JP2017145368A - ポリアリレート樹脂およびそれからなるフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐熱性、透明性、熱安定性、靭性、非ハロゲン系溶剤への溶解性にも優れたポリアリレート樹脂及びそれからなるフィルムの提供。【解決手段】式(1)で示される二価フェノール残基と、式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基及びナフタレンジカルボン酸残基を含むポリアリレート樹脂。好ましくは、式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基がジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基であり、ナフタレンジカルボン酸残基が2,6−ナフタレンジカルボン酸残基であるポリアリレート樹脂。更に置換基を有する4,4’−ビフェノール残基を含むポリアクレート樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐熱性、透明性を有し、かつ、熱安定性、靭性 、非ハロゲン系溶剤への溶解性にも優れたポリアリレート樹脂およびそれからなるフィルムに関するものである。
二価フェノール類、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]の残基とテレフタル酸および/またはイソフタル酸の残基とからなるポリアリレート樹脂(以下、「汎用ポリアリレート樹脂」と略称する。)は、非晶性のエンジニアリングプラスチックとしてよく知られている。汎用ポリアリレート樹脂は耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械物性に優れ、加えて透明であるため、その成形品およびフィルムは電気・電子、自動車、機械等の分野に幅広く応用されている。
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイのフレキシブル化、軽量化、耐衝撃性の向上等を目的として、ガラスを透明フィルムに置き換える動きが高まっている。透明フィルムをガラス代替として用いるためには、高い透明性、耐熱性、機械物性が必要である。また、溶融押出フィルムよりも熱劣化による異物や着色が少ないキャストフィルムが適しているため、有機溶剤への溶解性も求められる。また、有機溶剤の種類は、環境への影響や作業者への安全性の観点から、非ハロゲン系溶媒の使用が望まれる。しかし、汎用ポリアリレート樹脂のフィルムをディスプレイ基板として用いるには耐熱性や非ハロゲン系溶剤への溶解性が不足していた。
耐熱性を向上させるため、テレフタル酸やイソフタル酸以外のジカルボン酸残基を含むポリアリレート樹脂が検討されている。例えば、非特許文献1には、ナフタレンジカルボン酸残基を有するポリアリレート樹脂が開示され、非特許文献2にはテレフタル酸とナフタレンジカルボン酸の残基を有するポリアリレート樹脂が開示されている。しかし、これらのナフタレンジカルボン酸残基を有するポリアリレート樹脂は、汎用ポリアリレート樹脂に比べて、耐熱性は向上するが、非ハロゲン系溶剤への溶解性や、熱安定性が低いという問題があった。
また、非特許文献3や特許文献1にはナフタレンジカルボン酸残基とジフェニルエーテルジカルボン酸残基からなるポリアリレート樹脂が開示されている。しかし、非特許文献3や特許文献1に開示されたポリアリレート樹脂は、二価フェノール残基がヒドロキノン系残基またはビフェノール系残基であり、液晶性を示すため、非ハロゲン系溶剤への溶解性や透明性が低いという問題があった。
また、特許文献2には二価フェノール残基としてビフェノール残基を含有させることで、耐熱性を向上させたポリアリレート樹脂が開示されている。しかし、特許文献2のポリアリレート樹脂は、非ハロゲン系溶剤への溶解性が低く、また、フレキシブルディスプレイ等の柔軟性が求められる用途に用いるには引張破断伸びが低いという問題があった。
特開昭50−158695号公報 特開昭58−180525号公報
Polymer,1998,vol.39,pp.2011−2022 Journal of Polymer Research,2005,vol.12,pp.211−218 Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,2002,vol.40,pp.141−155
本発明は上記課題を解決するものであって、優れた耐熱性、透明性を有し、かつ、熱安定性、靭性 、非ハロゲン系溶剤への溶解性にも優れたポリアリレート樹脂およびそれからなるフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定の二価フェノール残基と、ジフェニルエーテルジカルボン酸残基とナフタレンジカルボン酸残基を含むポリアリレート樹脂を用いることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)一般式(1)で示される二価フェノール残基と、一般式(2)および一般式(3)で示される芳香族二価カルボン酸残基を含むポリアリレート樹脂。
(式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、pおよびqは、独立して、0〜4の整数を表し、Xは炭化水素基またはハロゲン化アルキル基を表す。)
(式(2)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、rおよびsは、独立して、0〜4の整数を表す。)
(2)一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基が、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基である(1)に記載のポリアリレート樹脂。
(3)一般式(3)で示される芳香族二価カルボン酸残基が、2,6−ナフタレンジカルボン酸残基である(1)または(2)に記載のポリアリレート樹脂。
(4)さらに一般式(4)で示される二価フェノール残基を含む(1)〜(3)いずれかに記載のポリアリレート樹脂。
(式中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、tおよびuは、独立して、0〜4の整数を表す。)
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のポリアリレート樹脂からなるフィルム。
本発明によれば、優れた耐熱性、透明性を有し、かつ、熱安定性、靭性 、非ハロゲン系溶剤への溶解性にも優れたポリアリレート樹脂を提供することができる。本発明のポリアリレート樹脂やそれからなるフィルムは、フレキシブルディスプレイ、フィルムコンデンサー、フレキシブルプリント回路等の基板フィルム、照明、太陽電池等に好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアリレート樹脂は、二価フェノール残基と芳香族二価カルボン酸残基とから構成される。
二価フェノール残基としては、一般式(1)で示される二価フェノール残基を含有させることが必要である。一般式(1)で示される残基を含有させることで、非ハロゲン溶媒への溶解性が高く、高い透明性を有するポリアリレート樹脂を得ることができる。
一般式(1)において、RおよびRは、ベンゼン環に結合する置換基を表し、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子で表す。これらの中でも、工業的に入手し易いことや合成し易いことから、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、非ハロゲン系溶剤への溶解性の観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
一般式(1)において、pおよびqは、ベンゼン環に結合する置換基RおよびRの数を表し、独立して、0〜4の整数で表す。なお、pおよびqが0の場合、一般式(1)中におけるベンゼン環に結合するすべての水素原子がRおよびRに置換されていないことを表す。pが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。qが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。pおよびqは、工業的に入手し易いことや合成し易いことから、0〜2であることが好ましい。
一般式(1)において、Xは炭化水素基またはハロゲン化アルキル基を表す。これらの中でも、工業的に入手し易いことや合成し易いことから、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、sec−ブチリデン基、フェニルエチリデン基、シクロアルキリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基が好ましく、非ハロゲン系溶剤への溶解性や耐熱性に優れることから、イソプロピリデン基、sec−ブチリデン基、フェニルエチリデン基、シクロアルキリデン基がさらに好ましい。なお、一般式(1)において、耐加水分解性の観点から、加水分解しやすいリン原子を含有しないことが必要である。
一般式(1)で示される二価フェノール残基を与える二価フェノールとしては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン 、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフルオレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−[1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)]、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジ−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、 2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、 ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、 ビス(2ーヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2ーヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)メタン、 ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンが挙げられる。これらの中でも、非ハロゲン溶媒への溶解性に優れることから、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンが好ましい。
一般式(1)で示される二価フェノール残基の含有量は、全二価フェノール成分に対して、30モル%以上とすることが好ましい。二価フェノール成分に一般式(1)で示される残基が含まれない場合、非ハロゲン系有機溶媒への溶解性や透明性が低下するので好ましくない。
さらに、二価フェノール残基として一般式(4)で示される二価フェノール残基を含有することが好ましい。一般式(1)で示される二価フェノール残基に加えて、一般式(4)で示される二価フェノール残基を含有させることで、ガラス転移点、引張破断強さ、引張弾性率がさらに向上し、線膨張係数を低下させることができる。なお、線膨張係数を低下させることにより、フィルムの寸法安定性が向上し、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイのディスプレイ等の用途により好適に用いることができる。
一般式(4)において、RおよびRは、ベンゼン環に結合する置換基を表し、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表す。これらの中でも、工業的に入手し易いことや合成し易いことから、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、シクロヘキシル基が好ましく、臭素原子、メチル基がより好ましい。
一般式(4)において、tおよびuは、それぞれベンゼン環に結合する置換基RおよびRの数を表し、独立して、0〜4の整数である。なお、tおよびuが0の場合、一般式(3)中におけるベンゼン環に結合するすべての水素原子がRおよびRに置換されていないことを表す。tが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。uが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。tおよびuは、非ハロゲン系溶剤への溶解性に優れることから、1〜4であることが好ましい。
一般式(4)で示されるビフェノール残基を与える化合物として、例えば、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−2,2’−ビフェノールが挙げられる。
一般式(4)で示されるビフェノール残基の含有量は、非ハロゲン系溶剤への溶解性および引張破断伸びの観点から、全二価フェノール成分において、70モル%以下とすることが好ましい。
二価フェノール残基としては、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)および(3)で示される残基以外の他の二価フェノール残基を含有させてもよい。他の二価フェノールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホンが挙げられる。他の二価フェノールの含有量は、耐熱性、熱安定性、非ハロゲン溶媒への溶解性、機械物性、透明性の観点から全二価フェノール成分において、10モル%未満とすることが好ましく、5モル%以下とすることがより好ましく、実質的に含まないことがさらに好ましい。
芳香族二価カルボン酸残基としては、一般式(2)および(3)で示される残基を含有させることが必要である。一般式(2)および(3)で示される残基をいずれも含有させることで、耐熱性、熱安定性、靭性、非ハロゲン溶剤への溶解性に優れた樹脂を得ることができる。
一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基の含有量は、非ハロゲン系溶剤への溶解性熱安定性、機械物性の観点から、全芳香族二価カルボン酸成分に対して、30モル%以上とすることが好ましく、50モル%以上とすることがより好ましく、70モル%以上とすることがさらに好ましい。
一般式(2)において、RおよびRは、ベンゼン環に結合する置換基を表し、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表す。これらの中でも、工業的に入手し易いことや合成し易いことから、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、シクロヘキシル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(2)において、rおよびsは、ベンゼン環に結合する置換基の数を表し、独立して、0〜4の整数を表す。なお、rおよびsが0の場合、式(2)中におけるベンゼン環に結合するすべての水素原子がRおよびRに置換されていないことを表す。rが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。sが2〜4の場合、複数のRは、互いに同じ置換基でもよく、異なる置換基でもよい。
一般式(2)で示される残基を与える芳香族二価カルボン酸としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、工業的に入手しやすいことから、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が好ましい。
一般式(3)で示される芳香族二価カルボン酸残基の含有量は、非ハロゲン系溶剤への溶解性や熱安定性、機械物性の観点から、全芳香族二価カルボン酸成分に対して、70モル%以下とすることが好ましく、50モル%以下とすることがより好ましく、30モル%以下とすることがさらに好ましい。
本発明においては、芳香族二価カルボン酸残基は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(2)および一般式(3)の残基以外の芳香族二価カルボン酸残基を含有していてもよい。そのような残基を与える芳香族二価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸等のフタル酸類や、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸類が挙げられる。上記芳香族二価カルボン酸は、芳香環上の水素が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基に置換されていてもよい。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリアリレート樹脂には、二価フェノール成分および芳香族二価カルボン酸成分以外に、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸等の他の成分をモノマー成分として含有させてもよい。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。脂環族ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。他の成分の含有量は、原料モノマーの総モル数に対して、10モル%未満とすることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂の重量平均分子量は、耐熱性、機械強度、加工性の観点から、重量平均分子量が60000〜150000であることが好ましい。重量平均分子量が60000未満の場合、耐熱性、熱安定性、機械物性が低下する場合がある。一方、重量平均分子量が150000を超えた場合、有機溶剤に溶解させた時の溶液粘度や、溶融粘度が高すぎて、加工性が低下する場合がある。
本発明のポリアリレート樹脂は耐熱性や熱安定性に優れている。本発明のポリアリレート樹脂のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、重量減少10%の熱分解温度は360℃以上であることが好ましい。一般に、ディスプレイ製造時にはハンダ工程が必要となるが、用いる材料のガラス転移温度や重量減少10%の熱分解温度は高い方が、ハンダへの耐熱性が向上し、加工しやすくなる。
本発明のポリアリレート樹脂は、有機溶剤への溶解性に優れている。本発明のポリアリレート樹脂が溶解可能な有機溶剤としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンが挙げられる。中でも、ハロゲンフリーの観点から、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンが好ましく、キシレン、シクロヘキサノンがより好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂の製造方法としては、界面重合法や溶液重合法等の有機溶媒中で反応させる方法、または溶融重合等の溶融状態で反応させる方法が挙げられる。重合性や得られる樹脂の外観の点から、有機溶媒中での反応、特に低温での反応が可能な界面重合法を用いるのが好ましい。
界面重合法としては、二価カルボン酸ハライドを水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、二価フェノール、末端封止剤、酸化防止剤および重合触媒を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下の温度で1〜8時間撹拌しながら重合反応をおこなう方法が挙げられる。
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せずポリアリレート樹脂を溶解する溶媒が好ましい。このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられ、製造上使用しやすいことから、塩化メチレンが好ましい。
水相に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
末端封止剤は、ポリアリレート樹脂の分子量を調整するため、および熱安定性を向上させるために用いられる。末端封止剤としては、例えば、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸が挙げられる。一価フェノールとしては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。一価酸クロライドとしては、例えば、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートが挙げられる。一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールが挙げられる。一価カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸が挙げられる。中でも、熱安定性が高いことから、p−tert−ブチルフェノールが好ましい。
酸化防止剤は、二価フェノール成分の酸化を防止するために用いられる。酸化防止剤としては、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、トコフェノール、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。中でも、水溶性に優れていることから、ハイドロサルファイトナトリウムが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩や、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。中でも、分子量が高く、酸価の低いポリマーを得ることができることから、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライドが好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂は、流延法や溶融押出法等の方法で加工することによりポリアリレート樹脂のフィルムを得ることができる。流延法とは、樹脂を有機溶剤に溶解した後、その樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥した後、基材から剥離してフィルムを作製する方法である。一方、溶融押出法とは、乾燥した樹脂を押出機に投入し、溶融樹脂をTダイ等から冷却ロールに押出し、捲き取る方法である。無色透明のフィルムを得るためには、熱分解による色調低下が生じないことから、流延法でフィルムを作製することが好ましい。
流延法に用いられる有機溶剤としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフランが挙げられる。
基材としては、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、ワイヤーバーコーター塗り、フィルムアプリケーター塗り、はけ塗り、スプレー塗りや、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法が挙げられる。
本発明のポリアリレート樹脂から得られるフィルムの引張破断強さは、機械的強度の観点から、90MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることがより好ましい。また、ディスプレイ等の用途に用いる観点から引張破断伸びは35%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。また、引張弾性率は1.8以上であることが好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂は非晶性であり、透明性に優れている。本発明のポリアリレート樹脂から得られるフィルムの全光線透過率は、実用上、85%以上であることが好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂から得られるフィルムの線膨張係数は、寸法安定性の観点から、90×10−6/℃以下であることが好ましく、80×10−6/℃以下であることがより好ましく、70×10−6/℃以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂やそれから得られるフィルムは、優れた耐熱性、透明性を有し、かつ、熱安定性、靭性 、非ハロゲン系溶剤への溶解性にも優れている。そのため、フレキシブルディスプレイ、フィルムコンデンサー、フレキシブルプリント回路等の基板フィルム、照明、太陽電池として電気・電子材料分野で好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、ポリアリレート樹脂の物性測定は、以下の方法によりおこなった。
(1)数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を測定した。
送液装置:ウォーターズ社製、Isocratic HPLC Pump 1515
検出器:ウォーターズ社製、Refractive Index Detector 2414
カラム:Mixed−D(充填シリカゲル粒径5μm、チューブ長さ300mm、内径7.5mm)
溶媒:クロロホルム
流速:1mL/分
測定温度:35℃
(2)ガラス転移温度(Tg)
ポリアリレート樹脂10mgをサンプルとして用いて、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
(3)溶解性
ポリアリレート樹脂15質量部にシクロヘキサノン85質量部を加えて、ウェーブローターを用いて室温で攪拌した。1日後の樹脂溶液の状態を以下の基準で評価した。
○:樹脂溶液は流動性を有しており、透明であった。
△:樹脂溶液は流動性を有してはいたが、白濁していた。
×:樹脂溶液が流動性を有していなかったか、樹脂が全く溶解していなかった。
(4)熱分解温度
ポリアリレート樹脂を以下の条件で測定し、10%質量が減少した温度を熱分解温度として求めた。
装置:日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA 7200
昇温速度:10℃/分
流入ガス:空気、流速200mL/分
(5)引張破断強さ、引張破断伸び、引張弾性率
ポリアリレート樹脂10〜15質量部にクロロホルム90〜85質量部を加えて樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を用いて、PETフィルム上に塗膜を形成した。室温で風乾後、PETフィルムから剥離し、減圧にて150℃で24時間乾燥して、厚さ100μmのフィルムを作製した。
得られたフィルムを用いてJIS K7127に準拠し、以下の条件で測定した。
試験装置:株式会社インテスコ製、Model2020
引張速度:50mm/分
試験環境:23℃、60%RH
(6)全光線透過率
(5)で得られたフィルムを用いて、ASTM D1003に準拠し、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000で測定した。
(7)線膨張係数
(5)で得られたフィルムを用いて、JIS K7197に準拠し、20℃から100℃の平均線膨張係数を以下の条件で測定した。
試験装置:TAインスツルメント社製、TMA2940
昇温速度:5℃/分
測定モード:引張
実施例1
攪拌装置を備えた反応容器中に、二価フェノール成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)100.00質量部、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)1.91質量部、アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)37.32質量部、重合触媒としてトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド(TBBAC)の50質量%水溶液を1.88質量部、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム0.50質量部を仕込み、水3300質量部に溶解させた(水相)。また、これとは別に、塩化メチレン2600質量部に、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(DEDC)91.80質量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド(2,6−NADC)33.74質量部を溶解させた(有機相)(BisA:PTBP:DEDC:2,6−NADC:TBBAC:NaOH=98.57:2.86:70.00:30.00:0.68:210(モル比))。水相をあらかじめ攪拌しておき、有機相を水相中に強攪拌下で添加し、15℃で2時間、界面重合法で重合をおこなった。この後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、塩化メチレン500質量部、純水3000質量部と酢酸10質量部を添加して反応を停止し、15℃で30分間攪拌した。その後、有機相を純水で10回洗浄し、有機相をメタノール中に添加してポリマーを沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過した後、150℃真空下で24時間乾燥し、ポリアリレート樹脂を得た。
実施例2〜14、比較例1〜5
表1に示すように、樹脂組成を変更する以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアリレート樹脂を得た。
実施例1〜15、比較例1〜5で得られたポリアリレート樹脂の評価結果を表1に示す。
実施例1〜14のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分および芳香族二価カルボン酸成分に特定モノマーを用いたため、ガラス転移温度、熱分解温度、全光線透過率、引張破断伸びが高く、シクロヘキサノンへの溶解性が良好であった。
実施例7〜12のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に、一般式(4)で示される二価フェノール残基を与えるモノマーを用いたため、実施例2のポリアリレート樹脂と対比して、引張破断強さおよび引張弾性率が向上し、線膨張係数が小さかった。また、 実施例13のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に、一般式(4)で示される二価フェノール残基を与えるモノマーを用いたため、実施例5のポリアリレート樹脂と対比して、引張破断強さおよび引張弾性率が向上し、線膨張係数が小さかった。
比較例1のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分に、一般式(1)で示される二価フェノール残基を与えるモノマーを用いず、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールを用いたため、シクロヘキサノンに溶解せず、引張破断伸びが小さく、全光線透過率も低かった。
比較例2、3のポリアリレート樹脂は、芳香族二価カルボン酸成分に、一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基を与えるモノマーを用いなかったため、シクロヘキサノンに溶解せず、引張破断伸びが小さく、熱分解温度も低かった。
比較例4のポリアリレート樹脂は、芳香族二価カルボン酸成分に、一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基を与えるモノマーを用いず、テレフタル酸を用いたため、シクロヘキサノンに溶解せず、引張破断伸びが小さかった。
比較例5のポリアリレート樹脂は、二価フェノール成分および芳香族二価カルボン酸成分に特定モノマーを用いなかったため、ガラス転移温度が低く、シクロヘキサノンに溶解しなかった。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で示される二価フェノール残基と、一般式(2)および一般式(3)で示される芳香族二価カルボン酸残基を含むポリアリレート樹脂。
    (式(1)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、pおよびqは、独立して、0〜4の整数を表し、Xは炭化水素基またはハロゲン化アルキル基を表す。)
    (式(2)中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、rおよびsは、独立して、0〜4の整数を表す。)
  2. 一般式(2)で示される芳香族二価カルボン酸残基が、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基である請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
  3. 一般式(3)で示される芳香族二価カルボン酸残基が、2,6−ナフタレンジカルボン酸残基である請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂。
  4. さらに一般式(4)で示される二価フェノール残基を含む請求項1〜3いずれかに記載のポリアリレート樹脂。
    (式中、RおよびRは、独立して、炭素数が1〜6の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を表し、tおよびuは、独立して、0〜4の整数を表す。)
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のポリアリレート樹脂からなるフィルム。
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