、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180度剥離方法で剥離した際の引っ張り強度をラミネート強度とした。ラミネート強度の単位はN/15mmとした。
厚さ12μmのPET(2軸延伸ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡績(株)製E−5100)の酸素透過率を測定し、フィルム厚み5g/m2の透過率として換算した。
一方、比較例1、4ではグリセロール骨格を含まないために水蒸気透過率は153〜190g/m2・dayに留まり酸素透過率も実施例に比べ高い(即ち低バリア)結果となった。更に、比較例2でグリセロール比率が低いため水蒸気、酸素透過率とも実施例に比べ高く、比較例3では3官能のグリセロール比率が高すぎるため、合成時にゲル化を生じ接着剤、コーティング剤として応用することができなかった。
Claims (6)
- ポリエステルポリオール、硬化剤を含有してなるガスバリア用ポリエステル樹脂組成物であって、該ポリエステルポリオールが、
1)エチレングリコール、グリセロール、オルトフタル酸又はその無水物を主構成とした重縮合物、
2)グリセロールとエチレングリコールとのモル比が1:3〜1:0.33の範囲、
である、ガスバリア用ポリエステル樹脂組成物。 - 該ポリエステルポリオールの数平均分子量が450〜3000の範囲である請求項1に記載のガスバリア用ポリエステル樹脂組成物。
- 前記硬化剤がイソシアネート化合物である請求項1又は2に記載のガスバリア用ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア用ポリエステル樹脂組成物を硬化させてなるガスバリア性コーティング剤。
- 請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア用ポリエステル樹脂組成物を硬化させてなるガスバリア性接着剤。
- 請求項1〜3の何れかに記載のガスバリア用ポリエステル樹脂組成物を硬化させた樹脂層を有するガスバリア性フィルム。
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