JP2009013396A - 顆粒状添加剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪酸カルシウムを5〜70重量%とイオウ系化合物(1)を5〜50重量%とを含有する顆粒状添加剤組成物であって、該組成物を測定して得られる赤外吸収スペクトルは、1540cm−1〜1583cm−1の範囲において2つの極大となる吸収ピークを有し、一方の吸収ピークが1540cm−1〜1543cm−1における吸光度が極大となる吸収ピークAであり、他方の吸収ピークが1575cm−1〜1583cm−1における吸光度が極大となる吸収ピークBであることを特徴とする顆粒状添加剤組成物。
(R1−Y−S−C2H4CO2)m−Z (1)
[式(1)中、R1は炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−C2H4CO2−基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。]
【選択図】なし
Description
一般に、熱可塑性樹脂に粉末状態の添加剤を配合する際には、添加剤の粉立ちや粉塵爆発性などの問題があった。この問題を解決する方法として、ステアリン酸カルシウムを含む添加剤組成物を顆粒状(グラニュール)に造粒した後、熱可塑性樹脂に配合することが特許文献1に提案されている。具体的には、ステアリン酸カルシウム及びフェノール系化合物からなる添加剤組成物、ステアリン酸カルシウム及びリン系化合物からなる添加剤組成物が知られている。
[1] 脂肪酸カルシウムを5〜70重量%と、式(1)で示されるイオウ系化合物を5〜50重量%と、を含有する顆粒状添加剤組成物であって、該組成物を測定して得られる赤外吸収スペクトルは、波数1540cm−1〜1583cm−1の範囲において2つの極大となる吸収ピークを有し、一方の吸収ピークが波数1540cm−1〜1543cm−1における吸光度が極大となる吸収ピークAであり、他方の吸収ピークが波数1575cm−1〜1583cm−1における吸光度が極大となる吸収ピークBであることを特徴とする顆粒状添加剤組成物。
(R1−Y−S−C2H4CO2)m−Z (1)
[式(1)中、R1は炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−C2H4CO2−基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。]
[式(2)中、R2は炭素数1〜9のアルキル基を表す。Xはヘテロ原子及び/又は環状基を含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表す。nは2又は4の整数を表す。]
[式(3)中、R4、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基を表す。]
[式(4)中、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基を表す。]
[式(5)中、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖状アルキル基、炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R13は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表し、Bは単結合、硫黄原子又は−CHR16−基を表し、R16は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数5〜9のシクロアルキル基を表し、
Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−C(=O)R17−基を表し、R17は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印は、>P−O−部分の酸素原子側との結合であることを表し、
C及びDは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜9のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表すが、
Cがヒドロキシル基であるときは、R14及びR15のいずれか一方は炭素数3〜9の直鎖状アルキル基、炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜9のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、また、式(5)における2個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく、式(5)における2個のR12は互いに同一でも異なっていてもよく、式(5)における2個のR13は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[4] 顆粒状添加剤組成物が、さらに、金属珪酸塩を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物。
[5] 顆粒状添加剤組成物のメディアン径(重量基準)が、80〜2000μmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物。
[6] 顆粒状添加剤組成物が、直径2mm〜5mm、長さ2mm〜5mmのペレット状であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物。
式(1)で示されるイオウ系化合物 7〜1000重量部を混合し、40〜80℃の温度範囲で造粒することを特徴とする顆粒状添加剤組成物の製造方法。
(R1−Y−S−C2H4CO2)m−Z (1)
[式(1)中、R1は炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−C2H4CO2−基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。]
[式(2)中、R2は炭素数1〜9のアルキル基を表す。Xはヘテロ原子及び/又は環状基を含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表す。nは2又は4の整数を表す。]
[式(3)中、R4、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基を表す。]
[式(4)中、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基を表す。]
[式(5)中、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖状アルキル基、炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R13は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表し、Bは単結合、硫黄原子又は−CHR16−基を表し、R16は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数5〜9のシクロアルキル基を表し、
Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−C(=O)R17−基を表し、R17は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印は、>P−O−部分の酸素原子側との結合であることを表し、
C及びDは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜9のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表すが、
Cがヒドロキシル基であるときは、R14及びR15のいずれか一方は炭素数3〜9の直鎖状アルキル基、炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜9のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、また、式(5)における2個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく、式(5)における2個のR12は互いに同一でも異なっていてもよく、式(5)における2個のR13は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[10] 攪拌造粒に用いられる攪拌造粒機が、内部に撹拌翼を有し、該撹拌翼の先端部と該攪拌造粒機内部の壁面とのクリアランスが30mm以下であることを特徴とする[9]記載の製造方法。
[12] 熱可塑性樹脂がポリオレフィンであることを特徴とする[11]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[13] 熱可塑性樹脂を熱安定化させるための[1]〜[6]のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物の安定剤としての使用。
本発明に用いられる脂肪酸カルシウムは、炭素数4〜22、好ましくは炭素数10〜18の脂肪酸のカルシウム塩である。上記脂肪酸の金属塩における脂肪酸としては、ステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。
中でも市販のステアリン酸カルシウム(通常、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウムの混合物)が好適である。
市販されている脂肪酸カルシウムとしては、例えば、登録商標 オーラブライト NC ステアリン酸カルシウムS(日本油脂製)、共同薬品製のステアリン酸カルシウム、品川化工製のステアリン酸カルシウム(商品名 SAK)などが挙げられる。
前記吸収ピークaおよびbは、脂肪酸カルシウムの1水和物のカルボニル基の振動に由来するピークであり、脂肪酸カルシウムから結晶水が除去されると、この2つのピークの間に、結晶水を含まない脂肪酸カルシウムのカルボニル基の振動に由来するピークが生じる。
顆粒状添加剤組成物に含有される脂肪酸カルシウムの結晶水が多く除去されて、結晶水を含まない脂肪酸カルシウムのカルボニル基の振動に由来するピークが、前記2つのピークよりも大きい吸光度を有する吸収ピークがある顆粒状添加剤組成物は、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱着色性を低下させるので好ましくない。
なお、本発明の顆粒状添加剤組成物を測定して得られる赤外吸収スペクトルにおいて観測されるピークAおよびBは、脂肪酸カルシウムのピークaおよびbに由来するピークである。
また、市販の1水和物と無水和物の混合物や乾燥するなどして結晶水が失われた無水和物(1540cm−1〜1583cm−1の間に前記2つのピーク以外の極大吸収ピークを有する)である脂肪酸カルシウムについては、該脂肪酸カルシウムを予め調湿した雰囲気下(例えば、40℃×80%相対湿度の恒温恒湿槽に1日程度)に保管すれば、脂肪酸カルシウムの1水和物を調製することができる。
ここで、脂肪酸カルシウムの重量には、結晶水の重量も含まれる。
(R1−Y−S−C2H4CO2)m−Z (1)
ここで、化合物(1)中のR1としては、ドデシル基、テトラデシル基又はオクタデシル基などが好ましい。
また、アルコール残基とはアルコールの水酸基の水素原子以外の部分をいう。好適なアルコール残基Zをアルコールで例示すれば、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ペンタエリスリトールが挙げられる。特に、化合物(1)におけるYが単結合である場合は、R1がドデシル基であり、nが4であり、Zがペンタエリスリトール残基である化合物が好ましい。また、Yが−C2H4CO2−基である場合は、R1がドデシル基、テトラデシル基又はオクタデシル基であり、mが1であり、Zが上記R1に対応する炭素数12、14又は18のアルコール残基であることが好ましい。
尚、Yが−C2H4CO2−基である場合は、通常、アルコール残基とYはエステル基で結合している。具体的にはZが1価の場合、−C2H4CO2−Zとなっている。
3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル エステル、
3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル、
3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシル エステル、
テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチル エステル
また、イオウ系化合物(1)とフェノール系化合物(2)との重量比率は、(1):(2)=50:0〜1:18程度であり、好ましくは、40:1〜1:4であり、中でも、4:1〜1:2であることが好ましい。
nは2または4である。
Xは、n価のアルコール残基であり、Xに含まれる炭素数は1〜18である。ここで、アルコール残基とは、アルコールから水酸基の水素原子を除いた置換基を意味する。
また、Xには、酸素原子、イオウ原子、窒素原子などのヘテロ原子が含まれていてもよく、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造などの脂環式基、ベンゼン構造など芳香族基などの環状基が含まれていてもよい。もちろん環状基の炭素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。
が挙げられる。
中でも、本発明の顆粒状添加剤組成物において、リン系化合物(3)〜(5)からなる群から選ばれる少なくとも1種のリン系化合物および前記フェノール系化合物(1)を含有すると、配合された熱可塑性樹脂組成物の耐熱着色性および抗酸化性を一層、向上させる傾向があることから好ましい。
リン系化合物(3)〜(5)の合計重量とフェノール系化合物(2)との重量比率は、リン系化合物:フェノール系化合物=1:20〜20:1程度であり、好ましくは、1:2〜4:1である。
ここで、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基はリン系化合物(3)で例示された基が同様に例示される。
炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、
炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等が挙げられ、
炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
リン系化合物(5)において、Bは単結合、硫黄原子又は−CHR16−基を表し、R16は水素原子、炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。炭素数1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、前記R11と同じ基が例示される。
−CHR16−基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、1−シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。Bとしては、単結合、メチレン基又はエチリデン基が好ましい。
リン系化合物(5)において、Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−C(=O)R17−基を表し、R17は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印は、>P−O−部分の酸素原子側との結合手であることを表す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。Aとしては、炭素数2〜4のアルキレン基又は前述した*−COR17−基が好ましい。
上記の炭素数2〜4のアルキレン基は、その炭素−炭素結合がヘテロ原子を含む基で中断されていてもよい。この場合のヘテロ原子を含む基としては、−O−C(=O)−又は−C(=O)−O−基が挙げられる。R17としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
式(5)におけるCがヒドロキシル基である場合は、Dが水素原子又はメチル基であることがより好ましく、R14及びR15の一方がt−ブチル基であることがより好ましい。
また、式(5)におけるDがヒドロキシル基である場合は、R15がメチル基であり、Cが水素原子であり、R14がt−ブチル基であることが好ましい。
また、式(5)におけるR11、R12、R13は、それぞれ、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等。
ここで、脂肪酸アミドとは、炭素数4〜50、好ましくは、炭素数4〜22の飽和または不飽和脂肪酸アミドである。とりわけ好ましくは、炭素数4〜22の飽和または不飽和脂肪酸と炭素数1〜4のアルキレンジアミンとの縮合物(ビスアミド)が好ましい。
ここで、金属珪酸塩とは、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどの2族元素に属する金属、アルミニウムなどの3族元素に属する金属、鉄、マンガンからなる群から選ばれる1種の金属と珪酸との塩であり、中でも、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、あるいは、アルミニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄などの珪酸塩であるマイカが入手容易であることから好ましく、とりわけ、珪酸マグネシウムは、低温耐衝撃性、成形性および塗装性を向上させる傾向があることから好ましい。
珪酸アルミニウムとしては、例えば、カオリン、ろう石、セリサイト、ベントナイト、焼成クレーなどの天然珪酸アルミニウム、例えば、ゼオライト、ゼオレックス、シルテグなどの合成珪酸アルミニウムなどが挙げられる。
珪酸マグネシウムとしては、例えば、タルクなどが挙げられる。
中でも、含水珪酸マグネシウムを主成分とした約63〜64%のSiO2、約31〜32%のMgO、4〜5%のH2Oの組成を持ち、少量の鉄、石灰アルミナを含有するものは、入手が容易であり、耐衝撃性を向上させる傾向があることから好ましい。
また、金属珪酸塩の含水率としては、通常、0.1〜1重量%程度、好ましくは0.1〜0.3重量%程度である。含水率が0.1重量%以上のものは、入手・保管の点で容易であるので好ましく、1重量%以下であると、熱可塑性樹脂組成物の加工時の発泡等のトラブルが少なくなる傾向があり好ましい。ここで、金属珪酸塩の含水率は、カールフィッシャー法で測定した値である。
本発明の顆粒状添加剤組成物は、イオウ系化合物(1)を含有することから、押出造粒および攪拌造粒などのいずれの方法でも80℃以下で容易に造粒することができる。中でも、攪拌造粒して得られる”顆粒”の顆粒状添加剤組成物は熱可塑性樹脂への分散性に優れ、結果として得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱着色性が向上する傾向があることから好ましい。
以下、攪拌造粒して得られる”顆粒”の顆粒状添加剤組成物について説明する。
温度が40℃以上であると、顆粒化が容易になる傾向があることから好ましく、80℃以下であると、脂肪酸カルシウムの結晶水の脱離しにくく、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱着色性が向上する傾向があることから好ましい。ここで温度とは、造粒した際の混合物の温度である。
また、式(2)で示されるフェノール系化合物、式(3)〜式(5)で示されるリン系化合物、炭素数4〜50の脂肪酸アミド及び金属珪酸塩の群から選ばれる少なくとも一つの添加剤は、通常、合計0〜1800重量部、好ましくは、10〜1500重量部用いる。
具体的な造粒方法としては、例えば、脂肪酸カルシウムの1水和物、イオウ系化合物(1)、必要に応じてさらに、フェノール系化合物(2)、式(3)〜式(5)で示されるリン系化合物、脂肪酸アミドまたは金属珪酸塩をヘンシェルミキサー等の混合機に仕込んだ後に高速で攪拌混合する方法、例えば、脂肪酸カルシウム1水和物および必要に応じて加えられる添加物に加熱溶融したイオウ系化合物(1)を噴霧混合して攪拌下に冷却する方法等が挙げられる。
温度を40〜80℃に設定する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーに温水ジャケットを取り付けて加温する方法、例えば、高速攪拌に伴って発生する剪断熱を利用して昇温する方法等が挙げられる。
上記方法の中でも、脂肪酸カルシウムの1水和物、イオウ系化合物(1)および必要に応じて加えられる添加物をヘンシェルミキサー等の混合機に仕込んだ後、高速で攪拌混合する方法が操作上簡便であり、特に好ましい。
粒径60μm以下の成分を低減する方法としては、例えば、混合、造粒する時間を長くする方法、例えば、イオウ系化合物(1)の含有量を増大させる方法などが挙げられる。
メディアン径が80μm以上であると、粉塵の発生が抑制される傾向があることから好ましく、2000μm以下であると、熱可塑性樹脂への亜リン酸エステルの分散性に優れる傾向があることから好ましい。特に、平均粒径が、90〜1000μmであるときが好ましい。
本発明におけるメディアン径(重量基準)とは、JIS Z 8801の標準篩を搭載したセイシン企業製ロボットシフターを用い、試料約3gを振動レベル8、シフトタイム3分、パルス間隔1秒で篩い分けを行い、篩の目開きと篩に残った粒子の重量から重量基準の平均粒径を求める。
ペレット状添加剤組成物の製造方法としては、通常、脂肪酸カルシウム1水和物 100重量部、式(1)で示されるイオウ系化合物 7〜1000重量部、必要に応じてさらに、式(2)で示されるフェノール系化合物、式(3)〜式(5)で示されるリン系化合物、炭素数4〜50の脂肪酸アミドまたは金属珪酸塩を含む混合物を調製し、40〜80℃、好ましくは40〜70℃、とりわけ好ましくは40℃〜60℃の温度範囲で押出造粒する方法などが挙げられる。
温度が40℃以上であると、押出造粒が容易になる傾向があることから好ましく、80℃以下であると、脂肪酸カルシウムの結晶水の脱離しにくく、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱着色性が向上する傾向があることから好ましい。ここで温度とは、押出造粒した際の混合物の温度である。
また、式(2)で示されるフェノール系化合物、式(3)〜式(5)で示されるリン系化合物、炭素数4〜50の脂肪酸アミド及び金属珪酸塩の群から選ばれる少なくとも一つの添加剤は、通常、合計0〜1800重量部、好ましくは、10〜1500重量部用いる。
具体的な造粒方法としては、例えば、脂肪酸カルシウム1水和物100重量部、式(1)で示されるイオウ系化合物7〜1000重量部、必要に応じてさらに、式(2)で示されるフェノール系化合物、式(3)〜式(5)で示されるリン系化合物、炭素数4〜50の脂肪酸アミドまたは金属珪酸塩を含む混合物をヘンシェルミキサーやスーパーミキサーなどの混合機で混合物を調製し、該混合物をホッパー等から押出し機に投入、押出し機のセン断発熱や加温設備により、押出し機内の材料温度が40℃〜80℃になるように調製することで、容易に押出すことができ、円柱状の造粒物が得られる。押出された円柱状造粒物をカッター等で適当な長さにカットすることで、ペレット状添加剤組成物を得ることができる。
かくして、ペレット状添加剤組成物が得られるが、ダイスの口径や押出し速度、カット速度の調節により、任意のサイズのペレット状添加剤組成物を得ることができるが、分散性の観点より、直径2〜5mm、長さ2〜5mmの範囲であることが好ましい。
また、波数1575cm−1〜1583cm−1の範囲において、最大の吸光度を有する極大吸収ピークBを有する。脂肪酸カルシウムが1水和物であれば、通常、波数1575cm−1〜1583cm−1の赤外吸収スペクトルは、ピークBのみの1つの極大吸収ピークを示す。
本顆粒状添加剤組成物の赤外吸収スペクトルにおいて、前記ピークAと前記ピークBは、波数1540cm−1〜1583cm−1の範囲において、吸光度が最大値及びそれに次ぐ値を有する極大吸収ピークである。
吸光度が最大値の極大吸収ピークはピークAであってもピークBであってもよいが、波数1540cm−1〜1583cm−1の範囲において、ピークA及びBを上回る極大吸収ピークを有する顆粒状添加剤組成物を用いると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱着色性が低下して好ましくない。
中でも、赤外吸収スペクトルが、波数1540cm−1〜1583cm−1の範囲において、ピークA及びピークBのみの極大吸収ピークを示す顆粒状添加剤組成物は、顆粒状添加剤組成物中の脂肪酸カルシウム1水和物のほとんどの結晶水が失われることなく、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱着色性が、一層、向上することから好ましい。
本発明の顆粒状添加剤組成物に好適な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン系樹脂、メチルペンテンポリマー、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリスチレン類、例えばポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)などのポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体などのポリオレフィン、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、例えば、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂などが挙げられ、中でも成型加工性のよさから、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィンが好ましく、とりわけ、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、ポリプロピレン系樹脂としては1種類で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
このようにして得られた熱可塑性樹脂は、フィルム、成形材料やパイプ等の製品に加工することができる。
脂肪酸カルシウム:ステアリン酸カルシウム(共同薬品製)
イオウ系化合物(1−1):3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル
エステル(含水率0.03%)
イオウ系化合物(1−2):テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)
ペンタエリスリチル エステル(含水率:0.01%)
フェノール系化合物(2−1):3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニル
オキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,
10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン
(含水率0.08%)
フェノール系化合物(2−2):テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}
ペンタエリスリチル エステル
リン系化合物(3−1):トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
フォスファイト(含水率0.04%)
リン系化合物(4−1):ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトール ジフォスファイト
(含水率:4.10%)
リン系化合物(5−1):6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−
テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]
ジオキサホスフェピン
オレイン酸アミド:デノン SL−12(丸菱油化製)
(含水率:0.02%)
タルク:ミクロンホワイト 5000S(林化成製)
(含水率0.27%)
乳鉢に顆粒状添加剤組成物とKBrを約1分間で素早くすりつぶして混合し、直ちにこれを錠剤成型器に入れペレット化した。
別途、島津製作所社製 IRP restige-21の装置試料室を約10分間窒素パージして、窒素雰囲気下とした後、得られたペレットを該試料室にセットして、分解能4cm−1、積算回数40回の条件下で赤外吸収スペクトル1を測定した。尚、得られる赤外吸収スペクトルの吸光度が1.3以内になるように、顆粒状添加剤組成物の量を調整したペレットを用いた。
同様に顆粒状添加剤組成物を含まないKBrペレットを作成し、同様に赤外吸収スペクトル2を測定した。この際、KBrの量は、顆粒状添加剤組成物を含むKBrペレットの量よりもやや多くなるようにし、KBrペレットの厚みは、顆粒状添加剤組成物を含むKBrペレットの厚みよりもやや多くなるように調整した。
顆粒状添加剤組成物の赤外吸収スペクトルは、同装置にて赤外吸収スペクトル1から赤外吸収スペクトル2の値を差し引いた結果を用いた。
顆粒状添加剤組成物において、ステアリン酸カルシウムの含水率、すなわち、顆粒状添加剤組成物に含まれるステアリン酸カルシウムにおいて、ステアリン酸カルシウムに対する水の割合は、下式で求めた。
Rw:顆粒状添加剤組成物に含まれるステアリン酸カルシウムにおいて、ステアリン酸
カルシウムに対する水の割合(含水率、%)
r:顆粒状添加剤組成物に対するステアリン酸カルシウムの割合(含有率、%)
P:顆粒状添加剤組成物に含まれる全ての水の割合(含水率、%)
Qi:添加剤Qiに含まれる水の割合(含水率、%)
qi:顆粒状添加剤組成物に含まれる添加剤Qiの割合(含有率、%)
実施例1においては、添加剤Qiとしては、イオウ系化合物(1−1)、フェノール系化合物(2−1)及びリン系化合物(3−1)の3成分であり、上式分子の右項は、顆粒状添加剤組成物に対するステアリン酸カルシウム以外の成分に含まれる水の割合であり、上式分子は顆粒状添加剤組成物に対するステアリン酸カルシウムに含まれる水の割合である。
rは混合物におけるステアリン酸カルシウムの混合量から求め、qiは混合物における用いた成分の混合量から求め、Pは、得られた顆粒状添加剤組成物をJIS K0068に従って求め、Qiは、用いた成分のそれぞれについて、混合前にJIS K0068に従って求めた。
<顆粒状添加剤組成物1の製造例>
ステアリン酸カルシウム1水和物 400g、イオウ系化合物(1−1)300g、フェノール系化合物(2−1)100g、及びリン系化合物(3−1)200gを10Lヘンシェルミキサーに投入し、ジャケット温度50℃、回転数1000rpmで高速攪拌した。攪拌開始から4分後に材料温度が46℃まで上昇するとともに、攪拌動力が3.8アンペアとなった。さらに、その約35〜45秒後には、攪拌動力が6〜7アンペアを示したので、この時点で攪拌を停止した。排出口より、顆粒状添加剤組成物1を1kg得た。顆粒状添加剤組成物1の含水率は、1.09%であり、該顆粒状添加剤組成物に含まれるステアリン酸カルシウムについて、ステアリン酸カルシウムに対する水の割合は、上式より2.7%となる。顆粒状添加剤組成物1のメディアン径(重量平均)は、466μmであり、粒径60μm以下の微粉含量は、2%であった。顆粒状添加剤組成物1の赤外吸収スペクトルを図2に示した。
得られた顆粒状添加剤組成物1の2gとポリプロピレンの1000gとをドライブレンドした後、30mmφ単軸押出し機に投入し、230℃で押し出し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
熱可塑性樹脂組成物を射出成形機により射出成形し40×60×1mmのテストピースを作成した。
熱可塑性樹脂組成物の製造例1で得られたテストピースを160℃のギアオーブン中で保存し、表面積の30%が脆化するまでの時間を測定した結果、96時間以上であった。また、熱可塑性樹脂組成物の製造例1で得られたテストピースの成形加工時における耐熱着色性を評価した。テストピースの着色度(YI値、黄色度)をJIS K7105(反射法)に従って測定したところ、0.81であった。
実施例1で得られた顆粒状添加剤組成物1を5g使用する以外は、<熱可塑性樹脂組成物の製造例1>及び<抗酸化性および耐熱着色性の評価例1>と同様に実施した。評価結果を実施例1とともに表1に示す。
<顆粒状添加剤組成物2の製造例>
ステアリン酸カルシウム1水和物を95℃で4時間乾燥した以外は実施例1と同様に実施した。顆粒状添加剤組成物2の含水率は、0.62%であり、該顆粒状添加剤組成物に含まれるステアリン酸カルシウムについて、ステアリン酸カルシウムに対する水の割合は、上式より1.5%となる。顆粒状添加剤組成物2のメディアン径(重量平均)は、481μmであり、粒径60μm以下の微粉含量は、5%であった。顆粒状添加剤組成物2の赤外吸収スペクトルを図2に示した。
比較例1で得られた顆粒状添加剤組成物2を2g使用する以外は、<熱可塑性樹脂組成物の製造例1>及び<抗酸化性および耐熱着色性の評価例1>と同様に実施した。評価結果を表1にまとめた。
<ペレット状添加剤組成物3の製造例>
ステアリン酸カルシウムの1水和物400g、イオウ系化合物(1−1)200g、フェノール系化合物(2−2)300g、及びリン系化合物(3−1)300gをドライブレンドして、混合物を得た。この混合物を表2に記載の条件に設定された30mmφ二軸押出し機に投入し押し出したところ、最高材料温度が75℃まで上昇して、ダイス先端より直径4mmの円柱状添加剤組成物3が押出された。カッターで約3〜5mmにカットし、ペレット状添加剤組成物3を得た。ペレット状添加剤組成物3の含水率は、0.91%であり、該ペレット状添加剤組成物に含まれるステアリン酸カルシウムについて、ステアリン酸カルシウムに対する水の割合は、上式より2.2%となる。ペレット状添加剤組成物3の赤外吸収スペクトルを図3に示した。
図4の30mmφ二軸押出し機(ナカタニ機械(株)、NAS型30mmφ 二軸ベント式押出し機、L/D:28)において、C1、C2、C3、C4、AおよびDが表2に記載の温度に設定したものを<ペレット状添加剤組成物3の製造例>に用いた。
実施例1の顆粒状添加剤組成物1に代えて、上記で得られたペレット状添加剤組成物3をポリプロピレン100重量部に対して、0.05重量部配合する以外は、実施例1と同様の操作でポリプロピレン組成物を製造し、抗酸化性および耐熱着色性を評価した。評価結果を表3に示す。
顆粒状添加剤組成物を添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作でポリプロピレン組成物を製造し、抗酸化性および耐熱着色性を評価した。評価結果を表3及び4に示す。
実施例1の顆粒状添加剤組成物1に代えて、上記で得られたペレット状添加剤組成物3をポリプロピレン100重量部に対して、0.1重量部または0.2重量部配合する以外は、実施例1と同様の操作でポリプロピレン組成物を製造し、抗酸化性および耐熱着色性を評価した。評価結果を表3に示す。
<顆粒状添加剤組成物4の製造例>
40℃80%相対湿度に制御された恒温恒湿槽で4時間処理したステアリン酸カルシウム1水和物 600g及びイオウ系化合物(1−2)400gを10Lヘンシェルミキサーに投入し、ジャケット温度50℃、回転数1000rpmで高速攪拌した。攪拌開始から12分後に材料温度が49℃まで上昇するとともに、攪拌動力が5.0アンペアとなった時点で攪拌を停止した。排出口より、顆粒状添加剤組成物4を1kg得た。顆粒状添加剤組成物4の含水率は、1.37%であり、該顆粒状添加剤組成物に含まれるステアリン酸カルシウムについて、ステアリン酸カルシウムに対する水の割合は、上式より2.3%となる。顆粒状添加剤組成物5のメディアン径(重量平均)は、846μmであり、粒径60μm以下の微粉含量は、1%であった。顆粒状添加剤組成物4の赤外吸収スペクトルを図5に示した。
実施例2の顆粒状添加剤組成物1に代えて、上記で得られた顆粒状添加剤組成物4に変更した以外は、<熱可塑性樹脂組成物の製造例1>及び<抗酸化性および耐着色性の評価例1>と同様に実施した。評価結果を比較例2とともに表4にまとめた。
<顆粒状添加剤組成物5の製造例>
40℃80%相対湿度に制御された恒温恒湿槽で4時間処理したステアリン酸カルシウム1水和物 200g、イオウ系化合物(1−2)100g、フェノール系酸化防止剤(2−1)50g、リン系化合物(4−1)100g、オレイン酸アミド(デノンSL−12)150g及びタルク(ミクロンホワイト 5000S)400gを10Lヘンシェルミキサーに投入し、ジャケット温度50℃、回転数1000rpmで高速攪拌した。攪拌開始から10分後に材料温度が50℃まで上昇するとともに、攪拌動力が5.0〜6.0アンペアとなった時点で攪拌を停止した。排出口より、顆粒状添加剤組成物6を1kg得た。顆粒状添加剤組成物5の含水率は、0.94%であり、該顆粒状添加剤組成物に含まれるステアリン酸カルシウムについて、ステアリン酸カルシウムに対する水の割合は、上式より2.1%となる。顆粒状添加剤組成物5のメディアン径(重量平均)は、299μmであり、粒径60μm以下の微粉含量は、5%であった。顆粒状添加剤組成物6の赤外吸収スペクトルを図6に示した。
実施例7で得られた顆粒状添加剤組成物5を10g使用する以外は、<熱可塑性樹脂組成物の製造例1>及び<抗酸化性および耐熱着性の評価例1>と同様に実施した。評価結果を実施例7とともに表5にまとめた。
C1.〜C4. 押出混練部の設定温度位置
D. ダイス部の設定温度位置
C. シリンダー部(押出混練部)
E. スクリュー
Claims (13)
- 脂肪酸カルシウムを5〜70重量%と、式(1)で示されるイオウ系化合物を5〜50重量%と、を含有する顆粒状添加剤組成物であって、該組成物を測定して得られる赤外吸収スペクトルは、波数1540cm−1〜1583cm−1の範囲において2つの極大となる吸収ピークを有し、一方の吸収ピークが波数1540cm−1〜1543cm−1における吸光度が極大となる吸収ピークAであり、他方の吸収ピークが波数1575cm−1〜1583cm−1における吸光度が極大となる吸収ピークBであることを特徴とする顆粒状添加剤組成物。
(R1−Y−S−C2H4CO2)m−Z (1)
[式(1)中、R1は炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−C2H4CO2−基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。] - 顆粒状添加剤組成物が、さらに、式(2)で示されるフェノール系化合物、及び、式(3)〜式(5)で示されるリン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1記載の顆粒状添加剤組成物。
[式(2)中、R2は炭素数1〜9のアルキル基を表す。Xはヘテロ原子及び/又は環状基を含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表す。nは2又は4の整数を表す。]
[式(3)中、R4、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基を表す。]
[式(4)中、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基を表す。]
[式(5)中、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖状アルキル基、炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R13は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表し、Bは単結合、硫黄原子又は−CHR16−基を表し、R16は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数5〜9のシクロアルキル基を表し、
Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−C(=O)R17−基を表し、R17は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印は、>P−O−部分の酸素原子側との結合であることを表し、
C及びDは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜9のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表すが、
Cがヒドロキシル基であるときは、R14及びR15のいずれか一方は炭素数3〜9の直鎖状アルキル基、炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜9のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、また、式(5)における2個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく、式(5)における2個のR12は互いに同一でも異なっていてもよく、式(5)における2個のR13は互いに同一でも異なっていてもよい。] - 顆粒状添加剤組成物が、さらに、炭素数4〜50の脂肪酸アミドを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の顆粒状添加剤組成物。
- 顆粒状添加剤組成物が、さらに、金属珪酸塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物。
- 顆粒状添加剤組成物のメディアン径(重量基準)が、80〜2000μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物。
- 顆粒状添加剤組成物が、直径2mm〜5mm、長さ2mm〜5mmのペレット状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物。
- 脂肪酸カルシウムの1水和物 100重量部、及び
式(1)で示されるイオウ系化合物 7〜1000重量部を混合し、40〜80℃の温度範囲で造粒することを特徴とする顆粒状添加剤組成物の製造方法。
(R1−Y−S−C2H4CO2)m−Z (1)
[式(1)中、R1は炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−C2H4CO2−基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。] - 脂肪酸カルシウム及び式(1)で示されるイオウ系化合物に加え、さらに、式(2)で示されるフェノール系化合物、式(3)〜式(5)で示されるリン系化合物、炭素数4〜50の脂肪酸アミド及び金属珪酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の添加剤の合計0〜1800重量部を混合することを特徴とする請求項7記載の製造方法。
[式(2)中、R2は炭素数1〜9のアルキル基を表す。Xはヘテロ原子及び/又は環状基を含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表す。nは2又は4の整数を表す。]
[式(3)中、R4、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基を表す。]
[式(4)中、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖アルキル基又は炭素数3〜8の分岐鎖アルキル基を表す。]
[式(5)中、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9の直鎖状アルキル基、炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R13は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表し、Bは単結合、硫黄原子又は−CHR16−基を表し、R16は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数5〜9のシクロアルキル基を表し、
Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−C(=O)R17−基を表し、R17は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印は、>P−O−部分の酸素原子側との結合であることを表し、
C及びDは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜9のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表すが、
Cがヒドロキシル基であるときは、R14及びR15のいずれか一方は炭素数3〜9の直鎖状アルキル基、炭素数3〜9の分岐鎖アルキル基、炭素数5〜9のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、また、式(5)における2個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく、式(5)における2個のR12は互いに同一でも異なっていてもよく、式(5)における2個のR13は互いに同一でも異なっていてもよい。] - 造粒が攪拌造粒であることを特徴とする請求項7又は8記載の製造方法。
- 攪拌造粒に用いられる攪拌造粒機が、内部に撹拌翼を有し、該撹拌翼の先端部と該攪拌造粒機内部の壁面とのクリアランスが30mm以下であることを特徴とする請求項9記載の製造方法。
- 熱可塑性樹脂の100重量部に対して、請求項1〜6のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物を0.03〜5重量部を配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリオレフィンであることを特徴とする請求項11記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂を熱安定化させるための請求項1〜6のいずれか記載の顆粒状添加剤組成物の安定剤としての使用。
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