JP5166179B2 - 水性分散体混合物、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜 - Google Patents

水性分散体混合物、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜 Download PDF

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Description

本発明は、2種類の樹脂を特定の割合で含有している、水性分散体の混合物であり、また、その製造方法、および、その混合物より得られる樹脂被膜に関するものである。
従来から、ポリエステル樹脂は、被膜形成用樹脂として、被膜の加工性、有機溶剤に対する耐性(耐溶剤性)、耐候性に優れており、PET、PBT、塩化ビニル、各種金属等の成形品やフィルムへの密着性に優れていることから、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等に用いる樹脂として大量に使用されている。
一方で、近年、環境保護、消防法による危険物規制、職場環境の改善等の理由で、有機溶剤の使用を抑制する傾向にあり、前記の用途に使用できるポリエステル樹脂を、水性媒体に微分散させた、ポリエステル樹脂水性分散体を供給することが求められており、その開発が盛んにおこなわれている。
たとえば、特許文献1には、比較的酸価が低く、高分子量のポリエステル樹脂を水性媒体中に分散させたポリエステル樹脂水性分散体が提案され、該水性分散体を用いると、基材に対する密着性、耐水性等の性能に優れた被膜を形成できることが記載されている。しかしながら、この文献に記載されたポリエステル樹脂水性分散体は、いわゆる自己乳化型のポリエステル樹脂水性分散体であり、ポリエステル樹脂を水性媒体中へ安定に分散させるために、使用するポリエステル樹脂は8mgKOH/g以上の酸価に相当する末端カルボキシル基を有している必要がある。その結果として、ポリエステル樹脂の分子量が低く制限され、被膜強度が不十分である、接着性が不足する場合がある等の問題があった。
また、特許文献2には、低酸価で高分子量のポリエステル樹脂を水性媒体中に分散させたポリエステル樹脂水性分散体が提案されている。この提案では、被膜強度が十分であり、また接着性に優れた被膜を形成することができるが、低温造膜性、および、耐ブロッキング性に関する、別の新たな問題が生じた。すなわち、基材表面に被膜を造膜する場合、基材によっては低温で造膜させる必要があるが、その場合、水性分散体は必然的にガラス転移温度が低いポリエステル樹脂からなるため、耐ブロッキング性に劣る被膜となる。このようなことから、低温造膜性と耐ブロッキング性とを両立させることは困難であった。
特許文献3では、低温造膜性、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性をバランスよく有する被膜を形成可能なポリエステル樹脂水性分散体について提案されている。この提案から、一定レベルの低温造膜性、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性を有した被膜を形成することはできるが、有機溶剤溶解型の接着剤に匹敵する接着性を発現する水性分散体までには至っていなかった。
特開2002−173582号公報 国際公開第2004/037924号パンフレット 国際公開第2007/029728号パンフレット
本発明は、既述事情に鑑みてなされたものであり、低温造膜性や接着性が優れており、かつ、耐ブロッキング性にも優れた樹脂被膜を形成可能な水性分散体混合物、およびその製造方法、ならびにそれから得られる被膜を提供することを目的とする。
本明細中、密着性とは、基材上に形成された樹脂被膜自体が基材に対して強固に付着、結合しうる特性をいうものとする。また、接着性とは、少なくとも1つの基材の表面に樹脂被膜が形成されている2つの基材を、被膜形成面が接触するように重ねたとき、樹脂被膜が2つの基材を強固に連結、結合しうる特性をいうものとする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の2種類の樹脂を、特定の割合で含有する、水性分散体混合物から得られる樹脂被膜は、低温造膜性、接着性に優れており、かつ、耐ブロッキング性にも優れていることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ポリアリレート樹脂(A)からなるポリアリレート樹脂水性分散体、ポリエステル樹脂(B)からなるポリエステル樹脂水性分散体を混合してなる水性分散体混合物であって、含有するポリアリレート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)が下記要件(a)、(b)を満足し、(A)/(B)=5/95〜20/80(質量比)であることを特徴とする水性分散体混合物。
(a):ポリアリレート樹脂(A)が界面重縮合法で得られるものであり、芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分から構成され、重量平均分子量5000以上、酸価2mgKOH/g以上、ガラス転移温度100℃以上であるポリアリレート樹脂であり、前記芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸(TPA)/イソフタル酸(IPA)=60/40〜40/60(モル比)、前記二価フェノール成分が、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(BisAF)を20モル%以上含有する。
(b):ポリエステル樹脂(B)が重量平均分子量20,000以上、酸価2mgKOH/g以上、ガラス転移温度30℃以下であるポリエステル樹脂である。
(2)ポリアリレート樹脂水性分散体とポリエステル樹脂水性分散体を混合してなる水性分散体混合物の製造方法であって、前記ポリアリレート樹脂水性分散体が、ポリアリレート樹脂(A)を有機溶剤で溶解した後、塩基性化合物を加え、さらに、水を徐々に加えて、転相乳化して得られるものであり、ポリエステル樹脂水性分散体が、ポリエステル樹脂(B)を有機溶剤で溶解した後、塩基性化合物を加え、さらに、水を徐々に加えて、転相乳化して得られるものであることを特徴とする(1)の水性分散体混合物の製造方法。
(3)ポリアリレート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)の各々を有機溶剤で溶解するに際し、温度を40℃以下に保った状態で、前記ポリアリレート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)の各々を少なくとも10質量%以上溶解することができ、かつ沸点が150℃以下、水に対する溶解性が5g/L(20℃)以上である有機溶剤を用いることを特徴とする(2)の水性分散体混合物の製造方法。
(4)請求項1記載の水性分散体混合物から得られる樹脂被膜。
本発明の水性分散体混合物は、有機溶剤量を低減することができ、また、優れた低温造膜性、接着性、耐ブロッキング性を有しているため、総じて環境保護、職場環境の改善、操業性の改善の立場から優れた素材であり、産業上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性分散体混合物は、少なくともポリアリレート樹脂(A)と、ポリエステル樹脂(B)とが、特定の割合で水性媒体中に分散されてなる液状物である。
初めに、ポリアリレート樹脂(A)について説明する。
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)は、少なくとも芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分から構成されている必要がある。芳香族ジカルボン酸成分、あるいは、二価フェノール成分が含まれない場合は、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、耐熱性や衝撃強度等に劣る樹脂となる。
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)を構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、TPA、IPA、o−フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は、単独で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。
特に好適に用いることのできる芳香族ジカルボン酸は、工業的に多量に生産されており、安価であること等から、TPAとIPAであり、得られるポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性が向上することから、これらの比率がTPA/IPA=60/40〜40/60(モル比)の範囲である必要があり、TPA/IPA=50/50(モル比)がより好ましい。TPAとIPAの比率がこれらの範囲外であると、ポリアリレート樹脂(A)は溶剤溶解性に乏しくなる傾向があり、後述するポリアリレート樹脂(A)水性分散体の製造方法における、溶解工程において、非常に不利になるために好ましくない。
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)を構成する二価フェノール成分としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=BisA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4´−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフルオレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4´−[1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)]、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4´−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4´−メチレンビスフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジ−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(=既述の式(I)の化合物。以下、BisAFと表記)、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3ーフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェノール、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ビフェノール、3,3´,5,5´−テトラ−tert−ブチル−4,4´−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,3´−ジフルオロ−4,4´−ビフェノール、3,3´,5,5´−テトラフルオロ−4,4´−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、イサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、2,2´,3,3´,5,5´−ヘキサメチル−4,4´−ビフェノール、ビス(2ーヒドロキシフェニル)メタン、2,4´−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2ーヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3´,5,5´−テトラ−tert−ブチル−2,2´−ビフェノール、2,2´−ジアリル−4,4´−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下、BisSと表記)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン等が挙げられる。これらの2価フェノールは、単独で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。
特に好適に用いることのできる二価フェノールは、下記一般式(I)で示される二価フェノール成分が好ましい。
[式中のR1、および、R2は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜5の炭化水素基、および、ハロゲン原子から選ばれるものであり、m、および、nは、各々独立して、0〜4の整数をとる。また、式中のX1、および、X2は、水素原子、または、炭素原子数1〜20の直鎖状、枝分かれ状、芳香族や脂環族を含む環状の、少なくとも一つからなる炭化水素基、または、トリハロメタン基、または、炭素原子数が1〜20であるアルキルエステル基、または、フェニルエステル基から選ばれるものである。]
上記一般式(I)の中でも、さらに好ましい二価フェノールとしては、BisA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4´−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、BisAF、BisSである。また、得られるポリアリレート樹脂(A)の溶剤溶解性が向上することから、二価フェノール成分のうち、BisAFを20モル%以上とする必要がある。BisAFが20モル%未満であると、ポリアリレート樹脂(A)は溶剤溶解性に乏しくなる傾向があり、後述するポリアリレート樹脂(A)水性分散体の製造方法における、溶解工程において、非常に不利になるために好ましくない。
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)のガラス転移温度は、100℃以上である必要があり、130℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましく、170℃以上が特に好ましい。ガラス転移温度が100℃未満であると、既述の範囲内で得られる水性分散体混合物は、耐ブロッキング性が発現しない。
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)の酸価は、2mgKOH/g以上である必要があり、2〜40mgKOH/gであることが好ましく、4〜30mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が2gKOH/g未満であると、水性化が困難になり、また、たとえできたとしても体積平均粒径が大きくなり、保存安定性が悪くなる。また、酸価が40mgKOH/gを超えると、ポリアリレート樹脂(A)の分子量が特に小さくなり、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、塗膜強度等が不十分となるため好ましくない。
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)の重量平均分子量は、5,000以上である
必要があり、10,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが特に好ましい。重量平均分子量が5,000未満であると、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、塗膜強度等が不十分となるため好ましくない。
ここで、重量平均分子量とは、ポリアリレートの分子量分布において、下記式(II)に定義される平均分子量である。
Mw=Σ(NiMi)/ΣNiMi (II)
[ただし、式(II)中、Miは樹脂中の分子鎖iの分子量、Niは樹脂中の分子鎖iの個数を示す。]
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)の製造方法について説明する。
ポリアリレート樹脂(A)を製造する方法としては、既述の二価フェノールと、芳香族ジカルボン酸、および/または、これらの誘導体を原料とし、公知のポリエステル重合方法を用いて製造することができる。重合方法としては、界面重縮合、溶液重縮合、熔融重縮合等が挙げられる。中でも、界面重縮合法で得られるポリアリレート樹脂は、水性分散体とした場合の、得られる被膜の透明性の観点から特に好ましい。以下、界面重縮合による製造方法を例示する。
界面重縮合法は、二価フェノールをアルカリ水溶液に溶解させた水相と、二価カルボン酸ハライドを水に溶解しない有機溶剤に溶解させた有機相とを、触媒の存在下で混合することによって重縮合させる方法である。溶液重合と比較して反応が速く、酸ハライドの加水分解を最小限に抑えられ、結果として、非常に高分子量のポリアリレート樹脂(A)を得ることができる。
水相に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられる。
有機相に用いる有機溶剤としては、水と相溶せずに、かつ、生成するポリアリレート樹脂(A)を溶解することができる有機溶剤が用いられる。たとえば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素等があげられる。
界面重縮合法に使用される触媒としては、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等の第三級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等の第4級アンモニウム塩、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩が挙げられる。特に、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドを用いると、反応速度が速く好ましい。
本発明におけるポリアリレート樹脂(A)は、末端が一価フェノール、一価酸ハライド、一価アルコール、一価カルボン酸等で封止されていてもよい。そのような末端封止剤として用いられる一価フェノールとしては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2−フェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられ、一価酸ハライドとしては、ベンゾイルクロリド、安息香酸クロリド、メタンスルホニルクロリド、フェニルクロロホルメート等が挙げられる。一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等が挙げられ、一価カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸等が挙げられる。
界面重縮合法は、有機相の溶液を前述の水相溶液に混合し、好ましくは50℃以下の温度で1時間〜8時間攪拌しながら重縮合をおこなうことによって、所望の樹脂溶液を得ることができる。また、重縮合をおこなう時間を制御することによって、ポリアリレート樹脂(A)に所望の酸価を付与することができ、重縮合の時間は、3時間〜8時間がさらに好ましい。
重合後に得られた樹脂溶液に酢酸を添加し、重合を終了したあと、樹脂溶液を水で繰返し攪拌しながら洗浄し、樹脂溶液に含まれるナトリウムやカリウム、および重合触媒等のイオン性成分を除去する。洗浄に使用する水は、酸性であっても、塩基性であっても構わないが、洗浄廃液水が、中性になるまで繰返し洗浄する必要がある。
得られた樹脂溶液を、貧溶媒に滴下することにより、固形分としての樹脂が析出する。樹脂溶液の固形分濃度は3質量%以下が好ましい。また、貧溶媒の体積は樹脂溶液の体積の3倍以上が好ましい。貧溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ヘキサン等が挙げられる。
樹脂溶液を貧溶媒へ添加することにより、樹脂に含有される遊離の芳香族ジカルボン酸を低減させることができる。遊離の芳香族ジカルボン酸の含有量を低減するためには、特に、貧溶媒へ析出処理をした後の、貧溶媒への浸漬時間を1分以上とすることが好ましい。また、重合触媒として、重合活性の比較的低いトリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライドなどを用いたときは、浸漬時間を3分以上とすることが特に好ましい。3分未満で取り出したときは、遊離の芳香族ジカルボン酸が樹脂から十分に除去されない場合がある。遊離の芳香族ジカルボン酸量をさらに十分に低減させるためには、得られた樹脂を再び溶媒に溶解し、貧溶媒へ添加して析出をおこなう既述操作を繰り返してもよい。
次に、ポリエステル樹脂(B)について説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)は、少なくとも、多塩基酸成分と多価アルコール成分とより構成されている。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)を構成する多塩基酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、三官能以上のカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、TPA、IPA、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物などが挙げられる。また、三官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。また、必要に応じて少量の5−ナトリウムスルホイソフタル酸や5−ヒドロキシイソフタル酸を用いることができるが、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、耐水性が悪くなる傾向にある。
特に好適に用いることのできる多塩基酸は、工業的に多量に生産されており、安価であることから、TPA、IPA、アジピン酸、セバシン酸である。多塩基酸成分として芳香族ジカルボン酸の割合を増やすと、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、硬度、耐水性、耐溶剤性、加工性などが向上し、また、脂肪族ジカルボン酸の割合を増やすと、樹脂のガラス転移温度を下げ、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、低温造膜性や低温接着性を向上させることができる。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)は、三官能以上の多塩基酸も用いることができ、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が含まれていてもよい。このような、三官能以上の多塩基酸は、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、加工性を良好に保つ点から、通常、多塩基酸成分中10モル%以下であり、5モル%以下がより好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)を構成する多価アルコール成分としては、例えば、脂肪族グリコール、脂環式グリコール、エーテル結合含有グリコール等を挙げることができる。脂肪族グリコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2‐プロパンジオール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、2‐メチル―1,3‐プロパンジオール、1,5‐ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6‐ヘキサンジオール、3‐メチル‐1,5‐ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2‐エチル‐2‐ブチルプロパンジオール等が挙げられる。脂環式グリコールの具体例としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。エーテル結合含有グリコールの具体例としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらには、BisAやBisSのエチレンオキシド付加体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。このうち長鎖エーテル結合含有グリコールとしては、分子量500以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
特に好適に用いることのできる多価アルコールは、工業的に量産されているので安価であり、しかも樹脂被膜の諸性能にバランスがとれていることから、エチレングリコールやネオペンチルグリコールである。エチレングリコールは、特に、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、耐溶剤性を向上させ、ネオペンチルグリコールは、特に、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、耐候性を向上させる。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)は、一価カルボン酸、一価アルコール、ヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよく、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸のエチレンオキシド付加体等が挙げられる。また、三官能以上のポリオキシカルボン酸が共重合されていてもよく、たとえば、リンゴ酸、グリセリン酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度は、30℃以下である必要があり、−30℃以上30℃以下であることがより好ましく、−25℃以上25℃以下が特に好ましい。ガラス転移温度が30℃を超えると、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、低温造膜性や低温接着性が低下する。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)の重量平均分子量は、20,000以上である必要があり、30,000以上がより好ましい。重量平均分子量が20,000未満であると、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、耐久性が不十分となって、密着性、接着性が低下する。また、水性分散体の分散安定性の観点から、通常、重量平均分子量は、100,000以下が好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)の酸価は、2mgKOH/g以上である必要があり、2〜40mgKOH/gであることが好ましく、4〜30mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が2gKOH/g未満であると、水性化が困難になり、また、たとえできたとしても体積平均粒径が大きくなり、分散体の保存安定性が悪くなる。また、酸価が40mgKOH/gを超えると、ポリエステル樹脂(B)の分子量が特に小さくなり、水性分散体混合物から形成される樹脂被膜の、塗膜強度等が不十分となるため好ましくない。
本発明におけるポリエステル樹脂(B)の製造方法について説明する。
ポリエステル樹脂(B)を製造する方法としては、たとえば、既述した多塩基酸の1種類以上と多価アルコールの1種類以上とを、公知の方法により、縮重合させることにより製造することができる。以下、熔融重縮合による製造方法を例示する。
全モノマー成分、および/または、その低重合体を不活性雰囲気下で180〜260℃、2.5〜10時間反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて重縮合触媒の存在下、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で、所望の分子量に達するまで縮重合反応を進めて、ポリエステル樹脂(B)を得ることができる。
熔融重縮合に用いられる触媒は、特に限定されず、酢酸亜鉛や三酸化アンチモン等の公知の化合物を用いることができる。
ポリエステル樹脂(B)に所望の酸価を付与する方法として、既述の重縮合反応に引き続き、多塩基酸をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合反応をおこなう方法を挙げることができる。また、酸価を付与する方法としては、重縮合反応に引き続き、多塩基酸無水物を添加し、ポリエステル樹脂のヒドロキシル基と付加反応する方法を用いることもできるが、製造途中の熔融粘度が非常に高くなり、ポリエステル樹脂(B)を払い出せなくなることがある。
解重合反応、および/または、付加反応で用いる多塩基酸としては、既述にある三官能以上のカルボン酸が好ましい。三官能以上のカルボン酸を使用することにより、解重合によるポリエステル樹脂の分子量低下を抑制しながら、所望の酸価を付与することができる。その中でも、芳香族のカルボン酸であるトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸を、単独、または、2種類以上で使用することが好ましい。
続いて、ポリアリレート樹脂(A)水性分散体、および、ポリエステル樹脂(B)水性分散体について説明する。
本発明の水性分散体は、既述のポリアリレート樹脂(A)、および/または、ポリエステル樹脂(B)が、水性媒体中に分散されてなる液状物である。ここで、水性媒体とは、水を含む液体からなる媒体であり、有機溶剤を含んでいてもよい。
本発明のポリアリレート樹脂(A)、および、ポリエステル樹脂(B)は、末端、および/または、側鎖にカルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有する樹脂であれば、後述する各水性分散体の製造時において、塩基性化合物を添加することにより、当該カルボキシル基の少なくとも一部、または、全部が中和されて、カルボキシルアニオンが生成し、このアニオン間の電気反発力によって、樹脂の微粒子は凝集せず、安定に分散するため、界面活性剤を使用せずに、分散安定性の良好なポリエステル樹脂水性分散体が得られる。界面活性剤を使用した水性分散体からなる被膜は耐水性に劣る傾向にある。
本発明の各水性分散体に含有する樹脂の含有率は、5〜50質量%が好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。各樹脂の含有率が50質量%を超えると、分散していたポリアリレートが凝集しやすくなり、安定性が乏しくなる傾向にある。各樹脂の含有率が5質量%未満では、塗工しても十分な膜厚を得ることができず、適当でない。
本発明の各水性分散体のpHは6以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましく、8以上であることが特に好ましい。pHが6未満であるものは、各水性分散体中にある樹脂のカルボキシルアニオンが減少し、アニオン間の電気反発力が低減して、分散していた樹脂が凝集してしまい、もはや均一な水性分散体としては得られなくなるため好ましくない。
本発明の各水性分散体中における樹脂の体積平均粒子径は、特に限定されないが、保存安定性を良好に保つ観点から、各々500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが特に好ましい。
続いて、ポリアリレート樹脂(A)水性分散体、および、ポリエステル樹脂(B)水性分散体の製造方法について説明する。
本発明における水性分散体は少なくとも、ポリアリレート樹脂(A)、および/または、ポリエステル樹脂(B)と、有機溶剤、塩基性化合物、水を使用して製造する。
本発明における各水性分散体を製造する際に使用する有機溶剤は、温度を40℃以下に保った状態で当該樹脂を10質量%以上溶解することができ、かつ沸点が150℃以下、水に対する溶解性が5g/L以上(20℃)である有機溶剤(以下、有機溶剤(イ)と表記する)であることが好ましい。有機溶剤(イ)が、温度を40℃以下に保った状態で当該樹脂を10質量%未満しか溶解することができないならば、製造される水性分散体の、樹脂の含有率を上げることが困難となり、非常に非実用的、かつ、非経済的なものとなるため好ましくない。また、沸点が150℃を超えると、後述する各水性分散体の製造方法において、有機溶剤(イ)の完全な除去が非常に困難になり、十分に安定な水性分散体を得ることができなくなるため好ましくなく、水に対する溶解性が5g/L(20℃)未満であると、後述する各水性分散体の製造方法において、転相工程を十分に完了することができず、均一な水性分散体を得ることができなくなるため好ましくない。
これらの条件を満たす、有機溶剤(イ)としては、たとえば、メチルエチルケトン(以下、MEKと表記する)や、テトラヒドロフラン(以下、THFと表記する)等が好ましい。なお、有機溶剤(イ)は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明における塩基性化合物としては、塗工した樹脂被膜から、水性媒体が容易に揮散可能になるため、沸点が150℃以下、さらには100℃以下の有機アミン、あるいは、アンモニアが好ましい。なかでもアンモニア、トリエチルアミン等が最も好ましい。塩基性化合物の使用量としては、当該樹脂に含まれるカルボキシル基の量に応じて、少なくともこれを部分中和し得る量、すなわち、カルボキシル基に対して0.4〜20倍当量が好ましく、0.6〜18倍当量がより好ましく、1.0〜15倍当量が特に好ましい。塩基性化合物の使用量を既述範囲とすることで、保存安定性が特に良好な水性分散体を得ることができる。
水性分散体の製造の各工程について説明する。はじめに、当該樹脂を有機溶剤(イ)に溶解させる工程(溶解工程)、次に、有機溶剤(イ)に溶解した樹脂溶液を塩基性化合物とともに水に分散させる工程(転相乳化工程)、さらに、得られた内容物から、有機溶剤(イ)を除去する工程(脱溶剤工程)の3工程をおこなうことで製造することができる。必要に応じて、未分散物や凝集物をろ過して取り除くことにより、沈殿物や相分離等の見られない、均一な状態の水性分散体が得られる。
当該樹脂を有機溶剤(イ)に溶解するための装置としては、液体を投入できる槽を備え、適度な攪拌ができるものであれば特に限定されない。また、樹脂が溶解しにくい場合には、加熱をおこなってもよい。
転相乳化は、当該樹脂の有機溶剤溶液に、塩基性化合物、水と混合しておこなう。本発明においては、塩基性化合物を樹脂溶液に加えておき、これに水を徐々に投入して転相乳化をおこなう方法が好ましい。また、水の投入速度が速い場合には、樹脂の塊が形成され、この塊は水性媒体に分散しなくなる傾向にあり、最終的に得られる水性分散体の収率が下がり好ましくない。1000gの(樹脂溶液+塩基性化合物)に対して、25g〜100g/minの投入速度で水を投入することが好ましい。なお、本発明において「転相乳化」とは、樹脂溶液に、この溶液に含まれる有機溶剤量(質量%)を超える量の水(質量%)を添加して、有機溶剤よりも水を多く含む液相に当該樹脂を微分散させることを意味する。
転相乳化をおこなう装置としては、液体を投入できる槽を備え、適度な攪拌ができるものであれば特に限定されない。そのような装置としては、固/液撹拌装置や乳化機(たとえばホモミキサー)として広く当業者に知られている装置が挙げられる。転相乳化は常圧、減圧、加圧下のいずれの条件でおこなってもよい。
脱溶剤工程は、転相乳化工程の後に、蒸留する方法によりおこなうことができる。蒸留は、常圧、減圧下いずれでおこなってもよく、蒸留をおこなう装置としては、液体を投入できる槽を備え、適度な攪拌ができるものであればよい。
また、脱溶剤工程をした後の水性分散体に、既述の塩基性化合物を添加することができる。脱溶剤工程の後に、再度塩基性化合物添加をすることで、水性分散体のpHを容易に6以上に上げることができる。このとき、水性分散体を攪拌した状態にして、除々に塩基性化合物を添加する方がよい。水性分散体を攪拌しない状態で添加したり、一気に塩基性化合物を添加したりすると、添加の衝撃により、水性分散体中の樹脂が凝集し、沈殿することがある。
水性分散体混合物について説明する。
本発明における水性分散体混合物は、ポリアリレート樹脂(A)水性分散体と、ポリエステル樹脂(B)水性分散体を使用し、これらを所定の割合で攪拌混合することにより製造できる。混合は、一般的な攪拌装置を使用して、容易におこなうことができる。
本発明における水性分散体混合物中の、ポリアリレート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の割合は、(A)/(B)=5/95〜20/80(質量比)である必要がある。記載の範囲外の割合となる時、たとえば、(A)の割合が少ない場合は、水性分散体混合物から得られる被膜の耐ブロッキング性がなくなる。また、(B)の割合が少ない場合は、水性分散体混合物から得られる被膜の密着性や接着性が、実用的に十分でないものとなる。
本発明における水性分散体混合物の、樹脂の含有率、pH、体積平均粒子径等は、既述の水性分散体の範囲に準拠するものが好ましい。
次に、本発明の水性分散体混合物の使用方法について説明する。
本発明の水性分散体混合物は、被膜形成能に優れているので、ディッピング法、はけ塗り法、スプレーコート法、カーテンフローコート法等の公知の成膜方法により各種基材表面に均一にコーティングし、加熱処理に供することにより水性媒体を除去して、均一な樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。加熱温度としては、各種基材の特性等により適宜選択されるものであるが、30℃〜250℃が好ましく、60℃〜200℃がより好ましい。加熱時間としては、通常1秒〜30分間であり、5秒〜20分が好ましく、10秒〜10分が最も好ましい。また、樹脂被膜の厚さとしては、その用途や目的によって適宜選択されるものであるが、0.1〜30μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、下記の実施例および比較例に用いた物性測定方法は、次の通りである。
1.測定方法
(1)樹脂の構成
H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求め、H−NMRスペクトル上のシグナルより構成を帰属した。定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
(2)樹脂のガラス転移温度
当該樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。
(3)樹脂の重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC分析(ウォーターズ社製使用、RI検出器、溶媒:クロロホルム、ポリスチレン換算)により求めた。
(4)樹脂の酸価
当該樹脂約0.15gを精秤し、ベンジルアルコール5mlを加えて加熱溶解した。これにクロロホルム10mlを混合した後、フェノールレッドを指示薬として加え、撹拌しながら0.1N−KOHベンジルアルコール溶液で中和滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数を、樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
(5)樹脂の溶剤溶解性
10gの樹脂を90gのMEK、およびTHFが入ったフラスコに入れ、40℃に保ちながら攪拌し、2時間後の外観、および、状態の変化を目視にて観察し、下記の基準で樹脂の溶剤溶解性を評価した。
○:樹脂が完全に溶解した。
×:樹脂が溶解せずに溶剤中に残留した。
(6)水性分散体の固形分濃度
水性分散体を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、下記式(III)により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=(Y/X)×100 (III)
(7)水性分散体のpH
pHメーター(堀場製作所製F−21)を用いて、pH7及びpH9の標準緩衝液(ナカライテスク製)により校正した後、測定温度25℃で水性分散体のpHを測定した。
(8)水性分散体の体積平均粒径
水性分散体を0.1%に水で希釈し、日機装製、MICROTRAC UPA(モデル9340−UPA)を用いて体積平均粒径を測定した。
(9)水性分散体の安定性
50mlのガラス製サンプル瓶に、水性分散体30mlを入れ、25℃で1か月間静置した後の外観、および、状態の変化を目視にて観察し、下記の基準で水性分散体の安定性を評価した。
○:外観、状態に変化なし。
×:相分離、沈澱発生、ゲル状態が認められる。
(10)樹脂被膜の厚さ
厚み計(ユニオンツール社製、MICROFINE)を用いて、基材の厚みを予め測定しておき、水性分散体を用いて基材上に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差を樹脂被膜の厚さとした。
(11)樹脂被膜の低温造膜性
水性分散体を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ38μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、60℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した。樹脂被膜を目視にて観察し、クラックなどが見られず、かつ透明な樹脂被膜を形成しているか否かにより以下のように分類し、造膜性を評価した。
○:クラックなどが見られず、かつ透明
×:クラックなどが見られる、および/または、不透明
(12)樹脂被膜の密着性
前記(11)と同様に被膜を形成した。次いで、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅18mm)を、端部を残して樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって十分に接着させた後に、粘着テープの端部をフィルムに対して直角としてから瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製SYSTEM2000、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面に樹脂被膜が付着しているか否かにより以下のように分類し、密着性を評価した。
○:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められない。
×:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められる。
(13)樹脂被膜の耐ブロッキング性
前記(11)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した後、被膜形成面に別のPETフィルムを重ねた状態で500Paの荷重をかけ、38℃の雰囲気下で24時間放置後、25℃まで冷却した後、2枚のPETフィルムを手で剥がし、容易に剥がすことができるか否かにより下記のように分類し、耐ブロッキング性を評価した。
○:容易に剥がすことができ、全く融着跡が認められない。
×:剥がす際にかなりの抵抗があり、融着跡が認められる。
(14)樹脂被膜の接着性
前記(11)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した後、2枚の樹脂被膜形成PETフィルムを、被膜形成面同士が接触するように重ねて、130℃、0.1MPaの設定で、30秒間、ヒートプレス機で接着をおこなった。その後、幅25mm、長さ100mmの大きさに試験片を切り出し、24時間標準状態に放置した後、引張試験機(インテスコ株式会社製、インテスコ精密万能材料試験機2020型)をもちいて、引張速度50mm/分、引張角度180°、温度20℃で被膜の剥離強度を測定することで接着性を評価した。剥離強度3N/25mm以上が実用性のある強度である。
2.製造例
(1) ポリアリレート樹脂(A)の製造例
実施例、および比較例で用いたポリアリレート樹脂は、以下のようにして得た。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−1の製造例]
攪拌装置を備えた反応容器中に、BisSを7.39g、BisAFを9.93g、水酸化ナトリウム(以下、NaOHと表記する)を7.08g、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロリド(以下、TBBACと表記する)を2.45g仕込み、純水434mlに溶解して水相を調製した。また、別途、ジクロロメタン255mlに、芳香族ジカルボン酸として、TPAクロリド/IPAクロリド=50/50混合物を11.99g溶解して有機相を調製した。まず、400rpmの回転速度を保って水相を攪拌しながら、20ml/秒で有機相を徐々に滴下し、その後4時間攪拌を続けて界面重縮合をおこなった。攪拌中は15℃に保って重合した。4時間後、攪拌を停止し、静置した後に水相を分離、除去した。次に、有機相中に純水800mlと酢酸2mlを添加し、再び400rpmで30分攪拌した。30分後、攪拌停止、静置後に水相を除去した。残った有機相が中性になるまで、純水を添加して攪拌する洗浄操作を繰り返しおこなった後、有機相にジクロロメタン100mlを添加し、2μmφのフィルターを通して不溶物を除去し樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を、1500mlのメタノール中に、攪拌しながら徐々に添加して樹脂を沈澱させ、全量滴下後さらに30秒攪拌をおこなった。攪拌を停止して沈澱した樹脂を分離し、80℃、13Paで12時間減圧乾燥して、樹脂PA−1を得た。その結果を表1に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−2の製造例]
重縮合の添加剤として、NaOHの量を11.81gに、TBBACの量を4.91gに変更すること以外は、PA−1と同様の方法で、樹脂PA−2を得た。その結果を表1に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−3の製造例]
二価フェノール成分として、BisAFの量を5.96gに変更して、さらに、BisAを2.70g仕込むこと以外は、PA−1と同様の方法で、樹脂PA−3を得た。その結果を表1に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−4の製造例]
芳香族ジカルボン酸成分として、TPAクロリド7.19gと、IPAクロリド4.80gとを、有機相中に仕込むこと以外は、PA−1と同様の方法で、樹脂PA−4を得た。その結果を表1に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−5の製造例]
芳香族ジカルボン酸成分として、TPAクロリドを2.40gと、IPAクロリドに変更して、さらにセバシン酸クロリドを8.47g、それぞれ有機相中に仕込むことと、重縮合の添加剤として、NaOHの量を11.81gに、TBBACの量を4.91gに変更すること以外は、PA−1と同様の方法で、PA−5を得た。その結果を表1に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−6の製造例]
重縮合の添加剤として、NaOHの量を5.43gに、TBBACの量を0.25gに変更して、さらに、PTBPを0.71g仕込み、重縮合の時間を2時間に変更したこと以外は、PA−1と同様の方法で、樹脂PA−6を得た。その結果を表1に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−7の製造例]
二価フェノール成分として、BisAFの量を0gに変更して、さらに、BisAを6.74g仕込むこと以外は、PA−1と同様の方法で、樹脂PA−7を得た。その結果を表1に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−8の製造例]
芳香族ジカルボン酸成分として、TPAクロリド9.59gと、IPAクロリド2.40gとを、有機相中に仕込むこと以外は、PA−1と同様の方法で、樹脂PA−8を得た。その結果を表1に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)/PA−9の製造例]
重縮合の添加剤として、水酸化ナトリウムの量を18.90gに、TBBACの量を9.82gに変更し、重縮合の時間を6時間に変更すること以外は、PA−1と同様の方法で、樹脂PA−9を得た。その結果を表1に示す。
(2) ポリアリレート樹脂(A)水性分散体の製造例
実施例、および比較例で用いたポリアリレート樹脂(A)水性分散体は、以下のようにして得た。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−1の製造例]
ジャケット付きガラス容器に、PA−1を150gとMEKを350g投入し、ジャケットに60℃の温水を通して加熱しながら、攪拌機(東京理化器械社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にPA−1をMEKに溶解させ、固形分濃度30質量%の樹脂溶液500gを得た。つぎに、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、回転速度600rpmで攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン2.64gを添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水を471.2g添加して転相乳化をおこなった。ついで、得られた水性分散体のうち、800gを1lのフラスコに入れ、常圧下で蒸留をおこなうことで有機溶剤を留去した。蒸留は留去量が402.5gになったところで終了し、室温まで冷却後、得られた水性分散体を攪拌しながら、28質量%アンモニア水0.7gを添加した。その後、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過し、濾液の固形分濃度を測定すると31.0質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し固形分濃度を30質量%に調整し、水性分散体EA−1を得た。結果を表2に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−2の製造例]
樹脂としてPA−2を使用し、トリエチルアミンの量を3.52gに、蒸留水の量を470.4gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EA−2を得た。その結果を表2に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−3製造例]
樹脂としてPA−3を使用すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EA−3を得た。その結果を表2に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−4の製造例]
樹脂としてPA−4を使用すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EA−4を得た。その結果を表2に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−5の製造例]
樹脂としてPA−5を使用し、トリエチルアミンの量を3.52gに、蒸留水の量を470.4gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EA−5を得た。その結果を表2に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−6の製造例]
樹脂としてPA−6を使用し、EA−1と同様の方法で、PA−6の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、転相乳化工程中に樹脂が凝集をしてしまうため、分散させることはできず、水性分散体を得ることはできなかった。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−7の製造例]
樹脂としてPA−7を使用し、EA−1と同様の方法で、PA−7の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、PA−7は、既述の有機溶剤(イ)に溶解しないため、水性分散体を得ることはできなかった。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−8の製造例]
樹脂としてPA−8を使用し、EA−1と同様の方法で、PA−8の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、PA−8は、既述の有機溶剤(イ)に溶解しないため、水性分散体を得ることはできなかった。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−9の製造例]
樹脂としてPA−9を使用し、トリエチルアミンの量を6.76gに、蒸留水の量を467.1gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EA−9を得た。その結果を表2に示す。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−10の製造例]
樹脂を溶解するための有機溶剤をN−メチルピロリドンに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、PA−1の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、脱溶剤工程でN−メチルピロリドンを留去することができずに、脱溶剤工程中に内容物が凝固してしまい、安定な水性分散体を得ることはできなかった。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−11の製造例]
樹脂を溶解するための有機溶剤をトルエンに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、PA−1の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、転相乳化工程中に内容液が凝固してしまい、均一な水性分散体を得ることはできなかった。
[ポリアリレート樹脂(A)水性分散体/EA−12の製造例]
樹脂を溶解するための有機溶剤をイソプロピルアルコールに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、PA−1の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、イソプロピルアルコールは、PA−1を溶解させることができないため、水性分散体を得ることはできなかった。
(3) ポリエステル樹脂(B)の製造例
実施例、および比較例で用いたポリエステル樹脂は、以下のようにして得た。
[ポリエステル樹脂(B)/PB−1の製造例]
テレフタル酸149.5g、イソフタル酸37.4g、セバシン酸75.8g、エチレングリコール63.3g、ネオペンチルグリコール100.0gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物0.2gを添加した後、系の温度を270℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、265℃になったところで、解重合剤として、無水トリメリット酸2.3gを添加し、265℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで冷却し、シート状の樹脂PB−1を得た。その結果を表3に示す。
[ポリエステル樹脂(B)/PB−2の製造例]
仕込む原料を、テレフタル酸149.5g、イソフタル酸24.9g、セバシン酸90.8g、エチレングリコール66.1g、ネオペンチルグリコール89.1gに、解重合剤を無水トリメリット酸2.3gに変更し、重合条件を表3に示すとおりに変更すること以外は、PB−1と同様の方法で、シート状に樹脂PB−2を得た。その結果を表3に示す。
[ポリエステル樹脂(B)/PB−3の製造例]
仕込む原料を、テレフタル酸55.8g、イソフタル酸67.8g、セバシン酸92.2g、1,4−ブタンジオール131.9gに、触媒をテトラ−n−ブチルチタネート0.1gに、解重合剤を無水トリメリット酸2.1gに変更し、重合条件を表3に示すとおりに変更すること以外は、PB−1と同様の方法で、シート状に樹脂PB−3を得た。その結果を表3に示す。
[ポリエステル樹脂(B)/PB−4の製造例]
仕込む原料を、テレフタル酸91.4g、イソフタル酸91.4g、エチレングリコール66.9g、ネオペンチルグリコール59.6g、ポリテトラフラン1000(ポリテトラメチレングリコール)49.5gに、触媒をテトラ−n−ブチルチタネート0.6gに、解重合剤をトリメリット酸1.4gに変更し、重合条件を表3に示すとおりに変更すること以外は、PB−1と同様の方法で、シート状に樹脂PB−4を得た。その結果を表3に示す。
[ポリエステル樹脂(B)/PB−5の製造例]
仕込む原料を、テレフタル酸90.7g、イソフタル酸90.7g、アジピン酸30.4g、エチレングリコール57.3g、ネオペンチルグリコール77.2gに、解重合剤を無水トリメリット酸2.0gに変更し、重合条件を表3に示すとおりに変更すること以外は、PB−1と同様の方法で、シート状に樹脂PB−5を得た。その結果を表3に示す。
[ポリエステル樹脂(B)/PB−6の製造例]
解重合剤を無水トリメリット酸2.0gとイソフタル酸6.5gの混合物に変更し、重合条件を表3に示すとおりに変更すること以外は、PB−1と同様の方法で、フレーク状に樹脂PB−6を得た。その結果を表3に示す。
[ポリエステル樹脂(B)/PB−7の製造例]
仕込む原料を、テレフタル酸129.6g、イソフタル酸21.6g、セバシン酸78.8g、エチレングリコール57.3g、ネオペンチルグリコール77.2gに変更し、重合条件を表3に示すとおりに変更すること以外は、PB−1と同様の方法で、シート状に樹脂PB−7を得た。その結果を表3に示す。
(4) ポリエステル樹脂(B)水性分散体の製造例
実施例、および比較例で用いたポリエステル樹脂(B)水性分散体は、以下のようにして得た。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−1の製造例]
樹脂としてPB−1を使用し、トリエチルアミンの量を9.09gに、蒸留水の量を464.8gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EB−1を得た。その結果を表4に示す。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−2の製造例]
樹脂としてPB−2を使用し、トリエチルアミンの量を10.71gに、蒸留水の量を463.2gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EB−2を得た。その結果を表4に示す。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−3の製造例]
樹脂としてPB−3を使用し、トリエチルアミンの量を24.35gに、蒸留水の量を449.5gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EB−3を得た。その結果を表4に示す。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−4の製造例]
樹脂としてPB−4を使用し、トリエチルアミンの量を4.38gに、蒸留水の量を469.5gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EB−4を得た。その結果を表4に示す。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−5の製造例]
樹脂としてPB−5を使用し、トリエチルアミンの量を4.87gに、蒸留水の量を469.0gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EB−5を得た。その結果を表4に示す。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−6の製造例]
樹脂としてPB−6を使用し、トリエチルアミンの量を5.95gに、蒸留水の量を467.9gに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EB−6を得た。その結果を表4に示す。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−7の製造例]
樹脂としてPB−7を使用し、EA−1と同様の方法で、PB−7の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、転相乳化工程中に樹脂が凝集をしてしまうため、分散させることはできず、水性分散体を得ることはできなかった。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−8の製造例]
樹脂としてPB−1を使用し、樹脂を溶解するための有機溶剤をN−メチルピロリドンに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、水性分散体EB−8を得た。しかしながら、N−メチルピロリドンを完全に留去することはできず、EB−8は非常に安定性の乏しいものとなった。その結果を表4に示す。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−9の製造例]
樹脂としてPB−1を使用し、樹脂を溶解するための有機溶剤をトルエンに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、PB−1の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、転相乳化工程中に内容液が凝固してしまい、均一な水性分散体を得ることはできなかった。
[ポリエステル樹脂(B)水性分散体/EB−10の製造例]
樹脂としてPB−1を使用し、樹脂を溶解するための有機溶剤をイソプロピルアルコールに変更すること以外は、EA−1と同様の方法で、PB−1の水性分散体の製造を試みた。しかしながら、イソプロピルアルコールは、PB−1を溶解させることができないため、水性分散体を得ることはできなかった。
実施例1
ポリアリレート樹脂(A)水性分散体としてEA−1を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてEB−1を用い、225mlガラス容器に、EA−1を15g、EB−1を85g仕込み、室温下で5分間攪拌することで、水性分散体混合物M−1を得た。
得られた水性分散体混合物M−1について、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ38μm)上に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、60℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した。得られた被膜形成フィルムを用いて各種評価をおこなった。その結果を表5に示す。
実施例2〜10
表5に示す、ポリアリレート樹脂(A)分散体とポリエステル樹脂(B)水性分散体の配合にした以外は、実施例1と同様の方法で、水性分散体混合物を得て、各種評価をおこなった。結果を表5に示す。
比較例1〜4
水性分散体混合物の代わりに、表5に示す、ポリアリレート樹脂(A)水性分散体、または、ポリエステル樹脂(B)水性分散体を単独で使用する以外は、実施例1と同様の方法で、各種評価をおこなった。結果を表5に示す。
比較例5〜10
表5に示す、ポリアリレート樹脂(A)分散体とポリエステル樹脂(B)水性分散体の配合にした以外は、実施例1と同様の方法で、水性分散体混合物を得て、各種評価をおこなった。結果を表5に示す。
比較例11
EA−6は既述のとおり、転相乳化工程中に樹脂が凝集をしてしまうため、水性分散体を得ることができなかった。
比較例12〜13
EA−7、および、EA−8は、既述のとおり、樹脂が有機溶剤(イ)に溶解しないため、水性分散体を得ることはできなかった。
比較例14
EA−10は、既述のとおり、脱溶剤工程中に内容物が凝固してしまい、安定な水性分散体を得ることはできなかった。
比較例15
EA−11は、既述のとおり、転相乳化工程中に内容液が凝固してしまい、均一な水性分散体を得ることはできなかった。
比較例16
EA−12は、既述のとおり、樹脂を溶解させることができないため、水性分散体を得ることはできなかった。
比較例17
EB−7は、既述のとおり、転相乳化工程中に樹脂が凝集をしてしまうため、水性分散体を得ることができなかった。
比較例18
EB−8は、既述のとおり、非常に安定性の乏しい水性分散体となり、樹脂被膜の評価はおこなうことができなかった。
比較例19
EB−9は、既述のとおり、転相乳化工程中に内容液が凝固してしまい、均一な水性分散体を得ることはできなかった。
比較例20
EB−10は、既述のとおり、樹脂を溶解させることができないため、水性分散体を得ることはできなかった。
実施例において、本発明の水性分散体混合物は、常温での保存安定性が十分であり、水性分散体混合物から得られる樹脂被膜は、低温造膜性、密着性、耐ブロッキング性、接着性に優れていることがわかる。
比較例1、2、9は、ポリアリレート樹脂(A)水性分散体の割合が、本範囲よりも多いため、低温造膜性や、接着性に劣る樹脂被膜であった。
比較例3、4、10は、ポリエステル樹脂(B)水性分散体の割合が、本範囲よりも多いため、耐ブロッキング性に劣る樹脂被膜であった。
比較例6、8は、ポリアリレート樹脂(A)、あるいは、ポリエステル樹脂(B)の重量平均分子量が、本範囲を下回るため、密着性に劣る樹脂被膜であった。
比較例5は、ポリアリレート樹脂(A)のガラス転移温度が本範囲を下回るため、耐ブロッキング性に劣る樹脂被膜であった。
比較例7は、ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が高いため、低温造膜性や、接着性に劣る樹脂被膜であった。
比較例11、17は、ポリアリレート樹脂(A)、あるいは、ポリエステル樹脂(B)の樹脂酸価が、本範囲を下回るため、水性分散体を得ることができなかった。
比較例12、13は、ポリアリレート樹脂(A)が、有機溶剤(イ)に溶解しないため、水性分散体を得ることができなかった。
比較例14〜16、および、18〜20は、有機溶剤(イ)が本発明の条件を満たさないため、安定な水性分散体を得ることができなかった。


















Claims (4)

  1. ポリアリレート樹脂(A)からなるポリアリレート樹脂水性分散体、ポリエステル樹脂
    (B)からなるポリエステル樹脂水性分散体を混合してなる水性分散体混合物であって、
    含有するポリアリレート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)が下記要件(a)、(b)を満足し、(A)/(B)=5/95〜20/80(質量比)であることを特徴とする水性分散体混合物。
    (a):ポリアリレート樹脂(A)が界面重縮合法で得られるものであり、芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分から構成され、重量平均分子量5000以上、酸価2mgKOH/g以上、ガラス転移温度100℃以上であるポリアリレート樹脂であり、前記芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸(TPA)/イソフタル酸(IPA)=60/40〜40/60(モル比)、前記二価フェノール成分が、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(BisAF)を20モル%以上含有する。
    (b):ポリエステル樹脂(B)が重量平均分子量20,000以上、酸価2mgKOH/g以上、ガラス転移温度30℃以下であるポリエステル樹脂である。
  2. ポリアリレート樹脂水性分散体とポリエステル樹脂水性分散体を混合してなる水性分散体混合物の製造方法であって、前記ポリアリレート樹脂水性分散体が、ポリアリレート樹脂(A)を有機溶剤で溶解した後、塩基性化合物を加え、さらに、水を徐々に加えて、転相乳化して得られるものであり、ポリエステル樹脂水性分散体が、ポリエステル樹脂(B)を有機溶剤で溶解した後、塩基性化合物を加え、さらに、水を徐々に加えて、転相乳化して得られるものであることを特徴とする請求項1記載の水性分散体混合物の製造方法。
  3. ポリアリレート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)の各々を有機溶剤で溶解するに際し、温度を40℃以下に保った状態で、前記ポリアリレート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)の各々を少なくとも10質量%以上溶解することができ、かつ沸点が150℃以下、水に対する溶解性が5g/L(20℃)以上である有機溶剤を用いることを特徴とする請求項2記載の水性分散体混合物の製造方法。
  4. 請求項1記載の水性分散体混合物から得られる樹脂被膜。
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