JP7345172B2 - 樹脂組成物およびそのフィルム - Google Patents
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Description
(1)100℃以上(好ましくは110℃以上、より好ましくは150℃程度以上)の耐熱性が要求される。
(2)フィルムが塑性変形してしまうと、フィルム特性(例えば音質特性)が変形前のフィルム特性から変化してしまうため、フィルムの機械的強度(例えば引張弾性率)は高いこと、特に塑性変形せずに耐えられる弾性可能な範囲の最大強度である降伏強度が高いこと、が求められている。
(3)フィルムが温度変化に対する振動安定性に劣ると、フィルムの使用環境が限定されるため、フィルムは温度変化に対する振動安定性に優れていることが求められている。
(4)フィルムが振動耐久性に劣ると、フィルムが破断するため、フィルムは振動耐久性に優れていることが求められている。
(5)フィルムが耐融着性に劣ると、フィルムの加工時や機器使用時において高温環境下で融着が起こり、本来の特性を発揮できないため、フィルムは耐融着性に優れていることが求められている。
<1> 二価フェノール成分と二価芳香族カルボン酸成分を主成分とし、二価フェノール成分に、式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有し、数平均分子量が20000以上であるポリアリレート樹脂(A)と、
非晶性のポリエステル樹脂(B)とを含有し、
ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計に対するポリエステル樹脂(B)の含有量が1~50質量%であることを特徴とする樹脂組成物。
<2> 式(1)で示される脂環式二価フェノールが、式(2)で示される脂環式二価フェノールである、<1>に記載の樹脂組成物。
<3> 式(2)で示される脂環式二価フェノールが、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)である、<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 式(1)中、mは4~6の整数を表す、<1>に記載の樹脂組成物。
<5> ポリアリレート樹脂(A)の二価フェノール成分に、さらに、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)を含有する、<1>~<4>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<6> ポリアリレート樹脂(A)の二価フェノール成分が、BisAとBisTMCとからなり、BisAとBisTMC(BisA/BisTMC)のモル比率が30/70~70/30(モル比)である、<1>~<5>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<7> ポリアリレート樹脂(A)において、一般式(1)で示される脂環式二価フェノールの含有量が、全二価フェノール成分に対して30~100モル%である、<1>~<6>のいずれかに記載の樹脂組成物。<8> ポリエステル樹脂(B)の二価アルコール成分に、エチレングリコール(EG)と二価フェノールのアルキレンオキシド付加体を含有する、<1>~<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<9> ポリエステル樹脂(B)の二価フェノールのアルキレンオキシド付加体がビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BisAEO)である、<8>に記載の樹脂組成物。
<10> ポリエステル樹脂(B)の二価アルコール成分が、EGとBisAEOとからなり、EGとBisAEO(EG/BisAEO)のモル比率が60/40~40/60(モル比)である、<8>または<9>に記載の樹脂組成物。
<11> ポリエステル樹脂(B)の二価アルコール成分に、エチレングリコールとネオペンチルグリコールを含有する、<1>~<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<12> ポリエステル樹脂(B)の二価カルボン酸成分に、炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸を含有する、<1>~<11>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<13> ポリエステル樹脂(B)において、炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸の含有量が、全二価カルボン酸成分に対して、5~50モル%である、<12>に記載の樹脂組成物。<14> <1>~<13>のいずれかに記載の樹脂組成物を非ハロゲン化有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液。
<15> <14>に記載の樹脂溶液を基材上に塗布し乾燥してなる積層体。
<16> <1>~<13>のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
<17> <1>~<13>のいずれかに記載の樹脂組成物を含有するマイクロホン振動板またはスピーカー振動板。
式(1)中、Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環(単環)を形成する炭素原子を表す。飽和脂肪族炭化水素環は、mの数に応じたシクロアルカン環を示す。飽和脂肪族炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環(m=4)、シクロヘキサン環(m=5)、シクロヘプタン環(m=6)、シクロオクタン環(m=7)、シクロドデカン環(m=11)が挙げられる。
式(2)中、R5は炭化水素基を表す。炭化水素基は炭素原子数1~4の飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、炭素原子数1~4の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1~3のアルキル基が好ましい。飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は、1~3のアルケニル基が好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。上記nが2以上の整数のとき、複数のR5は、それぞれ独立して、上記範囲内から選択されればよい。シクロヘキサン環におけるR5の結合位置は特に限定されないが、式(2)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロヘキサン環の炭素原子を一位としたとき、三位、四位および五位の炭素原子から選択される炭素原子に各R5が結合していることが好ましい。好ましいR5は、それぞれ独立して、炭素原子数1~3のアルキル基である。
(x1)ポリアリレート樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)ならびに所望により使用される他の成分との混合物を有機溶剤に溶解した後、乾燥して得られる乾燥物の形態;
(x2)上記(x1)の混合物を溶融および混錬し、冷却して得られるペレット物の形態;および
(x3)上記(x1)の混合物を溶融および混錬した後、所望の形状に成形しつつ冷却して得られる成形物の形態。
樹脂組成物およびフィルムの物性測定は以下の方法によっておこなった。
(1)樹脂組成
得られたポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、樹脂組成物またはフィルムを、高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製ECA-500 NMR)を用いて、1H-NMR分析またはDOSY-NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた(分解能:500MHz、溶媒:重クロロホルム、測定温度:50℃)。
得られたポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、樹脂組成物またはフィルムを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を測定した。
送液装置:ウォーターズ社製、Isocratic HPLC Pump 1515
検出器:ウォーターズ社製、Refractive Index Detector 2414
カラム:Mixed-D(充填シリカゲル粒径5μm、チューブ長さ300mm、内径7.5mm)
溶媒:クロロホルム 流速:1mL/分
測定温度:35℃
得られたポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂またはフィルムを、JIS K 7121にしたがって、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
また、下記の基準でガラス転移温度を評価した。
S:190℃以上;
A:150℃以上190℃未満;
B:110℃以上150℃未満;
C:100℃以上110℃未満(実用上問題なし);
D:100℃未満(実用上問題あり)。
得られたポリアリレート樹脂を、高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製ECA-500 NMR)を用いて、1H-NMR分析し、フェノール性ヒドロキシ基に対してオルト位に位置するプロトンのピークの積分強度から、ヒドロキシ基濃度を求めた。
(分解能:500MHz、溶媒:重水素化クロロホルムとの容量比が1/11の混合溶媒、測定温度:45℃)
内容量50mLのガラス製ねじ口瓶に、20質量%になるよう秤量したポリアリレート樹脂と有機溶媒の合計30gを密封し、ねじ口瓶を23℃の室温でミックスローターを用いて70rpmで24時間回転させた。その後、樹脂溶液を目視観察し、下記基準により評価した。
なお、非ハロゲン化有機溶媒としては、テトラヒドロフランとメチルエチルケトン混合溶剤(テトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=6/4(質量比))、トルエン/メチルエチルケトン混合溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=5/5(質量比))、シクロヘキサノンを用いた。
S(〇):不溶物がなく、透明であった。
D(×):不溶物があるか、不透明であった。
得られたフィルムを、長さ6cm×幅7mmに切り出し、得られたサンプルについて、インテスコ社製引張試験機Model2020を用いて、23℃、60%RHの環境下、引張速度50mm/分で、降伏強度を測定した。また、基準フィルムの降伏強度と対比し、以下の基準で評価した。具体的には、実施例1~13および比較例1~5は参考例1と対比し、実施例14および比較例6は参考例2と対比し、比較例7は参考例3と対比した。
降伏強度の比=(得られたフィルムの降伏強度/基準フィルムの降伏強度)×100(%)
S:125%以上;
A:110%以上125%未満;
B:105%以上110%未満;
C:103%以上105%未満(実用上問題なし);
D:103%未満(実用上問題あり)。
なお、サンプルが脆くて、引張試験機に装着できなかったものについては、値を「-」とし、評価を「×」とした。「×」は評価結果「D」に包含される。
得られたフィルムを、長さ6cm×幅7mmに切り出し、得られたサンプルについて、インテスコ社製引張試験機Model2020を用いて、23℃、60%RHの環境下、引張速度50mm/分で、引張弾性率を測定した。また、基準フィルムの引張弾性率と対比し、以下の基準で評価した。具体的には、実施例1~13および比較例1~5は参考例1と対比し、実施例14および比較例6は参考例2と対比し、比較例7は参考例3と対比した。
引張弾性率の比=(得られたフィルムの引張弾性率/基準フィルムの引張弾性率)×100(%)
S:125%以上;
A:115%以上125%未満;
B:105%以上115%未満;
C:100.5%以上105%未満(実用上問題なし);
D:100.5%未満(実用上問題あり)。
なお、サンプルが脆くて、引張試験機に装着できなかったものについては、値を「-」とし、評価を「×」とした。「×」は評価結果「D」に包含される。
得られたフィルムを、長さ4cm×幅4mmに切り出し、得られたサンプルについて、レオメトリック社製粘弾性アナライザーRSAIIを用いて、周波数1.0Hz、測定温度範囲0~250℃、歪み0.20%の条件で、内部損失率(tanδ)を測定した。
150℃のtanδ値/25℃のtanδ値を求め、以下の基準で評価した。
S:10以下;
A:10を超え36以下;
B:36を超え40以下;
C:40を超える45以下(実用上問題なし);
D:45を超える(実用上問題あり)。
なお、サンプルが脆くて、粘弾性アナライザーに装着できなかったものについては、値を「-」とし、評価を「×」とした。また、測定開始後、5分以内に測定できなくなったものについては、オーブンを確認し、サンプルが溶融していた場合、値を「-」とし、評価を「×」とした。「×」は評価結果「D」に包含される。
得られたフィルムを、長さ4cm×幅4mmに切り出し、得られたサンプルについて、レオメトリック社粘弾性アナライザーRSAIIを用いて、周波数25.0Hz、測定温度100℃、歪み0.30%、荷重0.25kgf、測定時間1200分の条件で、フィルムが破断するまでの時間を求めた。
また、下記の基準で、破断するまでの時間を評価した。
S:1000分以上;
A:75分以上1000分未満;
B:60分以上75分未満;
C:50分以上60分未満(実用上問題なし);
D:50分未満(実用上問題あり)。
なお、サンプルが脆くて、粘弾性アナライザーに装着できなかったものについては、値を「-」とし、評価を「×」とした。また、測定開始後、5分以内に測定できなくなったものについては、オーブンを確認し、サンプルが溶融していた場合、値を「-」とし、評価を「×」とした。「×」は評価結果「D」に包含される。
得られたフィルムを5cm角に切り出し、フィルム同士を重ね合わせて金属板上に置き、上から2kgの荷重を負荷し、100℃の熱風乾燥器内に2時間静置後、フィルム間の剥離を試みることにより、下記の基準で評価した。
S:剥離することができ、かつ、剥離したときにフィルムが変形しなかった;
A:剥離することはできたが、剥離したときにフィルムが僅かに変形した;
B:剥離することはでき、剥離したときにフィルムが比較的大きく変形したが、破断しなかった;
C:剥離することはできたが、剥離したときにフィルムが僅かに破断した(実用上問題なし);
D:剥離できなかった(実用上問題あり)。
各実施例/比較例において、非ハロゲン化有機溶剤への溶解性、降伏強度、引張弾性率、耐熱性(ガラス転移点)、温度変化に対する振動安定性、振動耐久性および耐融着性に関する評価結果のうち、最低の評価結果を総合評価結果として示した。
(1)ポリアリレート樹脂(A1)の調製
水冷用ジャケットと攪拌装置を備えた内容積100Lの反応容器中に、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)822g、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BPTMC)744g、末端封止剤としてp-tert-ブチルフェノール(PTBP)45g、アルカリとして水酸化ナトリウム850gを仕込み、水30Lに溶解した(水相)。これとは別に、塩化メチレン18Lに、テレフタル酸クロライド(TPC)624gと、イソフタル酸クロライド(IPC)624gを溶解した(有機相)。(BPA:BPTMC:TPC:IPC:PTBP=60:40:50:50:0.3(モル比))。それぞれの液を20℃になるよう調節した後、前記水相に、重合触媒としてベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの50%水溶液を15g添加し、さらに前記塩化メチレン溶液を全量投入し、6時間攪拌を続けた後、攪拌機を停止した。
静置分離後、水相を抜き出し、残った有機相に酢酸20gを添加した。その後、イオン交換水30Lを投入し、20分間攪拌してから再度静置して水相を抜き出した。この水洗操作を水相が中性になるまで繰り返した。その後、有機相を、ホモミキサーを装着した容器に入った50℃の温水中に投入して塩化メチレンを蒸発させた。その後、脱水処理し、真空乾燥機を用いて130℃減圧下24時間乾燥してポリアリレート樹脂(A1)を得た。
得られたポリアリレート樹脂の最終樹脂組成は、仕込組成と同一であった。
用いる原料の割合を表1のように変更した以外は、ポリアリレート樹脂(A1)を調製する際と同様の操作をおこなって、ポリアリレート樹脂(A2)および(A4)を作製した。
得られたポリアリレート樹脂の最終樹脂組成は、仕込組成と同一であった。
テレフタル酸83質量部、イソフタル酸83質量部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン114質量部、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン232質量部、無水酢酸255質量部を、撹拌装置を備えた反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、140℃でp-ヒドロキシ安息香酸345質量部を投入した後、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した。その後280℃で90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂(A3)を得た(脱酢酸重合反応)(BPA:BPTMC:TPA:IPA:PHBA:無水酢酸=50:75:50:50:250:250(モル比))。
得られたポリアリレート樹脂の最終樹脂組成は、仕込組成と同一であった。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
BPA:2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
BPTMC:1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン
PHBA:p-ヒドロキシ安息香酸
テレフタル酸83質量部(50モル%)、イソフタル酸83質量部(50モル%)、ビスフェノールAエチレンオキシド付加体158質量部(50モル%)、エチレングリコール52質量部(85モル%)および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量部を反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を240℃にし、系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1~10-5Pa)に到達してから、さらに3時間重合反応をおこなって、ポリエステル樹脂(B1)を得た。
使用するモノマーの種類とその組成を表2のように変更した以外は、ポリエステル樹脂(B1)を調製する際と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂(B2)~(B4)を得た。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
SE:セバシン酸
BAEO:ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体
NPG:2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール
BD:1,4-ブタンジオール
PTMG:ポリテトラメチレングリコール1000
EG:エチレングリコール
εCL:ε-カプロラクトン
樹脂固形成分の濃度が17.5質量%になるように、ポリアリレート樹脂(A1)と、ポリエステル樹脂(B1)と、テトラヒドロフランとメチルエチルケトン混合溶剤(テトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=6/4(質量比))とを混合し、ペイントシェイカーで浸とうして、樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液を、安田精機製作所社製のNo.542-ABオートマチックフィルムアプリケーターを用いてバーコーターで、乾燥した後の塗膜の厚みが20~30μmとなるように、ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製エンブレット、厚み約120μm)の基材の表面(非コロナ面)に塗布した。室温で30秒間風乾した後、熱風乾燥器を用いて130℃で2分間乾燥し、PETフィルムから皮膜を剥離し、減圧下、150℃で24時間乾燥して、フィルムを得た。
樹脂組成が表3または表4の通りになるように、用いるポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂とを変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、樹脂溶液を得て、フィルムを得た。
また、実施例10~12のフィルムを対比することにより、ポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂の合計に対するポリエステル樹脂の含有量を5~20質量%、より好ましくは10~20質量%とすることにより、特に振動耐久性が向上することがわかる。
比較例2、3、4、6のフィルムは、ポリエステル樹脂の配合量が多かったため、基準フィルムと対比して、降伏強度が向上しなかった。また、いずれも、温度変化に対する振動安定性について、粘弾性アナライザーのオーブンの温度が、フィルムを構成する樹脂のガラス転移点よりも高かったため、測定開始後すぐにサンプルが溶融し、測定ができなかった。
比較例5のフィルムは、ポリエステル樹脂を配合しなかったため、基準フィルムと対比して、降伏強度はほとんど向上しなかった。
比較例7は、(1)式で示される脂環式二価フェノールを含有してしないポリアリレート樹脂を配合したため、非ハロゲン化溶剤に不溶であった。
Claims (16)
- 二価フェノール成分と二価芳香族カルボン酸成分を主成分とし、二価フェノール成分に、式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有し、数平均分子量が20000以上であるポリアリレート樹脂(A)と、
非晶性のポリエステル樹脂(B)とからなり、
ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計に対するポリエステル樹脂(B)の含有量が1~50質量%である樹脂組成物であって、
前記ポリエステル樹脂(B)の二価アルコール成分に、(i)エチレングリコール(EG)と二価フェノールのアルキレンオキシド付加体を含有するか、(ii)エチレングリコールと2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールを含有するか、(iii)1,4-ブタンジオールとε-カプロラクタムを含有するか、または(iv)2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールとポリテトラメチレングリコールとエチレングリコールを含有する、樹脂組成物。
- 式(1)で示される脂環式二価フェノールが、式(2)で示される脂環式二価フェノールである、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 式(2)で示される脂環式二価フェノールが、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)である、請求項2に記載の樹脂組成物。
- 式(1)中、mは4~6の整数を表す、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ポリアリレート樹脂(A)の二価フェノール成分に、さらに、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- ポリアリレート樹脂(A)の二価フェノール成分が、BisAとBisTMCとからなり、BisAとBisTMC(BisA/BisTMC)のモル比率が30/70~70/30(モル比)である、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
脂組成物。 - 前記ポリエステル樹脂(B)が前記(i)の場合であり、前記アルキレンオキシド付加体がビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BisAEO)である、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(B)が前記(i)の場合であり、前記二価アルコール成分が、EGとBisAEOとからなり、EGとBisAEO(EG/BisAEO)のモル比率が60/40~40/60(モル比)である、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(B)の二価カルボン酸成分に、炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸を含有する、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(B)において、前記炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸の含有量が、全二価カルボン酸成分に対して、5~50モル%である、請求項9に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリアリレート樹脂(A)において、前記式(1)で示される脂環式二価フェノールの含有量が、全二価フェノール成分に対して30~100モル%である、請求項1~10のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物のみからなるフィルムの降伏強度は、前記ポリアリレート樹脂(A)のみからなるフィルムの降伏強度と対比して、103%以上であり、
前記樹脂組成物のみからなるフィルムの引張弾性率は、前記ポリアリレート樹脂(A)のみからなるフィルムの引張弾性率と対比して、100.5%以上である、請求項1~11のいずれかに記載の樹脂組成物。 - 請求項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物を非ハロゲン化有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液。
- 請求項13に記載の樹脂溶液を基材上に塗布し乾燥してなる積層体。
- 請求項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
- 請求項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物を含有するマイクロホン振動板またはスピーカー振動板。
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