JP2001048838A - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法

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JP2001048838A
JP2001048838A JP11225262A JP22526299A JP2001048838A JP 2001048838 A JP2001048838 A JP 2001048838A JP 11225262 A JP11225262 A JP 11225262A JP 22526299 A JP22526299 A JP 22526299A JP 2001048838 A JP2001048838 A JP 2001048838A
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acid
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acrylic acid
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Koji Kimura
幸治 木村
Tomio Kanbayashi
富夫 神林
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (メタ)アクリル酸エステルの収率を向上さ
せると共に、中和工程においてアルカリ性水溶液を用い
ることなく、製造工程で生じる廃水量を減らすことがで
きる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 本発明の(メタ)アクリル酸エステルの
製造方法は、(メタ)アクリル酸とアルコールとのエス
テル化反応等により生成した(メタ)アクリル酸エステ
ルを含有する反応液に、酸化マグネシウム、合成ハイド
ロタルサイト又は六ケイ酸マグネシウム等の固体状酸中
和剤を添加して酸分を除去する。その結果、アルカリ水
溶液を使用する必要がないため、生成した(メタ)アク
リル酸エステルが水層へ移行して除去されることによる
収率の低下を防止することができると共に、廃水量を減
らすことにより、廃水処理工程を簡略化し、環境への負
荷を低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
酸エステルの製造方法に関し、更に詳しくは、本発明
は、(メタ)アクリル酸エステルの収率を向上させると
共に、中和処理工程においてアルカリ性水溶液を用いる
必要がないため、製造工程で生じる廃水量を減らすこと
ができる(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関す
る。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」と
は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、
「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エス
テル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
【0002】
【従来の技術】従来より、(メタ)アクリル酸エステル
の製造方法としては、(メタ)アクリル酸とアルコール
との脱水エステル化反応や、(メタ)アクリル酸アルキ
ルとアルコールとのエステル交換反応、あるいはエポキ
シ化合物への(メタ)アクリル酸の付加反応が一般的に
行われている。これらのうち、特に、脱水エステル化反
応は、(メタ)アクリル酸エステルの製造が容易である
と共に、製造可能な(メタ)アクリル酸エステルが多様
であることから、有用な製造方法である。上記脱水エス
テル化反応による(メタ)アクリル酸エステルの製造方
法の場合は、硫酸、パラトルエンスルホン酸又はメタン
スルホン酸等の酸性触媒が用いられ、また、エステル交
換反応による場合には、硫酸が触媒として用いられるこ
とがある。
【0003】これら(メタ)アクリル酸エステルの製造
方法においては、反応後、通常は生成した(メタ)アク
リル酸エステルを含有する反応液に、水酸化ナトリウム
等のアルカリ水溶液を添加することにより、未反応の
(メタ)アクリル酸や、触媒として添加した酸性触媒等
からなる酸分を中和し、次いで水層を有機層と分離・除
去し、得られた有機層から有機溶媒を除去することによ
り、目的とする(メタ)アクリル酸エステルを得てい
る。
【0004】しかし、(メタ)アクリル酸エステルの製
造を行う際に、上記のようにアルカリ水溶液による中和
を行うと、最終的に酸分が中和された水層と、生成した
(メタ)アクリル酸エステルが含まれる有機層とを分離
する処理を行う必要がある。また、この分離工程で分離
された水層はそのまま廃水とならざるを得ず、この結
果、大量の廃水を発生させるという問題点がある。更
に、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの
ような水に溶け易い(メタ)アクリル酸エステルを製造
する場合、この中和処理において、反応により得られた
(メタ)アクリル酸エステルが溶解によって水層に移行
し易く、水層に移行した場合、廃水として処理されてし
まうことから、(メタ)アクリル酸エステルの収率が著
しく低下するという問題点がある。
【0005】また、アルコールとして水酸基が導入され
た水添ポリブタジエン又はポリプロピレングリコールを
使用した場合、得られる(メタ)アクリル酸エステル
が、ノニオン系界面活性剤的な性質を有するため、中和
又は水洗処理工程において、水層と有機層との分離状態
が不良となってしまい、その結果、有機層と水層の分離
・除去が困難となるか、あるいは分離に長時間要するよ
うになり、(メタ)アクリル酸エステルの収率低下を引
き起こすという問題点がある。更に、アルコールと共に
高級脂肪酸を併用して脂肪酸変性(メタ)アクリル酸エ
ステルを製造する場合にも、反応液中の未反応の高級脂
肪酸が中和処理中に反応してアニオン性界面活性剤であ
る高級脂肪酸塩を生成したり、あるいは、得られる脂肪
酸変性(メタ)アクリル酸エステル自体がノニオン性界
面活性剤的な作用を有することから、同様の問題を有し
ている。従来は、かかる乳化を防止するために、反応液
に添加するアルカリ性水溶液の量を減少させていたが、
この場合は、反応液中の酸分の中和が不十分となって残
留し、製品に臭気が残留する等、製造された(メタ)ア
クリル酸エステルの品質低下を招くという問題点があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリル酸エステ
ルの収率を向上させると共に、中和工程においてアルカ
リ性水溶液を用いることなく、製造工程で生じる廃水量
を減らすことができる(メタ)アクリル酸エステルの製
造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実情
に鑑みて検討を続けた結果、生成した(メタ)アクリル
酸エステルを含む反応液に分離除去する必要のある水層
の元となるアルカリ性水溶液を添加するのでなく、反応
液を固体状の酸中和剤に接触させて中和処理を行うこと
により、(メタ)アクリル酸エステルの収率を向上させ
ると共に、水層と有機層との分離処理を除き、効率的な
中和を行うことができることを見いだして本発明を完成
するに至った。即ち、本第1発明の(メタ)アクリル酸
エステルの製造方法は、(1)(メタ)アクリル酸とア
ルコールとをエステル化反応させるか、(2)(メタ)
アクリル酸アルキルとアルコールとをエステル交換反応
させるか、又は(3)エポキシ化合物に(メタ)アクリ
ル酸を付加反応させるかした後、生成した(メタ)アク
リル酸エステルを含有する反応液を固体状酸中和剤に接
触させて酸分を除去することを特徴とする。
【0008】本第1発明における (1)(メタ)アク
リル酸とアルコールとのエステル化反応〔以下、「反応
(1)」という〕、(2)(メタ)アクリル酸アルキル
とアルコールとのエステル交換反応〔以下、「反応
(2)」という〕、及び(3)エポキシ化合物への(メ
タ)アクリル酸の付加反応〔以下、「反応(3)」とい
う〕は、常法に従って行えば良い。
【0009】上記反応(1)としては、酸性触媒の存在
下に、(メタ)アクリル酸とアルコールとを加熱・攪拌
する方法等が挙げられる。また、本第1発明は、(メ
タ)アクリル酸とアルコールに、さらに脂肪酸を併用し
た脂肪酸変性(メタ)アクリル酸エステルの製造にも適
用できる。酸性触媒としては、硫酸、パラトルエンスル
ホン酸及びメタンスルホン酸等が挙げられる。また、反
応温度は、使用する化合物及び目的に応じて適宜設定す
ればよいが、好ましくは70℃〜140℃である。この
反応温度が70℃未満の場合は反応が遅くなり、一方、
反応温度が140℃を超える場合は、反応系が不安定に
なって、不純物が生成したり、ゲル化をする場合があ
る。
【0010】当該反応に際しては、エステル化反応で生
成する水との溶解度が低い有機溶媒を使用し、水を共沸
させながら脱水を促進することが好ましい。好ましい有
機溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン及びキシレ
ン等の芳香族炭化水素、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪
族炭化水素、並びにメチルエチルケトン及びシクロヘキ
サノン等のケトン等が挙げられる。また、有機溶媒は、
反応後に減圧で留去してもよいが、臭気の問題がない溶
媒を使用した場合には、組成物の粘度調整のために留去
することなくそのまま使用してもよい。
【0011】上記反応(1)におけるアルコールとして
は、種々の化合物が使用可能であり、具体的には、以下
に示す1価アルコール及び多価アルコール等が挙げられ
る。 (1)1価アルコール メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソ
ブチルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オク
チルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソ
オクチルアルコール、n−ノニルアルコール及びイソノ
ニルアルコール等のアルキルアルコール フェノール等の芳香族アルコール、ノニルフェノール
等の長鎖アルキル基を有する芳香族アルコール及びこれ
ら芳香族アルコールのアルキレンオキサイド付加物 水添ポリブタジエンのモノオール及びステアリルアル
コール等の分岐状又は直鎖状長鎖アルキルモノオール (2)多価アルコール エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン
ジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール及びネ
オペンチルグリコール等のグリコール 水添ポリブタジエンのジオール等の分岐状又は直鎖状
長鎖アルキルジオール ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリ
プロピレングリコール及びポリプロピレングリコール等
のポリアルキレングリコール ビスフェノールA及びビスフェノールF等のビスフェ
ノール、並びにビスフェノールのアルキレンオキサイド
付加物 トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール
等のポリオール、並びにこれらポリオールのアルキレン
オキサイド付加物 トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート 尚、上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキ
サイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0012】また、(メタ)アクリル酸エステルとし
て、脂肪酸変性(メタ)アクリル酸エステルを製造する
場合において用いられる脂肪酸としては、ラウリル酸及
びステアリン酸等の炭素数10〜20の高級脂肪酸並び
にダイマー酸等が挙げられる。
【0013】上記反応(2)の例としては、触媒の存在
下に、(メタ)アクリル酸アルキル及びアルコールを加
熱、攪拌する方法が挙げられる。上記反応(2)におけ
る(メタ)アクリル酸アルキルの好ましい例としては、
(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチ
ル等が挙げられ、アルコールの例としては、上記と同様
のものが挙げられる。上記反応(2)において用いられ
る触媒としては、エステル交換反応において通常使用さ
れるものであればよく、例えば、テトラブチルチタネー
ト、硫酸等が挙げられる。また、上記反応(2)におけ
る反応温度は、使用する原料及び目的に応じて適宜設定
すればよい。
【0014】上記反応(3)の例としては、触媒の存在
下に、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物を加熱、攪
拌する方法等が挙げられる。上記反応(3)におけるエ
ポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールのジグリシジルエーテル、ポリエーテルのジグ
リシジルエーテル及びアルキレングリコールのジグリシ
ジルエーテル等が挙げられる。上記反応(3)において
用いられる触媒としては、3級アミン、4級アンモニウ
ム塩及びトリフェニルホスフィン等が挙げられる。ま
た、上記反応(3)における反応温度は、使用する原料
及び目的に応じて適宜設定すればよい。
【0015】また、上記反応(1)〜(3)において
は、得られる(メタ)アクリル酸エステルの重合を防止
する目的で、反応液に重合防止剤を添加することができ
る。このような重合防止剤としては、例えば、ハイドロ
キノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−
ジターシャリーブチル−p−クレゾール及びフェノチア
ジン等が挙げられる。
【0016】本第1発明は、特に反応(1)の脱水エス
テル化反応のように、製造工程で酸性触媒が用いられる
反応に好ましく適用される。また、本第1発明は、上記
反応(1)〜(3)で得られる(メタ)アクリル酸エス
テルの中でも、水溶性又は乳化性の(メタ)アクリル酸
エステルの製造に好ましく適用できるものである。この
ような(メタ)アクリル酸エステルとしては、ポリアル
キレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリル酸エス
テル、長鎖アルキル基を有する芳香族アルコール又はそ
のアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリル酸エ
ステル、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物
のモノ又はジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール
のアルキレンオキサイド付加物のモノ又はジ(メタ)ア
クリル酸エステル、トリス−2−ヒドロキシエチルイソ
シアヌレートのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリル酸エ
ステル、長鎖アルキルモノオールの(メタ)アクリル酸
エステル、長鎖アルキルジオールのモノ又はジ(メタ)
アクリル酸エステル及び脂肪酸変性(メタ)アクリル酸
エステル等が挙げられる。
【0017】本第1発明における上記「固体状酸中和
剤」としては、未反応の(メタ)アクリル酸や酸性触媒
等の酸分を中和することができ、固形状である限り特に
限定はない。このような「固体状酸中和剤」としては、
固体塩基及び両性物質等が挙げられる。上記固体塩基と
しては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ス
トロンチウム及び酸化バリウム等のアルカリ土類金属の
酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水
酸化ストロンチウム及び水酸化バリウム等のアルカリ土
類金属の水酸化物、並びに合成ハイドロタルサイト
〔Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O〕等が挙げられ
る。また、上記両性物質としては、六ケイ酸マグネシウ
ム〔2MgO・6SiO2・xH2O〕等が挙げられる。
尚、上記「固体状酸中和剤」は、これらの2種以上を併
用することもできる。
【0018】上記「固体状酸中和剤」としては、本第2
発明に示すように、酸化マグネシウム又は水酸化マグネ
シウムを構成成分とする化合物(以下、「マグネシウム
系化合物」という。)を使用するのが好ましい。マグネ
シウム系化合物によれば、安価であると共に中和力に優
れ、しかも、中和処理後、反応液から容易に分離するこ
とができる。マグネシウム系化合物としては、酸化マグ
ネシウム、合成ハイドロタルサイト及び六ケイ酸マグネ
シウム等が好ましく、特に酸化マグネシウム及び合成ハ
イドロタルサイトが好ましい。
【0019】また、上記「固体状酸中和剤」の形状は固
形状である限り特に限定はなく、所定の大きさを有する
顆粒状や塊状でもいいが、粉末状とすると、固体状酸中
和剤が反応液全体に分散し、また、表面積を大きくとる
ことにより反応液との接触部分が増加して、中和が効率
よく進むことから好ましい。上記「固体状酸中和剤」を
粉末状とした場合、その平均粒径は10〜100μが好
ましい。
【0020】本第1発明において、上記反応(1)、反
応(2)又は反応(3)の終了後、生成した(メタ)ア
クリル酸エステルを含有する反応液を固体状酸中和剤に
接触させる。反応液を固体状酸中和剤に接触させる方法
としては、通常、固体状酸中和剤を反応液中に添加する
方法が挙げられるが、その他、カラム等に固体状酸中和
剤を充填し、このカラムに反応液を通過させることによ
り連続接触させる方法や、あるいは、予め固体状酸中和
剤を入れた容器に反応液を添加してもよい。固体状酸中
和剤を反応液中に添加する方法により接触させる場合、
この反応液に添加する上記「固体状酸中和剤」の量は、
通常は、反応液の酸分に対してモル比にて1倍以上、好
ましくは1〜3倍である。この添加量が、反応液の酸分
に対してモル比にて1倍未満では、酸の中和が不十分と
なるので好ましくない。尚、「酸分を除去」とは、反応
液中の酸分を完全に除いてしまう場合だけでなく、反応
液中の酸分の量を接触前よりも減少させるという意味も
含む。
【0021】また、反応(1)を採用する場合において
は、当該反応は脱水反応であるため、反応液に水分が含
まれている場合がある。この場合に、反応液に上記固体
状酸中和剤、特に酸化マグネシウム等のアルカリ土類金
属酸化物を接触させると、これが反応液中の水分と反応
し、ヘドロ状物を生成する結果、ろ過による除去が困難
になる場合がある。そこで、固体状酸中和剤に接触させ
て過剰な酸分を除去する前又は除去する際に、反応液中
の水分を除去するのが好ましい。このように反応液中の
水分を除去する方法としては、通常は、本第3発明に示
すように、反応液を固体状酸中和剤と接触させる前又は
接触させて酸を除去する際に、反応液を加熱する方法が
挙げられる。この場合、反応(1)で使用する有機溶媒
として水と共沸する有機溶媒を用いると、加熱により溶
媒と同時に水分も除去できるので好ましい。尚、「反応
液中の水分を除去」とは、反応液中の水分を完全に除い
てしまう場合だけでなく、反応液中の水分の量を加熱前
よりも減少させるという意味も含む。
【0022】この水分を除去するための加熱温度として
は、反応液中の水分を除去できる温度であれば特に限定
はないが、特に70〜140℃が好ましい。また、高沸
点の有機溶媒を使用する場合は、系を減圧にして前記好
適な反応温度を保持することが好ましい。この場合の減
圧度は、使用する有機溶媒に応じて適宜規定すればよい
が、好ましくは300〜600Torrである。更に、
水と共沸する有機溶媒を用いる場合は、共沸温度以上で
あり、通常は、有機溶媒の沸点付近(沸点前後10〜4
0℃程度)である。
【0023】その他にも、反応液と水吸着剤とを接触さ
せることにより、反応液中の水分を除去する方法でもよ
い。このような水吸着剤としては、例えば、硫酸マグネ
シウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。また、接触さ
せる方法としては、上記の固体状酸中和剤の接触方法と
同様である。
【0024】次に、反応液と固体状酸中和剤を接触させ
て酸分を除去した後、反応液から固体状酸中和剤を除去
する。反応液から固体状酸中和剤を除去する方法につい
ては特に限定はなく、例えば、ろ紙、ろ布、糸巻きカー
トリッジ等のろ過材を用いたろ過処理等とすることがで
きる。そして、固体状酸中和剤を除去した後の反応液か
ら、公知の方法で溶媒を除去することにより、(メタ)
アクリル酸エステルを得ることができる。尚、必要に応
じて、この(メタ)アクリル酸エステルを精留により精
製することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、実施例及
び比較例を挙げて具体的に説明する。 (1)収量及び収率の測定 以下に記載した実施例1〜2及び比較例1〜2におい
て、製造された(メタ)アクリル酸エステルの収量及び
収率を測定した。その結果を表1に示す。 実施例1 原料として、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌ
レートを750g(2.87mol)とアクリル酸を4
38g(6.08mol)用いた。そして、溶媒として
トルエン1200gを用い、これに上記原料と、触媒で
あるパラトルエンスルホン酸を20g及び重合禁止剤で
あるハイドロキノンモノメチルエーテル(以下、「M
Q」という。)を1.2g添加して、80〜100℃、
7時間という反応条件で、反応液の酸価が0.16me
q/gを下回るまでエステル化反応を行った。エステル
化反応終了後、固体状酸中和剤として酸化マグネシウム
(共和化学株式会社製、商品名「キョーマグ#15
0」)10gを上記反応液に添加し、400mmHgで
1時間、100℃に加熱しながら中和処理を行った。そ
して、中和処理後、ろ過材としてろ紙を用いて酸化マグ
ネシウムをろ過にて除去し、50mmHg以下の減圧下
で溶媒であるトルエンを留去して、製品であるアクリル
酸エステル(トルエン7%含有)を1080g得た。そ
して、アクリル酸が100%反応したと仮定した場合の
収量に基づき収率を計算したところ94%であった。
【0026】実施例2 原料として、ポリエチレングリコール(分子量200、
日本油脂株式会社製PEG#200)を559g(2.
78mol)とアクリル酸を423g(5.87mo
l)用いた。溶媒としてトルエン1000gを用い、こ
れに上記原料と、触媒であるパラトルエンスルホン酸を
16g及び重合禁止剤であるフェノチアジン0.2g、
MQ2.0gを添加して、80〜100℃、6時間とい
う反応条件で、反応液の酸価が0.30meq/gを下
回るまでエステル化反応を行った。エステル化反応終了
後、固体状酸中和剤として酸化マグネシウム(共和化学
株式会社製、商品名「キョーマグ#150」)14gを
上記反応液に添加し、400mmHgで1時間、100
℃に加熱しながら中和処理を行った。中和処理後、ろ過
材としてろ紙を用いて酸化マグネシウムをろ過にて除去
し、次いで、重合禁止剤であるフェノチアジンを0.1
g添加して、実施例1と同じ条件で溶媒であるトルエン
を留去して、製品であるアクリル酸エステルを830g
得た。そして、ポリエチレングリコールが100%反応
したと仮定した場合の収量に基づき収率を計算したとこ
ろ96%であった。
【0027】比較例1 上記実施例1と同じ条件でエステル化反応を行い、エス
テル化反応終了後、反応液にトルエンを3200g追加
し、次いで、固体状酸中和剤の代わりに、室温で攪拌し
ながら10%NaOH水溶液を180g添加し、1時間
静置して中和処理を行った。水層を分離後、過剰なNa
OHを除去する目的で、有機層に室温で攪拌しながら蒸
留水を200g添加し、1時間静置した後水層を分離し
た。次いで、50mmHg以下の減圧下にて有機層のト
ルエンを留去して製品であるアクリル酸エステルを62
0g得た。実施例1と同様に収率を計算したところ、5
8%であった。
【0028】比較例2 上記実施例2と同じ条件でエステル化反応を行い、エス
テル化反応終了後、反応液に10%NaOH水溶液を2
70g添加し、比較例1と同様の方法で中和処理を行っ
た。その後、比較例1と同様の方法で、蒸留水を180
g添加して反応液を洗浄し、有機層のトルエンを留去し
て、製品であるアクリル酸エステルを600g得た。実
施例2と同様に収率を計算したところ70%であった。
【0029】
【表1】
【0030】(2)酸除去率及びろ過性の測定 上記実施例1及び以下の実施例3〜4において、固体状
酸中和剤添加前後の反応液の酸価(meq/g)及びろ
過性を検討した。この結果を以下の表2に示す。尚、表
2において、酸除去率とは、以下の式により計算された
数値である。 酸除去率(%)(A−B)×100/A A:固体状酸中和剤添加前の反応液の酸価(meq/
g) B:固体状酸中和剤添加後の反応液の酸価(meq/
g)
【0031】実施例3〜4 上記実施例1の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法
において、固体状酸中和剤として添加した酸化マグネシ
ウムの代わりに、合成ハイドロタルサイト(共和化学株
式会社製、製品名「キョーワード500G−7」)を用
いたものを実施例3、六ケイ酸マグネシウム(共和化学
株式会社製、製品名「キョーワード600BUP」)を
用いたものを実施例4とした。 そして、固体状酸中和剤
添加前後の反応液の酸価(meq/g)を、0.1mo
l%KOHのエタノール溶液を使用して、中和滴定によ
り測定した。また、ろ過性は、ろ紙(アドバンテック株
式会社製、NO.2定性ろ紙)を使用し、反応液を1k
g/cm2の加圧下でろ過した場合において、問題なく
ろ過できた場合を「良好」とし、ろ過1時間後に得られ
るろ液が10g未満の場合を「ろ過不良」とした。
【0032】
【表2】
【0033】(6)実施例の効果 表1の結果より、中和処理を行うために、固体状酸中和
剤である酸化マグネシウムを用いた実施例1では、(メ
タ)アクリル酸エステルの収量が1080gであるのに
対し、同じ条件でエステル化反応を行い、中和処理を行
うためにNaOH水溶液を用いた比較例1では、(メ
タ)アクリル酸エステルの収量が620gと、実施例1
の約57%に低下していることが分かる。また、収率を
比較しても、実施例1では94%と高収率であるのに対
し、比較例1では58%にまで低下していることが分か
る同様に、中和処理を行うために、固体状酸中和剤であ
る酸化マグネシウムを用いた実施例2では、(メタ)ア
クリル酸エステルの収量が830gであるのに対し、同
じエステル化反応を行い、中和処理を行うためにNaO
H水溶液を用いた比較例2では、収量が600gと、実
施例2の約72%に低下していることが分かる。また、
収率を比較しても、実施例2では96%と高収率である
のに対し、比較例1では70%に低下していることが分
かる以上の結果より、従来から行われてきたNaOH水
溶液による中和処理を行った比較例1及び2では、生成
した(メタ)アクリル酸エステルが一部水層に移行し、
除去されてしまうために、収量が低下することが分か
る。これに対し、固体状酸中和剤として酸化マグネシウ
ムを用いて中和処理を行った実施例1及び2では、生成
した(メタ)アクリル酸エステルが水層に移行して除去
されることがないので、従来法よりも高収量となること
が分かる。
【0034】また、表2より、合成ハイドロタルサイト
を用いた実施例3及び六ケイ酸マグネシウムを用いた実
施例4は、いずれも良好な酸除去率を示している。特
に、実施例3の酸除去率は91%と、酸化マグネシウム
を用いた実施例1の96%とほぼ同程度の酸除去率を示
していることから、合成ハイドロタルサイトは、酸化マ
グネシウムと並んで、本願発明において優れた固体塩基
であるといえる。更に、中和処理後のろ過性は、実施例
1、実施例3及び実施例4とも優れたろ過性を示してい
ることから、中和後、ろ過により容易に反応液から除去
できることが分かる。
【0035】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明の(メタ)アクリル酸エステルの
製造方法によれば、生成した(メタ)アクリル酸エステ
ルを含有する反応液に、固体状酸中和剤を添加して中和
処理を行うことから、中和処理工程においてアルカリ性
水溶液を使用する必要がない。よって、中和後に水層と
有機層とを分離するための分離する工程が不要となり、
廃水量を減少させることができる。また、水を使用しな
いことから、生成した(メタ)アクリル酸エステルが水
層へ移行して除去されることにより、収率が低下するこ
とを防止することができる。その結果、(メタ)アクリ
ル酸エステルの収率、特に水溶性の(メタ)アクリル酸
エステルにおいて、収率を著しく向上させると共に、廃
水量を減らすことにより、廃水処理工程の簡略化及び環
境への負荷の低減を図ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)(メタ)アクリル酸とアルコール
    とをエステル化反応させるか、(2)(メタ)アクリル
    酸アルキルとアルコールとをエステル交換反応させる
    か、又は(3)エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を
    付加反応させるかした後、生成した(メタ)アクリル酸
    エステルを含有する反応液を固体状酸中和剤に接触させ
    て酸分を除去することを特徴とする(メタ)アクリル酸
    エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記固体状酸中和剤として、酸化マグネ
    シウム又は水酸化マグネシウムを構成成分とする化合物
    を使用する請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステル
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記(1)の反応の後、上記反応液を固
    体状酸中和剤に接触させる前又は接触させる際に、上記
    反応液を加熱する請求項1又は2に記載の(メタ)アク
    リル酸エステルの製造方法。
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