JP4667675B2 - ポリイミド金属箔積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子材料用途に幅広く使用されているポリイミド金属箔積層体およびその製造方法に関する。その中でも特に、低線膨張性で、接着性、耐熱性、強度に優れたポリイミド金属箔積層体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド金属箔積層体の主な用途として、フレキシブルプリント配線基板がある。フレキシブルプリント配線基板の製造方法は、銅箔等の金属箔にポリイミドのフィルムを接着剤を介して張り合わせたり、銅箔等の金属箔にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を塗布し乾燥させる方法が採られている。一般的なポリイミドは、線膨張係数が20ppm/℃以上である。この様に線膨張係数の大きいポリイミドを用いてフレキシブルプリント配線基板を製造した場合、加熱または冷間時に起こる寸法変化により、回路のパターニング処理上で問題が生じていた。この問題を解決する為に、ポリイミドに低線膨張性を付与する技術の開発がなされてきている。特開平2−150452号公報や特開平8−250860号公報には、モノマーのジアミン成分として4,4’−ジアミノベンズアニリドや2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリドを含むポリイミドのフィルムが低線膨張性を示すことが開示されている。しかしながら、ポリイミドフィルムの線膨張係数は、一次構造が同じであっても、製造条件、特にポリアミド酸溶液をイミド化する際の溶媒の除去性に影響を受けて変化することが知られている。即ち、ポリアミド酸溶液を製造する際の溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒が、ポリアミド酸溶液の塗布膜を加熱してポリイミドフィルムにする際に残存することで、ポリイミドフィルムの線膨張係数を増大させることが知られている(Polym.Eng.Sci.,第29巻347〜351頁(1989))。先の一次構造で線膨張性を示すポリイミドにおいても、イミド化時の溶媒除去性は満足できるものではなく、低線膨張性で寸法安定性の良いポリイミドフィルムを製造するためには、昇温速度をコントロールしなければならず、生産性に影響していた。こうした点を改善するような技術、即ち、イミド化時の溶媒除去性が良く、低線膨張性で寸法安定性の良いポリイミドフィルムを効率的に製造することができるような技術が求められていた。
【0003】
一方、式(III)(化4)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、米国特許3732200号に同じモノマーから構成されるポリイミドが開示されているように、公知のモノマーから構成されるポリイミドである。ところが、このポリイミドを用いたポリイミド
【化4】
金属箔積層体は知られておらず、積層体の製造において、式(III)のポリイミドはイミド化時の溶媒除去性に優れ、低線膨張性で寸法安定性の良いポリイミドフィルムの製造に好適であるとの認識は全くなされていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、イミド化時の溶媒除去性に優れ、低線膨張性で寸法安定性の良いポリイミド金属箔積層体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、4,4’−ジアミノ−2’−メチル−ベンズアニリドをモノマーとするポリイミドを用いることにより、イミド化時の溶媒除去性に優れ、低線膨張性で寸法安定性の良いポリイミド金属箔積層体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、
[1]少なくとも一般式(I)(化5)で表される繰り返し単位を有するポリイミドと金属箔からなるポリイミド金属箔積層体
【化5】
(式(I)中、Zは置換されていても良い4価の芳香族基を表す。また、nは5〜10000の整数を表す。)
[2] 前記一般式(I)中、Zが式(II)であることを特徴とする[1] に記載のポリイミド金属箔積層体。
【化6】
(式(II)中、Yは直接結合、メチレン基、イソプロピリデン基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基またはオキシドからなる群より選ばれた基を表す。rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン基、フェニル基を表す。aは0または1〜4の整数を表す。)
[3]式(III)(化7)で表される繰り返し単位を有するポリイミドと銅箔からなるポリイミド銅箔積層体。
【化7】
(式(III)中、nは 5 〜10000 の整数を表す)
[4]4,4’−ジアミノ−2’−メチル−ベンズアニリドと芳香族テトラカルボン酸二無水物類を反応させて得られるポリアミド酸溶液を金属箔上に塗布し、乾燥、イミド化させることを特徴とする[1]記載のポリイミド金属箔積層体の製造方法。
[5]4,4’−ジアミノ−2’−メチル−ベンズアニリドとピロメリット酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸溶液を銅箔上に塗布し、乾燥、イミド化させることを特徴とする[3]記載のポリイミド銅箔積層体の製造方法。
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミド金属箔積層体は、一般式(I)(化1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドと金属箔からなる。本発明のポリイミド金属箔積層体の態様として特に好ましくは、式(III)で表される繰り返し単位構造を有するポリイミドと銅箔からなるものである。
【0008】
本発明のポリイミド金属箔積層体の製造方法は、特に限定されないが、金属箔に該ポリイミドのフィルムを接着剤を介して張り合わせる方法や、金属箔に該ポリイミドの前駆体溶液を塗布し乾燥させる方法で製造することが可能である。本発明のポリイミド金属箔積層体の製造方法は、金属箔に該ポリイミドの前駆体溶液を塗布し乾燥させる方法が特に好ましい。
【0009】
本発明のポリイミド金属箔積層体を構成するポリイミドは、4,4’−ジアミノ−2’−メチル−ベンズアニリドと芳香族テトラカルボン酸二無水物類を反応させて得られる。
【0010】
本発明で好ましく用いられる芳香族テトラカルボン酸二無水物類は、一般式(I)中のZが式(II)のアリーレン基で示される化合物である。
【化8】
式中、Yは直接結合、メチレン基、イソプロピリデン基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基またはオキシドからなる群より選ばれた基を表す。rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン基、フェニル基を表す。aは0または1〜4の整数を表す。このような芳香族テトラカルボン酸二無水物は限定されるわけではないが、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,3−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、及び1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が用いられる。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物は単独でも二種以上を同時に用いることも可能である。
【0011】
本発明のポリイミド金属箔積層体を構成するポリイミドの製造において、そしてまた該ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の製造においては、必要に応じて末端封止剤を用いることもできる。代表的な末端封止剤はモノアミン又はジカルボン酸無水物である。
【0012】
モノアミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ベンジルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0013】
ジカルボン酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらのモノアミン又はジカルボン酸無水物はその構造の一部がアミン又はジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されても差し支えない。
【0014】
本発明において、金属箔に塗布する際のポリアミド酸の対数粘度は、特に限定されるものではないが、好ましい対数粘度としては、0.1〜2.0が好ましく、0.2〜1.9がより好ましく、0.3〜1.8がさらに好ましく、0.4〜1.7がさらに好ましく、0.5〜1.6が最も好ましい。
【0015】
ポリアミド酸の対数粘度が低すぎると、一般に、ポリイミド層の強度や靱性が低下して問題となることがある。ポリアミド酸の対数粘度が高すぎると、一般に、ポリアミド酸溶液の塗工性において問題となることがある。
【0016】
本発明のポリイミド金属箔積層体を構成するポリイミドの製造において、そしてまた該ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の製造においては、反応を有機溶媒中で行うことが好ましい方法である。反応において用いられる溶媒は限定されるわけではないが、例えば、
【0017】
(a) フェノール系溶媒である、フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、
【0018】
(b) 非プロトン性アミド系溶媒である、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、
【0019】
(c) エーテル系溶媒である、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、
【0020】
(d) アミン系溶媒である、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
【0021】
(e) その他の溶媒である、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は2種以上混合して用いても差し支えない。これらの溶媒の中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
【0022】
本発明に用いるポリアミド酸溶液の製造においては、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の濃度(以下、重合濃度と称する)は、何等制限はない。好ましい重合濃度は、5から40重量%であり、更に好ましくは、10から30重量%である。
【0023】
本発明に用いるポリアミド酸溶液の製造においては、反応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用できる。即ち、反応温度は、およその範囲として、−10℃から100℃が好ましいが、更に好ましくは、氷冷温度付近から60℃前後の範囲であり、実施面で最も好ましく実用的には50〜60℃である。また、反応時間は、使用するモノマーの種類、溶媒の種類、および反応温度により異なるが、1〜48時間が好ましい。更に好ましくは2、3時間から十数時間前後であり、実施面で最も好ましくは、4から10時間である。また更に、反応圧力は常圧で十分である。
【0024】
ポリアミド酸溶液を金属箔に塗布する方法には特に制限はなく、コンマコータ、ナイフコータ、ロールコータ、リバースコータ、ダイコータ等公知の塗布装置を使用することができる。ポリアミド酸溶液を塗布した金属箔は、乾燥およびイミド化のため加熱されるが、その方法は通常、減圧下あるいは窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下で行い、温度は使用する溶媒の沸点以上かつイミド化反応が進行する温度以上であれば良い。好ましい温度条件は120〜400℃、さらに好ましくは180〜380℃、実施面で最も好ましくは200〜350℃である。本発明のポリイミド金属箔積層体を製造する際の乾燥およびイミド化の昇温速度は、本発明で特定されるポリアミド酸およびポリイミドが優れた溶媒除去製性を有することから、幅広い昇温速度に対応することができる。好ましい昇温速度としては0.5〜20℃/分、更に好ましくは1〜15℃/分、実施面で最も好ましく実用的には2〜10℃/分である。また、最終到達温度での焼成処理時間を0〜10時間、更に好ましくは0〜5時間、実施面で最も好ましく実用的には0〜2時間かけて行うこともできる。
本発明に用いられる式(I)または式(III)で示されるポリイミドは、優れた耐熱性、機械強度に加え低線膨張性を有している。そして尚且つ、式(I)または式(III)で示されるポリイミドは、イミド化の条件に影響されず安定した溶媒除去が可能、即ち線膨張係数の変動が少ないポリイミド層の形成を可能とし、寸法安定性にも優れたポリイミド金属箔積層体を提供することができる。こうした特徴は、従来、金属箔積層体用のポリイミドとして知られてきたポリイミド、例えば、式(I)または式(III)で示されるポリイミドにおいて、ジアミン単位の置換基であるメチル基が無い場合やメトキシ基である場合のポリイミドでは為し得なかったものである。
【0025】
本発明のポリイミド金属箔積層体において、ポリイミド層の厚さには特に制限はないが、通常3〜100μmの範囲が好ましく、特に5〜60μmの範囲が好ましい。本発明に用いられる金属箔は、如何なる金属箔でも構わないが、一般的には銅箔やステンレス箔(SUS箔)である。尚、金属箔の厚みに制限はないが、一般的には100μm以下、好ましくは50μm以下である。
【0026】
本発明のポリイミド金属箔積層体において、ポリイミドと金属箔の接着力をより強固なものとするために、金属箔の表面に何らかの処理を施していても問題はない。例えば、金属箔上にその金属の酸化物の層や合金の層を形成させたり、シラン系のカップリング剤で表面処理を行ったり、接着性に優れた樹脂をアンカーコート層として存在させる等の処理を施しても良い。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。実施例中の各種試験の試験方法は次に示すとおりである。
【0028】
(イ) 対数粘度(ηinh)
【0029】
反応後のポリアミド酸溶液を、該溶液に用いている溶媒で希釈し、0.5g/dlのポリアミド酸濃度の溶液を調製する。この溶液を用いて、ウベローデ粘度計を用い、35℃において定法に従い測定した。そして、結果を下記計算式にて算出した。
ηinh=[ln(T1/T0)]/0.5
T1:サンプルの流下時間
T0:ブランクの流下時間
【0030】
(ロ) E型機械粘度
【0031】
東京計器社製E型粘度計を用い、25℃において測定した。
【0032】
(ハ) 残溶媒量
【0033】
ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製GC−9A)をもちいて測定した。秤量したポリイミドフィルムのサンプルを、サンプル注入口に接続された400℃の熱分解炉に導入し、揮発分を分析して、検出された溶媒成分を絶対検量線法により定量した。
【0034】
(ニ) 5%重量減少温度(Td5)
【0035】
空気中にてDTA−TG(マック・サイエンス社製TG−DTA2000)を用い、昇温速度10℃/minで測定した。
【0036】
(ホ) ガラス転移温度(Tg)・結晶融解温度(Tm)
【0037】
示差走査熱量測定(DSC、マック・サイエンス社製DSC3100)により昇温速度10℃/minで測定した。
【0038】
(ヘ) 線膨張係数
【0039】
TMA(マック・サイエンス社製TMA4000S)を用い、窒素中、荷重5g、昇温速度10℃/minで測定し、100〜200℃の領域で線膨張係数を求めた。
【0040】
(ト) フィルムの機械特性(引張強度、引張伸度及び引張弾性率)
【0041】
今田製作所製引張圧縮試験機を用いて測定した。
【0042】
実施例1
【0043】
攪拌機、窒素導入管、および温度計を備えたフラスコに、4,4’−ジアミノ−2’−メチル−ベンズアニリド30.0g(0.124mol)、および溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド226.4gを装入し、40℃で完全に溶解させた。この後、一度室温付近まで冷却してからピロメリット酸二無水物26.6g(0.122mol)を温度の上昇に注意しながら装入した。この時、系内温度は室温付近から40℃まで上昇する。完全に溶解状態となってから30℃で6時間反応させた。得られたポリアミド酸溶液は、ηinhが1.16dl/gで、E型機械粘度が118000mPa・sであった。
【0044】
このポリアミド酸溶液をガラス板上に塗工厚が0.40mmとなるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間45分で室温から350℃として乾燥・イミド化を行った。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がした。得られたポリイミドフィルムは、厚みが45μmであった。このポリイミドフィルムの諸物性値は、残溶媒:不検出,Tg:不検出,Td5:526℃,線膨張係数:10ppm/K,引張強度:196MPa、引張弾性率:10.7GPa、伸度:3%であった。測定結果をまとめて、表1に示す。
【0045】
実施例2〜3
【0046】
実施例1において得られたポリアミド酸溶液を用いて、ガラス板上に塗工厚が0.40mmとなるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間80分(実施例2)および昇温時間160分(実施例3)で室温から350℃として乾燥・イミド化を行った。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がし、諸物性値を測定した。測定結果をまとめて、表1に示す。
【0047】
実施例1〜3に示される様に、4,4’−ジアミノ−2’−メチル−ベンズアニリドとピロメリット酸二無水物から得られるポリアミド酸溶液は、イミド化時の溶媒除去性が良いことが分かった。そして、イミド化の昇温速度に影響されず、線膨張係数9〜10ppm/Kに安定した低線膨張性ポリイミドフィルムが得られた。
【0048】
比較例1
【0049】
実施例1において用いた4,4’−ジアミノ−2’−メチル−ベンズアニリド30.0g(0.124mol)を4,4’−ジアミノ−ベンズアニリド 28.4g(0.125mol)に変更し、また、N,N−ジメチルアセトアミドの装入量を220gとした以外は実施例1と同様に処理を行い、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液は、ηinhが1.04dl/gで、E型機械粘度が101000mPa・sであった。このポリアミド酸溶液をガラス板上に塗工厚が0.40mmとなるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間45分で室温から350℃として乾燥・イミド化を行った。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がした。得られたポリイミドフィルムは、厚みが34μmであった。このポリイミドフィルムの諸物性値は、残溶媒:1.15wt%,Tg:不検出,Td5:544℃,線膨張係数:1ppm/K,引張強度:185MPa、引張弾性率:9.8GPa、伸度:3%であった。測定結果をまとめて、表1に示す。
【0050】
比較例2〜3
【0051】
比較例1において得られたポリアミド酸溶液を用いて、ガラス板上に塗工厚が0.40mmとなるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間80分(比較例2)および昇温時間160分(比較例3)で室温から350℃として乾燥・イミド化を行った。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がし、諸物性値を測定した。測定結果をまとめて、表1に示す。
【0052】
比較例4
【0053】
実施例1において用いた4,4’−ジアミノ−2’−メチル−ベンズアニリド30.0g(0.124mol)を4,4’−ジアミノ− 2’−メトキシ−ベンズアニリド 32.2g(0.125mol)に変更し、また、N,N−ジメチルアセトアミドの装入量を235.2gとした以外は実施例1と同様に処理を行い、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液は、ηinhが1.14dl/gで、E型機械粘度が119300mPa・sであった。このポリアミド酸溶液をガラス板上に塗工厚が0.40mmとなるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間45分で室温から350℃として乾燥・イミド化を行った。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がした。得られたポリイミドフィルムは、厚みが36μmであった。このポリイミドフィルムの諸物性値は、残溶媒:0.72wt%,Tg:不検出,Td5:438℃,線膨張係数:26ppm/K,引張強度:118MPa、引張弾性率10.1GPa、伸度:2%であった。測定結果をまとめて、表1に示す。
【0054】
比較例5〜6
【0055】
比較例4において得られたポリアミド酸溶液を用いて、ガラス板上に塗工厚が0.40mmとなるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間80分(比較例2)および昇温時間160分(比較例3)で室温から350℃として乾燥・イミド化を行った。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がし、諸物性値を測定した。測定結果をまとめて、表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例4
【0058】
実施例1で得られたポリアミド酸溶液を厚さ25μmの銅箔上に塗工厚が0.20mmになるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間1時間で室温から350℃とした後、350℃で1時間焼成し、イミド化を行った。室温まで冷却してイナートオーブンから取出し、平滑で良好に接着したポリイミドフィルムと銅箔の積層体を得た。
【0059】
【発明の効果】
本発明の効果は、イミド化時の溶媒除去性に優れ、低線膨張性で寸法安定性の良いポリイミド金属箔積層体を提供することを可能としたことである。これにより、高品質、高信頼性のフレキシブルプリント配線基板の製造、およびその生産性の向上に寄与することができる。
Claims (6)
- 前記ポリイミドの、ガスクロマトグラフィーにより検出される溶媒成分が、検出限界以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミド金属箔積層体。
- 4,4'-ジアミノ-2'-メチル-ベンズアニリドと芳香族テトラカルボン酸二無水物類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を、金属箔上に塗布し、乾燥、イミド化させることを特徴とする、請求項1記載のポリイミド金属箔積層体の製造方法。
- 4,4'-ジアミノ-2'-メチル-ベンズアニリドとピロメリット酸二無水物を反応させて得られるポリアミド酸溶液を、銅箔上に塗布し、乾燥、イミド化させることを特徴とする、請求項3記載のポリイミド銅箔積層体の製造方法。
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