JP6177568B2 - ポリアリレート樹脂組成物およびそれを用いた樹脂塗膜、フィルム - Google Patents
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Description
このようなポリアリレート樹脂は、塩化メチレン等の塩素系溶媒の溶液として溶液流延法を主とした製法で、フィルム用途にも使用されている(例えば、特許文献1)。例えばフィルムコンデンサの様な電気・電子用途、タッチパネル、液晶などの構成物に加え、音響特性を活かしたスピーカー用振動板フィルムとしての利用例がある(例えば、特許文献2,3)。
このようなスピーカー用振動板フィルムは、近年、携帯電話等の小型の電子機器に搭載され多く用いられている。小型化が必要であるがゆえに、熱源であるボイスコイルと振動板が直付けされる場合が多く、振動板には耐熱性が必要であった。
耐熱性を有する振動板フィルムとしては、従来よりポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂等が検討されている。
ポリエーテルイミド樹脂は耐熱性の点で満足できる材料であったが、その材料物性上硬い材料であり、スピーカーとしての低域共振周波数を下げること(低F0化)ができず、低域の再生帯域を拡大することができなかった。また、内部損失が低く、ローリング等が起こりやすく歪みが大きくなり、音質劣化を招きやすい材料であった。また溶融押出し法による製法であるため、膜厚の均質化が図りにくく、スピーカー特性上の不具合を招きやすかった。
一方でポリアリレート樹脂は耐熱性、柔軟性を兼ね備えるため、低F0化しやすく、低域の再生帯域拡大を図りやすい。また、ポリエーテルイミドのより内部損失が高く、振動板の不要共振の抑制も図りやすい。また溶液流延法によるフィルム化が容易であるため、フィルム膜厚のバラツキが低減し、さらなるスピーカー特性の向上を図ることができた。
第一に、スピーカー用振動板フィルムとして用いる場合、低域再生帯域の拡大のためさらなる低F0化が必要である。これに対してはスピーカー振動板フィルムを薄膜化することで対応が可能である。
近年、携帯電話、スマートフォンでは、高出力で長時間使用されるにともない、スピーカー振動板の割れが顕在化している。振動板の割れも薄膜化することで低減が可能である。
しかしながら、ポリアリレート樹脂を用いて薄膜フィルムを得ることは、非常に困難であった。元々ポリアリレート樹脂は溶融押出では、加工温度が高いため、ゲル(フィッシュアイ)が発生しやすく、均一厚みのフィルムを得ることも難しい。これに対し、溶液流涎法において、薄膜フィルムを得る場合、通常希薄溶液を流涎、乾燥することで薄膜化が可能であった。しかしながら、溶液粘度が低くはじき等で膜厚が安定しなかった。
一方、はじき解消のために高固形分濃度の樹脂溶液を用いた場合、塗工機ダイから供給される液量変動の影響を受けやすく膜厚が安定しなかった。これらは、低固形分濃度であっても溶液粘度の高い樹脂溶液を用いることで解消できると考えた。
樹脂溶液は、用いるポリアリレート樹脂を高分子量化することで、高粘度化が可能である。ポリアリレート樹脂を高分子量化は、また、振動疲労強度を向上させ、割れ耐性も高まる。すなわち、薄膜フィルムであっても絞り等の二次加工においても偏肉を減少し、割れ耐性、さらにはスピーカーの長時間使用においても十分な耐久性を有する振動疲労強度を高めたフィルムとすることが可能である。
一方で、溶液流涎法でフィルム化を試みる場合、用いる有機溶剤に対する下記要求もあった。近年、環境問題に対する対応から非ハロゲン系有機溶剤を積極的に使用する風潮が高い。通常ポリアリレート樹脂は、多くのハロゲン系有機溶剤に対して易溶である。しかし、非ハロゲン系溶剤に対しては溶剤溶解性が十分ではなく、高濃度の樹脂溶液を得ることは難しかった。したがって、溶解性が低く低濃度の樹脂溶液を用いたとしても、製膜性に支障の出ないポリアリレート樹脂とする必要がある。このような観点からも分子量を高めたポリアリレート樹脂を得る必要性がある。
第二に、スピーカー用振動板フィルムとして用いるには、低域に加え、高域の特性向上が必要である。通常、高域特性の向上のためには、用いる材料の弾性率を高めることが考えられる。この点で、ポリアリレート樹脂は、ポリエーテルイミド樹脂よりも弾性率が低く、改善が求められていた。
以上のことから、現在使用されているスピーカー用振動板フィルムとしては、低F0化のためにフィルムを薄膜化すること、その際割れ耐性、振動疲労強度を十分高めるためにポリアリレート樹脂を高分子量化すること、一方で高域特性の改善のために、ポリアリレート樹脂の弾性率を高めることが必要である。
従来より、ポリアリレート樹脂は、種々の特性バランス、操業性の観点から、界面重合法を主体として製造が行なわれている。通常、ポリアリレート樹脂の分子量は、得られる樹脂の要求特性から、所定の分子量となるよう末端封止剤を用いて分子量の制御が行なわれている。このような末端封止の操作によって従来のポリアリレート樹脂であっても高分子量化は可能であった。しかしながら、高分子材料の有する弾性率は、材料固有の特性であるため、たとえポリアリレート樹脂を高分子量化したとしても、高弾性率化は容易ではなかった。
本発明では、従来のポリアリレート樹脂の耐熱性、機械的特性を維持したまま、十分に高分子量化し、さらに弾性率を高めたポリアリレート樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)有機溶剤中でポリアリレート樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)を反応させるポリアリレート樹脂組成物の製造方法であって、ポリアリレート樹脂組成物が、ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物(B)0.3〜5質量部を含有し、重量平均分子量(Mw)が7万以上であるポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
(2)ポリアリレート樹脂(A)の下記条件(i)、(ii)で測定されるインヘレント粘度(η1)、インヘレント粘度(η0)の関係が、(η1)/(η0)=0.98未満である(1)に記載のポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
(i)酢酸ナトリウムを0.01mol/L含むフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)混合溶媒で測定されるインヘレント粘度(η1)
(ii)酢酸ナトリウム非存在下、テトラクロロエタン溶液で測定されるインヘレント粘度(η0)
(3)引張弾性率が2.0GPa以上である(1)または(2)に記載のポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
(4)カルボジイミド化合物(B)が芳香族ポリカルボジイミドである(1)〜(3)いずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
(5)ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物(B)0.3〜5質量部を含有するポリアリレート樹脂組成物であって、重量平均分子量(Mw)が7万以上であるポリアリレート樹脂組成物を含有する樹脂溶液。
(6)ポリアリレート樹脂(A)の下記条件(i)、(ii)で測定されるインヘレント粘度(η 1 )、インヘレント粘度(η 0 )の関係が、(η 1 )/(η 0 )=0.98未満であるポリアリレート樹脂組成物を含有する(5)に記載の樹脂溶液。
(i)酢酸ナトリウムを0.01mol/L含むフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)混合溶媒で測定されるインヘレント粘度(η 1 )
(ii)酢酸ナトリウム非存在下、テトラクロロエタン溶液で測定されるインヘレント粘度(η 0 )
(7)引張弾性率が2.0GPa以上であるポリアリレート樹脂組成物を含有する(5)または(6)に記載の樹脂溶液。
(8)カルボジイミド化合物(B)が芳香族ポリカルボジイミドであるポリアリレート樹脂組成物を含有する(5)〜(7)いずれかに記載の樹脂溶液。
(9)(5)〜(8)いずれかに記載の樹脂溶液から形成される樹脂塗膜。
(10)(9)に記載の樹脂塗膜が基材上に形成された積層体。
上記インヘレント粘度の測定において、条件(i)でのインヘレント粘度とは、所定量の酢酸ナトリウム存在下、フェノール/テトラクロロエタン = 6/4(質量比)溶液を用い温度25℃で測定されるインヘレント粘度(η1)であり、条件(ii)でのインヘレント粘度とは、酢酸ナトリウム非存在下、テトラクロロエタン溶液を用い温度25℃で測定されるインヘレント粘度(η0)である。
ポリアリレート樹脂(A)中の酸無水物結合は、ポリアリレートの重合時に副次的に起きる反応により生成されるものである。酸無水物結合を増やすには、ポリアリレートの重合反応速度を落とすこと、芳香族ジカルボン酸クロライドの加水分解反応を進めることが効果的である。前者については、用いる重合触媒の種類の選定、配合量、重合時の撹拌速度の制御、後者については、反応時の水相のアルカリ濃度を高めることで制御が可能である。
なお、架橋剤としては、カルボジイミド化合物のほかに、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。本発明においては、低温でポリアリレート樹脂と反応可能なカルボジイミド化合物が最も適しており、後述する有機溶剤、例えば、ポリアリレート樹脂の溶解性に優れた塩化メチレン(沸点40℃)、クロロホルム(沸点61℃)に溶解し、その樹脂溶液中で反応が可能である、つまり、用いる有機溶剤の沸点よりも低い温度で反応が可能なカルボジイミド化合物が好適に用いることができる。
このようにポリアリレート樹脂(A)を溶解した樹脂溶液中で、カルボジイミド化合物(B)との反応を進行させることは、ポリアリレート分子鎖中に存在する酸無水物結合が少ない場合であっても、カルボジイミド化合物(B)と確実に反応するため、所望する高分子量のポリアリレート樹脂組成物とすることが可能である。
また、固形分濃度を下げることも効果的であり、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。加えてゲル化は保存温度の影響も受ける。ポリアリレート樹脂(A)の場合、ゲル化は溶剤結晶化に起因することがあるため低温で保管することが好ましく、常温以下、0〜5℃程度で保管することがより好ましい。
(1)ポリアリレート樹脂およびポリアリレート樹脂組成物のインヘレント粘度(η0)
ポリアリレート樹脂またはポリアリレート樹脂組成物を濃度1g/dlとなるように1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解した。ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度にて試料溶液および溶媒の落下時間を測定し、以下の式を用いてインヘレント粘度を求めた。なお、ポリアリレート樹脂組成物については、150℃×24h真空乾燥処理後測定を行った。
インヘレント粘度=ln[(試料溶液の落下時間/溶媒のみの落下時間)/樹脂濃度(g/dl)]
用いる溶媒をフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=6/4(質量比)溶液に対し、酢酸ナトリウムを0.01mol/Lを配合した混合溶媒とした以外は、インヘレント粘度(η0)と同様にして、インヘレント粘度(η1)の測定を行った。
インヘレント粘度(η0)とインヘレント粘度(η1)より(η1)/(η0)を求めた。(η1)/(η0)は、ポリアリレート分子鎖中の酸無水物結合存在量の程度を示す指標である。(η1)/(η0)が小さくなるほど、酸無水物結合の存在量が多いことを示し、(η1)/(η0)が1に近づくほど、酸無水物結合は殆ど存在しない。本発明においては、(η1)/(η0)は0.9以上であることが好ましい。
実施例記載の所定のポリアリレート樹脂100質量部、所定のカルボジイミド化合物0.3質量部を均一にドライブレンドした後、50mlスクリュー管中にクロロホルム45g、前記ブレンド物5g秤量し、23℃下ウェーブローダーを用い70rpmで撹拌し樹脂溶液の調製を行った。撹拌は、常温下(23℃)で3日間行った。
前記「(4)樹脂溶液の調製」で得られた樹脂溶液について、撹拌の途中(調整後1日目)、撹拌終了後(調整後3日目)の樹脂溶液をスクリュー管から一部抜き取った。撹拌終了後の樹脂溶液をさらに、常温(23℃)で、樹脂溶液の調製から5日目、180日目まで静置保管した。以上の調整後1、3、5、180日目の樹脂溶液のそれぞれにつき、60℃にて12h乾燥しポリアリレート樹脂組成物を得て、下記方法により、重量平均分子量の測定を行った。なお、1日目と3日目、または3日目と5日目の重量平均分子量の値を対比し、数値変化が無い場合、その時点を持って反応が完了したものとみなす。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
・送液装置:ウォーターズ社製Isocratic HPLC Pump 1515
・検出器:ウォーターズ社製Refractive Index Detector 2414
・カラム:Mixed−D(充填シリカゲル粒径5μm、チューブ長さ300mm、内径7.5mm)
・溶媒:クロロホルム
・流速:1mL/分
・測定温度:40℃
「(5)ポリアリレート樹脂組成物の重量平均分子量」で得られた調整後3日目、180日目の重量平均分子量の結果より、下式により重量平均分子量の保持率を算出した。重量平均分子量の保持率の値が大きいほど樹脂溶液の保存安定性に優れるものと判断をした。
重量平均分子量の保持率=(調整後180日目の重量平均分子量)/(調整後3日目の重量平均分子量)×100
「(5)ポリアリレート樹脂組成物の重量平均分子量」で得られた調整後3日目のポリアリレート樹脂組成物を、有機溶剤としてジオキソラン、シクロペンタノンを用い、それぞれに濃度10質量%となるように溶解した。これらを24時間撹拌し、残渣が無かった場合、得られた樹脂溶液をさらに常温(23℃)で2週間静置保管した。2週間経過後の樹脂溶液の挙動を下記基準より判断した。
◎:変化なし
○:一部白濁しているが、溶液は固まっていない
△:白濁し、溶液も固化している
×:残渣有
「(5)ポリアリレート樹脂組成物の重量平均分子量」で得られた調整後3日目の樹脂溶液を用い、得られた厚さ100μmのフィルムを、熱風乾燥機中で150℃、1000h熱処理を行った。熱処理後のフィルムにつき、前記同様に重量平均分子量を測定した。得られた熱処理後の重量平均分子量の結果、および(5)で求めた調整後3日目の重量平均分子量の結果より、下式により重量平均分子量の保持率を算出した。
重量平均分子量の保持率は、実用的には75%以上であることが好ましい。
重量平均分子量の保持率 =(熱処理後フィルム重量平均分子量)/(調整後3日目の重量平均分子量)×100
JIS K−2318に準拠して、インテスコ社製引張圧縮試験機を用い、厚み100μmのフィルムの引張弾性率を測定した。引張弾性率は、実用的には2.0GPaであることが好ましい。
100×100mmサイズの厚み10μmのフィルムにおいて、接触式フィルム厚み測定器を用い任意の10所について厚みの測定を行った。この操作を3枚のフィルムで実施した。測定点30ヶ所の測定結果より標準偏差(σ)を求めた。標準偏差が小さいほど膜厚均一性が高いと判断した。実用的には、標準偏差は0.15以下が好ましい。
100μmフィルムを用い、温度を220〜260℃まで変更し、圧空成形機を用い直径100mmであるスピーカーコーン形状の成形体を加工し成形性を判断した。最も良好な温度条件で成形した際の状態を下記のように判定した。
○:成形後の厚みは均一であった。
△:成形後の厚みがやや不均一であった。
×:割れ、破れ等があった。
・(b−1):芳香族型ポリカルボジイミド
ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)カルボジイミド、ラインケミー社製「スタバックゾールP−400」、数平均分子量約6400。
・(b−2):芳香族型ポリカルボジイミド(オリゴマータイプ)
ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)カルボジイミド、ラインケミー社製「スタバックゾールP」、数平均分子量約700。
・(b−3):脂環族型ポリカルボジイミド
ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、日清紡社製「LA−1」。
・(b−4):芳香族型モノポリカルボジイミド
N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ラインケミー社製「スタバックゾールI」。
・(c−1):エポキシ化合物
EGMA(エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体)−g(グラフト)−AS(アクリロニトリルスチレン)共重合体、日油社製「モディパーA4400」、EGMA/AS=70/30(質量比)、E/GMA=85/15(質量比)。
攪拌装置を備えた反応容器中において2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)6.0モル、p−t−ブチルフェノール0.21モル、水酸化ナトリウムを18.3モル(アルカリ倍率1.5(倍/フェノール水酸基))を水20リットルに溶解した後、相間移動触媒であるトリブチルベンジルアンモニウムクロライド(TMBAC)0.042モルを添加し溶解させた(水相)。別にテレフタル酸クロライドとイソフタル酸クロライドの1:1混合物6.1(テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド共に3.04モル)モルを10リットルの塩化メチレンに溶解した(有機相)。反応容器内温度を30℃に保ち、水相に有機相を添加した。その後強撹拌を施しこの状態で2時間反応を行った後攪拌を停止して10分間静置し、水相と有機相を分離させた。水相を分離して体積の測定を行った後、有機相に20リットルの水と酢酸を添加して中和した。さらに有機相を20リットルの水で5回洗浄した後、有機相を大量のメタノール中に投下してポリマーを沈澱させ、沈澱したポリマーを単離、乾燥し、ポリアリレート樹脂(a−1)を得た。その結果を表1に示す。
ビスフェノール、p−t−ブチルフェノール、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライドの配合比率、及び、触媒の種類、アルカリ倍率、反応容器内温度を表1記載の組成比、条件とする以外は、製造例1と同様の操作を行って、ポリアリレート樹脂(a−2)〜(a−5)を得た。その結果を表1に示す。
ポリアリレート樹脂(a−1)を、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=6/4(質量比)混合溶媒に対し、酢酸ナトリウムを0.01mol/Lを配合した溶媒に溶解させ、3時間静置させた。その後、メタノール中にてポリマーを再沈殿させ、得られたポリマーをメタノール中で2日間浸漬させることで洗浄して、ポリアリレート樹脂(a−6)を得た。その結果を表1に示す。
ポリアリレート樹脂の重量平均分子量が7万以上となるように、表1記載の原料の仕込み、重合条件とする以外は、製造例1と同様の操作を行って、ポリアリレート樹脂(a−7)を得た。その結果を表1に示す。
ポリアリレート樹脂(a−1)100質量部、カルボジイミド化合物(b−1)0.3質量部を均一にドライブレンドした後、50mlスクリュー管中にクロロホルム45g、前記ブレンド物5g秤量し、23℃下ウェーブローダーを用い70rpmで撹拌した。攪拌開始1、3、180日経過後、同一のスクリュー管から樹脂溶液(濃度10質量%)を3ml抜き取り、60℃にて12h乾燥しポリアリレート樹脂組成物を得た。
前記攪拌開始1、3、180日経過後のそれぞれについてポリアリレート樹脂組成物の重量平均分子量を測定した。また、攪拌開始後3日経過後に得られたポリアリレート樹脂組成物についてインヘレント粘度を測定した。
さらに、撹拌開始3日経過後の樹脂溶液(濃度10質量% )を10ml抜き取り、バーコーターを用いてガラス基板上に厚さ1000μmとなるようキャストした。室温で120分乾燥後、フィルムをガラス基板から引き剥がし、ステンレス製枠でフィルムを固定した状態で、真空乾燥機内150℃、12h乾燥し、乾燥厚さ100μmのフィルムを得た。
また、クロロホルム47.5g、前記ブレンド物2.5g、樹脂溶液濃度5質量%、キャスト時の樹脂溶液の設定厚みを200μmとした以外は、前記同様の操作を行って、厚さ10μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、各種評価を行った。その結果を表2に示す。
表2記載の配合に従う以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂組成物を得、得られたフィルムについても各種評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例9
表2記載の実施例3の配合に従い、攪拌時の雰囲気温度を5℃とする以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂組成物を得て各種評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例10
表2記載の実施例3の配合に従い、攪拌時の雰囲気温度を35℃とする以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂組成物を得て各種評価を行った。その結果を表2に示す。
表3記載の配合に従う以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート樹脂組成物を得て各種評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例1と同一の原料の仕込みとし、二軸混練押出機を用い溶融混練を行い、ポリアリレート樹脂組成物を得た。溶融混練の条件は、樹脂温度340℃、スクリュー回転300rpm、吐出量20kgとした。得られたポリアリレート樹脂組成物について各種評価を行った。その結果を表3に示す。
なお、実施例9は、より低温で攪拌したことにより分解反応が抑えられ、分子量が高く保持されており、ポリアリレート樹脂組成物の耐熱性が優れるものであった。
Claims (10)
- 有機溶剤中でポリアリレート樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)を反応させるポリアリレート樹脂組成物の製造方法であって、ポリアリレート樹脂組成物が、ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物(B)0.3〜5質量部を含有し、重量平均分子量(Mw)が7万以上であるポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
- ポリアリレート樹脂(A)の下記条件(i)、(ii)で測定されるインヘレント粘度(η1)、インヘレント粘度(η0)の関係が、(η1)/(η0)=0.98未満である請求項1に記載のポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
(i)酢酸ナトリウムを0.01mol/L含むフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)混合溶媒で測定されるインヘレント粘度(η1)
(ii)酢酸ナトリウム非存在下、テトラクロロエタン溶液で測定されるインヘレント粘度(η0) - 引張弾性率が2.0GPa以上である請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
- カルボジイミド化合物(B)が芳香族ポリカルボジイミドである請求項1〜3いずれかに記載のポリアリレート樹脂組成物の製造方法。
- ポリアリレート樹脂(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物(B)0.3〜5質量部を含有するポリアリレート樹脂組成物であって、重量平均分子量(Mw)が7万以上であるポリアリレート樹脂組成物を含有する樹脂溶液。
- ポリアリレート樹脂(A)の下記条件(i)、(ii)で測定されるインヘレント粘度(η 1 )、インヘレント粘度(η 0 )の関係が、(η 1 )/(η 0 )=0.98未満であるポリアリレート樹脂組成物を含有する請求項5に記載の樹脂溶液。
(i)酢酸ナトリウムを0.01mol/L含むフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)混合溶媒で測定されるインヘレント粘度(η 1 )
(ii)酢酸ナトリウム非存在下、テトラクロロエタン溶液で測定されるインヘレント粘度(η 0 ) - 引張弾性率が2.0GPa以上であるポリアリレート樹脂組成物を含有する請求項5または6に記載の樹脂溶液。
- カルボジイミド化合物(B)が芳香族ポリカルボジイミドであるポリアリレート樹脂組成物を含有する請求項5〜7いずれかに記載の樹脂溶液。
- 請求項5〜8いずれかに記載の樹脂溶液から形成される樹脂塗膜。
- 請求項9に記載の樹脂塗膜が基材上に形成された積層体。
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