JP2001181664A

JP2001181664A - エンジン油組成物

Info

Publication number: JP2001181664A
Application number: JP36544599A
Authority: JP
Inventors: Isao Kurihara; 功栗原; Jinichi Igarashi; 仁一五十嵐; Kiyoshi Inoue; 清井上
Original assignee: Nippon Mitsubishi Oil Corp
Current assignee: Eneos Corp
Priority date: 1999-12-22
Filing date: 1999-12-22
Publication date: 2001-07-03
Also published as: US20010027169A1; EP1111028B1; EP1111028A1; EP1111028A9

Abstract

(57)【要約】【課題】低燃費性、低温粘度特性に優れ、蒸発損失の
少ないエンジン油組成物を提供する。【解決手段】（Ａ）１００℃での動粘度が２〜６ｍｍ
² ／ｓであり、粘度指数が１２０以上、かつ全芳香族含
有量が１５質量％以下の潤滑油基油に、（Ｂ）ポリメタ
クリレート系粘度指数向上剤を、組成物の１００℃での
動粘度が４．０〜９．３ｍｍ²／ｓとなるような量を含
有させてなるエンジン油組成物を提供する。また、さら
なる性能の改善のためにモリブデンジチオカーバメート
をさらに含有させてなるエンジン油組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はエンジン油組成物に
関し、詳しくは、低燃費性及び低温粘度特性に優れ、蒸
発損失の少ないエンジン油組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】石油危機を契機に実施され始めた自動車
の低燃費化は、資源保護及び環境保護の観点から今後も
依然、重要課題の一つである。自動車の燃費向上は車体
重量の軽量化、燃焼の改善及びエンジンの低摩擦化によ
り行われてきた。エンジンの低摩擦化には動弁系構造の
改良、ピストンリングの本数低減、摺動部材の表面粗さ
低減、及び低燃費エンジン油の使用、等がある。これら
のなかで低燃費エンジン油の使用は費用／性能比が優れ
ていることから、市場においても一般的になってきてお
り、エンジン油には摩擦低減に有効な添加剤として摩擦
低減剤（ＦＭ）が添加されている。しかし摩擦低減剤の
機能を十分発揮させるためには、基油の選択やその他の
エンジン油添加剤の処方が重要である。このような低燃
費性を有するエンジン油として、特開平８−３０２３７
８号公報には、特定の基油に、アルカリ土類金属サリシ
レート系清浄剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ポリブ
テニルコハク酸イミド系無灰分散剤、フェノール系無灰
酸化防止剤、モリブデンジチオカーバメート系摩擦低減
剤及び粘度指数向上剤をそれぞれ特定量含有してなるエ
ンジン油組成物が開示されている。エンジン油にさらな
る低燃費性を付与するためには、エンジン油の低粘度化
が一つの手段であるが、低粘度エンジン油に関する基油
や添加剤等についての検討は充分にされていなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の低燃
費性を有するエンジン油よりもさらに低粘度化を図り、
適切な添加剤を配合することにより、優れた低燃費性及
び低温粘度特性に優れ、蒸発損失の少ないエンジン油組
成物を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは上記要求性
能を満たすエンジン油を開発すべく検討を重ねた結果、
特定の基油に、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を
特定量含有させることにより、低燃費性及び低温粘度特
性に優れ、蒸発損失の少ないエンジン油組成物が得られ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、（Ａ）１００℃での動粘度が２〜６ｍｍ
² ／ｓであり、粘度指数が１２０以上、かつ全芳香族含
有量が１５質量％以下の潤滑油基油に、（Ｂ）ポリメタ
クリレート系粘度指数向上剤を、組成物の１００℃での
動粘度が４．０〜９．３ｍｍ²／ｓとなるような量を含
有させてなることを特徴とするエンジン油組成物に関す
るものである。

【０００５】また本発明は、（Ａ）１００℃での動粘度
が２〜６ｍｍ² ／ｓであり、粘度指数が１２０以上、か
つ全芳香族含有量が１５質量％以下の潤滑油基油に、
（Ｂ）ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を、組成物
の１００℃での動粘度が４．０〜９．３ｍｍ²／ｓとな
るような量、及び（Ｃ）モリブデンジチオカーバメート
を含有させてなることを特徴とするエンジン油組成物に
関するものである。前記ポリメタクリレート系粘度指数
向上剤の重量平均分子量は１８０，０００以上であるこ
とが好ましい。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。本発明のエンジン油組成物における（Ａ）成分で
ある潤滑油基油の１００℃での動粘度の上限値は、６ｍ
ｍ²／ｓ、好ましくは５ｍｍ²／ｓであり、一方、１００
℃での動粘度の下限値は、２ｍｍ²／ｓ、好ましくは３
ｍｍ²／ｓである。基油の１００℃での動粘度が上記上
限値を越える場合は、流体抵抗が大きくなるため潤滑箇
所での摩擦損失が大きくなり、一方、基油の１００℃で
の動粘度が上記下限値未満の場合は、潤滑箇所での油膜
形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また基油の蒸発
損失が大きくなるため、それぞれ好ましくない。

【０００７】また本発明のエンジン油組成物における基
油の粘度指数は１２０以上であることが必要である。こ
れにより低温粘度特性が優れたエンジン油組成物とする
ことができる。この基油の粘度指数が１２０未満である
場合、低温粘度特性を良くするためには、より低粘度の
基油を配合しなければならず、その結果、エンジン油の
蒸発損失量の増加やエンジン油の粘度上昇を招くため好
ましくない。本発明のエンジン油組成物における基油の
全芳香族含有量の上限値は、１５質量％、好ましくは１
０質量％、最も好ましくは５質量％である。基油の全芳
香族含有量が上記上限値を越える場合は、本発明で使用
する各添加剤との相乗効果が得られないため好ましくな
い。一方、基油の全芳香族含有量の下限値には格別な限
定はないが、全芳香族含有量が２質量％未満の場合は、
各種添加剤が基油に対し十分な溶解性を有さない場合が
あるので、全芳香族含有量は２質量％以上であるのが特
に好ましい。

【０００８】なお、本発明でいう全芳香族含有量とは、
ＡＳＴＭＤ２５４９に準拠して測定した芳香族留分
（ａｒｏｍａｔｉｃｆｒａｃｔｉｏｎ）含有量を意味
し、通常、この芳香族留分には、アルキルベンゼン、ア
ルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレ
ン、及びこれらのアルキル化物、四環以上のベンゼン環
が縮合した化合物、又はピリジン類、キノリン類、フェ
ノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合
物等が含まれる。本発明の基油としては、鉱油系潤滑
油、合成油系潤滑油又はこれらの中から選ばれる２種以
上の潤滑油の任意混合割合の混合物等が使用できる。例
えば、鉱油系潤滑油、鉱油系潤滑油と芳香族分非含有合
成油系潤滑油との混合油、芳香族分含有合成油系潤滑油
と芳香族分非含有合成油系潤滑油との混合油等が例示で
きる。

【０００９】なお、ここでいう鉱油系潤滑油としては、
単独の鉱油系潤滑油だけでなく、２種以上の鉱油系潤滑
油の混合物をも意味している。従って、例えば基油とし
て２種以上の鉱油系潤滑油を用いる場合、混合後の全芳
香族含有量が１５質量％以下となる限りにおいては、全
芳香族含有量が１５質量％以下の鉱油系潤滑油の混合油
だけでなく、全芳香族含有量が１５質量％以下の鉱油系
潤滑油と全芳香族含有量が１５質量％を越える鉱油系潤
滑油との混合油も基油として用いることができる。さら
に、鉱油系潤滑油と芳香族分非含有合成油系潤滑油の混
合油を使用する場合、混合油の全芳香族含有量が１５質
量％以下である限りにおいては、使用する鉱油系潤滑油
の全芳香族含有量は１５質量％を超えても良い。鉱油系
潤滑油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得ら
れる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶
剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化
精製等の処理を１つ以上行って精製したもの等が例示で
きる。また芳香族分含有合成油系潤滑油としては、具体
的には、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン等が例
示できる。

【００１０】芳香族分非含有合成油系潤滑油としては、
具体的には、ポリブテン又はその水素化物；１−オクテ
ンオリゴマー、１−デセンオリゴマー等のポリ−α−オ
レフィン又はその水素化物；ジトリデシルグルタレー
ト、ジ−２−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシル
アジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−２−エチル
ヘキシルセバケート等のジエステル；トリメチロールプ
ロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴ
ネート、ペンタエリスリトール−２−エチルヘキサノエ
ート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオ
ールエステル又はこれらの混合物等が例示できる。な
お、これらの潤滑油はそれぞれ固有の粘度−温度特性、
すなわち粘度指数を示すが、本発明における潤滑油基油
としての粘度指数が１２０以上となる限りにおいては、
前記潤滑油単独の粘度指数が１２０未満のものであって
も、これと１２０以上のものを適宜組み合わせて使用す
ることができる。

【００１１】本発明の（Ｂ）成分は、ポリメタクリレー
ト系粘度指数向上剤であり、組成物の１００℃における
動粘度が４．０〜９．３ｍｍ²／ｓとなるよう配合す
る。組成物の１００℃における動粘度が９．３ｍｍ²／
ｓを超える場合、さらなる低燃費性の付与が不十分であ
り、また、組成物の１００℃における動粘度が４．０ｍ
ｍ²／ｓ未満では低粘度化による低燃費性、低温粘度特
性は改善されるものの、エンジン油組成物としての潤滑
性が不十分となるため、それぞれ好ましくない。本発明
のエンジン油組成物においてはポリメタクリレート系粘
度指数向上剤を用いることで基油との組み合わせによ
り、粘度指数向上効果に優れ、低温での増粘効果が小さ
く、さらに流動点降下作用に優れる。本発明のエンジン
油組成物には、低温特性を特に優れたものとするため
に、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤の使用が欠か
せない。これに対し、公知のオレフィンコポリマー系粘
度指数向上剤を用いた場合には本発明の効果が十分に得
られない。本発明のポリメタクリレート系粘度指数向上
剤としては潤滑油の粘度指数向上剤として使用される任
意の非分散型又は分散型のポリメタクリレート化合物が
使用可能である。非分散型のポリメタクリレート系粘度
指数向上剤としては下記一般式（１）で表わされる化合
物の重合体が挙げられる。

【００１２】

【化１】

【００１３】上記（１）式中、Ｒ^１は炭素数１〜１８の
アルキル基を示しており、これは直鎖状でも分枝状でも
良く、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基、デシル基、ウンデシル
基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペン
タデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタ
デシル基等のアルキル基（これらアルキル基は直鎖状で
も分枝状でも良い）が例示できる。また分散型のポリメ
タクリレート系粘度指数向上剤としては、具体的には例
えば、上記の一般式（１）で表される化合物の中から選
ばれる１種又は２種以上のモノマーと、下記の一般式
（２）又は（３）で表される化合物の中から選ばれる１
種又は２種以上の含窒素モノマーを共重合して得られる
共重合体等が好ましいものとして挙げられる。

【００１４】

【化２】

【００１５】

【化３】

【００１６】上記（２）式及び（３）式中、Ｒ^２及びＲ
^４は、それぞれ個別に、水素原子又はメチル基を示す。
Ｒ^３は炭素数２〜１８のアルキレン基を示し、具体的に
は、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレ
ン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノ
ニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン
基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレ
ン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデ
シレン基等のアルキレン基（これらアルキレン基は直鎖
状でも分枝状でも良い）が例示できる。ｅは０又は１の
整数を示し、Ｘ１及びＸ２は、それぞれ個別に、窒素原
子を１〜２個、酸素原子を０〜２個含有するアミン残基
又は複素環残基をそれぞれ示している。このＸ^１及びＸ
^２としては、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチル
アミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ア
ニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、アセチルアミ
ノ基、ベンゾイルアミノ基、モルホリノ基、ピロリル
基、ピロリノ基、ピリジル基、メチルピリジル基、ピロ
リジニル基、ピペリジニル基、キノニル基、ピロリドニ
ル基、ピロリドノ基、イミダゾリノ基、ピラジノ基等が
好ましいものとして例示できる。

【００１７】一般式（２）又は（３）で表わされる含窒
素モノマーとして好ましいものとしては、具体的には、
ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノ
メチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリ
レート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、２−
メチル−５−ビニルピリジン、モルホリノメチルメタク
リレート、モルホリノエチルメタクリレート、Ｎ−ビニ
ルピロリドン及びこれらの混合物等が例示できる。な
お、本発明のエンジン油組成物におけるポリメタクリレ
ート系粘度指数向上剤の重量平均分子量としては、特に
制限はなく使用され、エンジン油組成物の低温粘度特性
が改善される。しかしながら、エンジン油組成物の性能
をさらに改善するためのポリメタクリレート系粘度指数
向上剤の重量平均分子量は、好ましくは下限値が１８
０，０００であり、より好ましくは１９０，０００であ
る。ポリメタクリレート系粘度指数向上剤の重量平均分
子量が１８０，０００以上であれば、さらに低温粘度特
性を改善するための粘度指数向上剤の配合量を少なくで
き、コスト的に有利となるだけでなく、配合量を少なく
することで剪断安定性をより改善でき、初期のエンジン
油組成物の性能維持が可能となる。またポリメタクリレ
ート系粘度指数向上剤の重量平均分子量の上限値は、特
に制限はなく、取扱いの容易さ等を考慮すると５００，
０００以下が特に好ましく、４００，０００以下がさら
に好ましい。

【００１８】本発明のエンジン油組成物におけるポリメ
タクリレート系粘度指数向上剤の含有量は、前述したよ
うに、本発明のエンジン油組成物の１００℃における動
粘度が４．０〜９．３ｍｍ² ／ｓになるような量を含有
するものである。エンジン油組成物の１００℃における
動粘度がこの粘度範囲に入る限りにおいて、ポリメタク
リレート系粘度指数向上剤の含有量は任意であるが、通
常、その含有量はエンジン油組成物全量基準で０．５〜
１０質量％程度である。本発明のエンジン油組成物に
は、さらに低燃費性を付与するために下記の一般式
（４）で表されるモリブデンジチオカーバメートを単独
又はそれらの混合物を配合することができる。

【００１９】

【化４】

【００２０】上記（４）式中、Ｒ⁵、Ｒ⁶、Ｒ⁷及びＲ⁸は
それぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数２〜１８
のアルキル基やアルキルアリール基等の炭化水素基を示
し、Ｙ¹、Ｙ²、Ｙ³及びＹ⁴はそれぞれ個別に、Ｓ（硫黄
原子）又はＯ（酸素原子）を示す。ここでいうアルキル
基には１級アルキル基、２級アルキル基又は３級アルキ
ル基が含まれ、これらは直鎖状でも分枝状でもよい。ア
ルキル基の好ましい具体例としてはエチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、トリデシル基等が挙げられる。
またアルキルアリール基の好ましい具体例としてはブチ
ルフェニル基、ノニルフェニル基等が挙げられる。

【００２１】本発明のエンジン油組成物に用いることが
できるモリブデンジチオカーバメートの好ましい具体例
を摘列記すると、硫化モリブデンジエチルジチオカーバ
メート、硫化モリブデンジプロピルジチオカーバメー
ト、硫化モリブデンジブチルジチオカーバメート、硫化
モリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫化モリブ
デンジヘキシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジ
オクチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジデシル
ジチオカーバメート、硫化モリブデンジドデシルジチオ
カーバメート、硫化モリブデンジトリデシルジチオカー
バメート、硫化モリブデンジ（ブチルフェニル）ジチオ
カーバメート、硫化モリブデンジ（ノニルフェニル）ジ
チオカーバメート、硫化オキシモリブデンジエチルジチ
オカーバメート、硫化オキシモリブデンジプロピルジチ
オカーバメート、硫化オキシモリブデンジブチルジチオ
カーバメート、硫化オキシモリブデンジペンチルジチオ
カーバメート、硫化オキシモリブデンジヘキシルジチオ
カーバメート、硫化オキシモリブデンジオクチルジチオ
カーバメート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオカ
ーバメート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオカ
ーバメート、硫化オキシモリブデンジトリデシルジチオ
カーバメート、硫化オキシモリブデンジ（ブチルフェニ
ル）ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ（ノ
ニルフェニル）ジチオカーバメート等を挙げることがで
きる。これらの各化合物はもちろん混合使用することが
できる。

【００２２】モリブデンジチオカーバメートの含有量の
上限値は、エンジン油組成物全量基準で、モリブデン濃
度換算で０．１５質量％、好ましくは０．１０質量％で
ある。上記上限値を超える場合はエンジン油劣化時に油
不溶性のスラッジが発生するため好ましくない。モリブ
デンジチオカーバメートの含有量の下限値は、特に制限
はないが、摩擦低減効果を十分に得るためには、エンジ
ン油組成物全量基準で、モリブデン濃度換算で０．０２
質量％、より好ましくは０．０４質量％である。本発明
のエンジン油組成物は以上述べたように、特定の基油に
ポリメタクリレート系粘度指数向上剤を含有させて特定
粘度とすることにより、低燃費性及び低温粘度特性に優
れ、蒸発損失を少なくすることができる。また、ポリメ
タクリレート系粘度指数向上剤の重量平均分子量を１８
０，０００以上とすることで低燃費性及び低温粘度特性
がより優れたものとなり、さらにモリブデンジチオカー
バメートを含有することで、より高レベルの低燃費性を
持たせることができる。そして、これらの各種性能やエ
ンジン油組成物として必要な各種性能をさらに高める目
的で、公知のエンジン油用添加剤を単独で、又は数種類
組み合わせた形で、本発明のエンジン油組成物に配合す
ることができる。

【００２３】配合可能な公知の添加剤としては、アルカ
リ土類金属系清浄剤、無灰分散剤、摩耗防止剤、無灰酸
化防止剤、モリブデンジチオカーバメート以外の摩擦低
減剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等が
挙げられる。アルカリ土類金属系清浄剤としては、潤滑
油に用いられる任意のアルカリ土類金属系化合物が使用
可能であるが、具体的には例えば、アルカリ土類金属ス
ルフォネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ
土類金属サリシレートの中から選ばれる１種又は２種以
上の金属系清浄剤等が挙げられる。アルカリ土類金属ス
ルフォネートとしては、分子量３００〜１５００、好ま
しくは４００〜７００のアルキル芳香族化合物をスルフ
ォン化することによって得られるアルキル芳香族スルフ
ォン酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び
／又はカルシウム塩であり、カルシウム塩が好ましく用
いられる。

【００２４】上記アルキル芳香族スルフォン酸として
は、具体的にはいわゆる石油スルフォン酸や合成スルフ
ォン酸等が挙げられる。ここでいう石油スルフォン酸と
しては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合
物をスルフォン化したものやホワイトオイル製造時に副
生する、いわゆるマホガニー酸等が用いられる。また合
成スルフォン酸としては、例えば洗剤の原料となるアル
キルベンゼン製造プラントから副生したり、ポリオレフ
ィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる、
直鎖状や分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼン
をスルフォン化したもの、あるいはジノニルナフタレン
等のアルキルナフタレンをスルフォン化したもの等が用
いられる。またこれらアルキル芳香族化合物をスルフォ
ン化する際のスルフォン化剤としては特に制限はない
が、通常、発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。アルカリ
土類金属フェネートとしては、アルキルフェノール、ア
ルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールの
マンニッヒ反応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシ
ウム塩及び／又はカルシウム塩が挙げられ、例えば下記
の一般式（５）〜（７）で表されるものを挙げることが
できる。

【００２５】

【化５】

【００２６】

【化６】

【００２７】

【化７】

【００２８】式中、Ｒ⁹、Ｒ¹⁰、Ｒ¹¹、Ｒ¹²、Ｒ¹³及び
Ｒ¹⁴はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれ
炭素数４〜３０、好ましくは６〜１８の直鎖又は分枝の
アルキル基を示し、Ｍ¹、Ｍ²及びＭ³は、それぞれアル
カリ土類金属、好ましくはカルシウム及び／又はマグネ
シウムを示し、ｘは１または２を示す。上式中、Ｒ⁹、
Ｒ¹⁰、Ｒ¹¹、Ｒ¹²、Ｒ¹³及びＲ¹⁴としては、具体的に
は、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデ
シル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル
基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル
基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコ
シル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル
基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル
基、ノナコシル基、トリアコンチル基等が挙げられ、こ
れらは直鎖でも分枝でもよい。これらはまた１級アルキ
ル基、２級アルキル基又は３級アルキル基でもよい。ア
ルカリ土類金属サリシレートとしては、アリキルサリチ
ル酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び／
又はカルシウム塩が挙げられ、例えば下記の一般式
（８）で表されるものを挙げることができる。

【００２９】

【化８】

【００３０】式中、Ｒ¹⁵は炭素数４〜３０、好ましくは
６〜１８の直鎖又は分枝のアルキル基を示し、Ｍ⁴はア
ルカリ土類金属、好ましくはカルシウム及び／又はマグ
ネシウムを示す。Ｒ¹⁵としては、具体的には、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ
サデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデ
シル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、ト
リコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサ
コシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシ
ル基、トリアコンチル基等が挙げられ、これらは直鎖で
も分枝でもよい。これらはまた１級アルキル基、２級ア
ルキル基又は３級アルキル基でもよい。

【００３１】また、アルカリ土類金属スルフォネート、
アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリ
シレートとしては、上記のアルキル芳香族スルフォン
酸、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファ
イド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物、アリキ
ルサリチル酸等を直接、マグネシウム及び／又はカルシ
ウムのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等のアルカ
リ土類金属塩基と反応させたり、又は一度ナトリウム塩
やカリウム塩等のアルカリ金属塩としてからアルカリ土
類金属塩と置換させること等により得られる中性（正
塩）アルカリ土類金属スルフォネート、中性（正塩）ア
ルカリ土類金属フェネート及び中性（正塩）アルカリ土
類金属サリシレートだけでなく、中性アルカリ土類金属
スルフォネート、中性アルカリ土類金属フェネート及び
中性アルカリ土類金属サリシレートと過剰のアルカリ土
類金属塩やアルカリ土類金属塩基を水の存在下で加熱す
ることにより得られる塩基性アルカリ土類金属スルフォ
ネート、塩基性アルカリ土類金属フェネート及び塩基性
アルカリ土類金属サリシレートや、炭酸ガスの存在下で
中性アルカリ土類金属スルフォネート、中性アルカリ土
類金属フェネート及び中性アルカリ土類金属サリシレー
トをアルカリ土類金属の炭酸塩又はホウ酸塩を反応させ
ることにより得られる過塩基性（超塩基性）アルカリ土
類金属スルフォネート、過塩基性（超塩基性）アルカリ
土類金属フェネート及び過塩基性（超塩基性）アルカリ
土類金属サリシレートも含まれる。

【００３２】本発明においては、上記の中性アルカリ土
類金属塩、塩基性アルカリ土類金属塩、過塩基性（超塩
基性）アルカリ土類金属塩及びこれらの混合物等を用い
ることができる。金属系清浄剤は、通常、軽質潤滑油基
油等で希釈された状態で市販されており、また入手可能
であるが、一般的に、その金属含有量が１．０〜２０質
量％、好ましくは２．０〜１６質量％のものを用いるの
が望ましい。本発明で用いるアルカリ土類金属系清浄剤
の全塩基価は任意であるが、酸化防止性及び低燃費性に
優れる点から、通常、全塩基価が３０〜４００ｍｇＫＯ
Ｈ／ｇ、好ましくは１５０〜３００ｍｇＫＯＨ／ｇのも
のを用いるのが望ましい。なおここでいう全塩基価は、
ＪＩＳＫ２５０１（１９９２）の「石油製品及び潤滑
油−中和価試験方法」の７．に準拠して測定される過塩
素酸法による全塩基価を意味している。

【００３３】本発明のエンジン油組成物におけるアルカ
リ土類金属系清浄剤の含有量は任意であるが、通常、組
成物全量基準で、１．０〜１０．０質量％、好ましくは
１．０〜８．０質量％、より好ましくは１．５〜５．０
質量％である。この含有量が１０．０質量％を超える場
合は、燃費低減効果に劣る恐れがある。無灰分散剤とし
ては、潤滑油に用いられる任意のポリブテニルコハク酸
イミドが好ましく、特に、一般式（９）で表されるモノ
イミド、一般式（１０）で表されるビスイミド及びこれ
らを有機酸やホウ酸で変性したもの等が好ましい具体例
として挙げられる。

【００３４】

【化９】

【００３５】

【化１０】

【００３６】上記（９）、（１０）式中、Ｒ¹⁶、Ｒ¹⁷及
びＲ¹⁸は、それぞれ個別に、数平均分子量９００〜３５
００、好ましくは１０００〜３０００のポリブテニル基
を示し、ｃは２〜５の数を示している。これらポリブテ
ニルコハク酸イミド系無灰分散剤の製法は特に制限はな
いが、例えば数平均分子量９００〜３５００のポリブテ
ン又は数平均分子量９００〜３５００の塩素化ポリブテ
ンを無水マレイン酸と１００〜２００℃で反応させて得
られるポリブテニルコハク酸をポリアミンと反応させる
ことにより得ることができる。ポリアミンとしては、具
体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラ
ミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキ
サミン等が例示できる。

【００３７】ポリブテニルコハク酸イミドの含有量の上
限値は、エンジン油組成物全量基準で窒素元素濃度換算
で０．２０質量％、好ましくは０．１０質量％である。
上記上限値を超える場合は、ゴムシール剤に悪影響を与
えるため好ましくない。また、ポリブテニルコハク酸イ
ミドの含有量の下限値は、特に制限はないが、より充分
な低燃費性を得るための下限値としてはエンジン油組成
物全量基準で窒素元素濃度換算で０．０５質量％、より
好ましくは０．０６質量％である。また、本発明のエン
ジン油組成物には上記の他に長鎖アルキルポリアミン、
長鎖脂肪酸とポリアミンのアミド等の無灰分散剤も単独
又は2種類以上を任意に混合して、あるいは上記ポリブ
テニルコハク酸イミド系無灰分散剤と組み合わせて任意
に配合することができる。摩耗防止剤としては、下記一
般式（１１）で表わされる化合物の中から選ばれる１種
のジアルキルジチオリン酸亜鉛又は２種類以上のジアル
キルジチオリン酸亜鉛混合物が挙げられる。

【００３８】

【化１１】

【００３９】上記（１１）式中、Ｒ¹⁹、Ｒ²⁰、Ｒ²¹及び
Ｒ²²は、それぞれ個別に、炭素数２〜１８、好ましくは
炭素数４〜１２の第１級アルキル又は炭素数３〜１８、
好ましくは炭素数３〜１０の第２級アルキル基を示して
いる。炭素数２〜１８の第１級アルキル基とは、以下の
一般式（１２）で表される基のことである。

【００４０】Ｒ²³−ＣＨ₂− （１２）上記（１２）式中、Ｒ²³は炭素数１〜１７、好ましくは
炭素数３〜１１の直鎖又は分枝のアルキル基を示してい
る。Ｒ²³としては、具体的には、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ
チル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル
基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペン
タデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等のアル
キル基（アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い）が例
示できる。また、炭素数３〜１８の第２級アルキル基と
は、以下の一般式（１３）で表される基のことである。

【００４１】

【化１２】

【００４２】上記（１３）式中、Ｒ²⁴及びＲ²⁵は、それ
ぞれ個別に、炭素数１〜１６、好ましくは炭素数１〜８
であり、かつＲ²⁴及びＲ²⁵の合計炭素数が２〜１７、好
ましくは２〜９である直鎖又は分枝アルキル基を示して
いる。Ｒ²⁴及びＲ²⁵としては、具体的には、それぞれ個
別に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニ
ル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシ
ル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基等のアルキル基（アルキル基は直鎖状でも分枝状でも
良い）が例示できる。

【００４３】ジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量の上
限値は、組成物全量基準でリン元素濃度換算で０．１０
質量％、好ましくは０．０９質量％である。この含有量
が上記上限値を超える場合は、三元触媒の被毒を加速し
て排気ガスに悪影響がでるため好ましくない。またジア
ルキルジチオリン酸亜鉛の含有量の下限値は、特に制限
はないが、エンジン油劣化後の摩擦係数を低く維持する
ために、すなわち低燃費性をより持続させるために好ま
しい下限値として、組成物全量基準でリン元素濃度換算
で０．０４質量％であり、より好ましくは０．０６質量
％である。なお、本発明のエンジン油組成物には、上記
ジアルキルジチオリン酸亜鉛以外にも有機亜リン酸エス
テル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール等の
摩擦低減剤を任意にそれぞれ単独又は２種以上混合し
て、あるいは上記ジアルキルジチオリン酸亜鉛と任意に
組み合せて配合することができる。

【００４４】無灰酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防
止剤として用いられるフェノール系無灰酸化防止剤が好
ましく用いられる。フェノール系無灰酸化防止剤として
は、特に、４，４’−メチレンビス（２，６−ジ−ｔｅ
ｒｔ−ブチルフェノール）、４，４’−ビス（２，６−
ジ−ｔｅｒｔ−ブチルフェノール）、４，４’−ビス
（２−メチル−６−ｔｅｒｔ−ブチルフェノール）、
２，２’−メチレンビス（４−エチル−６−ｔｅｒｔ−
ブチルフェノール）、２，２’−メチレンビス（４−メ
チル−６−ｔｅｒｔ−ブチルフェノール）、４，４’−
ブチリデンビス（３−メチル−６−ｔｅｒｔ−ブチルフ
ェノール）、４，４’−イソプロピリデンビス（２，６
−ジ−ｔｅｒｔ−ブチルフェノール）、２，２’−メチ
レンビス（４−メチル−６−ノニルフェノール）、２，
２’−イソブチリデンビス（４，６−ジメチルフェノー
ル）、２，２’−メチレンビス（４−メチル−６−シク
ロヘキシルフェノール）、２，６−ジ−ｔｅｒｔ−ブチ
ル−４−メチルフェノール、２，６−ジ−ｔｅｒｔ−ブ
チル−４−エチルフェノール、２，４−ジメチル−６−
ｔｅｒｔ−ブチルフェノール、２，６−ジ−ｔｅｒｔ−
α−ジメチルアミノ−ｐ−クレゾール、２，６−ジ−ｔ
ｅｒｔ−ブチル−４（Ｎ，Ｎ’−ジメチルアミノメチル
フェノール）、４，４’−チオビス（２−メチル−６−
ｔｅｒｔ−ブチルフェノール）、４，４’−チオビス
（３−メチル−６−ｔｅｒｔ−ブチルフェノール）、
２，２’−チオビス（４−メチル−６−ｔｅｒｔ−ブチ
ルフェノール）、ビス（３−メチル−４−ヒドロキシ−
５−ｔｅｒｔ−ブチルベンジル）スルフィド、ビス
（３，５−ジ−ｔｅｒｔ−ブチル−４−ヒドロキシベン
ジル）スルフィド、２，２’−チオ−ジエチレンビス
［３−（３，５−ジ−ｔｅｒｔ−ブチル−４−ヒドロキ
シフェニル）プロピオネート］、トリデシル−３−
（３，５−ジ−ｔｅｒｔ−ブチル−４−ヒドロキシフェ
ニル）プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキ
ス［３−（３，５−ジ−ｔｅｒｔ−ブチル−４−ヒドロ
キシフェニル）プロピオネート］、オクタデシル−３−
（３，５−ジ−ｔｅｒｔ−ブチル−４−ヒドロキシフェ
ニル）プロピオネート及びこれらの混合物等が好ましい
具体例として挙げられる。

【００４５】本発明のエンジン油組成物には無灰酸化防
止剤として上記フェノール系無灰酸化防止剤を単独又は
２種類以上を配合しても良く、またフェニル−α−ナフ
チルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、
ジアルキルジフェニルアミン等のアミン系の無灰酸化防
止剤を単独又は２種類以上を配合しても良い。あるいは
上記フェノール系無灰酸化防止剤とアミン系無灰酸化防
止剤を組み合せて配合しても良い。上記無灰酸化防止剤
の含有量の上限値は、エンジン油組成物全量基準で３．
０質量％、好ましくは２．０質量％であり、上限値を超
える場合は、配合量に見合った十分な酸化防止性が得ら
れないため好ましくない。一方、下限値は、特に制限は
ないが、エンジン油劣化後の摩擦係数をより低く維持す
るためには、エンジン油組成物全量基準で好ましくは
０．１質量％、より好ましくは０．３質量％である。本
発明においてはモリブデンジチオカーバメート以外の他
の摩擦低減剤を、本発明のエンジン油組成物に任意に配
合することができる。これらの摩擦低減剤としては、モ
リブデンジチオホスフェート、二硫化モリブデン、長鎖
脂肪族アミン、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、長鎖
脂肪族アルコール等が挙げられる。

【００４６】本発明のエンジン油組成物に配合できる上
記以外の添加剤としては、石油スルホネート、アルキル
ベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネー
ト、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエス
テル等の防錆剤；ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリア
ルキレングリコール系非イオン系界面活性剤に代表され
る抗乳化剤；イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキ
ルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベン
ゾトリアゾール又はその誘導体、１，３，４−チアジア
ゾールポリスルフィド、１，３，４−チアジアゾリル−
２，５−ビスジアルキルジチオカーバメート、２−（ア
ルキルジチオ）ベンゾイミダゾール、β−（ｏ−カルボ
キシベンジルチオ）プロピオンニトリル等の金属不活性
化剤；シリコーン、フルオロシリコール、フルオロアル
キルエーテル等の消泡剤が挙げられる。

【００４７】これらの添加剤を本発明のエンジン油組成
物に添加する場合には、その添加量はエンジン油組成物
全量基準で、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ０．１〜１
５質量％、消泡剤では０．０００５〜１質量％、金属不
活性化剤では０．００５〜１質量％の範囲で通常選ばれ
る。本発明のエンジン油組成物は、２輪車、４輪車等の
ガソリンエンジン、陸用ディーゼルエンジン、舶用ディ
ーゼルエンジン等の潤滑油として好ましく使用すること
ができる。

【００４８】

【実施例】以下に本発明の内容を実施例及び比較例によ
ってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施
例になんら限定されるものではない。なお実施例及び比
較例に用いたエンジン油の性能は以下に示す性能評価試
験により評価した。（１）エンジンモータリング試験回転数１５００ｒｐｍ、油・水温８０℃の条件におい
て、モータリングによるエンジン全体の摩擦トルクを測
定した。一般にこの値が小さいほど各部のフリクション
ロスが小さく、低燃費性に優れたエンジン油と評価され
る。（２）ＮＯＡＣＫ蒸発性試験（ＡＳＴＭＤ５８８
０）試験油を一定の減圧下にて２５０℃に加熱し、１時間後
の蒸発量を評価するもので、一般にこの値が小さいほど
実走行中におけるエンジン油の消費量が小さいと評価さ
れる。（３）ＣＣＳ粘度（ＡＳＴＭＤ５２９３）一般に低温におけるクランキング性能を評価するもの
で、この値が低いほど低温粘度特性に優れる。

【００４９】（実施例１〜３）表１に実施例１〜３の組
成及びエンジン油の性能評価試験の結果を示す。各油は
動粘度（100℃）および高温高せん断粘度（150℃）がほ
ぼ同じになるよう調整されている。表１から実施例１〜
３のエンジン油は低燃費性に優れ、蒸発損失が少なく、
低温粘度特性に優れていることがわかる。ポリメタクリ
レート系粘度指数向上剤の重量平均分子量は１５０，０
００の時より２５０，０００の時の方がより優れ、また
モリブデンジチオカーバメートを配合すると、さらに低
燃費性に優れることがわかる。

【００５０】（比較例１〜３）表１に比較例１〜３の組
成及びエンジン油の性能評価試験の結果を示す。基油の
粘度指数が１００の場合（比較例１）では低燃費性、蒸
発性、低温粘度特性に劣る。また、粘度指数向上剤がオ
レフィンコポリマー系の場合（比較例２）、低燃費性、
蒸発性、低温粘度特性に劣る。さらに、動粘度が９．３
以上（比較例３）。ではモリブデンジチオカーバメート
が配合されていても低燃費性能に劣る。

【００５１】

【表１】

【００５２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば低
燃費性及び低温粘度特性に優れ、蒸発損失の少ない、優
れたエンジン油組成物が得られる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｃ１０Ｎ 30:00 Ｃ１０Ｎ 30:00 Ｚ 30:02 30:02 30:06 30:06 40:25 40:25 (72)発明者井上清神奈川県横浜市中区千鳥町８番地日石三菱株式会社潤滑油部潤滑油研究所内Ｆターム(参考） 4H104 BG10C CB08C DA02A EA02A EA02Z EA03C EA21A EB02 FA06 LA01 LA04 LA20 PA41

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】（Ａ）１００℃での動粘度が２〜６ｍｍ
² ／ｓであり粘度指数が１２０以上、かつ全芳香族含有
量が１５質量％以下の潤滑油基油に、（Ｂ）ポリメタク
リレート系粘度指数向上剤を、組成物の１００℃での動
粘度が４．０〜９．３ｍｍ²／ｓとなるような量を含有
させてなることを特徴とするエンジン油組成物。
【請求項２】（Ａ）１００℃での動粘度が２〜６ｍｍ
² ／ｓであり粘度指数が１２０以上、かつ全芳香族含有
量が１５質量％以下の潤滑油基油に、（Ｂ）ポリメタク
リレート系粘度指数向上剤を、組成物の１００℃での動
粘度が４．０〜９．３ｍｍ²／ｓとなるような量及び
（Ｃ）モリブデンジチオカーバメートを含有させてなる
ことを特徴とするエンジン油組成物。
【請求項３】ポリメタクリレート系粘度指数向上剤の
重量平均分子量が１８０，０００以上であることを特徴
とする請求項１又は請求項２に記載のエンジン油組成
物。