JP2000236874A - 酵素の安定化方法及び安定化された測定試薬 - Google Patents
酵素の安定化方法及び安定化された測定試薬Info
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Abstract
る酵素を含む酵素反応系に用いられる酵素と、L−シス
テイン、L−システイン類縁体、ヒドラジンおよびヒド
ラジン類縁体からからなる群から選ばれる少なくとも1
種の化合物とを共存させる。
Description
びその応用に関し、さらに詳しくはADP−リボースに
より不安定化される酵素例えばウレアアミドリアーゼ、
グルコース−6−リン酸脱水素酵素、ADP依存性ヘキ
ソキナーゼ、グルタミン酸脱水素酵素、ピルビン酸キナ
ーゼ、ヘキソキナーゼ、リンゴ酸脱水素酵素、及び乳酸
脱水素酵素の保存時又は反応時の安定化が確保された酵
素の安定化方法及び測定試薬に関する。又、本発明は安
定化された尿素測定試薬に関するものである。
酵素としては種々のものが知られており、例えばグルコ
ース−6−リン酸脱水素酵素等がある。NAD+又はN
ADP +を補酵素とする酵素反応系に用いられる酵素が
保存時又は反応時に不安定化することが多いが、その原
因についてはこれまでよく知られていなかった。
をアンモニアと二酸化炭素(CO2)に分解するのに用
いられている。尿素はアミノ酸の脱アミノ化によって生
じたアンモニアとCO2とから主として肝で尿素サイク
ルによって合成され、血中では血漿と血球の水分中に平
等に含有されている。尿素窒素(以下、BUNと略称す
ることがある)は、正常では、血清中の蛋白以外の窒素
化合物である非蛋白窒素(以下、NPNと略称すること
がある)の約50%であるが、尿毒症では80〜90%
に達する。BUNの測定はNPNとほとんど同じ臨床的
意義をもっているが、病態における変動が大きく、測定
法が簡単であることからBUN測定が主として行われて
いる。
スラー法(C.J.Gentzkow, J. Bio
l. Chem.,143,531−544(194
2))、比色法(A.A. Ormsby, J. B
iol. Chem.,146,595−604(19
42))、 カラー法(R.L.Searcy et
c., Clin. Chim. Acta,12,1
70−175(1965))、 インドフェノール法
(A.L.Chaney etc., Clin.Ch
em.,8,130−132(1962))、グルタミ
ン酸脱水素酵素法(B.A.Humphries et
c., Clin. Chem.,25,26−30
(1979))がある。通常、グルタミン酸脱水素酵素
法が用いられている。
あるいは機能の低下ないしは喪失がおきることが多くの
タンパク質において知られている。例えば、ヘキソース
によるタンパク質の糖質化(glycation)が多
くの疾病の病理や老化過程に関与していることが示唆さ
れている(D.Cervantes−Laurent
s,D.E.Minter,E.L.Jacobso
n, Biochemistry,32,1528−1
534(1993))。
アーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、ADP依
存性ヘキソキナーゼ、グルタミン酸脱水素酵素、ピルビ
ン酸キナーゼ、ヘキソキナーゼ、リンゴ酸脱水素酵素、
及び乳酸脱水素酵素の少なくとも一種を含む酵素反応系
に用いられる酵素が保存時又は反応時に不安定化する原
因物質をつきとめ、この原因物質を除去することなく、
あるいは補酵素等を精製することなく、簡単にその不安
定化作用を回避する手段が望まれている。
する酵素を含む酵素反応系の応用の一例である、ウレア
アミドリアーゼを用いた尿素窒素測定方法において用い
られる酵素を安定化すること、及びそのような酵素反応
を利用した尿素窒素測定試薬の保存時又は反応時におけ
る安定性を向上させることが望まれている。
アーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、ADP依
存性ヘキソキナーゼのような酵素を含む酵素反応系に用
いられる酵素の保存時又は反応時の不安定化を回避する
方法を提供することである。
ゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、ADP依存性
ヘキソキナーゼのような酵素を含む酵素反応系におい
て、酵素の安定化手段が導入された測定試薬ならびに、
特に尿素窒素測定試薬を提供することである。
た結果、ウレアアミドリアーゼ、グルコース−6−リン
酸脱水素酵素、ADP依存性ヘキソキナーゼ、グルタミ
ン酸脱水素酵素、ピルビン酸キナーゼ、ヘキソキナー
ゼ、リンゴ酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素の少なくとも
一種の、保存時又は反応時の不安定化は、NAD+又は
NADP+の分解生成物が原因で起きていること、これ
ら分解生成物のうち、特にADP−リボースが原因物質
であること、ADP−リボースによる酵素の不安定化は
酵素タンパク質のADP−リボースによる修飾によるも
のであり、各種の酵素を利用した測定法の場合、このよ
うな酵素の不安定化は測定結果の信頼性を損なうので、
例えば、尿素窒素の測定法において、尿素を分解する酵
素の安定性が重要であることを見出した。
応系の分解産物として産生される生体内成分の測定反応
系において、ADP−リボースによる修飾によっておこ
る測定反応系に関与する酵素の不安定化を阻止する手段
を導入することを特徴とする生体内成分の測定試薬に関
し、さらに詳しくはウレアアミドリアーゼ、グルコース
−6−リン酸脱水素酵素、ADP依存性ヘキソキナー
ゼ、グルタミン酸脱水素酵素、ピルビン酸キナーゼ、ヘ
キソキナーゼ、リンゴ酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素の
少なくとも一種を含む酵素反応系を用いる試薬において
ADP−リボースによる修飾によっておこる該酵素の不
安定化を阻止する手段を導入することからなる。
ADP+の分解生成物あるいはADP−リボースによる
これら酵素(ADP−リボースにより不安定化される酵
素)の不安定化がL−システイン、L−システイン類縁
体、ヒドラジン及びヒドラジン類縁体からなる群から選
ばれる少なくとも1種の化合物を共存させることにより
回避されることを見出し、本発明を完成した。
は、ADP−リボースによる作用を阻止することであ
り、その阻止の手段とは該酵素の安定化に有効な量のL
−システイン、L−システイン類縁体、ヒドラジン及び
ヒドラジン類縁体からなる群から選ばれる少なくとも1
種の化合物とを共存させるものである。
アーゼ、ADP依存性ヘキソキナーゼ、グルコース−6
−リン酸脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素、ピルビ
ン酸キナーゼ、ヘキソキナーゼ、リンゴ酸脱水素酵素、
及び乳酸脱水素酵素から選ばれる少なくとも一種の酵素
を含むものであってもよい。しかし、ADP−リボース
によって影響をうける酵素であれば、これらに限定され
るものではなく、広く適用可能である。
(P)+等と、その分解生成物により阻害作用を受ける
酵素を含む酵素反応系に、ADP−リボースによる修飾
によっておこる酵素の不安定化を阻止する手段を導入す
ることであり、その手段の一例として有効量のL−シス
テイン、L−システイン類縁体、ヒドラジン及びヒドラ
ジン類縁体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化
合物を添加することで、前記β−NAD(P)+分解生
成物による前記酵素不安定化作用を回避するものであ
る。
ボースが測定反応系の分解産物として産生される生体内
成分の測定反応系において、ADP−リボースによる修
飾によっておこる測定反応系に関与する酵素の不安定化
を阻止する手段を導入することを特徴とする生体内成分
の測定試薬である。ADP−リボースが測定反応系の分
解産物として産生される生体内成分の測定反応系とは、
NAD+、NADP+、NADH、NADPH,FAD
等を補酵素として使用する反応系である。酵素の例とし
てはウレアアミドリアーゼ、ADP依存性ヘキソキナー
ゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、グルタミン酸
脱水素酵素、ピルビン酸キナーゼ、ヘキソキナーゼ、リ
ンゴ酸脱水素酵素、及び乳酸脱水素酵素から選ばれる少
なくとも一種の酵素を含むものであってもよい。
ては、有効量のL−システイン、L−システイン類縁
体、ヒドラジン及びヒドラジン類縁体からなる群から選
ばれる少なくとも1種の化合物安定化剤として使用する
ものである。
おこる酵素の不安定化を阻止する手段としてL−システ
インを用いる場合は、L−システインが酸化されてシス
チンになり沈澱を生成することを回避するための安定化
補助手段を導入することが好ましく、該安定化補助手段
としては酸化防止剤、例えばL−システインを除くスル
フヒドリル化合物が好ましい。
とする酵素を含む酵素反応系の例としては、ウレアアミ
ドリアーゼ、ADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP−H
K)及びグルコース−6−リン酸脱水素酵素を用いた複
合酵素系がある。この酵素反応系では、図1に示すよう
に、次のように反応がおきる。
(Mg2+)及びカリウムイオン(K+)の存在下でウ
レアアミドリアーゼ(URL)が尿素に作用してこれを
アンモニアとCO2とに分解し、その際ATPがADP
に加水分解される。次に、(2)ADP依存性ヘキソキ
ナーゼ(ADP−HK)及びMg2+の存在下、グルコ
ースを基質としてグルコース−6−リン酸(G6P)が
生成し、ADPはさらにAMPに加水分解する。さら
に、(3)補酵素β−NADP+の存在下でグルコース
−6−リン酸脱水素酵素(G6DPH)の作用でG6P
から6−ホスホグルコノ−δ−ラクトンが生成し、その
際、酸化型補酵素β−NADP+は還元型補酵素β−N
ADPHに変化する。この補酵素の変化量を340nm
における吸光度の測定を行い、その変化から尿素窒素量
を得ることができる。
(P)+と略称することがある)を補酵素とする酵素を
含む酵素反応系に用いられる酵素、例えばウレアアミド
リアーゼ(URL)、グルコース−6−リン酸脱水素酵
素(G6PDH)は、保存時又は該酵素反応系において
不安定化する現象がみられる。本発明者等による検討の
結果、かかる不安定化は酵素自体が不安定であることに
加え、β−NAD+又はβ−NADP+の分解生成物が
主たる原因となっていることが判明した。
はβ−NADP+を3mM添加して30℃、5日間保存
すると、無添加の場合に比較して残存活性(%)が低下
したが、ニコチンアミド(1mM)、アデノシン(1m
M)、ADP(1mM)をそれぞれ添加した場合は残存
活性(%)は低下しないか又は若干低下したにすぎない
(図3)。そこで、β−NAD+の分解生成物を逆相H
PLC(HPLC:高速液体クロマトグラフィー)を用
いて分析したところ、ADP−リボースが無視できない
量存在することを確認し、ADP−リボースがURLの
不安定化の原因物質であるとの示唆を得た。これを検証
するために、ADP−リボースをURL酵素溶液に添加
したところ、NAD+分解生成物を添加した場合と同等
のいちじるしい残存活性(%)の低下がみられた。この
ため、ADP−リボースがURLの不安定化の原因物質
であることが確認された(図3)。
て残存活性低下がみられることを確認した。
P−リボースによる上述の酵素の不安定化は特定の化合
物を酵素と共存させることで回避し得ることを見出し
た。このような化合物としては、L−システイン、L−
システイン類縁体、ヒドラジン、及びセミカルバジド、
ヒドロキシルアミンのようなヒドラジン類縁体があり、
特にL−システインとヒドロキシルアミンが好ましい。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
るのに使用できる安定化剤としては、L−システイン、
L−システイン類縁体、ヒドラジン及びヒドラジン類縁
体、例えば塩酸ヒドロキシルアミン、塩酸セミカルバジ
ド等があげられる。これらの安定化剤の使用量は酵素反
応の温度、用いるNAD(P)+の濃度等に応じて変わ
り、予備試験を行うことにより適宜決めることができる
が、一般に0.1〜50mMであり、好ましくは1〜2
5mMである。安定化剤としてL−システインを用いる
場合、L−システインの安定化補助剤として酸化防止
剤、例えばL−システインを除くスルフヒドリル化合物
を用いることが好ましい。
動分析法のいずれによってもよい。
ラジン及びヒドラジン類縁体は非酵素的にADP−リボ
ースと結合し、ADP−リボースの酵素に対する修飾作
用(ADP−リボシル化作用)を阻害するものと考えら
れる。理論に縛られるつもりはないが、この阻害作用
は、システイン、ヒドラジン又はそれらの類縁体のAD
P−リボース又はその構造類似物に対する非酵素的結合
によるものと考えられる。いずれにしても、酵素タンパ
ク質がADP−リボース又はその構造類似物と結合する
部位に対するADP−リボース又はその構造類似物のア
クセスがこれらの化合物により妨げられる結果、タンパ
ク質の修飾が阻害され、酵素タンパク質の不安定化又は
失活が回避されるものと考えられる。
−HKに限らず、ADP−リボースにより修飾されて不
安定化又は失活する酵素であれば、G1uDH(グルタ
ミン酸脱水素酵素)、PK(ピルビン酸キナーゼ)、H
K(ヘキソキナーゼ)、MDH(リンゴ酸脱水素酵
素)、LDH(乳酸脱水素酵素)など上述の本発明によ
る安定化剤を酵素と共存させることで不安定化を回避す
ることができる。
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
の一例をあげると次の通りである。第一試薬及び第二試
薬のそれぞれの成分を下記の濃度になるように精製水に
溶解して調製した。
N’−2−エタンスルホン酸 TAPS: N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−
3−アミノプロパンスルホン酸 G6PDH: グルコース−6−リン酸脱水素酵素
DP+の代わりに、β−NAD+(3.3mM)とL−
システイン(0mM,5mM,10mM,15mM,2
0mM,25mM,30mM,35mM,40mM,4
5mM,又は50mM)を添加した以外は実施例1と同
様の組成の第一試薬を調製し、−80℃、2〜8℃又は
30℃の各温度で7日間保存した場合について、URL
の残存活性(%)を求めた(−80℃での残存活性を1
00%とした)ところ、図2に示す結果が得られた。2
〜8℃では約15mMで残存活性がほぼ100%に達す
る。30℃では約5mMで残存活性が約50%に達し、
約37mMで100%に達する。従って、温度によって
L−システインの使用量は変わるが、約15〜40m以
上で残存活性がよく、30℃以下で保存した場合は約3
7mMで残存活性が100%になる。他の化合物も同様
の傾向を示した。
に示す第一試薬において、L−システイン及びβ−NA
DP+を除いたもの(無添加)、L−システインを除
き、β−NADP+の代わりにβ−NAD+(3m
M)、ADP−リボース(0.3mM)、ニコチンアミ
ド(1mM)、アデノシン(1mM)、ADP(1m
M)、β−NADP+(1mM)を添加したものを作成
し、30℃・5日間保存した場合のURLの安定性につ
いて検討した。その結果を図3に示す。この結果から明
らかなように、ニコチンアミド、アデノシン、ADPは
無添加とほぼ同じ安定性を示したのに対し、β−NAD
+、ADP−リボース、β−NADP+を添加すること
によりURLの顕著な不安定化が起こった。β−NAD
+が加水分解されるとADP−リボースとニコチンアミ
ドを生じるが、この内ADP−リボースにより顕著に不
安定化されたことから、ADP−リボースにより酵素の
不安定化が引き起こされると考えられる。
β−NADP+の代わりに、β−NAD+(3mM)を
添加し、L−システインを8mM、20mM添加したも
の(実施例3)及び、L−システインの代わりにセミカ
ルバジド(実施例4)、ヒドラジン(実施例5)、ヒド
ロキシルアミン(実施例6)をそれぞれ、8mM、20
mM添加したものを30℃・5日間保存したときのUR
Lの安定性を検討した。その結果を図3に示す。
化剤はいずれの濃度でも60%以上の残存活性を示し
た。L−システインとセミカルバジドは20mMの濃度
で70%を越える残存活性を示し、ヒドロキシルアミン
は8mMの濃度で約77%の残存活性を示した。
酸セミカルバジド(0.2%、1%)(実施例8)、塩
酸ヒドロキシルアミン(4mM、20mM)(実施例
9)を用いて実施例2と同様にして第一試薬をそれぞれ
調製した。対照として上述の安定化剤を含まずNADP
の代わりにADP−リボース(40μM)を含む以外は
実施例2と同じ組成のもの、及び安定化剤もADP−リ
ボースも含まないものを調製した。これらの試薬を用い
て2〜8℃、25℃又は37℃の各温度で5日間保存し
た場合のURLの安定性について検討した。
として算出した。
験 G6PDHの安定性試験を次のようにして行った。実施
例1に示す第一試薬において、L−システインを2.5
mM、10mM添加したもの(実施例10)及びL−シ
ステインの代わりにヒドラジン(実施例11)、ヒドロ
キシルアミン(実施例12)、セミカルバジド(実施例
13)を、それぞれ2.5mM、10mM添加したもの
更に、前記試薬からβ−NADP+を除いたものを作成
し、37℃・4日間保存したときのG6PDHの安定性
を検討した。その結果を表3に示す。
及びβ−NADPのいずれも添加しなかったときは残存
活性が96.4%であったが、β−NADPが2.5m
M存在すると残存活性は69.5%に低下した。これに
対して、安定化剤としてL−システイン、ヒドラジン、
ヒドロキシルアミン、セミカルバジドが存在すると、β
−NADP無添加の場合は残存活性は安定化剤添加量が
2.5mM、10mMのいずれにおいても無添加の場合
とほぼ同じである。これに対して、2.5mMのβ−N
ADP存在化ではβ−NADP無添加の場合に比べて安
定化剤の安定化効果は若干の低下がみられるものの、安
定化剤が存在せず2.5mMのβ−NADPが存在する
場合に比べていちじるしい安定化効果がみられた。
添加していないものを作成し、ADP−HKの安定性を
検討した。各温度で30日間保存したときの酵素残存活
性(%)を表4に示す。
ると酵素残存活性はそれぞれ68、59%に低下する。
L−システイン添加により残存活性はそれぞれ91、8
2%と維持された。
るL−システインの酵素安定化作用の増強試験 L−システインは実施例2及び図2に示すように、保存
時における安定化剤としての作用が保存温度により異な
り、30℃では10mM以下の低濃度で効果が低い。表
5に示すように 尿素窒素測定用の試薬にL−システイ
ン0,2,4,6,8,10mMを安定化剤として単独
添加し、37℃で11日間保存した場合、酵素(UR
L)の残存活性は、それぞれ2,12,15,19,2
8,42%であった。1−チオグリセロールは本酵素系
では単独では酵素安定化作用をほとんど示さないが、L
−システインとともにその補助剤として試薬に加える
と、L−システインの酵素安定化作用を著しく増強し
た。2mM L−システイン存在下の酵素残存活性が1
−チオグリセロール10mM添加により64%に、25
mM添加により87%に増加した。さらに、L−システ
イン10mM存在下では10mM以上の1−チオグリセ
ロール添加により酵素残存活性はほぼ100%となっ
た。従って、L−システインを前記酵素の安定化剤とし
て使用する場合、1−チオグリセロールをその安定化補
助物質として用いることで著しい効果が得られる。
HK、MDH、LDHの安定性試験(1) 0.1%BSA、3.3mM β−NAD及び安定化剤
として10mM L−システイン塩酸塩及び33mM
1−チオグリセロール、10mM塩酸ヒドラジン、10
mM塩酸ヒドロキシルアミンをそれぞれ含む50mM
HEPES緩衝液pH7.0を負荷液とした。それそれ
の負荷液に1.0U/mLになるようにG1uDH(実
施例16)、PK(実施例17)、HK(ヘキソキナー
ゼ)(実施例18)、MDH(実施例19)、LDH
(実施例20)をそれぞれ溶解し、HK、MDHは30
℃で7日間負荷を行い、一方G1uDH、PK、LDH
は37℃で7日間の負荷を行い、それぞれ安定性を検討
した。また、対照として安定化物質及び不安定化物質を
含まないものも検討した。負荷前の活性を100%とし
た時の酵素の残存率を表6に示す。
H、LDHの安定性試験(2) 実施例21〜25としてそれぞれ実施例16〜20の
3.3mM β−NADの代わりに0.33mM AD
P−リボースを用いて、実施例16〜20と同様に安定
性の検討を行った。その結果を酵素の残存率として表7
に示す。残存率を表7に示す。
を補酵素とする酵素を含む酵素反応系に用いられる酵素
と、安定化剤としてL−システイン、L−システイン類
縁体、ヒドラジン及びヒドラジン類縁体からなる群から
選ばれる少なくとも1種の化合物とを共存させること
で、系外にβ−NAD(P)+分解生成物とシステイン
等の化合物との複合体を取り出すことなく、簡単に酵素
の修飾を防止でき、酵素の不安定化を回避することがで
きるので、試薬測定の自動化が可能である。また、本発
明を尿素窒素の測定試薬キットに適用する場合は、試薬
に用いるβ−NAD(P)+を精製することなく、その
まま使用できるので試薬製造のプロセスを減らすことが
でき、コスト的にも有利である。
用いる複合酵素系の反応(測定原理)を説明する反応行
程図である。
ミドリアーゼ残存活性(%)との関係を示すグラフであ
る。
を示すグラフである。
Claims (8)
- 【請求項1】 ADP−リボースにより不安定化される
酵素と、該酵素の安定化に有効な量のL−システイン、
L−システイン類縁体、ヒドラジン及びヒドラジン類縁
体からなる群から選ばれる少なくとも1種のADP−リ
ボースによる修飾によって起こる酵素の不安定化を阻止
する化合物とを共存させることを特徴とする酵素の安定
化方法。 - 【請求項2】 前記酵素がウレアアミドリアーゼ、グル
コース−6−リン酸脱水素酵素、ADP依存性ヘキソキ
ナーゼ、グルタミン酸脱水素酵素、ピルビン酸キナー
ゼ、ヘキソキナーゼ、リンゴ酸脱水素酵素、及び乳酸脱
水素酵素からなる群から選ばれる少なくとも一種の酵素
であることを特徴とする請求項1記載の酵素の安定化方
法。 - 【請求項3】 ADP−リボースが測定反応系の分解産
物として産生される生体内成分の測定反応系において、
ADP−リボースによる修飾によっておこる測定反応系
に関与する酵素の不安定化を阻止する手段を導入するこ
とを特徴とする生体内成分の測定試薬。 - 【請求項4】 前記測定反応系に関与する酵素が、グル
コース−6−リン酸脱水素酵素、ウレアアミドリアーゼ
及びADP依存性ヘキソキナーゼからなる群から選ばれ
る少なくとも一種の酵素を用いる尿素窒素測定系である
請求項3記載の測定試薬。 - 【請求項5】 前記測定反応系が、NAD+又はNAD
P+を補酵素とする酵素を含む酵素反応系である請求項
3又は4記載の測定試薬 - 【請求項6】 前記不安定化を阻止する手段が、安定化
に有効な量のL−システイン、L−システイン類縁体、
ヒドラジン及びヒドラジン類縁体からなる群から選ばれ
る少なくとも1種のADP−リボースによる修飾によっ
て起こる酵素の不安定化を阻止する化合物を使用するこ
とである請求項3又は4又は5記載の測定試薬。 - 【請求項7】 前記ADP−リボースによる修飾によっ
て起こる酵素の不安定化を阻止する化合物がL−システ
インであり、L−システインの安定化補助物質として酸
化防止剤を用いる請求項3又は4又は5又は6記載の測
定試薬。 - 【請求項8】 前記ADP−リボースによる修飾によっ
て起こる酵素の不安定化を阻止する化合物がL−システ
インであり、L−システインの安定化補助物質として酸
化防止剤を用いる請求項1又は2記載の酵素の安定化方
法。
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1999
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