JPH1018136A - ポリエステル系複合仮ヨリ加工糸およびポリエステル系編織物 - Google Patents

ポリエステル系複合仮ヨリ加工糸およびポリエステル系編織物

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JPH1018136A
JPH1018136A JP8171434A JP17143496A JPH1018136A JP H1018136 A JPH1018136 A JP H1018136A JP 8171434 A JP8171434 A JP 8171434A JP 17143496 A JP17143496 A JP 17143496A JP H1018136 A JPH1018136 A JP H1018136A
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polyester
yarn
filament yarn
moisture absorption
fiber
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JP8171434A
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Inventor
Toshihiko Kimura
俊彦 木村
Hisao Inuyama
久夫 犬山
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル繊維の優れた形態安定性や強度
保持性を具備させながら、優れた吸湿率による着用快適
性を可能にするポリエステル系複合仮ヨリ加工糸とその
編織物を提供する。 【解決手段】 ポリエステル系複合仮ヨリ加工糸は、吸
放湿パラメーターΔMRが1%以上のポリエステル系フ
ィラメント糸条と他のフィラメント糸条とが複合して仮
ヨリされて形成されている。ポリエステル系編織物は、
該ポリエステル系複合仮ヨリ加工糸を使用して、JIS
L−1094 B法による摩擦帯電圧を3kv未満に
したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル系複
合仮ヨリ加工糸およびポリエステル系編織物に関し、さ
らに詳しくは、吸湿性を有するポリエステル系複合仮ヨ
リ加工糸および吸湿性による快適着用性を有するポリエ
ステル系編織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、形態安定性、機械
強度、耐薬品性、耐熱性、洗濯耐久性などに優れるた
め、衣料用途に広く使用されている。しかしながら、反
面で、ポリエステル繊維は吸湿率が低いため、直接肌に
触れたり、あるいは肌に近い状態で着用される裏地など
に使用される場合には、肌からの発汗によるムレやベタ
ツキを生じ、また乾燥した空気中では静電気を帯びやす
く摩擦帯電圧が高くなるため、着用時に肌にまとわりつ
きやすくなる欠点がある。
【0003】このような問題から、裏地用途には天然繊
維やキュプラに代表されるセルロース系合成繊維が多く
使用されている。しかし、これらは快適な着用性を可能
にするが、ポリエステル繊維に比べて強度が低く、洗濯
耐久性に劣り、またしわが起こりやすく、形態安定性に
欠けるという欠点がある。これらの対策として、ポリエ
ステル繊維の表面に後加工処理によって吸湿性樹脂を付
与するようにしたものがある。しかし、この方法で十分
な吸湿性を得るためには、多量の吸湿性樹脂をピックア
ップさせる必要があるため、裏地のように或る程度の薄
さが必要な用途には、厚い被膜ができて布帛が剛くなる
ため適用は困難という問題がある。また、洗濯によって
表面の吸湿性樹脂が次第に脱落するため、吸湿性が低下
するという耐久性の問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
エステル繊維の優れた形態安定性や強度保持性を具備さ
せながら、優れた吸湿率による着用快適性を可能にする
ポリエステル系複合仮ヨリ加工糸とその編織物を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明は、吸放湿パラメーターΔMRが1%以上のポリエス
テル系フィラメント糸条と他のフィラメント糸条とが混
繊されたポリエステル系複合仮ヨリ加工糸を特徴とし、
またかかるポリエステル系複合仮ヨリ加工糸を使用し
て、JIS L−1094 B法による摩擦帯電圧を3
kv未満にしたポリエステル系編織物を特徴とするもの
である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のポリエスル系複合仮ヨリ
加工糸は、吸放湿パラメーターΔMRが1%以上のポリ
エステル系フィラメント糸条と他のフィラメント糸条と
が複合して仮ヨリ加工されて構成されているが、ポリエ
スル系フィラメント糸の吸放湿パラメーターΔMRは、
さらに好ましくは、製糸性や高次加工の製編織性および
着用時の快適性の観点から1.5〜10%、特に好まし
くは3%〜10%とするのがよい。
【0007】本発明における吸放湿パラメーターΔMR
とは、30℃×90%RHにおける吸湿率MR2 と20
℃×65%RHにおける吸湿率MR1 との差(ΔMR
(%)=MR2 −MR1 )で表される値のことをいう。
この吸放湿パラメーターΔMRは、衣服着用時の衣服内
の湿気を外気に放出することにより快適性を得るための
ドライビングフォースを表すものであり、軽〜中作業あ
るいは軽〜中運動を行った際の30℃×90%RHに代
表される衣服内温度と、20℃×65%RHに代表され
る外気温湿度との吸湿率差を表わす。この吸放湿パラメ
ーターΔMRは大きければ大きいほど吸放出力が高く、
着用時の快適性が良好であることを表わしている。
【0008】また、ポリエスル系フィラメント糸条が有
する吸放湿パラメーターΔMRとしては、このポリエス
ル系フィラメント糸条を含む複合仮ヨリ加工糸から構成
された編織物の5回洗濯後の値が、洗濯前の70%以内
であるような洗濯耐久性を備えていることが好ましい。
ここで、洗濯1回とは、市販の自動反転うずまき式電気
洗濯機の洗濯槽に40±2℃の0.2%弱アルカリ性合
成洗剤液25リットルを入れ、試験布と追加布の合計重
量が約500gとなるように調整した後、洗濯5分、脱
水30秒、すすぎ2分、脱水30秒、すすぎ2分、脱水
30秒という手順で行ったもののことをいう。また、す
すぎは常温水を用い、オーバーフローさせながら行うこ
とによるものである。
【0009】本発明において、上述のような吸湿性能を
有するポリエステル系フィラメント糸条としては、特に
限定はされないが、製糸性、製織性、染色性および糸性
能の耐久性などを考慮にいれると、次のような繊維構成
を有するフィラメント糸条を使用することが好ましい。
すなわち、第一のポリエステル系フィラメント糸条は、
親水性化合物(A)を共重合した共重合ポリエステルで
あって、その共重合ポリエステルに極性基含有化合物
(B)および架橋剤(C)のうち少なくともいずれか一
方を含有する共重合ポリエステル(D)を5重量%以上
含んでいる複合繊維またはブレンド繊維である。また、
第二のポリエステル系フィラメント糸条は、ポリエーテ
ルエステルアミド(E)もしくはポリエーテルエステル
アミドと他の熱可塑性樹脂(F)との混合物を5%以上
含んでいる複合繊維またはブレンド繊維である。
【0010】以下、それぞれの繊維について詳細に説明
する。まず、前者の繊維に含まれる共重合ポリエステル
(D)に共重合される親水性化合物(A)としては、エ
ステル形成基を1個以上含有する化合物であるのが好ま
しく、特に限定されないが、代表的な化合物としてポリ
オキシアルキレン化合物、ポリオキサゾリン類、ポリア
クリルアミドとその誘導体などを用いることができる。
その中でも、ポリオキシアルキレン化合物が好ましく、
ポリオキシエチレン化合物はさらに好ましい。さらに、
ポリオキシエチレン化合物の中でも、ポリエチレングリ
コール化合物が好ましく、結晶化抑制因子を含むポリエ
チレングリコールが特に好ましい。
【0011】ここで、結晶性抑制因子とは、分子鎖中あ
るいは末端に存在し、ポリエチレングリコールの繰り返
し単位の対称性を乱すような有機残基のことをいう。結
晶化抑制とは、示差走査熱分析(DSC、昇温条件16
℃/分)によって求めた融点が同じ分子量のポリエチレ
ングリコールの融点より低くなることをいう。親水性化
合物(A)の分子量は、ポリエステルとの相溶性および
ポリエステル中における分散性の観点から600〜20
000であることが好ましく、より好ましくは、100
0〜10000であり、さらに好ましくは、2000〜
6000である。また、親水性化合物(A)の共重合の
割合は特に限定はされないが、紡糸性の観点から、全ポ
リマー重量に対して40〜99重量%であることが好ま
しい。
【0012】これらの化合物は、大部分がポリエステル
中に共重合されていることが好ましいが、一部について
はポリマー中に分散した状態で存在していてもよい。共
重合ポリエステル(D)中に含有させる極性基含有化合
物(B)として、特に限定はされないが、下記一般式
(I) Yi −R1 −Xn (I) (ただし、式中R1 は有機残基、Xはエステル形成性基
でありnは1以上の正数、Yi はアミノ基、スルホン
基、カルボキシル基、水酸基、アミド基およびホスホン
酸基などの誘導体の中から選ばれる1つ以上の極性基を
示す。(i≧1の整数))で表される極性基を有する化
合物が好ましい。
【0013】ここで、含有とは、ポリエステル中に分散
または共重合した状態のことをいうが、特に共重合して
いる状態であるのが好ましい。化合物としては、特にス
ルホン酸塩基を有する化合物が好ましい。極性基含有化
合物(B)を含有させることによりポリマーの吸湿率が
さらに高まるばかりか、ポリマー中に水素結合やイオン
性相互結合作用を生じ、繊維とした場合に経時的な物性
の変化が生じにくいという効果が得られる。
【0014】糸切れの発生を防止し、かつ経時的な変化
を生じにくくする観点から、極性基含有化合物(B)の
含有量は、全ポリマーを構成する酸成分に対して0〜5
0モル%であることが好ましく、さらに好ましくは2〜
15モルである。また、共重合ポリエステル(D)中に
含有させる架橋剤(C)としては、ポリエステルと反応
し、架橋構造を形成する化合物であれば、特に限定はさ
れないが、下記一般式(II) (R3O)n2 (COOR4)m (II) (ただし、式中R2 は3〜6価の有機残基、R3 は水素
あるいはアセチル基、R4 は水素あるいはアルキル基、
3≦m+n≦6。)で表される多官能化合物を用いるこ
とが好ましい。ここで、含有とは、ポリエステル中に分
散している状態のことをいうが、共重合により架橋構造
である状態は好ましい。
【0015】化合物としては、トリメリット酸、ピロメ
リット酸などの多官能カルボン酸、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオ
ールが好ましいが、特に好ましいのはトリメリット酸で
ある。架橋剤(C)を含有させることにより、ポリマー
の吸湿性がさらに高まるばかりでなく、ポリマー中に架
橋構造が形成され、繊維とした場合に経時的な物性の変
化が生じにくいという効果が得られる。
【0016】架橋剤(C)の割合は、全ポリマーを構成
する酸成分に対して0〜30モル%が好ましく、さらに
好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは2〜10モ
ル%である。このような範囲にすることにより、吸湿性
を高く保持し、製糸性が良好となり、強度等の繊維物性
が向上する。上述した極性基含有化合物(B)と架橋剤
(C)は、共重合ポリエステル(D)に対して少なくと
もいずれか一方が含有されていればよいが、より好まし
くは極性基含有化合物(B)と架橋剤(C)との両者を
含むことがよい。
【0017】また、共重合ポリエステル(D)には、本
発明の目的を損なわない範囲で、酸化チタン、カーボン
ブラックなどの顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩な
どの界面活性剤、各種の抗酸化剤、着色防止剤、耐光
剤、帯電防止剤などが添加されていてももちろんよい。
次に、前述したポリエーテルエステルアミド(E)また
はポリエーテルエステルアミドと他の熱可塑性樹脂
(F)との混合物を含む第二の繊維について説明する。
【0018】ポリエーテルエステルアミド(E)とは、
同一分子鎖内にエーテル結合、エステル結合を持つブロ
ック共重合体のことをいう。より具体的には、ラクタ
ム、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸の塩か
ら選ばれた、1種もしくは2種以上のポリアミド形成性
成分(G)およびジカルボン酸とポリ(アルキレンオキ
シド)グリコールからなるポリエーテルエステル形成性
成分(H)を重縮合反応させて得られるブロック共重合
体ポリマーを好ましく用いることができる。
【0019】ポリエーテルエステルアミドのポリアミド
形成性成分(G)としては、ラクタム類、ω−アミノカ
ルボン酸、ナイロン塩類などを用いることができ、これ
らを、1種または2種以上混合して用いることができ
る。好ましいポリアミド形成性成分としては、ε−カプ
ロラクタム、ナイロン66塩である。一方、ポリエーテ
ルエステルアミドのソフトセグメントを構成するポリエ
ーテルエステル成分(H)としては、炭素数4〜20の
ジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコール
が好ましい。
【0020】炭素数4〜20のジカルボン酸としては、
脂肪族、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸など
を用いることができ、1種または2種以上混合して用い
ることができる。好ましいジカルボン酸は、アジピン
酸、セバポリグリシンなどのポリアミド、ポリエステ
ル、ポリオレフィンなどの汎用熱可塑性樹脂シン酸、デ
カジ酸、テレフタル酸、イソフタル酸などである。
【0021】また、ポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2
−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プ
ロピレンオキシド)グリコール、ポリテトラメチレンオ
キシドグリコール、ポリヘキサメチレンオキシドグリコ
ール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドまたは、
テトラヒドロフランとのランダムまたはブロック共重合
などを用いることができ、特にポリエチレングリコール
が好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの
数平均分子量は300〜10000であるのが好まし
く、より好ましくは、500〜4000の範囲である。
【0022】ポリエーテルエステルアミドブロック共重
合体は、上記したポリアミド形成性成分(G)とポリエ
ーテルエステル形成性成分(H)を重縮合することによ
って得られる。ポリエーテルエステルアミドと混合物を
形成するための熱可塑性樹脂(F)としては、例えば、
ナイロン66、ナイロン6のようなポリアミド、ポリエ
ステル、ポリオレフィンのうち1種または2種以上を用
いることができる。特に、ナイロン66、ナイロン6、
スルホネート化合物を共重合した変性ポリエチレンテレ
フタレートなどがポリエーテルエステルアミドと相溶性
が良好で、相互に微分散が可能であり、また、熱水によ
る膨潤が小さいため好ましい。
【0023】ここで変性ポリエステルの共重合成分とし
て好ましいスルホネート化合物として、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸、5−(テトラアルキル)ホスソニ
ウムスルホイソフタル酸およびそれらのエステル誘導
体、p−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、2,5−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンス
ルホン酸カリウムなどを用いることができる。
【0024】スルホネート化合物の共重合量は、ポリエ
ーテルエステルアミドとの相溶性と得られるブレンド繊
維の物性との兼ね合いから、酸成分に対して0.1〜7
モル%であるのが好ましく、より好ましくは、0.2〜
6モル%、さらに好ましくは、0.5〜5モル%であ
る。ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂(F)
との混合比率は、十分な吸湿特性を得ることや、染色加
工工程のような熱水雰囲気下で、膨潤による繊維表面の
割れを防ぐという観点から5〜50重量%が好ましく、
より好ましくは7〜45重量%、さらに好ましくは10
〜40重量%である。
【0025】前述した共重合ポリエステル(D)、ポリ
エーテルエステルアミド(E)またはポリエーテルエス
テルアミドと熱可塑性樹脂(F)の混合物と併用して複
合繊維またはブレンド繊維とするときに使用する繊維形
成性重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンな
どのポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66などの
ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートなどのポリエステルなどをいずれも使
用することができるが、これらに限定されるものではな
い。これらのなかでも、特に衣料用合成繊維として汎用
性の高いポリエチレンテレフタレートを主体とするポリ
エステルが好ましい。
【0026】複合繊維の形態としては、特に限定はされ
ないが、図1に示すような芯部1と鞘部2とからなる芯
鞘型複合繊維、図2に示すような芯部1と鞘部2と中空
部3とからなる芯鞘型複合中空繊維、図3に示すような
島部1aと海部2aとからなる海島型複合繊維、図4に
示すような張り合わせ部1b,2bからなる張り合わせ
型複合繊維などを用いることができる。
【0027】例えば、図1の芯鞘型複合繊維および図2
の芯鞘型複合中空繊維の場合には、共重合ポリエステル
(D)、ポリエーテルエステルアミド(E)またはポリ
エーテルエステルアミドと他の熱可塑性樹脂(F)との
混合物などの吸湿性ポリマーを芯部に用い、繊維形成性
重合体を鞘部に用いることができる。この場合の複合比
率(重量%)は芯/鞘=5/95〜90/10が好まし
く、さらに好ましくは7/93〜50/50、特に好ま
しくは10/90〜30/70である。芯部の複合比率
の下限は、十分な吸湿性を付与する目的から適宜設定さ
れ、上限は紡糸性の低下や繊維物性の低下を防ぐ観点か
ら適宜設定される。
【0028】芯鞘断面形状は、同心円状であっても偏心
円状であってもよく、また繊維断面形状は円形、多角
形、H形などの異形断面であってもよい。また、図3の
海島型複合繊維および図4の張り合わせ型複合繊維の場
合には、吸湿性ポリマーを島部または一方の張り合わせ
部に用い、繊維形成性重合体を海部または他方の張り合
わせ部に使用する。島部または一方の張り合わせ部の複
合比率は5〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは
7〜50重量%、特に好ましくは10〜30重量%であ
る。
【0029】複合比率の下限は、十分な吸湿性を付与す
る目的から適宜設定され、上限は紡糸性の低下や繊維物
性の低下を防ぐ観点から適宜設定される。また、ブレン
ド繊維の場合には、共重合ポリエステル(D)、ポリエ
ーテルエステルアミド(E)またはポリエーテルエステ
ルアミドと他の熱可塑性樹脂(F)との混合物などの吸
湿性ポリマーの繊維形成性重合体に対する配合比率は、
全ポリマー量に対して5〜80重量%が好ましく、より
好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは7〜30
重量%である。
【0030】配合比率の下限は十分な吸湿性を付与する
目的から適宜設定され、配合比率の上限は、紡糸性の低
下や繊維物性の低下を防ぐ観点から適宜設定される。上
記繊維形成重合体には、本発明の目的を損なわない範囲
でポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカ
ーボネートなどを含んでいてもよい。また、繊維形成性
重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化チ
タン、カーボンブラックなどの顔料、各種の抗酸化剤、
着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤などが添加されていて
ももちろんよい。
【0031】本発明において、上述した吸湿性ポリエス
テル系フィラメント糸と複合して仮ヨリ加工する相手方
の他のフィラメント糸条としては、ポリエステル、ポリ
アミドなどの合成繊維であってもよく、レーヨン、アセ
テートなど半合成繊維であってもよい。合成繊維は延伸
糸やPOYやUYなどの不完全延伸糸を使用することが
できる。
【0032】これら合成繊維または半合成繊維は、吸湿
性ポリエステル系フィラメント糸よりも単糸繊度の細い
フィラメント糸(例えば0.1〜1d)、単糸繊度の太
いフィラメント糸(例えば2.0〜10d)、収縮率の
低いフィラメント糸(例えば3〜6%)、収縮率の高い
フィラメント糸(例えば10〜30%)、自発伸長性の
フィラメント糸(例えば伸長率1.0〜7%)などの組
合せが可能である。
【0033】複合仮ヨリ加工糸の複合比率(重量%)
は、芯/鞘=5/95〜95/5が好ましく、さらには
30/70〜70/30が好ましい。特に芯糸が鞘糸よ
り50重量%多いとき、本発明の効果が大きくなり、逆
に少ないときは複合糸加工性はよくなる。吸湿性ポリエ
ステル系フィラメント糸に対して、単糸繊度の細いフィ
ラメント糸を組合せる場合には、例えば単糸繊度を0.
1〜1デニールとすることにより編織物の風合をソフト
化し、収縮率の低いフィラメント糸を組合せる場合に
は、例えば収縮率が2〜6%にすることにより、編織物
に「ふくらみ」感のある風合を与える。同様に、自発伸
長性のフィラメント糸との組み合わせの場合にも「ふく
らみ」感の風合にすることができる。収縮率の高いフィ
ラメント糸を組み合わせる場合には、例えば収縮率を1
5〜25%にすることにより、織物のハリ・腰の風合を
改善する。
【0034】その他、三角、四角、五角、八角などの多
葉型断面のフィラメント糸との組み合わせにより、シル
キー調の光沢と風合、四角中空や丸形中空フィラメント
糸との組み合わせにより、軽量・高質感の風合、カチオ
ン可染フィラメント糸や常圧分散可染フィラメント糸と
の組み合わせにより杢効果など、外観や風合あるいは質
感を高級化することができる。
【0035】レーヨン、アセテートなどの半合成繊維フ
ィラメント糸と組み合わせる場合は、これら半合成繊維
に共通する洗濯耐久性が劣ること、しわがおこり易く形
態安定性が低いこと、ハリ・腰の風合いに欠けることな
どの欠点を、ポリエステル系フィラメント糸条によって
改善することができる。さらに、ポリエステル系フィラ
メント糸条は吸放湿パラメーターΔMRが1%以上であ
るので、吸湿性能を極めて高くすることができる。
【0036】複合仮ヨリ加工糸の形態は、吸湿性ポリエ
ステル系フィラメント糸条と他のフィラメント糸条との
先交絡・複合仮ヨリ加工であっても、あるいは後交絡・
複合仮ヨリ加工のいずれであってもよく、また芯糸側に
鞘糸側が実質無ヨリで撚回反転しながら巻きつかせる三
重ケン回複合仮ヨリ加工であってもよい。高品質な風合
いや特殊質感、あるいは伸縮性が要求される複合仮ヨリ
加工糸では、芯糸側に吸湿性ポリエステル系フィラメン
ト糸条を配置し、鞘糸側に風合を形成する他のフィラメ
ント糸条を実質無ヨリで撚回反転しながら巻きつかせる
ことや、この複合仮ヨリ糸に含まれる芯糸と鞘糸との糸
長差において、鞘糸が芯糸よりも5〜40%長くなるよ
うに組み合わることが好ましい。複合仮ヨリ加工糸のケ
ン縮度合いは一般に大きくなると、仮ヨリ加工糸の欠点
とされている風合いに「ふかつき」が生じやすくなるの
で、伸縮復元率は30%以下が好ましい。
【0037】図5(A),(B),(C),(D)は、
それぞれ本発明による複合仮ヨリ加工糸の代表例を示
し、かつ図6(A),(B),(C),(D)は、それ
ぞれ図5の各加工糸を製造する複合仮ヨリ加工工程を例
示するものである。図5(A)の複合仮ヨリ加工糸は、
上述した吸湿性ポリエステル系フィラメント糸条aと他
のフィラメント糸条bとが引き揃えられ、先交絡処理さ
れて仮ヨリ加工されたもので、糸長手方向に部分的に交
絡部(イ)と開繊部(ロ)とを交互に有する糸構造にな
っている。
【0038】この複合仮ヨリ加工糸は、例えば図6
(A)の加工工程により製造される。すなわち、共に延
伸糸の吸湿性ポリエステル系フィラメント糸条aと通常
のフィラメント糸条bとが、パッケージ21および22
から供給ローラ23により引き出されて引き揃えられ、
次いで交絡ノズル24で先交絡処理される。次いで、供
給ローラ25と引取ローラ27の間の仮ヨリ加工域へ供
給されて、仮ヨリ加工される。仮ヨリ加工域ではヨリ掛
具27により加ネンされ、供給ローラ25とヨリ掛具2
7の間でヨリがヒータ26で熱セットされ、ヨリ掛具2
7と引取ローラ28の間では解ネンされて仮ヨリ加工さ
れる。加工された複合仮ヨリ加工糸は、引取ローラ28
により引き出されて巻取チーズ29に巻き上げられる。
【0039】図5(B)の複合仮ヨリ加工糸は、延伸糸
の吸湿性ポリエステル系フィラメント糸条aと不完全延
伸糸の通常フィラメント糸条bとが引き揃えられ、先交
絡処理されて仮ヨリ加工されたものである。芯糸側の吸
湿性ポリエステル系フィラメント糸条aを鞘側の通常フ
ィラメント糸条bが実質無ヨリで巻き付いている糸構造
になっている。
【0040】この複合仮ヨリ加工糸は、例えば図6
(B)の加工工程により製造される。図6(B)の工程
は、図6(A)のパッケージ22に代えて、不完全延伸
糸のフィラメント糸条bを巻いたパッケージ22’を使
用するようにしたものであり、他の部分は図6(A)の
工程と実質的に同じである。図5(C)の複合仮ヨリ加
工糸は、生糸(非仮ヨリ加工)の吸湿性ポリエステル系
フィラメント糸条aと仮ヨリ加工された他のフィラメン
ト糸条bとが引き揃えられて交絡処理されたもので、芯
糸側のポリエステル系フィラメント糸条aへ鞘側の仮ヨ
リ加工糸bが交絡した糸構造になっている。
【0041】この複合仮ヨリ加工糸は、例えば図6
(C)の加工工程により製造される。すなわち、吸湿性
のポリエステル系フィラメント糸条aは供給ローラ25
と引取ローラ28の間の仮ヨリ加工域へは供給されず、
いきなり引取ローラ28に引き取られる。他方、他のフ
ィラメント糸条bは、供給ローラ25と引取ローラ28
の間の仮ヨリ加工域で仮ヨリ加工されたのち、引取ロー
ラ28において上記ポリエステル系フィラメント糸条a
と引き揃えられ、次いで交絡ノズル31で交絡処理され
る。交絡処理後に、引取ローラ32に引き出されて巻取
チーズ29に巻き上げられる。
【0042】図5(D)の複合仮ヨリ加工糸は、芯糸の
吸湿性ポリエステル系フィラメント糸条aに鞘糸の他の
フィラメント糸条bが三重ケン回被覆したもので、芯糸
のポリエステル系フィラメント糸条aに鞘糸のフィラメ
ント糸条bがスラブ状にケン回した糸構造である。この
複合仮ヨリ加工糸は、例えば図6(D)の加工工程によ
り製造される。すなわち、吸湿性ポリエステル系フィラ
メント糸条aは、供給ローラ25と引取ローラ28との
間の仮ヨリ加工域へ供給されて仮ヨリ加工される一方、
この仮ヨリ加工域の上流側(加ネン域)に、他のフィラ
メント糸条bが供給ローラ33から鞘糸として過剰供給
され、その加ネン域で芯糸のポリエステル系フィラメン
ト糸条aに対して糸長手方向に前後に振動しながら合糸
しながら、仮ヨリ加工されるものである。
【0043】図6に示した(A),(B),(C),
(D)の工程のうち、吸湿ポリエステル系フィラメント
糸に直接、熱セット工程を通過させない(C)の工程が
吸湿ポリエステル系フィラメント糸の吸湿性や摩擦帯電
圧性にダメージを与えないので最も好ましい製造方法で
ある。これは吸湿ポリエステル系フィラメント糸が熱セ
ットや捩じり変形に弱いので、物理変形をなるべく与え
ない方法が好ましいのである。特に、熱セット温度では
110〜200℃、仮ヨリ数では150デニールでは1
000〜2500T/m、75デニールでは1500〜
3000T/m、50デニールでは2000〜3500
T/mが好ましい範囲である。
【0044】上述のようにして得た本発明のポリエステ
ル系複合仮ヨリ加工糸は織物または編物に加工される
が、複合仮ヨリ加工糸が吸放湿パラメーターΔMR1%
以上のポリエステル系フィラメント糸条から構成されて
いるため、そのポリエステル系編織物のJIS L−1
094 B法による摩擦帯電圧を3kv未満にすること
ができる。好ましくは1kv未満、さらに好ましくは実
質的には0kvであるのがよい。また、編織物としての
吸放湿パラメーターΔMRも1%以上にすることができ
る。
【0045】この摩擦帯電圧は、前述した吸放湿パラメ
ーターΔMRの場合と同様に、洗濯5回後の値が3kv
未満を維持する耐久性を有することが好ましく、さらに
好ましくは1kv未満である。ここで、洗濯1回とは、
前述したポリエステル系フィラメント糸条において述べ
たものと同じで意味である。このような耐久性は、前述
した共重合ポリエステル(D)、ポリエーテルエステル
アミド(E)またはポリエーテルエステルアミドと熱可
塑性樹脂(F)との混合物を5重量%以上含む複合繊維
あるいはブレンド繊維を使用すれることにより可能にな
る。
【0046】本発明におけるポリエステル系編織物が、
織物である場合の組織としては、平組織、綾組織、朱子
組織およびそれらの変化組織など、通常使用されている
組織であれば、特に限定されることなく使用することが
できる。編織物を染色加工するときの構成は、リラック
ス精錬−中間セット−染色−機能性付与加工−仕上げセ
ットの通常の加工工程で何等問題はなく、他に、生機セ
ットを行ったり、アルカリ処理を行っても問題はない。
【0047】機能性付与加工としては、帯電防止、消
臭、撥水、防汚および防カビ加工など、布帛の風合をソ
フトに保ち本発明の目的を損なわない範囲であれば、何
等限定されるものではない。また、吸湿加工の機能性付
与を行うことは、布帛の吸湿率を向上させ、着用時の快
適性が向上するため、より好ましい。上述した本発明に
よるポリエテル系編織物は、薄地用途の布帛として好適
であり、特にボトム裏、袖裏、ポケット裏、上衣裏、学
衣裏などの裏地として好ましく使用することができる。
【0048】
【実施例】以下に説明する実施例において使用する各評
価特性は、次の測定方法によって求めたものである。 〔吸放湿パラメーターΔMR〕原糸または布帛1〜3g
を用い、絶乾時の重量WO と20℃×65%RHおよび
30℃×90%RHの雰囲気下での市販の恒温恒湿器中
に24時間放置後の重量W1 ,W2 との重量変化から、
次式から20℃×65%RHでの吸湿率MR1と30℃
×90%RHでの吸湿率MR2 とを計算する。
【0049】 MR1 (%)=[(W1 −WO )/WO ]×100 MR2 (%)=[(W2 −WO )/WO ]×100 次いで、上記吸湿率MR1 ,MR2 から、次式で吸放湿
パラメーターΔMRを計算する。 ΔMR(%)=MR2 −MR1 〔強度〕市販のテンシロン引張り試験機を用いて、試長
20cm、引張り速度10cm/分の条件で測定した応
力−歪み曲線から値を求めた。 〔着用時の快適性、まとわりつき〕それぞれの布帛を裏
地に用いてスカートに縫製し、30℃×65%の恒温恒
湿室内で時速8kmの軽い運動を15分行った後の、被
験者の官能試験により快適性を評価した。また、スカー
トの脚部へのまとわりつきの有無を調べた。
【0050】快適性評価の結果は、不快:×、やや快
適:△、快適:○、非常に快適:◎で表示した。 実施例1 ジメチルテレフタル酸194部、エチレングリコール1
35部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル2
6.6部、トリメリット酸トリメチル7.5部およびテ
トラブチルチタネート0.1部を加え、エステル交換反
応を行った後、分子量4000のポリエチレングリコー
ル328部を加え、重合を行い共重合ポリエステルを製
造した。
【0051】得られた共重合ポリエステルを芯成分と
し、ポリエチレンテレフタレートを鞘成分として、共重
合ポリエステルが繊維全重量の20重量%となる同芯円
状芯鞘型複合繊維の50デニール、18フィラメントの
ポリエステル系フィラメント糸条および75デニール、
36フィラメントのポリエステル系フィラメント糸条を
それぞれ製糸した。これらポリエステル系フィラメント
糸条の吸放湿パラメーターΔMRは4.8%であった。
【0052】上記50デニール、18フィラメントのポ
リエステル系フィラメント糸条と30デニール、72フ
ィラメントの通常のポリエステルフィラメント糸条とを
引き揃えて、仮ヨリ数2500T/m,セット温度17
0℃、オーバフィード率+2%でいったん仮ヨリ加工
し、この仮ヨリ加工糸に、空気交絡処理圧力4kg/c
2 、処理速度300m/min、処理オーバフィード
率+2%にて空気交絡加工を行い、伸縮復元率15%の
後交絡・複合仮ヨリ加工糸を製造した。
【0053】上記80(50/30)デニール、90
(18/72)フィラメントの複合仮ヨリ加工糸を経糸
に、上記75デニール、36フィラメントのポリエステ
ル系フィラメント糸条を緯糸に用いて、仕上経密度が9
2本/インチ、緯密度が82本/インチの薄地平織物を
製造した。なお、織物に用いた経糸の複合仮ヨリ加工糸
の強度は4.5g/d、緯糸の強度は4.3g/dであ
った。また、得られた織物の引裂き強度は、経方向10
00g、緯方向1800gであり、縫目ずれは縦方向
1.1mm、緯方向1.1mm、吸放湿パラメーターΔ
MRは3.5%、5回洗濯後の吸放湿パラメーターΔM
Rは3.3%、摩擦帯電圧は0.1kvであり、5回洗
濯後の摩擦帯電圧は0.3kvであった。
【0054】快適性試験では非常に快適(◎)であり、
スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さ
らに、洗濯5回後の快適性試験も非常に快適(◎)であ
り、スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかっ
た。評価結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】実施例2〜3 実施例1において、吸湿性ポリマー(共重合ポリエステ
ル)を繊維全重量に対して10重量%(実施例2)、7
重量%(実施例3)の複合比率に変えた以外は、実施例
1と同様にした複合繊維のポリエステル系フィラメント
糸条を製糸した。前者のポリエステル系フィラメント糸
条の吸放湿パラメーターΔMRは3.5%、後者は2.
0%であった。
【0057】これらポリエステル系フィラメント糸条を
実施例1と同様に複合仮ヨリ加工糸にして、実施例1と
同様の評価を行った。評価結果を併せて表1に示す。 比較例1 実施例1において、吸湿性ポリマー(共重合ポリエステ
ル)を繊維全重量に対して3重量%の複合比率に変えた
以外は、実施例1と同様にした複合繊維のポリエステル
系フィラメント糸条(吸放湿パラメーターΔMRは0.
8%)を製糸し、これを実施例1と同様の複合仮ヨリ加
工糸にして、実施例1と同様の評価を行った。
【0058】評価結果を表1に示す。 比較例2 通常のポリエステル100%のマルチフィラメント糸条
を使用し、このマルチフィラメント糸条(吸放湿パラメ
ーターΔMRは0%)だけで実施例1と同じ組織の織物
に製織し、実施例1と同様の評価を行った。
【0059】評価結果を表1に示す。 比較例3 通常のポリエステル100%のマルチフィラメント糸条
(吸放湿パラメーターΔMRは0%)を使用し、このマ
ルチフィラメント糸条だけで実施例1と同様にして得ら
れた織物に帯電防止加工し、この布帛を用いて実施例1
と同様の評価を行った。
【0060】評価結果を表1に示す。 実施例4 実施例1で製造した50デニール、18フィラメントの
ポリエステル系フィラメント糸条(吸放湿パラメーター
ΔMRが4.8%)と30デニール、72フィラメント
の通常ポリエステルフィラメント糸条(吸放湿パラメー
ターΔMRが0%)とを引き揃えて、空気交絡処理圧力
4kg/cm2 、処理速度300m/min、処理オー
バフィード率+2%で空気交絡加工を行った後、仮ヨリ
数2500T/m,セット温度170℃,オーバフィー
ド率+2%で仮ヨリ加工を施して伸縮復元率16%の複
合仮ヨリ加工糸を製造した。
【0061】上記80(50/30)デニール、90
(18/72)フィラメントの複合仮ヨリ加工糸を経糸
に、実施例1で製造した75デニール36フィラメント
のポリエステル系フィラメント糸条(吸放湿パラメータ
ーΔMRが5.0%)を緯糸に用いて、仕上経密度が9
3本/インチ、緯密度が83本/インチのスパンライク
な外観と風合いを有する薄地平織物を製造した。
【0062】織物に用いた上記経糸の複合仮ヨリ加工糸
の強度は4.6g/d、上記緯糸の強度は4.5g/d
であった。得られた織物の引裂き強度は、経方向100
0g、緯方向1700gであり、縫目ずれは縦方向1.
1mm、緯方向1.1mmであり、吸放湿パラメーター
ΔMRは3.6%、5回洗濯後の吸放湿パラメーターΔ
MRは3.3%であり、摩擦帯電圧は0.1kv、5回
洗濯後の摩擦帯電圧は0.3kvであった。
【0063】快適性試験では非常に快適(◎)であり、
スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さ
らに、洗濯5回後の快適性試験も非常に快適(◎)であ
り、スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかっ
た。 実施例5 実施例1で製造した50デニール、18フィラメントの
ポリエステル系フィラメント糸条(吸放湿パラメーター
ΔMRが4.8%)と、不完全延伸糸の50デニール、
48フィラメントの通常のポリエステルフィラメント糸
条(吸放湿パラメーターΔMRが0%)とを引き揃え
て、空気交絡処理圧力4kg/cm2 、処理速度300
m/min、処理オーバフィード率+2%にて空気交絡
加工を行った後、仮ヨリ数2500T/m,セット温度
170℃,オーバフィード率−1%で仮ヨリ加工を施し
て、上記ポリエステル系フィラメント糸条を芯糸として
不完全延伸糸のポリエステルフィラメント糸条の鞘糸が
実質無ヨリで巻き付いた伸縮復元率が18%の複合仮ヨ
リ加工糸を製造した。
【0064】上記100(50/50)デニール、66
(18/48)フィラメントの複合仮ヨリ加工糸を経糸
に、実施例1で製造した75デニール36フィラメント
のポリエステル系フィラメント糸条を緯糸に用いて、仕
上経密度が83本/インチ、緯密度が80本/インチの
スパンライクな外観とソ毛調風合いを有する薄地平織物
を製造した。
【0065】織物に用いた上記経糸の複合仮ヨリ加工糸
の強度は4.5g/d、上記緯糸の強度は4.5g/d
であった。また、得られた織物の引裂き強度は、経方向
1500g、緯方向1750gであり、縫目ずれは縦方
向1.1mm、緯方向1.1mmであり、吸放湿パラメ
ーターΔMRは3.6%、5回洗濯後の吸放湿パラメー
ターΔMRは3.3%であり、摩擦帯電圧は0.1k
v、5回洗濯後の摩擦帯電圧は0.3kvであった。
【0066】快適性試験では非常に快適(◎)であり、
スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さ
らに、洗濯5回後の快適性試験も非常に快適(◎)であ
り、スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかっ
た。 実施例6 実施例1で製造した50デニール、18フィラメントの
ポリエステル系フィラメント糸条(吸放湿パラメーター
ΔMRが4.8%)を仮ヨリ加工するに対し、30デニ
ール、24フィラメントの通常のポリエステルフィラメ
ント糸条(吸放湿パラメーターΔMRが0%)を35%
過剰に上記ポリエステル系フィラメント糸条の走行方向
に前後に振動させながら加ネン域に供給し、上記ポリエ
ステル系フィラメント糸条の周囲に巻き付かせるように
仮ヨリ加工した。得られた三重ケン回複合仮ヨリ加工糸
は伸縮復元率が9%のスラブ調の複合仮ヨリ加工糸であ
った。
【0067】上記80(50/30)デニール32(1
8/24)フィラメントの複合仮ヨリ加工糸を経糸に、
実施例1で製造した75デニール、36フィラメントの
ポリエステル系フィラメント糸条を緯糸に用いて、仕上
経密度が92本/インチ、緯密度が81本/インチのス
ラブ調の外観と麻ライクな風合いを有する薄地平織物を
製造した。
【0068】織物に用いた上記経糸の強度は5.0g/
d、上記緯糸の強度は4.6g/dであった。また、得
られた織物の引裂き強度は、経方向1900g、緯方向
1850gであり、縫目ずれは縦方向1.1mm、緯方
向1.1mmであり、吸放湿パラメーターΔMRは3.
6%、5回洗濯後の吸放湿パラメーターΔMRは3.3
%であり、摩擦帯電圧は0.1kv、5回洗濯後の摩擦
帯電圧は0.3kvであった。
【0069】快適性試験では非常に快適(◎)であり、
スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さ
らに、洗濯5回後の快適性試験も非常に快適(◎)であ
り、スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかっ
た。 実施例7 ε−カプロラクタム340部、テレフタル酸18部、数
平均分子量が1000のポリエチレングリコール100
部を重合反応容器に仕込み、重合反応を行うことによ
り、ナイロン6成分の割合が45重量%で有るポリエー
テルエステルアミドブロック共重合体を製造した。
【0070】得られたポリエーテルエステルアミドブロ
ック共重合体70重量部と5−ナトリウム30重量部を
チップ状態でブレンドして芯成分にし、ポリエチレンテ
レフタレートを鞘成分にし、芯成分を繊維全体の30重
量%にした同芯円芯鞘複合繊維からなる50デニール、
18フィラメントおよび75デニール、36フィラメン
トのポリエステル系フィラメント糸条をそれぞれ製糸し
た。これらポリエステル系フィラメント糸条の吸放湿パ
ラメーターΔMRは5.5%であった。
【0071】上記50デニール、18フィラメントのポ
リエステル系フィラメント糸条と、通常の30デニー
ル、72フィラメントのポリエステルフィラメント糸条
とを引き揃えて、仮ヨリ数2500T/m,セット温度
170℃,オーバフィード率+2%で仮ヨリ加工を行
い、その後、空気交絡処理圧力4kg/cm2 、処理速
度300m/min、処理オーバフィード率+2%にて
空気交絡加工を行って複合仮ヨリ加工糸を製造した。
【0072】上記80(50/30)デニール、90
(18/72)フィラメントの複合仮ヨリ加工糸を経糸
に、上記75デニール、36フィラメントのポリエステ
ル系フィラメント糸条を緯糸に用いて、仕上経密度が8
9本/インチ、緯密度が81本/インチの薄地平織物を
製造した。なお、織物に用いた経糸の混繊加工糸の強度
は4.5g/d、緯糸の強度は4.0g/dであった。
また、得られた織物の引裂き強度は、経方向950g、
緯方向1150gであり、縫目ずれは縦方向1.2m
m、緯方向1.2mm、吸放湿パラメーターΔMRは
2.5%、5回洗濯後の吸放湿パラメーターΔMRは
2.3%、摩擦帯電圧は0.2kvであり、5回洗濯後
の摩擦帯電圧は0.3kvであった。
【0073】快適性試験では非常に快適(◎)であり、
スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さ
らに、洗濯5回後の快適性試験も非常に快適(◎)であ
り、スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかっ
た。
【0074】
【発明の効果】上述したように、本発明によるポリエス
テル系複合仮ヨリ加工糸および編織物によれば、ポリエ
ステル繊維の優れた形態安定性や強度保持性を具備しな
がら、高い吸湿率を有することによりムレやベタツキを
発生せず、かつ摩擦帯電圧が低いことにより着用時の肌
へのまとわりつきも防ぐことができ、優れた着用快適性
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される芯鞘型複合繊維をモデル的
に示す断面図である。
【図2】本発明に使用される芯鞘型中空複合繊維をモデ
ル的に示す断面図である。
【図3】本発明に使用される海島型複合繊維をモデル的
に示す断面図である。
【図4】本発明に使用される張り合わせ型複合繊維をモ
デル的に示す断面図である。
【図5】(A)〜(D)は、それぞれ本発明のポリエス
テル系複合仮ヨリ加工糸を例示する側面図である。
【図6】(A)〜(D)は、それぞれ本発明のポリエス
テル系複合仮ヨリ加工糸の製造方法を例示する工程概略
図である。
【符号の説明】
1 芯部 2 鞘部 1a 島部 2a 海部 1b,2b 張り合わせ部 3 中空部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸放湿パラメーターΔMRが1%以上の
    ポリエステル系フィラメント糸条と他のフィラメント糸
    条とが複合して仮ヨリ加工されたポリエステル系複合仮
    ヨリ加工糸。
  2. 【請求項2】 吸放湿パラメーターΔMRが1%以上の
    ポリエステル系フィラメント糸条と他のフィラメント糸
    条とが複合して仮ヨリ加工されたポリエステル系複合仮
    ヨリ加工糸が使用され、かつJIS L−1094 B
    法による摩擦帯電圧が3kv未満であるポリエステル系
    編織物。
  3. 【請求項3】 編織物としての吸放湿パラメーターΔM
    Rが1%以上である請求項2に記載のポリエステル系編
    織物。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステル系フィラメント糸条
    が、親水性化合物を共重合すると共に、極性基含有化合
    物および架橋剤のうち少なくともいずれか一方を含有す
    る共重合ポリエステルを5重量%以上含む繊維からなる
    請求項2または3に記載のポリエステル系編織物。
  5. 【請求項5】 前記ポリエステル系フィラメント糸条
    が、ポリエーテルエステルアミドまたはポリエーテルエ
    ステルアミドと他の熱可塑性樹脂との混合物を5重量%
    以上含む繊維からなる請求項2または3に記載のポリエ
    ステル系編織物。
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