【発明の詳細な説明】
コーヒー植物の成熟を制御するための、
精製されたタンパク質、組換えDNA配列、および手順
発明の分野
本出願は、精製されたタンパク質、組換えDNA配列、それらで形質転換した宿
主、およびコーヒー植物の成熟を制御するためのプロセスに関する。より詳細に
は、本出願は、精製されたタンパク質、ならびにコーヒー果実特異的1-アミノ
シクロプロパン-1−カルボン酸(ACC)シンターゼおよびACCオキシダーゼ遺伝子
の発現を抑制するために使用され得る組換えDNA配列に関する。本出願はさらに
、このような配列で形質転換され、それにより成熟に必要なエチレンを合成し得
ないようにされたコーヒー植物に関する。本発明によって形質転換された植物へ
の外来性エチレンの適用は、コーヒー植物における果実の成熟の同時発生および
制御を可能にする。
発明の背景
コーヒーは、Coffea属の植物、一般的には、C.arabica種の焙煎した豆から調
製される。豆はコーヒー植物の種子であり、そして果実(その優れた品質に起因
して最高の価格で売られている最も理想的な成熟果実)を処理することによって
得られる。従来、高品質の「グルメな(gourmet)」コーヒーは手で摘まれた。
このことは、コーヒーの木の果実が均一に成熟せず、従って同じ木に成熟した果
実と未成熟の果実との両方が存在するので必須であった。従来、ほとんどのコー
ヒーが、労働力が豊富でありそして高価ではない世界中の地域で栽培されている
ので、このことは深刻な問題ではなかった。しかしより最近では、豊富で安価な
労働力の不足が、コーヒー産業での減少した生産性の主要な原因となっている。
生産性を増大させるために、世界中のいくつかの地域(例えば、最大のコーヒー
生産国である、ブラジル)では、労働者が、成熟しているかまたは未成熟である
かにかかわらず、枝から全ての果実を迅速に採集するというもぎ取り収穫(stri
p harvesting)に頼っていた。これは、収穫の速度を増大するが、果実のほとん
どが未成熟(緑色)である場合に、最高品質の豆の収量を減少させる。
さらに、均一に成熟しないために、機械収穫の効率は非常に制限されている。
木から成熟した果実(桜色(cherry))を採集するために必要な力は、緑色の果
実を採集するために必要な力と同様である。従って、機械収穫は、緑色と桜色と
を十分に区別せず、そして大量の未成熟の果実が、成熟した果実とともに収穫さ
れる。このことは、成熟した果実の収量を大きく減少させ、そして生産性を制限
する。コーヒー果実の成熟が全ての果実が同時に成熟するように制御され得れば
、手摘みのもぎ取り法および機械収穫の両方ともがよりかなり効率的で、そして
収穫された果実のより高い割合がより高い品質グレードとなる。このことは、コ
ーヒー産業の収益性を増大させる。
多くの他の果実の場合のように(YangおよびHoffman,Ann.Rev.Plant Physi
ol.35:155 (1984))、植物が産生したエチレンは、コーヒーの果実の成熟の最
終段階で重要な役割を果たす。一旦、コーヒーの果実が成熟の特定の段階に達す
ると、それらはエチレンの外因的な適用によって成熟に誘導され得る(Crisosto
,C.H.,P.C.Tausend,M.A.Nagao,L.H.FuchigamiおよびT.H.H.Chen,J.Ha
w. Pac.Agri.3:13-17(1991))。このことは、コーヒーの果実の成熟の最終段
階についてのエチレンの重要性を示す。
エチレンは、S-アデノシルメチオニン(SAM)から二段階の反応で合成される
。第1段階は、ACCシンターゼによる、SAMからの1-アミノシクロプロパン-1-カ
ルボン酸(ACC)の合成である。ほとんどの植物において、この段階が律速段階
である。最終段階はACCのエチレンへの変換であり、これはACCオキシダーゼによ
って触媒される(YangおよびHoffman、前出)。化学的手段(例えば、銀イオン
または二酸化炭素)またはバイオテクノロジーの手段(Oellerら、Science 254:
437(1991))によるエチレンの生合成の阻害は、成熟の最終段階を阻害する。こ
の阻害は、エチレンの適用によって可逆的である。
従って、コーヒー植物の成熟を制御するストラテジーは、エチレンの生合成経
路で特異的な酵素の合成を妨げることである。1つの実施態様において、本発明
は、ACCシンターゼの合成を排除するためのコーヒー植物の遺伝的変更に関す
る;別の実施態様において、ACCオキシダーゼ合成が抑制される。本明細書中で
好ましい実施態様において、これらの酵素の1つまたは両方の合成は、その合成
が抑制される酵素の発現をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)に対してアン
チセンスであるmRNAの転写をコードするDNA配列で、コーヒー植物を形質転換す
ることによって抑制される。同様のストラテジーを使用してトマトの成熟を制御
することを報告した、Oellerら、Science 254:437(1991)を参照のこと。
組換えDNA技術は、多数のACCシンターゼおよびACCオキシダーゼ遺伝子を単離
するために使用されている。しかし、コーヒーのACCシンターゼおよびACCオキシ
ダーゼの遺伝子は、今日まで同定されていないか、または配列決定されていない
。
発明の要旨
本発明は、精製されたタンパク質、その発現をコードするDNA配列、および組
換えDNA分子を提供し、エチレンの合成に必要な酵素の発現を抑制するためのコ
ーヒー植物の形質転換のためにそれらで形質転換された宿主を含む。DAN配列お
よび組換えDNA分子は、それらがコーヒー植物におけるエチレンの生合成経路の
要素である酵素ACCシンターゼまたはACCオキシダーゼの発現をコードする点で特
徴づけられる。
コーヒー植物は、形質転換配列がACCシンターゼおよび/またはACCオキシダー
ゼのmRMAに対してアンチセンスであるそれぞれのRNAの発現をコードするように
挿入された、ACCシンターゼDNA配列および/またはACCオキシダーゼDNA配列を含
むベクターで形質転換される。得られるアンチセンスRNAはmRNA(単数または複
数)に結合し、それによりエチレンの合成経路の1つ以上の酵素をコードするmR
NAを不活化する。記載されるDNA配列はまた、同時抑制を使用してACCシンターゼ
またはACCオキシダーゼの合成をブロックするために使用され得る。いずれかの
事象における結果は、形質転換された植物はエチレンを合成し得ないが、それら
の代謝の他の局面は影響されないことである。
形質転換された植物における成熟は、外因性エチレンによって調節され得る。
全ての植物へのエチレンの適用によって、全ての植物は同時に成熟して、コーヒ
ーの機械収穫をより生産的にする。
図面の簡単な説明
図1は、コーヒー果実が発現するACCシンターゼをコードするcDNAの完全な配
列である。
図2は、図1に示されるcDNA配列から推定される、コーヒー果実のACCシンタ
ーゼのアミノ酸配列である。
図3は、コーヒー果実が発現するACCオキシダーゼをコードするcDNAの配列で
ある。
図4は、図3に示されるcDNA配列から推定される、コーヒー果実のACCオキシ
ダーゼのアミノ酸配列である。
図5は、pKR1ベクター中にアンチセンス方向でコーヒー果実が発現するACCシ
ンターゼをコードするcDNAの一部を含む、pKRCACS-Aベクターを示す。
図6は、pKR1ベクター中にセンス方向でコーヒー果実が発現するACCシンター
ゼをコードするcDNAの一部を含む、pKRCACS-Sベクターを示す。
図7は、pKR1ベクター中にアンチセンス方向でコーヒー果実が発現するACCオ
キシターゼをコードするcDNAの一部を含む、pKRCACO-Aベクターを示す。
図8は、pKR1ベクター中にセンス方向でコーヒー果実が発現するACCオキシタ
ーゼをコードするcDNAの一部を含む、pKRCACO-Sベクターを示す。
発明の詳細な説明
本明細書中に記載される本発明がより十分に理解され得るために、以下の詳細
な説明を示す。説明において、以下の用語が使用される:
ヌクレオチド:糖部分(ペントース)、リン酸、および窒素複素環塩基からな
る、DNAまたはRNAのモノマー単位。塩基は、グリコシド炭素(ペントースの1'炭
素)を介して糖部分に連結し、そして塩基および糖のその組合せが、ヌクレオシ
ドと称される。塩基は、ヌクレオチドを特徴づける。4つのDNA塩基は、アデニン
(「A」)、グアニン(「G」)、シトシン(「C」)、およびチミン(「T」)で
ある。4つのRNA塩基は、A、G、C、およびウラシル(「U」)である。
DNA 配列:隣接したペントースの3'炭素と5'炭素との間のホスホジエステル結
合によって、あるヌクレオチドから他のヌクレオチドへと結合したヌクレオチド
の直線状配列。
コドン:mRNAを通じて、アミノ酸、転写開始シグナル、または転写終結シグナ
ルをコードする、3つのヌクレオチドのDNA配列(トリプレット)。例えば、ヌ
クレオチドのトリプレットTTA、TTG、CTT、CTC、CTA、およびCTGは、アミノ酸ロ
イシン(「Leu」)をコードし、TAG、TAA、およびTGAは、転写終止シグナルであ
り、そしてATGは転写開始シグナルであり、また、アミノ酸メチオニン(「MET」
)をコードする。
ポリペプチド:隣接したアミノ酸のアミノ基とカルボキシ基との間のペプチド
結合によってあるアミノ酸から他のアミノ酸へと結合したアミノ酸の直線状配列
。
ゲノム:細胞またはウイルスの全体のDNA。これは、特に、物質のポリペプチ
ドをコードする構造遺伝子、ならびにプロモーター、転写および翻訳の開始部位
ならびに終結部位を含む。
遺伝子:その鋳型RNAまたはメッセンジャーRNA(「mRNA」)を通じて、特定の
ポリペプチドに特徴的なアミノ酸の配列をコードする、DNA配列。
転写:遺伝子またはDNA配列からmRNAを産生するプロセス。
翻訳:mRNAからポリペプチドを産生するプロセス。
発現:遺伝子配列またはDNA配列によっておこる、ポリペプチドを産生するプ
ロセス。これは、転写と翻訳の組合せである。
プラスミド:プラスミド自身が宿主細胞中で複製されるためのインタクトな「
レプリコン」を含む、非染色体二本鎖DNA配列。プラスミドが単細胞生物内に配
置される場合、その生物の特徴はプラスミドのDNAの結果として、変化または形
質転換され得る。例えば、テトラサイクリン耐性についての遺伝子(TETR)を有
するプラスミドは、以前にテトラサイクリンに感受性の細胞を、テトラサイクリ
ンに耐性である細胞へと形質転換する。プラスミドによって形質転換された細胞
は、「形質転換体」と称される。
ファージまたはバクテリオファージ:タンパク質エンベロープまたはコート(
「キャプシド」)中にキャプシド化されたDNA配列からなる多くの細菌ウイルス
。クローニングビヒクル:宿主細胞中で複製され得、1つまたは少数のエンドヌ
クレアーゼ認識部位によって特徴づけられる、プラスミド、ファージDNA、コス
ミド、または他のDNA配列。その認識部位で、このようなDNA配列は、DNAの本質
的な生物学的機能(例えば、複製)の付帯する欠失、コートタンパク質の産生、
またはプロモーターもしくは結合部位の欠失を伴わずに決定可能な様式において
切除され得、そしてこれは、形質転換された細胞の同定に使用するのに適切なマ
ーカー(例えば、テトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性)を含む。クロ
ーニングビヒクルは、しばしばベクターと称される。
クローニング:生物またはこのような生物に由来あするDNA配列もしくは無性
生殖による配列の集団を得るプロセス。
組換えDNA分子またはハイブリッドDNA‐生きている細胞の外側の端と端に結合
されており、生きている細胞において維持され得る、異なるゲノム由来のDNAの
セグメントからなる分子。
cDNA‐特定のポリペプチドをコードするmRNAに相補的なDNA鎖。
本発明によるコーヒー植物におけるエチレン生合成を制御するための戦略は、
まず、エチレン経路における2つの酵素(ACCシンターゼおよびACCオキシダーゼ
)についての発現をコードする遺伝子の決定に関する。野生型コーヒー植物の、
正常遺伝子に対してアンチセンスである方向に、一方または両方の遺伝子を含む
構築物での形質転換は、それぞれの酵素の合成をブロックすることが予想される
。形質転換配列からの指示のもとで転写されたメッセンジャーRNAは、正常配列
からの指示のもとで転写されたmRNAに結合し、それによって、正常な伝達を不活
化し、そして酵素合成を不可能にする。
コーヒーにおけるACCシンターゼおよびACCオキシダーゼについての発現をコー
ドするDNA配列を単離するために、本発明者らは、生じることが予想されるヌク
レオチド配列を含む合成DNAプローブを有するコーヒー植物から産生されたcDNA
ライブラリーをスクリーニングした。これらの予想された配列は、それぞれの酵
素をコードする遺伝子において生じるヌクレオチド配列、他のクライマクテリッ
ク植物、および他の植物の研究に基づいた。
本発明において、ACCシンターゼまたはACCオキシダーゼをコードする遺伝子に
対応するcDNAは、コーヒー植物胚を形質転換するのに使用される。プラスミドpB
I−121は、形質転換ベクターとして使用される。ACCシンターゼおよびACCオキシ
ダーゼについての発現をコードするDNAに対応する配列は、カリフラワーモザイ
クウイルス35Sプロモーターに結合するプラスミドに逆方向に挿入される。それ
らから転写されたRNAは、それぞれの酵素のアミノ酸配列をコードするmRNAに相
補的である。完全な構造は、細菌宿主中で増幅される。宿主は破壊され、そして
増幅ベクターはコロイド状の金粒子に付着される。付着性のベクターを有する金
粒子は、米国特許第5,107,065号に記載されるような細胞において、高速で粒を
推進することによって、コーヒー植物組織に挿入される。首尾良く形質転換した
若い植物は、抗生物質耐性によって同定される。形質転換植物は、植物を形質転
換するのに使用した遺伝子に依存して、ACCシンターゼまたはACCオキシダーゼを
産生しない。形質転換植物の成熟は、外因性エチレンの適用によって開始される
。
実施例1
コーヒー果実特異的ACCシンターゼcDNAの単離
コーヒーの成熟に関与するACCシンターゼ遺伝子配列を単離するために、cDNA
ライブラリーを、成熟度の異なる段階でのコーヒー果実の果皮および中果皮の組
織の混合物から調製した。このライブラリーを、ライブラリーを構築するのに使
用したのと同じmRNAから作製される第1鎖cDNAから合成されるPCR産物、および
他の生物由来のACCシンターゼ遺伝子に由来するコンセンサス配列に対応する縮
重オリゴヌクレオチドプライマーを使用してスクリーニングした。本実施例は主
に、mRNAの単離、cDNAライブラリーの構築、および適切なcDNAのクローニングに
関与するそれに続く工程を含む。
a)mRNAの単離
全RNAを、コーヒー植物(C.arabica L.cv Guatemalan)のいくつかの異なる
発生段階からの66gの果皮および中果皮組織から、Leviら[Hort Science 27(12):
1316−1318(1992)]の方法を用いて単離した。凍結コーヒー果実の果皮および中
果皮の組織を、少量のドライアイスとともに家庭用コーヒーミル(Salton Model
GC−5;Salton Maxam Housewares Group,Mt.Prospect,IL)で約2分間粉砕す
ることによって粉末化した。粉末化した果実組織を、200μLの200mMトリス[ヒド
ロキシメチル]アミノメタンヒドロクロリド(Tris−HCl)(pH8.5)、1.5%ドデ
シル硫酸ナトリウム(SDS)、300mM LiCl、10mMエチレンジアミンテトラ酢酸二
ナトリウム(Na2EDTA)、1.5%(w:v)デオキシコレートナトリウム、1.5%(v:
v)Nonidet P−40(Sigma Chemical Co.)、0.5mMチオ尿素、1mM アウリントリ
カルボキシル酸(aurintricarboxylic acid)、10mMジチオトレイトール(DTT)
、75mM B−メルカプトエタノール、2%ポリビニルピロリドン(PVP)、および
2%ポリビニルポリピロリドン(PVPP)に添加し、そしてPolytron組織ホモジナ
イザー(Tekmar,Cincinnati,OH)を用いてホモジナイズした。2分間のホモジ
ナイズの後、200μLのクロロホルムを添加し、そしてさらに3分間ホモジナイズ
を続けた。ホモジネートを、250μLの遠心分離ボトル(Nalgene)に移し、そし
て2,500×gで15分間遠心分離した。上部の水相を取り出し、そして12μLの5M N
aClと混合し、2つの遠心分離ボトルに等しく分割し、そして150μLのエタノール
を各ボトルに添加した。混合物を、‐20℃で一晩保存した。RNAを、4,000×gで1
5分間4℃にて遠心分離することによって回収した。RNAを、50μLのTE1(50mM Tr
is−HCL(pH8.0)、10mM Na2EDTA)に溶解し、そして12,000×gで10分間4℃にて
遠心分離することによって、明澄化させた。上清を、新たな遠心分離ボトルに移
し、そして3μLの5M NaClおよび30μLのイソプロパノールを添加した。内容物
を混合し、そして‐20℃で一晩保存した。RNAを、14,000×gで10分間遠心分離す
ることによって回収した。RNAを、20μLの70%氷冷エタノールで洗浄し、そして
上記のように遠心分離することによって回収した。真空下で10分間乾燥させた後
、RNAを、50μLのTE1緩衝液に再懸濁し、そして10μLの12M LiClを添加した。溶
液を、4℃にて48時間インキュベートし、そしてRNAを、14,000×gで10分間の遠
心分離によって回収し、そして30μLのTE1緩衝液に再懸濁した。15μLの5M酢酸
カリウムを添加した後、RNAを0℃にて一晩インキュベートし、14,000×gで10分
間遠心分離することによって回収し、そして50μLのTE1緩衝液に再懸濁した。3
μLの5M NaClおよび110μLの95%エタノールを添加し、RNAを、−20℃にて一晩
インキュベートした。RNAを、14,000×gで10分間遠心分離することによって回収
し、20μLの70%氷冷エタノールで洗浄し、上記のように遠心分離することによ
って
回収し、真空下で10分間乾燥させ、そして600μLのTE1緩衝液に再懸濁した。RNA
を微量遠心分離管に移し、そして14,000rpmで30分間、4℃で、遠心分離した後、
300μLを2つの新たな微小遠心分離管の各々に取り出した。もとの遠心分離した
管を、さらなる300μLのTE1緩衝液でリンスした。18μLの5M NaClおよび636μL
の100%エタノールを、3つの遠心分離管の各々に添加した。反転することによ
って混合した後、管を−20℃にて一晩保存した。RNAを、14,000×gで30分間遠心
分離することによって回収し、そして1μLの70%氷冷エタノールで洗浄した。
上記のように遠心分離および乾燥させた後、RNAを400μLの滅菌水に再懸濁した
。全部で1.04mgの全RNAを得た。
IV(Promega Corporation,Madison,WI)を用いて単離した。2つの単離のすべ
てを、以下のように行った。各単離について、0.48mgの全RNAを、800μLのRNase
を含有しない水に溶解した。65℃にて10分間加熱した後、3μLの50pmol/mLビオ
チン化オリゴ(dT)および20.7μLの20×SSC(1×SSCは150mM NaClおよび15mM
クエン酸ナトリウムを含む)を添加し、そして混合物を、約30分間にわたってゆ
A Isolation System IV中に提供されている)のアリコートを、0.5×SSC中で3回
洗浄し、そして0.1mLの0.5×SSCに再懸濁した。ビオチン化オリゴ(dT)を含むm
RNA溶液を、洗浄したストレプトアビジン常磁性粒子に添加した。室温にて10分
間のインキュベーションの後、捕捉したRNAを含む常磁性粒子を、磁石を用いて
管の側面に捕捉した。
上清を除去し、そして粒子を0.3mLの0.1×SSCで4回洗浄した。mRNAを、200μ
LのRNaseを含まない水中に懸濁することによって、ビオチン化したオリゴ(dT)粒
子から除去した。150μLの水を2つのチューブの各々に連続的に添加することに
よって、さらなる溶出を実施した。溶出画分(550μL)をプールし、そして微量遠
心分離機中で4℃にて30分間、14,000rpmにて遠心分離した。上清を2つの微量
遠心管中に分け、そして3MのNaClの10分の1の容量および600μLのエタノール
の添加後、-20℃にて一晩チューブをインキュベートすることによって、その後
上記のような遠心分離によってmRNAを回収した。mRNAを、1mLの氷冷の70%エタ
ノールで1回洗浄し、乾燥し、そして20μLの滅菌H2O中に再懸濁した。1μLを
1mLの水に添加し、そしてShimadzu UV 160U分光光度計において230nm〜330nmの
スペクトルを得た。約6μgのmRNAを1.04mgの全RNAから回収した。
b)cDNAライブラリーの構築
第一および第二鎖のcDNAを、ZAP-cDNA合成キット(Stratagene,La Jolla,CA)
を用いて合成した。20μLの水中6マイクログラムのmRNAを、65℃にて5分間イ
ンキュベートした。2マイクロリットルのメチル水銀(100mM)を添加し、そして
室温にて10分間、インキュベーションを続けた。4マイクロリットルのβ-メル
カプトエタノール(700mM)を添加し、そしてさらに5分間、インキュベーション
を続けた。変性したmRNAに、5μLの10×第一鎖の緩衝液(キット中に提供され
る)、5μLの100mM DTT、3μLのヌクレオチド混合物(それぞれ10mMのdATP、d
GTP、dTTP、および5-メチル-dCTP)、2μLのリンカー-プライマー(1.4μg/μL)
:
1μLのRNaseブロック、および5μLの水を添加した。反応物を室温にて10分間
インキュベートし、プライマーをmRNAにアニーリングし、次いで3μLのM-MuLV
逆転写酵素(20U/μL)を添加した。5マイクロリットルのこの反応混合物を、0.5
μL(0.625pmole)の800Ci/mmole[α-32P]dATPを含むチューブに移した。両方の反
応物を、37℃にて1時間インキュベートした。放射活性標識した反応物を、その
後のゲル分析のために-20℃にて凍結した。45μLの主要反応物に、40MLの第二鎖
の緩衝液、15μLの100mM DTT、6μLのヌクレオチド混合物(10mMのdATP、dGTP、
dTTP、および26mMのdCTP)、268.3μLの水、および2μL(2.5pmole)の800Ci/mmol
e[α-32P]dATPを添加した。混合後、4.5μLの1U/μL RNase Hおよび19.2μLの5
.2U/μL E.coli DNAポリメラーゼIを添加し、そして反応物を16℃にて2.5時間
インキュベートした。反応物を400μLのフェノール:クロロホルム(1:1)で抽
出した。微量遠心分離における5分間の遠心分離によって相を分離し、そして水
相を除去し、そしてクロロホルムで再抽出した。上記のような遠心分離によって
水相を回収した。
二本鎖cDNAを、33.3μLの3M 酢酸ナトリウム(pH 5.2)および867μLの100%エ
タノールの添加、ならびに-20℃にて一晩のインキュベーションによって沈澱さ
せた。cDNAを、微量遠心分離機中で、4℃にて60分間、14,000×gにての遠心分
離によって回収した。cDNAを、1mLの80%エタノールで洗浄し、微量遠心分離機
中での室温、14,000×gにての遠心分離によって回収し、真空下で乾燥し、そし
て45μLの水中に溶解した。3マイクロリットルの再懸濁した二本鎖cDNAを除去
し、そしてゲル電気泳動によるその後の分析のために-20℃にて貯蔵した。
残存する42MLの二本鎖cDNAに、5μLの10×Klenow緩衝液(緩衝液#3;Stratag
eneによって供給される)、2.5μLの2.5mM ヌクレオチド(dCTP、dGTP、dATP、
およびdTTP)、および0.5μLの5U/μL E.coli DNAポリメラーゼIKlenowフラグ
メントを添加した。37℃にて30分後、50μLの水を添加し、そして反応物を等量
のフェノール:クロロホルム(1:1)、次いで上記のようなクロロホルムで抽出
した。7μLの3M 酢酸ナトリウム(pH 5.2)および226μLの100%エタノールの添
加後、平滑末端二本鎖cDNAを30分間氷上でインキュベートし、そして微量遠心分
離機中で4℃にて60分間、14,000rpmにて遠心分離することによって回収した。c
DNAを300μLの70%エタノールで洗浄し、上記のように遠心分離し、そして乾燥
した。7マイクロリットルの0.4μg/μL EcoRIリンカーを、乾燥したcDNAに添加
した。EcoRIリンカーの構造は以下である:
ボルテックスしてcDNAを再懸濁した後、1μLの10×連結緩衝液、1μLの10mM A
TP、および1μLのT4 DNAリガーゼ(4Weiss U/μL)を添加し、そして反応物を
8℃にて一晩インキュベートした。70℃にて30分間加熱することによって、リガ
ーゼを不活化した。この時点でcDNAに付着しているEcoRIリンカーの5'末端を、
ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化した。1マイクロリットルのZAP-cD
NA合成キット(Stratagene,La Jolla,CA)の10×緩衝液#3、2μLの10mM ATP、
6μLの水、および1μLの10U/μL T4ポリヌクレオチドキナーゼを、連結反応物
に添加した。37℃にて30分後、反応物を70℃にて30分間加熱することによって、
キナーゼ反応を停止した。XhoI「付着末端」を、リンカー-プライマー中のXhoI
部位の消化によって、mRNAの3'末端に対応するcDNAの末端にて生成した。28μL
のXhoI緩衝液および3μLの40U/μL XhoIをcDNAに添加し、そして反応物を、37
℃にて1.5時間インキュベートした。
5'末端でのEcoRI付着末端および3'末端でのXhoI付着末端(元々のmRNAと比較
して)を有するcDNAを、以下のように調製されるSephacryl S-400スピンカラム
を通る通過によってサイズ分画した。5μLの10×STE[100mMのTris(pH 7.0)、
5mMのEDTA、および100mMのNaCl]をcDNAに添加し、そしてcDNAを、Sephacryl S-
400(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を含む1mLシリンジの頂部(top)に適
用した。500μLの微量遠心管をシリンジの底部に置き、そしてカラムを遠心分離
管中に置き、そして約400×gにて2分間遠心分離した。60μLの1×STEをシリン
ジの頂部に添加し、新しい微量遠心管をカラムの底部上に置き、そしてカラムを
再度上記のように遠心分離した。6画分が回収されるまで、このプロセスを繰り
返した。約10%の各画分を1%アガロースゲル上で電気泳動し、各画分中のcDNA
のサイズ分布を決定した。各画分の残りを等容量のフェノール:クロロホルム、
次いで上記のようなクロロホルムで抽出し、そして2容量の100%エタノールの
添加によって沈澱させた。-20℃にての一晩のインキュベーション後、cDNAを、
微量遠心分離機中での、4℃にて60分間、14,000rpmにての遠心分離によって回
収した。各cDNA画分を200NLの80%エタノールで洗浄し、そして上記のように乾
燥した。cDNA画分1を3μLの滅菌水中に再懸濁し、そしてcDNA画分2を10.5μL
の滅菌水中に再懸濁した。0.5μLの2つの画分の各々を使用して、エチジウムブ
ロマイドプレート検出方法を用いてDNAの量を決定した。最も大きなcDNA分子を
含む画分1および2を混合した。12.5mLの混合した画分は、約100ngのcDNAを含
んだ。この画分をSpeed-Vac中で2.5μLに減少し、そして氷上に貯蔵した。cDNA
画分3を10.5μLの滅菌水中に再懸濁し、そしてその後の使用のために-20℃にて
保存した。
画分1および2からの100ngのcDNAを、1μgのUni-ZAPTM(Strategene,La Jo
lla,CA)(EcoRIおよびXhoIで消化したλZAPベクター)中に連結した。画分1
および2のcDNA(2.5μL)を、0.5μLの10×連結緩衝液、0.5μLの10mM ATP、1μ
Lの1μg/μL Uni-Zap XRベクター、および0.5μLの4Weiss U/μL T4 DNAリガ
ーゼに添加した。反応物を8℃にて約44時間インキュベートした。連結反応物の
1
μLのアリコートを、Gigapack II Goldバクテリオファージλパッケージングキ
ット(Stratagene,La Jolla,CA)からの「Freeze-Thaw」抽出物の1アリコート
に添加した。15マイクロリットルのSonic抽出物を添加し、そして内容物を穏や
かに混合した。室温にてパッケージングを実施した。2時間後、500μLのSM緩衝
液および20μLのクロロホルムを各パッケージング反応物に添加し、そして微量
遠心分離機中での短い遠心分離によって細片を除去した。パッケージしたファー
ジを新しい微量遠心管に移動させた。10μLのクロロホルムを添加し、パッケー
ジしたファージを使用するまで4℃にて貯蔵した。この一次ライブラリーの力価
は、0.7×106組換えプラークの存在を示した。
c)一次ライブラリーの増幅
O.D.600にて0.5の密度にまで増殖した600μLのE.coli XL1-Blue MRF’(Strata
gene,La Jolla,CA)、および32.5μLの一次ライブラリーストックを16のチュー
ブの各々に添加した。37℃にて15分間のインキュベーション後、6.0mLの48℃の
上層寒天(5g/LのNaCl、2g/LのMgSO4・7H2O、5g/Lの酵母抽出物、10g/LのNZ
アミン[pH 7.5]、および0.7%アガロース)を各チューブに添加し、そして内容
物を、150×15mmのNZYプレート(5g/LのNaCl、2g/LのMgSO4・7H2O、5g/Lの酵
母抽出物、10g/LのNZアミン[pH 7.5]、および15g/LのDifco寒天)上にプレート
した。プレートを37℃にて一晩インキュベートし、次いで10mLのSM緩衝液で重層
し、そして穏やかに振盪しながら4℃にてさらに8時間インキュベートした。SM
緩衝液を滅菌ピペットで回収し、そして滅菌した250mLの遠心分離ボトル中に貯
蔵した。各プレートを、回収したさらなる10mLのSM緩衝液でリンスし、そして先
のSM緩衝液に添加した。5%の最終濃度までクロロホルムを添加し、そしてファ
ージ溶液を、室温にて15分間インキュベートし、次いで2,000×gにて10分間遠心
分離し、細胞細片を除去した。上清を滅菌したポリプロピレンボトルに回収し、
そしてクロロホルムを0.3%の最終濃度まで添加した。増幅したライブラリーを
4℃で保存した。
d)特定の遺伝子についてのスクリーニングのための増幅したライブラリーのプ
レーティング
増幅したライブラリーを上記のように力価決定した。約50,000の組換えプラー
クを600μLの上記のように増殖したE.coli XL1-Blue MRF'に添加した。37℃にて
15分後、6.5mLの48℃の上層寒天を添加し、そして細胞を150×15mm NZYプレート
上にプレートした。合計200,000の組換えプラークを含む4つのプレートを調製
し、そして37℃にて一晩インキュベートした。次いでプレートを4℃にて4時間
冷却し、次いで以下に記載されるようにプラークリフト(plaque lift)を調製す
るために使用した。
e)コーヒーのACCシンターゼ遺伝子に相同なオリゴヌクレオチドの同定および
構築
米国特許出願第08/485,107号(その明細書は、本明細書中において参考として
援用される)において記載される以前の研究において、本発明者らは、種々の植
物において存在するACCシンターゼについて共通な塩基配列(本明細書中におい
てコンセンサス配列といわれる)を同定した。これらの研究に基づいて、本発明
者らは、コンセンサス配列に対応するコーヒー第一鎖のcDNAの領域のPCR増幅の
ための、一連の3つ(3)の完全に変性したプライマーを開発した。使用されるプ
ライマーの配列は以下である:
f)第一鎖のコーヒーcDNAを得るための逆転写酵素反応
第一鎖のcDNAを得るための逆転写酵素反応を、20μLの最終容量中で、GeneAmp
RNA PCR Core Kit(Perkin Elmer,Foster City,CA)を用いて実施した。最初、
3μLの水中0.9μgのコーヒー果実のmRNAを、微量遠心分離管中1μLの50μMラ
ンダム六量体および6μLの滅菌水と混合し、そして65℃にて5分間インキュベ
ートした。混合物を室温にて2分間放置し、そして液体を短時間の遠心分離によ
ってチューブの底部に回収した。この混合物に、2μLのPCR緩衝液II(上記で言
及したキットから)、4μLの25mM MgCl2、2μLの10mM dNTP、1μLのRNAsin(
20u/μL)、および1μLの逆転写酵素(50u/μL)を添加した。反応物を42℃に
て1時間インキュベートし、その後、逆転写酵素を95℃の水浴中で5分間、熱不
活化した。
g)コーヒーのACCシンターゼ遺伝子を増幅するためのボリメラーゼ連鎖反応
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saikiら,1988)を、上記のGeneAmp Kitを用いて
、10μLの第一鎖のcDNA混合物、4μLのPCR緩衝液II、1μLの25mM MgCl2、2.5
μLの20μM AC5167プライマー(配列番号3)、2.5μLの20μM AC5885プライマ
ー(配列番号5)、29.5μLの滅菌H2O、および0.5μLのTag DNAポリメラーゼ(5
u/μL)を含む50μLの反応物において実施した。PCR条件は、94℃(1分間)、44
℃(1分間)、および72℃(2分間)の35サイクルであった。PCR反応の生成物
を、1.5%SeaPlaqueアガロース(FMC BioProducts,Rockland,ME)およびサイズ
マーカーとしてHae III消化φX174 DNA(Promega Corporation,Madison,WI)を
用いて、アガロースゲル電気泳動によって分析した。約650bpの単一のPCR生成物
を得た。
h)異なるプライマーを用いたPCR生成物の増幅
上記で得られた650bpのフラグメントをゲルから切り取り、そして1.5mLの微量
遠心管中に置いた。200μLの滅菌水の添加後、650bpのフラグメントを90℃まで
5分間加熱し、室温まで冷却し、そして微量遠心分離機中で5分間、14,000rpm
にて遠心分離した。増幅したDNAを含む上清を取り出し、そして新しい1.5mLの微
量遠心管中に置いた。25μLのPCR反応を、鋳型として先に増幅した0.4μLのDNA
、2.5μLの10×PCR緩衝液(10mMのTris-HCl(pH 9.0)、0.1%のtriton X-100)、
2μLの25mM MgCl2、5μLの1mM dNTP、1μLの20μM ACS289プライマー(配列
番号5)、1μLの20μM ACS885プライマー(表2)、12.8μLのH2O、および0.3
μLのTag DNAポリメラーゼ(5u/μL)(Promega Corporation,Madison,WI)を
用いて実施した。PCRを、94℃(1分間)、45℃(1分間)、および72℃(2分
間)の35サイクルを用いて実施した。5μLのこの反応物を、上記のように1.5%
アガロースゲル中で電気泳動した。約603bpの単一の生成物が観察された。8μL
の滅菌水、10μLの3M 酢酸ナトリウム(pH 5.2)、および220μの100%エタノー
ルを、反応物の残りに添加した。-20℃にて一晩のインキュベーション後、4℃
にて30分間、14,000rpmの遠心分離によってDNAを回収した。DNAを、400μLの氷
冷75%エタノールで洗浄し、そして25μLの滅菌水中に再懸濁した。エチジウム
ブロマイドプレートアッセイを用いて、DNA濃度を10ng/μLであると決定した。
i)コーヒー果実特異的ACCシンターゼDNAを標識すること
ランダムプライマー化プローブを、PCR生成ACCシンターゼDNAおよびPrime-a-G
ene Kit(Promega Corporation,Madison,WI)を用いて生成した。2および1.5
μLの25ng DNAを27.5μLの滅菌水に添加し、そしてDNAを5分間煮沸することに
よって変性した。10μLの5×標識化緩衝液、2μLの非標識化dNTP[それぞれ20
μM;dCTP,dGTP,dTTP]、2μLの1mg/mL アセチル化BSA、1μLの5u/μL E.c
oli DNAポリメラーゼIKlenowフラグメント、および5μL(50μCi)の3,000Ci/mm
ole[α-32P]dATP(Dupont-NEN)を添加し、50μLの最終容量を与えた。室温にて1
時間後、2μLの0.5M Na2EDTAの添加および2分間の煮沸によって反応を停止す
る。
j)ACCシンターゼ特異的プローブでの増幅したライブラリーのスクリーニング
それぞれ50,000の組換えクローンを含む4つの150×15mm NZYプレートのプラ
ークリフトを調製した。4つの132mm Magnaナイロン転写メンブレン(Micron Sep
arations,Incorporated,Westborough,MA)を、それらを5×SSC緩衝液で飽和
したクロマトグラフィー用紙上に約10秒間置くことによって湿らせた。メンブレ
ンを、組換えプラークを含むプレート上に5分間置き、除去し、そしてファージ
含有側を上向きにして、0.5MのNaOHおよび1.5MのNaClで飽和したクロマトグラフ
ィー用紙上で2分間インキュベートした。次いで、メンブレンを、0.5Mのtris-H
Cl(pH 8.0)および1.5MのNaClで飽和したクロマトグラフィー用紙上に5分間移す
ことによって中和した。0.2Mのtris-hcl(pH 7.5)を含む2×SCCで飽和したクロ
マトグラフィーシート上での短期の20秒の処置後、フィルターをブロット乾燥し
た。1時間の風乾の後、UV Stratalinker 1800(Stratagene,La Jolla,CA)中
で12,000μジュールの260nm UV光での処置によって、DNAをメンブレンに架橋し
た。
4つのメンブレンを、100mLの6×SSPE(52.2g/LのNaCl、8.3g/LのNaH2PO4・H2
O、2.2g/LのNa2EDTA[pH 7.4])、5×Denhardt溶液(1g/LのFicoll、1g/Lのポ
リビニルピロリドン、1g/LのBSA[ペンタックス画分V])、0.5% SDS、および1
00μg/mLの変性したニシン精子DNAで、65℃にて2時間、Hybaid Mark IIハイ
ブリダイゼーションオーブン(National Labnet Company,Woodbridge,NJ)中で
、HB-OV-BLビンを用いてプレハイブリダイズした。
ハイブリダイゼーションを、10mLの6×SSPE(0.5% SDS、100μg/mLの変性し
たニシン精子DNA、および52μLの上記のランダムプライム化プローブを含む)中
で、65℃にて12時間実施した。ハイブリダイゼーション時間の終わりにて、ハイ
ブリダイゼーション溶液を除去し、そして65℃にて、0.5%SDSを含む100mLの2
×SSCでメンブレンを手短に洗浄した。次いで、再度、65℃の等量の新しい緩衝
液でそれらをさらに30分間洗浄した。メンブレンを、さらに2回、65℃にて30分
間、0.5%SDSを含む100mLの0.2×SSCで洗浄し、セロファン包み中に包み、そし
て-70℃にて24時間、予め感光したFUJi RXGCUX線フィルムに曝露した。10個の
陽性クローンを得た。同定したプラークに対応するもとのプレートの領域を取り
出し、そして20μLのクロロホルムを含む1mLのSM緩衝液中に置いた。これらの1
0個のうち、5個をより低い密度で再プレートし、そして上記のように再スクリ
ーニングして独立したプラークを得た。
k)コーヒー-果実のACCシンターゼcDNAクローンの特徴づけ
推定のコーヒーのACCシンターゼcDNAクローンのサイズを、クローニングベク
ター中に存在し、そしてcDNA挿入部位に隣接するT3およびT7プロモーターの一部
に相同なプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって決定した。プライマ
ーの配列は以下である:
PCRのための条件は、温度サイクルが95℃(1分間)、50℃(1分間)、および7
2℃(2分間)であったことを除いて、上記の通りであった。分析は、上記のよ
うにアガロースゲル電気泳動によった。
3つの最も大きいクローンを、インビボ切り出しによってファージミドとして
回収した。単一のプラークからの200μLのファージストックを、1.0のO.D.600で
の密度まで増殖させた200μLのE.coli XL1-Blue MRF'と混合した。1μLのExAss
ist(Stratagene,La Jolla,CA)ヘルパーファージ(>1×106pfu/μL)を添加
し、そしてチューブを37℃にて15分間インキュベートした。3mLの滅菌LBブロス
を添加し、そしてそれらを37℃にて3時間、振盪しながらインキュベートした。
70℃にて20分間の加熱および1000×gにて15分間の遠心分離後、繊維状ファージ
粒子としてパッケージされた切り出されたpBluescriptファージミドを含む1mL
の上清を、滅菌した1.5mLの微量遠心管に移し、そして4℃にて貯蔵した。ファ
ージミドを、O.D.600にて測定した場合、1の密度に増殖させた200μLのE.coli
Solar細胞(Stratagene,La Jolla,CA)に、25μLのストック溶液を添加すること
によって回収した。37℃にて15分間のインキュベーション後、200μLの細胞混合
物を、50μg/mLのアンピシリンを含む100×15mm NZY寒天プレート上にプレート
した。プレートを37℃にて一晩インキュベートした。個々のコロニーを50μg/mL
のアンピシリンを含む10mLのLBブロス中に採取し、そして37℃の振盪インキュベ
ーター中で一晩増殖させた。細胞を、1.5mLの滅菌微量遠心管中で繰り返しの遠
心分離によって濃縮し、そしてプラスミドDNAを、QIAGENからのプラスミドミニ
キットを用いて精製した。細菌性ペレットを水で洗浄し、そして0.3mLの緩衝液P
1中に再懸濁した。次に、0.3mLのアルカリ溶解緩衝液P2を添加し、穏やかに混合
し、そして室温にて5分未満の間インキュベートした。0.3mLの冷却した緩衝液P
3の添加、およびチューブを6回反転することによる混合後、抽出物を氷上で10
分間インキュベートし、そして微量遠心分離機中で、14,000rpmにて15分間遠心
分離した。上清を除去し、そして予め1mLのQDT緩衝液で平衡化したQIAGEN-チッ
プ20カラムに適用した。抽出物を、重力フローによってカラムの樹脂に入らせた
。一旦フローを停止し、カラムを1mLの緩衝液QCで4回洗浄した。QIAGEN-チッ
プ20カラムを0.8mLの緩衝液QFで洗浄することにより、DNAを溶出し、これを1.5m
Lの微量遠心管中に収集した。0.7容量(560μL)のイソプロパノールの添加によ
って、DNAを沈澱させた。チューブを、すぐに14,000rpmにて30分間遠心分離し、
そして上清を注意深く除去した。DNAを含むペレットを、1mLの氷冷70%エタノ
ールで20回洗浄し、上記のように遠心分離し、そして5分間風乾した。DNAを50
μLの滅菌H2O中に再懸濁した。1つのプラスミド単離体からのDNAの濃度は、蛍
光定量的分析によって0.1μg/μLであった。
反応物の配列決定を、8μLのファージミドDNA(0.8μg)を、4μLのT3またはT
7のいずれかの配列決定プライマー(0.8pmol/μL)と混合することにより実施し
た。自動化DNA配列決定を、University of Hawaii Biotechnology Service Cent
erにて、これらのサンプルに対して実施した。cDNAの5'および3'の両方の末端由
来の約350bpの配列を得た。新しい配列決定プライマーを、以前の配列の末端近
くの配列に基づいて合成し、そして同じ様式で用いてcDNAの両方の鎖の配列を完
成した。コーヒー果実発現ACCシンターゼcDNAの完全な配列を図1に与える。コ
ーヒー果実発現ACCシンターゼの推定アミノ酸配列を図2に与える。
コーヒーのACCシンターゼcDNAクローンおよび推定タンパク質の配列を、GenBa
nkに存在する他のACCシンターゼ遺伝子と比較した。コーヒー果実から単離したc
DNAは、GenBankに存在する他のACCシンターゼに対して、68.3%〜58.1%の同一
性を示す。そして、このcDNAから推定したタンパク質配列は、他のACCシンター
ゼに対して、67.9%〜50.5%の同一性を示す。しかし、このcDNAは、1500bpより
大きな他の配列が、それに対して68.3%より大きな同一性を示さなかったという
点において独特である。
実施例2
コーヒー果実特異的ACCオキシダーゼの単離
a)ACCオキシダーゼ特異的オリゴヌクレオチドプライマーの合成
全RNAの単離、mRNAの単離、およびコーヒー果実特異的cDNAの合成は、上記の
通りであった。
GenBankから得た12のACCオキシダーゼ配列を、GCG(Genetics Computer Group
,Madison,WI)のPileupプログラムを用いて整列した。転写開始コドンからの約
1000bpの領域は、保存的であることが見出され、そしてこの領域に対応する5'-T
CATIGCKKCRAKIGGTTC-3’(配列番号8)を合成した。イノシン(I)を、配列保
存性を示さない位置に置いた。なぜなら、この位置は、A,T,G,またはCの任意
であり得るからである。2倍の多義性を示す位置を、混合した残基(T/GまたはA
/G)で調製した。本発明者らはまた、本発明者らの研究室において以前にクロー
ン化したパパイヤ果実発現ACCオキシダーゼcDNAの領域に対して相同な第2のプ
ライマーを調製し、そして以下の転写開始コドンから約372bpに置いた:
2つのプライマーをPCR反応において使用し、コーヒー果実発現ACCオキシダーゼ
の一部を増幅した。PCRは、0.2μL(10ng)のcDNA画分3(実施例1において記載
される)、5μLの10×PCR緩衝液、3μLのMgCl2(25mM)、1μLの4つのdNTPの
各々(10mM)、1μLの各プライマーの20μM溶液、0.3μLのTaq DNAポリメラーゼ(
promega Corporation,Madison,WI)、および38.5μLの水を含んだ。PCR条件は
、94℃(1分間)、50℃(1分間)、および72℃(1分間)の35サイクルであっ
た。最後のサイクル後、72℃にて5分のインキュベーションを実施した。生成物
の20μLアリコートを、以前に記載のような1.5%アガロースゲル中で電気泳動し
、それは約800bp生成物を示した。DNAをゲルから切り出し、そして1.5mLの微量
遠心管中で200μLの滅菌水と混合した。5分間の煮沸後、2μLを、同じプライ
マーを使用する上記のような50μLのPCR反応における鋳型として使用した。20μ
LのPCR反応を使用する上記のように実施したゲル電気泳動は、単一の800bpの生
成物の存在を示した。残りの30μLのPCR反応物に、20μLのクロロホルムおよび1
00μLの水を添加した。内容物を混合し、そして微量遠心分離機中で、14,000rpm
にて2分間遠心分離した。DNAを含む上方の水相を、きれいな微量遠心管に移し
た。このDNAの一部を、上記のようなランダムプライム化合成によって放射能で
標識した。
b)ランダムプライム化プローブでの増幅したライブラリーのスクリーニング
実施例1において記載される増幅したコーヒー果実cDNAを使用して、上記のよ
うな4つの150×10mm NZYプレートを調製した。クローンのプレハイブリダイゼ
ーション、ハイブリダイゼーション、および回収は、PCRによって得たACCオキシ
ダーゼ配列をプローブとして使用することを除いて、上記の通りであった。
c)コーヒー果実のACCオキシダーゼcDNAクローンの特徴づけ
コーヒーのACCオキシダーゼcDNAクローンのサイズを、実施例1において記載
されるようなT3およびT7プロモーターに対して相同なプライマーを使用するポリ
メラーゼ連鎖反応によって決定した。
最も大きなコーヒーのACCオキシダーゼcDNAクローンの配列を、実施例1に記
載されるように得、そしてGenBankにおいて存在するAccオキシダーゼ遺伝子と比
較した。図3は、コーヒー果実特異的ACCオキシダーゼの配列を与える。図4は
、このタンパク質の推定アミノ酸配列を与える。cDNAは、ACCオキシダーゼをコ
ードすると決定した。なぜなら、それは、GenBankにおいて存在する他のACCシン
ターゼ核酸配列に対して50.4%〜82.5%の同一性であるからである。また、推定
タンパク質配列は、他のACCオキシダーゼに対して32.5%〜86.5%同一性である
。
上記の実施例は、説明の目的のみのためであり、そして本明細書に添付される
請求の範囲において示される本出願の発明の範囲を限定するとしてみなされるべ
きではない。
実施例3
アンチセンスACCシンターゼおよびACCオキシダーゼ転写物の発現のためのベクタ
ーの構築
ACCシンターゼおよびACCオキシダーゼcDNAは、例えばアンチセンス発現または
同時抑制によってコーヒー中のエチレン含量を改変するために使用され得る。ベ
クターpKR1を用いるその使用の一例を記載する。これは単なる一の例に過ぎず、
そして多くの他の植物形質転換ベクターが、ACCシンターゼおよびACCオキシダー
ゼcDNAとの組合せで使用され得る。pKR1を、以下のようにpBI121(Clontech Labo
ratories)の改変によって作製した。
cre部位特異的リコンビナーゼについてlox認識部位を含む2つの38塩基対の合
成配列を、pBI-121のネオマイシンホスホトランスフェラーゼII (NPT II)選択マ
ーカー遺伝子の周りに挿入した。これらのlox部位は、それが植物ゲノム中に組
み込まれた後、構築物からのNPT II遺伝子の除去を可能にするが[DaleおよびOw,
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88: 10558(1991)]、アンチセンス中のACCシンタ
ーゼおよびACCオキシダーゼcDNAの機能に関係はない。
これらの合成オリゴヌクレオチドを、DaleおよびOw(前出)によって定義され
るloxP配列に基づいて合成した。これらのオリゴヌクレオチドの配列は以下であ
る:
loxBは、loxAおよびloxCの両方に相補的な鎖である。loxAおよびloxBがアニー
リングした場合、それらは、HindIII突出に相補的な4-塩基突出を有する二本鎖
分子を形成し、これによって、pBI-121中のNPT II遺伝子に隣接するNOS転写末端
配列の後ろに見出されるもののような、HindIII部位への二本鎖配列の挿入を可
能にする。loxBとloxCのアニーリングは、lox認識部位を含む平滑末端化二本鎖D
NAを生成する。
合成lox部位を、以下のようにpBI-121のNPT II遺伝子の周りに挿入した。pBI-
121を、製造業者によって提供された反応緩衝液中で、37℃にて2時間、Pmel(N
ew England Biolabs,Beverly,MA)で消化した。pBI-121は、NPT II遺伝子の発
現を駆動するNOSプロモーターのすぐ近くに、単一のPmeI部位を有する。合成lox
部位を、等モル量のloxBとloxCを、95℃にて加熱し、室温までゆっくりと冷却す
ることによってアニーリングさせ、そしてPmeI消化したpBI-121中に連結するこ
とによって生成した。30μLの連結反応は、連結緩衝液(New England Biolabs,B
everly,MA)、60nmoleのPmeI-消化したpBI-121、3μLのアニーリングしたloxB/
loxCの1μMストック溶液、4単位のPmeI、および4,000単位の高濃度T4 DNAリガ
ーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)を含んだ。連結は16℃にて一晩であっ
た。1〜4μLの連結反応物を、E.coli XL1-Blue細胞(Stratagene)中で電気穿
孔し、そして50μg-mLのカナマイシン、50μLの20mg/mLのX-gal、および10μLの
100mM IPTGを含むLBプレート上にプレートした。白色コロニーを、新しいLB-カ
ナマイシンマスタープレートに採取した。
lox部位を含むコロニーを、コロニーハイブリダイゼーションによって同定し
た。マスタープレートを、37℃にて4時間増殖し、そしてナイロンメンブレン(M
SI)にブロッティングした。メンブレンを、新しいLB-カナマイシンプレート上に
置き、そして37℃にて一晩増殖させた。メンブレンを、0.5MのNaOH上に10分間浮
遊させ、0.5MのNaClを含む0.5MのTris-HCl(pH 8.0)上に2分間浮遊させることに
より中和し、そして2×SSC中でリンスした。
メンブレンを、20mLの6×SSPE、5×Denhardt溶液、0.5% SDS、および100μ
g/mLの断片化したニシン精子DNA中で、55℃にて3時間プレハイブリダイズした
。
プレハイブリダイゼーション溶液を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、5'
末端にて[32P]で標識した8.4×106cpmのloxCを含む10mLの新しい溶液と置き換え
た。50μLの標識化反応物は、50pmoleのloxC、ポリヌクレオチドキナーゼ反応緩
衝液(Promega)、15μLの3,000Ci/mmolの[-32P]ATP(DuPont-NEN)、および20単
位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Promega)を含んだ。反応物を、37℃にて10分
間インキュベートし、そして生成物をSephadex G-25スピンカラムを用いて、取
り込まれていないATPから分離した。ハイブリダイゼーションは、55℃にて一晩
であった。フィルターを、0.5% SDSを含む100mLの2×SSC中で55℃で2回、0.5
% SDSを含む100mLの1×SSCで55℃で一回洗浄し、そして上記のようにオートラ
ジオグラフにかけた。いくつかのコロニーが激しくハイブリダイズすることを見
出し、そしてさらなる特徴付けのために選択した。プラスミドDNAを、Magic M
ようにPmeIで消化した。lox部位を含むプラスミドは、もはやPmeI部位を有さな
い。PmeIによる消化に耐性であったプラスミドを、University of HaWaii Biote
chnology Service Centerにて自動化DNA配列決定によってさらに分析し、lox部
位の挿入を確認した。
所望の方向にlox部位を含むプラスミドをHindIIIで消化し、HindIII付着末端
を含むが、完全なHindIII制限部位を含まないloxA/loxBヘテロ二重鎖と混合し、
上記のようにアニーリングし、そして連結した。連結反応物は、最終容量30μL
中に、2.5μgのHindIII消化したプラスミド、1.25pmoleのloxA/loxB、連結緩衝
液(Promega)、6単位のT4DNAリガーゼ(Promega)、1.25単位のHindIII(Promega)
を含んだ。反応物を、室温にて1時間インキュベートし、80℃にて10分間加熱し
、そしてエレクトロポレーション(Stratagene)によってE.coli XL1-Blue細胞中
に導入した。ランダムなプラスミドを、上記のようなHindIIIでの消化によるHin
dIII部位の損失についてスクリーニングした。このプラスミド構造(pKRlと命名
する)の最終確認を、上記のようなDNA配列決定によって得た。
pKR1をSacIで消化した。173μLの反応物は、10μのpKR1、マルチコア(multico
re)緩衝液(Promega)、および20単位のSacI(Promega)を含んだ。37℃にて1時間
後、0.7μLのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPの25mMストック、ならびに10単位の
T4 DNAポリメラーゼ(Promega)を添加した。SacI消化生成物を平滑末端化する
この反応物を、15℃にて30分間インキュベートした。75℃にて15分間のインキュ
ベーションによるT4 DNAポリメラーゼの不活化後、24単位のSmaIを添加し、そし
て反応物を、室温にて2時間インキュベートした。反応を、80℃にて15分間の加
熱によって停止した。DNAを、17μLの3M酢酸ナトリウムおよび375μLの100%エ
タノールの添加によって沈澱させた。-70℃にて1時間後、DNAを、微量遠心分離
機中でフルスピードにて、4℃にて20分間の遠心分離によって回収した。DNAを
、70%エタノールで洗浄し、減圧下で乾燥し、そして88μLの水中に溶解した。1
0μLの10×子ウシ腸アルカリホスファターゼ緩衝液(Promega)および20単位の子
ウシ腸アルカリホスファターゼを添加し、そして反応物を、37℃にて2時間イン
キュベートした。反応を、4μLの0.5M EDTAの添加および75℃にて10分間の加熱
によって停止した。サンプルを、等量の水飽和フェノールで、次いで等量のフェ
ノール:クロロホルム(1:1)、および最後にクロロホルムで抽出した。DNAを
、0.1容量の3M酢酸ナトリウムおよび2.5容量の100%エタノールの添加後に、沈
澱によって回収した。
コーヒーACCシンターゼおよびACCオキシダーゼcDNA挿入物を、以下のような制
限酵素を用いて本来のプラスミド、pACS、およびpACOから放出した。10μgのpAC
Sプラスミドを、10μLの10×Multicore緩衝液(Promega)、40単位のSmaIを含む10
0μL中で消化した。25℃にて一晩のインキュベーション後、40単位のBsrSIを添
加し、そして反応を67℃にて継続した。67℃にて2時間後、反応管を氷中で10分
間冷却し、続いて37℃にてインキュベーションした。反応混合物を、1μLの10m
M dNTP(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、1μLの1mg/mLのアセチル化BSA、
および15単位のT4 DNAポリメラーゼ(Promega)で補充した。反応物を、37℃にて
5分間インキュベートし、DNAを平滑末端化した。75℃にて30分間のインキュベ
ー
Lに減少した。消化生成物を、1%のSeaPlaqueアガロースゲル上での電気泳動に
よって分離した。1.6kbのコーヒーACCシンターゼcDNAを、アガロースゲルから切
り出し、そしてcDNA挿入物を、1.12単位のAgarace(Promega)でのアガロースの
消化によって回収した。45℃にて30分間のインキュベーション後、cDNAを、24μ
Lの3M酢酸ナトリウム(pH 5.2)および600μLの95%エタノールを添加することに
よって沈澱させた。エタノール沈澱したcDNAを、室温にて30分間遠心分離し、上
清を廃棄し、そしてペレットを氷冷の70%エタノールで洗浄し、そして上記のよ
うに遠心分離した。ペレットを、100μLの水中に溶解し、そして引き続いてpKR1
ベクター中の平滑末端連結において使用した。
ACCオキシダーゼcDNA挿入物を、pACS cDNAについての上記の同様の様式で調製
した。10μgのpACOプラスミドを、10μLの10×緩衝液C(Promega)、1μLの1mg
/mLのアセチル化BSA、30単位のBali、および30単位のbambooを含む100μL中で消
化した。37℃にて2時間のインキュベーション後、反応混合物に、1μLの10mMd
NTP(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)および15単位のT4 DNAポリメラーゼ(Promeg
a)を補充した。反応物を、37℃にて5分間インキュベートし、平滑末端を生成し
た。75℃にて30分間のインキュベーションによるT4 DNAポリメラーゼの不活化
Plaqueアガロースゲル上での電気泳動によって分離した。1kbのコーヒーACCオ
キシダーゼcDNAを、アガロースゲルから切り出し、そしてcDNA挿入物を、1.12単
位のAgar ace(Promega)でのアガロースの消化によって回収した。アガロースか
らのcDNA挿入物の精製は、ACCシンターゼ挿入物について記載される通りであっ
た。ペレットを、50μLの水中に溶解し、そして引き続いてpKR1ベクター中の平
滑末端連結において使用した。
精製したACCシンターゼおよびACCオキシダーゼ挿入物を、500ngのpKR1ベクタ
ー(平滑末端化およびホスファターゼ化したSamI/SacIフラグメント)および150
ngのACCシンターゼまたはACCオキシダーゼのいずれかの挿入物を、別々の管中で
混合することにより、pKR1ベクター中に連結した。各ベクター/挿入物混合物の
1μLの10×リガーゼ緩衝液(Promega)および1μLのT4 DNAリガーゼ(10単位)
を添加した。内容物を、8℃にて48時間インキュベートした。
1μLの各連結生成物を、40μLのXL-1 Blue細胞(上記で、エレクトロポレー
ションのために調製し、そして-70℃にて貯蔵した)と混合し、そして「Electro
Cell Manipulator 600」(ECM 600,BTX Inc.,CA)を用いて2.35KVにて5m秒間
エレクトロポレートした。エレクトロポレーションの直後、1mLのLB緩衝液を各
チューブに添加し、そして回転振盪機中で、250RPMにて1時間インキュベートし
た。インキュベーション後、細菌を、1400RPMにて2分間の遠心分離によって沈
澱させ、そして容量を100μLに減少させた。50μLの混合物を、40μg/mLのカナ
マイシンを含むLBプレート中にプレートし、そして37℃にて一晩インキュベート
した。カナマイシンプレートにおいて増殖するコロニーを、ACCシンターゼまた
はACCオキシダーゼ挿入物を含むコロニーを同定するためにさらにスクリーニン
グした。個々のクローンを滅菌の爪楊枝(tooth pick)を用いて収集し、そして新
しいLB-カナマイシンプレート上に格子パターンで置いた。各cDNA挿入物(ACCシ
ンターゼおよびACCオキシダーゼ)について3つのプレートが存在した。格子で
一晩の増殖後、細菌を、Magnaナイロンメンブレン(MSI,MA)中にレプリカブロッ
ティングした。メンブレンを、10% SDS中で5分間、0.5MのNaOHおよび1.5MのNa
Clで15分間、0.5MのTris-HClおよび1.5MのNaClで15分間、ならびに2×SSCおよ
び0.2MのTris-HClで5分間、連続的に処置した。メンブレンを、風乾し、そして
80℃にて20分間焼き、そして120,000μジュールのUV照射(Strata Linker UV cr
osslinker 1800,Stratagene,CA)によって架橋した。
メンブレンを、6×SSPE、5×Denhardt溶液、0.5% SDS、および100μg/mLの
ニシン精子DNA中で、65℃にて2時間、プレハイブリダイズした。ACCシンターゼ
およびACCオキシダーゼのためのプローブを、Ready-to-Go DNA標識ビーズ(Pharm
acia)を用いて合成した。50ngの各cDNA挿入物を、45μLの水中での煮沸および氷
中でのクエンチによって変性させた。45μLの変性したDNAを、Ready-to-Go DNA
標識ビーズおよび5μLの[32-P]dCTP(3000Ci/mmol)と混合し、そして37℃にて30
分間インキュベートした。プローブ合成後、チューブを、水中で4分間煮沸し、
そして氷中でクエンチした。プレハイブリダイゼーション緩衝液を廃棄し、そし
て10mLの予め加熱したハイブリダイゼーション緩衝液(6×SSPE,0.5% SDS、
および100μg/mLのニシン精子DNA)を、各ハイブリダイゼーションボトル中に置
き、次いで変性したプローブを添加した。ハイブリダイゼーションを65℃にて一
晩実施した。
メンブレンを、2×SSCおよび0.5% SDSで手短に洗浄した。同じ緩衝液での2
回目の洗浄を30分間実施した。メンブレンを、0.2×SSCおよび0.5×SDSで2回洗
浄した。各洗浄は30分間であった。次いで、メンブレンをオートラジオグラフし
た。ACCシンターゼを有する5つのpKR1クローンおよびACCオキシダーゼを有する
24のクローンを、オートラジオグラムの展開の際に同定した。各クローンにおけ
る遺伝子の方向を、PCR、制限消化、およびベクター/挿入物結合部の配列決定
を使用して同定した。29のクローン(5つのACCシンターゼおよび24のACCオキシ
ダーゼ)の各々からの細菌性コロニーのピンチ(pinch)を、爪楊枝を用いて採取
し、そして20μLの滅菌Milli-Q水中に懸濁した(細胞希釈液)。25μLのPCR反応
物は、2μLの上記の細胞希釈液、0.5μLの各dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPの1
0mMストック、1.5μLの25mM MgCl2、2.5μLの10×緩衝液(Promega)、各1μLの
以下で与えられる3つの20μMプライマー、0.3μLの5単位/μL Taq DNAポリメ
ラーゼ(Promega)、ならびに16.2μLの滅菌Milli-Q水を含んだ。ACCシンターゼク
ローンのために使用されるプライマーは、以下であった:35Sプライマー(5'-CC
A CTA TCC TTC GCA AGA CC-3');ACSR7(5'-TTG CCA TCT TCG ACA AGA CT-3')
;およびACSL4(5'-CTG TTG TCA GCT GTG CTA-3')。同様に、ACCオキシダーゼク
ローンのために使用されるプライマーは、以下であった:35Sプライマー;ACOR4
(5'-GGA CTT CTG AGA TGT TGG AA-3');およびACOL1(5'-TGG TGG AGA GCA AGG A
AT TG-3')。熱サイクル条件は、94℃にて10分;94℃にて1分、50℃にて1分、7
2℃にて1分の35サイクル、および72℃にて5分であった。pKR1/ACCシンターゼ
構築物についてPCR生成物の予想されるサイズは、センス方向について320bp(35S
およびACSR7)、そしてアンチセンス方向について850bp(35SおよびACSL4)であっ
た。同様に、pKR1/ACCオキシダーゼ構築物について予想される生成物は、センス
方向について400bp(35SおよびACOR4)、そしてアンチセンス方向について800bp(3
5SおよびACOL1)であった。ACCシンターゼおよびACCオキシダーゼの両方について
、センスおよびアンチセンス方向でcDNAをそれぞれ有する1つのプラスミドを、
プラスミドとcDNA間の結合部のDNA配列決定によってさらに分析し、方向を確認
した。DNA配列決定を上記のように実施した。アンチセンス方向にACCシンターゼ
遺伝子(pKRCACS-Aと示される)、センス方向にACCシンターゼ(pKRCACS-S)、アン
チセンス方向にACCオキシダーゼ(pKRCACO-A)、およびセンス方向にACCオキシダ
ーゼ(pKRCACO-S)を有するバイナリーベクターを、図1〜4にそれぞれ示し、本
明
細書に添付する。
実施例4
センスおよびアンチセンス方向にACCシンターゼ(pKRCACS-SおよびpKRCACS-A)お
よびACCオキシダーゼ(pKRCACO-SおよびpKRCACO-A)cDNA遺伝子を含む、pKR1プラ
スミドでの、Agrobacteriaのエレクトロポレーション
Agrobacterium株LBA 4404を、単一のコロニーからOD600まで、100mLのYM液体
培地(0.4g/LのYeast抽出物、10g/Lのマンニトール、0.1g/LのNaCl、0.2g/LのMg
SO4・7H2O、0.5g/LのK2HPO4、pH 7.5)中で、回転振盪機中29℃にて48時間増殖
させた。4000×gでの遠心分離によって、6×1011細胞/mLまで濃縮した。エレ
クトロポレーションを「Electro Cell Manipulator 600」(ECM 600,BTX Inc.,
CA)を用いて実施した。200ngのDNAを含むpKRCACS-A、pKRCACO-A、pKRCACS-S、ま
たはpKRCACO-Sのいずれかのプラスミド溶液の3.5μLアリコートを、濃縮した50
μLのAgrobacteria細胞と混合し、予め冷却した2mmギャップキュベット(BTX In
c., CA)に移し、そして2.35kVにての5msパルスを適用した。50μg/mLのカナマ
イシンを含む1mLのYM液体培地を、エレクトロポレートした細胞に添加し、そし
てそれらを250RPMにての29℃振盪機中で1時間回収した。細胞を、4000×gにて
遠心分離し、そして100μLの新しいYM液体培地中に再懸濁した。形質転換した細
菌を、50μg/mLのカナマイシンを補充したYM寒天プレート(15g/LのBacto寒天を
含むYM液体培地)上で選択した。
29℃にて48時間のインキュベーションの後、Agarobacterium形質転換の確認を
、各形質転換からマークした格子上の新しいYM寒天/カナマイシンプレートに10
個のコロニーを採取することによって得た。ACCシンターゼおよびACCオキシダー
ゼ遺伝子挿入物の存在および方向を、内部遺伝子特異的プライマーのうちの1つ
を導く35Sプライマーを用いてPCRによって決定した。少量の各コロニーを、滅菌
した爪楊枝を用いて、20μLの滅菌Milli-Q水に移した。PCR反応を、上記のよう
に、2μLのこれらの細胞懸濁液を鋳型DNAとして使用して実施した。ACCシンタ
ーゼセンス方向については、35SおよびACSR7プライマーを使用し、そして予想さ
れるサイズ(320bp)の生成物を生成した。ACCシンターゼアンチセンスプライマー
35S
およびACSL4は、850bpの予想される生成物を生じた。同様に、ACCオキシダーゼ
センス方向については、35SおよびACOR4プライマーを使用し、そして予想される
サイズ(400bp)の生成物を生成した。ACCオキシダーゼアンチセンスプライマー35
SおよびACOL1は、800bpの予想される生成物を生じた。本発明者らは、コーヒー
の葉組織の形質転換のために、各方向の1つのコロニーを選択した。
実施例5
pKRCACS-S、pKRCACO-S、pKRCACS-A、およびpKRCACO-Aプラスミドを含むAgrobact
eriaを用いたコーヒーの葉組織の感染
傾斜屈性の苗条からの成熟した若いコーヒーの葉を、30%のClorox中で30分間
滅菌し、そして滅菌した蒸留水中で3回リンスした。主脈と縁との間の薄層から
約7mm2の切片を、切り出し、そして109細胞/mLのAgrobacteriumスラリーととも
にMS液体培地(MurashigeおよびSkoog,1962)中に置き、そして3時間同時培養
した。葉組織を、滅菌した紙タオルで乾燥ブロッティングし、そして2.0g/LのPh
ytagelの添加によって凝固させたMS培地上で3日間、残りのAgrobacteriumとと
もに同時培養した。
葉組織を、滅菌紙タオルで再度ブロッティングし、残りのAgrobacteriaを除去し
、次いで500μg/mLのカルベニシリン、および100〜300μg/mLのカナマイシン一
硫酸または10〜20μg/mLのジェネティシン(G418)のいずれかを含むカルス誘導培
地(2,4-Dおよびカイネチンを含むMS培地;SondahlおよびSharp,1977)中に移し
た。暗所中で25℃にて13日間の培養後、初期のカルスが現れ始めた。
実施例6
pKRCACS-S、pKRCACO-S、pKRCACS-A、またはpKRCACO-Aプラスミドを含むコーヒー
の葉のカルス組織の継代培養
抗菌耐性カルスを、300μg/mLのカルベニシリンおよび150〜200μg/mLのカナ
マイシンを含む胚誘導培地MII(基本の塩、半強度MS塩、10mgのチアミンHCl、40
mgのシステインHCl、100mgのミヨ-イノシトール、40gのスクロース、2mgのBA、
1mgのピリドキシン、1mgのニコチン酸、2.0gのフィタゲル、pH 5.65;Yasuda
およびFuJii、1985)を用いて3ヶ月間、1ヶ月ごとに継代培養した。次いで、
これらのカルスを、100μg/mLのカナマイシンを含むMII培地中で30日間、50μg/
mLのカナマイシンを含むMII培地中でさらに30日間継代培養した。体細胞胚は、
この最後の培地中で形成した。体細胞胚は、蛍光下で、増殖レギュレーターを欠
いた発芽培地MIII(基本の塩、完全強度のMS塩、10mgのチアミンHCl、40mgのシ
ステインHCl、100mgのミオ-イノシトール、40gのスクロース、2gのフィタゲル
、pH 5.65;SondahlおよびSharp,1977)上の小植物中で発達した。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),UA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,
CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G
E,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ
,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,
MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R
O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM
,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 ニューペイン,カビ ラー
アメリカ合衆国 ハワイ 96826,ホノル
ル,コロ プレイス 2724