JP3827773B2 - アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩、その製法及び用途 - Google Patents

アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩、その製法及び用途 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩、その製法及び用途に関するもので、より詳細には、塩素含有重合体やハロゲン含有触媒残渣を含むオレフィン系樹脂の熱安定化剤、熱可塑性樹脂フィルムのアンチブロッキング剤又は赤外線吸収剤(保温剤)等として有用なアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩及びその製法に関する。本発明は更にこれらの用途にも関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル重合体の如き塩素含有重合体は、加熱成形加工或いはその後の熱履歴において、脱塩化水素等の熱分解反応により着色し或いは機械的性質の低下を生じ易く、これを防止するための安定剤の配合が一般に必要となる。
また、チーグラー型触媒を用いて製造されるオレフィン系樹脂中には、ハロゲン含有触媒残渣が含まれており、この残渣が加熱成形加工時にやはり塩化水素を発生せしめて成形加工機に錆を生じさせたり、黄変等の樹脂の劣化を招く事があり、これを防止するために塩化水素を捕捉する安定剤を配合することが広く行われている。
【0003】
この様な安定剤として、ハイドロタルサイトを使用することは古くから知られており、例えば、特開昭55−80445号公報には、ハイドロタルサイトを含ハロゲン樹脂の安定剤として用いることが記載されており、また特公昭58−36012号公報には、含ハロゲン樹脂にβ−ジケトン化合物と式(3)、
Mg1-x ・Alx (OH)2 ・AX/2 ・mH2 O ‥‥(3)
式中、Xは0<X≦0.5なる数を示し、AはCO3 2-またはSO4 2-を示し、mは正の数を示す。
のハイドロタルサイト類を配合することが示されている。
【0004】
更に、特公昭59−30737号公報には、チーグラー型触媒を用いて製造されたハロゲン含有触媒残渣を含むポリオレフィンに、一般式(4)
Mx Aly (OH)2x+3y-2z(A)Z ・aH2 O ‥‥(4)
式中、MはMg,Ca,Zn,AはCO3 またはHPO4 ,x,y,zは正数、aはゼロまたは正数、
で示される複合化物を少なくとも0.01重量%配合する事が示されている。
【0005】
ハイドロタルサイト類は、マグネシウムとアルミニウムの複合水酸化物炭酸塩で無毒であり、熱安定性にも優れ、重合体に配合したとき透明であるなどの利点を有している。
このハイドロタルサイト類は、理想的には式(5)
Mg6 Al2 (OH)16・CO3 ・mH2 O ‥‥(5)
式中、mはゼロまたは正数、
で表される化学組成を有するが、MgとAlがかなり広い範囲内で式(3)または式(4)で示される通り、固溶体を形成する性質があり、組成が厳密に一定なものを製造することが困難であるという問題がある。
【0006】
セルナ(C.J.Serna)等の
”Crystal-Chemical Study of Layered
[Al2 Li(OH)6 + - ・nH2 O"
(Clays and Clay Minerals, 25巻、384頁(1977))
と題する報文には、過剰の炭酸リチウムの水溶液に、アルミニウム・トリ(sec−ブトキシド)(ASB)のベンゼン溶液を液滴状に添加して、ASBを加水分解し、生成するゲルを、洗浄後、130℃で数日間熱水処理して、リチウム・アルミニウム複合水酸化物塩を合成することが記載されている。
【0007】
また、シソッコ(I,Sissoko)等の
”Anion Intercalation and Exchange in
Al(OH)3 -Derived Compounds”
(Journal of Solid State Chemistry, 25巻、283−288頁、(1985))
と題する報文には、LiOH及びNa2 CO3 (又はNa2SO4)を含む水溶液中に、AlCl3 を液滴状に添加して、pHを初期の13から終段の10.2に変化させて、ゲル状の沈殿を生成させ、これを攪拌下に熟成してリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を生成させることが記載されている(後述する比較例1を参照)。
【0008】
また米国特許第4116856号及び同第4221767号には無定形Al(OH)3 又は結晶状水和アルミナ(例えばノルストランダイト、バイヤライト、ギブサイト)をLiOHと反応させて、次いでLiX(Xはハライド)と反応させてリチウムアルミニウム複合水酸化物塩の結晶を生成させることが記載されている。
更に、本発明者等の提案による米国特許第5356567、5360859及び5419883号明細書には、一般式(6)、
[Al2 Li(OH)6 ]nX・mH2 O ‥‥(6)
式中、Xは無機または有機アニオンであり、nはアニオンの価数であり、mは3以下の数である、
で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩(以下LAHSと呼ぶ)において式(7)、
OD=I(002)/I(110) ‥‥(7)
式中、I(002)は面間隔(d)7.67乃至7.84オングストロームに表れる面指数(002)のX線回折(Cu−Kα)ピークの相対強度を表し、且つI(110)は面間隔(d)4.41乃至4.45オングストロームに表れる面指数(110)のX線回折(Cu−Kα)ピークの相対強度を表す、
で定義される配向度(OD)が10以上、特に20以上であることを特徴とするLAHSが記載されており、このLAHSは、炭酸リチウムと塩化アルミニウムとを、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの存在下に水中で反応させ、反応混合物に高級脂肪酸または界面活性剤を配向増強剤として添加し、混合物を60乃至100℃の温度で、配向度(OD)が10以上となるように処理することにより得られることが記載されている。
【0009】
また、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩のほかのタイプのものとして、ドーソナイト型のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩が知られており、このものの合成法として、特昭公47−38318号公報には、アルミニウム塩と炭酸ナトリウムとをAl1モルに対してCO2モル以上となる割合で反応せしめ、その際反応混合物のpHを7.2〜10.5に保つことを特徴とするドーソナイトの製法が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら公知の方法で合成されるLAHSは、ゲル状粒子で結晶の発達が未だ不十分であり、粒子の形状及びサイズも不揃いで樹脂への配合剤としての用途には未だ不十分のものであった。
また、前述した高配向度のLAHSは、ゲル粒子状のLAHSに比して、樹脂への配合性が良好であり、更に樹脂に配合したときの熱安定化作用等の諸性能も向上しているという利点があるものの、未だ合成に長時間を要し、且つ副生塩類の洗浄除去にも長時間を要すことから工業的に満足されるものではない。
【0011】
また、従来法によるドーソナイトは合成に長時間を要し、濾過、洗浄性に劣り工業的に満足されるものではなく、改良法の尿素を利用する方法も得られるものが、繊維形状であり、この繊維が糸鞠状に絡んだものが多く、やはり樹脂への配合剤としての用途にはやはり満足のいくものではなかった。
【0012】
更に、これらの公知のアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の合成法では、原料及び生成物をかなり稀薄な溶液乃至スラリーとして取り扱わねば、粘度が高くて、撹拌等が困難であり、そのため生産性が低く、製造コストも高いという欠点があった。また、生成するアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は濾過が非常に困難であり、これに長時間を必要とすることも問題であった。
【0013】
アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の宿命として、原料にアルカリ金属化合物を使用することは必須であるが、この製品中には、化合物中に組み込まれたアルカリ金属成分の他に、遊離のアルカリ金属成分が挟雑しており、この遊離のアルカリ金属成分が配合された樹脂を着色するという欠点が認められる。
【0014】
本発明者らは、アルミニウム成分として、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナを使用すると共に、反応系中におけるAl2 3 濃度を高い状態に維持し且つアルカリ金属の炭酸塩又は重炭酸塩を使用するときには、比較的短い反応時間でアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の合成が可能となると共に、生成物の濾過が極めて容易に行われるという予想外の事実を見いだした。
【0015】
即ち、本発明の目的は、反応系中の原料濃度を高く維持して、反応が可能であると共に、比較的短い時間での合成が可能であり、更に生成物の濾過や水洗が極めて容易であるアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の製法を提供するにある。
【0016】
本発明の他の目的は、樹脂への分散が容易に行われると共に、樹脂の劣化傾向も著しく低減したアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩及びその用途を提供するにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナと、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(Al2 3 )としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させることを特徴とするアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の製法が提供される。
【0018】
本発明の製法においては、
1.全アルミニウム原子当たり炭酸イオンが少なくとも0.25モル以上となる割合で、水和アルミナゲルと炭酸塩或いは重炭酸塩とを反応させること、
2.反応を50乃至90℃の温度で行うこと、
3.アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩がリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩(以下商品名、ミズカラックという)である場合、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩が炭酸リチウムまたは重炭酸リチウムであること、
4.アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩がドーソナイトである場合、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩が炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムであること、
5.前記アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩が、下記式(1)、
mAl2 3 ・nM2 O・X・kH2 O ‥‥(1)
式中Xは、炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはナトリウム及び/又はリチウムのアルカリ金属であり、
mは0.5乃至2.5の数であり、
nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至10の数である、
で表される組成を有すること、
6.非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナが、塩基性硫酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムと、上記アルミニウム塩の硫酸根を中和するに足る炭酸アルカリ塩とを、同時注下することにより、ゾル状及びゲル状の水和アルミナを生成させ、これを必要に応じて分離、水洗することにより得られたものであること、
が好ましい。
【0019】
本発明の上記方法によれば、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩として炭酸リチウムまたは重炭酸リチウムを用いることにより、下記式(1a):
mAl・nMO・X・kHO ‥‥(1a)
式中Xは、炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはリチウムを主体とするアルカリ金属であり、
mは1.5乃至2.5の数であり、
nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至10の数である、
で表される組成を有し、且つ下記
面間隔d(A) ピーク強度 面指数
7.50乃至7.64 大 (002)
4.30乃至4.44 小 (110)
3.70乃至3.84 大 (004)
2.45乃至2.58 中 (006)
2.20乃至2.30 小 (016)
1.85乃至2.08 小 (017)
1.40乃至1.52 小 (330)
1.38乃至1.48 小 (600)
のX線回折像を有するリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩(以下LAHCと呼ぶ)において、下記数式(2)
= tanθ /tanθ …(2)
式中、θは一定の面間隔のX線回折ピークにおけるピーク垂線と狭角側 ピーク接線とがなす角度を表し、θは該ピークにおけるピーク垂線と広 角側ピーク接線とがなす角度を表す、
で定義される積層不整指数(I)が面指数(016)のピークにおいて1.0以下であり且つ面指数(017)のピークにおいて1.0以下であり、且つ濃度5重量%の水性スラリーとしたときの比抵抗が8000Ω・cm以上であるリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩が得られる。
【0020】
本発明によれば更に、下記式(1b)
mAl・nMO・X・kHO …(1b)
式中Xは、炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
Mはナトリウムを主体とするアルカリ金属であり、
mは0.5乃至1.5の数であり、
nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至3の数である、
で表される組成を有し、且つドーソナイト型結晶構造を有するナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩において、Cu−αX線回折像における面指数(011)のピークの半値幅が0.4°以上であり、且つ濃度5重量%の水性スラリーとしたときの比抵抗が8000Ω・cm以上であることを特徴とするナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩が提供される。かかるナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、前記製法において、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩として炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムを用いることにより得られる。
【0021】
本発明において、前記リチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、樹脂配合剤、保温剤或いは樹脂用ハロゲン捕捉剤として使用される。
【0022】
本発明において、前記ナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、樹脂配合剤、保温剤として使用される。
【0023】
【発明の実施形態】
[製法]
本発明の製法においては、アルミニウム成分として、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナゲルを使用することが第1の特徴である。即ち、上記の水和アルミナゲルを使用することにより、水溶性アルミニウム塩を使用する場合に比して、反応系中のAl2 3 濃度を高くすることができ、また反応を比較的短時間の内に行うことができる。
【0024】
水和アルミナ、一般に水酸化アルミニウムと呼ばれているものには、ギブサイト、ベーマイト、ダイアスポア等の各種のものが知られているが、本発明では、非晶質或いは擬ベーマイト型のものを選択し、使用する。添付図面の図1(A)は非晶質の水和アルミナゲルのX線回折像を示し、(B)は擬ベーマイト型の水和アルミナゲルのX線回折像を示す。
【0025】
本発明では、この非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナと、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩とを、水性媒体中で反応させるが、アルミナ(Al2 3 )としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させることが第2の特徴であり、これにより、生成するアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の濾過性及び水洗性を顕著に向上させることができる。例えば、水溶性アルミニウム塩を原料として得られるアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩に比して、本発明の合成法では、濾過時間を約10分の1に短縮し、必要な洗浄水の量も約2分の1に節約できる。
【0026】
アルミナとしての濃度を高くすることにより、生成するアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の濾過性が向上するという事実は、現象として見いだされたものであり、その理由は、決してこれにより拘束されるものではないが、本発明の反応系中では、上記炭酸塩或いは重炭酸塩との反応により生成する一次粒子が比較的大きな二次粒子に成長し、これが濾過性や洗浄性の向上に結びついているものと思われる。これは、反応系中における撹拌が、系中の固形分濃度が高いにもかかわらず、容易であるという事実ともよく符合している。
【0027】
本発明において使用する水和アルミナのゾル又はゲルは、非晶質乃至擬ベーマイト構造を有することが、高い反応性と密接に関係していると思われる。ゲルとは、コロイド粒子が独立性を失って集合したものであるが、このコロイド粒子が非晶質或いはそれに近い状態にあること、及びコロイド粒子として独立しているゾルも含め水和しているため、極めて反応性に富んでいることがその原因であると信じられる。しかも、コロイド粒子の集合体であるため、反応系中のアルミナ濃度を高めた場合にも、液中での粘度を低め、撹拌を容易に行えるように有利に作用していると考えられる。
【0028】
非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナは、アルミニウム塩としては塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムも用いられるが、好適には、硫酸アルミニウムまたは塩基性硫酸アルミニウムと、炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウム、特に重炭酸ナトリウムとを反応させて、中和させるることにより得ることができる。このようにして得られた非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナは、上記する作用に優れたものであり、本発明のアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の原料として特に優れている。一般に、中和時のpHを4乃至8の範囲とすることにより、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナが生成するので、これを必要に応じて濾過水洗した後、本発明の原料として使用すればよい。中和最終生成物の濾過性、洗浄性から好ましくは40乃至95℃、更には炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウム、特に重炭酸ナトリウムの熱分解性から、より好ましくは50乃至90℃の温度の加熱下に反応させることがよい。原料として、塩基性硫酸アルミニウムを使用すると、中和に使用する炭酸ナトリウムの量が少なく、硫酸ナトリウムの強雑が少ない点で有利である。この塩基性硫酸ナトリウムは、硫酸アルミニウムの硫酸根の一部を、水溶性が失われない程度に、水酸化カルシウム等の添加により除いたもので、Al2原子当たりの硫酸根のモル数が0.9乃至3の範囲内にある。
【0029】
本発明では、アルミナ(Al2 3 )としての濃度が1乃至5重量%、特に1.5乃至4重量%となる条件下に反応を行うことも重要である。即ち、濃度が上記範囲よりも低い場合には、濾過性及び洗浄性の良好な生成物を得ることが困難となる傾向があり、一方、濃度が上記範囲を越えて高くなると、反応系の粘度が高くなりすぎて一様な撹拌が困難となり、反応の均一性が得られなくなる傾向がある。
【0030】
また、反応終結時のpHが7乃至11、特に8.5乃至10.5となる条件下に反応させることも重要であり、pHが上記範囲よりも高いと、水和アルミナゲルが結晶化したり、或いはアルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩との反応性が低下したりする。一方、pHが上記範囲よりも低いと、炭酸イオンが系中に安定に存在し得なくなるので、やはり反応性が低下する傾向がある。
【0031】
非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナと、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩との量比は、CO3 /Alのモル比が0.25以上、特に0.25乃至4となるような範囲が適当である。
【0032】
反応温度は、40乃至95℃の範囲が適当であり、反応時間は1乃至12時間程度で十分である。反応時の添加順序は、特に制限はなく、水和アルミナと炭酸塩或いは重炭酸塩とを同時に反応系に注加しても、水和アルミナに炭酸塩或いは重炭酸塩を注加しても、或いは逆の順序に注加を行ってもよい。
【0033】
生成したアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、濾過等により反応母液から分離し、水洗し、乾燥して製品とする。尚、生成したアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、反応母液中で、後述する表面処理剤等であらかじめ表面処理を施しておくことができる。
また、生成したままのアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の結晶は、合成条件等によっても相違するが、0.5乃至10モル程度(m)の水分を含有しているが、このものを300℃以下の温度で加熱乾燥して部分乃至完全脱水させることができる。
【0034】
[アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩]
本発明によれば、上記の製法により、結晶構造が特異であり、且つアルカリ金属成分の挟雑が著しく少ないアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩が得られ、このものは、樹脂中への分散性に優れ、また樹脂中に配合したとき、樹脂を劣化させる傾向が著しく少ないという効果が得れることが分かった。
【0035】
1)リチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩
リチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩(LAHC)は、ギブサイト構造の水酸化アルミニウム八面体層の空位(ベーカント)にリチウムイオンが入り込み、その電荷を補うためにアニオンが組み込まれたものとされている。即ち、リチウムイオンはカチオンの中でイオン半径が最も小さく、しかも1価イオンとしては例外的に6配位イオンであるため上記空位に入り、上記構造をとるものと認められる。
【0036】
このLAHCは、層状構造でありしかもアニオンに対しイオン交換性を示す等、ハイドロタルサイトと類似した構造及び特性を示すことから、ハイドロタルサイト状化合物とか、リチウムハイドロタルサイトと呼ばれているが、ハイドロタルサイトは、ブルーサイト構造のマグネシウムの一部をアルミニウムで同形置換したものである点で、化学組成及び構造において、両者は全く相違するものと認められる。
【0037】
LAHCは、一般に前記したX線回折像を有するが、本発明によるリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩(LAHC)は、前記数式(1)で定義される積層不整指数(IS )が面指数(016)のピークにおいて1.0以下、特に0.5乃至1.0であり且つ面指数(017)のピークにおいて1.0以下、特に0.5乃至1.0であることが顕著な特徴である。
【0038】
添付図面、図2は、本発明の製法によるLAHCのX線回折像であり、図3は従来の共沈法によるLAHSのX線回折像である。図2と図3との対比から、従来の共沈法によるLAHCでは面指数(016)及び面指数(017)のピークがブロードで小さく、広角側にブロードなテーリングを生じているのに対して、本発明の合成法によるLAHCでは、面指数(016)及び(017)のピークがシャープで高くなり、前述した広角側テーリングが消失して、ピークがピーク垂線に対して対称に近い形となっているという事実が明らかとなる。
【0039】
図2及び図3のX線回折像からの積層不整指数(IS )の求め方を示す図4において、面指数(016)及び(017)のピークを拡大し、これらのピークについて、ピークの狭角側最大傾斜ピーク接線aと広角側最大傾斜ピーク接線bを引き、接線aと接線bの交点から垂線cを引く。次いで接線aと垂線cとの角度θ1 、接線bと垂線cとの角度θ2 を求める。積層不整指数(IS )は数式(2)
S =tanθ2 /tanθ1 …… (2)
の値として求める。この指数(IS )は、ピークが完全対称な場合は1.0であり、非対称の程度が大きくなる程大きな値となる。
【0040】
従来の共沈法によるLAHSでは、面指数(016)及び(017)のIS は夫々2.3及び1.6であるのに対して、本発明のゲル法によるLAHCではこれらのIS 値が1.0以下となっている。
【0041】
このことは、次のことを物語っている。
即ち、LAHCでは、既に述べたように、リチウムイオンが組込まれた水酸化アルミニウム八面体基本層がC軸方向に積み重ねられた積層構造となっているが、従来の共沈法ではC軸方向からみて各基本層が前後左右にずれた状態で積層されていると共に、基本層のサイズも小さくなっていることを示している。これに対して、本発明の非晶質乃至擬ベーマイト型水和アルミナのゾル及びゲル法によるLAHCでは、C軸方向からみて各基本層が前後左右にほぼ重なった状態で積層され、基本層のサイズも大きくほぼ一定となっていることを示している。
【0042】
本発明のLAHCの嵩密度は、JIS K6721で測定して、0.1乃至0.35g/cm3 、特に0.25乃至0.35g/cm3 の嵩密度を有する。
【0043】
また、従来のLAHSは、一般に10乃至40m2 /gのBET比表面積を示すのに対して、本発明のLAHCは40乃至70m2 /gのBET比表面積を有する。
【0044】
更に、吸油量も40乃至70ml/100gと小さく、樹脂や塗料への配合性に優れている。
【0045】
本発明のLAHCは、数式(7)
OD=I(002)/I(110) ……(7)
式中、I(002)は面間隔(d)7.67乃至7.84オングストロームに表れる面指数(002)のX線回折(Cu−Kα)ピークの相対強度を表し、且つI(110)は面間隔(d)4.41乃至4.45オングストロームに表れる面指数(110)のX線回折(Cu−Kα)ピークの相対強度を表す、
で定義される配向度(OD)が10よりも小さく、本発明者等が先に提案したLAHCの配向度(OD)が10以上であるのとは区別される。
【0046】
本発明のLAHCにおいては、顔料体積濃度が40乃至50%の範囲にある。尚顔料体積濃度とは、下記式(8)で定義される値をいう。
Figure 0003827773
Or:顔料の吸油量(ml/100g)
Bρ:樹脂の密度(g/cm3
Pρ:顔料の密度(g/cm3
この顔料体積濃度が高いと言うことは塗料中への配合及び樹脂成形体中への配合が多量に行えることを示している。また樹脂配合剤としての用途等においても、充填性、顔料性がよく、樹脂への配合が容易であるという利点を与える。
【0047】
また、本発明によるリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、濃度5重量%の水性スラリーとしたときの比抵抗が8000Ω・cm以上、特に10000 Ω・cm以上に抑制されており、アルカリ金属成分による樹脂の劣化が顕著に抑制されており、この事実は後述する例を参照することにより、明白となる。
【0048】
図5は、本発明によるリチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
また、この粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準メジアン径(D50)を有している。
【0049】
2)ナトリウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩
本発明によるナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩(NAHC)は、ドーソナイト型結晶構造を有するが、やはり特異な結晶構造を有する。
【0050】
ドーソナイト型結晶構造とは、Cu−αを用いたX線回折において、下記表
面間隔(オングストローム) 相対強度
───────────── ──────
5.7 VS
3.38 m
3.02 m
2.78 S
2.61 m
2.5 w
2.15 w
1.99 m
1.73 w
1.69 m
表中、VSは非常に強い、Sは強い、mは中程に強い、wは弱い、をそれぞれ示している、
と実質上同じX線回折像を示すものをいう。
【0051】
即ち、Cu−αX線回折像における面指数(011)のピークの半値幅が、従来の製法のドーソナイトでは、0.2゜以下であるの対して、本発明のドーソナイトでは、Cu−αX線回折像における面指数(011)のピークの半値幅が0.4゜以上、特に0.45乃至0.75゜である。添付図面の図6は、従来法によるドーソナイトのX線回折像を示し、図7は、本発明によるドーソナイトのX線回折像を示している。
【0052】
結晶のX線回折では、下記のBraggの式(9)
nλ = 2dhkl Sinθ ‥(9)
式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、dhkl は結晶の(hkl)の面間隔であり、θは回折角である、
を満足するとき、干渉に強度ピークが現れることが知られており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大きさとの間にも、下記のScherrerの式(10)
Figure 0003827773
式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の寸法であり、Kは約0.9の定数であり、Hは干渉ピークの半値幅(ラジアン)であり、λ及びθは式(9)と同様である、
の関係が成り立つ。
【0053】
本発明のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩(NAHC)において、面指数(011)のピークの半値幅が大きいということは、b軸方向への結晶サイズが小さいということを示している。
【0054】
図8は、従来法によるドーソナイトの粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍)であり、図9は本発明によるドーソナイトの粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。これらの走査型電子顕微鏡写真によると、従来のドーソナイトは、アスペクト比の極めて大きい微細繊維の集束が絡み合って、粗大で糸鞠状の2次粒子を結合しているが、本発明によるドーソナイトは、繊維構造の発達の程度は極めて小さく、2次粒子も凝集の程度の小さな粒子形状であることが確認できる。
従ってこの粒子形状から、前者は特に吸油量が70乃至100ml/100gで比較的に大きめであるが、後者は40乃至70ml/100gである。更に前者の顔料体積濃度は35%以下と低めであるが、後者は40乃至50%と高めの特徴を有している。
また、この粒子は、レーザー散乱回折法で測定して、一般に0.1乃至10μm、特に0.1乃至3μmの体積基準メジアン径(D50)を有している。
【0055】
本発明によるドーソナイトは、既に述べたとおり、濾過性に優れており、また含有される挟雑イオンが極めて少ないという利点をも有している。即ち、ドーソナイトを濃度5重量%の水性スラリーとしたとき、従来のものでは比抵抗が一般に6000Ω・cmのオーダーにあるが、本発明によればこの比抵抗を8000Ω・cm以上とすることができる。
【0056】
このため、本発明によるドーソナイトは、樹脂等に配合したとき、挟雑イオンによる着色、熱劣化、電気絶縁性低下等が抑制され、樹脂配合剤として優れた利点が得られるものである。
【0057】
また、前述した粒子構造に関連して、本発明によるドーソナイトは、樹脂中への配合性、分散性に優れており、また、配合樹脂は透明性にも優れている。事実、後述する例を参照すると、この配合樹脂は、内部ヘーズが小さく、透明性に優れていることが分かる。
【0058】
図10は、本発明によるドーソナイトの赤外線吸収スペクトルであり、このドーソナイトは、赤外領域に顕著で幅広い吸収を示し、赤外線吸収剤、即ち保温剤として有用であることが分かる。
【0059】
本発明によるドーソナイトは、一般に、吸油量(JIS K−5101)が50乃至110ml/100gの範囲にあり、BET比表面積が30乃至110m2 /gの範囲にあり、見掛比重(鉄シリンダー法)が0.1乃至0.3g/cm3 の範囲にあるが、これら物性値に限定されるものではない。
また本発明においては、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナと反応させるアルカリ塩をナトリウム炭酸塩とリチウム炭酸塩との組合せで行うことにより、LAHCとドーソナイトとの混晶から成るアルカリ・アルミニウム複合水酸化炭酸塩が得られることも特徴である。
【0060】
[用途]
本発明によるアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、樹脂配合剤、例えば保温剤、樹脂用ハロゲン捕捉剤等の用途に有用である。
【0061】
これらの用途に関して、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の表面の特性を改質するために、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩を高級脂肪酸或いは界面活性剤で表面処理しておくことができる。一般に、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩を含む反応母液中に高級脂肪酸或いは界面活性剤を添加して、攪拌下に処理するのがよい。
【0062】
高級脂肪酸としては、炭素数10乃至22、特に14乃至18の飽和乃至不飽和脂肪酸、例えばカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が使用される。ステアリン酸が好適なものである。脂肪酸は勿論牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。
【0063】
界面活性剤の内、アニオン界面活性剤としては、たとえば第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフエノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩等アニオン界面活性剤であれば如何なるものでもよい。これらの界面活性剤のより具体的な化合物名は、たとえば、堀口博著「合成界面活性剤」(昭 41 三共出版)に開示してある。
【0064】
また、ノニオン界面活性剤としては、HLBの低いノニオン界面活性剤、特にHLBが12以下、最も好適には8以下のものが使用され、一般に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー等の内からHLBが上記範囲内にあるものを使用する。例えば、これらのノニオン界面活性剤では一般に、ポリオキシエチレン単位の含有量が減少するとHLBが減少するので、エチレンオキサイドの付加モル数を調節することにより、所望のHLBのノニオン界面活性剤を入手することができる。
【0065】
脂肪酸或いは界面活性剤の添加量は、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩当たり0.5乃至10重量%、特に1乃至5重量%であるのがよい。
【0066】
処理条件は、特に制限されないが、一般に60乃至100℃の温度で0.5乃至5時間程度攪拌下に処理を行うのがよい。脂肪酸の場合、用いた脂肪酸は反応系中に存在するナトリウムイオンと反応してナトリウム石鹸の形で水相中に移行し、生成したアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の表面処理が進行する。アニオン界面活性剤においても、塩でない遊離の酸を使用すれば同様の反応が生じる。
【0067】
得られた表面処理アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、そのままで樹脂用配合剤として使用し得るが、必要に応じ有機及び無機の助剤により後処理として表面処理して、樹脂用安定剤及び樹脂用配合剤として使用することができる。
【0068】
このような有機の助剤としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等のカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等の金属石鹸、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、各種ワックス類、未変性乃至変性の各種樹脂(例えばロジン、石油樹脂等)等のコーテイング剤を挙げることができる。これらのコーテイング剤は、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩当たり0.1乃至10重量%、特に0.5乃至5重量%の量で用いるのがよい。
【0069】
また、無機系助剤としては、エアロジル、疎水処理エアロジル等の微粒子シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、カルシア、マグネシア、チタニア等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、ハイドロタルサイト、A型、P型等の合成ゼオライト及びその酸処理物又はその金属イオン交換物から成る定形粒子を、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩にブレンド乃至まぶして使用するか、またはアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩粒子表面に沈着させて使用することもできる。なお、特に無機系助剤で処理することによりアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の屈折率を調整することができる。
これらの無機助剤はアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩当たり、0.01乃至10重量%、特に0.1乃至5重量%の量で用いるのがよく、樹脂の配合剤として用いたとき、使用する樹脂に屈折率を合わせることができる。
【0070】
本発明によるLAHCは、熱可塑性樹脂に対する樹脂配合剤、特に塩素キヤッチャー、熱安定剤、赤外線吸収剤、アンチブロッキング剤等として有用であり、またNAHCは特に赤外線吸収剤(保温剤)として有用である。
【0071】
本発明によれば、熱可塑性樹脂100重量部に対して、一般に0.01乃至10重量部のアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩を配合する。配合量は勿論上記範囲内で樹脂の種類や用途に応じ適宜選定する。
本発明の一つの好適態様では、塩素含有重合体に、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩を、該重合体100重量部当たり、0.1乃至10重量部、特に0.5乃至1.0重量部の量で配合して用いるのがよい。
【0072】
塩素含有重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩素化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれらの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−3−メチルブテンなどのα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、などのポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレンと他の単量体(例えば無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体とのブレンド品などを挙げることができる。
【0073】
この場合、塩素含有重合体100重量部当たり0.01乃至10重量部の脂肪酸亜鉛及び0.01乃至10重量部のβ−ジケトン或いはβ−ケト酸エステルを併用するのが望ましい。
【0074】
脂肪酸亜鉛としては前に例示したものが使用され、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、従来この用途に公知のもの、例えば、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることが出来る。
【0075】
勿論、本発明によるアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、それ自体公知の各種添加剤、例えば非金属系安定剤、有機錫系安定剤、塩基性無機酸塩等の他の安定剤乃至は安定助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、造核剤、エポキシ安定剤、等を併用することができる。
特に後述するポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートのような結晶性樹脂の成形においては各種の造核剤を添加剤に併用され、透明性の向上や耐衝撃性の向上、成形サイクルの短縮及び寸法安定性の向上をもたらすものである。
【0076】
また塩素含有樹脂系においては、種々の安定剤との組合せ使用は可能であり、例えば有機錫安定剤との組合せ使用が好適であり、有機錫化合物としては、有機錫メルカプタイド類、有機錫サルファイド類、有機錫メルカプタイド・サルファイド類、有機錫メルカプトカルボキシレート類及び有機錫カルボキシレート類が包含される。
(1)有機錫メルカプタイド類としては、ジブチル錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、ジメチル錫ビス(ステアリルメルカプタイド)、ジオクチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、ジオクチル錫ビス(2−メルカプトエチルカプリレート)、ジブチル錫ビス(メルカプトエチル・トール油脂脂肪酸エステル)、ジメチル錫ビス(メルカプトエチルステアレート)、ジオクチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ドデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(テトラデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(ヘキサデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(オクタデシルチオグリコレート)、ジオクチル錫ビス(C12-16 混合アルキルチオグリコレート)、ジブチル錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ジメチル錫ビス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、ビス(2−メルカプトカルボニルエチル)錫ビス(イソオクチルチオグリコレート)、ビス(2−ブトキシカルボニルエチル)錫ビス(ブチルチオグリコレート)等のジ有機錫メルカプタイド及びモノブチル錫トリス(ラウリルメルカプタイド)、モノブチルモノクロロ錫ビス(ラウリルメルカプタイド)、モノオクチル錫トリス(2−メルカプトエチルカプリレート)、モノブチル錫トリス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチル・トール油脂肪酸エステル)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルラウレート)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルステアレート)、モノメチル錫トリス(メルカプトエチルオレート)、モノオクチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)モノオクチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ドデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(テトラデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(ヘキサデシルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(C12-16 混合アルキルチオグリコレート)、モノオクチル錫トリス(オクタデシルチオグリコレート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルチオグレコレート)、モノブチル錫トリス(イソオクチルメルカプトプロピオネート)、モノメチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、モノメチル錫トリス(テトラデシルチオグリコレート)、2−メトキシカルボニルエチル錫トリス(イソオクチルチオグリコレート)、2−ブトキシカルボニルエチル錫トリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)等のモノ有機錫メルカプタイドがあげられる。
(2) 有機錫サルファイド類としては、メチルチオスタノイック酸、ブチルチオスタノイック酸、オクチルチオスタノイック酸、ジメチル錫サルファイド、ジブチル錫サルファイド、ジオクチル錫サルファイド、ジシクロヘキシル錫サルファイド、モノブチル錫サルファイド、オキサイド、2−メトキシカルボニルエチル錫サルファイド、2−エトキシカルボニル錫サルファイド、2−ブトキシカルボニル錫サルファイド、2−イソプロポキシカルボニルエチル錫サルファイド、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫サルファイド、ビス(2−プロポキシカルボニルエチル)錫サルファイド等があげられる。
(3)有機錫メルカプタイド・サルファイド類としては、ビス〔モノブチル・ジ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ジブチルモノ(イソオクトキシカルボニルメチレンチオ)錫〕サルファイド、ビス〔ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫イソオクチルチオグリコレート〕スルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル/ジメチル錫モノ/ジイソオクチルチオグリコレート)ジサルファイド、ビス(メチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス(ブチル錫ジイソオクチルチオグリコレート)トリサルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メチルカプトエチルカプリレート)サルファイド、ビス〔メチル錫ジ(2−メルカプトエチルカプリレート)〕ジサルファイド等があげられる。
(4)有機錫メルカプトカルボキシレート類としては、ジブチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫−β−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫メルカプトアセテート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫チオグリコレート)錫チオグリコレート、ビス(2−メトキシカルボニルエチル)錫メルカプトプロピオネート等があげられる。
(5)有機錫カルボキシレート類としては、モノ又はジメチル錫、モノ又はジブチル錫、モノ又はジオクチル錫あるいはモノ又はビス(ブトキシカルボニルエチル)錫のオクトエート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステレート、イソステアレート等の脂肪族一価のカルボキシレート類:マレートポリマー、ブチルマレート、ベンジルマレート、オレイルマレート、ステアリルマレート等のマレート;及びこれらの混合塩あるいは塩基性塩があげられる。
【0077】
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤などがあげられる。
【0078】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
【0079】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオンネート類及びペンタエリスリト−ルテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類があげられる。
【0080】
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどがあげられる。
【0081】
紫外線吸収剤としては例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類があげられる。
【0082】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられ、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレートなどがあげられる。
【0083】
難燃剤としては、
・テトラブロモビスフェノールA(TBA)
・2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン
・ヘキサブロモベンゼン(HBB)
・トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(TAIC−bB)
・2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモ・フェニル)プロパン(TBA−EO)
・デカブロモジフェニルオキシド(DBDPO)
・デカブロモジフェニルエーテル(DBDE)
・1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン(PBPE)
・N,N´−エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)(ETBP)
・1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン
・2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−〔2,3−ジブロモプロポキシ〕フェニル)プロパン(TBA−BP)
・ビス(3,5−ジブロモ−4−〔2,3−ジブロモプロポキシ〕フェニル)(TBS−BP)
・ポリジブロモフェニレンオキシド
・ビス(トリブロモフェノキシ)エタン
・エチレンビス・ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド
・ジブロモエチル・ジブロモシクロヘキサン
・ジブロモネオペンチルグリコール
・2,4,6−トリブロモフェノール
・トリブロモフェニルアリルエーテル
・テトラブロモビスフェノールS
・テトラデカブロモ・ジフェノキシベンゼン
・2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン
・ポリ(ペンタブロモベンジル)・アクリレート
・トリブロモスチレン
・トリブロモフェニルマレイミド
・トリブロモネオペンチル・アルコール
・テトラブロモジペンタエリスリトール
・ペンタブロモベンジルアクリレート
・ペンタブロモフェノール
・ペンタブロモトルエン
・ペンタブロモフェニルオキシド
・ヘキサブロモシクロドデカン
・ヘキサブロモジフェニルエーテル
・オクタブロモフェノールエーテル
・オクタブロモフェニルエーテル
・オクタブロモジフェニルオキシド
・ジブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート
・ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド
・N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン
含ハロゲンポリホスフェート
芳香族臭素化合物
臭素化エポキシ樹脂
臭素化ポリスチレン
【0084】
造核剤としては、アルミニウム−p−第三ブチルベンゾエート、ジベンジリデンソルビトール、ビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートカルシウム塩、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート塩基性アルミニウム塩などがあげられる。
【0085】
エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化魚油、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、トリス8エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキシプロパン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどがあげられる。
【0086】
本発明の他の典型的用途では、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩を、オレフィン系樹脂に対してハロゲン系触媒残渣等による樹脂劣化を防止する目的で配合する。本発明の配合剤は、オレフィン系樹脂100重量部当たり0.01乃至10重量部の量で用いるのがよい。オレフィン系樹脂としては、メタロセン触媒を用いて合成されたオレフィン系樹脂を含めポリプロピレン、低−・中−・高密度の或いは線状低密度のポリエチレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、低密度エチレン−ブテン−1共重合体、低密度エチレン−ヘキセン−1共重合体を挙げることが出来る。
【0087】
本発明の更に他の用途では、アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩を、農業用フィルム形成用のオレフィン系樹脂100重量部当たり1乃至30重量部の量で、それ自体公知の防曇剤等と共に配合する。オレフィン系樹脂としては、上述したものが適当である。
【0088】
本発明を以下の実施例で更に説明する。
(実施例)
本発明によるリチウムアルミニウム水酸化物炭酸塩(水澤化学製の商品名:ミズカラック型)、ナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩(鉱物名:ドーソナイト型)、及びリチウムナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩(ミズカラック型とドーソナイト型の混晶物)の微粉末からなる樹脂用安定剤(以下それぞれLACH、NACH、およびLNACHと記す)及びその調整方法を以下に説明する。
【0089】
(LACH、NACH及びLNACHの製法とその物性)
実施例1
硫酸アルミニウム(Al2 3 含量が7.75%)789.4gを蒸留水を加え700mLに調製した。別に炭酸ナトリウム(Na2 CO3 含量が99.7%)188.4gに蒸留水を加え700mLに調製した。これらを2Lのビーカーに60℃の温水200mLを加え攪拌下に同時注下し、さらに水酸化ナトリウム2gを加えてpH=10に調製した後、60℃に加温させて擬ベーマイト型の水和アルミナゲルを得た。
【0090】
次いで、このスラリー溶液に、Al/Li=2のモル比に成るように炭酸リチウムの粉末22.4gを加えた後、90℃で10時間反応した。添加後のpHは10.1であった。反応終了後、ステアリン酸12.1gを加え、攪拌下に表面処理反応を行った。得られた反応懸濁液を濾過水洗後110℃にて乾燥させ、次いで小型サンプルミルにて粉砕し、試料No.LACH−1のミズカラック型のリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩を得た(収率98.6%)。
【0091】
(測定方法)
(1)X線回折
理学(株)製のGeigerflex(ゴニオメーター:CatNo.2125D1)を用いて下記の設定条件で測定した。
ターゲット Cu
フィルター Ni
検出器 sc
電圧 35KV
電流 15mA
カウントフルスケール 8000c/s
走査速度 2deg/min
タイム コンスタント 1sec
スリット DS1deg RS0.3mm SS1deg
照射 6deg
【0092】
(2)積層不整指数(Is)
理学(株)製のGeigerflex(ゴニオメーター:CatNo.2125D1)を用いて下記の設定条件で測定した。
ターゲット Cu
フィルター Ni
検出器 SC
電圧 40KVP
電流 20mA
カウントフルスケール 1000c/s
走査速度 1deg/min
タイム コンスタント 1sec
スリット DS1deg RS0.3mm SS1deg
照射 6deg
測定回折角範囲 35〜55(2θdeg)
【0093】
(Isの算出方法)
上記X線回折によって得られた回折角(2θ)36°〜44°と44°〜53°の両ピークについてそれぞれのピークの挟角側と広角側でそれぞれ勾配の絶対値が最大になるようにピーク接線(a、b)を引く。次に、挟角側ピーク接線aと広角側ピーク接線bの交点より、垂線cを下ろし、接線aと垂線cのなす角度θ1及び接線bと垂線cのなす角度θ2を求め、下記式より積層不整指数(Is)を求める。
Is=tanθ2/ tanθ1
【0094】
(3)熱分析
測定試料は予めエチルアルコールで処理して表面処理剤を除去したものを、恒温乾燥機を用いて110℃で乾燥して調製した。次いで理学(株)製のTAS100−TG8110熱分析システムを用いて測定した。測定条件としては、標準物質にα−Al2 3 、昇温速度10℃/分、雰囲気は空気を用い250℃以下の重量減少を測定した。
【0095】
(4)赤外線吸収スペクトル分析
測定試料は予めエチルアルコールで処理し、表面処理剤を除去した後、恒温乾燥機を用いて110℃で乾燥したものを調製した。
日本分光(株)製のA−302型赤外吸収スペクトル分析装置を用いて測定を行った。
【0096】
(5)繊維径及びアスペクト比
日立(株)製走査電子顕微鏡S−570を用いて、制限視野像中の繊維径及びアスペクト比を算術計算した。
【0097】
(6)見掛け密度
JISK−6220に準拠して測定した。
(7)吸油量
JISK−5101−19に準拠して測定した。
(8)比表面積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1900を使用し、BET法により測定した。
(9)平均粒径
Coulter社製Particle Size Analyzer Model LS230を使用し,平均粒径を測定した。
【0098】
(10) 顔料体積濃度
ビヒクルとしてDOP(ジオクチルフタレ−ト)を用いて下記式で算出した。
顔料体積濃度 = 100Bρ/(Bρ+0.01Or・Pρ)
Bρ:樹脂(ビヒクル)の密度 (g/ml)、(DOP:0.9861)
Pρ:試料の密度 (g/ml)
Or:試料の吸油量 (ml/100g)
【0099】
実施例2
アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2 3 含量が23.7%)352gに蒸留水を加え700mLに調製し50℃に加温した後、撹拌下に硫酸アルミニウム(Al2 3 含量が7.78%)566.7gと蒸留水を加えて全量を800mLに調製して非晶質水和アルミナゲルを得た。
【0100】
次いでこのスラリ−に水酸化ナトリウム14.62gを加えてpH=10に調製した後、Al/Li=2のモル比になるように炭酸リチウム(LiCO3 含量が99%)の粉末46.65gを加えた後、90℃で10時間反応した。添加後のpHは10.1であった。反応終了後、ステアリン酸15.1gを加え、攪拌下に表面処理反応を行った。その後,実施例1と同様の操作にて試料No.LNACH−2 のミズカラック型とドーソナイト型の混晶物であるリチウムナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩を得た(収率91.5%)。
【0101】
比較例1
市販のギブサイト型水酸化アルミニウム(平均粒径0.5μm)50gを20%塩化リチウム水溶液200mlに入れ、115℃にて2時間水熱反応を行った。その後、ステアリン酸ナトリウム4gを加え、撹拌下に表面処理反応を行なった。その後、実施例1と同様の操作にて試料No.LACL−1を得た。得られた生成物は、X線回折結果より、LiCl・2Al(OH)3 ・nH2 Oとギブサイトの混合物であった。
【0102】
比較例2
2lビーカーに予め400mlの蒸留水を入れ、1mol/lの塩化アルミニウム水溶液500mlと4mol/lのアンモニア水500mlとを室温下の撹拌下に同時して水和アルミナのゾルを得た。得られた反応懸濁液のpHは、8.2であった。その反応懸濁液を1週間かけて濾過、水洗し、非晶質の水和アルミナゲルを得た。
【0103】
得られた水和アルミナゲルの水性スラリーに、水酸化リチウム(1水和物)10.5gを加え95℃にて8時間反応を行った。次いでステアリン酸2.7gを加えた以外は、比較例1と同様の操作にて試料No.LACG を得た。得られた生成物は、X線回折結果より,Li2 CO3 ・4Al(OH)3 ・nH2 Oとノルトストランダイト型の水酸化アルミニウムの混合物であった。
【0104】
【表1】
Figure 0003827773
【0105】
実施例3
硫酸アルミニウム(Al2 3 含量が7.75%)789.4gを蒸留水を加え700mLに調製した。別に炭酸ナトリウム(Na2 CO3 含量が99.7%)188.4gに蒸留水を加え700mLに調製した。これらを2Lのビーカーに60℃の温水200mLを加え攪拌しているところに同時注下して非晶質水和アルミナゲルを得た。
【0106】
次いで、このスラリー溶液に、CO3 /Al=1のモル比に成るように炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 含量が99%)の粉末101.8gを加えた後、90℃で2時間反応した。添加後のpHは8.8であった。反応終了後、ステアリン酸12.1gを加え、攪拌下に表面処理反応を行った。その後、実施例1と同様の操作をにて、試料No.NACH−3のドーソナイト型のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩を得た(収率99.2%)。
【0107】
実施例4
硫酸アルミニウム(Al2 3 含量が7.75%)789.4gを蒸留水を加え700mLに調製した。別に炭酸ナトリウム(Na2 CO3 含量が99.7%)188.4gに蒸留水を加え700mLに調製した。これらを2Lのビーカーに60℃の温水200mLを加え攪拌下、同時注下し、さらに水酸化ナトリウムを加えてpH=9に調製した後、60℃で乾燥し、擬ベーマイト型の水和アルミナゲルを得た。
【0108】
次いで、このスラリー溶液に、CO3 /Al=3のモル比に成るように炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 含量が99%)の粉末101.8gを加えた後、90℃で2時間反応した。添加後のpHは10.1であった。反応終了後、ステアリン酸12.1gを加え、攪拌下に表面処理反応を行った。その後、実施例1と同様の操作をにて、試料No.NACH−4のドーソナイト型のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩を得た(収率98.7%)。
【0109】
実施例5
塩基性硫酸アルミニウムを85℃に加熱した油中に滴下した後、十分洗浄して得た非晶質水和アルミナゲル(水分91%、Al2 3 含量が75%)789.5gを、2Lビーカーに入れ蒸留水を加え1500mLに調製した。そこにCO3 /Al=3のモル比に成るように炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 含量が99%)の粉末252gを加えた後、90℃で2時間反応した。添加後のpHは8.8であった。反応終了後、ステアリン酸12.1gを加え、攪拌下に表面処理反応を行った。その後、実施例1と同様の操作をにて、試料No.NACH−5のドーソナイト型のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩を得た(収率98.8%)。
【0110】
実施例6
硫酸アルミニウム(Al2 3 含量が7.75%)934.1gを蒸留水を加え800mLに調製した。別に炭酸ナトリウム(Na2 CO3 含量が99.7%)221.5gに蒸留水を加え800mLに調製した。これらを2Lのビーカーに60℃の温水200mLを加え攪拌下、同時注下して非晶質水和アルミナゲルを得た。
【0111】
次いで、このスラリー溶液に、CO3 /Al=1のモル比に成るように炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 含量が99%)の粉末119.3gを加えた後、90℃で2時間反応した。さらに水酸化ナトリウム2gを加えてpH=10に調製した後、Al/Li=8のモル比になるように炭酸リチウムの粉末6.6gを添加した。添加後のpHは10.1であった。反応終了後、ステアリン酸12.1gを加え、攪拌下に表面処理反応を行った。その後、比較例1と同様の操作にて、試料No.LNACH−6のミズカラック型とドーソナイト型の混晶物であるリチウムナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩を得た(収率97.8%)。
【0112】
比較例3
アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2 3 =2.8%、Na2 O=2.3%)1815gに撹拌下、水酸化ナトリウム(NaOH含有が96%)88.8gと炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 含有が99%)84.0g、及び尿素(NH2 CONH2 含有が97%)600.6gを加え溶解した。この混合液を90℃に加温し、さらに撹拌下90℃の温度で20時間反応を行った。反応終了後、オレイン酸ナトリウム7.2gを加え表面処理反応を行った。その後,比較例1と同様の操作にて、試料No.SACHU−3の従来の針状結晶であるドーソナイト型の塩基性炭酸アルミニウム複塩を得た。
【0113】
【表2】
Figure 0003827773
【0114】
応用例1
実施例1乃至6で得た本発明によるアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の微粉末からなる樹脂用保温剤を塩素含有樹脂に添加した場合の熱安定性効果、ハロゲン残留触媒残渣を含むポリオレフィン樹脂に添加した場合の黄化防止効果及び樹脂中分散性について、更にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂に対する保温効果について説明する。
【0115】
(試験方法)
(11)熱安定持続時間
試料シートをガラス板にのせ、185℃に調整したギヤ式熱老化試験機に入れて15分毎に取り出してその時の着色度を目視判定し、黒色分解する時間を測定した。
(12)透明性
日本電色工業製.1001DP色差計を用い、試料シートの白色光透過率を測定した。
(13)耐黄化試験
上記成形シートを85℃、90%RHの恒温恒湿槽にいれ24日間放置した。この成形シートの表面色相を日本電色工業製の色差計Model1001DPにより測定し、N値(黄色度)を求めた。N値が小さい程耐黄化性に優れている。
(14)霞度(ヘイズ)
ASTM−D−1003に準処して評価した。
(15)保温性
得られた試料フイルムで直径20cmの半円筒の長さ1mのトンネル枠を地面上に設置し、トンネル枠内の中央部の夜間(午前3時)における温度を測定し、保温剤未配合のEVAフイルムによる同様のトンネル枠内の温度を基準に、両者の温度差(ΔT)を測定して保温効果を評価した。なお本発明においては、このΔT値が大きい程、保温性が高いものといえる。
【0116】
(1−1:軟質塩化ビニルによる評価)
本発明の樹脂用安定剤による塩化ビニルに対する熱安定化効果を確認するために、以下の配合、成形などの手法により軟質塩化ビニルシートを作製し、評価試験を行なった。
(配合)
塩化ビニル樹脂(重合度:1050) 100重量部
ジオクチルフタレイト 50重量部
ラウリン酸亜鉛 0.4重量部
ジベンゾイルメタン 0.1重量部
ジヒドロキシジフェニールプロパン 0.2重量部
試料 (SACH−5及びLSACH−6) 10重量部
【0117】
(成形方法)
上記配合組成物を温度150℃、7分間ロールミル混練を行ない、厚さ0.5mmの均一な混和物を作製し、次いで温度160℃、圧力130kg/cm2 、5分間加圧加熱し、厚さ1mmの軟質塩化ビニルシートを作製し、熱安定化効果等を評価した。
【0118】
その結果、本発明による樹脂用保温剤は、熱安定持続時間の黒色分解に達する時間が90乃至110分であり、又シ−トの透明性(透過率%)も89〜90%であって、本保温剤を軟質塩化ビニルに添加した場合には優れた熱安定効果と優れた透明保持効果を発揮するというものであった。
【0119】
(1−2:ポリプロピレン樹脂による評価)
本発明の樹脂用安定剤によるポリプロピレンの黄化防止効果及び防錆効果等を確認するために、以下の配合、成形等の手法によりポリプロピレンシートを作製し、評価試験を行った。
(配合)
ハロゲン残留触媒残渣を含むポリプロピレン樹脂 100重量部
シルトンJC−30( 水澤化学製AB剤 ) 0.05重量部
試料(LACH−1及びSACH−3) 0.3重量部
ビスフェノールA 0.1重量部
【0120】
(成形方法)
上記配合組成物を押出機を用いて260℃でペレットにし、此の試料ペレットを厚さ1mm、たて、よこ、100mm×100mmのステンレス鋼板製の金枠にいれ、写真用厚手のフェロタイプ板と2mm厚のアルミニウム板の重ね合わせではさみ、230±3℃で30分間プレスした後、30±5℃の冷却プレスに移し、成形投影面当たり約50kg/cm2 の圧力下で冷却し、金型が40℃以下に成ったのち厚さ1mmのポリプロピレンシートを取り出し、以下に述べる試験を行った。
その結果、耐黄化試験において黄色度(N値)が12と13であり、耐黄化性に優れており、また黙視観察によるシ−トの分散性も極めて良好であった。
【0121】
(1−3:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)に対する保温効果)
本発明による樹脂用保温剤(実施例1乃至6)をEVAに添加した場合の保温性効果について説明する。
(配合及び成型)
EVA(酢酸ビニル含有量15%、MI=1.5) 100重量部
紫外線吸収剤 0.1重量部
抗酸化剤 0.1重量部
保温剤 10 重量部
上記原料をヘンシェルミキサ−で撹拌混練し、得られた混練物を2軸押出機に供給して加工温度150℃でペレットにし、次いでインフレ−ション成型を行ない、幅250mm、厚さ100μmのフイルムを得、このフイルムを用いて保温性を評価し、その結果を表3に示した。
【0122】
【表3】
Figure 0003827773
【0123】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミニウム成分として、非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナを使用し且つアルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩を使用すると共に、反応系中におけるAl2 3 濃度を高い状態に維持するときには、比較的短い反応時間でミズカラック型及びドーソナイト型のアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の合成が可能となると共に、生成物の濾過が極めて容易に行われる。また、反応系中の原料濃度を高く維持して、比較的短時間での合成が可能であるため、生産性及び効率がよく、経済的に優れている。
更に、本発明によるアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩は、樹脂への分散が容易に行われると共に、樹脂の劣化傾向も著しく低減されており、樹脂用配合剤、特に保温剤、樹脂用ハロゲン捕捉剤、アンチブロッキング剤等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】原料として用いる水和アルミナのX線回折像であって、(A)は非晶質の水和アルミナのX線回折像を示し、(B)は擬ベーマイト型の水和アルミナのX線回折像を示す。
【図2】本発明の製法によるリチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(ミズカラック)のX線回折像である。
【図3】従来の共沈法によるリチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸のX線回折像である。
【図4】リチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩のX線回折像の面指数(016)及び(017)のピークの拡大図であって、積層不整指数の求め方をも示す。
【図5】本発明によるリチウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(ミズカラック)の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】従来法によるナトリウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(ドーソナイト)のX線回折像である。
【図7】本発明によるナトリウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(ドーソナイト)のX線回折像である。
【図8】従来法によるナトリウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(ドーソナイト)の粒子構造をを示す走査型電子顕微鏡写真である
【図9】本発明によるナトリウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(ドーソナイト)の粒子構造をを示す走査型電子顕微鏡写真である
【図10】本発明によるナトリウム・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩(ドーソナイト)の赤外線吸収スペクトルのチャートである。

Claims (10)

  1. 非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナと、アルカリ金属の炭酸塩又は重炭酸塩とを、水性媒体中で、アルミナ(Al)としての濃度が1乃至5重量%となり且つ反応終結時のpHが7乃至11となる条件下に反応させることを特徴とするアルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩の製法。
  2. 全アルミニウム原子当たり炭酸イオンが少なくとも0.25モル以上となる割合で、上記水和アルミナとアルカリ金属の炭酸塩或いは重炭酸塩とを反応させる請求項1記載の製法。
  3. 反応を50乃至90℃の温度で行う請求項1または2記載の製法。
  4. アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩がリチウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩であり、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩が炭酸リチウムまたは重炭酸リチウムである請求項1乃至3の何れかに記載の製法。
  5. アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩がドーソナイトであり、アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩が炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムである請求項1乃至3の何れかに記載の製法。
  6. 前記アルカリ・アルミニウム複合水酸化物炭酸塩が、下記式(1)、
    mAl・nMO・X・kHO …(1)
    式中Xは、炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
    Mはナトリウム及び/又はリチウムのアルカリ金属であり、
    mは0.5乃至2.5の数であり、
    nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至10の数である、
    で表される組成を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の製法。
  7. 非晶質乃至擬ベーマイト型の水和アルミナが、塩基性硫酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムと、上記アルミニウム塩の硫酸根を中和するに足る炭酸アルカリ塩とを、同時注下することにより、ゾル状及びゲル状の水和アルミナを生成させ、これを分離、水洗することにより得られたものである請求項1乃至6の何れかに記載の製法。
  8. 下記式(1b)
    mAl・nMO・X・kHO …(1b)
    式中Xは、炭酸根を主体とする無機のアニオンであり、
    Mはナトリウムを主体とするアルカリ金属であり、
    mは0.5乃至1.5の数であり、
    nは0.1乃至1の数であり、kは0乃至3の数である、
    で表される組成を有し、且つドーソナイト型結晶構造を有するナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩において、Cu−αX線回折像における面指数(011)のピークの半値幅が0.4°以上であり、且つ濃度5重量%の水性スラリーとしたときの比抵抗が8000Ω・cm以上であることを特徴とするナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩。
  9. 請求項8記載のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩から成る樹脂配合剤。
  10. 請求項8記載のナトリウムアルミニウム複合水酸化物炭酸塩から成る保温剤。
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