JP2001158061A - ポリイミド金属箔積層板の製造方法 - Google Patents

ポリイミド金属箔積層板の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属箔の表面を損傷することなく、塗布液の
均一塗工が可能であるポリイミド金属箔積層板の製造方
法を提供する。 【解決手段】 金属箔の表面にポリアミド酸溶液及びポ
リイミド溶液から選ばれた少なくとも1種の塗布液を塗
布、加熱してポリイミド層を形成するポリイミド金属箔
積層板の製造方法において、弛みが6mm以下である金
属箔を用い、該金属箔を前ガイドロール、コートロー
ル、及び後ガイドロールの3個のロールを用いて支持
し、該金属箔がコートロールに接する際の抱き込み角度
が1〜180度になるように制御し、且つ、コートロー
ル周速度を金属箔の走行速度に対して115〜200%
の範囲に制御してコートロール上の塗布液を金属箔表面
へ転写することを特徴とするポリイミド金属箔積層板の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド金属箔
積層板の製造方法に関する。詳しくは、塗工抜け、塗工
むらのないフレキシブルポリイミド金属箔積層板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フレキシブル金属ポリイミド積層
板(Flexible Metal Clad Laminate、以下、FMCLと
いう)は、ポリイミド樹脂の優れた耐熱性、電気絶縁性
及び機械特性により、広く工業材料として用いられてき
た。FMCLは、他のポリマー積層板に比べ種々の優れ
た特徴を持つが、技術の進歩によりFMCLに求められ
る特性も高度化しており、用途に応じて種々の性能を合
わせ持つことが望ましい。
【0003】特に近年、ポリイミド樹脂の優れた耐熱
性、電気絶縁性及び機械特性をより高めるために、ポリ
イミド層が2層または多層であるポリイミド積層板への
要求が高まってきている。また、一方ではプリント配線
基板の容器の大きさ、加工の自由度などからポリイミド
層の厚みを薄くする要求も高い。
【0004】そこで、2層または多層のポリイミド層を
有するFMCLは、ポリイミド層全体の厚みを薄くする
ために、少なくとも1層を極めて薄くする必要がある。
厚みの薄いポリイミドフィルムの形成方法としては、フ
ィルムを延伸する方法、樹脂溶液等を塗工する方法など
が挙げられる。しかし、フィルムを延伸する方法は、金
属と積層化する時に接着層を介するためポリイミドの優
れた性質が損なわれてしまう。また、樹脂溶液等を塗工
する方法は、特に、ポリイミド層を薄く成形する場合に
は厚みムラが顕著になる傾向にある。これは見かけの平
均厚みと実際の厚みに差が生じるためである。
【0005】通常、基材表面に塗布液を塗布する場合、
コートロールとバックアップロールを用いて基材を挟持
しながらコートロールから基材表面へ転写する。この
際、塗布厚みを薄くし、且つ、転写を上手く行うために
は、基材とコートロールの間隙はより小さい方が望まし
い。しかし、ロールの振れ精度があるため、実際にはバ
ックアップロールとコートロールの振れ精度分の厚みム
ラが発生する。また、この厚みムラを解消するためにバ
ックアップロールを若干歪ませるほど強くコートロール
に押し付けて塗布する方法も挙げられる。一方、近年の
金属箔は表面に接着性の向上を目的として表面処理が施
されており、バックアップロールなどによる外力が加わ
ると表面処理物が剥がれてしまい、接着力の低下につな
がることがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題に鑑み、金属箔の表面を損傷することなく、塗布液
の均一塗工が可能であるポリイミド金属箔積層板の製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、平板性に優れた弛みの少ない金属箔を用い、
金属箔の走行速度とコートロールの周速度、及び、金属
箔がコートロールに接触する際の角度(抱き込み角)を
それぞれ特定の範囲に制御することにより上記課題が解
決し得ることを見出し、本発明に到った。
【0008】即ち、本発明の要旨は、金属箔の表面にポ
リアミド酸溶液及びポリイミド溶液から選ばれた少なく
とも1種の塗布液を塗布、加熱してポリイミド層を形成
するポリイミド金属箔積層板の製造方法において、弛み
が6mm以下である金属箔を用い、該金属箔を前ガイド
ロール、コートロール、及び後ガイドロールの3個のロ
ールを用いて支持し、該金属箔がコートロールに接する
際の抱き込み角度が1〜180度になるように制御し、
且つ、コートロール周速度を金属箔の走行速度に対して
115〜200%の範囲に制御してコートロール上の塗
布液を金属箔表面へ転写することを特徴とするポリイミ
ド金属箔積層板の製造方法である。
【0009】本発明に係わるポリイミド金属箔積層板の
製造方法は、通常、塗布液を金属箔表面へ転写した後、
80〜300℃において乾燥し、次いで、200〜45
0℃においてイミド化する方法である。好ましい態様と
して、上記抱き込み角度が1〜30度になるように制御
する方法が挙げられる。また、本発明に係わるポリイミ
ド層は、熱可塑性ポリイミドで形成されることが好まし
い。
【0010】本発明によれば、塗布液の塗工工程におい
て、バックアップロールを用いることなしに、前ガイド
ロール、コートロール、及び後ガイドロールの3個のロ
ールを用いて金属箔を支持するために、金属箔表面を損
傷することがない。また、金属箔の走行速度とコートロ
ールの周速度、及び、金属箔がコートロールに接触する
際の角度をそれぞれ特定の範囲に制御するために、塗布
液の均一な塗工が可能である。その結果、得られる積層
体のポリイミド層の厚みが均一である。従って、本発明
により製造されるポリイミド金属箔積層板は、プリント
基板等として、電気工業分野、電子工業分野等において
極めて有用である。
【0011】尚、本発明における金属箔の弛みは、後述
する実施例に記載した方法により測定した値を意味す
る。また、金属箔がコートロールに接する際の抱き込み
角度については、次項において詳述する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に係わるポリイミド金属箔積層板の製造方
法は、ポリイミド金属箔積層板を製造するに際し、塗布
液の塗工工程において、金属箔の走行速度とコートロー
ルの周速度、及び、金属箔がコートロールに接触する際
の角度をそれぞれ特定の範囲に制御してコートロール上
の塗布液を金属箔表面へ転写することに特徴がある。通
常、塗布液を金属箔表面へ転写した後、特定の温度にお
いて乾燥、及びイミド化する方法である。
【0013】本発明に使用できる金属箔は、銅、軟化ア
ルミニウム、ニッケル、金、銀、ステンレス、及びこれ
らを含有する合金箔などが挙げられる。これらの内、銅
箔が好ましい。金属箔の厚みは、積層体全体の層厚み、
フレキシビリティ等を考慮すると、5〜150μm程度
が好ましい。また、ポリイミド層との粘着性、密着性を
向上させることを考慮すると、電解メッキによる金属粒
子の付着処理、交流エッチング等による表面処理が施さ
れていることが好ましい。更に、塗布液の均一な塗工
性、ポリイミド層の厚みの均一性等を考慮すると、歪み
がなく良好な平板性を有するものが好ましい。平板性の
バロメーターである弛みが6mm以下であることが好ま
しい。尚、金属箔の弛みの測定方法は、後述の実施例に
示す。
【0014】本発明に係わるポリイミド層は、熱可塑性
ポリイミドで形成することが好ましい。該熱可塑性ポリ
イミドは、一般式(1)〔化4〕
【0015】
【化4】
【0016】{式中、Xは、一般式(2)の(a)、
(b)及び(c)〔化5〕
【0017】
【化5】
【0018】からなる群より選ばれた一つの基を表し、
1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、低級ア
ルキル基、低級アルコキシル基、フェニル基、ビフェニ
ル基、フェノキシ基、ビフェノキシ基、トリフルオロメ
チル基、塩素原子または臭素原子を表し、Yは、一般式
(3)の(d)、(e)、(f),(g)及び(h)
〔化6〕
【0019】
【化6】
【0020】からなる群より選ばれた1つの基を示す}
で表される繰り返し構造単位を有するポリイミドである
ことが好ましい。一般式(2)において(a)の基が好
ましい。また、一般式(3)において(g)の基が好ま
しい。
【0021】上記構造を有する熱可塑性ポリイミド、又
はその前駆体であるポリアミド酸の製造方法について説
明する。先ず、撹拌機、還流冷却機及び窒素導入管を備
えた容器中で、ジアミンを有機溶剤に溶解する。次に、
この溶液に窒素雰囲気下において芳香族テトラカルボン
酸二無水物をジアミンに対して0.9〜1.1モル当量
になるように添加し、0〜90℃で24時間撹拌してポ
リアミド酸溶液を得る。このポリアミド酸溶液を100
〜200℃で撹拌し、反応脱水することによりポリイミ
ド溶液を得る。これらのポリアミド酸溶液及びポリイミ
ド溶液は粘度調節のために、有機溶剤にて希釈しても差
し支えない。
【0022】上記ポリアミド酸、又はポリイミドは、ジ
アミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物より合成され
る。具体的には、ジアミンとして、m−フェニレンジア
ミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルア
ミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−
アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、
ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−ア
ミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)
(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3ーアミ
ノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−
アミノフェニル)スルホン、ビス(4アミノフェニル)
スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,
4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベ
ンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、
3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジア
ミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニル
エーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4
−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1
−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタ
ン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4
−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,
2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プ
ロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4
−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホ
ン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エ
ーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノ
キシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3
−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’
−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジ
フェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノ
フェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,
4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン
ジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス
[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェ
ノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−
アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、
1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α
−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ
ル]ベンゼン等が挙げられる。
【0023】上記ジアミンの内、好ましくは、p−フェ
ニレンジアミン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3
−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−
アミノフェノキシ)ビフェニル、及びビス[4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル]スルホンである。更に好
ましくは1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ンである。ジアミンは単独で、または2種以上を組み合
わせて使用しても良い。
【0024】テトラカルボン酸二無水物としては、例え
ば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラ
カルボン酸二無水物、シクロペンタンカルボン酸二無水
物、ピロメリット酸二無水物、2,2’,3,3’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボ
キシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニルスルホン)二無水物、ビス(2,3−
ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビ
ス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸
二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフ
タル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、1,2,5,6,−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテ
トラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレン
テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラ
センテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェ
ナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げらる。
【0025】上記テトラカルボン酸二無水物の内、好ま
しくは、ピロメリット酸二無水物、2,2’,3,3’
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、及び1,2,3,4−ベンゼンテトラカル
ボン酸二無水物である。更に好ましくは3,3’,4,
4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物であ
る。テトラカルボン酸二無水物は単独または2種以上を
組み合わせて使用できる。
【0026】本発明の熱可塑性ポリイミド層に係わる熱
可塑性ポリイミドのポリマー末端を封止する目的とし
て、ジカルボン酸無水物を添加しても良い。使用される
ジカルボン酸無水物としては、無水フタル酸、2,3−
ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフ
ェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェ
ニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカ
ルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水
物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無
水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン
無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフ
ィド無水物、1,2−ナフタレンジカロボン酸無水物、
2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフ
タレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカ
ルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無
水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物が挙げ
られる。
【0027】これらのジカルボン酸無水物はアミンまた
はジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換され
てもよい。ジカルボン酸無水物の添加量は、通常、主原
料であるジアミンとテトラカルボン酸二無水物の合計量
100モルに対して0.001〜0.5モルの範囲であ
る。好ましくは0.005〜0.25モルの範囲であ
る。
【0028】同様に熱可塑ポリイミドのポリマー末端を
封止する目的でモノアミンを添加してもよい。使用され
るモノアミンとしては、次のようなものが挙げられる。
例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、
p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリ
ジン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,
4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニ
リン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−
ニトロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニ
リン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−
ニトロアニリン、o−アミノフェノール、m−アミノフ
ェノール、p−アミノフェノール、o−アニリジン、m
−アニリジン、p−アニリジン、o−フェネチジン、m
−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノベンツ
アルデヒド、m−アミノベンツアルデヒド、p−アミノ
ベンツアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−ア
ミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−
アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノ
ビフェニル、2−アミノフェノールフェニルエーテル、
3−アミノフェノールフェニルエーテル、4−アミノフ
ェノールフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノ
ン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェ
ノン、2−アミノフェノールフェニルスルフィド、3−
アミノフェノールフェニルスルフィド、4−アミノフェ
ノールフェニルスルフィド、2−アミノフェノールフェ
ニルスルホン、3−アミノフェノールフェニルスルホ
ン、4−アミノフェノールフェニルスルホン、α−ナフ
チルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナ
フトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−
1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−ア
ミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、
7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−2−ナフト
ール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセ
ン、9−アミノアントラセン等が挙げられる。
【0029】これらモノアミンは単独でまたは2種以上
組み合わせて使用しても良い。モノアミンの添加量は、
通常、主原料であるジアミンとテトラカルボン酸二無水
物の合計100モルに対して0.001〜0.5モルの
範囲である。好ましくは0.005〜0.25モルの範
囲である。
【0030】上記ポリイミド溶液、又はその前駆体であ
るポリアミド酸溶液の濃度は、通常、塗布性等を考慮し
て、5〜25重量%程度のものが用いられる。有機溶媒
としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジ
メチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、
ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホルア
ミド、テトラメチル尿素、N−メチルカプロラクタム、
プチロラクタム、テトラヒドロフラン、m−ジオキサ
ン、p−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス
(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−
メトキシエトキシ)エタン、ビス2−(2−メトキシエ
トキシ)エチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4
−ジオキサン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−
クレゾール、クレゾール酸,p−クロロフェノール、ア
ニソール等を含む溶剤が挙げられ琉。好ましくは、N−
メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0031】次いで、金属箔表面に対する塗布液の塗工
方法について説明する。〔図1〕は、従来のロールコー
ター法の一例を示す模式図である。〔図1〕に示す如
く、コートロール1により持ち上げられたワニスパン2
中の塗布液がドクターロール3により計量され、バック
アップロール4上の金属箔5に転写され、塗布される。
また、グラビアロール法に関しても塗布液がグラビアロ
ール上で計量され、バックアップロール上の金属箔5に
転写され、塗布される。
【0032】〔図2〕は、本発明が好ましく適用される
キス型リバースロールコーター法の一例を示す模式図で
ある。〔図2〕に示す如く、コートロール1により持ち
上げられたワニスパン2中の塗布液がドクターロール3
により計量され、前ガイドロール6、コートロール1、
及び、後ガイドロール7の3個のロールにて支持されて
いる金属箔5に転写され、塗布される。本発明には、こ
の他、キス型グラビアロール法、キス型リバースグラビ
アコーター法などのキス型の塗布方法も採用できる。本
発明においては、〔図1〕に示したようなバックアップ
ロール4は使用しない。そのため、金属箔5が、コート
ロール1、及びバックアップロール4により挟持される
ことがなく、表面処理等が施されていても、それを損傷
することがない。塗布液の塗工面を平滑に保持すること
ができる利点がある。
【0033】本発明では、塗工工程における金属箔の走
行速度に対するコートロールの周速度の比が115〜2
00%に制御する。該速度比が115%未満では均一な
塗工ができなくなり、ポリイミド層の厚みばらつきが発
生する。また、200%を超えるても塗工ムラ、ポリイ
ミド層の厚みムラが発生する。通常、塗工工程における
金属箔の走行速度は0.5〜5m/分程度、また、コー
トロールの周速度は0.6〜10m/分程度である。
【0034】塗工工程において、コートロールへの金属
箔の抱き込み角度は、1〜180度の範囲に保持するこ
とが好ましい。更に好ましくは1〜30度である。ここ
で、コートロールへの金属箔の抱き込み角度とは、コー
トロールと前後2本のガイドロールの三者にて支持され
ている基材がコートロールに対して抱き込んでいる角度
である。即ち、〔図2〕において、金属箔5がコートロ
ール1と接触した後、引き続き直線的に走行したと仮定
したことを示す点線8と、実際に走行する金属箔5との
なす角(θ)を意味する。
【0035】また、塗布工程において、金属箔の張力は
0.0020〜0.1471N/mの範囲で保持するこ
とが好ましい。0.1471N/mを超える張力範囲で
は、金属箔にしわが発生することがある。0.0020
N/mに未満では、金属箔がコートロールに幅方向に均
一に接触しなくなる傾向がある。塗布液の塗工厚さは、
イミド化後のポリイミド層の各層の厚みが25μm以下
になる厚みが好ましい。更に好ましくは0.2〜10μ
mである。ポリイミド層は、2層以上形成してもよい。
層数の上限には特に制限はないが、通常、3層程度であ
る。
【0036】金属箔に塗布液を塗布した後、乾燥する。
乾燥方法としては、ロールサポート搬送、エアーフロー
ト搬送など、公知の方法が採用できる。乾燥は、通常、
80〜300℃の空気、又は窒素雰囲気下において、溶
剤含有量がポリイミド100重量部に対して150重量
部を超えない範囲まで乾燥する。乾燥後のイミド化方法
は、イナートオーブンによるバッチ法、イミド化炉によ
る連続式方法等の公知の方法が用いられる。特にその方
法、条件に制限はないが、好ましくはイミド化炉による
連続式方法である。イミド化は、通常、200〜450
℃で行われ、溶剤含有量がポリイミド100重量部に対
して0.5重量部を超えない範囲までイミド化する。上
記のようにして製造される本発明のポリイミド金属箔積
層板は、総厚みが6〜200μm程度であり、プリント
基板等として、電気工業分野、電子工業分野等において
使用される。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例を示し、本発明につい
て更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例
に何ら限定されるものではない。尚、実施例に示した金
属箔の弛み、均一塗工性、及びと厚みムラは、下記方法
により測定した。
【0038】(1)金属箔の弛み(mm) 〔図3〕は金属箔の弛みの測定方法の概要を示す模式図
である。〔図3〕に示す如く、幅が684mmである金
属箔5を繰り出し軸8から、前ガイドロール9と後ガイ
ドロール10の上を通過させる。この時、2本のガイド
ロール10及び11間を走行する金属箔5を水平に保
つ。金属箔5がガイドロール10及び11に接触する点
間の距離は1000mmとする。後ガイドロール11を
通過した金属箔に5kgの重り12をに負荷させ、繰り
出し軸にロックし、重り12が地面に接触しないように
する。金属箔5がガイドロール10及び11に接触する
箇所の中央位置(一方の接触点から500mmの位置)
の部分から金属箔の端面を基準とし、レーザー変位計
(キーエンス(株)製、形式:LB−1000)13を
用いて全幅についてその変位を測定する。 (2)均一塗布性 FMCL試料を縦横100mmの正方形に切り取り、塩
化第二鉄水溶液(40重量%)を用いて金属箔層に化学
エッチング処理を施し、ポリイミド層のみとする。ポリ
イミド層を透過光で観察して、直径10μm以上の穴の
有無を観察する。 (3)ポリイミド層の厚みムラ(μm) 前項と同様にしてポリイミド層のみを得る。接触式膜厚
計(Heidenhain(株)製、形式:200068G)を用
いて、横方向に任意に10点厚みを測定し、その最大値
と最低値の差を厚みムラとする。
【0039】実施例1 撹拌機、還流冷却機及び窒素導入管を備えた容器を用い
て、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン5
84g(2.0モル)をN,N−ジメチルアセトアミド
4500gに溶解した。この溶液に窒素雰囲気下におい
て3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物644g(2.0モル)を添加し、10℃で2
4時間撹拌してポリアミド酸溶液を得た。このポリアミ
ド酸溶液をN,N−ジメチルアセトアミドで15.0重
量%まで希釈し、25℃における粘度を0.2Pa・s
に調節し、塗布液とした。
【0040】〔図2〕に示したような、前ガイドロー
ル、コートロール、及び、後ガイドロールの3個のロー
ルにて金属箔(オーリン社製銅箔、商品名:C702
5、厚さ:18μm、幅:68.4cm、弛み:6.0
mm)を支持する形式のキス型リバースロールコーター
を用いた。金属箔の走行速度に対するコートロールの周
速度の相対速度を115%にして、イミド化後のポリイ
ミド層の厚さが2μmになるように、金属箔の表面に上
記塗布液(ポリアミック酸溶液)を転写、塗布した。金
属箔のコートロールへの抱き込み角は30度、張力は
0.01471N/mであった。ポリアミド酸塗工金属
箔を熱風乾燥炉にて100℃で、樹脂固形分100重量
部に対して溶剤含有量が5.0重量部になるまで乾燥し
た。さらに、350℃の窒素雰囲気(酸素濃度1容量
%)の中で20分間加熱してイミド化してポリイミド層
を形成し、ポリイミド金属箔積層板を得た。金属箔の弛
み、得られたポリイミド金属箔積層板の均一塗布性、及
びポリイミド層の厚みムラを上記方法により測定した。
主な製造条件、及び得られた結果を〔表1〕に示す。
【0041】実施例2 銅箔の弛みを4.0mm、張力を0.0294N/m、
コートロールへの抱き込み角を15度、金属箔の走行速
度に対するコートロールの相対速度を200%とした以
外は、実施例1と同様にしてポリイミド金属箔積層板を
得た。主な製造条件、及び得られた結果を〔表1〕に示
す。
【0042】実施例3 金属箔の走行速度に対するコートロールの相対速度を1
60%にした以外は、実施例1と同様にしてポリイミド
金属箔積層板を得た。主な製造条件、及び得られた結果
を〔表1〕に示す。
【0043】比較例1 金属箔の走行速度に対するコートロールの相対速度を1
10%にした以外は、実施例1と同様にしてポリイミド
金属箔積層板を得た。主な製造条件、及び得られた結果
を〔表1〕に示す。
【0044】比較例2 金属箔の走行速度に対するコートロールの相対速度を1
20%、金属箔の弛みを6.6mmにした以外は、実施
例2と同様にしてポリイミド金属箔積層板を得た。主な
製造条件、及び得られた結果を〔表1〕に示す。
【0045】比較例3 金属箔の弛みを7.8mm、金属箔の走行速度に対する
コートロールの相対速度を170%にした以外は、実施
例1と同様にしてポリイミド金属箔積層板を得た。主な
製造条件、及び得られた結果を〔表1〕に示す。
【0046】比較例4 金属箔の弛みを6.7mm、金属箔の走行速度に対する
コートロールの相対速度を160%にした以外は、実施
例1と同様にしてポリイミド金属箔積層板を得た。主な
製造条件、及び得られた結果を〔表1〕に示す。
【0047】比較例5 金属箔の弛みを8.0mmにした以外は、実施例1と同
様にしてポリイミド金属箔積層板を得た。主な製造条
件、及び得られた結果を〔表1〕に示す。
【0048】比較例6 金属箔の弛みを5.4mm、金属箔の走行速度に対する
コートロールの相対速度を210%にした以外は、実施
例1と同様にしてポリイミド金属箔積層板を得た。主な
製造条件、及び得られた結果を〔表1〕に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、塗布液の塗工工程にお
いて、バックアップロールを用いることなしに、前ガイ
ドロール、コートロール、及び後ガイドロールの3個の
ロールを用いて金属箔を支持するために、金属箔表面を
損傷することがない。また、金属箔の走行速度とコート
ロールの周速度、及び、金属箔がコートロールに接触す
る際の角度をそれぞれ特定の範囲に制御するために、塗
布液の均一な塗工が可能である。その結果、得られる積
層体のポリイミド層の厚みが均一である。従って、本発
明により製造されるポリイミド金属箔積層板は、プリン
ト基板等として、電気工業分野、電子工業分野等におい
て極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、従来のロールコーター法の一例を示す模式
図である。
【図2】は、本発明が好ましく適用されるキス型リバー
スロールコーター法の一例を示す模式図である。
【図3】は、金属箔の弛みの測定方法の概要を示す模式
図である。
【符号の説明】
1 コートロール 2 ワニスパン 3 ドクターロール 4 バックアップロール 5 金属箔 6 前ガイドロール 7 後ガイドロール 8 点線 9 繰り出し軸 10 前ガイドロール 11 後ガイドロール10 12 重り 13 レーザー変位計 θ 抱き込み角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大坪 英二 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学株式会社内 (72)発明者 中島 純 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学株式会社内 (72)発明者 木村 貴雄 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AB01A AB17A AK49B BA02 EC042 EH462 EJ862 GB43 JA20A JB16B YY00A 4J043 PA02 QB26 QB31 RA34 SA06 SB01 TA14 TA22 TB01 UA121 UA122 UA132 UA141 UA151 UB121 UB151 UB152 UB301 ZA12 ZA46 ZB47 ZB50

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属箔の表面にポリアミド酸溶液及びポ
    リイミド溶液から選ばれた少なくとも1種の塗布液を塗
    布、加熱してポリイミド層を形成するポリイミド金属箔
    積層板の製造方法において、弛みが6mm以下である金
    属箔を用い、該金属箔を前ガイドロール、コートロー
    ル、及び後ガイドロールの3個のロールを用いて支持
    し、該金属箔がコートロールに接する際の抱き込み角度
    が1〜180度になるように制御し、且つ、コートロー
    ル周速度を金属箔の走行速度に対して115〜200%
    の範囲に制御してコートロール上の塗布液を金属箔表面
    へ転写することを特徴とするポリイミド金属箔積層板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 塗布液を金属箔表面へ転写した後、80
    〜300℃において乾燥し、次いで、200〜450℃
    においてイミド化することを特徴とする請求項1記載の
    ポリイミド金属箔積層板の製造方法。
  3. 【請求項3】 抱き込み角度が1〜30度になるように
    制御することを特徴とする請求項1記載のポリイミド金
    属箔積層板の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリイミド層が熱可塑性ポリイミドであ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリイミド金属箔積
    層板の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性ポリイミドが、一般式(1)
    〔化1〕 【化1】 {一般式(1)中、Xは、一般式(2)の(a)、
    (b)及び(c)〔化2〕 【化2】 からなる群より選ばれた一つの基を表し、R1、R2及び
    3は、それぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低
    級アルコキシル基、フェニル基、ビフェニル基、フェノ
    キシ基、ビフェノキシ基、トリフルオロメチル基、塩素
    原子または臭素原子を表し、Yは、一般式(3)の
    (d)、(e)、(f),(g)及び(h)〔化3〕 【化3】 からなる群より選ばれた1つの基を示す}で表される繰
    り返し構造単位を有するポリイミドであることを特徴と
    する請求項4記載のポリイミド金属箔積層板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記一般式(1)におけるXが、前記一
    般式(2)の(a)の基であり、Yが、前記一般式
    (3)の(g)の基であることを特徴とする請求項5記
    載のポリイミド金属箔積層板の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属箔が銅箔であることを特徴とする請
    求項1記載のポリイミド金属箔積層板の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属箔の厚みが5〜150μm、ポリイ
    ミド層の各層の厚みが0.2〜10μmであることを特
    徴とする請求項1記載のポリイミド金属箔積層板の製造
    方法。
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