JP2000271355A - 詰め物材 - Google Patents

詰め物材

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JP2000271355A
JP2000271355A JP7951199A JP7951199A JP2000271355A JP 2000271355 A JP2000271355 A JP 2000271355A JP 7951199 A JP7951199 A JP 7951199A JP 7951199 A JP7951199 A JP 7951199A JP 2000271355 A JP2000271355 A JP 2000271355A
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filling material
fibers
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JP7951199A
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Masumi Fujimoto
倍巳 藤本
Tomoshige Sugino
知重 杉野
Noriyoshi Shintaku
知徳 新宅
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】羽毛様の嵩高性、嵩の耐久性、ドレープ性、柔
軟性、ヌメリ感、保温性および吸放湿による使用快適性
を有する詰め物材を提供することができる。 【解決手段】芯材繊維によって編み目構造に形成された
芯材と、該芯材の編み目に編み込まれた毛材繊維とによ
って形成された詰め物材であって、かつ、前記詰め物材
の吸放湿パラメーター△MRが1.2%以上であること
を特徴とする詰め物材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、布団、クッショ
ン、枕、ジャケット、寝袋などに使用する詰め物材に関
するもので、さらに詳しくは、羽毛様の嵩高性、嵩の耐
久性、ドレープ性、柔軟性、ヌメリ感、保温性および吸
放湿による使用快適性を有する詰め物材に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、布団、クッション、枕、ジャケッ
ト、寝袋などに使用する詰め物材としては、木綿、羊
毛、羽毛、ナイロン、ポリエステルなどが使用され、そ
の中でも特に高級品として羽毛がある。また、高級品で
ある羽毛様の風合いを狙って、詰め物の繊度、捲縮、断
面形状などの組合せで改良したものや、例えば、特公昭
52ー28426号公報などに提案されているように、
繊維の表面にシリコーン樹脂を付着させたものがある。
さらに、繊維をゴム毬状にした、いわゆるファイバーボ
ールなどが提案されている。しかし、羽毛の他には嵩高
性、嵩の耐久性、ドレープ性および柔軟性などの特性を
バランスよく有し、かつ吸放湿による使用快適性を有す
る詰め物材はこれまでみられなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、羽毛
様の嵩高性、嵩の耐久性、ドレープ性、柔軟性およびヌ
メリ感をバランスよく有し、かつ吸放湿による使用快適
性を有する詰め物材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の詰め物材は、前
記の課題を解決するために、次の構成を有する。
【0005】すなわち、芯材繊維によって編み目構造に
形成された芯材と、該芯材の編み目に編み込まれた毛材
繊維とによって形成された詰め物材であって、かつ、前
記詰め物材の吸放湿パラメーター△MRが1.2%以上
であることを特徴とする詰め物材である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詰め物材につい
て、図面に示す実施例を参照しつつ詳細に説明する。
【0007】図1、図2および図3は、本発明の詰め物
材の構造の一例を示す概略図である。本発明は、芯材繊
維1によって編み目構造(図1の例では鎖編み組織)に
形成された芯材3と、該芯材3の編み目構造に毛材繊維
2を鎖編み組織内に編み込んで形成したものであり、毛
材繊維2が芯の編み組織内に編み込まれているため、毛
材繊維2の毛材抜けし難いという構造にしたものであ
る。
【0008】芯材繊維1の1編み目列における毛材繊維
2の集団の数は、図1では毛材繊維2がカット形状を呈
するもの1集団、図2では毛材繊維2がカット形状を呈
するもの2集団、また、図3では毛材繊維2がループ形
状を呈するもの1集団と、カット形状を呈するもの1集
団の混在したものの例であるが、特に限定されるもので
はなく、カット形状を呈するもののみで3集団以上、あ
るいは、ループ形状を呈するもの1集団の場合や、ルー
プ形状を呈するもの2集団以上、さらに、ループ形状を
呈するものと、カット形状を呈するものの混在した3集
団以上の毛材繊維をもつ構造であってもよい。これら毛
材繊維2が含まれることにより、詰め物材相互の排除性
を高めて、羽毛様の嵩高性、嵩の耐久性、ドレープ性お
よび柔軟性を付与することができる。
【0009】編み目構造からなる芯材繊維1の長手方向
(編み目の連なる方向)の長さL(図3)は、5〜10
0mmが好ましい。芯材3の長手方向の長さが長くなり
過ぎると、詰め物材相互の絡み合いが生じ易く、ドレー
プ性を損ないやすい。また、あまり短くなると、毛材を
保持する芯材が少なくなって毛材繊維2と芯材繊維1が
分離し易くなるので好ましくない。
【0010】本発明においては、詰め物材が吸湿性を有
する繊維で構成されるか、または吸湿性有する繊維を含
み、詰め物材全体としての吸放湿パラメーター(以下△
MRと記す)が1.2%以上であることが重要である。
ここで吸放湿パラメーター△MRとは、30℃×90%
RHでの吸湿率MR2から20℃×65%RHでの吸湿
率MR1を差し引いた値のことであり、△MR(%)=
MR2−MR1の式によって与えられる。
【0011】この吸放湿パラメーター△MRは、詰め物
材を使用した布団、クッション、枕、ジャケット、寝袋
等を実用した場合の人体発汗を詰め物材で吸湿し、さら
に外部へ放湿することにより快適性を得るためのパラメ
ーターであり、吸放湿パラメーター△MRが大きければ
大きいほど吸放湿能力が高く、使用快適性が良好である
ことを示す。吸放湿パラメーター△MRが1.2%未満
では、詰め物材を使用した商品の実用時快適性が得られ
ない。また、吸放湿パラメーター△MRの上限は詰め物
材の他の品質やコスト面から一般的に30%程度である
ことが好ましい。
【0012】吸湿性を有する繊維としては、木綿、麻、
羊毛、絹等の天然繊維やレーヨン等の再生繊維、アセテ
ート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル等の合成
繊維に吸湿性を付与した改質繊維、またはそれらの繊維
の混用や、それらの繊維と吸湿性を必要量有しない繊
維、例えば、通常のポリエステル繊維、ポリプロピレン
繊維との混用などいずれも好ましい。特に、使用時の発
塵が少なく、水洗いによる風合い、外観変化が少ない点
で、合成繊維に吸湿性を付与した改質繊維が好ましい例
として挙げられる。
【0013】ポリエステル系の改質繊維としては、例え
ば、ポリエーテルエステルアミドXを含む複合繊維また
はブレンド繊維、あるいは親水性化合物を共重合した共
重合ポリエーテルYを含む複合繊維またはブレンド繊維
が挙げられる。
【0014】前者のポリエーテルエステルアミドXとし
ては、同一分子鎖内にエーテル結合、エステル結合およ
びアミド結合をもつブロック共重合体を用いることがで
きる。具体的には、ラクタム、アミノカルボン酸、ジア
ミンとジカルボン酸の塩から選ばれた1種もしくは2種
以上のポリアミド形成性成分(イ)およびジカルボン酸
とポリ(アルキレンオキシド)グリコールからなるポリ
エーテルエステル形成性成分(ロ)を重縮合反応させて
得られるブロック共重合体ポリマを用いることができ
る。本発明に用いられるポリエーテルエステルアミドの
ポリアミド形成性成分(イ)としては、カプロラクタ
ム、エナントラクタム、ドデカノラクタム、ウンデカノ
ラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、11−ア
ミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のω−ア
ミノカルボン酸、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン612等の前駆体であるジアミンージカルボンのナ
イロン塩類があり、これらを1種または2種以上混合し
て用いることができる。好ましいポリアミド形成性成分
(イ)はω−カプロラクタム、ナイロン66塩である。
【0015】一方、ポリエーテルエステルアミドXのソ
フトセグメントを構成するポリエーテルエステル成分
(ロ)としては、炭素数4〜20のジカルボン酸とポリ
(アルキレンオキシド)グリコールとからなるものを用
いることができる。炭素数4〜20のジカルボン酸とし
てはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、
スベリン酸、セバシン酸、ドデカジ酸等の脂肪族ジカル
ボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を使
用でき、1種または2種以上混合して用いることができ
る。好ましいジカルボン酸はアジピン酸、セバシン酸、
ドデカジ酸、テレフタル酸、イソフタル酸である。ま
た、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとしては、
ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3
−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチ
レンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキ
シド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキ
シドまたはテトラヒドロフランとのランダムまたはブロ
ック共重合等を使用することができ、特にポリエチレン
グリコールが好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)グ
リコールの数平均分子量は300〜10000の範囲が
好ましく、より好ましくは500〜4000の範囲であ
る。
【0016】本発明に用いることができるポリエーテル
エステルアミドブロック共重合体は、上記したポリアミ
ド形成性成分(イ)とポリエーテルエステル形成性成分
(ロ)を重縮合することによって得られる。工業的に好
ましい方法としては(イ)および(ロ)を減圧下、加熱
重縮合する方法があるが、その際、高重合度で着色の少
ないポリマを得るためには、例えば、酸化アンチモン、
チタン酸エステル等を重縮合触媒として、またリン酸、
リン酸エステル等を着色防止剤として添加することが好
ましい。ポリエーテルエステルアミド中の(イ)と
(ロ)の重量比は99/1〜5/95の範囲が好まし
く、より好ましくは80/20〜10/90の範囲で有
効に利用することができる。
【0017】本発明に用いることができる吸湿性を有す
るポリエステル系繊維には、ポリアクリル酸ソーダ、ポ
リNビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその共重
合体、ポリメタアクリル酸およびその共重合体、ポリビ
ニルアルコールおよびその共重合体、ポリアクリルアミ
ドおよびその共重合体、架橋ポリエチレンオキサイド系
ポリマなどの吸湿、吸水物質やポリオレフィン、ポリア
ミド等の汎用熱可塑性樹脂が本発明の目的を阻害しない
程度含まれていてもよい。また、酸化チタン、カーボン
ブラック等の顔料のほか各種の抗酸化剤、着色防止剤、
耐光剤、帯電防止剤等が添加されてももちろんよい。
【0018】前記ポリエーテルエステルアミドXは重要
な吸湿性や制電性成分であり、ポリエーテルエステルア
ミドXと通常ポリエステルなどの繊維形成性重合体Zの
X/Zで表される複合比(重量%)は15/85〜50
/50が好ましい。Xが15重量%未満では十分な吸湿
性による使用快適性が得られ難い傾向があり、50重量
%を越えるとコスト高となると同時に、ポリエーテルエ
ステルアミド成分が繊維表面にでて製糸性を低下させる
傾向がある。
【0019】また、本発明に用いることができるポリエ
ステル系繊維を構成する共重合ポリエステルYとして
は、次の構成のものが好ましい。すなわち、共重合ポリ
エステルYは、吸湿性や制電性を付与するために親水性
化合物(α)を共重合しており、かつ、この共重合ポリ
エステル中に、さらに吸湿性を向上させる補助成分とし
て、また、繊維物性を安定させる成分として極性基含有
化合物(β)および/または架橋剤(γ)を含有したも
のが好ましい。
【0020】共重合ポリエステルYの酸成分としては、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジ
カルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバ
シン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を用いることができ
る。特に好ましいのはテレフタル酸である。またグリコ
ール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等を用いることができる。
特に好ましいのはエチレングリコールである。共重合ポ
リエステルに吸湿性や制電性を付与するために親水性化
合物(α)を共重合することが好ましい。極性基含有化
合物(β)および/または架橋剤(γ)は吸湿性をさら
に向上させる補助成分として、また繊維物性を安定させ
る成分として含有させるのが好ましい。共重合ポリエス
テル中の親水性化合物(α)の共重合量は、吸湿性およ
び製糸性の観点から、40〜99重量%が好ましい。さ
らに好ましくは55〜90重量%である。また、親水性
化合物(α)の分子量はポリエステルとの相溶性および
ポリエステル中の分散性の観点から600〜20000
が好ましく、さらに好ましくは1000〜10000で
あり、特に好ましくは2000〜6000である。
【0021】親水性化合物(α)としてはエステル形成
性基を1個以上含有する化合物であれば特に限定されな
いが、代表的な化合物としてポリオキシアルキレン化合
物、ポリオキサゾリン類、ポリアクリルアミドとその誘
導体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(メタ)
アクリル酸およびその塩、ポリヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリビニルアルコールおよびポリビ
ニルピロリドンなどが挙げられる。その中でもポリオキ
シアルキレン化合物が好ましい。ポリオキシアルキレン
化合物としてポリオキシエチレン化合物、ポリオキシプ
ロピレン化合物、ポリオキシテトラメチレン化合物等が
あり、その中でもポリオキシエチレン化合物が好まし
く、特にポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチ
レングリコールの中でも結晶化抑制因子成分を含むポリ
エチレングリコールが好ましい。ここで、も結晶化抑制
因子成分とは分子鎖中あるいは末端に存在し、ポリエチ
レングリコールの繰り返し単位の対称性を乱すような有
機残基をいう。結晶化抑制とは示差走査熱分析(DS
C、昇温条件16℃/分によって求めた融点が同じ分子
量のポリエチレングリコールの融点より低くなることを
いう。具体的な化合物としてポリエチレングリコールの
誘導体を用いることができ、ビスフェノールAやビスフ
ェノールS等にエチレンオキサイドを付加させた化合物
が特に好ましい。これらの化合物は大部分ポリエステル
中に共重合されていることが好ましいが、一部について
はポリマ中に分散した状態で存在していてもよい。
【0022】また、共重合ポリエステル中に含有させる
極性基含有化合物(β)は特に限定されないが、ポリエ
ステル形成性基に有機残基とアミノ基、スルホン基、カ
ルボキシル基、水酸基、アミド基およびホスホン酸基等
の中から選ばれる1つ以上の極性基とからなる化合物が
好ましい。ここで含有とは、ポリエステル中に分散また
は共重合した状態をいうが、特に共重合していることが
好ましい。化合物としては特にスルホン酸塩基を有する
化合物が好ましい。極性基含有化合物を含有させること
でポリマの吸湿性がさらに高まるばかりか、ポリマ中に
水素結合やイオン性相互作用が生じ、繊維とした場合に
経時的な物性の変化が生じ難いという効果がある。
【0023】共重合ポリエステル中の極性基含有化合物
(β)の含有量は、全ポリマを構成する酸成分に対して
0〜50モル%が好ましく、さらに好ましくは2〜30
モル%であり、特に好ましくは2〜15モル%である。
【0024】また、共重合ポリエステル中に含有させる
架橋剤としては共重合ポリエステルと反応し、架橋構造
を形成する化合物であれば特に限定されないが、一般に
は3〜6の有機残基と水素あるいはアセチル基とを有す
る多官能化合物を用いることができる。ここで含有と
は、ポリエステル中に分散することも含むが、共重合に
より架橋構造をとることが好ましい。化合物としてはト
リメリット酸、ピロメリット酸、等の多官能カルボン
酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
ストールのごときポリオールが好ましいが、特に好まし
いのはトリメリット酸である。架橋剤(γ)を含有させ
ることでポリマの吸湿性がさらに高まるばかりか、ポリ
マ中に架橋構造が形成され、繊維とした場合に経時的な
物性の変化が生じ難いという効果がある。
【0025】共重合ポリエステル中の架橋剤の割合は、
全ポリマを構成する酸成分に対して0〜30モル%が好
ましく、さらに好ましくは1〜15モル%であり、特に
好ましくは2〜10モル%である。
【0026】前記の極性基含有化合物(β)と架橋剤
(γ)の少なくともいずれか一方は共重合ポリエステル
中に含有されていることが好ましい。(β)および
(γ)の両者を含むことは特に好ましい。
【0027】本発明に使用することができる共重合ポリ
エステルY中には、本発明の目的を損なわない範囲で酸
化チタン、カーボンブラック等の顔料、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩等の界面活性剤、各種の抗酸化剤、着色
防止剤、耐光剤、帯電防止剤等が添加されていてももち
ろんよい。
【0028】本発明に使用することができる上記ポリエ
ーテルエステルアミドXまたは共重合ポリエステルYを
複合繊維成分あるいはブレンド繊維成分として用いるこ
とは好ましく、これに併用する繊維形成性重合体Zとし
ては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン
66等のポリアミド、また、テレフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸あるいはそれらのエステルを主た
るジカルボン酸成分とし、エチレングリコールもしくは
テトラメチレングリコールを主たるグリコール成分とす
るポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レートあるいはポリエチレン2,6−ナフタレートなど
の線状ポリエステルを用いることが好ましい。このうち
ポリエチレンテレフタレート(通常ポリエステル)が最
も好ましい。
【0029】本発明に使用することができる吸湿性を有
するポリエステル系繊維の形態は、吸湿性成分Xまたは
Yと繊維形成性重合体Zのブレンド型でもよいが、芯部
に吸湿性成分XまたはYを配し、鞘部に繊維形成性重合
体Zを配した芯鞘型複合繊維が好ましい。
【0030】また、吸湿性成分と繊維形成性重合体Zと
の複合比(重量%)は、吸湿性成分がXの場合ブレンド
型および芯鞘型複合繊維ともに、X/Z=15/85〜
50/50の範囲が好ましい。吸湿性成分Xの複合比率
の下限は十分な吸湿性を付与することから決定されれば
よく、複合比率の上限は紡糸性の低下を防止する観点か
ら決定すればよい。
【0031】吸湿性成分Yと繊維形成性重合体Zとの複
合比(重量%)は、ブレンド型の場合Y/Z=3/97
〜80/20、芯鞘型の場合Y/Z=5/95〜90/
10の範囲が好ましい。吸湿性成分Yの複合比率の下限
は十分な吸湿性を付与することから決定されればよく、
複合比率の上限は紡糸性の低下を防止する観点から決定
すればよい。これらのブレンド繊維や複合繊維は通常の
複合紡糸、延伸方法で製造することができる。
【0032】次に、毛材繊維2としては、2種以上の異
なる熱可塑性重合体が接合されてなる複合繊維Aが含ま
れていることが好ましい。2種以上の異なる熱可塑性重
合体の組み合わせとしては、毛材繊維2を構成する単繊
維相互に排除性を与えて嵩高性を向上させる観点から、
熱的あるいは化学的性質が異なり捲縮を発現するものが
好ましく、単繊維相互の排除性の観点から捲縮数は3〜
10山/25mm、捲縮度は5〜30%の範囲発現する
ものが好ましい。
【0033】複合繊維Aを構成する2種以上の異なる熱
可塑性重合体の組み合わせとしては、本発明の用途商品
の製造が容易な熱水または乾熱処理で収縮差が発揮さ
れ、3次元構造の捲縮を発現するものが好ましい。熱可
塑性重合体の一つR1成分としては、例えば、4−又は
5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスル
ホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホ2,6−ナフタ
レンジカルボン酸等の金属スルホネート基を有する芳香
族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピ
ン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を共重合し
たポリアルキレンテレフタレート、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等
のグリコールを共重合したポリアルキレンテレフタレー
ト、ペンタエリスリトール等のポリオールを共重合した
ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等のポリアルキレングリコールを共重合したポ
リアルキレンテレフタレート、ヒドロキシ安息香酸等の
オキシ酸を共重合したポリアルキレンテレフタレート
等、種々のポリエステルを挙げることができる。これら
の共重合成分による変性率は15モル%以下であること
が好ましい。上記のなかでも、好ましく用いられるの
は、エチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とす
る共重合ポリエステルである。さらに好ましいのは、共
重合成分として、イソフタル酸、フタル酸、オキシ安息
香酸、ビスフェノールA等を用いたポリエチレンテレフ
タレート系共重合ポリエステルである。
【0034】他の熱可塑性重合体R2としては、前記の
熱可塑性重合体R1との組み合わせにより十分な捲縮を
繊維に付与せしめるものであれば特に限定されない。特
に潜在捲縮を繊維に付与せしめるものであればより好ま
しい。熱可塑性重合体R2成分としては、例えば、テレ
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸あるいはそ
れらのエステルを主たるジカルボン酸成分とし、エチレ
ングリコールもしくはテトラメチレングリコールを主た
るグリコール成分とするポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、あるいはポリエチレン
2,6−ナフタレート等のポリエステルを挙げることが
できる。なかでも、好ましく用いられるのは、エチレン
テレフタレートである。
【0035】熱可塑性重合体R1と熱可塑性重合体R2
の組み合わせは、十分な捲縮を繊維に付与せしめるもの
であれば特に限定されないが、ポリエステル同士の組み
合わせが好ましい。
【0036】複合繊維Aにおける熱可塑性重合体R1と
熱可塑性重合体R2の重量比はR1/R2は、好ましく
は10/90〜90/10、さらに好ましくは40/6
0〜60/40である。R1またはR2のいずれかが1
0重量%未満になると、捲縮発現能力が低下し、毛材繊
維2を構成する単繊維相互に排除性を与えて嵩高性を向
上させる効果が低下する傾向にある。
【0037】複合繊維Aにおける熱可塑性重合体R1と
熱可塑性重合体R2の複合状態は、例えば、図4のよう
に円形断面でサイドバイサイド型複合、図5のように円
形断面で扁芯芯鞘型複合あるいは図6のように扁平断面
でサイドバイサイド型複合等が挙げられ、捲縮を繊維に
付与せしめるものであれば特に限定されない。このよう
な複合繊維Aは、例えば、熱可塑性重合体を紡糸する際
に、紡糸口金の孔の形を円形状あるいは扁平状にした複
合口金を使用し、通常の複合紡糸、延伸することによっ
て製造することができる。
【0038】本発明においては、少なくとも毛材繊維2
に複合繊維Aを含むのが好ましいが、他の繊維との混用
も好ましい。他の繊維としては、通常の円形断面繊維、
3〜8葉断面あるいは扁平断面繊維等も好ましい例であ
るり、凹部を有するS形状断面(当然のことであるがS
形状断面は繊維の長さ方向の見る方向によってZ形状断
面になるが、以下S形状断面と称す)繊維、またはH形
状断面(扁平度によってはI形状断面に近いものも含め
てH形状断面と称す)繊維がより好ましい。図7および
図9は、本発明の毛材繊維として好ましい凹部を有する
S形状またはH形状断面繊維の断面の一例を示す説明図
である。この凹部を有するS形状またはH形状断面繊維
は、複合繊維Aと混用されて詰め物材相互排除性をより
高めて嵩高性を向上させると同時に、柔軟性およびドレ
ープ性を向上させる効果がある。この観点から、毛材繊
維に含まれるS形状またはH形状断面繊維の割合は20
〜80重量%が好ましい。
【0039】本発明において、毛材繊維2に凹部を有す
るS形状またはH形状断面繊維を混用する場合、S形状
またはH形状断面の縦方向の長さaと横方向の長さbと
の比a/bが0.2〜4.5の範囲であることが好まし
い。縦/横の長さ比a/bが0.2未満では、扁平度が
高くなって嵩高性、嵩の耐久性および圧縮に対する反発
性が低下することがある。また、S形状またはH形状断
面の縦/横の長さ比a/bが4.5越えても扁平度が高
くなって嵩高性、嵩の耐久性および圧縮に対する反発性
が低下することがある。
【0040】ここで、S形状断面の縦方向の長さaと横
方向の長さbとは、図7で示すように、まず接線L1、
L2を引き、接線L1に垂直でS形状断面に接する線M
1、M2を引いて、接線L1と接線M1、M2の交点間
の距離を縦方向の長さaとし、接線M1と接線L1、L
2の交点間の距離を横方向の長さbとする。接線L1と
L2が平行にならない場合は、図8に示すように、まず
接線L3、L4を引き、接線L3に垂直でS形状断面に
接する接線M3、M4を引いて、接線L3と接線M3、
M4の交点間の距離をa1と接線L4と接線M3、M4
の交点間の距離をa2を求めてその平均値、すなわち
(a1+a2)/2を縦方向の長さaとし、接線M3と
接線L3、L4の交点間の距離をb1と接線M4と接線
L3、L4の交点間の距離をb2を求めてその平均値、
すなわち(b1+b2)/2を横方向の長さbとする。
【0041】また、H形状断面は、図9で具体的に説明
すると、H形状の両側に位置して上下方向にのびている
部分(以下「足」と称する)と、その二つの足を結ぶよ
うに水平線(左右)方向にのびている連結部分とから形
成されてH型をなす断面形状である。その縦方向の長さ
aとは、図9で示すように、両足の上端を結ぶ接線と下
端を結ぶ接線間の距離であり、横方向の長さbとは、図
9で示すように、両足の外側面の接線間の距離をいう。
一つの足の外側面に接する接線L1と他の足の外側面に
接する接線L2が平行にならない場合や、両足の長さが
異なる場合には、図10に示す各交点から求めるものと
する。すなわち、左足の長さとして、左足上端に接する
水平線M1と左足の下端に接する水平線M2との距離a
1を求め、右足の長さとして、右足の上端に接する水平
線M3と右足の下端に接する水平線M4との距離a2を
求めて、それらの平均値(a1+a2)/2の値を縦方
向の長さaとする。また、図10に示すように、両足の
外側面に接する接線L1、L2を描き、接線L1と左足
の上端に接する水平線M1との交点O、接線L1と左の
足下端に接する水平線M2との交点P、接線L2と右足
の上端に接する水平線M3との交点Q、接線L2と左の
足下端に接する水平線M4との交点Rを求める。次に、
交点Oと交点Qをそれぞれ通過する垂線間の距離をb1
と、交点Pと交点Rをそれぞれ通過する垂線間の距離を
b2とを求め、それらの平均値(b1+b2)/2の値
を横方向の長さbとする。
【0042】本発明において、毛材繊維2に混用する繊
維として、中空部を有する9字形状断面(当然のことで
あるが9字形状断面は、繊維の長さ方向の見る方向によ
って6字形状断面や逆9字形状あるいは逆6字形状断面
になるが、以下9字形状断面と称す)繊維、あるいは中
空部を有する8字形状断面繊維を用いることも好ましい
例である。
【0043】図11および図13は、本発明の毛材繊維
2に混用される繊維として好ましい中空部を有する9字
形状あるいは8字形状断面繊維の断面の一例を示す説明
図である。この9字形状あるいは8字形状断面繊維は、
複合繊維Aと混用されて中空部による保温性向上効果
と、詰め物材の相互排除性をより高めて嵩高性を向上さ
せると同時に、柔軟性およびドレープ性を向上させる効
果がある。この観点から、毛材繊維に含まれる9字形状
あるいは8字形状断面繊維の割合は20〜80重量%が
好ましい。
【0044】本発明において、毛材繊維2に中空部を有
する9字形状または8字形状断面繊維を混用する場合、
9字形状または8字形状断面の縦方向の長さaと横方向
の長さbとの比a/bが0.2〜4.5の範囲であるこ
とが好ましい。縦/横の長さ比a/bが0.2未満で
は、扁平度が高くなって嵩高性、嵩の耐久性および圧縮
に対する反発性が低下することがある。また、9字形状
または8字形状断面の縦/横の長さ比a/bが4.5越
えても扁平度が高くなって嵩高性、嵩の耐久性および圧
縮に対する反発性が低下することがある。
【0045】ここで、9字形状または8字形状断面の縦
方向の長さaと横方向の長さbとは、図11および図1
3で示すように、まず接線L1、L2を引き、接線L1
に垂直で9字形状あるいは8字形状断面に接する接線M
1、M2を引いて、接線L1と接線M1、M2の交点間
の距離を縦方向の長さaとし、接線M1と接線L1、L
2の交点間の距離を横方向の長さbとする。接線L1と
L2が平行にならない場合は、図3および図5に示すよ
うに、まず接線L3、L4を引き、接線L3に垂直で9
字形状あるいは8字形状断面に接する線M3、M4を引
いて、接線L3と接線M3、M4の交点間の距離a1と
接線L4と接線M3、M4の交点間の距離a2を求めて
その平均値、すなわち、(a1+a2)/2を縦方向の
長さaとし、接線M3と接線L3、L4の交点間の距離
b1と接線M4と接線L3、L4の交点間の距離b2を
求めてその平均値、すなわち、(b1+b2)/2を横
方向の長さbとする。
【0046】なお、凹部を有するS形状あるいはH形状
断面繊維や中空部を有する9字形状あるいは8字形状断
面繊維の縦/横の長さ比a/bは毛材繊維の電子顕微鏡
断面写真(倍率は1000倍)をとり、その写真から
a、bの長さを測定して、断面20個所の平均値を求め
たものである。
【0047】凹部を有するS形状あるいはH形状断面繊
維や中空部を有する9字形状あるいは8字形状断面繊維
は、例えば、熱可塑性重合体を紡糸する際に、紡糸口金
の孔の型をS字状、H字状、9字状あるいは8字状にし
た口金を使用し、紡糸、延伸することによって製造する
ことができる。
【0048】毛材繊維2の突出長さ(詰め物材をガラス
板とガラス板の間にはさみ、芯材との接触部分を基準に
して芯材から突出する毛材のループの先端までの距離H
を10ループ求め、その平均値とする。または、カット
形状を呈する毛材の場合は、芯材との接触部分を基準に
して芯材から突出する毛材の先端までの繊維の長さであ
り、1個の立毛の毛材を構成する単繊維の最短突出長さ
と最長突出長さとの平均値を求め、10個の立毛の平均
値とする)は、5〜50mmが好ましい。毛材繊維2の
長さが長くなり過ぎると、詰め物材相互の絡み合いが生
じ易く、ドレープ性や嵩の耐久性を損ないやすい。ま
た、短くなり過ぎると、毛材繊維2が短すぎて嵩高性を
損ないやすい。
【0049】毛材繊維2の単繊維繊度は、3デニール以
下であることが好ましい。単繊維繊度があまり太くなり
過ぎると、羽毛様のソフトで柔軟な風合いが得にくくな
る。単繊維繊度の下限は特にないが、詰め物相互の排除
性や圧縮に対する反発性の観点から、0.4デニール以
上であることが好ましい。
【0050】ここで、毛材繊維2の繊度は、毛材繊維の
比重ρをJIS L 1030 8.2の方法に準じて
測定し、さらに、毛材繊維の断面顕微鏡拡大写真を撮
り、断面積Scm2 を求めて、次式により毛材繊維の繊
度dを求めたものである。
【0051】d=900000×ρS 羽毛様のソフトでヌメリ感のある柔軟な風合いを得るた
めには、少なくとも毛材繊維2の繊維表面にジメチルポ
リシロキサンを主成分とするシリコーン樹脂が付着して
いることが好ましい。毛材繊維2の繊維表面にシリコー
ン樹脂が付着していると、前記ソフトでヌメリ感のある
柔軟な風合いに加えて、毛材繊維相互の絡み合いによる
嵩の耐久性を損ない難く、圧縮に対する反発性を向上さ
せる効果がある。ジメチルポリシロキサンの付着量は、
0.1〜2%owfであることが好ましい。0.1%o
wf未満では、風合い、嵩の耐久性あるいは反発性を向
上させる効果が少なくなることがあり、2%owfを越
えると、風合い、嵩の耐久性あるいは反発性を向上させ
る効果は高くなるが、コストも高くなり、経済的に不利
である。
【0052】次に、本発明の詰め物材の毛材繊維2に混
用される複合繊維A以外の繊維は、捲縮が無くてもよい
が、複合繊維Aと相互に排除性を阻害しない程度の捲縮
があってもよい。
【0053】また、芯材繊維1についても、嵩高性、嵩
の耐久性、ドレープ性および柔軟性を向上させる観点か
ら、前記複合繊維Aや扁平断面繊維あるいは、凹部を有
するS形状あるいはH形状断面繊維や中空部を有する9
字形状あるいは8字形状断面繊維を含むことが好まし
い。
【0054】本発明の詰め物材の毛材繊維2を抜け難い
構造にする観点から、芯材あるいは毛材に、芯材や毛材
の主構成繊維に比べて融点の低い繊維を混用し、芯材と
毛材が溶融接着している構造も好ましい。融点の低い繊
維としては、例えば、芯材繊維1や毛材繊維2に比べて
融点の低い熱可塑性重合体R3成分を鞘部とし、熱可塑
性重合体R3成分に比べて融点の高い熱可塑性重合体R
4成分を芯部とする芯鞘型の複合繊維が特に好ましい。
熱可塑性重合体Rとしては、例えば、ポリエステル系の
場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピ
レン共重合体、エチレンブテン共重合体、エチレン酢酸
ビニル共重合体等のポリオレフィンあるいはオレフィン
共重合体、ポリヘキサメチレンテレフ3成分タレート、
ポリヘキサメチレンブチレンテレフタレート、ポリヘキ
サメチレンテレフタレートイソフタレート等のポリエス
テルあるいは共重合ポリエステル等の熱可塑性ポリマか
ら選ばれる、少なくとも一種類のポリマを用いることが
できる。熱可塑性重合体R4成分は特に限定されない
が、例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸あるいはそれらのエステルを主たるジカルボン酸
成分とし、エチレングリコールもしくはテトラメチレン
グリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、あるい
はポリエチレン2,6−ナフタレート等のポリエステル
を用い得る。また、ナイロン系の場合、例えば、熱可塑
性重合体R4成分がナイロン6で熱可塑性重合体R3成
分がナイロン6にナイロン66を共重合して融点を低く
したもの等も使用可能である。このような複合繊維は、
通常の複合紡糸法によって製造することができる。
【0055】さらに、本発明の詰め物材の毛材繊維2を
抜け難い構造にする観点から、芯材繊維あるいは毛材繊
維を高収縮繊維、特に、芯材繊維を高収縮繊維とし、詰
め物材編成後熱処理して収縮せしめ、編み目を締めるこ
とも好ましい。これらの観点から、また詰め物材の発塵
を少なくする観点からも詰め物材全体がポリエステル系
繊維からなるものは好ましい例である。
【0056】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。なを、本発明において、吸放湿パラメーター△
MRは次の方法で測定した。 (1)吸放湿パラメーター△MR 繊維詰め物材50グラムを2個用意し、60℃の熱風乾
燥機で6時間乾燥した後の重さW0を測定した後、20
℃×65%RHの恒温恒湿機で24時間調湿後の重さW
1および30℃×90%RHの恒温恒湿機で24時間調
湿後の重さW2を測定して、20℃×65%RHでの吸
湿率MR1および30℃×90%RHでの吸湿率MR2
をそれぞれ次式で計算し、これらを使用して次式の△M
Rの計算式により、吸放湿パラメーター△MR(2個の
平均)を求めた。
【0057】 MR1=[(W1−W0)/W0]×100 MR2=[(W2−W0)/W0]×100 △MR=[(W2−W1)/W0]×100 [実施例1]芯材繊維1としては、イソフタル酸を7モ
ル%とビスフェノールAを4.5モル%とを共重合した
極限粘度が0.65、融点が214℃であるポリエチレ
ンテレフタレート系ポリエステル(酸化チタンを0.1
重量%含有)を用いて溶融紡糸、延伸して得られた75
デニール24フィラメントの中空円形断面糸(中空率2
4%)を使用した。また、毛材繊維2としては、まず、
ε−カプロラクタム340部、テレフタル酸18部、数
平均分子量が1000のポリエチレングリコール100
部、さらにイルガノックス1330(チバガイギー社
製)0.1部およびトリメチルフォスフェート0.01
部とともに重合反応容器に仕込み、窒素気流下に240
℃で1時間加熱撹拌した後、三酸化アンチモン0.1部
を添加し、昇温減圧プログラム下250℃、0.5mm
Hg以下の条件で4時間重合反応を行うことにより、ナ
イロン6成分の割合が45重量%であるポリエーテルエ
ステルアミドブロック共重合体Xを製造した。このポリ
マ単独の30℃×90%RHでの吸湿率は15.2%で
あった。次いで、上記ポリエーテルエステルアミドブロ
ック共重合体Xを芯部とし、通常のポリエステルZを鞘
部にし、芯鞘複合比(重量%)=30/70として複合
紡糸、延伸して150デニール、72フィラメントの円
形断面芯鞘複合糸を製造し(この円形断面芯鞘複合糸の
30℃×90%RHでの吸湿率は4.5%であった)、
この糸3本引き揃えて60回/mのS撚りを入れた糸を
使用した。
【0058】前記芯材繊維1および毛材繊維2を、一部
針抜きしたラッセル編機の地糸筬には芯材繊維1を通
し、鎖編み組織を構成させ、振り糸筬には毛材繊維2を
通して編み地を編成しながら、隣り合う鎖編みの間の振
り糸の中央を切断して、鎖編みに振り糸がついた毛羽糸
状で紐状の編み地とした。さらに、前記毛羽糸状で紐状
の編み地の振り糸と次の振り糸の中央の鎖編み部を切断
して、図2のような詰め物体とした後、前記詰め物体を
160℃の熱風乾燥機で5分間処理して詰め物材を得
た。
【0059】得られた詰め物材は、芯材繊維1の長手方
向の長さが14mm、カット状の毛材繊維2の突出長さ
が平均14mmで、毛材繊維2が芯材繊維1から抜け難
く、詰め物材相互の排除性が高く嵩高なものであり、触
感は非常にソフトなものであって、詰め物材全体の吸放
湿パラメーター△MRは3.64であった。
【0060】前記詰め物材を詰め物として夏用肌掛け布
団の側地に空気流と共に吹き込んで、布団を作成したと
ころ、羽毛様の嵩高性、柔軟性および清涼感を有する良
好な肌掛け布団が得られた。 [実施例2]実施例1で得られた詰め物材に、ジメチル
シロキサンを主成分とするシリコーン樹脂を0.7%o
wf付着させるように、スプレー法で付着せしめた後、
160℃で5分間熱風乾燥処理した。
【0061】得られた詰め物材を実施例1と同様にし
て、布団を作成したところ、羽毛様の嵩高性、嵩の耐久
性、ドレープ性、ヌメリ感、柔軟性および清涼感を有す
る良好な掛け布団が得られた。 [実施例3]芯材繊維1としては、120デニール、5
0フィラメントのレーヨン糸2本を引き揃えて120回
/mのS撚りを入れた糸を使用し、毛材繊維2として
は、熱可塑性重合体R1成分としてイソフタル酸を7モ
ル%とビスフェノールAを4.5モル%とを共重合した
極限粘度が0.65、融点が214℃であるポリエチレ
ンテレフタレート系ポリエステル(酸化チタンを0.1
重量%含有)を用い、熱可塑性重合体R2成分として極
限粘度が0.65、融点が255℃であるポリエチレン
テレフタレート(酸化チタンを0.1重量%含有)用い
て、R1/R2の重量比が50/50の複合紡糸、延伸
して得られた150デニール、72フィラメントの図4
に示すような円形断面サイドバイサイド型複合繊維Aと
し、前記複合繊維Aを3本引き揃えて60回/mのS撚
りを入れた糸を使用する他は、実施例1と同様にして詰
め物材を得た。
【0062】得られた詰め物材は、芯材繊維1の長手方
向の長さが15mm、カット状の毛材繊維2の突出長さ
が平均11mmで、毛材繊維2が芯材繊維1から抜け難
く、詰め物材相互の排除性が高く嵩高なものであり、触
感は非常にソフトなものであって、詰め物材全体の吸放
湿パラメーター△MRは5.1であった。
【0063】前記詰め物材を詰め物として夏用肌掛け布
団の側地に空気流と共に吹き込んで、布団を作成したと
ころ、羽毛様の嵩高性、柔軟性および清涼感を有する良
好な肌掛け布団が得られた。 [実施例4]毛材繊維2としては、熱可塑性重合体R1
成分としてイソフタル酸を7モル%とビスフェノールA
を4.5モル%とを共重合した極限粘度が0.65、融
点が214℃であるポリエチレンテレフタレート系ポリ
エステル(酸化チタンを0.1重量%含有)を用い、熱
可塑性重合体R2成分として極限粘度が0.65、融点
が255℃であるポリエチレンテレフタレート(酸化チ
タンを0.1重量%含有)用いて、R1/R2の重量比
が50/50の複合紡糸、延伸、機械捲縮加工、乾燥し
て得られた1.7デニール、51mmの図4に示すよう
な円形断面サイドバイサイド型複合繊維Aを製造した。
さらに、実施例1で得られたポリエーテルエステルアミ
ドブロック共重合体Xのチップを25重量%、酸化チタ
ンを0.4重量%含有したポリエチレンテレフタレート
Zのチップを75重量%ブレンドし、溶融紡糸、延伸、
機械捲縮加工、乾燥して得られた1.7デニール、51
mmの図7に示すような凹部を有するS形状断面原綿
(縦/横の長さ比a/b=1.8)を製造し、複合繊維
Aを15重量%、S形状断面原綿を85重量%混綿して
約0.5綿番手の粗糸としてZ撚り70回/mを加えて
使用する他は、実施例2と同様にして布団を作成した。
【0064】得られた布団の詰め物材は、芯材繊維1の
長手方向の長さが14mm、カット状の毛材繊維2の突
出長さが平均8.5mm、詰め物材全体の詰め物材全体
の吸放湿パラメーター△MRは2.2で、布団としては
羽毛様の嵩高性、嵩の耐久性、ドレープ性、ヌメリ感、
柔軟性および清涼感を有する良好な肌掛け布団であっ
た。 [実施例5]芯材繊維1としては、実施例1の75デニ
ール24フィラメントの中空円形断面糸を使用し、毛材
繊維2としては、実施例4の毛材繊維2において、凹部
を有するS形状断面原綿とする代わりに、紡糸時に口金
を変えて図11に示すような中空部を有する9字形状断
面原綿(縦/横の長さ比a/b=2.1)を製造し、複
合繊維Aと混紡してZ撚り70回/mの粗糸を使用し
た。前記芯材繊維1を、一部針抜きしたラッセル編機の
地糸筬に通し、鎖編み組織を構成させ、毛材繊維2は振
り糸筬に通して、図3に示すような、芯材繊維1の鎖編
みに毛材繊維2がループ状に編み込まれた紐状の編み地
を編成した。この紐状の編み地の長手方向を切断した
後、ジメチルシロキサンを主成分とするシリコーン樹脂
を0.7%owf付着させるように、スプレー法で付着
せしめ、160℃で5分間熱風乾燥処理して詰め物材と
し、実施例1と同様にして布団を作成した。
【0065】得られた布団の詰め物材は、ループ状を呈
するもの3集団と、カット状を呈するもの1集団で、芯
材繊維の長手方向の長さが19mm、毛材繊維2のルー
プ状を呈するものの突出長さが平均17mm、カット状
を呈するものは突出長さが最大18mmの異なった長さ
のものが混在し、その平均突出長さは9mmであり、詰
め物材全体の吸放湿パラメーター△MRは2.1で、布
団としては羽毛様の嵩高性、嵩の耐久性、ドレープ性、
ヌメリ感、柔軟性および清涼感を有する良好な肌掛け布
団であった。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、羽毛様の嵩高性、嵩の
耐久性、ドレープ性、柔軟性、ヌメリ感、保温性および
吸放湿による使用快適性を有する詰め物材を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカット状毛材繊維を有する詰め物材の
構造の一例をモデル的に示す概略図である。
【図2】本発明のカット状毛材繊維を有する詰め物材の
他の構造の一例をモデル的に示す概略図である。
【図3】本発明のループ状毛材繊維を有する詰め物材の
構造の一例をモデル的に示す概略図である。
【図4】本発明の詰め物材に用いる複合繊維の円形断面
の複合状態を示す一例をモデル的に示す概略図である。
【図5】本発明の詰め物材に用いる複合繊維の円形断面
の他の複合状態を示す一例をモデル的に示す概略図であ
る。
【図6】本発明の詰め物材に用いる複合繊維の扁平断面
の複合状態を示す一例をモデル的に示す概略図である。
【図7】本発明の詰め物材に用いるS形状断面繊維の縦
および横の長さを説明する説明図である。
【図8】本発明の詰め物材に用いる変形S形状断面繊維
の縦および横の長さを説明する説明図である。
【図9】本発明の詰め物材に用いるH形状断面繊維の縦
および横の長さを説明する説明図である。
【図10】本発明の詰め物材に用いる変形H形状断面繊
維の縦および横の長さを説明する説明図である。
【図11】本発明の詰め物材に用いる9字形状断面繊維
の縦および横の長さを説明する説明図である。
【図12】本発明の詰め物材に用いる変形9字形状断面
繊維の縦および横の長さを説明する説明図である。
【図13】本発明の詰め物材に用いる8字形状断面繊維
の縦および横の長さを説明する説明図である。
【図14】本発明の詰め物材に用いる変形8字形状断面
繊維の縦および横の長さを説明する説明図である。
【符号の説明】
1:芯材繊維 2:毛材繊維 3:芯材 A:複合繊維 a:S、H、9および8字形状断面繊維の縦の長さ b:S、H、9および8字形状断面繊維の横の長さ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯材繊維によって編み目構造に形成された
    芯材と、該芯材の編み目に編み込まれた毛材繊維とによ
    って形成された詰め物材であって、かつ、前記詰め物材
    の吸放湿パラメーター△MRが1.2%以上であること
    を特徴とする詰め物材。
  2. 【請求項2】芯材の編み目構造が、鎖編み組織であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の詰め物材。
  3. 【請求項3】芯材の長手方向の長さが5〜100mmで
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め物
    材。
  4. 【請求項4】芯材から突出する毛材繊維の突出長さが5
    〜50mmであることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の詰め物材。
  5. 【請求項5】毛材繊維の単繊維繊度が3デニール以下で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    詰め物材。
  6. 【請求項6】少なくとも毛材繊維に2種以上の異なる熱
    可塑性重合体が接合されてなる複合繊維Aが含まれてい
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の詰
    め物材。
  7. 【請求項7】少なくとも毛材繊維の繊維表面にジメチル
    ポリシロキサンを主成分とするシリコーン樹脂が付着し
    ていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の詰め物材。
  8. 【請求項8】詰め物材がポリエステル系繊維からなるこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の詰め物
    材。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の詰め物材
    を用いてなることを特徴とする布団。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれかに記載の詰め物
    材を用いてなることを特徴とするクッション。
  11. 【請求項11】請求項1〜8のいずれかに記載の詰め物
    材を用いてなることを特徴とする枕。
  12. 【請求項12】請求項1〜8のいずれかに記載の詰め物
    材を用いてなることを特徴とする詰め物入りジャケッ
    ト。
  13. 【請求項13】請求項1〜8のいずれかに記載の詰め物
    材を用いてなることを特徴とする寝袋。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009247664A (ja) * 2008-04-08 2009-10-29 Asahi Kasei Fibers Corp 中わた

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JP2009247664A (ja) * 2008-04-08 2009-10-29 Asahi Kasei Fibers Corp 中わた

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