JP2000177104A

JP2000177104A - 枚葉印刷機の中間胴

Info

Publication number: JP2000177104A
Application number: JP10360190A
Authority: JP
Inventors: Toshio Miwa; 敏雄三輪
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date: 1998-12-18
Filing date: 1998-12-18
Publication date: 2000-06-27
Also published as: EP1010526A1

Abstract

(57)【要約】【課題】シートの剛性によらず該シートを安定に移送
する。【解決手段】円周上に複数のシート咥え部１６を設
け、これらのシート咥え部１６間にシート支持用の胴部
を構成するガイド要素をそれぞれ介在させた枚葉印刷機
の中間胴であって、ガイド要素を、各シート咥え部１６
を結ぶ円弧を２分する形状を有した一対のガイド板３２
で構成して、これらのガイド板３２の基部を各シート咥
え部１６の側近にそれぞれ揺動可能に支持させ、さら
に、スケルトン型中間胴としての機能をもたせるべく、
各ガイド板３２を前記円周の中心側に揺動させるととも
に、円筒型中間胴としての機能をもたせるべく、各ガイ
ド板３２を円周の中心から離れる方向に揺動させるガイ
ド板駆動手段３６，４１を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、枚葉印刷機に設け
られるシート移送用の中間胴に関する。

【０００２】

【従来の技術】枚葉印刷機は、図１２に示すように、主
構成要素として給紙部１、複数組の印刷部２ａ〜２ｄ、
排紙部３等を備えている。この枚葉印刷機において、給
紙部１のテーブル上に積重ね配置されたシート４は、最
上層部より１枚ずつ分離される。そして、搬送コンベア
５を介して送り出された後、給紙胴６へ受け渡され、更
に初段印刷部２ａのブランケット胴７ａと圧胴８ａの中
間へ送り込まれて１色目の印刷が施される。

【０００３】１色目の印刷が終了したシート４は、ブラ
ンケット胴７ａと圧胴８ａの間から送り出されて中間胴
９に引き渡され、その後、この中間胴９から次段の印刷
部２ｂのブランケット胴７ｂと圧胴８ｂ間へ送り込まれ
て２色目の印刷が施される。以後、後段に位置した印刷
部２ｃおよび２ｄにより順次シート４に多色印刷が施さ
れる。最終段の印刷部２ｄのブランケット胴７ｄと圧胴
８ｄ間から送り出されたシート４は、排紙用チェンコン
ベア１０へ引き渡されて排紙部３まで移送され、シート
積重部１１のテーブル上へ順次積重される。

【０００４】ところで、枚葉印刷機によって印刷が施さ
れるシート４には、紙を材料とするものと、金属板や合
成樹脂を材料とするものがある。そして、紙製のシート
としては、紙厚が０．０４ｍｍ程度である薄紙や、紙厚
が１．０ｍｍ程度である厚紙も含まれている。

【０００５】一般的に、薄紙からなるシートは剛性が低
いので、例えば、ある印刷部２から次工程の印刷部２へ
の移送に際して、その後端にバタツキが発生する。一
方、厚紙や金属板等からなる剛性の高いシートでは、回
転移送に伴う遠心力と該シート白身の曲げに対する復元
力とによってその後端が圧胴８から離れるとともに、中
間胴９の下方に設けられたシートガイド１２に激突す
る。つまり、紙はねが発生する傾向を呈する。上記バタ
ツキおよび紙はねは、印刷面の汚れやシートの折れ、傷
を発生させるので、印刷品質を著しく低下させる。そこ
で、このような不都合を回避するために、中間胴９の代
表的例として知られている図１３に示すスケルトン型中
間胴９−Ａと図１４に示す円筒型中間胴９−Ｂとを、多
用するシートの性質に応じて適宜選択採用するようにし
ている。

【０００６】図１３に例示したスケルトン型中間胴９−
Ａは、主として厚紙からなるシート４に適用される。こ
のスケルトン型中間胴９−Ａは、軸方向両端にそれぞれ
図示していない周知のベアラを備え、これらのベアラの
間に爪受１４および複数組の咥え爪１５を配設してあ
る。なお、爪受１４および咥え爪１５は、シート咥え部
１６を構成している、また、上記各ベアラは、軸１７を
中心として回転する胴本体１８によって連結されてい
る。

【０００７】このスケルトン型中間胴９−Ａは、シート
４の印刷面の接触を極力小さくした点に特徴を有するも
のであり、回転移送するシート４を咥え爪１５に近接す
る点Ｐから曲げ変形することができる。つまり、作用点
Ｐからシート４の後端迄の距離を長くとることによっ
て、シート４の復帰反力を軽減させる機能を向上させて
いる。この中間胴９−Ａによれば、その下方に設けたシ
ートガイド１２にシート４の後端が衝撃的に接触する前
記紙はねをやわらげることができ、その結果、該シート
４の傷や折れ変形が少なくなる。しかし、逆に本形式の
中間胴９−Ａは、移送するシート４の後端自由域が増大
するため、シート４が薄紙で形成されている場合、より
大きなシートのバタツキを発生させることになる。

【０００８】一方、図１４に例示した円筒型中間胴９−
Ｂは、主として厚紙からなるシート４に適用される。本
形式の中間胴９−Ｂは、軸１７を中心として回転するロ
ールであり、該軸１７を挟んで相対向する咥え爪１５の
組を軸１７の長手方向に複数組並設させている。この円
筒型中間胴９−Ｂは、シート４を支える面積を大きくし
た点に特徴を有するものであり、回転移送するシート４
は、咥え爪１５の下流側を胴本体１８の外周面に沿って
案内される。したがって、シート４の後端のバタツキを
減少させる機能が高くなり、その結果、シート後端側に
発生するシワや紙のバタツキに起因するダブリ、傷入り
等の不具合が少なくなる。

【０００９】しかし、本形式の中間胴９−Ｂは、シート
４の自由域が減少するので、該シート４が厚紙で形成さ
れている場合、より強い紙はねを発生することになる。
多色刷り印刷機では、使用インキ色の異なる複数組の印
刷部２へ順次通紙するため、隣り合う印刷部２相互にお
けるシートの移送(受け渡し)に安定性が要求される。し
かるに、印刷に供するシート４は、その剛性によって移
送時の状態が大幅に変動する。前述したように、一般的
な中間胴として採用されている上記スケルトン型中間胴
９−Ａ、円筒型中間胴９−Ｂは、いずれも薄紙シートか
ら厚紙シートに亘って不具合無くかつ確実にシート４の
受け渡しを行う手段として理想的なものではなく、この
ため、シート４の仕様が中間胴の形式に適合しない場
合、不安定なシート移送によって傷、汚れ、紙端折れ等
の不具合が発生することになる。

【００１０】要するに、同一の枚葉印刷機に於いてシー
ト厚さが大幅に変わる場合、上記中間胴９−Ａ，９−Ｂ
のいずれを採用しても、紙厚全域に亘って対応し切れな
い。このため、やむなく上記中間胴９−Ａ，９−Ｂの
内、頻度的に優先するいずれかを採用して、移送シート
４のバタツキによるダブリ、傷等の不具合を無視した形
で兼用的に印刷を行っているのが実状である。

【００１１】上記問題点に対処すべく、近年、図１５に
示すような倍胴中間胴９−Ｃが提案されている。この中
間胴９−Ｃは、公知スケルトン型を基本構成とするもの
であり、胴本体１９の軸方向両側端に固設した一対のベ
アラ（図示せず）間に、軸１７に平行する２本のシャフ
ト２０ａ，２０ｂを回動可能に掛け渡し、これらのシャ
フト２０ａ，２０ｂに円弧状カバー２１ａ，２１ｂの基
端を連結した構成を有する。

【００１２】シャフト２０ａ，２０ｂは、シート咥え部
１６に近接する態様で中間胴９−Ｃの回転方向下流側に
それぞれ設けてあり、軸１７を中心として対称に位置し
ている。また、円弧状カバー２１ａ，２１ｂは、シート
咥え部１６に於けるシート把持点Ｐ１の移動軌跡の半径
に略相当する曲率半径Ｒ（図１６参照）を有するように
曲げ形成されている。

【００１３】上記構成の中間胴９−Ｃにおいて、図示省
略の駆動手段を介してシャフト２０ａ，２０ｂを回動さ
せれば、図１５に示す如く、円弧状カバー２１ａ，２１
ｂをそれぞれ軸心側へ収納した状態と、図１６に示す如
く、該円弧状カバ２１ａ，２１ｂをそれぞれ径外方向へ
展開した状態とが実現される。円弧状カバー２０ａ，２
０ｂを収納状態にすれば、図１３に示した中間胴９−Ａ
と同様の効果が得られる。つまり、厚紙シートの印刷時
に於いて発生する該シートの後端の跳ね上がりに伴う衝
撃を低減することができる。また、円弧状カバー２１
ａ，２１ｂを展開させれば、該カバー２１ａ，２１ｂの
表面にてシート４を支持しながら搬送することができる
ので、薄紙シートの印刷時において発生する該シートの
ばたつきを少なくすることができる。このように、本形
式の中間胴９−Ｃによれば、一応、厚紙シートと薄紙シ
ートの双方に対応することができる。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】図１５および図１６に
示した中間胴９−Ｃは、両側に位置させた各１枚の円弧
状カバー２１ａ，２１ｂを展開および収納動作させるよ
うに構成しているので、以下のような問題点を有する。（１）図１７に示す如く、円弧状カバー２１ａ，２１
ｂを収納して、スケルトン型中間胴としての機能を持た
せた場合、該各円弧状カバー２１ａ，２１ｂの表面とシ
ート咥え部１６のシート把持点Ｐ１の回転軌跡との間に
形成されるスペース（矢視Ｆ部）を広く取れない。この
ため、厚紙シート４の印刷時に、圧胴８へ引き渡したシ
ート４の後端の跳ね上がりに伴う衝撃を十分に避けるこ
とができない。

【００１５】（２）円弧状カバー２１ａ，２１ｂの収
納時において、前記スペース（図１７中のＦ部）を広く
するには、この円弧状カバー２１ａ，２１ｂの展開長さ
（円弧長）を短くすれば良い。しかし、そのようにする
と、円弧状カバー２１ａ，２１ｂの展開時に形成される
欠円部（図１６中のＧ部）が大きくなり、そのため、薄
紙シートの支持範囲が短くなって、支持されない該シー
トの後端がばたついてシワや傷等を受けることになる。

【００１６】このように、上記中間胴９−Ｃは、厚紙シ
ートに対応させるスケルトン型中間胴として機能と、薄
紙シートに対応させる円筒型中間胴としての機能とを一
応は併せ持っているが、いずれの機能も十分なものとは
言い難い。このため、薄紙シートから厚紙シートまでの
全域に亘って安定的に移送することができ汎用性の高い
中間胴が強く望まれていた。本発明の課題は、このよう
な状況に鑑み、シートの剛性によらず該シートを安定に
移送することができる枚葉印刷機の中間胴を提供するこ
とにある。

【００１７】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、円周上に
複数のシート咥え部を設け、これらのシート咥え部間に
シート支持用の胴部を構成するガイド要素をそれぞれ介
在させた枚葉印刷機の中間胴であって、前記ガイド要素
を、前記各シート咥え部を結ぶ円弧を２分する形状を有
した一対のガイド板で構成して、これらのガイド板の基
部を該各シート咥え部の側近にそれぞれ揺動可能に支持
させ、さらに、スケルトン型中間胴としての機能をもた
せるべく、前記各ガイド板を前記円周の中心側に揺動さ
せるとともに、円筒型中間胴としての機能をもたせるべ
く、前記各ガイド板を前記円周の中心から離れる方向に
揺動させるガイド板駆動手段を設けている。

【００１８】第２の発明は、第１の発明において、前記
ガイド板駆動手段が、前記各ガイド板に対して個別に設
けられた駆動要素を備えた構成を有する。第３の発明
は、第２の発明において、前記駆動要素が、対応するガ
イド板を一方向に付勢するバネおよび他方向に付勢する
アクチュエータを備えた構成を有する。第４の発明は、
第１の発明において、前記ガイド板駆動手段が、前記各
ガイド板の内の一方のガイド板に揺動力を作用させる駆
動要素と、他方のガイド板を前記一方のガイド板に従動
させる動力伝達要素とを備えた構成を有する。

【００１９】第５の発明は、第４の発明において、前記
駆動要素が、回転アクチュエータおよび該アクチュエー
タの回転動力を前記揺動力に変換する動力変換手段を備
え、前記動力伝達要素が前記一方のガイド板の運動を他
方のガイド板に伝達するリンクを備えた構成を有する。
第６の発明は、第１の発明において、前記各ガイド板の
前記円周の中心側における揺動位置を規定するストッパ
部材を備え、前記ストッパ部材に当接する一方のガイド
板の内側表面を該ストッパ部材の当接面に密着し得るよ
うに形成するとともに、他方のガイド板の内側表面を前
記ストッパ部材に当接した状態の前記一方のガイド板の
外側表面に密着し得るように形成した構成を有する。

【００２０】第７の発明は、第１の発明において、前記
各ガイド板の揺動端部相互の干渉を回避するため、それ
らの揺動端部をくし歯状に形成した構成を有する。第８
の発明は、第７の発明において、前記各ガイド板の前記
円周の中心側における揺動位置を規定するストッパ部材
を備え、前記各ガイド板の内側表面をそれぞれ前記スト
ッパ部材の表面に密着し得るように形成している。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について説明する。なお、以下の説明において使
用する図面においては、図１５〜図１７に示した従来の
中間胴の構成要素囲と同一の要素に同一の符号を付して
ある。図１および図２は、本発明に係る枚葉印刷機の中
間胴９−１を示している。この中間胴９−１は、円筒状
胴を有しない公知スケルトン型中間胴の構成を基本とし
ている。

【００２２】図２のＫ矢視図である図３に示すように、
この中間胴９−１は、その軸方向両端にベアラ３０を備
え、これらのベアラ３０間に４本のシャフト３１ａ〜３
１ｄを掛け渡してある。シャフト３１ａ〜３１ｄは、爪
受１４および咥え爪１５からなるシート咥え部１６に近
接した位置に軸１７に平行する態様で回動可能に設けて
ある。本例は胴の形状が変化する倍胴中間胴の機能を有
するものであり、一対のシート咥え部１６によって分割
された円周方向両側に位置するシャフト３１ａ，３１ｂ
の組とシャフト３１ｃ，３１ｄの組がそれぞれ対を構成
している。

【００２３】上記シャフト３１ａ〜３１ｄには、それぞ
れ円弧状ガイド板３２ａ〜３２ｄの基端が固定されてい
る。円弧状ガイド板３２ａ〜３２ｄは、上記シート咥え
部１６におけるシート把持点の移動軌跡（円周）の半径
に略相当した曲率半径Ｒを有するように曲げ形成されて
いる。つまり、半径Ｒの円筒を周方向に分割した形状を
有する。なお、円弧状ガイド板３２ａ〜３２ｄは、その
剛性を強化するためのリブ３３を備え、このリブ３３を
介して上記シャフト６に取り付けられている。

【００２４】上記構成の中間胴９−１によれば、シャフ
ト３１ａ〜３１ｄを中心としてガイド板３２ａ〜３２ｄ
を揺動させることにより、図１に示す如くガイド板３２
ａ〜３２ｄを軸心側へ収納した状態と、図２に示す如く
ガイド板３２ａ〜３２ｄを径外方向へ張り出した状態と
を設定することができる。そして、図２の状態において
は、ガイド板３２ａ〜３２ｄが円筒体を構成する。

【００２５】張り出した状態のガイド板３２ａ〜３２ｄ
を図１に示すように軸心側へ収納する場合には、構造
上、シャフト３１ａからシャフト３１ｂ、或いはシャフ
ト３１ｃからシャフト３１ｄに至るガイド板３２のトー
タル外周長が張り出し状態時よりも短くなる。そこで、
設定変更に際しては、ガイド板３２ａ，３２ｂの揺動端
部相互およびガイド板３２ｃ，３２ｄの揺動端部相互の
干渉を回避すべく、片側、例えばガイド板３２ｂをガイ
ド板３２ａの収納に先行して、また、ガイド板３２ｄを
ガイド板３２ｃの収納に先行して揺動させるよう操作す
る。なお、ガイド板３２ａ〜３２ｄの収納揺動位置は、
ストッパ部材として機能する胴本体１９の内部シリンダ
部１９ａによって規定される。そこで、ガイド板３２
ｂ，３２ｄの内側表面を前記内部シリンダ部１９ａの弧
状当接表面に密着し得るように形成するとともに、ガイ
ド板３２ａ，３２ｃの内側表面をシリンダ部１９ａに当
接した状態にあるガイド板３２ｂ，３２ｄの弧状外側表
面に密着し得るように形成し、これによってガイド板３
２ａ〜３２ｄを胴本体１９側により接近させている。

【００２６】図５、図６および図５のＢ矢視部の拡大図
である図６は、ガイド板３２の駆動機構を例示してい
る。この駆動機構は、シャフト３１の端部に爪車３４お
よびアーム３５を固設し、該アーム３５の一端に引張バ
ネ３６の引張力を作用させている。また、上記爪車３４
に作用させるべく、軸３７を介してベアラ３０に爪部材
３８を支持させてある。図７において、爪部材３８ａの
後端部がエアシリンダ４０ａで押されると、該爪部材３
８ａの爪部が爪車３４ａから外れる。これにより、シャ
フト３１ａが引張バネ３６ａの引張力で反時計回り方向
に回動して、ガイド板３２ａが同方向に揺動する。他の
ガイド板３２ｂ〜３２ｄも同様の態様で揺動され、これ
によって、各ガイド板３２ａ〜３２ｄが図２に示したよ
うに円筒状に広げられることになる。

【００２７】一方、各ガイド板３２ａ〜３２ｄの外周側
には、それぞれエアシリンダ４１ａ〜４１ｄを配設して
ある。このエアシリンダ４１を伸長作動してガイド板３
２を押せば、該ガイド板３２が図１に示すように軸１７
の軸心方向に揺動して格納される。なお、エアシリンダ
４０および４１は、装置フレーム３９によって支持され
ている。また、これらのエアシリンダ４０，４１には、
エア供給装置４２より駆動エアが供給される。

【００２８】上記のように、この実施形態の中間胴９−
１は、図１３に示したようなスケルトン型中間胴を基本
構造とし、各ベアラ３０間にシャフト３１ａ〜３１ｄを
掛け渡すとともに、これらのシャフト３１ａ〜３１ｄに
ガイド板３２ａ〜３２ｄを揺動自在に支持させてある。
したがって、シャフト３１ａ〜３１ｄを中心としてガイ
ド板３２ａ〜３２ｄを揺動させることにより、ガイド板
３２ａ〜３２ｄを中間胴９−１の径外方向へ張り出すこ
と、或いは中間胴９−１の軸１７側へ収納することがで
きる。しかも、シート咥え部１６を基準とする両側に円
弧状ガイド板３２ａ，３２ｂの対と円弧状ガイド板３２
ｃ，３２ｄの対をそれぞれ配した構成を有するので、以
下のような効果が得られる。

【００２９】（１）図４に示す如く、円弧状ガイド板
３２ａ〜３２ｄを収納してスケルトン型中間胴として設
定した場合、該円弧状ガイド板３２の表面とシート咥え
部１６におけるシート把持部の回転軌跡との間に形成さ
れるスペース(図中Ｆ部)を広く取ることが可能となる。
この結果、厚紙シート４の印刷時に、圧胴８へ引き渡し
た該シート４の後端の跳ね上がりに伴う衝撃を十分に回
避して、紙面への傷入りを防止することができる。（２）円弧状ガイド３２ａ〜３２ｄを展開して、円筒
型中間胴として設定した場合、咥え部１６を除く円周方
向の略全域に亘ってシートのガイド面を形成できる。こ
のため薄紙シート印刷時に、上記圧胴８へ引き渡したシ
ート４の紙範囲全域をガイド面で支持することが可能で
あり、これによって、シート後端のバタツキがなくな
り、シワや傷およびダブリ等の印刷障害の発生を防止で
きる。

【００３０】つまり、上記中間胴９−１によれば、ガイ
ド板３２の設定を変更するのみで、（１）に示すスケル
トン型の中間胴と（２）に示す円筒型の中間胴を簡単に
切り替えることができる。したがって、印刷において厚
紙シート、薄紙シート等種々多様な剛性のシートを使用
する場合でも、印刷面に傷入りや汚れ等が発生するとい
った従来の問題がなくなり、高品質の印刷物を製造する
ことが可能になる。

【００３１】ところで、図３に示すように、ガイド板３
２ａ，３２ｂ（３２ｃ，３２ｄ）の先端縁部は直線状に
形成されているが、図８に示すように、これらのガイド
板３２ａ，３２ｂ（３２ｃ，３２ｄ）の先端部をくし歯
状に形成することも可能である。この場合、ガイド板３
２ａ（３２ｃ）のくし歯とガイド板３２ｂ（ｄ）のくし
歯は、互い違いになるように形成される。

【００３２】この構成によれば、図１に示すガイド板３
２ａ〜３２ｄの収納時に、ガイド板３２ａ，３２ｂ（３
２ｃ，３２ｄ）のくし歯相互がすれ違うので、このガイ
ド板３２ａ，３２ｂ（３２ｃ，３２ｄ）の揺動端部相互
の干渉が回避され、その結果、該ガイド板３２ａ，３２
ｂ（３２ｃ，３２ｄ）を共に胴本体１９に当接させるこ
とが可能になる。そして、これは、図４に示したＦ部の
スペースの拡大に寄与する。上記のように、くし歯を設
けてガイド板３２ａ，３２ｂ（３２ｃ，３２ｄ）を共に
胴本体１９に当接させる場合、ガイド板３２ａ，３２ｂ
（３２ｃ，３２ｄ）の先端部内表面は、いずれも胴本体
１９のシリンダ部表面に密着し得るように形成される。

【００３３】なお、上記くし歯を設けない場合には、前
述したように、ガイド板３２ａ，３２ｂ（３２ｃ，３２
ｄ）の内の一方の収納動作が終了した後に他方を収納動
作させなければならない。しかし、くし歯を設けた場合
には、ガイド板３２ａ，３２ｂ（３２ｃ，３２ｄ）を同
時に収納動作させることができるの、収納に要する時間
を短縮することができる。

【００３４】図９および図１０は、本発明に係る枚葉印
刷機の中間胴の他の実施形態を示した構成図である。ま
た、図１１は、図９のＸ−Ｘ断面図である。この中間胴
９−２は、図１に示したシャフト３１でガイド３２を揺
動させる代わりに、別に駆動ロッド４３（図１１参照）
を設け、この駆動ロッド４３の回動力をリンク等を介し
てガイド板３２に作用させることにより該ガイド板３２
を揺動させている。

【００３５】この中間胴９−２では、シャフト３１ａ′
〜３２ｄ′によって揺動自在に支持した円弧状ガイド３
２ａ′〜３２ｄ′を備えている。なお、シャフト３１
ａ′〜３２ｄ′および円弧状ガイド３２ａ′〜３２ｄ′
は、それぞれ図１に示したシャフト３１ａ〜３２ｄおよ
び円弧状ガイド３２ａ〜３２ｄに対応するものである。
上記駆動ロッド４３は、胴本体４５に固設されたロータ
リアクチュエータ４６に嵌挿してあり、したがって、該
ロータリアクチュエータ４６の作動に伴って回動する。
この駆動ロッド４３には、リンク４７の一端が固着され
ている。リンク４７の他端はピン４８を介してリンク４
９の一端に枢着され、該リンク４９の他端はピン５０を
介してガイド板３２ａ′に枢着されている。以上は、ガ
イド板３２ａ′の駆動要素であるが、ガイド板３２ｄ′
の駆動要素も同様に構成されている。

【００３６】一方、ガイド板３２ａ′，３２ｂ′の先端
部相互ならびにガイド板３２ｃ′，３２ｄ′の先端部相
互は、それぞれリンク５１およびピン５２，５３を介し
て連結されている。胴本体４５の一方の端部には、通気
孔５４が形成されている。通気孔５４の一端はロータリ
ージョイント５５および配管５６を介して図示していな
い空気源に接続され、他端は配管５７を介してロータリ
アクチュエータ４６に接続されている。

【００３７】上記通気孔５４を介してロータリアクチュ
エータ４６に加圧エアが供給されると、該アクチュエー
タ４６が作動して駆動ロッド４３を回動させるので、リ
ンク４７，４９を介してガイド板３２ａ′，３２ｃ′が
揺動する。そして、このガイド板３２ａ′，３２ｃ′の
揺動がリンク５１を介してガイド板３２ｂ′，３２ｄ′
にそれぞれ伝達され、これによって、これらのガイド板
３２ｂ′，３２ｄ′も追従揺動する。

【００３８】この実施形態の中間胴９−２によれば、図
１に示した中間胴９−１と同様な作用効果が得られる。
また、ガイド板３２ａ′〜３２ｄ′の駆動機構を簡潔に
まとめることができ、かつ、スケルトン型中間胴の設定
時ならびに円筒型中間胴の設定時におけるガイド板３２
ａ′〜３２ｄ′の機械的安定性が高くなる。

【００３９】

【発明の効果】本発明によれば、各ガイド板を中心側
に揺動して、スケルトン型中間胴として設定した場合、
該ガイド板の表面とシート咥え部におけるシート把持部
の回転軌跡との間に形成されるスペースを広く取ること
が可能となるので、厚紙シートの印刷時に、圧胴へ引き
渡した該シートの後端の跳ね上がりに伴う衝撃を十分に
回避して、紙面への傷入りを防止することができる。ま
た、各ガイド板を中心側から離れる方向に展開して、円
筒型中間胴として設定した場合、咥え部を除く円周方向
の略全域に亘ってシートのガイド面を形成できる。この
ため薄紙シート印刷時に、上記圧胴へ引き渡したシート
の紙範囲全域をガイド面で支持することが可能であり、
これによって、シート後端のバタツキがなくなり、シワ
や傷およびダブリ等の印刷障害の発生を防止できる。つ
まり、ガイド板の設定を変更するのみで、スケルトン型
の中間胴と円筒型の中間胴を簡単に切り替えることがで
きるので、印刷において厚紙シート、薄紙シート等種々
多様な剛性のシートを使用する場合でも、印刷面に傷入
りや汚れ等が発生するといった問題がなくなり、その結
果、高品質の印刷物を製造することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る中間胴においてガイド板を収納さ
せた状態を示す概略図。

【図２】図１の中間胴のガイド板を展開させた状態を示
す概略図。

【図３】図１のＫ矢視図。

【図４】圧胴への厚紙シートの移送態様を示した概略
図。

【図５】ガイド板の駆動機構を例示した概略図。

【図６】ガイド板の駆動機構の側面図。

【図７】図５のＢ矢視図。

【図８】先端部をくし歯状に形成したガイド板を示す概
略図。

【図９】本発明の他の実施形態に係る中間胴においてガ
イド板を収納させた状態を示す概略図。

【図１０】図１０の中間胴のガイド板を展開させた状態
を示す概略図。

【図１１】図９のＸ−Ｘ断面図。

【図１２】枚葉印刷機の構成を例示した概略図。

【図１３】従来のスケルトン型中間胴を例示した概略
図。

【図１４】従来の円筒型中間胴を例示した該略図。

【図１５】従来の倍胴中間胴のガイド板を収納させた状
態を示す概略図。

【図１６】図１５の中間胴のガイド板を展開させた状態
を示す概略図。

【図１７】図１５の中間胴による圧胴への厚紙シートの
移送態様を示した該略図。

【符号の説明】

８圧胴９−１，９−２中間胴１４爪受１５咥え爪１６シート咥え部１７軸１９胴本体３０ベアラ３１シャフト３２ガイド板３３リブ３４爪歯車３５アーム３６引張バネ３８爪部材４０，４１エアシリンダ４３駆動ロッド４５胴本体４６ロータリアクチュエータ４７，４８，５１リンク５０，５２，５３ピン５４通気孔５５ロータリジョイント

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】円周上に複数のシート咥え部を設け、こ
れらのシート咥え部間にシート支持用の胴部を構成する
ガイド要素をそれぞれ介在させた枚葉印刷機の中間胴で
あって、前記ガイド要素を、前記各シート咥え部を結ぶ円弧を２
分する形状を有した一対のガイド板で構成して、これら
のガイド板の基部を該各シート咥え部の側近にそれぞれ
揺動可能に支持させ、さらに、スケルトン型中間胴としての機能をもたせるべ
く、前記各ガイド板を前記円周の中心側に揺動させると
ともに、円筒型中間胴としての機能をもたせるべく、前
記各ガイド板を前記円周の中心から離れる方向に揺動さ
せるガイド板駆動手段を設けたことを特徴とする枚葉印
刷機の中間胴。
【請求項２】前記ガイド板駆動手段が、前記各ガイド
板に対して個別に設けられた駆動要素を備えることを特
徴とする請求項１に記載の枚葉印刷機の中間胴。
【請求項３】前記駆動要素が、対応するガイド板を一
方向に付勢するバネおよび他方向に付勢するアクチュエ
ータを備えることを特徴とする請求項２に記載の枚葉印
刷機の中間胴。
【請求項４】前記ガイド板駆動手段が、前記各ガイド
板の内の一方のガイド板に揺動力を作用させる駆動要素
と、他方のガイド板を前記一方のガイド板に従動させる
動力伝達要素とを備えることを特徴とする請求項１に記
載の枚葉印刷機の中間胴。
【請求項５】前記駆動要素が、回転アクチュエータお
よび該アクチュエータの回転動力を前記揺動力に変換す
る動力変換手段を備え、前記動力伝達要素が前記一方の
ガイド板の運動を他方のガイド板に伝達するリンクを備
えることを特徴とする請求項４に記載の枚葉印刷機の中
間胴。
【請求項６】前記各ガイド板の前記円周の中心側にお
ける揺動位置を規定するストッパ部材を備え、前記スト
ッパ部材に当接する一方のガイド板の内側表面を該スト
ッパ部材の当接面に密着し得るように形成するととも
に、他方のガイド板の内側表面を前記ストッパ部材に当
接した状態の前記一方のガイド板の外側表面に密着し得
るように形成したことを特徴とする請求項１に記載の枚
葉印刷機の中間胴。
【請求項７】前記各ガイド板の揺動端部相互の干渉を
回避するため、それらの揺動端部をくし歯状に形成した
ことを特徴とする請求項１に記載の枚葉印刷機の中間
胴。
【請求項８】前記各ガイド板の前記円周の中心側にお
ける揺動位置を規定するストッパ部材を備え、前記各ガ
イド板の内側表面をそれぞれ前記ストッパ部材の表面に
密着し得るように形成したことを特徴とする請求項７に
記載の枚葉印刷機の中間胴。