JP7345172B2 - 樹脂組成物およびそのフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、従来品と比較して、耐熱性が高く、かつ、機械的強度、特に降伏強度が高いフィルムを得ることができる樹脂組成物に関するものである。
従来から、脂環式二価フェノールを含有するポリアリレート樹脂は、エンジニアリングプラスチックとして知られている。ポリアリレート樹脂は、耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や、寸法安定性に優れ、加えて非晶性で透明であるために、その成形品は自動車分野、機械分野等に幅広く応用されている。
また、脂環式二価フェノールを含有するポリアリレート樹脂は、近年求められている非ハロゲン化有機溶剤に溶解可能であって、前記樹脂を有機溶媒に溶解させた塗工液から形成させたフィルムは、優れた電気的特性(絶縁性、誘電特性等)、耐熱性を有しているため、コンデンサ等の電気電子分野等にも応用されている。
脂環式二価フェノールを含有するポリアリレート樹脂のフィルムとしては、例えば、特許文献1には、テレフタル酸とイソフタル酸と2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンとからなるポリアリレート樹脂のフィルムが開示されている(特許文献1~3)。
国際公開2016/163462号パンフレット 特開2018-044094号公報 特表2012-517490号公報
近年、脂環式二価フェノールを含有するポリアリレート樹脂のフィルムは、その優れた電気的特性と耐熱性から、スピーカー振動板等の電気電子分野への応用が検討されている。本発明の発明者らは、このような分野に、ポリアリレート樹脂を含むフィルムを用いる場合、以下のような問題が生じることを見い出した。
(1)100℃以上(好ましくは110℃以上、より好ましくは150℃程度以上)の耐熱性が要求される。
(2)フィルムが塑性変形してしまうと、フィルム特性(例えば音質特性)が変形前のフィルム特性から変化してしまうため、フィルムの機械的強度(例えば引張弾性率)は高いこと、特に塑性変形せずに耐えられる弾性可能な範囲の最大強度である降伏強度が高いこと、が求められている。
(3)フィルムが温度変化に対する振動安定性に劣ると、フィルムの使用環境が限定されるため、フィルムは温度変化に対する振動安定性に優れていることが求められている。
(4)フィルムが振動耐久性に劣ると、フィルムが破断するため、フィルムは振動耐久性に優れていることが求められている。
(5)フィルムが耐融着性に劣ると、フィルムの加工時や機器使用時において高温環境下で融着が起こり、本来の特性を発揮できないため、フィルムは耐融着性に優れていることが求められている。
本発明は、かかる従来技術に鑑み、非ハロゲン化有機溶剤に溶解可能なポリアリレート樹脂を含む樹脂組成物であって、従来品(例えばポリアリレート樹脂のみを含むフィルム)と比較して機械的強度(特に降伏強度)が高く、かつ、耐熱性、温度に対する振動安定性、振動耐久性および耐融着性に十分に優れているフィルムを得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のポリアリレート樹脂に特定のポリエステル樹脂を特定比率で含有させることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は以下のとおりである。
<1> 二価フェノール成分と二価芳香族カルボン酸成分を主成分とし、二価フェノール成分に、式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有し、数平均分子量が20000以上であるポリアリレート樹脂(A)と、
非晶性のポリエステル樹脂(B)とを含有し、
ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計に対するポリエステル樹脂(B)の含有量が1~50質量%であることを特徴とする樹脂組成物。
Figure 0007345172000001
(式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子またはハロゲン化炭化水素基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基を表し、Xは、ヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表し、mは、4~11の整数を表す。)
<2> 式(1)で示される脂環式二価フェノールが、式(2)で示される脂環式二価フェノールである、<1>に記載の樹脂組成物。
Figure 0007345172000002
(式(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子またはハロゲン化炭化水素基を表し、Rは、炭化水素基、nは、0~10の整数を表す。)
<3> 式(2)で示される脂環式二価フェノールが、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)である、<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 式(1)中、mは4~6の整数を表す、<1>に記載の樹脂組成物。
<5> ポリアリレート樹脂(A)の二価フェノール成分に、さらに、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)を含有する、<1>~<4>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<6> ポリアリレート樹脂(A)の二価フェノール成分が、BisAとBisTMCとからなり、BisAとBisTMC(BisA/BisTMC)のモル比率が30/70~70/30(モル比)である、<1>~<5>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<7> ポリアリレート樹脂(A)において、一般式(1)で示される脂環式二価フェノールの含有量が、全二価フェノール成分に対して30~100モル%である、<1>~<6>のいずれかに記載の樹脂組成物。<8> ポリエステル樹脂(B)の二価アルコール成分に、エチレングリコール(EG)と二価フェノールのアルキレンオキシド付加体を含有する、<1>~<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<9> ポリエステル樹脂(B)の二価フェノールのアルキレンオキシド付加体がビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BisAEO)である、<8>に記載の樹脂組成物。
<10> ポリエステル樹脂(B)の二価アルコール成分が、EGとBisAEOとからなり、EGとBisAEO(EG/BisAEO)のモル比率が60/40~40/60(モル比)である、<8>または<9>に記載の樹脂組成物。
<11> ポリエステル樹脂(B)の二価アルコール成分に、エチレングリコールとネオペンチルグリコールを含有する、<1>~<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<12> ポリエステル樹脂(B)の二価カルボン酸成分に、炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸を含有する、<1>~<11>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<13> ポリエステル樹脂(B)において、炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸の含有量が、全二価カルボン酸成分に対して、5~50モル%である、<12>に記載の樹脂組成物。<14> <1>~<13>のいずれかに記載の樹脂組成物を非ハロゲン化有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液。
<15> <14>に記載の樹脂溶液を基材上に塗布し乾燥してなる積層体。
<16> <1>~<13>のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
<17> <1>~<13>のいずれかに記載の樹脂組成物を含有するマイクロホン振動板またはスピーカー振動板。
本発明によれば、非ハロゲン化有機溶剤に溶解可能なポリアリレート樹脂を含む樹脂組成物であって、従来品(例えばポリアリレート樹脂のみを含むフィルム)と比較して、機械的強度(特に降伏強度)が高く、かつ、耐熱性、温度に対する振動安定性、振動耐久性および耐融着性に十分に優れているフィルムを得ることができる樹脂組成物を提供することができる。
実施例1~5、比較例2ならびに参考例1および4で得られたフィルムに関し、降伏強度(MPa)(縦軸)とポリエステル樹脂の比率(質量%)(横軸)との関係を示すグラフである。 実施例6~9ならびに参考例1および5で得られたフィルムに関し、降伏強度(MPa)(縦軸)とポリエステル樹脂の比率(質量%)(横軸)との関係を示すグラフである。 実施例10~12および参考例1で得られたフィルムに関し、降伏強度(MPa)(縦軸)とポリエステル樹脂の比率(質量%)(横軸)との関係を示すグラフである。
本発明の樹脂組成物は、ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とから構成される。
本発明に用いるポリアリレート樹脂(A)は、二価フェノール成分と二価芳香族カルボン酸成分とを主成分とするポリエステル樹脂である。本発明において、二価フェノール成分と二価芳香族カルボン酸成分とを主成分とするとは、ポリアリレート樹脂(A)を構成する全モノマー成分に対して、二価フェノール成分と二価芳香族カルボン酸成分との合計が95質量%以上であることを意味し、98質量%以上であることが好ましい。なお、本発明において、ポリアリレート樹脂(A)には、いわゆる、メソゲン基を有する液晶性高分子は含まない。
二価フェノール成分には、ポリアリレート樹脂(A)の非ハロゲン化有機溶剤への溶解性(以下、単に「ポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性」ということがある)ならびに得られるフィルムの電気的特性や耐熱性の観点から、一般式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有することが必要である。
Figure 0007345172000003
式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子またはハロゲン化炭化水素基を表す。炭化水素基は炭素原子数1~12の飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、炭素原子数1~6の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、炭素原子数6~10の芳香族炭化水素基であってもよい。飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1~6のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1~3のアルケニル基が好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。芳香族炭化水素基は、炭素原子数6~10のアリール基が好ましい。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。ハロゲン化炭化水素基は、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基が好ましい。ハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上記炭化水素基にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が結合した基が挙げられる。式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、好ましくは水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基であり、より好ましくは同じ基であり、さらに好ましくは水素原子である)。
式(1)中、RおよびRは後述のmの値に応じて複数個で存在し、当該複数のRおよび複数のRは、それぞれ独立して、上記したR、R、RおよびRと同様の範囲内から選択されればよい。RおよびRは、ポリアリレート樹脂(A)の非ハロゲン化有機溶剤への溶解性のさらなる向上の観点から、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基が好ましい。
式(1)中、mは4~11の整数、好ましくは4~6の整数であり、4または5がより好ましい。
式(1)中、Xはヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環(単環)を形成する炭素原子を表す。飽和脂肪族炭化水素環は、mの数に応じたシクロアルカン環を示す。飽和脂肪族炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環(m=4)、シクロヘキサン環(m=5)、シクロヘプタン環(m=6)、シクロオクタン環(m=7)、シクロドデカン環(m=11)が挙げられる。
一般式(1)で示される脂環式二価フェノールは、一般式(2)で示される脂環式二価フェノールであることが好ましい。
Figure 0007345172000004
式(2)中、R、R、RおよびRはそれぞれ、上記式(1)におけるR、R、RおよびRと同じであり、好ましいR、R、RおよびRもまた、上記式(1)の場合と同じである。
式(2)中、nは0~10の整数であり、0~5の整数が好ましく、2~4の整数がより好ましい。
式(2)中、Rは炭化水素基を表す。炭化水素基は炭素原子数1~4の飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、炭素原子数1~4の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。飽和脂肪族炭化水素基は、炭素原子数1~3のアルキル基が好ましい。飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基は、1~3のアルケニル基が好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられる。上記nが2以上の整数のとき、複数のRは、それぞれ独立して、上記範囲内から選択されればよい。シクロヘキサン環におけるRの結合位置は特に限定されないが、式(2)においてヒドロキシフェニル基が結合するシクロヘキサン環の炭素原子を一位としたとき、三位、四位および五位の炭素原子から選択される炭素原子に各Rが結合していることが好ましい。好ましいRは、それぞれ独立して、炭素原子数1~3のアルキル基である。
一般式(2)で示される脂環式二価フェノールとしては、例えば、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン〔BisTMC〕、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5,5-テトラメチル-シクロヘキサン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,4-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-5-エチル-シクロヘキサン、1,1-ビス-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ビス-(3,5-ジフェニル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ビス-(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ビス-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサンが挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、BisTMCがより好ましい。
一般式(1)に含まれるが、一般式(2)には含まれない脂環式二価フェノールとしては、例えば、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロペンタンが挙げられる。
上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノール、特に上記一般式(2)で示される脂環式二価フェノールの含有量は、ポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性がより高くなることから、全二価フェノール成分に対して30~100モル%とすることが好ましく、30~70モル%とすることがより好ましく、得られるフィルムの降伏強度の向上効果がより大きいことから、30~50モル%とすることがさらに好ましい。上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノール、特に上記一般式(2)で示される脂環式二価フェノールは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。上記一般式(1)で示される脂環式二価フェノール、特に上記一般式(2)で示される脂環式二価フェノールのうち複数種を併用する場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分には、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタンから選択される1種以上のモノマー成分をさらに含有してもよい。中でも、汎用性が高く、ポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性がより高いことから、二価フェノール成分はBisAをさらに含むことが好ましい。
ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよいが、ポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性がより高くなることから、複数種を併用することが好ましい。中でも、二価フェノール成分は、ポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性ならびに得られるフィルムの降伏強度のさらなる向上の観点から、BisAとBisTMCとを併用することが好ましい。
BisAとBisTMCとを併用する場合、BisAとBisTMC(BisA/BisTMC)のモル比率は、0/100~70/30(モル比)とすることが好ましく、30/70~70/30(モル比)とすることがより好ましく、得られるフィルムの降伏強度の向上効果がより大きいことから、30/70~50/50(モル比)とすることがさらに好ましい。
ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価芳香族カルボン酸成分としては、特に限定されず、例えば、テレフタル酸〔TPA〕、イソフタル酸〔IPA〕、オルトフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル-2,2’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-2,3’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-2,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,3’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
ポリアリレート樹脂(A)を構成する二価芳香族カルボン酸成分は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。中でも、ポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性がより高くなることから、TPAとIPAとを併用することが好ましい。TPAとIPAとを併用する場合、TPAとIPAのモル比率(TPA/IPA)は、ポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性および耐熱性のさらなる向上の観点から、90/10~10/90とすることが好ましく、25/75~75/25とすることがより好ましく、60/40~40/60とすることがさらに好ましい。このような場合において、TPAとIPAとの合計含有量は通常、全二価芳香族カルボン酸成分に対して、60モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%である。
ポリアリレート樹脂(A)の数平均分子量は、20000以上であることが必要で、25000以上であることが好ましい。数平均分子量が20000未満の場合、得られるフィルムの機械的強度が低く脆くなったり、降伏強度の向上効果が小さくなったりすることから好ましくない。
ポリアリレート樹脂(A)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で測定された値を用いている。
ポリアリレート樹脂(A)のヒドロキシ基濃度は、10mgKOH/g以下であることが好ましい。前記ヒドロキシ濃度を10mgKOH/g以下とすることにより、結果的に、数平均分子量が大きくなり、機械的強度を高くすることができる。
本発明に用いるポリアリレート樹脂(A)の製造方法としては、界面重合法や溶液重合法等の有機溶媒中で反応させる方法、または溶融重合等の溶融状態で反応させる方法が挙げられる。数平均分子量が大きくなることから、有機溶媒中での反応、特に低温での反応が可能な界面重合法を用いることが好ましい。なお、通常、ポリアリレート樹脂(A)は溶融粘度が高いため、重合温度は高くする必要があるが、重合温度を高くすると色調等が分解により低下する。そのため、溶融重合でポリアリレート樹脂(A)を製造した場合、品質や溶融粘度を考慮すると、ポリアリレート樹脂(A)の上限の数平均分子量は15000程度が限界である。
界面重合法としては、二価カルボン酸ハライドを水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、二価フェノール、末端封止剤、酸化防止剤および重合触媒を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下の温度で1~8時間撹拌しながら重合反応をおこなう方法が挙げられる。
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せずポリアリレートを溶解する溶媒が好ましい。このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられ、製造上使用しやすいことから、塩化メチレンが好ましい。
水相に用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
末端封止剤は、ポリアリレート樹脂の分子量の調整および熱安定性の向上の観点から用いられる。末端封止剤としては、例えば、一価フェノール、一価酸クロライド、一価アルコール、一価カルボン酸が挙げられる。一価フェノールとしては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-tert-ブチルフェノール、o-フェニルフェノール、m-フェニルフェノール、p-フェニルフェノール、o-メトキシフェノール、m-メトキシフェノール、p-メトキシフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2-フェニル-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-フェニル-2-(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-フェニル-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。一価酸クロライドとしては、例えば、ベンゾイルクロライド、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートが挙げられる。一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールが挙げられる。一価カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p-tert-ブチル安息香酸、p-メトキシフェニル酢酸が挙げられる。中でも、熱安定性が高いことから、一価フェノール、特にp-tert-ブチルフェノールが好ましい。
酸化防止剤は、二価フェノール成分の酸化を防止するために用いられる。酸化防止剤としては、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム、L-アスコルビン酸、エリソルビン酸、カテキン、トコフェノール、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。中でも、水溶性に優れていることから、ハイドロサルファイトナトリウムが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリ-n-ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ-n-ブチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩や、トリ-n-ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ-n-ブチルホスホニウムハライド、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。中でも、分子量が大きく、酸価の低いポリマーを得ることができることから、トリ-n-ブチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ-n-ブチルアンモニウムハライド、トリ-n-ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ-n-ブチルホスホニウムハライドが好ましい。
本発明に用いるポリエステル樹脂(B)は、ポリアリレート樹脂(A)とは異なるポリエステル樹脂であって、二価アルコール成分と二価カルボン酸成分とからなるものである。
ポリエステル樹脂(B)を構成する二価アルコール成分としては、得られるフィルムの降伏強度の向上効果がより大きいこと、ならびに得られるフィルムの降伏強度、引張弾性率および耐熱性がさらに向上することから、エチレングリコール(EG)と二価フェノールのアルキレンオキシド付加体を併用することが好ましい。二価フェノールのアルキレンオキシド付加体としては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔BisA〕のエチレンオキシド付加体、BisAのプロピレンオキシド付加体が挙げられ、BisAのエチレンオキシド付加体が好ましく、フェノール性ヒドロキシ基1つにつき1つのエチレンオキシドが付加したBisAのエチレンオキシド付加体(BisAEO)がより好ましい。EGとBisAEOとを併用する場合、EGとBisAEOのモル比率は、80/20~20/80(モル比)とすることが好ましく、得られるフィルムの機械的強度(特に降伏強度)の向上効果が特に大きいこと、およびポリエステル樹脂(B)の非ハロゲン化有機溶剤への溶解性(以下、単に「ポリエステル樹脂(B)の溶剤溶解性」ということがある)の向上効果が特に大きいことから、30/70~70/30(モル比)とすることがより好ましく、60/40~40/60(モル比)とすることがさらに好ましく、54/46~46/54(モル比)とすることが最も好ましい。このような場合において、EGとBisAEOとの合計含有量は通常、全二価アルコール成分に対して、60モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%である。
ポリエステル樹脂(B)を構成する二価アルコール成分としては、得られるフィルムの耐融着性が高くなることから、エチレングリコール(EG)とネオペンチルグリコール(NPG)を併用することが好ましい。一般に、工業的にフィルムを生産する場合、フィルムを巻物にする必要があるが、熱や捲き締まり等でフィルムとフィルムが融着することがある。二価アルコール成分として、EGとNPGを併用することにより、耐融着性を向上させることができる。EGとNPGとを併用する場合、EGとNPGのモル比率は、得られるフィルムの耐融着性の向上効果がより大きいこと、およびポリエステル樹脂(B)の溶剤溶解性の向上効果が特に大きいことから)80/20~20/80(モル比)とすることが好ましく、30/70~70/30(モル比)とすることがより好ましく、60/40~40/60(モル比)とすることがさらに好ましい。このような場合において、EGとNPGとの合計含有量は通常、全二価アルコール成分に対して、60モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%である。
ポリエステル樹脂(B)を構成する二価アルコール成分としては、上記の二価アルコール以外に、例えば、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール〔BD〕、1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール、ダイマージオール、1,2-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール〔PTMG〕、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン〔BisS〕のエチレンオキシド付加体、BisSのプロピレンオキシド付加体から選択される1種以上のモノマー成分を含有してもよい。二価アルコール成分は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。中でも、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族系二価アルコール、BisSのエチレンオキシド付加体、BisSのプロピレンオキシド付加体等の芳香族系二価アルコールが耐熱性のさらなる向上の観点から好ましい。二価アルコール成分は、振動耐久性のさらなる向上の観点から、BDを含むことが好ましい。このような観点から、二価アルコール成分がBDを含む場合において、BDの含有量は通常、全二価アルコール成分に対して、60モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%である。
ポリエステル樹脂(B)を構成する二価カルボン酸成分としては、ポリエステル樹脂(B)の溶剤溶解性が高くなることから、TPAとIPAを併用することが好ましい。TPAとIPAとを併用する場合、TPAとIPAのモル比率(TPA/IPA)は、ポリエステル樹脂(B)の溶剤溶解性およびフィルムの耐熱性のさらなる向上の観点から、90/10~10/90(モル比)とすることが好ましく、25/75~75/25(モル比)とすることがより好ましく、60/40~40/60(モル比)とすることがさらに好ましい。このような場合において、TPAとIPAとの合計含有量は通常、全二価カルボン酸成分に対して、60モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%である。
ポリエステル樹脂(B)を構成する二価カルボン酸成分は、得られるフィルムの振動耐久性が高くなることから、炭素数が6~12、特に6~10の脂肪族ジカルボン酸を含有することが好ましい。本発明のフィルムをスピーカー振動板等の電気電子分野の用途に用いる場合、後述するように、振動耐久性が要求されるが、炭素数が6~12、特に6~10の脂肪族ジカルボン酸を用いることにより、得られるフィルムの振動耐久性を向上させることができる。この場合における当該脂肪族ジカルボン酸の含有量は、フィルムの振動耐久性および耐熱性のさらなる向上の観点から、全二価カルボン酸成分に対して、好ましくは1~50モル%であり、より好ましくは5~40モル%、さらに好ましくは5~30モル%、特に好ましくは10~30モル%、最も好ましくは10~20モル%である。炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸として、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸の上記炭素数はカルボキシル基を構成する炭素の数を含む値である。炭素数が6~12、特に6~10である二価カルボン酸成分の中でも、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が汎用性が高く、ポリエステル樹脂(B)の溶剤溶解性が高いことから好ましい。
ポリエステル樹脂(B)を構成する二価カルボン酸成分としては、上記のTPA、IPAおよび炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸以外に、例えば、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、フマル酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルネンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸が挙げられる。二価カルボン酸成分は、その誘導体やその無水物であってもよい。
ポリエステル樹脂(B)には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、二価カルボン酸成分や二価アルコール成分以外の他のモノマー成分が用いられてもよい。他のモノマー成分としては、3価以上のカルボン酸、モノカルボン酸、3価以上のアルコール、モノアルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、オキシランが挙げられる。3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,3,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、テトラヒドロフタル酸が挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸が挙げられる。3価以上のアルコールとしては、例えば、トリメチルプロパン、グリセリンが挙げられる。モノアルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2-フェノキシエタノールが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、2-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸、6-ヒドロキシカプロン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、4-ヒドロキシフェニルステアリン酸、4-(β-ヒドロキシ)エトキシ安息香酸が挙げられる。ラクトンとしては、例えば、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトンが挙げられる。オシキランとしては、例えば、エチレンオキシドが挙げられる。
他のモノマー成分の含有量は通常、二価カルボン酸成分、二価アルコール成分および他のモノマー成分の合計量に対して、40モル%以下であり、好ましくは30モル%以下、20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、最も好ましくは0モル%である。
本発明に用いるポリエステル樹脂(B)は、非晶性であることが必要である。ポリエステル樹脂(B)が非晶性でない場合、非ハロゲン化有機溶剤に溶解しにくくなるので好ましくない。なお、本発明において、非晶性とは、示唆走査熱量計(DSC)において、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で昇温した場合に融解ピークが見られないか、融解ピークがあった場合でも、20cal/g以下であることを意味する。
本発明に用いるポリエステル樹脂(B)の数平均分子量は、フィルムの製造容易性およびポリエステル樹脂(B)の取り扱い性の観点から、35000以下であることが好ましく、3000~35000であることがより好ましく、5000~35000であることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で測定された値を用いている。
また、ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度は、フィルムの降伏強度のさらなる向上の観点から、150℃以下であることが好ましく、-40~100℃であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度は、JIS K 7121にしたがって、DSC(示差走査熱量測定)装置により測定された値を用いている。
本発明に用いるポリエステル樹脂(B)の製造方法としては、公知の溶融重合法が挙げられる。具体的には、原料モノマーを反応缶に投入し、エステル化反応をおこなった後、公知の方法で所望の分子量に達するまで重縮合させることにより製造することができる。
エステル化反応は、例えば、180℃以上の温度において4時間以上おこなわれる。
重縮合反応は、一般的には、130Pa以下の減圧下、220~280℃の温度下で、重合触媒を用いておこなわれる。
重合触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート等のチタン化合物や、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛等の金属の酢酸塩や、三酸化アンチモンや、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物が挙げられる。重合触媒の使用量は、酸成分1モルに対し、0.1×10-4~20×10-4モルとすることが好ましい。前記使用量が0.1×10-4モル未満では反応が遅くなる場合があり、前記使用量が20×10-4モルを超える場合、得られるポリエステル樹脂(B)の色調が低下する場合がある。
本発明の樹脂組成物は、ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計に対するポリエステル樹脂(B)の含有量が、1~50質量%とすることが必要で、フィルムの降伏強度のさらなる向上の観点から、5~50質量%とすることが好ましく、8~50質量%(特に10~50質量%)とすることがより好ましく、15~50質量%とすることが特に好ましく、20~50質量%とすることがさらに好ましい。前記含有量を20~50質量%とすることにより、降伏強度をより高くすることができる。ポリエステル樹脂(B)の含有量は、フィルムの降伏強度、引張弾性率、耐熱性、温度変化に対する振動安定性、振動耐久性および耐融着性のバランスの観点から、8~40質量%とすることが好ましく、25~40質量%(特に25~35質量%)とすることがより好ましい。ポリエステル樹脂(B)の含有量が1質量%未満の場合、得られるフィルムの降伏強度の向上効果が小さくなるので好ましくない。ポリエステル樹脂(B)の含有量が50質量%を超える場合、耐熱性、降伏強度、温度変化に対する振動安定性、振動耐久性および耐融着性が低下するので好ましくない。
本発明の樹脂組成物が有する形態は特に限定されず、例えば、以下の形態が挙げられる:
(x1)ポリアリレート樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)ならびに所望により使用される他の成分との混合物を有機溶剤に溶解した後、乾燥して得られる乾燥物の形態;
(x2)上記(x1)の混合物を溶融および混錬し、冷却して得られるペレット物の形態;および
(x3)上記(x1)の混合物を溶融および混錬した後、所望の形状に成形しつつ冷却して得られる成形物の形態。
上記の形態(x1)~(x3)において、他の成分は後述の添加剤から選択されてもよい。また有機溶剤は、後述の非ハロゲン化有機溶剤およびハロゲン化有機溶剤から選択されてもよい。
本発明の樹脂溶液は、ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を非ハロゲン化溶剤に溶解できれば特に製造方法は限定されないが、例えば、ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)それぞれを非ハロゲン化有機溶剤に溶解した後これらの溶液を混合したり、ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を混合した後その混合物を非ハロゲン化有機溶剤に溶解したり、まとめてポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)と非ハロゲン化有機溶剤を混合し溶解したりすることにより製造することができる。樹脂組成物は、乾燥等により樹脂溶液から非ハロゲン化有機溶剤を除去することにより得ることができる。
非ハロゲン化有機溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド化合物;1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類が挙げられる。非ハロゲン化有機溶剤は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
本発明の樹脂溶液には、本発明の効果を損なわない限りで、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、微粒子無機フィラー、顔料、染料等の添加剤を用いてもよい。前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、燐系酸化防止剤が挙げられる。
本発明の樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥することによって、基材上に被膜を設けた積層体を製造することができる。基材としては、例えば、PETフィルム、ポリイミドフィルム、銅箔、銅板、ガラス板、ステンレス板が挙げられる。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーター塗り法、フィルムアプリケーター塗り法、はけ塗り法、スプレー塗り法、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング法、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法が挙げられる。
基材上に被膜を設けた積層体から、被膜だけを剥離することにより、フィルムを得ることができる。
本発明のフィルムは、フィルムを構成する樹脂のうち、ポリアリレート樹脂成分のみからなるフィルムと対比して、機械的強度、特に降伏強度が高い。具体的には、フィルムを構成する樹脂のうち、ポリアリレート樹脂成分のみからなるフィルム(以下、「基準フィルム」と略称する。)と対比して、降伏強度を103%以上、特に105%以上とすることができ、好ましくは110%以上とすることができ、より好ましくは115%以上とすることができ、さらに好ましくは125%以上とすることができる。降伏強度は、フィルムの樹脂組成を本発明で規定する範囲とすることにより、基準フィルムと対比して、103%以上、特に105%以上とすることができる。特に、フィルムの樹脂組成を、二価フェノール成分がBisAとBisTMCとからなるポリアリレート樹脂と、二価アルコール成分がEGとBisAEOとからなり、EGとBisAEO(EG/BisAEO)のモル比率が70/30~30/70(モル比)であるポリエステル樹脂の混合組成とし、ポリエステル樹脂の含有量を、ポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂の合計に対して10~50質量%、特に10~30質量%とすることにより、降伏強度を、基準フィルムと対比して、110%以上とすることができる。
本発明のフィルムは、温度変化に対する振動安定性が高いため、広範な温度領域において、内部損失率(tanδ)が一定である。具体的には、後述する粘弾性測定において、150℃のtanδ値/25℃のtanδ値を45以下とすることができ、好ましくは40以下、より好ましくは36以下、さらに好ましくは30以下とすることができ、最も好ましくは10以下とすることができる。
また、本発明のフィルムは、振動耐久性にも優れている。具体的には、後述する粘弾性測定において、一定の周波数、歪み、周波数を与えたフィルムの破断までの時間を50分以上とすることができ、好ましくは60分以上、より好ましくは70分以上、さらに好ましくは100分以上とすることができ、最も好ましくは1000分以上とすることができる。
また、フィルムの樹脂組成を、二価フェノール成分がBisAとBisTMCとからなり、BisAとBisTMC(BisA/BisTMC)のモル比率が70/30~50/50(モル比)であるポリアリレート樹脂と、二価アルコール成分がEGとNPGとからなるポリエステル樹脂の混合組成とし、ポリエステル樹脂の含有量を、ポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂の合計に対して5~40質量%、特に10~30質量%とすることにより、耐融着性を特に高くすることができる。
本発明のフィルムは、従来品と比較して、耐熱性と弾性率が高く、かつ、機械的強度、特に降伏強度が高い。しかも、本発明のフィルムは、耐熱性、温度に対する振動安定性、振動耐久性および耐融着性に十分に優れている。そのため、本発明のフィルムは、音響用途の振動板として好適である。音響用途としては、マイクロホンカプセル、携帯電話、ハンドフリースピーチユニット、無線機器、補聴器、ヘッドホン、ミニラジオ、コンピューター、PDAにおけるマイクロホン用振動板や、イヤースピーカーまたはラウドスピーカー用振動板が挙げられる。
本発明のフィルムは、ナイフや型抜き機を用いて、または、非接触的に、例えば、ウォータージェットやレーザーを用いて、切り出し、その外周部を、合成樹脂や金属からなる支持リングやコイルで固定することにより、音響用途の振動板とすることができる。
本発明のフィルムを、音響用途の振動板または振動フィルムとして用いる場合、その厚みは通常、1~100μmであり、好ましくは3~50μm、より好ましくは5~30)μmである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
A.評価
樹脂組成物およびフィルムの物性測定は以下の方法によっておこなった。
(1)樹脂組成
得られたポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、樹脂組成物またはフィルムを、高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製ECA-500 NMR)を用いて、H-NMR分析またはDOSY-NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた(分解能:500MHz、溶媒:重クロロホルム、測定温度:50℃)。
(2)数平均分子量
得られたポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、樹脂組成物またはフィルムを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を測定した。
送液装置:ウォーターズ社製、Isocratic HPLC Pump 1515
検出器:ウォーターズ社製、Refractive Index Detector 2414
カラム:Mixed-D(充填シリカゲル粒径5μm、チューブ長さ300mm、内径7.5mm)
溶媒:クロロホルム 流速:1mL/分
測定温度:35℃
(3)ガラス転移温度
得られたポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂またはフィルムを、JIS K 7121にしたがって、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
また、下記の基準でガラス転移温度を評価した。
S:190℃以上;
A:150℃以上190℃未満;
B:110℃以上150℃未満;
C:100℃以上110℃未満(実用上問題なし);
D:100℃未満(実用上問題あり)。
(4)ヒドロキシ基濃度
得られたポリアリレート樹脂を、高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製ECA-500 NMR)を用いて、H-NMR分析し、フェノール性ヒドロキシ基に対してオルト位に位置するプロトンのピークの積分強度から、ヒドロキシ基濃度を求めた。
(分解能:500MHz、溶媒:重水素化クロロホルムとの容量比が1/11の混合溶媒、測定温度:45℃)
(5)非ハロゲン化有機溶剤への溶解性
内容量50mLのガラス製ねじ口瓶に、20質量%になるよう秤量したポリアリレート樹脂と有機溶媒の合計30gを密封し、ねじ口瓶を23℃の室温でミックスローターを用いて70rpmで24時間回転させた。その後、樹脂溶液を目視観察し、下記基準により評価した。
なお、非ハロゲン化有機溶媒としては、テトラヒドロフランとメチルエチルケトン混合溶剤(テトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=6/4(質量比))、トルエン/メチルエチルケトン混合溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=5/5(質量比))、シクロヘキサノンを用いた。
S(〇):不溶物がなく、透明であった。
D(×):不溶物があるか、不透明であった。
(6)降伏強度
得られたフィルムを、長さ6cm×幅7mmに切り出し、得られたサンプルについて、インテスコ社製引張試験機Model2020を用いて、23℃、60%RHの環境下、引張速度50mm/分で、降伏強度を測定した。また、基準フィルムの降伏強度と対比し、以下の基準で評価した。具体的には、実施例1~13および比較例1~5は参考例1と対比し、実施例14および比較例6は参考例2と対比し、比較例7は参考例3と対比した。
降伏強度の比=(得られたフィルムの降伏強度/基準フィルムの降伏強度)×100(%)
S:125%以上;
A:110%以上125%未満;
B:105%以上110%未満;
C:103%以上105%未満(実用上問題なし);
D:103%未満(実用上問題あり)。
なお、サンプルが脆くて、引張試験機に装着できなかったものについては、値を「-」とし、評価を「×」とした。「×」は評価結果「D」に包含される。
(7)引張弾性率
得られたフィルムを、長さ6cm×幅7mmに切り出し、得られたサンプルについて、インテスコ社製引張試験機Model2020を用いて、23℃、60%RHの環境下、引張速度50mm/分で、引張弾性率を測定した。また、基準フィルムの引張弾性率と対比し、以下の基準で評価した。具体的には、実施例1~13および比較例1~5は参考例1と対比し、実施例14および比較例6は参考例2と対比し、比較例7は参考例3と対比した。
引張弾性率の比=(得られたフィルムの引張弾性率/基準フィルムの引張弾性率)×100(%)
S:125%以上;
A:115%以上125%未満;
B:105%以上115%未満;
C:100.5%以上105%未満(実用上問題なし);
D:100.5%未満(実用上問題あり)。
なお、サンプルが脆くて、引張試験機に装着できなかったものについては、値を「-」とし、評価を「×」とした。「×」は評価結果「D」に包含される。
(8)温度変化に対する振動安定性
得られたフィルムを、長さ4cm×幅4mmに切り出し、得られたサンプルについて、レオメトリック社製粘弾性アナライザーRSAIIを用いて、周波数1.0Hz、測定温度範囲0~250℃、歪み0.20%の条件で、内部損失率(tanδ)を測定した。
150℃のtanδ値/25℃のtanδ値を求め、以下の基準で評価した。
S:10以下;
A:10を超え36以下;
B:36を超え40以下;
C:40を超える45以下(実用上問題なし);
D:45を超える(実用上問題あり)。
なお、サンプルが脆くて、粘弾性アナライザーに装着できなかったものについては、値を「-」とし、評価を「×」とした。また、測定開始後、5分以内に測定できなくなったものについては、オーブンを確認し、サンプルが溶融していた場合、値を「-」とし、評価を「×」とした。「×」は評価結果「D」に包含される。
(9)振動耐久性
得られたフィルムを、長さ4cm×幅4mmに切り出し、得られたサンプルについて、レオメトリック社粘弾性アナライザーRSAIIを用いて、周波数25.0Hz、測定温度100℃、歪み0.30%、荷重0.25kgf、測定時間1200分の条件で、フィルムが破断するまでの時間を求めた。
また、下記の基準で、破断するまでの時間を評価した。
S:1000分以上;
A:75分以上1000分未満;
B:60分以上75分未満;
C:50分以上60分未満(実用上問題なし);
D:50分未満(実用上問題あり)。
なお、サンプルが脆くて、粘弾性アナライザーに装着できなかったものについては、値を「-」とし、評価を「×」とした。また、測定開始後、5分以内に測定できなくなったものについては、オーブンを確認し、サンプルが溶融していた場合、値を「-」とし、評価を「×」とした。「×」は評価結果「D」に包含される。
(10)耐融着性
得られたフィルムを5cm角に切り出し、フィルム同士を重ね合わせて金属板上に置き、上から2kgの荷重を負荷し、100℃の熱風乾燥器内に2時間静置後、フィルム間の剥離を試みることにより、下記の基準で評価した。
S:剥離することができ、かつ、剥離したときにフィルムが変形しなかった;
A:剥離することはできたが、剥離したときにフィルムが僅かに変形した;
B:剥離することはでき、剥離したときにフィルムが比較的大きく変形したが、破断しなかった;
C:剥離することはできたが、剥離したときにフィルムが僅かに破断した(実用上問題なし);
D:剥離できなかった(実用上問題あり)。
(11)総合評価
各実施例/比較例において、非ハロゲン化有機溶剤への溶解性、降伏強度、引張弾性率、耐熱性(ガラス転移点)、温度変化に対する振動安定性、振動耐久性および耐融着性に関する評価結果のうち、最低の評価結果を総合評価結果として示した。
B.原料
(1)ポリアリレート樹脂(A1)の調製
水冷用ジャケットと攪拌装置を備えた内容積100Lの反応容器中に、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)822g、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BPTMC)744g、末端封止剤としてp-tert-ブチルフェノール(PTBP)45g、アルカリとして水酸化ナトリウム850gを仕込み、水30Lに溶解した(水相)。これとは別に、塩化メチレン18Lに、テレフタル酸クロライド(TPC)624gと、イソフタル酸クロライド(IPC)624gを溶解した(有機相)。(BPA:BPTMC:TPC:IPC:PTBP=60:40:50:50:0.3(モル比))。それぞれの液を20℃になるよう調節した後、前記水相に、重合触媒としてベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの50%水溶液を15g添加し、さらに前記塩化メチレン溶液を全量投入し、6時間攪拌を続けた後、攪拌機を停止した。
静置分離後、水相を抜き出し、残った有機相に酢酸20gを添加した。その後、イオン交換水30Lを投入し、20分間攪拌してから再度静置して水相を抜き出した。この水洗操作を水相が中性になるまで繰り返した。その後、有機相を、ホモミキサーを装着した容器に入った50℃の温水中に投入して塩化メチレンを蒸発させた。その後、脱水処理し、真空乾燥機を用いて130℃減圧下24時間乾燥してポリアリレート樹脂(A1)を得た。
得られたポリアリレート樹脂の最終樹脂組成は、仕込組成と同一であった。
(2)ポリアリレート樹脂(A2)および(A4)
用いる原料の割合を表1のように変更した以外は、ポリアリレート樹脂(A1)を調製する際と同様の操作をおこなって、ポリアリレート樹脂(A2)および(A4)を作製した。
得られたポリアリレート樹脂の最終樹脂組成は、仕込組成と同一であった。
(3)ポリアリレート樹脂(A3)
テレフタル酸83質量部、イソフタル酸83質量部、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン114質量部、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン232質量部、無水酢酸255質量部を、撹拌装置を備えた反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で、常圧、140℃で2時間撹拌混合させて反応させた(アセチル化反応)。
続いて、140℃でp-ヒドロキシ安息香酸345質量部を投入した後、280℃まで3時間かけて昇温し、280℃で1時間保持した。その後280℃で90分かけて130Paまで減圧し、2時間撹拌して、ポリアリレート樹脂(A3)を得た(脱酢酸重合反応)(BPA:BPTMC:TPA:IPA:PHBA:無水酢酸=50:75:50:50:250:250(モル比))。
得られたポリアリレート樹脂の最終樹脂組成は、仕込組成と同一であった。
ポリエステル樹脂(A1)~(A4)の調製時の最終樹脂組成および特性値を表1に示す。
Figure 0007345172000005
表1における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
BPA:2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
BPTMC:1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン
PHBA:p-ヒドロキシ安息香酸
(5)ポリエステル樹脂(B1)の調製
テレフタル酸83質量部(50モル%)、イソフタル酸83質量部(50モル%)、ビスフェノールAエチレンオキシド付加体158質量部(50モル%)、エチレングリコール52質量部(85モル%)および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量部を反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を240℃にし、系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1~10-5Pa)に到達してから、さらに3時間重合反応をおこなって、ポリエステル樹脂(B1)を得た。
(6)ポリエステル樹脂(B2)~(B4)
使用するモノマーの種類とその組成を表2のように変更した以外は、ポリエステル樹脂(B1)を調製する際と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂(B2)~(B4)を得た。
ポリエステル樹脂(B1)~(B4)の各々をDSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で昇温したとき、融解ピークは見られなかったため、これらのポリエステル樹脂はいずれも非晶性を有していた。
ポリエステル樹脂(B1)~(B4)の調製時の仕込組成、最終樹脂組成および特性値を表2に示す。
Figure 0007345172000006
表2における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
SE:セバシン酸
BAEO:ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体
NPG:2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール
BD:1,4-ブタンジオール
PTMG:ポリテトラメチレングリコール1000
EG:エチレングリコール
εCL:ε-カプロラクトン





実施例1
樹脂固形成分の濃度が17.5質量%になるように、ポリアリレート樹脂(A1)と、ポリエステル樹脂(B1)と、テトラヒドロフランとメチルエチルケトン混合溶剤(テトラヒドロフラン/メチルエチルケトン=6/4(質量比))とを混合し、ペイントシェイカーで浸とうして、樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液を、安田精機製作所社製のNo.542-ABオートマチックフィルムアプリケーターを用いてバーコーターで、乾燥した後の塗膜の厚みが20~30μmとなるように、ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製エンブレット、厚み約120μm)の基材の表面(非コロナ面)に塗布した。室温で30秒間風乾した後、熱風乾燥器を用いて130℃で2分間乾燥し、PETフィルムから皮膜を剥離し、減圧下、150℃で24時間乾燥して、フィルムを得た。
実施例2~14、比較例1~7および参考例1~7
樹脂組成が表3または表4の通りになるように、用いるポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂とを変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、樹脂溶液を得て、フィルムを得た。
表3および表4に、実施例、比較例および参考例で得られたフィルムの樹脂組成および特性値を示す。
Figure 0007345172000007
Figure 0007345172000008
実施例1~14のフィルムは、いずれも、本発明で規定する要件を満たしていたために、非ハロゲン化溶剤に溶解可能であって、基準フィルムと対比して、降伏強度が103%以上、例えば105%以上と高かった。
実施例1~5のフィルムを対比することにより、ポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂の合計に対するポリエステル樹脂の含有量を、1~50質量%、好ましくは50~50質量%、より好ましくは8~50質量%(特に10~50質量%)、さらに好ましくは20~50質量%とすると、特に降伏強度が向上することがわかる。ポリアリレート樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B1)とを組み合わせて用いた実施例1~5および比較例2ならびにポリアリレート樹脂(A1)またはポリエステル樹脂(B1)の一方を用いた参考例1および4で得られたフィルムに関し、降伏強度とポリエステル樹脂の比率との関係を示すグラフを図1に示す。
実施例6~9のフィルムを対比することによっても、ポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂の合計に対するポリエステル樹脂の含有量を、1~50質量%、好ましくは5~50質量%、より好ましくは8~50質量%(特に10~50質量%)、さらに好ましくは20~50質量%とすると、特に降伏強度が向上することがわかる。ポリアリレート樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B2)とを組み合わせて用いた実施例6~9およびポリアリレート樹脂(A1)またはポリエステル樹脂(B2)の一方を用いた参考例1および5で得られたフィルムに関し、降伏強度とポリエステル樹脂の比率との関係を示すグラフを図2に示す。
実施例10~12のフィルムを対比することによっても、ポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂の合計に対するポリエステル樹脂の含有量を、1~50質量%、好ましくは5~50質量%、より好ましくは8~50質量%(特に10~50質量%)、さらに好ましくは20~50質量%とすると、特に降伏強度が向上することがわかる。ポリアリレート樹脂(A1)とポリエステル樹脂(B3)とを組み合わせて用いた実施例10~12およびポリアリレート樹脂(A1)を用いた参考例1で得られたフィルムに関し、降伏強度とポリエステル樹脂の比率との関係を示すグラフを図3に示す。
また、実施例6~9のフィルムを対比することにより、ポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂の合計に対するポリエステル樹脂の含有量を、10~30質量%とすることにより、特に耐融着性が向上することがわかる。
また、実施例10~12のフィルムを対比することにより、ポリアリレート樹脂とポリエステル樹脂の合計に対するポリエステル樹脂の含有量を5~20質量%、より好ましくは10~20質量%とすることにより、特に振動耐久性が向上することがわかる。
比較例1のフィルムは、ポリアリレート樹脂の分子量が小さかったため、フィルムが脆く、実用に値するものではなかった。
比較例2、3、4、6のフィルムは、ポリエステル樹脂の配合量が多かったため、基準フィルムと対比して、降伏強度が向上しなかった。また、いずれも、温度変化に対する振動安定性について、粘弾性アナライザーのオーブンの温度が、フィルムを構成する樹脂のガラス転移点よりも高かったため、測定開始後すぐにサンプルが溶融し、測定ができなかった。
比較例5のフィルムは、ポリエステル樹脂を配合しなかったため、基準フィルムと対比して、降伏強度はほとんど向上しなかった。
比較例7は、(1)式で示される脂環式二価フェノールを含有してしないポリアリレート樹脂を配合したため、非ハロゲン化溶剤に不溶であった。
本発明の樹脂組成物は音響用途の振動板または振動フィルムの製造に有用である。

Claims (16)

  1. 二価フェノール成分と二価芳香族カルボン酸成分を主成分とし、二価フェノール成分に、式(1)で示される脂環式二価フェノールを含有し、数平均分子量が20000以上であるポリアリレート樹脂(A)と、
    非晶性のポリエステル樹脂(B)とからなり
    ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の合計に対するポリエステル樹脂(B)の含有量が1~50質量%である樹脂組成物であって
    前記ポリエステル樹脂(B)の二価アルコール成分に、(i)エチレングリコール(EG)と二価フェノールのアルキレンオキシド付加体を含有するか、(ii)エチレングリコールと2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールを含有するか、(iii)1,4-ブタンジオールとε-カプロラクタムを含有するか、または(iv)2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールとポリテトラメチレングリコールとエチレングリコールを含有する、樹脂組成物。
    (式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子またはハロゲン化炭化水素基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基を表し、Xは、ヒドロキシフェニル基が結合する炭素原子とともに飽和脂肪族炭化水素環を形成する炭素原子を表し、mは、4~11の整数を表す。)
  2. 式(1)で示される脂環式二価フェノールが、式(2)で示される脂環式二価フェノールである、請求項1に記載の樹脂組成物。
    (式(2)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子またはハロゲン化炭化水素基を表し、Rは、炭化水素基、nは、0~10の整数を表す。)
  3. 式(2)で示される脂環式二価フェノールが、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)である、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 式(1)中、mは4~6の整数を表す、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. ポリアリレート樹脂(A)の二価フェノール成分に、さらに、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. ポリアリレート樹脂(A)の二価フェノール成分が、BisAとBisTMCとからなり、BisAとBisTMC(BisA/BisTMC)のモル比率が30/70~70/30(モル比)である、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
    脂組成物。
  7. 前記ポリエステル樹脂(B)が前記(i)の場合であり、前記アルキレンオキシド付加体がビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BisAEO)である、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記ポリエステル樹脂(B)が前記(i)の場合であり、前記二価アルコール成分が、EGとBisAEOとからなり、EGとBisAEO(EG/BisAEO)のモル比率が60/40~40/60(モル比)である、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記ポリエステル樹脂(B)の二価カルボン酸成分に、炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸を含有する、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 前記ポリエステル樹脂(B)において、前記炭素数が6~12の脂肪族ジカルボン酸の含有量が、全二価カルボン酸成分に対して、5~50モル%である、請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 前記ポリアリレート樹脂(A)において、前記式(1)で示される脂環式二価フェノールの含有量が、全二価フェノール成分に対して30~100モル%である、請求項1~10のいずれかに記載の樹脂組成物。
  12. 前記樹脂組成物のみからなるフィルムの降伏強度は、前記ポリアリレート樹脂(A)のみからなるフィルムの降伏強度と対比して、103%以上であり、
    前記樹脂組成物のみからなるフィルムの引張弾性率は、前記ポリアリレート樹脂(A)のみからなるフィルムの引張弾性率と対比して、100.5%以上である、請求項1~11のいずれかに記載の樹脂組成物。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物を非ハロゲン化有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液。
  14. 請求項13に記載の樹脂溶液を基材上に塗布し乾燥してなる積層体。
  15. 請求項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
  16. 請求項1~12のいずれかに記載の樹脂組成物を含有するマイクロホン振動板またはスピーカー振動板。
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