JP2008274081A - ポリオレフィン組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(1)で表される化合物及び金属石鹸を含む粒状組成物(A)、並びに、ポリオレフィンの粒状物(B)を溶融混練するポリオレフィン組成物の製造方法において、(A)の平均粒径(a)と(B)の平均粒径(b)との比(a/b)を3/1〜1/3に調整することを特徴とするポリオレフィン組成物の製造方法。
(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xはヘテロ原子及び/又は環状基を含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表す。nは2又は4の整数を表す。)
【選択図】なし
Description
一般に、ポリオレフィンに粉末状態の添加剤を配合する際には、添加剤の粉立ちや粉塵爆発性などの問題があった。この問題を解決する方法として特許文献1に粒状の添加剤組成物(グラニュール)をポリオレフィンに配合することが特許文献1に提案され、具体的には、フェノール系酸化防止剤及びステアリン酸カルシウムの混合物を二軸スクリュー押出機で205℃に加熱して、直径2mmの孔から押出し成形して、最大長さ2〜4.5mmの粒状の添加剤組成物が開示されている。
ところで、添加剤が配合される前のポリオレフィンは250μm以下の粒状物であることが特許文献2に開示されている。また、特許文献3の実施例には添加剤が配合される前のポリオレフィンの重量平均粒径が390〜610μmであることが具体的に開示されている。
本発明者らが、フェノール系酸化防止剤の1種である式(1)で表される化合物及びステアリン酸カルシウムを含む粒状組成物(A)に、粒径比(a/b)が5.2の平均粒径を有するポリオレフィンの粒状物(B)を配合して得られたポリオレフィン組成物について検討したところ、MFRのばらつきが大きく、ポリオレフィンへの添加剤の分散性が十分ではないという問題が明らかになった。
本発明で使用される化合物は、式(1)で示される化合物である。
化合物(1)におけるR1はメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基などの炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基を表す。中でも、メチル基、t−ブチル基である場合が好ましい。
nは2または4である。
Xは、n価のアルコール残基であり、Xに含まれる炭素数は1〜18である。ここで、アルコール残基とは、アルコールから水酸基の水素原子を除いた基を意味する。
また、Xには、酸素原子、イオウ原子、窒素原子などのヘテロ原子が含まれていてもよく、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造などの脂環式基、ベンゼン構造など芳香族基などの環状基が含まれていてもよい。もちろん環状基の炭素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。
上記化合物(1)の融点が220℃以下であると、プラスチックへの分散性が向上する傾向があり、70℃以上であると、高温下で保存して互着する場合を抑制する傾向があることから好ましい。
本発明における流動性指数とは、Carrの流動性指数であり、粒状添加剤組成物の安息角度、圧縮度、スパチュラ角、および均一度または凝集度の4種類の値を測定し、それぞれに対して、多くの粉粒体で経験的に求められている最高25の指数を配点して、これらの合計指数(最高値は100、最低値は0)で示すものである[粉体工学会編、「粉体工学用語辞典」、第2版、日刊工業新聞社、2000年3月30日、p.56−p.57参照]。
脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどが挙げられる。
金属石鹸としては、中でも市販のステアリン酸カルシウム(通常、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウムの混合物)が好適である。
市販されている脂肪酸カルシウムとしては、例えば、登録商標 オーラブライト NC ステアリン酸カルシウムS(日本油脂製)、共同薬品製のステアリン酸カルシウム、品川化工製のステアリン酸カルシウム(商品名 SAK)などが挙げられる。
化合物(1)及び金属石鹸の合計が上記範囲であると、粒状組成物(A)の量が少なくても化合物(1)及び金属石鹸の効果を発揮する傾向があることから好ましい。
結合剤としては、式(2)で表されるイオウ系化合物、低融点ポリエチレンワックス、パラフィン、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどが挙げられる。
(R2−Y−S−C2H4CO2)m−Z (2)
(式中、R2は炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−C2H4CO2−基を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表し、mは1〜4の整数を表す。)
ここで、イオウ系化合物(2)中のR2としては、ドデシル基、テトラデシル基又はオクタデシル基などが好ましい。
また、アルコール残基とはアルコールの水酸基の水素原子以外の部分をいう。好適なアルコール残基Zをアルコールで例示すれば、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ペンタエリスリトールが挙げられる。特に、イオウ系化合物(2)におけるYが単結合である場合は、R2がドデシル基であり、mが4であり、Zがペンタエリスリトール残基である化合物が好ましい。また、Yが−C2H4CO2−基である場合は、R2がドデシル基、テトラデシル基又はオクタデシル基であり、mが1であり、Zが上記R2に対応する炭素数12、14又は18のアルコール残基であることが好ましい。
尚、Yが−C2H4CO2−基である場合は、通常、アルコール残基とR2はエステル基で結合している。具体的には、−C2H4CO2−R2となっている。
3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル エステル、
3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル、
3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシル エステル、
テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチル エステル
中でも、 3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル エステル、 3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル、 3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシル エステルが好ましい。
粒状組成物(A)が後述する添加剤を含む場合には、粒状組成物(A)100重量部に対し、イオウ系化合物(2)を8重量部以上混合すると、粒状組成物(A)の製造時間が短縮されたり、加熱温度が低減される傾向があることからとりわけ好ましい。
また、粒状組成物(A)において、化合物(1)及びイオウ系化合物(2)の合計100重量部に対する化合物(1)の含有量は、通常、97〜3重量部である。
また、イオウ系化合物(2)を含む粒状組成物(A)は、通常、JIS−Z 8841(1993)10項 解説表1 造粒物の形状及び名称に記載の不規則形状の顆粒集合体である。
また、本発明で用いられる添加剤の平均粒径としては、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、0.5〜70μmの範囲であることが特に好ましい。
市販の添加剤をそのまま用いる場合は、予め公知の方法で好ましい平均粒径に調整した後、使用することが好ましい。
[添加剤群:中和剤、滑剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、顔料、難燃剤、充填剤、及び、フェノール系酸化防止剤(1)以外のフェノール系酸化防止剤]
合成ハイドロタルサイト、天然ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム等の中和剤;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ポリエチレンワックス等の滑剤;
4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、ベタイン型の両性界面活性剤、リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、
硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、
多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤、カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等の帯電防止剤、又はこれらのうち、融点が70℃を越える帯電防止剤;
中でも、前者の攪拌造粒する方法が、粒状組成物(A)を加熱することがなく、化合物(1)の熱劣化を低減する傾向があることから好ましい。
中でも結合剤がイオウ系化合物(2)であると、軟化点〜融点の温度範囲が、40〜70℃、好ましくは45〜55℃の範囲という低温で造粒できることから好ましい。
尚、軟化点とは、JIS K2425で測定した値である。
攪拌造粒機の具体例としては、例えば、ハイスピードミキサー(攪拌転動造粒機)、ヘンシェルミキサー(高速攪拌造粒機)、バーティカルグラニュレーター、ファーママトリックス、スーパーミキサー、GRAL−グラル、シュギミキサー、ハイスピーダー、ニュースピードニーダ等の竪型ミキサーや、レディゲミキサー、スパルタンリューザー、ピンミキサー等の横型ミキサーなどが挙げられる。また、造粒のための攪拌翼とは異なり、粗大な造粒粒子の解砕・整粒に供するチョッパーと呼ばれる攪拌翼を具備していてもよい。
攪拌造粒機内部の壁面と接する翼端は、適宜、形状を設計してもよいが、実施例に用いたハイスピードミキサーの場合、中心部に向かって傾斜が付けられており、混合物が中心部に掬い上げられ、底部と壁面との隅に混合物が滞留しないようになっている。
混合終了後、添加剤の劣化を抑制させる観点から、造粒温度より低い冷気、好ましくは、40℃より低い冷気を通気したり、冷却庫で保存するなどして冷却することが好ましい。
また、得られる粒状組成物(A)の品質を安定させるために、篩によって大きい顆粒(例えば、5mm以上、好ましくは3mm以上)や小さい顆粒(例えば、0.1mm以下、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.5mm以下)を除いてもよい。
粒径の調整は、攪拌翼の攪拌速度、チョッパーの攪拌速度、攪拌時間、加熱温度にて調整する。具体的には、粒径を大きくするためには、攪拌速度を早くしたり、チョッパーの攪拌速度を遅くすればよい。同じ攪拌速度でも、攪拌時間を長くすることで、粒径を大きくすることができる。また、同じ攪拌時間でも、加熱温度を高くすることで、粒径を大きくすることができる。
このようなポリオレフィンとしては、たとえばポリプロピレン、例えば高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン、メチルペンテンポリマー、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリスチレン類、例えばポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)などのポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体などが挙げられ、中でも成型加工性の良さから、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
また、投入口より徐々に設定温度を高くなるように設定し、加熱混合部よりアダプター部およびダイス部が同じ温度か、若干高めに設定すると、生産安定性が向上することから好ましい。
ハイスピードミキサー(深江パウテック製、容量2L)中に、フェノール系酸化防止剤として3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(商品名:スミライザーGA−80、住友化学製)を43g、及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:イルガフォス168、チバスペシャルティケミカルズ社製)を86g、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル(商品名:スミライザーTPM、住友化学製)を86g、ステアリン酸カルシウム(共同薬品製)86gを投入した。投入後、攪拌羽根の回転数500rpm、チョッパー羽根の回転数1000rpmで攪拌し、顆粒状の粒状組成物(A)を得た。これをJIS K 0069に記載の方法により篩によって分級して、重量基準の粒子径積算分布を求め、その分布から得られる中央累積値(50重量%径)を平均粒径として表1に示した。
粒状のポリプロピレン((B)、MFR=8、平均粒径=0.75mm)100重量部に対し、製造例で得た粒状組成物(A)0.175重量部をドライブレンドし、ポリプロピレンの粒状物(B)と粒状組成物(A)の混合物を得た。この混合物をホッパーより投入し、30mmφの単軸押出機(田辺プラスチック社製DH−30−180、L/D28)を使用して220℃、スクリュー回転数50rpmで押出し、ペレットサンプルを得た。
得られたペレットを4回サンプリングし、メルトインデクサー(テクノセブン社製L217−E14011)を使用して、230℃で、シリンダー内に15分滞留させた後、荷重2.16kgでのMFRを測定した。結果を表2に示した。MFR値は、小さい程、熱安定性に優れることを意味する。また、4回サンプリングして測定したMFR値の標準偏差が小さい程、MFR値のバラツキが小さく、粒状組成物(A)のポリプロピレン(B)への分散性が良好であり、熱安定性が揃ったポリプロピレン組成物が得られたことを意味する。
Claims (6)
- 粒状組成物(A)は、さらに結合剤を含み、該結合剤の軟化点〜融点の温度範囲において造粒されてなる組成物であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 結合剤がイオウ系化合物(2)である請求項2に記載の製造方法。
(R2−Y−S−C2H4CO2)m−Z (2)
(式中、R2は炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−C2H4CO2−基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。) - 金属石鹸が、ステアリン酸カルシウム及び/又はパルミチン酸カルシウムである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 粒状組成物(A)の平均粒径が、0.1〜5mmである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- ポリオレフィンの粒状物(B)が、ポリプロピレン系樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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