JP2001000121A - 食物繊維包着米及びその炊飯物 - Google Patents

食物繊維包着米及びその炊飯物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】炊飯後の性状劣化の改善された米、炊飯後にお
ける米粒がリゾットなどの洋風料理における再加熱にも
崩壊しない米飯、および食味や食感における品質劣化の
防止された粥や雑炊を提供すること。 【解決手段】米粒をグルコマンナンの水和物ゲルで包着
し、これを加熱処理して不可逆的ゲル化したことを特徴
とする食物繊維包着米、およびこのような食物繊維包着
米を使用して作成した米の炊飯物および加熱調理物、な
らびにこれらに乾燥処理、レトルト処理、加圧処理、冷
凍処理などのライフ延長処理をした形態のもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、米粒をグルコマン
ナンの水和物ゲルで包着し、これを加熱処理して不可逆
的ゲル化した食物繊維包着米、およびこのような食物繊
維包着米を使用して適宜作成した、米飯、リゾット、
粥、雑炊などの米の炊飯物または加熱調理物に関する。
【0002】
【従来の技術】米の炊飯物(すなわち、米飯)は、我が
国の主食として伝統的に完成してきた。すなわち、精白
米などの(生)米を水洗いして水漬け又は水切り後30
分程度の後、約20〜30分加熱し、そのまま蒸しを5
〜10分程度して炊飯を完了する。このようにして得ら
れる米飯は、そのまま保温状態で維持すれば、10時間
程度の経過後もホクホクの好ましい食感を維持すること
ができる。
【0003】この炊飯物(米飯)は、いわゆる“めし”
として単独に食する限り炊飯後ある程度の時間内は好ま
しい食感であるが、例えば、調味した他の食品類(例え
ば、バター、チーズ、クリームなど)や、水性調味料
(例えば、ワイン、トマト加工品、スープ類など)等を
添加して攪拌しながら加熱したりすると米粒が壊れてデ
ンプン質が流出してべとつくなど、炊飯直後の好ましい
特有の食感を失うために、調理範囲は限られている。そ
のため、例えば、具を混ぜ合わせた五目めしなどの混ぜ
めしや、すしめしなどはネトネト感(べとつき感)を防
止するために酸味料を添加する。しかし、これらはいず
れも、特有の食味となり、米の限られた活用に止まって
おり、伝統的ないわゆるめしの域を出ない。
【0004】今日、食生活の欧米化が進むなかで、前記
めしの、和風料理形態での食用量は年毎に減少してお
り、そのため伊太利料理のリゾットなどの洋風調理や中
華料理のチャーハンや油炒めなどにも適応する炊飯物が
求められている。しかしながら、洋風料理における世界
の米飯の主流は、洋風料理それぞれの調味料と共に加熱
し攪拌して調理するため、和風料理におけるような日本
米の炊飯物は上記のような洋風調理に供した場合に粒子
が崩壊して粥や雑炊状になり、好ましい食感を失うとい
う欠点からそのような洋風料理には多用されていない。
【0005】このことは、日本米に止まらず、世界の米
に共通の欠点である。それで洋風調理用に、例えば、イ
タリア料理のリゾット(risotto)用として、日本米を
材料とした水洗い無用の早炊き加工米が市販されている
(例えば、洗わずに、しかも水を加えずに使用する「早
炊き加工米」(アオハタ、(株)中島薫商店)、さらに
無洗米「こしひかりの里」(新潟魚沼の米、東京城南食
糧販売協同組合)などがある)。
【0006】因みに、リゾットは、例えば、「イタリア
のチーズ味をもつ米料理。米をオリーブ油で炒めて、ス
ープスットックで米の形があるように煮た、雑炊状の料
理。味と彩りを加える具には、野菜類(そらまめ、アス
パラガス、きのこ、グリンピース)やハム、ソーセージ
などが用いられる。スープスットクは米の重量の3.5
倍〜4倍量を前もって熱くしておき、これを分けて加え
る。ふたは用いないで、米がスープストックをすってき
たら、残りのスープストックと調味を加え、弱火にして
12〜13分で仕上げる。最後にパルメザンチーズのお
ろしたものを加え、ふたをして2分ほど蒸らす。供卓ま
でに米の芯がなくなればよい。」と解説されている(平
成10年丸善(株)発行「丸善食品総合辞典」第113
6頁)。あるいはまた、「お米をaldente(アルデン
テ)に仕上げることです。まわりがやわらかく、中央に
まだ芯が残り、コツコツとした歯ごたえがある状態のこ
とです。お米は洗わずに使います。洗うと調理の時にこ
われ易く、米の香りも逃げてしまいます。日本のお米
は、イタリヤのお米よりも粘り気が多く、こわれ易いた
め、水分(酒、ブロード)が入ってからの混ぜ方にコツ
があります。お米の粒をこわさないように、お米を練ら
ないように混ぜていきます。」とも解説されている(雄
鶏社1996年発行「リゾット(お気に入りレシピ)」
4頁)。さらにまた、「リゾットは米を炊くのではなく
煮る料理。米に粘りが出ないようにし、ブロードの旨味
を米に上手に吸わせます。米は洗わずに使う。」と解説
されている(旭屋出版1998年発行「MOOK(パス
タ料理)」105頁)。
【0007】ところで、上記加工米は水性調味料(例え
ば、ワイン、トマトの加工品、スープ類など)を加えて
攪拌しながら加熱調理するリゾット専用米で、調理所要
時間がおよそ20分を超える。しかも、水性調味料(だ
し)のブロード(brodo)を添加して攪拌しながら加熱
するというリゾットの調理方法は、この加熱攪拌によっ
て米粒からデンプン質が溶出して雑炊状となり、好まし
い食感を失うという問題点があり、これを解消するた
め、米の周りが柔らかく、中心部には芯が残り、歯応え
がある状態のアルデンテ(aldente)に仕上げるとする
一般には調理困難な加熱調理用の加工米が、例えば、水
洗い無用、さらに水使用をも禁じ、透明の小袋に(60
〜80g前後)米粒を封入し、「早炊き加工米」の商品
名で市場に提供されている。しかしながら、これは、米
の完全な炊飯を行わずに半煮状態でその後の加熱調理に
供する食用方法であり、米の食用利用を限定するそのも
のである。
【0008】以上、米の食用に関する一大市場である日
本とイタリアについて、米の供卓に要する調理時間が長
いことと、炊飯米粒の物性維持に難点があり、これらが
米の食用多様化を阻んでおり、米消費が停滞する現状そ
のものであることを説明した。
【0009】このような食用方法において得られる食感
から、加熱攪拌する調理においても炊飯米粒が崩壊しな
い新規技術により好みの食感が再現することができるに
至れば、食品の時代対応として格段の米市場の伸展が期
待される。
【0010】さて、食生活の欧米化は、唯単にうまみや
食味ゆえではなく、時代的背景が年毎に簡便性を充実し
た点が大きく、いかに洋風料理風といえども、加熱調理
による所要時間が前記のような20分程度も要するなど
長いと敬遠される。
【0011】加えて、健康志向の点からは富栄養化の食
品市場に対し、オーガニック食品や低カロリー食品の提
供が求められているところ、食物繊維の食用摂取率を高
める加工食品の製造技術においては、米の食用に関する
技術開発の余地が大きく、そこには手付かずが現実であ
ると言ってよい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】米の炊飯物が、いわゆ
る我が国のめしであって、先に説明したように、経時的
性状劣化がさけられない。また、伊太利のリゾットなど
の洋風加熱調理には適さない。これは、このような加熱
調理により米粒からデンプン質が溶出して糊となり、粥
や雑炊状になるためである。そこで、本発明は、炊飯後
の性状劣化の改善された米飯、炊飯後における米粒がそ
のような洋風料理における再加熱にも崩壊しない米飯、
及び食味や食感における品質劣化の防止された粥や雑炊
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前項記載の
目的を達成するべく鋭意研究の結果、米粒をグルコマン
ナンの水和物ゲルで包着し、これを炊飯することで、炊
飯物の経時的品質の劣化を防止することができること、
また前記のような洋風料理の再加熱においても、粥や雑
炊状にならない米の炊飯物に改善することができるこ
と、等を見いだし、このような知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、米粒をグルコマンナ
ンの水和物ゲルで包着し、これを加熱処理して不可逆的
ゲル化したことを特徴とする食物繊維包着米、およびこ
のような食物繊維包着米を使用して作成した米の炊飯物
および加熱調理物、ならびにこれらに乾燥処理、レトル
ト処理、加圧殺菌処理、冷凍処理などのライフ延長処理
をした形態のものに関する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明の米の加熱調理方法の対象となる米
には特別の制限はなく、本発明の効果の奏される限りは
日本米およびいわゆる外米の伊太利米等いずれであって
もよい。
【0017】米粒を包着するために使用するグルコマン
ナン水和物ゲルを作成するグルコマンナンとしては、本
発明者の発明に係わる「即溶解性グルコマンナン組成
物」(特許公報第2619743号)を好適なものとし
て挙げることができる。その主な理由は、グルコマンナ
ンの水和攪拌(例えば、グルコマンナン1重量部に対し
てデンプン0.4重量部および凝固剤0.03重量部を
粉体混合し、所定の量の水(後述)を加えて約3〜4分
間水和攪拌する)時に、グルコマンナン特有の嫌忌臭が
気化して消失するため、以後全く残留せず、使い勝手が
簡単容易な点である。しかも、グルコマンナンの水和攪
拌は僅か3〜4分間という短時間に終了して米粒に絡ま
せるため、グルコマンナン水和物ゲル(ゲル進行の度合
は僅かである)を米粒に万べんなく均一に包着させるこ
とができる。この状態でグルコマンナン水和物のゲル化
の進行を図った後炊飯用その他の目的の加熱調理物に適
する量の加熱調理用熱水に投入するため確実に不可逆的
凝固(不可逆的ゲル化)が進行する。なお、不可逆的ゲ
ル化の完成は、その後に続く調理加熱を通しても行われ
る。不可逆的ゲル化が完成していなくても、米粒を包着
したグルコマンナン水和物(のゲル)はその後の調理処
理において米粒から剥離することがない。本発明に関し
て「予め不可逆的ゲル化した」というときの「不可逆的
ゲル化」というのは、このような効果の奏される程度に
進行した不可逆的ゲル化であればよい。
【0018】さらに、本発明者の発明に係わる「微粉グ
ルコマンナン組成物」(特開平10−286069号公
報)を挙げることができる。これによれば、米粒と所定
量の微粉グルコマンナン組成物(凝固剤は、この組成物
の製造時の冷凍段階で既に配合済)をあらかじめ粉体混
合し、所定量の水を添加して2分ほど攪拌して米粒をグ
ルコマンナン水和物のゲルで包着した状態とすることが
できる。以下、同様にして不可逆的ゲル化する。
【0019】両者のうち、前者の「即溶解性グルコマン
ナン組成物」は、これに凝固剤を粉体混合し、さらに所
定量の水を添加攪拌して予めグルコマンナン水和物のゲ
ルにしてから米粒を包着するが、後者の「微粉グルコマ
ンナン組成物」は、凝固剤を既に含んでいるので、その
ままこれに水を添加撹拌してグルコマンナン水和物のゲ
ルにしてから米粒を包着することもできるが、また、こ
れを米粒と粉体混合し、所定量の水を加えてその場で
(in situ)グルコマンナンの水和物ゲルを作成し、こ
れで米粒を包着する。両者は、炊飯物など目的とする米
の加熱調理物の製造量などによって任意に使い分けする
ことができる。もちろん、前記両者以外の形態のグルコ
マンナンであっても、本発明の目的を達成することがで
きるものならば、いずれも、本発明の実施に使用するこ
とができる。以下、グルコマンナンは単にマンナンと記
載することがある。
【0020】さて、本発明は、食物繊維グルコマンナン
の新規活用である。この食物繊維は、食用摂取量を高め
ることで各種現代病の増加を抑えることができ、健康維
持効果に優れる、という専門分野における発表が197
7年以後アメリカを初め世界の先進国で次々と行われ
た。その後、食物繊維の食用摂取量が多いとか少ないと
かという比較が盛んに話題となり今日に至っている。そ
こで、グルコマンナンは、その食用摂取量が他の食物繊
維(例えば、グアガム、サイリウム、海藻など)とは比
較にならない程の優位な特性を有することについて解説
する。
【0021】食物繊維の粗繊維として定量される非消化
性成分は、一般に、その使用分量で多量少量が比較され
る。然しながら、多量使用では食感はもとより、食味に
も悪影響を及ぼすため摂取量を増やすことは不可能とな
る。そのため使用量は主原料の3〜5%が限界である。
これに対し、グルコマンナンは、水溶性食物繊維で、そ
の40倍量にも及ぶ水を包括して不可逆的に凝固する特
性は他の食物繊維性食材には類例がない。
【0022】従って、食物繊維の摂取量に関し、上に言
及のように、これまで一律に乾燥物の重量比(非食物繊
維分(米、麦など)に対する食物繊維分(グアガム、サ
イリウム、海藻など)の比率)を以て多い、少ないとし
たが、マンナンに関する限りではこの重量比は従来のも
のとは極端に異なり、異質の重量比ということができ
る。すなわち、グルコマンナンは1重量部に対し40倍
(40重量部)にも及ぶ水を包括した凝固物(不可逆的
ゲル)とされた後、摂取され適宜に咀嚼された後、腸に
達して老廃物の排泄に役立つ。さらに、食物繊維(湿
物)の摂取量を高める結果、新陳代謝の機能を維持し促
進する。このようにグルコマンナンは生体作用に効果的
必須の食餌であるということができる。
【0023】これまで食餌は満腹するまで食してきた
が、実にその半量近くは未消化のまま糞便として排泄さ
れている。そこで、食物繊維グルコマンナン(の水和物
の不可逆的ゲル)を食餌に同量配合して食用すれば、満
腹感に達するに必要な食餌量は従来の半量程とすること
ができる。すなわち、従来の食餌の食用量が2倍近くに
活用されることになる。このことは今後の食糧不足問題
に燭光をもたらす手段ともなり得ることが期待される。
【0024】以上のように食料としても有用性顕著なグ
ルコマンナンは、サトイモ科の植物であるコンニャク芋
の球茎中に粘液状の粒子として存在する。これを高度な
特殊技術により精製度の高い乾燥した粒子に仕上げ、さ
らにその粒子を液体窒素の低温下で微粉末化し、所定の
調製処置を施したものが、先に引用の「即溶解性グルコ
マンナン組成物」(特許第2619743号)である。
【0025】ここで特に注目すべき点であるマンナン特
有の嫌忌臭について解説する。
【0026】グルコマンナンは、グルコースとマンノー
スが結合した高分子の特殊な複合多糖類で、分子中に側
鎖として存在するアセチル基がアルカリの作用で脱離
し、鎖状のグルコマンナン分子が水素結合によって網目
構造の会合体を生成してゲル化する。このように、グル
コマンナンは、アルカリに接触した瞬間、アセチル基が
離脱する作用で、強力な嫌忌臭(気化臭)が発生する。
この臭の完全除去に至らない時は、食品の副原料として
は不適切である。市販のこんにゃく製品の場合、原料
(こんにゃく精粉)は、水に膨潤するには長い時間を要
し、その後マンナン粒子は膨潤して粒子状態を失い糊状
になる。この時点でアルカリ(凝固剤)を添加し、練り
を加えてこれとの接触を図るのであるが、完全接触は物
理的に不可能であり、さらにこのような練り行為は糊内
部に嫌忌臭を抱えたまま凝固(ゲル化)せしめることに
なる。
【0027】この嫌忌臭は、「即溶解性グルコマンナン
組成物」の場合は適切な水和撹拌により放出されて消滅
するため以後、嫌忌臭は存在しない。これは、「即溶解
性グルコマンナン組成物」が水に接触した瞬間から、撹
拌によってアルカリに接触し、容易に溶解して水和物ゲ
ルを生成するためである。これに対し、通常のコンニャ
ク原料(こんにゃく精粉)は上記のような撹拌時点では
なく、粒子の膨潤後に練り行為によるアルカリの接触を
図る工程のため、嫌忌臭が残留し、副食材としては欠陥
である。
【0028】グルコマンナンの水和物のゲルの作成は、
次のようにして行うことができる。先に説明したよう
に、「即溶解性グルコマンナン組成物」の場合は、凝固
剤と所定量の水を使用することにより、一方、「微粉グ
ルコマンナン組成物」の場合は、これにそのまま、また
はこれを米粒と粉体混合し(前述)、所定量の水を使用
することにより、いずれも、容易に行うことができる。
【0029】本発明によるマンナン水和物のゲルの作成
に際して重要な点は、マンナン1重量部に対し水12〜
50重量部、好ましくは15〜32重量部使用すること
である。水の使用量がこの範囲より少ないとマンナン水
和物の硬化が急速に進み、作業性が不良となり、一方、
多いと結着性に欠け、さらに物性維持にも不都合であ
り、いずれも好ましくない。また、米粒の包着に使用す
るマンナン水和物のゲルの量は、米(粒)1重量部に対
し0.2〜1.3重量部、好ましくは0.4〜1.0重
量部使用することができる。マンナン水和物ゲルの量が
この範囲より少ないと使用目的が達せられず不十分であ
り、一方、多いと食感を損なうなど不良であり、いずれ
も本発明の目的を達成することができない。
【0030】本発明による米の加熱調理に際しては、先
ず、米粒をグルコマンナンの水和物のゲルで包着する。
上に説明したように、グルコマンナンとして、凝固剤が
配合されていない「即溶解性グルコマンナン組成物」を
使用するときは、これに凝固剤を例えば粉体混合し、上
記の条件で水を加え、攪拌してマンナン水和物のゲルと
し(この操作の終了時は、マンナン水和物のゲルの進行
は未だごく初期の段階にある)、これを米粒に加え、攪
拌混合してマンナン水和物のゲルを米粒に万べんなく絡
ませて包着する。また、「微粉グルコマンナン組成物」
を使用するときは、これに予め所定量の水を使用してマ
ンナン水和物のゲルを一旦作成してから米粒にからませ
ることもできるが、また、これを直接米粒と混合した後
で水を加えて攪拌し、その場で(in situ)作成したグ
ルコマンナンの水和物で米粒を包着することもできるこ
とは、先に説明した通りである。
【0031】マンナン水和物のゲルを包着した米粒は、
暫時静置(放置)してゲル化の進行を図る。その時間
は、米粒を包着したマンナン水和物のゲル進行の観点か
ら定められ、例えば約30〜40分とすることができ
る。この際、米粒の炊き上がりに支障の生じない限度の
保温下に撹拌しながら、例えば、50〜80℃程度の温
風を送風して米粒表面の包着物(マンナン水和物)を不
可逆的ゲル化することもできる。
【0032】このようにして、米粒を包着したマンナン
水和物のゲル化が適度に進行したならば、マンナン水和
物ゲル包着米粒を、例えば80〜90℃程度の水中に投
じてマンナン水和物ゲルの不可逆的ゲル化を図る。この
熱水としては、米の炊飯または加熱調理に使用する水そ
のものを使用することができる。例えば、通常の炊飯米
(米飯)の場合は、適当量の水を加熱し、上記の温度に
達したならばこれにマンナン水和物のゲルを包着した米
粒を投入し、そのまま加熱を続行することで炊飯をする
ことができる。不可逆的ゲル化は、上記の温度で5〜6
分間というような短時間で終了し、このような温度およ
び時間では、米粒は殆ど生のままである。もちろん、米
粒を包着したマンナン水和物のゲルの不可逆的ゲル化
が、前記のように、本発明の目的を達成することができ
る程度に進行したならば、必要により、一旦これを熱水
と分離してからスープなどを加えて加熱調理の次の処理
に移すこともできる。
【0033】このようにしてマンナン水和物ゲルの不可
逆的ゲル化が進行した後は、目的とする米の炊飯物また
は加熱調理物に応じて適当な処理により、通常の米飯
(食物繊維包着米飯)、リゾット用米飯(食物繊維包着
リゾット用米飯)、粥、雑炊などを作成する。本発明に
よるときは、材料の米にグルコマンナンの水和物のゲル
を絡め、これを不可逆的ゲル化することを除いては、適
宜従来の調理方法に準じて米の炊飯物または加熱調理物
(以下、炊飯物を含めて加熱調理物(広義)と総称する
ことがある。)を作成することができる。
【0034】また、上のようにして作成した本発明によ
る食物繊維包着米の加熱調理物は、適宜、レトルト処
理、加圧殺菌処理、冷蔵処理、冷凍処理などのライフ延
長処理をしてレトルト食品、冷凍食品などの形態で流通
に置くことができる。
【0035】レトルト食品の形態とするには特別の制限
はなく、常法に準ずることができる。この場合のレトル
トパウチには、平パウチ、スタンディングパウチなどの
いわゆるレトルトパウチのみならず、容器本体(底材)
に内容物を充填し、蓋材を熱シールしたトレー型のもの
も含まれる。現在、このようなトレー型のレトルトパウ
チ入り米飯が多量流通に置かれていることは周知の通り
である。
【0036】白粥その他の具入りの粥(雑炊)のスタン
ディングパウチ入りレトルト食品も多種多量流通に置か
れていることも周知の通りである。しかしながら、米粒
を水中で破壊する粥及び雑炊等では、食味食感を造りた
てと同様に維持し、更に食用の簡便性をも併せて提供す
ることは困難であった。すなわち、水分を多用する米粒
は、粥又は雑炊として食用されるが、炊飯されたコメは
デンプン質が溶け出して糊状になり、食感が好ましくな
くなる。例えば、業務用等の造り置きは、米粒の糊化し
たデンプン質が水中に溶け出して食感にべとつきが生
じ、さらに見かけも不良となる。また、次いで再加熱す
ると糊状が一層進んで食味は著しく低下する。また、例
えば、粥又は雑炊のレトルト食品は、流通に置かれてい
る間に経時的劣化を起こし、これを食するために再加熱
して温めると食味が著しく低下してしまうからである。
【0037】このような問題点を解消するものとして、
本発明者は、先に、粥又は雑炊の米粒が壊れてデンプン
質が溶け出し、どろどろの糊状になって食味劣化する物
性面を、一度炊きの粥又は雑炊そのままに維持する方法
を開発し、経時的に品質の劣化の生ずることのない粥及
び雑炊を提供することに成功した(特開平7−5952
5号公報)。すなわち、粥又は雑炊を造るときに米粒を
グルコマンナンでコートする方法である。より具体的に
は、粥又は雑炊の製造に当たり、米粒が粥又は雑炊とし
て適当な程度に煮えたときに水和物を加えて全体を攪拌
し、必要に応じて水を追加したり、加熱するのである。
このようにして、グルコマンナンの上のような水和物
は、加温により不可逆的弾性ゲルとなり米粒の表面をコ
ートする結果となる。
【0038】この特開平7−59525号公報に開示の
方法と本発明とは、いずれも、グルコマンナン水和物の
不可逆ゲルを活用しているが、活用の仕方が異なる。前
者においては、米粒が加熱により適当な程度に煮えたと
ころでマンナン水和物(のゲル)を加えて不可逆的ゲル
化を図るのに対し、本発明では、生米にマンナン水和物
(のゲル)を絡めてから熱水に投入して不可逆的ゲル化
を図るのであるからである。
【0039】付言すると、(リゾット用)米飯のレトル
ト食品は、例えば、次のようにして作成することができ
る。すなわち、先ず、米粒をグルコマンナンの水和物ゲ
ルで包着し、これを炊飯用の(リゾット用の米飯を目的
とするときは、通常の米飯の作成に使用する量よりは少
量の)沸騰水中へ投入し加熱し、炊飯終点(水が引いた
時点)での蒸しを短縮または廃し、次に炊飯物を別容器
に取りだし送風してかき混ぜながら冷却し、これを気密
性の透明ラミネート袋(レトルト袋)に計取し、レトル
ト処理する。詳述すると、必須工程である炊飯前の米粒
の水浸し時間と炊飯終点での蒸し時間を廃して直ちに送
風して放冷し、次いで所要の袋に計取してレトルト処理
する。このように最終的にレトルト処理を施すことによ
り、炊飯時の蒸し不足および煮不足を補い、且つ望まし
い炊飯物の物性も調整することができる。それには、当
然に、米粒を水洗いした後の水漬けや炊飯末尾の蒸しを
廃し、所定時間の炊飯後はその炊飯物に送風し攪拌しな
がら冷却し、表面付着水の気化を図る。これにより炊飯
物の粘着性が喪失し、容易に所要の気密性袋(レトルト
パウチ)に計取することができる。
【0040】加圧殺菌処理や冷凍処理の方法自体につい
ても特別の制限はなく、適宜常法に準ずることができ
る。
【0041】さて、米の水洗いについては、日本米は炊
飯前に水洗いするが、外国米は水洗い無用(伊太利のリ
ゾット専用米)とするものもあるが、試しに水洗いする
と、日本米と同様に相当の糠が汚れと共に洗い出され、
衛生的にも好ましくない。それで簡単な水洗いの方法を
記述する。
【0042】所要量の米(粒)を、流水で水洗いしなが
らかき回しを約30秒して簡単に水切りし、これを米粒
が通過しない1/5程度の編目袋に入れ、遠心分離機で
30〜60秒脱水すると、見違える程に白色の美麗な粒
になり、脱水後の重量は、除去分(糠などの汚れ)と付
着水が同等(重量)のため殆ど変わらない。この方法に
よる米粒の水洗いは、米の市場提供には不可欠の時代を
迎えている。然して、個食化に対応する少量個装の米製
品として提供することとなる。
【0043】さらに付言すると、日本米(古米含む)お
よび伊太利米(外米の代表として)を使用して本発明の
米飯を製造し、その効果を確認した概要は、次の通りで
ある。
【0044】まず、米粒を流水で水洗いし、次に遠心分
離機で30〜60秒脱水した米粒に、上記のようにして
作成したマンナン水和物(ゲルが殆ど進行していない糊
状物)を、作成後3分以内に添加して絡ませると万べん
なく容易に米粒を包着する。
【0045】次に、米粒にマンナン水和物(のゲル)を
絡ませた後、約30〜40分静置してマンナン水和物の
ゲル化の進行を図り、85℃付近の熱水中に入れてゆっ
くり撹拌すると、マンナン水和物(のゲル)は約2分程
度で米粒を包着した状態で凝固(不可逆的ゲル化)が進
行する。ついで、そのまま加熱を続行した後(この加熱
時間が約30分に及び、さらに蒸しタイムを約5分設け
ると、ホカホカの炊飯米になる。)、別容器に取り出
し、送風しながら放冷し、室温に至った時点で耐圧耐熱
用のラミネート袋(レトルトパウチ)に所定量を計取
し、真空状態に密封してレトルト処理する。この場合、
120〜150g入りの小袋に収容してレトルト処理す
る時は、炊飯時の加熱時間を約7分、蒸し時間約5分程
度に短縮するとよい。
【0046】さて、以上は、米粒をグルコマンナンの水
和ゲルで包着し、これを加熱処理して不可逆的ゲル化し
た後、引き続きこれを炊飯または加熱調理することを想
定しての説明である。
【0047】しかしながら、グルコマンナンの不可逆的
水和ゲルで包着した米(粒)は、このまま、または必要
に応じて、適宜、乾燥処理、加圧殺菌処理、冷蔵処理、
冷凍処理などのライフ延長処理をして流通に置くことの
できることは云うまでもない。
【0048】このようなライフ延長処理の例として、水
和ゲルで包着した米粒は、これを水和ゲルが不可逆的ゲ
ル化を起こす程度の温度の温風により乾燥処理すること
で水和ゲルの不可逆的ゲル化と乾燥を同時に行うことが
できる。
【0049】このようにして得られた食物繊維包着米の
乾燥品はそのまままたは、適宜、レトルト処理、加圧殺
菌処理、冷凍処理などのライフ延長処理をして流通に置
くことができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例をもってさらに説明す
る。
【0051】実施例1(食物繊維包着の米粒) 先ず、網ボールに日本米を300g計取し、流水でかき
混ぜながら30秒水洗いし、これを編み目の袋に入れ、
遠心分離機で30秒脱水して糠などの汚れを除去し、除
去した糠などの汚れと脱水後の付着水が殆ど同重量の水
洗い米を用意した。別に、特許第2619743号公報
実施例3に記載の方法により作成した「即溶解性グルコ
マンナン組成物」16g、デンプン3.5g及び水酸化
カルシウム0.5g(計20g)に対し、28倍量の水
560gを加えて撹拌(約3分)し、580gのマンナ
ン水和物(糊状)を得た。これから120g(米粒の4
0%)を分取し、これを前記水洗い米300gに添加混
練して万遍なく絡ませた後、約30分静置してマンナン
水和物のゲル進行を図り、これを軟性の樹脂ヘラで約1
0分、熱風(約50℃)を送りながらかき回して分離さ
せ、米粒の連結がないマンナン水和物がゲル化した包着
米を収得した。
【0052】このものは既に水洗い済の米粒として仕上
がっているので、炊飯に際しては通常の所定量の水を加
えて市販の炊飯器で簡便炊飯ができるため、低カロリー
米飯として有用性の高いものである。
【0053】実施例2(食物繊維包着米の炊飯) 実施例1の方法による食物繊維包着米300gを炊飯水
(米粒の110%)330gと共に炊飯ジャー「象印炊
飯ジャー(EG10)」を使用して通常の自動炊飯をし
た。炊飯時間約38分に続いて蒸しタイム5分をとり合
計43分後に炊飯器の蓋を開け、炊飯物の状態を確認し
た。
【0054】得られた炊飯物は、630gで、米粒間の
結着がなく、然も通常の炊飯物と変わらない形容を呈し
た。また、従来の炊飯では、炊き上がったらすぐにほぐ
してご飯がかたまったり、べたついたりするのを防ぐ必
要があるがそのような必要は全く不要であった。なお、
この炊飯米は、食物繊維包着分の重量増加からも低カロ
リー(1/3〜1/2)であり、また甘味さえ伴う格段
に美味しいご飯であった。
【0055】実施例3(食物繊維包着米の炊飯物:リゾ
ット用) 実施例1の方法による食物繊維包着米300gおよび炊
飯水330g(包着米の110%)の計630gを前記
「象印炊飯ジャー(EG10)」を使用し所定の急速炊
飯(23分)をした。この炊飯条件では、炊飯時間は5
〜7分の短い時間で終了した(すなわち、水が退い
た)。
【0056】さらにこれに続く通常の蒸しタイムを廃し
(すなわち、蒸し時間をとらずに)、直ちに別容器に取
り出し、送風して冷却し、炊飯物約630gを得た。
【0057】このものは洋風の加熱料理使用にもデンプ
ンが溶出せず、特にリゾット用の炊飯物には、調理時間
が僅か2〜3分程度で終了する好適な物性であった。す
なわち、米粒の中心部は適度に硬く、外部は軟らかいリ
ゾット特有のアルデンテ(aldente)であった。さら
に、該炊飯物は、保冷(7〜10℃)保管(約70時
間)後、リゾット用に加熱調理したが希求に適する好ま
しい物性を確認した。
【0058】なお、リゾット用の米は、食物繊維包着の
米粒に処理すれば、伊太利米、その他の外米、日本米を
問わず使用できる。
【0059】実施例4(粥) 実施例1の方法による食物繊維包着米300gをアルミ
鍋の熱水(85℃)960gに投入し、蓋をして沸騰水
中で約20分間加熱し、その間4回蓋を取って加熱内容
物を木製ヘラでかき混ぜ、粥の状態を観察しながらさら
に10分間同様に加熱して米粒をマンナン水和物のゲル
が包着して不可逆的ゲル化した粥約1,160gを得
た。
【0060】これをスタンド型の耐熱耐圧用ラミネート
袋に(150g×7)充填し、レトルト処理(Fo4)
に付したレトルト粥を得た。
【0061】実施例5(伊太利米の炊飯物:リゾット
用) 先ず、網ボールに伊太利米200g計取し、流水でかき
混ぜながら30秒水洗いし、これを編み目の袋に入れ、
遠心分離機で30秒脱水して糠などの汚れを除去し、除
去した糠などの汚れと脱水後の付着水が殆ど同重量の水
洗い米を用意した。別に、特許第2619743号公報
実施例3に記載の方法により作成した「即溶解性グルコ
マンナン組成物」16g、デンプン3.5g及び水酸化
カルシウム0.5g(計20g)に対し、20倍量の水
400gを加え撹拌(約2分)して420gのマンナン
水和物(糊状)を得た。これから160gを分取し、こ
れを前記水洗いした伊太利米200gに添加混練して万
遍なく絡ませた後、約40分静置してマンナン水和物の
ゲル化の進行を図り、次にこれを予め用意した炊飯器中
の熱水(約80℃)150g(使用原料360g×42
%)に投入してかき回し、米粒を相互分離すると共に米
粒を包着したマンナン水和物のゲルの凝固(不可逆的ゲ
ル化)を図った後、蓋を閉じ炊飯(25分)した。この
炊飯条件では、炊飯用の水が通常の炊飯時の約1/2程
度と少量のため、炊飯時間が5〜7程度で終了した(す
なわち、水が退いた)。
【0062】さらにこれに続く通常の蒸しタイムを廃し
(すなわち、蒸し時間をとらずに)、直ちに別容器に取
り出し、送風して冷却し、使用原料(360g)の約
1.35倍量の炊飯物約490gを得た。これを耐圧耐
熱性のラミネート袋(115mm×145mm×8mm)4袋
に120gずつ充填し(計480g)、真空状態で密封
して得た4袋をレトルト処理(Fo4)して、長期流通
に耐え得る、然もデンプンが溶出しない、洋風料理使用
にも遜色ない、食物繊維包着米粒の炊飯物を収得した
(レトルト食品)。
【0063】このものを、試作後12日目に開封し、市
販のブロード「北イタリヤ風(きのこ&チーズ)」(1
80g入り、ハインツ日本(株)製)と混ぜ合わせ、か
き混ぜながら加熱(約3分)して見かけ上々のリゾット
を簡単に作成することができた。
【0064】前記レトルト食品の米飯は、その米粒は中
心部が適当に硬く(イタリヤ料理のアルデンテ)、リゾ
ットの材料に使用した場合僅か3分の加熱で供卓可能な
簡便性に加えて、美味で好ましい食感の米飯であること
を確認した。
【0065】実施例6(日本米の炊飯物:リゾット用) 実施例5におけると同様に水洗いして得た日本米300
gに、実施例5におけると同様にして得たマンナン水和
物から計取した240gを添加混練して絡ませた後、約
40分静置してマンナン水和物のゲル化の進行を図り、
次いでこれを炊飯器中の熱水(約80℃)400g(使
用原料540g×75%)に投入してかき回し、米粒の
相互分離と米粒を包着したマンナン水和物の凝固(不可
逆的ゲル化)を図った後、急速炊飯(27分)した。
【0066】炊飯器が蒸しタイムとなった時点で炊飯を
中止し、炊飯物は直ちに別容器に取り出し、送風して冷
却し、使用原料の約1.4倍量の米飯約750gを得
た。これを実施例5におけると同様に、ラミネート袋6
袋に1袋当たり120gを充填し、レトルト処理して米
飯のレトルト食品6袋を得た。
【0067】前記レトルト食品の米飯は、その米粒が大
きく膨らみ、みかけも良好で高級感があり、試作後15
日目に開封して取り出し、市販のブロード「地中海風ス
ープ&リゾット、魚介&トマト」(180g入り、ハイ
ンツ日本(株)製)と混ぜ合わせ、かき混ぜながら加熱
(3分)して見かけ上々のリゾットを簡単に作成するこ
とができ、実施例5に記載のように簡便に供卓される美
味で好ましい食感の低カロリーの炊飯物であることを確
認した。
【0068】実施例7(日本米の炊飯物:カレーライス
用) 実施例5におけると同様にして水洗いした日本米300
gを用意した。また、実施例5におけると同様にして、
「即溶解性グルコマンナン組成物」18g、デンプン
1.5g及び水酸化カルシウム0.5g(計20g)に
対し、26倍量の水520gを加えて撹拌(約3分)
し、540gのマンナン水和物のゲルを得た。これから
120g(日本米300g×40%)を計取し、これを
前記水洗日本米300gに添加して万遍なく絡ませた
後、約40分静置してマンナン水和物のゲル化の進行を
図り、次にセラミック電化鍋の沸騰水(約85℃)38
0g(使用原料×90%)に投入してかき回し、米粒の
相互分離と米粒を包着したマンナン水和物の凝固(不可
逆的ゲル化)とを図った後、透明の蓋をし、水分の状態
を観察(途中4回蓋を取り、底部をかき混ぜて焦げつき
を監視)しながら加熱した。約8分後に水が引いた時点
で10分間の蒸しタイムを取った後、炊飯物を別容器に
取り出し、かき混ぜながら送風して表面付着水の気化を
図り放冷して米飯650gを得た。
【0069】以下、実施例5におけると同様にラミネー
ト袋5袋に120gずつを充填し、レトルト処理して食
物繊維包着日本米の炊飯物(低カロリー)を収得した
(レトルト食品)。
【0070】この1袋を試作後20日目に開封して中身
を取り出し、電子レンジで1分30秒加熱し、これに
「中辛ビーフカレー」(江崎グリコ(株)製)210g
をかけて供卓したところ、好ましい食感であった。な
お、試みに、別の1袋を開封して中身を取り出し、これ
をカレーと共にかき混ぜながら約2分加熱したが、マン
ナン水和物が包着してゲル化した低カロリーのこの日本
米炊飯物は、粒形が壊れず好ましい食感を維持してい
た。
【0071】実施例8(粥) 実施例5におけると同様の方法で作成した「即溶解性グ
ルコマンナン組成物」14g、デンプン5.6g及び水
酸化カルシウム0.4g(計20g)を28倍量の水5
60gに少しづつ投入し、ママコの生成を防ぎながら撹
拌(約3分)してマンナン水和物580gを得た。これ
から300gを計取して、日本米を実施例5におけると
同様の方法で水洗いしたもの300gに添加混練して絡
ませた後、約40分静置して米粒を包着したマンナン水
和物のゲル進行を図り、次いでこれをアルミ鍋の熱水
(約85℃)960g(使用原料600g×160%)
に投入してかき回し、米粒の相互分離と米粒を包着した
マンナン水和ゲルの凝固(不可逆的ゲル化)を図った
後、蓋をして沸騰水中で約10分間加熱し、その間途中
で4回蓋を取り加熱物を木製ヘラでかき混ぜ、粥の煮上
がり状態を調べ、さらに10分間同様にして加熱し、米
粒をマンナン水和物のゲルが包着して不可逆的ゲル化し
た粥を、袋の底部に膨らみがあるスタンド型の、耐熱耐
圧用ラミネート袋(スタンディングパウチ)に150g
ずつ充填し(計900g)、これを真空状態で密封して
レトルト処理(Fo4)に付してレトルト食品の粥を得
た。
【0072】このレトルト食品の粥は、塩分や調味料を
一切使用せず試作したもので、丁度7分粥の見かけにも
関わらず、デンプンの溶出もなく、べとつきも全く存在
せず、白色の膨張した米粒が高級感を呈した。
【0073】試作2週間後、このレトルト食品の粥を開
封して二つの椀器に取り出し、電子レンジで1分30秒
加熱して先ず一椀を試食したところ、マンナン水和物の
不可逆的ゲルで包着した米粒は崩壊せずに膨大し、その
食感には、全くべとつきが存在せず、既に市販されてい
るレトルト食品の粥に比較して、なんらの遜色もない、
これまでにない良好な粥であった。
【0074】さらに残りの一椀には、お茶をかけてかき
回し試食したが、米粒の崩壊もなく、デンプンの溶け出
しもない、然も低カロリーの、新規な食物繊維粥を確認
した。
【0075】
【発明の効果】本発明の食物繊維包着米、および食物繊
維水和物を米粒に包着した後炊飯または加熱調理する方
法は、これまでの米の市場形態を新規形態に再形成する
ことになった。すなわち、米は炊飯前の粒状で、その食
用方法には関係なく主として、5kg、10kg、20
kgなどという単位で一般市場に存在するが、時代の変
化と共に個食化が主流となっている今日も、米穀の市場
新規対応は皆無で、唯座視するに等しいのが実状であ
り、また、この米が洋風料理の加熱に適さず、食生活の
欧米化が進む時代に取り残された状態であるところ、本
発明は米の食用多様化へ道筋をつけたからである。すな
わち、調理の簡便化(調理時間2〜3分)による洋風料
理(リゾット)及び個食化が完成した結果、その成果が
ようやく米の新規市場提供への条件を整備した。さらに
付言すれば、米食は、今日も、米を研ぐという水洗いが
食用の前提となっており、そのため多様化への利用応用
さらに開発が阻まれている。本発明の効果が、まず米粒
の水洗い及びその炊飯を不用とする個食化から開眼し
て、米の経済効果が新規に展開することとなった。
【0076】本発明による米飯のレトルト食品を使用す
れば、例えば、従来レストランにおいてリゾットを加熱
調理するのにオーダーを受けてから約20分要したのに
対し、わずか2分程度で済ますことができる。このよう
な短時間でリゾットが調理できることは画期的なこと
で、(伊太利)レストランの経営上、また各種食堂施設
の運用上、裨益するところが極めて大きい。
【0077】また、本発明による米飯のレトルト食品
は、客の好みに応じ得るように、炊飯水の量などの炊飯
条件やレトルト処理条件を変えることにより米飯の食感
の異なる数種類のものを作成準備しておくこともでき
る。こうすることにより、ビーフステーキを客の好みに
より焼加減をレア、ミデイアム、ウエルダンなどとする
ように、またカレーでは辛さを甘口、中辛、辛口、など
とするように、リゾットなどでも、客の好みに応じた食
感のものを提供することができる。
【0078】また、本発明による食物繊維包着の米粒
は、その炊飯において水洗い不要で、従来の炊飯器をそ
のまま使用して簡便炊飯ができる。然も炊飯米の結着が
なく、米特有の蛋白質やデンプンが米粒から流出するこ
となく加熱されるため、糖化して甘味をともなう美味し
い「ごはん」が実現した。
【0079】しかして、健康志向に応える食物繊維包着
の低カロリー炊飯米が提供されるに至った。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】米粒をグルコマンナンの水和ゲルで包着
    し、これを加熱処理して不可逆的ゲル化したことを特徴
    とする食物繊維包着米。
  2. 【請求項2】米粒をグルコマンナンの水和物ゲルで包着
    し、これを予め不可逆的ゲル化した後炊飯または加熱調
    理したことを特徴とする食物繊維包着米の炊飯物または
    加熱調理物。
  3. 【請求項3】米飯、リゾット、または粥もしくは雑炊を
    目的とするものであることを特徴とする請求項1記載の
    食物繊維包着米または請求項2記載の炊飯物もしくは加
    熱調理物。
  4. 【請求項4】適宜、乾燥処理、レトルト処理、加圧殺菌
    処理、冷蔵処理、冷凍処理などのライフ延長処理をした
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の食物
    繊維包着米またはその炊飯物もしくは加熱調理物。
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