JP2001139826A - 塩素含有重合体用安定剤 - Google Patents

塩素含有重合体用安定剤

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JP2001139826A
JP2001139826A JP2000266085A JP2000266085A JP2001139826A JP 2001139826 A JP2001139826 A JP 2001139826A JP 2000266085 A JP2000266085 A JP 2000266085A JP 2000266085 A JP2000266085 A JP 2000266085A JP 2001139826 A JP2001139826 A JP 2001139826A
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stabilizer
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peak
anion
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Yoshinobu Komatsu
善伸 小松
Hitoshi Ishida
仁 石田
Hiroshi Igarashi
宏 五十嵐
Masami Kondo
近藤  正巳
Madoka Minagawa
円 皆川
Satoru Sato
哲 佐藤
Teiji Sato
悌治 佐藤
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、金属成分として三価金属及
び二価金属を含有し、明確な結晶構造を有する複合金属
多塩基性塩を用いた塩素含有重合体用安定剤を提供する
ことにあり、これを用いることにより塩素含有重合体の
熱や光による劣化や、発泡の発生を有効に防止すること
ができる。 【解決手段】特定の化学組成及びX線回折ピークを有す
る複合金属多塩基性塩を塩素含有重合体用安定剤として
用いる。特にこの複合金属多塩基性塩と多価アルコー
ル、βジケトン乃至βケト酸エステル、高級脂肪酸金属
石鹸、フェノール系酸化防止剤、微結晶ケイ酸塩等と組
み合わせて使用するのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素含有重合体用
安定剤に関し、より詳細には、結晶構造を有する複合多
塩基性塩から成る熱安定性、低発泡性に優れた塩素含有
重合体用安定剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩素含有重合体の成形加工時等の
加熱や光よって、重合体中の塩化水素に起因する分解反
応が生じ、成形品の着色、劣化、成形機金型の腐食等の
問題が生じていた。このような塩素含有重合体の加熱等
による劣化を防止するために、ハイドロタルサイト類が
安定剤として使用されている。例えば、特開平6−24
8109号公報には、一般式 MgxAly(OH)x+3y
-2 CO・mHO(式中、Mはアルカリ金属から選
ばれる金属原子を示し、x及びyは各々下記式で表され
る条件を満足する数を示し、mは任意の正数を表す。1
≦x≦5,1≦n≦10)で表される化合物0.01〜
10重量部を含有させて成る合成樹脂組成物が記載され
ている。かかる合成樹脂組成物は、熱に対する安定性に
優れていることが記載されているものの、未だ充分満足
し得るものではなかった。
【0003】また、特開平7−33934号公報には、
マグネシウム水酸化物とアルミニウム水酸化物のモル比
がMgO/Alとして1.0≦n≦1.8の範囲
内にあるマグネシウムアルミニウム水酸化物がハロゲン
含有樹脂用安定剤として提案されている。これら安定剤
は、従来使用されていた鉛系の安定剤のように人体に対
する影響がなく、ある程度の熱安定性を有する点におい
て優れたものであるが、ハイドロタルサイト類から成る
安定剤は、高温時に発泡する問題があり、また後者のマ
グネシウムアルミニウム水酸化物から成る安定剤も、熱
安定性において未だ十分満足し得るものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したような、従来
の多塩基性アルミニウムマグネシウム塩は明確な結晶構
造を示さないものであるのに対し、本発明においては明
確な結晶構造を有し、しかもハイドロタルサイト類とも
結晶構造の異なる複合金属多塩基性塩が上述した塩素含
有重合体の熱による劣化を有効に防止し得ることを見出
したのである。
【0005】従って、本発明の目的は、明確な結晶構造
を有する複合金属多塩基性塩を用いた塩素含有重合体用
安定剤を提供することであり、より詳細には、塩素含有
重合体の熱や光による劣化や、発泡の発生を有効に防止
することができる塩素含有重合体用安定剤を提供するに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記一
般式(1) M3+ 2+ (OH)(A)・nHO ‥(1) 式中、M3+は三価金属を表し、M2+は二価金属を表
し、Aは無機または有機のアニオンを表し、p、q、y
及びzは下記式 3p+2q−y−mz=0(式中mはアニオンAの価数であり、)・・(i) 0.3≦q/p≦2.5・・・(ii) 1.5≦y/(p+q)≦3.0・・・(iii) 1.0≦(p+q)/z≦20.0 好ましくは、1.0≦(p+q)/z≦8.0・・・(iv) を満足する数であり、nは7以下の数である、で表され
る化学組成を有する複合金属多塩基性塩から成ることを
特徴とする塩素含有重合体用安定剤が提供される。
【0007】本発明においては、上記複合金属多塩基性
塩の中でも、X線回折(Cu−α)において、2θ=2
乃至15 ゜、2θ=19乃至24゜及び2θ=33乃
至50゜に回折ピークを有し、且つ2θ=60乃至64
゜には単一のピークが存在するものであることが好まし
い。更に好ましくは2θ=33乃至50゜に単一のピー
クが存在するものであることが特に好ましい。(以下、
PBSと呼ぶことがある)また前記式(1)中、三価金
属(M3+)がアルミニウムであることが好ましく、ま
た前記式(1)中、二価金属(M2+)がマグネシウム
及び/または亜鉛であることが好ましく、また、前記式
(1)中、アニオン(A)が硫酸イオンであることが好
ましく、この硫酸イオンはアニオン交換性であり、炭酸
イオン、有機カルボン酸イオン、ハロゲンの酸素酸イオ
ン等でイオン交換がされるものもある。
【0008】また本発明の塩素含有重合体用安定剤に用
いる好適な複合多塩基性塩は、前述したBragg角に
X線回折ピークを有するが、下記X線回折像 を一般に有している。
【0009】また、上記X線回折ピークのうち、2θ=
33乃至50゜のピークは特異であり、下記数式(2) I= tanθ/tanθ …(2) 式中、θは一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピ
ーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、θ
は該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接線とが
なす角度を表す、で定義される積層不整指数(I)が
2θ=33乃至50゜のピークにおいて1.0以上であ
る。
【0010】更に、複合多塩基性塩から成る本発明の塩
素含有重合体用安定剤(A)は、多価アルコール、βジ
ケトン乃至βケト酸エステル、高級脂肪酸金属石鹸、フ
ェノール系酸化防止剤及びケイ酸塩(微結晶カルシウム
シリケートやゼオライト等)から成る群より選ばれた少
なくとも1種の成分(B)と組合せで使用され、前記安
定剤(A)と前記成分(B)とが A:B=1:0.01乃至1:5 の重量比で含有されていることが好ましい。更にまた、
本発明の塩素含有重合体用安定剤(A)は、塩素含有重
合体100重量部当たり0.01乃至10重量部の量で
含有されることが好ましい。
【0011】
【発明の実施形態】[作用]本発明の塩素含有重合体用
安定剤は、前記式(1)で表される化学組成を有する複
合金属多塩基性塩から成ることが重要な特徴である。本
発明に用いる複合金属多塩基性塩は明確な結晶構造を示
し、しかもこの複合金属多塩基性塩はハイドロタルサイ
ト類とも結晶構造の異なる複合金属多塩基性塩である。
すなわち、かかる複合金属多塩基性塩を塩素含有重合体
用安定剤として用いることにより、この複合金属多塩基
性塩が有する易交換性のアニオンが、塩素イオンを交換
・吸着し、塩素イオンに起因する加熱時の樹脂の着色等
の劣化を有効に防止することが可能となり、熱安定性に
優れたものになる。また、後述するようにこの複合金属
多塩基性塩はハイドロタルサイト類に顕著であった水分
の離脱に伴う気泡の発生が抑制されるため、発泡という
欠点が有効に防止されている。
【0012】[複合金属多塩基性塩]本発明で用いる複
合金属多塩基性塩は、前記式(1)で表される化学的組
成を有することが第一の特徴である。即ち、三価金属の
モル数p、二価金属のモル数q、水酸基のモル数y及び
アニオンのモル数zは前記式(i)乃至(iv)の全てを
満足する範囲内にある。
【0013】公知の複合金属多塩基性塩または複合金属
水酸化物塩の代表例であるハイドロタルサイトは、典型
的には下記式(3) MgAl(OH)16CO・nHO ‥(3) の化学組成を有するものであり、前述した式(ii)のq
/pが3.0に相当するが、本発明の複合金属多塩基性
塩では、q/pが2.5以下、特に2.0以下であり、
ハイドロタルサイトと化学的組成を異にしている。
【0014】また、複合金属多塩基性塩の他の例とし
て、下記式(4) [AlLi(OH)]nX・mHO ‥(4) のリチウムアルミニウム複合水酸化物塩が知られている
が、この化合物は二価金属を含有せず、一価金属を含有
する点、本発明に用いる複合金属多塩基性塩と相違して
いる。また、仮に一価金属2モルが二価金属1モルに等
価であるとしても、XがCOまたはSOの場合(n
=2)、前述した式(ii)のq/pが0.25に相当す
るものであり、本発明の複合金属多塩基性塩では、q/
pが0.3以上であり、公知のリチウムアルミニウム複
合水酸化物塩とも化学的組成を異にしている。
【0015】本発明の塩素含有重合体用安定剤に用いる
複合金属多塩基性塩は、次の化学的構造を有するものと
考えられる。この化合物では、M2+(OH)八面体
層のM2+がM3+で同型置換されたものが基本層とな
り、この基本層間に前記置換による過剰カチオンと釣り
合う形で硫酸根等のアニオンが組み込まれたものであっ
て、この基本構造が多数積み重なって層状結晶構造を形
成している。
【0016】この複合金属多塩基性塩中に存在する硫酸
根等のアニオンは、アニオン交換性を有しており、炭酸
イオン、有機カルボン酸イオン、リン酸イオン、ケイ酸
イオン、ハロゲンの酸素酸イオンなどでイオン交換され
うる。複合金属多塩基性塩中の硫酸根の含有量をQ
(ミリ当量/100g)としたとき、Qは240乃
至420ミリ当量/100gである。
【0017】本発明の塩素含有重合体用安定剤に用いる
複合金属多塩基性塩を構成する二価金属、M2+として
は、Be、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Cd、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Pd、Sn、Pt、Pb
などが挙げられるが、これらの内でも周期律表第II族
金属、特にMg及びZnが好適である。
【0018】一方、複合金属多塩基性塩を構成する三価
金属M3+としては、Al、Sc、Ti、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Ga、Y、Ru、Rh、In、
Sb、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Os、I
r、Au、Bi、Ac、Thなどが挙げられるが、これ
らの内でもAlが好適である。
【0019】また、複合金属多塩基性塩を構成するアニ
オンAとしては、無機アニオンや有機アニオンが挙げら
れ、無機アニオンとしては、S、P、Al、Si、N、
B、V、Mn、Mo、W、Cr、Te、Sn、Cl、B
r、Iなどの酸素酸アニオン、炭酸アニオン、ケイ酸ア
ニオン、リン酸アニオン、アルミン酸アニオンなどが挙
げられる。一方、有機アニオンとしては、酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチ
ン酸、オレイン酸、リノール酸、アジピン酸、フマール
酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、シクロヘキサンカ
ルボン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、テレフタ
ル酸などのカルボン酸アニオン;メタンスルホン酸、ト
ルエンスルホン酸、リグニンスルホン酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸などのスルホン酸アニオン;などが挙げ
られる。これらの中でも硫酸イオン、炭酸イオン、リン
酸イオン、ケイ酸イオン、過塩素酸,過ヨウ素酸,過臭
素酸,塩素酸,ヨウ素酸,臭素酸,次亜塩素酸,次亜ヨ
ウ素酸,次亜臭素酸などのハロゲンの酸素酸イオンや、
有機カルボン酸アニオンなどが特に好適である。
【0020】添付図面の図1、2には、本発明の塩素含
有重合体用安定剤に用いる複合金属多塩基性塩について
の赤外線吸収スペクトルが、ハイドロタルサイトの赤外
線吸収スペクトルと対比して示されている。即ち、図1
の(A)はアニオンが硫酸イオンからなるAl−Mg型
複合金属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトルであり、
(B)はアニオンが炭酸イオンからなるAl−Mg型複
合金属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトルであり、
(C)はアニオンが2水素リン酸イオンからなるAl−
Mg型複合金属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトルであ
り、(D)はアニオンが1水素リン酸イオンからなるA
l−Mg型複合金属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトル
であり、(E)はアニオンがリン酸イオンからなるAl
−Mg型複合金属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトルで
あり、(F)はアニオンがケイ酸イオンからなるAl−
Mg型複合金属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトルであ
り、(G)はアニオンがステアリン酸イオンからなるA
l−Mg型複合金属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトル
であり、(H)はアニオンが炭酸イオンからなるハイド
ロタルサイトの赤外線吸収スペクトルである。アニオン
がステアリン酸イオンからなるAl−Mg型複合金属多
塩基性塩では、波数3000乃至2800cm−1にメ
チレン基による特性吸収、波数1650乃至1500c
−1にカルボキシラートイオンによる特性吸収も認め
られる。更に図2の(A)はアニオンが硫酸イオンから
なるAl−Zn型複合金属多塩基性塩の赤外線吸収スペ
クトルであり、(B)はアニオンが硫酸イオンからなる
Al−Zn−Mg型複合金属多塩基性塩の赤外線吸収ス
ペクトルであり、(C)はアニオンが1水素リン酸イオ
ンからなるAl−Zn型複合金属多塩基性塩の赤外線吸
収スペクトルであり、(D)はアニオンが1水素リン酸
イオンからなるAl−Zn−Mg型複合金属多塩基性塩
の赤外線吸収スペクトルであり、(E)はアニオンがス
テアリン酸イオンからなるAl−Zn型複合金属多塩基
性塩の赤外線吸収スペクトルであり、(F)はアニオン
がステアリン酸イオンからなるAl−Zn−Mg型複合
金属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトルであり、(G)
はアニオンがケイ酸イオンからなるAl−Zn型複合金
属多塩基性塩の赤外線吸収スペクトルであり、(H)は
アニオンが炭酸イオンからなるハイドロタルサイトの赤
外線吸収スペクトルである。アニオンがステアリン酸イ
オンからなるAl−Zn型複合金属多塩基性塩では、波
数3000乃至2800cm−1にメチレン基による特
性吸収、波数1650乃至1500cm−1にカルボキ
シラートイオンによる特性吸収も認められる。これらの
赤外線吸収スペクトルから、本発明に用いる複合金属多
塩基性塩は、波数3800乃至2700cm−1に水酸
基による特性吸収を有すると共に、波数900乃至15
00cm−1に組み込まれたアニオンによる特性吸収を
有することが分かる。
【0021】本発明の塩素含有重合体用安定剤において
は、前記式(1)を満たす複合金属多塩基性塩を用いる
ことができ、かかる複合金属多塩基性塩には、マグアル
ドレート(AlMg10(OH)31(SO
xHO)等の複合金属多塩基性塩も含まれる。本発明
においては特に、X線回折(Cu−α)において、2θ
=2乃至15゜、2θ=19乃至24゜及び2θ=33
乃至50゜に回折ピークを有し、且つ2θ=60乃至6
4゜には単一のピークが存在するPBSを用いることが
最も好ましい。すなわち、このPBSは、ハイドロタル
サイトやリチウムアルミニウム複合水酸化物塩とも、全
く異なった結晶構造を有している。
【0022】添付図面の図3は本発明に用いるAl−M
gタイプのPBSのX線回折像であり、図4は本発明に
用いるAl−ZnタイプのPBSのX線回折像である。
また、図5は、本発明に用いるマグアルドレート(Al
Mg10(OH)31(SO・xHO)のX
線回折像である。一方、図6はハイドロタルサイトのX
線回折像であり、図7はリチウムアルミニウム複合水酸
化物塩のX線回折像である。
【0023】図3及び図4に示すPBSは、X線回折
(Cu−α)において、2θ=2乃至15゜、2θ=1
9乃至24゜、2θ=33乃至50゜及び2θ=60乃
至64゜に実質上4個の回折ピークを有し、且つ2θ=
60乃至64゜は単一のピークで存在する。また、図5
に示すマグアルドレートは、2θ=10乃至12゜、2
θ=22乃至24゜、2θ=33乃至35゜、2θ=3
8乃至40゜、2θ=45乃至47゜及び2θ=60乃
至63゜に回折ピークを有している。図3及び図4に示
すPBSと、図5に示すマグアルドレートの2θ=10
乃至12゜のX線回折像の回折ピークから、図3及び図
4に示すPBSの方がC軸方向への結晶が発達している
ことが解る。このことから、図3及び図4に示す回折ピ
ークを有するPBSの方がマグアルドレートよりも耐酸
性に優れ、耐熱性向上に寄与すると考えられることか
ら、本発明の塩素含有重合体用安定剤においては、特に
好適に用いられるものと考えられる。
【0024】また、ハイドロタルサイト(図6)では、
2θ=38乃至50゜の範囲に2個の回折ピークを有し
ており、更に2θ=60乃至63゜の範囲にも2個の回
折ピークを有しており、図3及び4に示すPBSは勿
論、マグアルドレートともX線回折像は全く相違してい
る。同様の相違は、リチウムアルミニウム複合水酸化物
塩(図7)の場合にも認められる。
【0025】更に、本発明に最も好適に用いられるPB
Sは、更に図3及び図4から明らかなとおり、積層不整
というX線回折学的な微細構造上の特徴を有している。
即ち、PBSでは、2θ=33乃至50゜の回折ピーク
が非対称ピークとなっていることが明らかである。
【0026】即ち、このピークは挟角側(2θの小さい
側)では立ち上がりが比較的急で、広角側(2θの大き
い側)では傾斜のゆるやかな非対称のピークとなってい
ることが了解される。この非対称ピーク構造は、上述し
た2θ=33乃至50゜のピークにおいて特に顕著であ
るが、他に2θ=60乃至64゜のピークにおいても程
度は小さいものの同様に認められる。
【0027】本明細書において、積層不整指数(Is)
は、次のように定義される。即ち、後述する実施例記載
の方法で、図8に示すようなX線回折チャートを得る。
この2θ=33乃至50゜のピークについて、ピークの
挟角側最大傾斜ピーク接線aと広角側最大傾斜ピーク接
線bを引き、接線aと接線bの交点から垂線cを引く。
次いで接線aと垂線cとの角度θ、接線bと垂線cと
の角度θを求める。これらの角度から、前記式(2)
により、積層不整指数(Is)が求められる。この積層
不整指数(Is)は、完全に対称なピークである場合に
は、1.0であり、立ち上がり角度に比して立ち下がり
角度が大きくなる方が大きな値をとるようになる。
【0028】この積層不整指数(Is)の意味するとこ
ろは、次のものと思われる。即ち、本発明に用いるPB
Sでは、M (OH)の基本層が積み重
なった層状結晶構造を有することは既に指摘したところ
であるが、各基本層のサイズ(長さや面積)が一様でな
く、その分布が広い範囲にわたっており、また、基本層
にねじれや湾曲などを生じて、非平面構造となっている
と考えられる。
【0029】このため、PBSでは、アニオンのイオン
交換が容易であり、イオン交換容量が大きいと共に、イ
オン交換速度も大きく、塩素含有重合体用の安定剤とし
て用いた場合、樹脂中の塩素イオンを有効に交換するこ
とができるため、特にその能力に優れているという利点
が達成されるものである。
【0030】本発明に用いる複合金属多塩基性塩(以下
PBS及びマグアルドレート等式(1)で表されるもの
全てを総称していう)は、室温から200℃の温度に加
熱したときの重量減少率が20重量%以下、特に15重
量%以下であり、塩素含有重合体用安定剤として樹脂中
に配合したとき、樹脂の加工温度で発泡を生じることが
ないという顕著な利点をも有している。ハイドロタルサ
イトの欠点として、樹脂の加工温度で水分の離脱に伴う
発泡の問題が指摘されているが、本発明の塩素含有重合
体用安定剤では、この問題が解消されている。図9は、
本発明に用いる複合金属多塩基性塩についての示差熱分
析(DTA)の結果を示している。ハイドロタルサイト
類などでは温度190乃至240℃の範囲に水分の揮発
に基づく極めて大きな吸熱ピークが認められるのに対し
て、PBSではこのような大きな吸熱ピークは認められ
ず、耐発泡性に優れていることを示している。
【0031】本発明に用いる複合金属多塩基性塩は、小
さい比表面積と小さい細孔容積とを有している。一般
に、本発明に好適に用いるPBSのBET比表面積は4
0m/g以下、特に0.3乃至20m/gの範囲で
あり、一方、細孔径17乃至3000オングストローム
についてBJH法で求めた細孔容積は0.0005乃至
0.05ml/g、特に0.02乃至0.035ml/
gの範囲にある。
【0032】また、本発明に用いる複合金属多塩基性塩
は、レーザ回折法で測定して、一般に 0.1乃至20
μm、特に0.1乃至10μmの体積基準中位径(D
50)を有する。粒子形状は、板状結晶粒子状からアグ
ロメレート状の形状があり、これは複合金属多塩基性塩
の二価金属M2+の種類にも依存する。
【0033】図10は、アニオンが硫酸イオンからなる
Al−Mg型PBSの粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真であり、図11はアニオンがステアリン酸イオンか
らなるAl−Mg型PBSの粒子構造を示す走査型電子
顕微鏡写真である。これらの写真から、Al−Mg型の
ものでは、1次粒子がハニカム型或いは軽石型の内部構
造をしており、しかもこれらの1次粒子がアグロメレー
トして2次粒子を形成しているという興味のある事実が
明らかとなる。ハニカム型或いは軽石型の内部構造にも
かかわらず、前記測定で小さい細孔容積を示すのは、形
成されている孔が前述した細孔径よりもかなり大きい径
を有するためと考えられる。更に、図10と図11とを
対比すると、ステアリン酸型のものでは、1次粒子がス
テアリン酸の導入によりかなり肥大化しているという事
実も明らかとなる。
【0034】一方、図12は、アニオンが硫酸イオンか
らなるAl−Zn型PBSの粒子構造を示す走査型電子
顕微鏡写真であり、図13はアニオンがステアリン酸イ
オンからなるAl−Zn型PBSの粒子構造を示す走査
型電子顕微鏡写真である。これらの写真から、Al−Z
n型のものでは、1次粒子が板状晶粒子からなってお
り、Al−Mg型のものとは全く異なった粒子構造を示
すことが明らかである。
【0035】[複合多塩基性塩の調製]本発明におい
て、最も好適に用いることができる複合金属多塩基性塩
は、三価金属の水可溶性塩と、二価金属の酸化物、水酸
化物或いは水可溶性塩とを、反応終了時のpHが3.5
乃至10となる条件下で、且つ50℃以上,好ましくは
80℃以上の温度で反応させ、必要により酸或いは酸の
可溶性塩の存在下にイオン交換することにより製造する
ことができる。
【0036】Alなどの三価金属の水可溶性塩として
は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの水可溶性塩であれ
ば、何れをも使用しうるが、本発明では合成の容易さの
点から、複合金属多塩基性塩を硫酸塩の形で合成するの
が望ましく、この点から、硫酸塩の形で用いるのが最も
望ましい。
【0037】Mg或いはZnなどの二価金属の原料とし
ては、酸化物、水酸化物或いは水溶性塩の何れも使用で
きるが、酸化物、例えば亜鉛華や、水酸化物、例えば水
酸化マグネシウムを用いるのが合成上もっとも便利であ
る。勿論、本発明においては、二価金属の塩化物、硝酸
塩、硫酸塩などの水可溶性塩を用いても、反応系のpH
を上記の範囲に制御することにより、複合金属多塩基性
塩の合成を行うことが可能である。
【0038】本発明では、上記各原料を、反応終了時の
pHが3.5乃至10.0、特に4.0乃至9.0の範
囲となり、且つ反応温度を50℃以上、特に80乃至1
80℃の範囲に維持して、反応を行うことが重要であ
る。反応系のpHが上記範囲外では、複合金属多塩基性
塩の生成が困難となる傾向がある。即ち、この複合金属
多塩基性塩では、水酸基とアニオン性基との両方を結合
して有することが特徴であるが、pHが上記範囲を上回
るとアニオン性基の導入が困難となり、pHが上記範囲
を下回ると水酸基の導入が困難となる傾向がある。一
方、反応温度が上記範囲を下回るとやはり複合金属多塩
基性塩の合成が困難となる傾向がある。
【0039】三価金属化合物と、二価金属化合物との反
応混合比は、前記一般式(1)の組成比が満足されるよ
うに定める。一般に、原料におけるM2+/M3+の仕
込みモル比よりも生成物におけるM2+/M3+のモル
比は小さくなる傾向がある。添付図面の図14は、Al
−Mg型PBSに関して、原料におけるM2+/M 3+
の仕込みモル比と、生成物におけるM2+/M3+のモ
ル比との関係を示しており、両者の関係はほぼ直線関係
にあって、仕込みモル比を決めることにより最終生成物
のM2+/M3+のモル比を定めうることが理解され
る。一般に、M2+/M3+の仕込みモル比は、1.0
乃至5.0、特に1.0乃至4.0の範囲にあることが
望ましい。
【0040】また、原料におけるM2+/M3+の仕込
みモル比並びに生成物におけるM /M3+のモル比
と、生成物におけるA/M3+のモル比にも一定の関係
があり、一般にM2+/M3+のモル比が増大すると生
成物におけるA/M3+のモル比が増大する傾向があ
る。図15は、上記の両者の関係を示しており、Mg/
Alのモル比の増大に伴って、生成物におけるSO
/Alのモル比が単調に増大することを示している。こ
の現象は次のように考えられる。即ち、本発明に用いる
PBSは、M2+(OH)八面体層のM2+がM3+
で同型置換されたものが基本層となり、この基本層間に
前記置換による過剰カチオンと釣り合う形で硫酸根等の
アニオンが組み込まれたものであることは、既に指摘し
たとおりであるが、この過剰カチオンと釣り合う形で硫
酸根が全て組み込まれると、SO/Alのモル比は
0.5になることになる。図15の事実は、Alのモル
比が小さい状態では、この理想的状態がほぼ成り立つ
が、Alのモル比が大きくなると、硫酸根の組み込みの
程度は少なくなり、水酸基との結合が多くなることを示
している。
【0041】図16は、Al−Mg型PBSについて、
原料の仕込みモル比Mg/Alを変化させた場合の生成
物のX線回折像を示している。これらの結果は、Mg/
Alのモル比が1.8乃至3.0の範囲で本発明の結晶
構造のものが安定に生成することを示している。また、
図17は、Al−Zn型PBSについて、原料の仕込み
モル比Zn/Alを変化させた場合の生成物のX線回折
像を示している。これらの結果は、Zn/Alのモル比
が2.4乃至3.6の範囲で本発明の結晶構造のものが
安定に生成することを示している。
【0042】本発明に用いる複合金属多塩基性塩の合成
に当たって、両原料の混合順序などには格別の制限はな
く、例えば、三価金属塩類の水溶液に二価金属の酸化
物、水酸化物のスラリーや水溶性塩類の溶液を添加して
もよく、また逆に二価金属の酸化物、水酸化物のスラリ
ーや水溶性塩類の溶液に三価金属塩類の水溶液を添加し
てもよい。
【0043】反応は、反応混合物を攪拌下に前述した温
度で、2乃至72時間程度維持することにより完了させ
ることができる。一般に必要ないが、加圧容器を使用し
て、水熱条件下に反応を行うこともできる。反応生成物
は、水洗し、濾過などの固液分離操作を行った後、60
乃至150℃で乾燥し、必要により更に150乃至23
0℃で熱処理して製品とすることができる。
【0044】また、複合金属多塩基性塩としてマグアル
ドレートを調製するには、勿論これに限定されないが、
例えば特開昭60−204617号公報記載の方法等を
用いて調製することができる。
【0045】本発明に用いる複合金属多塩基性塩では、
イオン交換法により、種々のアニオンを導入することが
できる。このアニオン交換に付する原料複合金属多塩基
性塩としては、硫酸型の複合金属多塩基性塩が好まし
い。イオン交換に付するアニオンとしては、前述したア
ニオン類のナトリウム塩などのアルカリ金属塩が使用さ
れる。例えば、炭酸根の導入には、重曹、炭酸ナトリウ
ムなどが使用され、有機酸アニオンの導入には、カルボ
ン酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウムが使用され、ハ
ロゲンの酸素酸イオンの導入には過塩素酸ナトリウム、
過塩素酸リチウムなどが使用されるが、勿論この例に限
定されない。
【0046】イオン交換によるアニオンの導入は、粉末
或いはウエットケーキの形の硫酸型の複合金属多塩基性
塩と前述したアニオンの塩の水溶液とを、0乃至100
℃の温度で、一様に接触させればよく、一般にイオン交
換処理は、5分乃至3時間程度の接触で完了する。得ら
れた製品は、濾過、水洗、乾燥することにより製品とな
る。またイオン交換後のスラリーを噴霧乾燥等により顆
粒品として得ることもできる。
【0047】[塩素含有重合体用安定剤]前述した本発
明に用いる複合金属多塩基性塩は、樹脂の加工温度で水
分の離脱に伴う発泡を生じることがなく、樹脂への配合
が容易であり、樹脂に対して熱安定化作用のある成分、
即ち、二価金属や三価金属成分、更には水酸基を含有し
ており、熱安定性に優れている。更に、この複合金属多
塩基性塩はアニオン交換性を有しており、塩素イオンな
どの捕捉性に優れている。また、二価金属成分として亜
鉛を含有するものは、抗菌性や消臭性にも優れている。
従って、本発明においては、かかる複合金属多塩基性塩
をそのまま塩素含有重合体用安定剤として用いることが
でき、また後述するように、必要に応じてかかる複合金
属多塩基性塩を多価アルコール等と組み合わせて複合安
定剤とすることもできる。
【0048】本発明に用いる複合金属多塩基性塩は、前
述した式(ii)で示したとおり、M とM2+の含有比
率は0.3≦q/p≦2.5の範囲にあるが、塩素含有
重合体用安定剤としては、1.0≦q/p≦2.0の範
囲にあることが特に望ましい。また、前述したように種
々の二価金属、M2+により構成されるが、特に、種々
の二価金属M2+の中でも、Mg及びZnが好適に使用
され、これらの両方を含有するものが、色相安定性及び
持続性に優れ、最も好適に使用できる。すなわち、マグ
ネシウムが赤味の発色、亜鉛が青味の発色を呈するた
め、これらを組み合わせることにより、本発明の安定剤
を配合した塩素含有重合体の色相を持続性よく安定化す
ることが可能となるのである。複合金属多塩基性塩にお
けるこれらの含有比率は、Mg:Znとして9.9:
0.1乃至6:4、特に9:1乃至7:3の範囲にある
ことが望ましい。
【0049】本発明の塩素含有重合体用安定剤は前述し
たように、複合金属多塩基性塩をそのまま用いるほか、
この複合金属多塩基性塩から成る安定剤(A)に、多価
アルコール、βジケトン乃至βケト酸エステル、高級脂
肪酸金属石鹸、フェノール系酸化防止剤及び微結晶カル
シウムシリケートから成る群より選ばれた少なくとも1
種の成分(B)とを組み合わせて複合安定剤とすること
もできる。これら群より成る成分(B)は熱安定性、特
に初期着色傾向を更に改善するために有効である。上記
成分(B)は、複合金属多塩基性塩から成る安定剤
(A)に対して、A:Bとして、1:0.01乃至1:
5、特に1:0.1乃至1:3の範囲にあることが好ま
しい。上記範囲よりも(B)成分が多いと、複合金属多
塩基性塩から成る安定剤の優れた塩素イオン捕捉能が充
分に発揮できず、また(B)成分が上記範囲よりも少な
いと、初期着色傾向の改善が充分に図れないからであ
る。
【0050】多価アルコールは上述した目的の他、増量
剤としても有効であり、例えば、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニト
ール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリス
イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールアジペート
等を挙げることができ、中でもモノペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトールが好適に使用できる。
【0051】βジケトン乃至βケト酸エステルとして
は、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,
3−シクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シク
ロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテ
トラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラ
ロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイル
シクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキ
サンジオン、ビス(ベンゾイル)メタン、ベンゾイル−
p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾ
イル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタ
ン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジア
セチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタ
ン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾ
イルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベ
ンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシ
ベンゾイル)メタン、べンゾイルアセチルフェニルメタ
ン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、
ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチル
アセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサ
ノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を挙げるこ
とができる。中でもジベンゾイルメタン、ステアロイル
ベンゾイルメタンが好適に用いられる。
【0052】高級脂肪酸金属石鹸としては、カプリン
酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の
飽和脂肪酸や、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等
の不飽和脂肪酸等のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カ
リウム塩等のアルカリ金属塩や、マグネシウム塩、カル
シウム塩、亜鉛塩、バリウム塩等の金属石鹸を挙げるこ
とができる。中でもラウリン酸、ステアリン酸が好適に
用いられる。
【0053】フェノール系酸化防止剤は、上述した熱安
定性の向上という目的の他、重合体の熱減成を抑制し、
塩化水素捕捉時間を延長させるために有効である。例え
ば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−
ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステア
リル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオ
ジエチレングリコールビス[(3,5−ジ第三ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−
ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサ
ンメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオ
ビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−
メチレンビス(4−メチル−6第三ブチルフェノー
ル)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三
ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアッシド〕
グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−
第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデン
ビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−
エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェ
ノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−
第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−
第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタ
レート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−
ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレー
ト、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−
トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−
トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2
−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオ
キシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノー
ル、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{(3−第
三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
ピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリ
コールビス[(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオネート]等を挙げることがで
きる。
【0054】微結晶カルシウムシリケートは、一般式C
aO・XSiO・nHO(式中Xは0.5乃至5.
0の数であり、nは2.5以下の数である)で表される
化学組成を有し、且つ面間隔3.01乃至3.08オン
グストローム、面間隔2.78乃至2.82オングスト
ローム及び面間隔1.81乃至1.84オングストロー
ムにX線回折像を有する微結晶カルシウムシリケートで
あることが好ましい。微結晶カルシウムシリケートにお
けるシリカ分の含有量が上記範囲を超えて大きいとき
は、上記範囲内にある場合に比して熱安定性が低下する
傾向があり、一方この範囲を超えて小さい場合には、上
記範囲内にある場合に比して初期着色傾向が増大する場
合がある。この微結晶カルシウムシリケートは、若干水
和している方が熱安定性が大きくなる傾向があるが、水
和量があまりにも多くなると、樹脂の発泡傾向があるの
で好ましくない。また、用いるカルシウムシリケート
は、前述したX線回折像を有する微結晶であることも、
熱安定性及び初期着色防止の点で重要である。すなわち
結晶構造のよく発達した珪酸カルシウムでは、熱安定性
が劣り、また無定型の珪酸カルシウムでは初期着色傾向
が大きく、熱安定性も微結晶のものに劣る傾向がある。
無定型の珪酸カルシウムでは、それ自体脱塩化水素反応
を引き起こすほど活性が大であるのに対して、微結晶の
カルシウムシリケートでは、活性が程々の範囲に維持さ
れているため、優れた熱安定性と初期着色防止とのバラ
ンスが維持されるものと推定される。
【0055】本発明の塩素含有重合体用安定剤において
は、前述した複合金属多塩基性塩をシラン系カップリン
グ剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップ
リング剤、ジルコニウム系カップリング剤、各種ワック
ス類、高級脂肪酸類、高級脂肪酸塩類、高級脂肪酸エス
テル類、高級脂肪族アルコールと燐酸のエステル類、ノ
ニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面
活性剤、未変性乃至変性の各種樹脂(例えばロジン、石
油樹脂等)等のコーテイング剤から選ばれる1種類又は
2種類以上により表面処理して使用することができる。
これらのコーテイング剤は、湿式でも乾式でも行うこと
ができ、複合金属多塩基性塩当たり0.5乃至20重量
%、特に1乃至10重量%の量で用いるのがよい。
【0056】また、他の無機系助剤としては、エアロジ
ル、疎水処理エアロジル等の微粒子シリカ、ケイ酸マグ
ネシウム等のケイ酸塩、カルシア、マグネシア、チタニ
ア等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸
塩、A型、P型等の合成ゼオライト及びその酸処理物又
はその金属イオン交換物から成る定形粒子を、複合金属
多塩基性塩にブレンド乃至マブシして使用することもで
きる。これらの無機系助剤は、複合金属多塩基性塩当た
り0.01乃至200重量%、特に0.1乃至100重
量%の量で用いるのがよい。
【0057】本発明の塩素含有重合体用安定剤を配合す
べき塩素含有重合体としては、勿論これに限定されるも
のではないが、以下のものを例示することができる。例
えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポ
リエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレ
ン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、
塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレ
ン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化
ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレ
ン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエ
ン共重合体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、
塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合
体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビ
ニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタ
クリル酸エステル、塩化ビニル−アクリロニトリル共重
合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれ
らの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフ
ィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン及びこれ
らの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン
と他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、ア
クリロニトリル等)との共重合体、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−
ブタジエン、スチレン共重合体、メタクリル酸エステル
−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド物等を挙
げることができる。
【0058】本発明の塩素含有重合体用安定剤は、上記
塩素含有重合体100重量部当たり、 0.01乃至1
0重量部、特に0.1乃至5重量部の量で配合し、安定
化塩素含有重合体組成物とすることができる。また、塩
素含有重合体には従来公知の各種配合剤、例えば、滑
剤、充填剤、増量剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、防菌剤、香料、着色剤、難燃剤、老化
防止剤、光安定剤、耐候安定剤等を従来公知の処方に従
って配合することもできる。
【0059】本発明の塩素含有重合体用安定剤を配合す
べき塩素含有重合体には、可塑剤を配合して軟質の重合
体とすることもできる。用いることができる可塑剤とし
ては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸
エステル系可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル
系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤、テト
ラヒドロフタール酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、
セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸
系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系
可塑剤などが挙げられる。
【0060】また本発明の塩素含有重合体用安定剤で
は、塩素含有重合体中にハイドロタルサイトを併せて配
合することも可能である。ハイドロタルサイトは塩素含
有重合体の熱安定性を向上する上で有効であるとして
も、気泡を発生するという問題があるため、塩素含有重
合体100重量部に対し5重量部以下、特に0.1乃至
2重量部の範囲で配合することが好ましい。用いること
ができるハイドロタルサイトとしては、一般式 M2+xM3+y(OH)2x+3y-2z(A2−)z・aH
O 式中、M2+はMg等の2価金属イオンであり、M3+
はAl等の3価金属イオンであり、A2−はCO等の
2価のアニオンであり、x,y及びzは8≧x/y≧1
/4及びz/(x+y)>1/20を満足する正数であ
り、aは0.25≦a/(x+y)≦1.0を満足する
数である。を有する複合金属水酸化物が使用できる。こ
れに限定されないが、下記式 MgAl(OH)16(CO)・4HO で表される、ハイドロタルサイトとして知られる天然鉱
物及びこの同族類を好適に用いることができる。この鉱
物及び同族類は特公昭47−32198号公報、特公昭
48−29477号公報及び特公昭48−29478号
公報記載の方法等により合成される。また、これ以外に
も下記式 Mg4.5Al(OH)13(CO)・3HO で表される、ハイドロタルサイト類も、塩素イオンの捕
捉性能に優れており、好適に使用できる。
【0061】本発明の塩素含有重合体用安定剤は、塩素
系触媒残渣を有するオレフィン系樹脂の劣化を防止する
目的に使用することもできる。この場合には、オレフィ
ン系樹脂100重量部当たり、0.01乃至2重量部の
量で用いるのがよい。オレフィン系樹脂としては、ポリ
プロピレン、低−、中−、高−密度の或いは線状低密度
のポリエチレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合
体、イオン架橋オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体
を挙げることができる。
【0062】
【実施例】本発明を次の例で説明するが、本発明は以下
の例に限定されるものではない。 (合成例1)1000mlヒ゛ーカーに水酸化マク゛ネシウム(MgO=64.2%)1
07.06gとイオン交換水を加えて400mlとし、攪拌、分散
させてスラリーを調製した。このスラリーに室温下にて硫酸バン
ド(Al 2O3=7.68%,SO3=18.1%)400gを攪拌下で徐々に注加
した後、800mlまでメスアッフ゜した。その後90℃まで昇温
し、6時間反応を行った。反応終了後に減圧濾過、2000
mlの温水で洗浄を行い、110℃にて一晩乾燥し、粉砕し
て白色粉末を得た。得られた白色粉末を分析した結果、
この合成物のモル組成比は以下のようであった。 Al 1.00 Mg 1.61 (OH) 5.38 (SO4) 0.42・1.5H2O
【0063】(合成例1−2)Mg−SO4型の表面処理 合成例1と同様の反応を行った後、表面処理剤としてステ
アリル燐酸エステルのカリウム塩を2.7g加え、更に30分間攪拌を継
続して表面処理を施した。以下、合成例1と同様の操作
で濾過、洗浄、乾燥、粉砕を行い白色粉末を得た。その
一部を更に200℃で3時間乾燥し、別試料として保存し
た。
【0064】(合成例2)合成例1と同様の操作で、水
酸化マク゛ネシウムの代わりに酸化亜鉛(純度99.6%)137.91g
のスラリーを調製した。以下合成例1と同様の条件下で反
応、及び試料調製を行い、白色粉末を得た。得られた白
色粉末のモル組成比は以下のようであった。 Al 1.00 Zn 1.92 (OH) 5.88 (SO4) 0.48・0.9H2O
【0065】(合成例2−2)合成例2と同様の反応を
行った後、表面処理剤としてステアリン酸を4.1g加え、更に3
0分間攪拌を継続して表面処理を施した。以下、合成例
1と同様の操作で試料調製を行い白色粉末を得た。
【0066】(合成例3)合成例1と同様の操作で、水
酸化マグネシウム107.06gスラリーに代えて水酸化マグ
ネシウム97.72gと酸化亜鉛12.27gの混合スラリーを調製し
た。以下、同様の条件下で反応、及び試料調製を行い、
Mg/Zn混晶型の白色粉末を得た。得られた白色粉末のモル
組成比は以下のようであった。 Al 1.00 Mg 1.41 Zn 0.30 (OH) 5.48 (SO4) 0.47・1.3H
2O
【0067】(合成例3−2)合成例3と同様の反応を
行った後、表面処理剤としてステアリン酸を2.0g加え、更に3
0分間攪拌を継続して表面処理を施した。以下、前記例
と同様の操作で濾過、洗浄、乾燥、粉砕を行い白色粉末
を得た。
【0068】(合成例4)1000mlヒ゛ーカーに、合成例1の
中間品であるMg-SO4型の濾過ケーキを、乾物相当で50gはか
り取り、イオン交換水で水和して400mlにメスアッフ゜し、80
℃に昇温した。別のヒ゛ーカーでステアリン酸66.3g(対含有SO3
ル比で2.5)を当量の水酸化ナトリウムにて80℃、約300
mlの水でステアリン酸ナトリウム溶液として調製し、先の水
和物に徐々に注加した。80℃にて2時間、アニオン交換反応
を行った後、前記例と同様の操作で濾過、洗浄、乾燥、
粉砕を行い白色粉末を得た。
【0069】(合成例5)1000mlヒ゛ーカーに合成例2の中
間品であるZn-SO4型の濾過ケーキを、乾物相当で50gはかり
取り、イオン交換水で水和して400mlにメスアッフ゜し、80℃
に昇温した。別のヒ゛ーカーでステアリン酸54.1g(対含有SO3モル
比で2.5)を当量の水酸化ナトリウムにて80℃、約300ml
の水でステアリン酸ナトリウム溶液として調製し、先の水和
物に徐々に注加した。80℃にて2時間、アニオン交換反応を
行った後、前記例と同様の操作で濾過、洗浄、乾燥、粉
砕を行い白色粉末を得た。
【0070】(合成例6)1000mlヒ゛ーカーに合成例3の中
間品であるMg/Zn-SO4型の濾過ケーキを、乾物相当で50gは
かり取り、イオン交換水で水和して400mlにメスアッフ゜し、8
0℃に昇温した。別のヒ゛ーカーでステアリン酸68.7g(対含有SO3
モル比で2.5)を当量の水酸化ナトリウムにて80℃、約3
00mlの水でステアリン酸ナトリウム溶液として調製し、先の
水和物に徐々に注加した。80℃にて2時間、アニオン交換反
応を行った後、前記例と同様の操作で濾過、洗浄、乾
燥、粉砕を行い白色粉末を得た。
【0071】(合成例7)合成例4と同様にMg-SO4型濾過
ケーキを水和し、80 ℃に昇温した。別のヒ゛ーカーで過塩素酸2
3.5g(対含有SO4モル比で2.5)を室温にて当量の水酸化
ナトリウムで中和し、約300mlの過塩素酸ナトリウム水
溶液として水和物に徐々に注加した。80 ℃にて2時
間、アニオン交換反応を行った後、表面処理剤としてステアリン
酸ク゛リセリト゛1.3gを加え、更に30分間同温度にて攪拌を継
続し、反応を完了した。以下、前記例と同様の操作で試
料調製を行い白色粉末を得た。
【0072】(合成例8)1000mlヒ゛ーカーに、合成例3の
中間品であるMg/Zn-SO4型の濾過ケーキを、乾物相当で50g
はかり取り、イオン交換水で水和して400mlにメスアッフ゜
し、80℃に昇温した。別のヒ゛ーカーでマレイン酸13.5g(対含有
SO3モル比で1.25)を当量の水酸化ナトリウムにて80
℃、約300mlの水でマレイン酸ナトリウム溶液として調製
し、先の水和物に徐々に注加した。80℃にて2時間、アニ
オン交換反応を行った後、前記例と同様の操作で濾過、洗
浄、乾燥、粉砕を行い白色粉末を得た。
【0073】上記合成例で得られた各種複合多塩基性塩
を塩化ビニル樹脂(以後PVC)に練り混み、混和物に
よる試験を行った。初期着色性、及びギアオーブン耐熱
性の評価は、各配合実施例ともシートの測色によるLa
b表色系における白色度(W値)の測定により行った。
W値の算出式を下記式(5)に示すが、より白さを保つ
ことを耐熱性良否の指標とするならば、極めて合理的な
方法と理解される。尚、試料の裏当てには白色板を使用
し、測定条件を同一にした。 W=100−〔(100−L)+a+b1/2 ・・・(5) 式中の記号は下記の意味を示す W:Lab表色系における白色度 L: 〃 明度指数 a: 〃 赤味指数 b: 〃 黄味指数
【0074】(実施例1)硬質配合による単品比較試験 下記条件にて硬質PVCシートを作成し、耐熱性の評価を
行った。尚、比較例として既存品2点を入れ、同時比較
を行った。その結果を表1に示す。 (配合条件) 塩化ビニル樹脂(平均重合度1050) 100部 ステアリン酸 0.2部 試料 2部 (混練条件) 160℃×3分間、0.5mm厚シート
【0075】
【表1】
【0076】(実施例2)軟質配合による単品比較試験 下記条件にて軟質PVCシートを作成し、耐熱性と発泡性
の評価を行った。尚、比較例として既存品2点を入れ、
同時比較を行った。その結果を表−2に示す。 (配合条件) 塩化ビニル樹脂(平均重合度1050) 100部 DOP 50部 ステアリン酸 0.2部 試料 2部 (混練条件) 150℃×6分間、1mm厚シート
【0077】
【表2】
【0078】(実施例3)硬質配合による他成分との組
合せ比較試験 本合成物と他成分の組合せにより硬質PVCシートを作成
し、耐熱性を評価した。配合成分の組合せ及びその結果
を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】表3より本発明品を熱安定剤の主たる基剤
として用いた場合、本発明品を配合(1,2)した方が
ハイドロタルサイトやリチウムアルミニウム複合水酸化
物塩の配合(3,4)よりも耐熱性が良好である。更に
本発明品を熱安定剤の助剤として用いた場合ステアリン酸亜
鉛(配合5)の一部を本発明品のMg/Zn-St型PBS(配合
6)に置き換えることにより、初期着色性を大幅に損ね
ることなく亜鉛バーニングが抑制される。
【0081】(実施例4)軟質配合による他成分との組
合せ比較試験 本合成物と他成分の組合せにより軟質PVCシートを作成
し、耐熱性を評価した。配合成分の組合せ及びその結果
を表4に示す。
【0082】
【表4】
【0083】表4に示される通り、配合−1に使用され
るステアリン酸亜鉛の一部を、本合成物のMg/Zn-St型PBSに置
き換えることにより初期着色性を大幅に損ねることなく
亜鉛バーニングが抑制される。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、金属成分として三価金
属及び二価金属を含有し、更には、アニオン交換性を有
し、新規な結晶構造を有する複合金属多塩基性塩を用い
ることにより、熱や光による着色等の劣化を有効に防止
することができ、しかも従来のハイドロタルサイト系安
定剤に顕著であった、発泡も著しく低減することが可能
な塩素含有重合体用安定剤を提供することが可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる複合金属多塩基性塩(Mg型)
の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図2】本発明に用いる複合金属多塩基性塩(Zn型)
の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図3】本発明に用いるAl−Mg型複合金属多塩基性
塩のX線回折像を示す図である。
【図4】本発明に用いるAl−Zn型複合金属多塩基性
塩のX線回折像を示す図である。
【図5】本発明に用いるマグアルドレートX線回折像を
示す図である。
【図6】ハイドロタルサイトのX線回折像を示す図であ
る。
【図7】リチウムアルミニウム複合水酸化物塩のX線回
折像を示す図である。
【図8】本発明に用いる複合金属多塩基性塩の積層不整
を説明するためのX線回折チャートを示す図である。
【図9】本発明に用いる複合金属多塩基性塩及びハイド
ロタルサイトについての示差熱分析の結果を示す図であ
る。
【図10】アニオンが硫酸イオンから成るAl−Mg型
複合金属多塩基性塩の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図11】アニオンがステアリン酸イオンから成るAl
−Mg型複合金属多塩基性塩の粒子構造を示す走査型電
子顕微鏡写真である。
【図12】アニオンが硫酸イオンから成るAl−Zn型
複合金属多塩基性塩の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図13】アニオンがステアリン酸イオンから成るAl
−Zn型複合金属多塩基性塩の粒子構造を示す走査型電
子顕微鏡写真である。
【図14】Al−Mg型複合金属多塩基性塩における、
2+/M3+仕込みモル比とM 2+/M3+生成モル
比の関係を示す図である。
【図15】Al−Mg型複合金属多塩基性塩における、
生成物のM2+/M3+モル比とA/M3+のモル比の
関係を示す図である。
【図16】Al−Mg型複合金属多塩基性塩において、
原料のM2+/M3+仕込みモル比を変化させた場合の
X線回折像を示す図である。
【図17】Al−Zn型複合金属多塩基性塩において、
原料のM2+/M3+仕込みモル比を変化させた場合の
X線回折像を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/00 C08K 5/00 5/09 5/09 (72)発明者 五十嵐 宏 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 近藤 正巳 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 皆川 円 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 佐藤 哲 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内 (72)発明者 佐藤 悌治 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) M3+ 2+ (OH)(A)・nHO ‥(1) 式中、M3+は三価金属を表し、M2+は二価金属を表
    し、Aは無機または有機のアニオンを表し、 p、q、y及びzは下記式 3p+2q−y−mz=0(式中mはアニオンAの価数
    であり、)、 0.3≦q/p≦2.5 1.5≦y/(p+q)≦3.0 及び 1.0≦(p+q)/z≦20.0 を満足する数であり、 nは7以下の数である、で表される化学組成を有する複
    合金属多塩基性塩から成ることを特徴とする塩素含有重
    合体用安定剤。
  2. 【請求項2】 前記複合金属多塩基性塩が、X線回折
    (Cu−α)において、2θ=2乃至15゜、2θ=1
    9乃至24゜及び2θ=33乃至50゜に回折ピークを
    有し、且つ2θ=60乃至64゜には単一のピークが存
    在するものであることを特徴とする請求項1記載の塩素
    含有重合体用安定剤。
  3. 【請求項3】 前記2θ=33乃至50゜のX線回折
    (Cu−α)ピークが単一ピークからなることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の塩素含有重合体用安定剤。
  4. 【請求項4】 前記式中、三価金属(M3+)がアルミ
    ニウムであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか
    に記載の塩素含有重合体用安定剤。
  5. 【請求項5】 前記式中、二価金属(M2+)がマグネ
    シウム及び/または亜鉛であることを特徴とする請求項
    1乃至4の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
  6. 【請求項6】 前記式中、アニオン(A)が硫酸イオン
    であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載
    の塩素含有重合体用安定剤。
  7. 【請求項7】 前記式中、アニオン(A)が炭酸イオン
    であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載
    の塩素含有重合体用安定剤。
  8. 【請求項8】 前記式中、アニオン(A)がハロゲンの
    酸素酸イオンであることを特徴とする請求項1乃至5の
    何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
  9. 【請求項9】 前記式中、アニオン(A)が有機カルボ
    ン酸イオンであることを特徴とする請求項1乃至5の何
    れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
  10. 【請求項10】 下記X線回折像 2θ 相対強度 5〜12゜ 50 〜100% 19〜22゜ 20 〜100% 33〜50゜ 10 〜 60% 60〜63゜ 5 〜 50% を有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記
    載の塩素含有重合体用安定剤。
  11. 【請求項11】 下記数式(2) I = tanθ/tanθ ・・(2) 式中、θは一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピ
    ーク垂線と狭角側ピーク接線とがなす角度を表し、θ
    は該ピークにおけるピーク垂線と広角側ピーク接線とが
    なす角度を表す、で定義される積層不整指数(I)が
    2θ=33乃至50゜のピークにおいて1.0以上であ
    ることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の
    塩素含有重合体用安定剤。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11の何れかに記載の塩
    素含有重合体用安定剤(A)と、多価アルコール、βジ
    ケトン乃至βケト酸エステル、高級脂肪酸金属石鹸、フ
    ェノール系酸化防止剤及びケイ酸塩から成る群より選ば
    れた少なくとも1種の成分(B)とを含有して成ること
    を特徴とする塩素含有重合体用複合安定剤。
  13. 【請求項13】 前記安定剤(A)と前記成分(B)と
    が A:B=1:0.01乃至1:5 の重量比で含有される請求項12記載の塩素含有重合体
    用複合安定剤。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至11の何れかに記載の塩
    素含有重合体用安定剤(A)を、塩素含有重合体100
    重量部当たり0.01乃至10重量部の量で含有するこ
    とを特徴とする安定化塩素含有重合体組成物。
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