JP6193574B2 - ポリアリレート樹脂およびそれからなるフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアリレート樹脂およびそれからなるフィルムに関するものである。
近年、電気・電子分野では、軽量化の検討が進んでおり、中でも、フラットパネルディスプレイや、LED、有機EL照明、太陽電池等の分野においては、従来から用いられているガラス基板を軽量なプラスチックフィルムで代替することが検討されている。前記プラスチックフィルムとしては、上記分野の生産工程で通常おこなわれている鉛フリーリフローはんだ付けに耐えられる程度の耐熱性が必要である。ポリアリレート樹脂は、透明性が高く、構成モノマーによって高いガラス転移温度を有するものが得られることから、ガラス基板代替材料として期待されている。
ガラス転移温度が高いポリアリレート樹脂としては、例えば、特許文献1、2に、脂環構造を有する二価フェノールを含有したポリアリレート樹脂が開示されている。
特許2877869号公報 特開2009−167291号公報
ポリアリレート樹脂は、工業的には、二価カルボン酸ハライドを含む有機相を、二価フェノールを含む水相に混合して重合する界面重合法により製造されている。そして、水相には、二価フェノールを水に溶解するためのアルカリが添加されている。有機相と水相の混合時には、ジカルボン酸ハライドがアルカリにより加水分解され、発生したカルボキシルイオンが未反応のカルボン酸ハライドと反応して酸無水物結合が生成することが知られている。アルカリの添加量が多いほど、ジカルボン酸ハライドが分解されやすく、酸無水物結合が多く生成する。酸無水物結合は湿熱環境において切断されやすいため、酸無水物結合を多く含むポリアリレート樹脂はこのような条件下では物性低下を起こしやすい。そのため、ポリアリレート樹脂の製造においては、水相のアルカリの添加量は可能な限り少量にすることが好ましいとされており、通常、アルカリ/フェノール末端の当量比が、1.0〜1.2程度で重合されている。
特許文献1、2のポリアリレート樹脂のように脂環構造を有する二価フェノールを用いる場合も、それぞれの実施例に記載されているように、アルカリ/フェノール末端の当量比が1.2以下の水相を用いて重合されている。
しかしながら、本発明者らが特許文献1、2の実施例を追試してみたところ、得られたポリアリレート樹脂のηB/ηAは低く、また、そのフィルムは耐湿熱性に劣っており、酸無水物結合が多く生成していることがわかった。
本発明は、透明性が高く、耐熱性と耐湿熱性に優れたポリアリレート樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するため鋭意検討の結果、アルカリ/フェノール末端の当量比が1.5以上の水相を用いて界面重合することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。酸無水物結合の生成がより促進されると考えられる条件にもかかわらず、酸無水物結合を減少させることができたことは全くの予想外である。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを50モル%以上含む二価フェノール成分と、芳香族ジカルボン酸成分からなり、式(I)および式(II)を満たすポリアリレート樹脂(一般式(A)で示される構造を含むジカルボン酸成分と、二価フェノール成分からなるポリアリレート樹脂を除く。)
0.3≦ηA≦1.5 (I)
0.9≦ηB/ηA (II)
[ηAは、溶媒をテトラクロロエタン、濃度を1g/dL、測定温度を25℃とした場合のインヘレント粘度、ηBは、溶媒を、酢酸ナトリウムを0.6g/L含む{テトラクロロエタン/フェノール=4/6(質量比)混合溶媒}、濃度を1g/dL、測定温度を25℃とした場合のインヘレント粘度]
(2)酸価が7当量/トン以下である(1)記載のポリアリレート樹脂。
(3)(1)または(2)に記載のポリアリレート樹脂を製膜してなるフィルム。
(4)二価カルボン酸ハライドを含有する有機相と、二価フェノールおよびアルカリを含有する水相を混合してポリアリレート樹脂を得る製造方法において、水相中のアルカリ/フェノール末端の当量比を1.5以上として混合することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
本発明によれば、透明性が高く、耐熱性と耐湿熱性に優れたポリアリレート樹脂を提供することができる。また、本発明のポリアリレート樹脂のフィルムは、厚みが均一で、耐熱性が高いため、鉛フリーリフローはんだ付け工程を必要とする基板フィルムとして好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアリレート樹脂は二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分から構成される。
二価フェノール成分は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを含有している必要がある。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの含有量は、二価フェノール成分に対して、50モル%以上であることが必要であり、70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの含有量が50モル%未満の場合、得られるポリアリレート樹脂のガラス転移温度が低くなり、耐熱性が低下するので好ましくない。
二価フェノール成分を構成する他の二価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンが挙げられる。
なお、ポリアリレート樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオールや、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオールが共重合されていてもよい。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3'−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4'−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4'−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸が挙げられる。中でも、汎用性の高いことから、テレフタル酸とイソフタル酸を併用することが好ましい。
テレフタル酸とイソフタル酸を併用する場合、両者の含有比率は、10/90〜90/10(モル比)とすることが好ましく、25/75〜75/25(モル比)とすることがより好ましく、35/65〜65/35(モル比)とすることがさらに好ましく、50/50とすることが最も好ましい。
なお、芳香族ジカルボン酸成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ジカルボン酸や脂環族ジカルボン酸を含有してもよい。
本発明のポリアリレート樹脂は、式(I)および式(II)の条件を満たす必要がある。
0.3≦ηA≦1.5 (I)
0.9≦ηB/ηA (II)
ηAは、溶媒をテトラクロロエタン(A溶媒)、濃度を1g/dL、測定温度を25℃とした場合のインヘレント粘度であり、ηBは、溶媒を、酢酸ナトリウムを0.6g/L含む{テトラクロロエタン/フェノール=4/6(質量比)混合溶媒}(B溶媒)、濃度を1g/dL、測定温度を25℃とした場合のインヘレント粘度である。酢酸ナトリウムを含まないA溶媒中では酸無水物結合は切断されないが、酢酸ナトリウムを含むB溶媒中では、酢酸ナトリウムが酸無水物結合を切断する。その結果、ポリアリレート樹脂中に酸無水物結合が多く存在するほど、ηB/ηAの値は小さくなる。そのため、ηB/ηAの値によって、酸無水物結合の割合を知ることができる。
ηAは、0.3〜1.5であることが必要であり、0.4〜1.0であることが好ましい。ηAが0.3未満の場合、得られるポリアリレート樹脂を用いて作製したフィルムの引張伸度が低くなるので好ましくない。一方、ηAが1.5を超える場合、得られるポリアリレート樹脂を用いて作製したフィルムの厚みが不均一なものとなるので好ましくない。
ηB/ηAは、0.9以上であることが必要で、0.95以上であることがより好ましい。ηB/ηAが0.9未満の場合、得られるポリアリレート樹脂を用いて作製したフィルムの耐湿熱性が著しく低下するので好ましくない。
本発明のポリアリレート樹脂の酸価は、7当量/トン以下であることが好ましく、5当量/トン以下であることがより好ましい。酸価を7当量/トン以下とすることで、得られるポリアリレート樹脂を用いて作製したフィルムの耐湿熱性を向上させることができる。酸価は、後述する末端封止剤の種類や含有量を調整することにより制御することができる。
本発明のポリアリレート樹脂は、界面重合法によって製造することができる。界面重合法としては、二価カルボン酸ハライドを水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、二価フェノール、末端封止剤および重合触媒を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下の温度で1〜8時間撹拌しながら重合反応をおこなう方法が挙げられる。
本発明の製造方法において、アルカリ/フェノール末端の当量比は、1.5以上とすることが好ましく、1.75以上とすることがより好ましい。アルカリ/フェノール末端の当量比が1.5よりも低い場合、耐湿熱性が低下するので好ましくない。
本発明において、アルカリ/フェノール末端の当量比が1.5以上の水相を用いても、酸無水物結合が減少する理由は明確ではないが、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンは、前記の高アルカリ濃度の条件下では、カルボン酸ハライドと反応しエステル結合を生成する速度が、カルボン酸ハライドの加水分解による酸無水物の生成速度よりも速いためではないかと推測する。そのため、エステル結合が酸無水物結合よりも優先的に生成し、酸無水物結合の量が抑制されたのではないかと推測する。
本発明の製造方法においては、水相と有機相との混合を、より効率の高い手段でおこなうことが好ましい。理由は不明であるが、より高効率の混合方法を採ることにより酸無水物結合の生成が抑制される傾向にある。このような方法としては、例えば、通常の攪拌翼を用いて強攪拌する方法や、ホモジナイザーを用いる方法、超音波を用いる方法が挙げられる。
ペダル式やアンカー式等の通常の攪拌翼を用いて水相と有機相を混合する場合、攪拌数は汎用のポリアリレート樹脂を製造する際の攪拌数よりも高速にする必要がある。具体的な攪拌数は、反応容器の内容量や、水相と有機相の合計量によって適宜選択される。例えば、内容量が2Lの反応容器を用いて水相と有機相の合計量が1Lの場合、汎用のポリアリレート樹脂を製造する場合は、通常100rpm程度で攪拌するが、本発明においては、200rpm以上で撹拌することが好ましく、400rpm以上で攪拌することがより好ましい。なお、汎用のポリアリレート樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとテレフタル酸とイソフタル酸(モル比2:1:1)からなるポリアリレート樹脂が挙げられる。
また、ホモジナイザーを用いることにより、高圧力をかけて液体同士を激しく混合させることができるため、水相と有機相とを効率よく混合することができる。
また、超音波を用いることにより、水相と有機相とをさらに効率よく混合することができる。
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せずポリアリレート樹脂を溶解する溶媒が好ましい。そのような溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられ、製造上使用しやすいことから、塩化メチレンが好ましい。
水相に用いるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水溶液が挙げられる。
末端封止剤としては、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸が挙げられる。一価フェノールとしては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール〔PTBP〕、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。一価酸クロライドとしては、例えば、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等が挙げられる。一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等が挙げられる。一価カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸等が挙げられる。中でも、反応性や熱安定性が高いことから、PTBPが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、トコフェノール、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられ、速やかに水溶することから、ハイドロサルファイトナトリウムが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩や、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。中でも、高分子量で低末端酸価のポリマーを得ることができることから、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライドが好ましい。
ポリアリレート樹脂のフィルムは、ポリアリレート樹脂を流延法や溶融押出法等の方法で加工することにより得ることができる。溶液流延法とは、樹脂を有機溶剤に溶解した後、その樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥した後、基材から剥離してフィルムを作製する方法である。一方、溶融押出法とは、乾燥した樹脂を押出機に投入し、溶融樹脂をTダイ等から冷却ロールに押出し、捲き取る方法である。無色透明のフィルムを得るためには、熱分解による色調低下が生じないことから、流延法でフィルムを作製することが好ましい。
流延法に用いられる有機溶剤としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフランが挙げられる。中でも、溶媒の除去が容易であることから、塩化メチレンやクロロホルムが好ましい。
基材としては、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。塗布方法は特に限定されないが、例えば、ワイヤーバーコーター塗り、フィルムアプリケーター塗り、はけ塗りやスプレー塗り、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法を用いることができる。
本発明のポリアリレート樹脂からなるフィルムは、透明性、耐熱性、耐湿熱性に優れている。そのため、鉛フリーリフローはんだ付け工程を必要とするディスプレイや照明、太陽電池、フレキシブルプリント回路等の基板フィルムとして電気・電子材料分野で好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.測定方法
(1)ηA
ポリアリレート樹脂を、1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、濃度が1g/dLの試料溶液を作製した。続いて、ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度にて試料溶液および溶媒の落下速度を測定し、以下の式を用いてηAを求めた。
ηA=ln[(試料溶液の落下速度)/(溶媒のみの落下速度)]/樹脂濃度(g/dL)
(2)ηB
ポリアリレート樹脂を、酢酸ナトリウムを0.6g/L含む{テトラクロロエタン/フェノール=4/6(質量比)の混合溶媒}に溶解し、濃度が1g/dLの試料溶液を作製した。続いて、ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度にて試料溶液および溶媒の落下速度を測定し、以下の式を用いてηBを求めた。
ηB=ln[(試料溶液の落下速度)/(溶媒のみの落下速度)]/樹脂濃度(g/dL)
(3)酸価
ポリアリレート樹脂0.3gを塩化メチレン20mLに溶解し、指示薬としてフェノールレッドを加え、0.1N水酸化カリウム−ベンジルアルコール/無水エタノール=7/3(v/v)溶液で滴定し、酸価を求めた。
(4)ガラス転移温度
ポリアリレート樹脂10mgをサンプルとして、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。実用上、220℃以上が好ましい。
(5)全光線透過率
得られたフィルムを用いて、ASTM D1003に準拠し、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000で測定した。実用上、80%以上が好ましい。
(6)破断伸度
得られたフィルムを、温度85℃、湿度85%で48時間静置した。湿熱処理前後のフィルムについて、JIS K7127に準拠し、株式会社インテスコ社製ModeL2020で破断伸度を測定し、保持率((処理後/処理前)×100)を求めた。実用上、50%以上が好ましい。
実施例1
パドル型二枚羽の攪拌装置を備えた2Lの反応容器中に、二価フェノール成分としてBisTMC69.8質量部、末端封止剤としてPTBP 0.7質量部、アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)32.7質量部、重合触媒としてトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド〔TBBAC〕の50質量%水溶液を1.0質量部、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム0.3質量部を仕込み、水1040質量部に溶解した(水相)。また、これとは別に、塩化メチレン910質量部に、テレフタル酸クロライド(TPC)23.0質量部と、イソフタル酸クロライド(IPC)23.0質量部を溶解した(有機相)(BisTMC:TPC:IPC:PTBP:TBBAC:NaOH=99.0:50.0:50.0:2.0:0.68:360(モル比))。水相と有機相の合計量は、1Lであった。水相をあらかじめ400rpmで攪拌しておき、攪拌数を維持しながら有機相を水相中に添加し、15℃で2時間、界面重合法で重合をおこなった。この後、攪拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、塩化メチレン500質量部、純水2000質量部と酢酸2質量部を添加して反応を停止し、15℃で30分間攪拌した。その後、有機相を純水で10回洗浄し、有機相をメタノール中に添加してポリマーを沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、乾燥し、ポリアリレート樹脂を得た。
得られたポリアリレート樹脂を、クロロホルムに15〜20質量%の濃度になるように溶解させ、これをPETフィルム上に株式会社 安田精機製作所製 No.542−ABオートマチックフィルムアプリケーターを用いてバーコーターで塗布した。減圧下、150℃で、24時間乾燥し、100μmの厚みになるようにフィルムを作製した。
実施例2〜10、比較例1〜7
表1に示すように、ポリアリレート樹脂の製造条件を変更する以外は、実施例1と同様にポリアリレート樹脂を重合し、それらからフィルムを作製した。
表1に、ポリアリレート樹脂の製造条件、その特性値およびそれから得られたフィルムの特性値を示す。
実施例1〜10のポリアリレート樹脂は、いずれもガラス転移温度が220℃以上であった。そのため、得られたフィルムの耐熱性は高かった。また、得られたフィルムは、いずれも、透明性が高く、引張強度保持率が高かった。
実施例8のポリアリレート樹脂は、酸価が本発明における好ましい範囲よりも高かったため、引張伸度保持率がやや低かった。
比較例1および2のポリアリレート樹脂は、二価カルボン酸成分において、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの含有量が50モル%未満であったため、ガラス転移温度が低かった。そのため、得られたフィルムは、耐熱性が低かった。
比較例3のポリアリレート樹脂のηAが0.3未満であったため、得られたフィルムの引張伸度が低かった。
比較例4のポリアリレート樹脂のηAが1.5を超えていたため、ポリアリレート樹脂のクロロホルム溶液の粘度が高すぎて、均一なフィルムを作製することができなかった。
比較例5のポリアリレート樹脂は、撹拌速度が不十分だったため、(ηB/ηA)が0.9未満であった。そのため、得られたフィルムの引張伸度保持率が低かった。
比較例6は、引用文献1の実施例1を追試したものである。しかしながら、アルカリ/フェノール末端の当量比が1.5未満の水相を用いて重合したため、(ηB/ηA)が0.9未満であった。そのため、得られたフィルムの引張伸度保持率が低かった。
比較例7は、引用文献2の実施例3を追試したものである。しかしながら、アルカリ/フェノール末端の当量比が1.5未満の水相を用いて重合したため、(ηB/ηA)が0.9未満であった。そのため、得られたフィルムの引張伸度保持率が低かった。

Claims (4)

  1. 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを50モル%以上含む二価フェノール成分と、芳香族ジカルボン酸成分からなり、式(I)および式(II)を満たすポリアリレート樹脂(一般式(A)で示される構造を含むジカルボン酸成分と、二価フェノール成分からなるポリアリレート樹脂を除く。)
    0.3≦ηA≦1.5 (I)
    0.9≦ηB/ηA (II)
    [ηAは、溶媒をテトラクロロエタン、濃度を1g/dL、測定温度を25℃とした場合のインヘレント粘度、ηBは、溶媒を、酢酸ナトリウムを0.6g/L含む{テトラクロロエタン/フェノール=4/6(質量比)混合溶媒}、濃度を1g/dL、測定温度を25℃とした場合のインヘレント粘度]
  2. 酸価が7当量/トン以下である請求項1記載のポリアリレート樹脂。
  3. 請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂を製膜してなるフィルム。
  4. 二価カルボン酸ハライドを含有する有機相と、二価フェノールおよびアルカリを含有する水相を混合してポリアリレート樹脂を得る製造方法において、水相中のアルカリ/フェノール末端の当量比を1.5以上として混合することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
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