JP2001148551A - フレキシブルプリント基板 - Google Patents

フレキシブルプリント基板

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JP2001148551A
JP2001148551A JP32989599A JP32989599A JP2001148551A JP 2001148551 A JP2001148551 A JP 2001148551A JP 32989599 A JP32989599 A JP 32989599A JP 32989599 A JP32989599 A JP 32989599A JP 2001148551 A JP2001148551 A JP 2001148551A
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JP
Japan
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bis
hydroxyphenyl
film
polyarylate
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JP32989599A
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English (en)
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Tomohiro Hamada
知宏 濱田
Akihiko Hasegawa
明彦 長谷川
Takamasa Akizuki
隆昌 秋月
Junko Nomura
純子 野村
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性と寸法安定性に優れたポリアリレート
フィルムを基材とした、信頼性の高いフレキシブルプリ
ント基板を提供する。 【解決手段】 ポリアリレートフィルムの少なくとも片
面に、導電性蒸着膜を介して金属メッキ層が積層されて
なるフレキシブルプリント基板であって、ポリアリレー
トのガラス転移温度が170℃以上であり、ポリアリレ
ートのカルボキシル価が30モル/トン以下であること
を特徴とするフレキシブルプリント基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリレートフ
ィルムを用いたフレキシブルプリント基板に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】軽量かつコンパクトであるという特長を
生かしたフレキシブルプリント基板(FPCと略記する
ことがある)は、プリンターヘッドの駆動部や、携帯電
話、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど様々な電子
機器に不可欠なものとなっている。従来のFPCとして
は、ポリイミド(PI)フィルムを基材として、これに
接着剤層を介して銅箔などの金属箔を張り合わせた構成
のものが用いられてきた。しかしながらこのような構成
のFPCは、時として基材のフィルムと金属箔との接着
に問題が生じ、後工程であるパターニング時に、基材フ
ィルムから金属箔が剥離したり、回路の切断が生じると
いう問題を有していた。
【0003】このような問題を解決するために、金属箔
にPI前駆体溶液(ワニス)を塗布した後これを加熱に
よりイミド化させるという方法で作られたものも用いら
れるようになった。しかしこの方法で作られたものにお
いても、金属箔とPIとの層間の接着は十分とは言え
ず、また、PIの吸湿性に起因するPI層の寸法変化に
より、特に100μm以下の細線からなる回路において
は切断し易いという問題を有していた。
【0004】このようなパターニングの信頼性における
問題を解決するため、基材フィルム上に必要な厚さの導
電層を、スパッタリング、真空蒸着、もしくはCVD等
の蒸着法によって構築する手法が提案された。しかしな
がらこの方法では、得られる導電層の厚さは一回の蒸着
工程でサブミクロンの領域であるため、数μmの厚さの
導電層が必要な用途においては数回の蒸着工程が必要と
なり、工程が煩雑になるばかりではなく、高コストとな
る。
【0005】これに対し、PIフィルム上にサブミクロ
ンの厚さの導電膜を蒸着により形成し(導電性蒸着
膜)、それをベースとして湿式メッキ工程により必要な
厚さの導電層(金属メッキ層)を構築したものも提案さ
れている。例えば、特開平9−260812号公報に
は、PIフィルム上にスパッタリングで厚さ100オン
グストロームのニッケル蒸着膜と厚さ2000オングス
トローム(0.2μm)の銅蒸着膜を順次形成した後、
10μmの電気銅メッキを行って得られたFPCが開示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように蒸着と金
属メッキを併用すれば、必要な厚さの導電層を比較的安
価で構築することができる点で好ましい。しかしなが
ら、PIの吸湿性に起因するPIフィルムの寸法変化の
問題は解決されておらず、この寸法変化は時として導電
性蒸着膜や金属メッキ層に亀裂を生じさせ、回路切断の
原因となる。また、PIフィルムのみならず、他のフィ
ルムに応用する場合でも、フィルム中の不純物が蒸着中
にフィルムから抜け出すという、いわゆる蒸着抜けの問
題を有しており、このことも最終製品の品質に大きなば
らつきを与えかねない。
【0007】このような状況に鑑み、本発明の課題は、
耐熱性と寸法安定性に優れたポリアリレートフィルムを
基材とした、信頼性の高いフレキシブルプリント基板を
提供することにある。なお、上記の特開平9−2608
12号公報においては、フィルムとしてポリアリレート
フィルムも用いることができるとの記載があるが、具体
的にどのようなポリアリレートフィルムを用いるかは開
示されておらず、ポリアリレートフィルムを用いること
の利点についての記載も示唆もない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、PIフィ
ルムより吸湿性が小さく、PETフィルムより耐熱性に
優れたポリアリレートフィルムに着目して鋭意検討を重
ねた結果、ポリアリレートのカルボキシル価を制御して
耐湿熱性を向上させ、また、ポリアリレート中の残存モ
ノマーの量を制御して蒸着抜けを防ぐことにより、信頼
性の高いフレキシブルプリント基板が得られることを見
いだし、本発明に到達した。
【0009】すなわち本発明の要旨は、ポリアリレート
フィルムの少なくとも片面に、導電性蒸着膜を介して金
属メッキ層が積層されてなるフレキシブルプリント基板
であって、ポリアリレートのガラス転移温度が170℃
以上であり、ポリアリレートのカルボキシル価が30モ
ル/トン以下であることを特徴とするフレキシブルプリ
ント基板である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。まず、本発明に用いられるポリアリレートについて
説明する。本発明に用いられるポリアリレートは、二価
フェノール残基と芳香族二価カルボン酸残基とから構成
されている。
【0011】本発明におけるポリアリレートを構成する
二価フェノール残基を与える二価フェノールの具体例と
しては、2-メチル-4,4'-ジヒドロキシビフェニル、3-メ
チル-4,4'-ジヒドロキシビフェニル、2-クロロ-4,4'-ジ
ヒドロキシビフェニル、3-クロロ-4,4'-ジヒドロキシビ
フェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジヒドロキシビフェニ
ル、2,2'-ジメチル-4,4'-ジヒドロキシビフェニル、2,3'-
ジメチル-4,4'-ジヒドロキシビフェニル、3,3'-ジクロロ
-4,4'-ジヒドロキシビフェニル、3,3'-ジ-t-ブチル-4,4'
-ジヒドロキシビフェニル、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒ
ドロキシビフェニル、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン(テトラメチルビスフェノール
A)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,
9-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)フル
オレン3,3',5,5'-テトラメチル-4,4'-ジヒドロキシビフ
ェニル、3,3',5,5'-テトラ-t-ブチル-4,4'-ジヒドロキシ
ビフェニル、3,3',5,5'-テトラクロロ-4,4'-ジヒドロキ
シビフェニル、2,2'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルビフェ
ニル、3,3'-ジフルオロ-4,4'-ビフェノール、2,2'-ジヒド
ロキシ-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニル、3,3',5,5'-
テトラフルオロ-4,4'-ビフェノール、2,2',3,3',5,5'-ヘ
キサメチル-4,4'-ビフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
ビス(4-メチル-2-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5
-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)-2-エチルヘキサン、2,2-ビス(3-フェニル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフ
ェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパ
ン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビ
ス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(3-メチル
-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(3-ア
リル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソ
プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-
tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス
(3-secブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビ
ス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tertブチルフェニル)-2-
メチルプロパン、4,4'-[1,4-フェニレン-ビス(1-メチル
エチリデン)]ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)、1,
1-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
サン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、2,4'-メチレ
ンビスフェノール、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)エタン、1,1-
ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-ブタン、ビス(2-
ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,1-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(3-メチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3-ビス(3-メチル-4-ヒ
ドロキシフェニル)ペンタン、3,3-ビス(3,5-ジメチル-4-
ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(2-ヒドロキシ-
3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキ
シフェニル)ノナン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフ
ェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)デカン、1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3-tertブチル-5-メ
チルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフ
ェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1-ビス(3-tert
ブチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビ
ス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tertブチルフェニル)-2-
メチルプロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ビス(3,5-ジtertブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジsecブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(2-ヒド
ロキシ-3,5-ジtertブチルフェニル)エタン、1,1-ビス(3-
ノニル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3,5-ジ
tertブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス
(2-ヒドロキシ-3,5-ジtertブチル-6-メチルフェニル)メ
タン、1,1-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)-1-
フェニルエタン、α,α'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢
酸ブチルエステル、1,1-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシ-5-フルオロフェニ
ル)メタン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニ
ル)-1-フェニルメタン、1,1-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロ
キシフェニル)-1-(p-フルオロフェニル)メタン、1,1-ビ
ス(4-ヒドロキシフェニル)-1-(p-フルオロフェニル)メ
タン、2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニ
ル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェ
ニル)メタン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2-ビス(3-ニトロ-4-ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラ
ン、ビス(2,3,5-トリメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-
フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデ
カン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ドデカ
ン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ドデ
カン、1,1-ビス(3-tertブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1
-フェニルエタン、1,1-ビス(3,5-ジtertブチル-4-ヒドロ
キシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(2-メチル-4
-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)-2-メチルプロ
パン、1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tertブチルフェニ
ル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸
メチルエステル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロ
パン酸エチルエステル、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチル-
4,4'-ビフェノール、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,2-ビス(4-ヒ
ドロキシフェニル)エタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2
-(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2-ヒドロキシ-
3-アリルフェニル)メタン、1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-
ジメチルフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(2ーヒ
ドロキシ-5-tertブチルフェニル)エタン、ビス(2-ヒドロ
キシ-5-フェニルフェニル)メタン、1,1-ビス(2-メチル-4
-ヒドロキシ-5-tertブチルフェニル)ブタン、ビス(2-メ
チル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2-ビ
ス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2-
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタデカ
ン、1,2-ビス(3,5-ジtertブチル-4-ヒドロキシフェニル)
エタン、ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジtertブチルフェニル)
メタン、2,2-ビス(3-スチリル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-(p-ニトロ
フェニル)エタン、ビス(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフ
ェニル)メタン、ビス(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェ
ニル)-1-フェニルメタン、ビス(3,5-ジフルオロ-4-ヒド
ロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3-フルオロ-4-
ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2-ビス(3-ク
ロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)-3,3-ジメチル-5-メチル-シクロヘキサ
ン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-5,5
-ジメチル-シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)-3,3-ジメチル-4-メチル-シクロヘキサン、1,1-ビ
ス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-5-エチル-シ
クロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジ
メチル-5-メチル-シクロペンタン、1,1-ビス(3,5-ジメチ
ル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-5-メチル-シ
クロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジフェニル-4-ヒドロキシ
フェニル)-3,3-ジメチル-5-メチル-シクロヘキサン、1,1
-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-
5-メチル-シクロヘキサン、1,1-ビス(3-フェニル-4-ヒド
ロキシフェニル)-3,3-ジメチル-5-メチル-シクロヘキサ
ン、1,1-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-3,3
-ジメチル-5-メチル-シクロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジ
ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-5-メチル
-シクロヘキサン等が挙げられ、これらの中から1種類又
は2種類以上を選ぶことができる。
【0012】上記した中でも好ましい二価フェノールの
例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン〔以下、ビスフェノールAと記する〕、2,2
−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン〔以下、ビスフェノールCと記する〕、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔以下、ビ
スフェノールZと記する〕、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1−フェニルエタン〔以下、ビスフェ
ノールAPと記する〕、2,2−ビス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔以下、テトラ
メチルビスフェノールAと記する〕、9,9−ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン〔以
下、ビスクレゾールフルオレンと記する〕、9,9−ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フル
オレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フル
オレンが挙げられる。
【0013】一方の芳香族二価カルボン酸残基の好まし
い例としては、テレフタル酸及びイソフタル酸の残基が
挙げられ、テレフタル酸残基とイソフタル酸残基の物質
量比(テレ/イソ)としては、1/9〜9/1であるこ
とが好ましく、3/7〜7/3がより好ましく、1/1
が特に好ましい。
【0014】なお、ポリアリレートの末端は、末端停止
剤と呼ばれるフェノール、クレゾール、p-tert-ブチルフ
ェノール、o-フェニルフェノール等の一価フェノール類、
安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェ
ニルクロロホルメート等の一価の酸クロライド類、メタ
ノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、
n-ブタノール、2-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノー
ル、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジ
ルアルコール、フェネチルアルコール等の一価のアルコ
ール類、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサン
カルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p-tert
-ブチル安息香酸、p-メトキシフェニル酢酸等の一価のカ
ルボン酸等で封止されていてもよい。
【0015】ポリアリレートのガラス転移温度(Tg
としては、170℃以上であることが必要であり、23
0℃以上であることが好ましく、特に鉛フリーはんだ付
けに対する耐熱性の点からは250℃以上であることが
好ましい。Tgが170℃未満では、ポリアリレートフ
ィルムより得られるFPCの耐熱性が不足して、後工程
に支障をきたす。なお、本発明においては、ポリアリレ
ートを構成する二価フェノールの残基及び二価カルボン
酸残基の主成分として、上記の好ましい例に挙げたもの
を選択することにより、ポリアリレートのTgを170
℃以上とすることができる。中でも、ビスフェノールA
Pとテレフタル酸及びイソフタル酸との組み合わせやテ
トラメチルビスフェノールAとテレフタル酸及びイソフ
タル酸との組み合わせを選択することは、Tgを230
℃以上とするうえで好ましい態様であり、ビスクレゾー
ルフルオレンとテレフタル酸及びイソフタル酸との組み
合わせを選択することは、Tgを250℃以上とするう
えで好ましい態様である。
【0016】ポリアリレートのカルボキシル価として
は、30モル/トン以下であることが必要であり、20
モル/トン以下が好ましい。カルボキシル価が30モル/
トンを超えるとポリアリレートの耐湿熱性が低下し、電
気メッキ時の水分と熱による加水分解反応によってポリ
アリレートフィルムの寸法が変化する影響で導電性蒸着
膜や金属メッキ層に亀裂が生じる。
【0017】本発明におけるポリアリレートの製造方法
としては、水と相溶しない有機溶剤に溶解せしめた二価
カルボン酸ハライドとアルカリ水溶液に溶解せしめた二
価フェノールとを混合する界面重合法(W.M.Eareckson
J.Poly.Sci.XL399 1959年、特公昭40-1959号公報)が好適
に採用される。界面重合法は、溶液重合法と比較して反応
が速く、そのためカルボン酸ハライドの加水分解を最小
限に抑えることが可能であり、また、特に後述する重合
触媒を選ぶことにより高分子量のポリマーを得ることが
できる。
【0018】界面重合法によるポリアリレートの製造方
法の例をさらに詳細に説明すると、二価フェノールのア
ルカリ水溶液を調製し、重合触媒及び必要に応じて分子
量を調節する目的で末端停止剤を添加する。なお、ここ
で用いることができるアルカリには、水酸化ナトリウム
や水酸化カリウム等がある。また、重合触媒としては、
トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチ
ルアンモニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハ
ライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド等
が、高分子量でかつ本発明におけるような30モル/ト
ン以下という低いカルボキシル価を有するポリアリレー
トを与える点で好ましい。4級アンモニウム塩のアルキ
ル鎖の短い、トリメチルベンジルアンモニウムハライ
ド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド等では、
重合する二価フェノールの種類によっては高分子量のポ
リマーを得ることができないので好ましくない。一方、水
と相溶せず、かつポリアリレートを溶解するような溶媒、
例えば塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2-テトラクロロ
エタン、1,1,1-トリクロロエタン、o-、m-、p-ジクロロベン
ゼン等の塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなど
の芳香族系炭化水素等に二価カルボン酸ハライドを溶解
させた溶液を調製する。そして、この溶液を、上記の二
価フェノールのアルカリ水溶液に混合し、好ましくは2
5℃以下の温度で1〜5時間撹拌しながら反応させること
によってポリアリレートが得られる。
【0019】さらに、本発明においては、ポリアリレー
ト中に存在する二価フェノール又は二価カルボン酸の残
存モノマー(オリゴマーを含む)を低減させることが好
ましい。残存モノマーの量を低減させる方法としては、
再沈法、遠心分離法もしくはこれらを組み合わせた方法
が採用できるが、特に、特開平11−049853号公
報に示されているような、界面重合法で得られたポリア
リレートを含む有機相溶液に対し、例えば循環スラリー
装置を用いて、温水中に攪拌下に有機相溶液と温水とを
連続的に加えてポリアリレートを分散させかつ有機溶媒
を留去しながら、この分散スラリーを攪拌、循環させつ
つその一部を抜き取ってゆくというような温水造粒法
が、界面重合で得られるポリアリレート樹脂から残存モ
ノマーさらには残存重合触媒やアルカリ金属等の不純物
を除くのに有用であり、本発明に好ましく用いられる。
【0020】なお、ポリアリレート中に存在する二価フ
ェノール又は二価カルボン酸の残存モノマー(オリゴマ
ーを含む)の含有量としては、3000ppm以下が好
ましく、2000ppm以下がより好ましく、1000
ppm以下が特に好ましい。残存モノマーの含有率が3
000ppm以下であれば、ポリアリレートフィルム上
に導電性蒸着膜形成させる際に蒸着抜けが生じにくいの
で好ましい。
【0021】また、ポリアリレートの分子量としては、
これをインヘレント粘度で表わすと、テトラクロロエタ
ンを粘度測定溶媒に用いた、25℃における1g/dl
溶液のインヘレント粘度としては、好ましくは0.7d
l/g以上、より好ましくは0.8〜2.5dl/gで
ある。インヘレント粘度が0.7dl/g未満であると
耐熱性が不十分な場合があり、また後述するような方法
でフィルムを製造するとき、フィルム製造時に調製する
ポリマードープ液の粘度が不足してフィルム形成能に劣
る場合があるので好ましくない。一方、インヘレント粘
度が2.5dl/gを超えると、ドープ液の粘度が上が
りすぎてドープ液の吐出が困難になる場合があり好まし
くない。インヘレント粘度すなわち分子量は、前述した
末端封止材料の添加量によって調節することができる。
【0022】次に、上記のポリアリレートからなるポリ
アリレートフィルムについて説明する。本発明における
ポリアリレートフィルムの厚さとしては、FPCの用途
にもよるが、5〜200μmが好ましく、20〜100
μmがさらに好ましい。この厚さが5μm未満では得ら
れたフィルムの強度が不足する傾向にあり、一方、厚さ
が200μmを超えると、後述するような方法でフィル
ムを製造したときに溶媒の揮散ムラによって表面平滑性
が低下する場合があるので好ましくない。
【0023】本発明におけるポリアリレートは、塩化メ
チレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン
等の汎用有機溶媒への高い溶解性を有しており、これら
の有機溶媒にポリアリレートを溶解させたドープ液を調
製してフィルム形成に供することができる。ドープ液の
濃度としては、ポリアリレートを10〜40質量%含有
していることが好ましい。10質量%未満であると均一
な厚さのフィルムを形成するのが困難になる傾向にあ
り、一方40重量%を超えると塗工性が悪くなる傾向に
あるので好ましくない。また、ドープ液には、ポリアリ
レートフィルムの特性を損なわない範囲で、酸化防止剤
等の各種添加剤を添加してもよい。
【0024】フィルムを形成する方法としては、例えば
ナイフコーター法、流延法等の公知の方法によることが
でき、特に制限はない。上記のドープ液を用いて、スチ
ールベルトや、ドープ液の溶媒に侵されないフィルム、
もしくはガラス板等の上に塗工してフィルムを形成し、
しかる後に乾燥して溶媒を揮散させて除去することによ
りポリアリレートフィルムが得られる。このとき、ポリ
アリレートフィルム中に上記したような有機溶媒が存在
すると、フィルム上に導電性蒸着膜を形成する際に蒸着
抜けが生じてFPCの品質を低下させる場合があること
から、ポリアリレートフィルム中に存在する有機溶媒の
量すなわち残存溶媒量としては、2000ppm以下と
するのが好ましく、1000ppm以下とするのがより
好ましく、500ppm以下とするのが特に好ましい。
また、水分についても同様の理由から、ポリアリレート
フィルム中に存在する水分量としては、2000ppm
以下とするのが好ましく、1000ppm以下とするの
がより好ましく、500ppm以下とするのが特に好ま
しい。なお、フィルム中の残存溶媒量や水分量を低減さ
せる方法としては、好ましくは60℃〜160℃程度の
雰囲気下で2〜24時間程度保持することにより、有機
溶媒や水分を十分に揮散させることができる。
【0025】次に、導電性蒸着膜について説明する。本
発明において、基材であるポリアリレートフィルムと金
属メッキ層との間に形成される導電性蒸着膜としては、
導電性の良好な例えば銅、鉄、ステンレス、銀、金、白
金、パラジウム、ロジウム、ジルコニウム、クロム、ニ
ッケル、ニオブ等の金属、酸価スズ、酸価亜鉛、酸化イ
ンジウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、あるいは酸化インジウム−酸化スズ系(ITO)
等の金属酸化物及びこれらの合金等、特に好ましくは
銅、ニッケルもしくはこれらの合金を、DCマグネトロ
ンスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリ
ング法、アンバランスドマグネトロンスパッタリング
法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、CVD法、
光ゾルゲル法、分子線エピタキシー法、プラズマガン法
等によって形成させることができる。特に、DCマグネ
トロンスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッ
タリング法、イオンプレーティング法等が、得られる蒸
着膜の密度が大きく、基材であるポリアリレートフィル
ムとの密着性に優れ、成膜速度も速いため、好適に用い
られる。
【0026】導電性蒸着膜の厚さとしては、5nm〜1
μmが好ましく、10〜750nmがより好ましい。導
電性蒸着膜の厚さが1μmを超えると、均一な膜状とな
らず柱状構造等を形成して亀裂を生じる傾向にあり、一
方、5nm未満では、部分的に島状構造となって導電性
が不足する傾向にあるので好ましくない。なお、導電性
蒸着膜は単層でもよいが2層以上の複層にすることもで
きる
【0027】また、導電性蒸着膜の表面抵抗率として
は、500Ω/cm2未満が好ましく、100Ω/cm2
がより好ましい。表面抵抗率が500Ω/cm2未満の
場合、導電性蒸着膜上に金属メッキ層を構築させるメッ
キ工程において蒸着膜の発熱が大きくなり、金属メッキ
層の脱落等の悪影響を与える傾向にあるので好ましくな
い。
【0028】なお、本発明におけるポリアリレートフィ
ルムは、蒸着膜との接着性に優れているので、蒸着前に
フィルムを前処理することを特に必要とはしないが、表
面の清浄化及びさらに接着性を向上させるためにコロナ
放電処理又はプラズマ放電処理のような物理的表面処
理、又は化学的表面処理を施してもよい。
【0029】また、ポリアリレートフィルムの片面側の
みに金属メッキ層を構築する場合、その反対側の面に、
水分やガスのバリア等を目的として、酸化珪素膜、酸化
アルミ膜などの金属酸化物膜層や窒化物層、炭化物層、
ダイヤモンド薄膜層、高分子薄膜層、有機物薄膜層、無
機物微粒子層、有機物微粒子層等が形成されていてもよ
い。
【0030】次に、金属メッキ層について説明する。本
発明においては、上記の導電性蒸着膜上に、金属メッキ
を所定の厚さまで行って金属メッキ層が構築される。な
お、金属メッキを行う前に、導電性蒸着膜と金属メッキ
層との接着性を向上させる目的で、導電性蒸着膜にプラ
ズマ処理等の物理的表面処理又は化学的表面処理を施し
てもよい。
【0031】金属メッキ層としては、導電性の良好な銅
又は銅合金からなることが好ましく、メッキ方法として
は、電解メッキ法が好適に用いられる。さらに言えば、
金属析出時に被メッキ処理物の表面からピンホールの原
因となる水素ガスの発生を伴わないメッキ法、すなわち
電解効率100%のメッキ方法が好ましく、例えば銅を
メッキする場合には、電解効率100%の硫酸銅メッキ
が好ましい。
【0032】以上のように構成された本発明のフレキシ
ブルプリント基板には、回路パターンを公知の方法で、
例えば感光性樹脂を用いたエッチングや熱硬化性樹脂を
用いたエッチング等により、容易に形成させることがで
きる。本発明のフレキシブルプリント基板は、耐熱性の
ある基材として吸湿性が小さく寸法安定性が良くかつ耐
湿熱性に優れたポリアリレートフィルムを使用している
ため、製造工程である金属メッキを行う際の亀裂発生
や、後工程であるパターニングを行うときの回路切断と
いった品質の低下やばらつきを起こす問題が防止されて
いる。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例によって
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形
および応用が可能である。 なお、各種の特性については、以下のような方法で測定
又は評価した。 1)構成の分析 ポリアリレートフィルム片をサンプルとし、プロトンN
MR(日本電子製JOEL LAMDBA300WB)
を用いて構成を分析した。 2)ガラス転移温度(Tg) ポリアリレートフィルム片をサンプルとし、示差走査熱
量測定装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、
昇温速度20℃/minで測定した。このとき、得られ
た昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点が現
れる温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とし
た。 3)カルボキシル価 試験管にポリアリレートフィルム片0.15gを精秤
し、ベンジルアルコール5mlを加えて加熱溶解させ、
これをクロロホルム10mlと混合して試験サンプルと
した。フェノールレッドを指示薬として用い、撹拌下、
0.1mol/lのKOHベンジルアルコール溶液で中
和適定を行った。ブランクについても同様の中和滴定を
行い、これらの滴定量からカルボキシル価を求めた。 4)インヘレント粘度 測定用の溶媒として1,1,2,2-テトラクロロエタンを用
い、濃度1g/dlの試料溶液を調製し、ウベローゼ粘
度管を用いて温度25℃で測定することによりインヘレ
ント粘度を求めた。 5)残存モノマー量 ポリアリレートフィルム10gを100mlのn-ヘキサ
ンで12時間かけてソックスレー抽出を行い、抽出した
n-ヘキサンを濃縮して抽出物を得た。これをプロトン
NMRにより定量分析することにより、残存モノマー量
を決定した。 6)残存溶媒量 0.5gのポリアリレートフィルム片を15mlのテト
ラヒドロフランに溶解させた後、n-ヘキサンを加える
ことによりポリマーを再沈殿させ、全量を50mlとし
た。この沈殿を含む溶液をディスクフィルタ(孔径0.
45μm)で濾過して得られた濾液を試料とし、ガスク
ロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製 HP
-5890 Seriesll)にて定量し、フィルム中の
残存溶媒(塩化メチレン)量とした。 7)水分量 ポリアリレートフィルム片3.0gを水分気化装置(三
菱化学製CA−02型)中で180℃に加熱して水分を
蒸発させ、微量水分測定装置(三菱化学製VA−02
型)にて、カールフィッシャー試薬を用いた電量滴定法
により蒸発水分量を測定して求めた。 8)基板の耐熱性 フレキシブルプリント基板を温度170℃に調整したオ
ーブン内の1分間保持した後に取り出し、基板の形状を
観察し、変化の有無を調べた。 9)金属メッキ層の欠点 フレキシブルプリント基板の金属メッキ層表面を蛍光顕
微鏡(倍率80倍)で観察し、亀裂等の欠点の有無を調
べた。
【0034】ポリアリレートの合成例 撹拌装置を備えた反応容器中に、1種類又は2種類の二
価フェノールモノマーと二価フェノールモノマーの総量
に対して25質量倍の水、1.7モルパーセントのp-te
rt-ブチルフェノール(PTBPと略す) 、220〜40
0モルパーセントの水酸化ナトリウム(NaOH)、1
モルパーセントの重合触媒であるトリ-n-ブチルベンジ
ルアンモニウムクロライド(TBBACと略す)とを仕
込んで水相を調製した。それとは別に、テレフタル酸ク
ロライド(TPACと略す)とイソフタル酸クロライド
(IPACと略す)との混合物(MPCと略す)を、T
PACの物質量とIPACの物質量との和(MPCの物
質量)が上記の二価フェノールモノマーの物質量と等し
くなるよう用意し、これをMPCに対して25質量倍の
塩化メチレンに溶解させて有機相を調製した。有機相を
水相中に強撹拌下で添加して、20℃で2時間重合反応
を行った。この後、反応溶液が弱酸性となるように酢酸
を添加して反応を停止し、水相と有機相とを分離した。
この分離した有機相を中性となるまで水洗を繰り返し、
その後、温水造粒法を用いて粒状のポリアリレートを得
た。このとき、二価フェノールモノマーの種類、水酸化
ナトリウムの量及びMPCにおける混合比(TPAC/
IPAC)を変化させることにより、後述の実施例に用
いる10種類のポリアリレートP−1〜P−10及び比
較例に用いる3種類のポリアリレートP−11〜P−1
3を合成して得た。また、重合触媒としてTBBACの
代わりにトリメチルベンジルアンモニウムクロライド
(TMBACと略す)を用いる以外は上記と同様にし
て、比較例に用いる5種類のポリアリレートP−14〜
P−18を合成して得た。なお、ポリアリレートを合成
する際の仕込み条件について下記表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例1 上記で得たポリアリレートP−1を塩化メチレンに溶解
させて濃度20質量%のドープ液を調製した。このドー
プ液をスチールベルト上に流延させて成膜し、40℃で
5分間乾燥させた後スチールベルトからフィルムとして
剥離させ、さらに150℃で2時間乾燥させることによ
り、厚さ50μmのポリアリレートフィルムを製造し
た。このポリアリレートフィルムの片面に、DCマグネ
トロンスパッタリング法により厚さ10nmのニッケル
からなる導電性蒸着膜を形成した。このスパッタリング
時の条件としては、酸素とアルゴンの混合ガス(酸素分
圧は0.1〜5.0%)を用い、チャンバー内圧力は
0.27Pa、投入電力密度は1W/cm2であった。次
いで、この導電性蒸着膜の上に、濃度140g/lの高
濃度硫酸銅メッキ浴を用いて電流密度3A/cm2の条
件で電気メッキを行うことにより、厚さ10μmの銅か
らなる金属メッキ層を形成してフレキシブルプリント基
板を得た。
【0037】実施例2〜10 ポリアリレートP−2〜P−10をそれぞれ用いて、実
施例1と同様にしてポリアリレートフィルム及びフレキ
シブルプリント基板を製造して得た。
【0038】比較例1〜8 ポリアリレートP−11〜P−18をそれぞれ用いて、
実施例1と同様にしてポリアリレートフィルム及びフレ
キシブルプリント基板を製造して得た。
【0039】なお、実施例及び比較例のポリアリレート
フィルムの特性を下記表2に示す。また、フレキシブル
プリント基板の特性を下記表3に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】上記の実施例及び比較例の結果から明らか
なように、基材としてガラス転移温度が高くカルボキシ
ル価の低いポリアリレートフィルムを用いた本発明のフ
レキシブルプリント基板は、基材が耐湿熱性に優れてい
て寸法変化が小さいため金属メッキ層に欠点が生じず、
また、耐熱性に優れたフレキシブルプリント基板である
ことがわかった。
【0043】
【発明の効果】本発明のフレキシブルプリント基板は、
基材であるポリアリレートフィルムの寸法安定性に優れ
ているので、製造時や後工程であるパターニング時等に
おける導電層の亀裂に起因する回路切断が生じにくく、
信頼性の高いフレキシブルプリント基板である。さら
に、ハンダ付け等に対する耐熱性にも優れ、また、樹脂
フィルム基材に特有の優れた可とう性と軽量性も勿論備
えている。したがって本発明のフレキシブルプリント基
板は、微細なパターニングを必要とする各種の電子機
器、例えばラップトップ型パソコンやプリンターヘッド
等のOA機器、携帯電話や電子手帳等の携帯情報機器、
ICカード等の回路基板として好適に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 純子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4F100 AB01C AB01E AK43A BA03 BA05 BA06 BA07 BA10C BA10E EH66B EH66D EH71C EH71E GB43 JA05A JG01B JG01D JJ03 JK17 JL04 YY00A

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリレートフィルムの少なくとも片
    面に、導電性蒸着膜を介して金属メッキ層が積層されて
    なるフレキシブルプリント基板であって、ポリアリレー
    トのガラス転移温度が170℃以上であり、ポリアリレ
    ートのカルボキシル価が30モル/トン以下であること
    を特徴とするフレキシブルプリント基板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003071983A (ja) * 2001-06-04 2003-03-12 Ube Ind Ltd 放電処理ポリイミドフィルム、放電処理方法、金属薄膜付きポリイミドフィルムおよびその製造方法
WO2012093606A1 (ja) * 2011-01-05 2012-07-12 Jx日鉱日石金属株式会社 銅張積層板及びその製造方法
JP2013049448A (ja) * 2011-08-30 2013-03-14 Yoshino Kogyosho Co Ltd 注出栓
WO2024070775A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 富士フイルム株式会社 積層体

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