JP2010111027A - 枚葉印刷機の反転装置及び枚葉印刷機 - Google Patents

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Abstract

【課題】枚葉印刷機の反転装置及び枚葉印刷機において、運転形式の切換え時におけるカムとカムフォロアとの摩耗を低減して耐久性の向上を図ると共に構造の簡素化を可能とする。
【解決手段】爪駆動装置52,53として、旋回カムフォロア68,108により作動する第1リンク機構と、第1リンク機構の作動に連携して表爪58及び裏爪60の開閉または爪装置51の旋回を行う第2リンク機構とを設け、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構と、第1リンク機構を第2リンク機構に対して移動することで旋回カムフォロア68,108を第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとの間で切り替える切替機構201を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、枚葉印刷機にて、シートの両面に印刷を施すときに、このシートの表裏を反転させる反転装置、並びに、この反転装置を有する枚葉印刷機に関するものである。
オフセット枚葉印刷機は、給紙装置(給紙部)とシート搬送装置(シート搬送部)と印刷装置(印刷部)と排紙装置(排紙部)とから構成されている。また、反転式両面印刷機にあっては、印刷装置内に反転装置が設けられている。従って、片面印刷を行う場合、給紙台上に積み重ねられたシートは、給紙装置により吸引されて前方へ送り出され、シート搬送装置により印刷装置に搬送され、ここで、所定の印刷が施された後、排紙装置により排紙台上に積み重ねられて排紙される。また、両面印刷を行う場合、給紙台上に積み重ねられたシートは、給紙装置により吸引されて前方へ送り出され、シート搬送装置により印刷装置に搬送され、ここで、表面に所定の印刷が施された後、反転装置によりシートの表裏が反転され、裏面に所定の印刷が施され、その後、排紙装置により排紙台上に積み重ねられて排紙される。
このオフセット枚葉印刷機における反転装置にて、片面印刷を行う場合、反転胴の外周部に設けられている爪部材が、上流の紙搬送胴により搬送されたシートの前端部を咥え、そのまま、爪部材が咥えたシートの端部を前端として次の圧胴に受け渡す。一方、両面印刷を行う場合、爪部材が、上流の紙搬送胴により搬送されたシートの後端部を咥え、反転胴の回転に伴ってシートを搬送する途中で爪部材が反転し、爪部材が咥えたシートの端部を前端として次の圧胴に受け渡す。
この場合、爪部材は、表爪と裏爪からなり、この表爪及び裏爪は、反転胴に支持された各爪軸に固定されており、駆動装置によりこの各爪軸を回動することで、表爪または裏爪を回動し、シートを咥えたり、離したりすることができる。オフセット枚葉印刷機における反転装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された反転装置では、フレーム側に固定されたカムにより、反転胴側に装着されたカムフォロア、複数のレバー及びリンク、セクタギアからなる爪旋回装置を作動して爪を開閉している。
ところで、上述した反転装置にて、片面印刷を行う場合には、表爪及び裏爪が中間胴から搬送されたシートの前端部を咥え、そのまま搬送して圧胴に受け渡すが、両面印刷を行う場合には、表爪及び裏爪が中間胴から搬送されたシートの後端部を咥え、この表爪及び裏爪が途中で反転することで、咥えたシートの端部を前端として次の圧胴に受け渡す。即ち、片面印刷時と両面印刷時では、表爪及び裏爪の動作が異なることから、印刷状態に応じてこれを切換える必要がある。片面印刷と両面印刷との間で運転形式を切換える装置として、例えば、下記特許文献2に記載されたものがある。この特許文献2に記載された装置では、片面印刷用の制御カムと両面印刷用の制御カムを設け、制御ローラを一方の制御カムから離間した位置でロックし、この状態で制御ローラを他方の制御カム側に切換えるようにしている。そのため、制御ローラ及び制御カムの摩耗を低減できる。
特開平08−156228号公報 特開2008−074102号公報
上述した特許文献2に記載された従来の装置では、制御ローラが各制御カムに沿って適正に転動できるように、制御ローラがねじりばねにより各制御カムに押し付けられている。そして、制御ローラの切換え時には、この制御ローラを押し付け力に抗して移動することで各制御カムから離間し、形成されたギャップにキーを挿入してロックしている。また、別途、アクチュエータを設けて歯付きセグメントを介しての制御ローラを移動している。そのため、制御ローラを各制御カムとの間で切換える装置のほかに、制御ローラを制御カムから離間してロックさせるための大掛かりな装置が必要となり、装置が複雑化及び大型化すると共に、製造コストが増大してしまうという問題がある。
本発明は上述した課題を解決するものであり、運転形式の切換え時におけるカムとカムフォロアとの摩耗を低減して耐久性の向上を図ると共に構造の簡素化を可能とする枚葉印刷機の反転装置及び枚葉印刷機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための請求項1の発明の枚葉印刷機の反転装置は、一対の印刷ユニットの間でフレームに回転可能に配置される反転胴と、該反転胴の外周部に設けられて印刷シートの端部を咥える爪部材を有する爪装置と、前記フレーム側に固定される第1旋回カム及び第2旋回カムと、前記反転胴側に設けられて前記第1旋回カムまたは前記第2旋回カムにより旋回カムフォロアが作動して前記爪部材を開閉させると共に前記爪装置を旋回させる爪駆動装置と、を備える枚葉印刷機の反転装置において、前記爪駆動装置は、前記旋回カムフォロアにより作動する第1リンク機構と、該第1リンク機構の作動に連携して前記爪部材の開閉または前記爪装置の旋回を行う第2リンク機構とを有し、前記第1リンク機構と前記第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構と、前記第1リンク機構を前記第2リンク機構に対して移動することで前記旋回カムフォロアを前記第1旋回カムと前記第2旋回カムとの間で切り替える切替機構と、を設ける、ことを特徴とするものである。
請求項2の発明の枚葉印刷機の反転装置では、前記第2リンク機構は、前記第1リンク機構を介して前記旋回カムフォロアを前記第1旋回カムまたは前記第2旋回カムに押圧する付勢手段を有し、前記連携解除機構は、前記付勢手段に抗して前記第2リンク機構を前記第1リンク機構から離間させることで、前記第1リンク機構と前記第2リンク機構との連携を解除することを特徴としている。
請求項3の発明の枚葉印刷機の反転装置では、前記フレーム側に開閉カムが固定され、前記第2リンク機構は、前記開閉カムにより作動して前記爪部材の開閉または前記爪装置の旋回を行う開閉カムフォロアを有し、前記連携解除機構として、前記開閉カムフォロアを介して前記第2リンク機構を作動して前記第1リンク機構から離間させる連携解除部材を設けることを特徴としている。
請求項4の発明の枚葉印刷機の反転装置では、前記連携解除部材は、前記第1旋回カムと前記第2旋回カムとのカムプロフィールが同様である回転領域に設けられることを特徴としている。
請求項5の発明の枚葉印刷機の反転装置では、前記連携解除部材は、前記開閉カムフォロアに接触して前記第2リンク機構を作動して前記第1リンク機構から離間させる連携解除位置と、前記開閉カムフォロアから離間する退避位置とに移動自在に支持されることを特徴としている。
請求項6の発明の枚葉印刷機の反転装置では、前記連携解除部材は、前記フレーム側に設けられることを特徴としている。
請求項7の発明の枚葉印刷機の反転装置では、前記連携解除部材は、前記反転胴側に設けられることを特徴としている。
請求項8の発明の枚葉印刷機は、給紙台上に積み重ねられた印刷シートを吸引して送り出す給紙装置と、インキ装置から版胴を介してゴム胴に供給されたインキを印刷シートに転写して印刷を行う複数の印刷ユニットを有する印刷装置と、前記複数の印刷ユニットの間に設けられて印刷シートの前端部を咥えて搬送可能であると共に印刷シートの後端部を咥えて表裏を反転させて搬送可能である反転装置と、前記印刷装置で印刷が施された印刷シートを排紙台に積み重ねて排紙する排紙装置と、を備える枚葉印刷機において、前記反転装置は、フレームに回転可能に配置される反転胴と、該反転胴の外周部に設けられて印刷シートの端部を咥える爪部材を有する爪装置と、前記フレーム側に固定される第1旋回カム及び第2旋回カムと、前記反転胴側に設けられて前記第1旋回カムまたは前記第2旋回カムにより旋回カムフォロアが作動して前記爪部材を開閉させると共に前記爪装置を旋回させる爪駆動装置と、を有し、前記爪駆動装置は、前記旋回カムフォロアにより作動する第1リンク機構と、該第1リンク機構の作動に連携して前記爪部材の開閉または前記爪装置の旋回を行う第2リンク機構とを有し、前記第1リンク機構と前記第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構と、前記第1リンク機構を前記第2リンク機構に対して移動することで前記旋回カムフォロアを前記第1旋回カムと前記第2旋回カムとの間で切り替える切替機構と、を設ける、ことを特徴とするものである。
請求項1の発明の枚葉印刷機の反転装置によれば、反転胴の外周部に印刷シートの端部を咥える爪部材を有する爪装置を設け、フレーム側に固定される第1旋回カム及び第2旋回カムにより旋回カムフォロアが作動して爪部材を開閉させると共に爪装置を旋回させる爪駆動装置を設けて構成し、爪駆動装置として、旋回カムフォロアにより作動する第1リンク機構と、第1リンク機構の作動に連携して爪部材の開閉または爪装置の旋回を行う第2リンク機構とを設け、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構と、第1リンク機構を第2リンク機構に対して移動することで旋回カムフォロアを第1旋回カムと第2旋回カムとの間で切り替える切替機構とを設けている。従って、連携解除機構により第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除した状態で、切替機構により第1リンク機構を第2リンク機構に対して移動することで、旋回カムフォロアを第1旋回カムと第2旋回カムとの間で切り替えることとなり、旋回カムフォロアは第2リンク機構の影響を受けることなく第1旋回カムまたは第2旋回カムへ切替えることができ、運転形式の切換え時における旋回カムと旋回カムフォロアとの摩耗を低減して耐久性を向上することができると共に、構造の簡素化を可能とすることができる。
請求項2の発明の枚葉印刷機の反転装置によれば、第2リンク機構に、第1リンク機構を介して旋回カムフォロアを第1旋回カムまたは第2旋回カムに押圧する付勢手段を設け、連携解除機構は、付勢手段に抗して第2リンク機構を第1リンク機構から離間させることで、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除するので、連携解除機構により第2リンク機構を第1リンク機構から離間させると、第1リンク機構と第2リンク機構の連携が解除され、付勢手段の付勢力による各旋回カムへの旋回カムフォロアの押圧力が低減され、運転形式の切換え時における旋回カムと旋回カムフォロアとの摩耗を低減することができる。
請求項3の発明の枚葉印刷機の反転装置によれば、フレーム側に開閉カムを固定し、第2リンク機構として、開閉カムにより作動して爪部材の開閉または爪装置の旋回を行う開閉カムフォロアを設け、連携解除機構として、開閉カムフォロアを介して第2リンク機構を作動して第1リンク機構から離間させる連携解除部材を設けるので、旋回カム及び旋回カムフォロアとは別に、開閉カム及び開閉カムフォロアを設けることで、爪部材の開閉または爪装置の旋回を高精度に行うことができると共に、連携解除機構として連携解除部材を設け、この開閉カムフォロアを利用することで、構造の簡素化を可能とすることができる。
請求項4の発明の枚葉印刷機の反転装置によれば、連携解除部材を第1旋回カムと第2旋回カムとのカムプロフィールが同様である回転領域に設けるで、各旋回カムに対して旋回カムフォロアを容易に切替えることができる。
請求項5の発明の枚葉印刷機の反転装置によれば、連携解除部材を、開閉カムフォロアに接触して第2リンク機構を作動して第1リンクから離間させる連携解除位置と、開閉カムフォロアから離間する退避位置とに移動自在に支持するので、連携解除部材の不要時には退避位置に移動することで、通常印刷時に障害となることを防止し、作業の効率化を図ることができる。
請求項6の発明の枚葉印刷機の反転装置によれば、連携解除部材をフレーム側に設けるので、連携解除部材の装着が容易となり、製造作業の簡素化を可能とすることができる。
請求項7の発明の枚葉印刷機の反転装置によれば、連携解除部材を反転胴側に設けるので、連携解除部材の簡素化が可能となり、また、切換え作業を容易に行うことができる。
請求項8の発明の枚葉印刷機によれば、給紙装置と印刷装置と反転装置と排紙装置とを備え、反転装置として、反転胴と、印刷シートの端部を咥える爪部材を有する爪装置と、第1旋回カム及び第2旋回カムと、第1旋回カムまたは第2旋回カムにより旋回カムフォロアが作動して爪部材を開閉させると共に爪装置を旋回させる爪駆動装置とを設け、爪駆動装置を、旋回カムフォロアにより作動する第1リンク機構と、第1リンク機構の作動に連携して爪部材の開閉または爪装置の旋回を行う第2リンク機構とで構成し、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構と、第1リンク機構を第2リンク機構に対して移動することで旋回カムフォロアを第1旋回カムと第2旋回カムとの間で切り替える切替機構を設けている。従って、連携解除機構により第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除した状態で、切替機構により第1リンク機構を第2リンク機構に対して移動することで、旋回カムフォロアを第1旋回カムと第2旋回カムとの間で切り替えることとなり、旋回カムフォロアは第2リンク機構の影響を受けることなく第1旋回カムまたは第2旋回カムへ切替えることができ、運転形式の切換え時における旋回カムと旋回カムフォロアとの摩耗を低減して耐久性を向上することができると共に、構造の簡素化を可能とすることができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る枚葉印刷機の反転装置及び枚葉印刷機の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る枚葉印刷機の反転装置における表爪駆動装置を表す概略図、図2は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における裏爪駆動装置を表す断面図、図3は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における爪装置を表す概略図、図4は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における旋回カムを表す概略図、図5は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における旋回カムのカムプロフィールを表す概略図、図6は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における連携解除機構を表す正面図、図7は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における連携解除機構を表す上面図、図8は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における表爪駆動装置側の連携解除機構の作動を表す概略図、図9−1及び図9−2は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における裏爪駆動装置側の連携解除機構の作動を表す概略図、図10及び図11は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における片面印刷時の反転胴の作動を表す概略図、図12から図18は、実施例1の枚葉印刷機の反転装置における両面印刷時の反転胴の作動を表す概略図、図19は、実施例1の枚葉印刷機を表す概略図である。
実施例1のオフセット枚葉印刷機は、印刷シートに対して、片面印刷及び両面印刷を実施可能な印刷機であって、図19に示すように、給紙装置11と搬送装置12と印刷装置13と反転装置14と排紙装置15とから構成されている。
給紙装置11は、給紙台21と給紙機構(セパレータ装置)22を有している。給紙台21は、印刷シートSを積み重ねて載置するものであり、また、給紙機構22は、給紙台21上に積み重ねられた多数の印刷シートSを上から順に1枚ずつ取り上げて送り出すものである。この場合、給紙台21は、給紙機構22が印刷シートSと略一定の高さ位置関係を維持できるように、印刷シートSの供給に対応して上下に移動可能となっている。
搬送装置12は、給紙装置11から送り出された印刷シートSを搬送して所定の位置に位置決めすると共に、印刷装置13に供給するものである。この搬送装置12にて、給紙装置11に隣接してフィードローラ23及び咥えローラ24が対接して配置されると共に、複数のガイドローラに掛け回された搬送ベルト25が配置され、印刷装置13に隣接して前当て26が配置されている。
印刷装置13は、二色印刷またはカラー印刷を実現できるように、黒(Black)、藍(Cyan)、紅(Magenta)及び黄(Yellow)の4色に対応して4台の印刷ユニット28,29,30,31を有している。各印刷ユニット28,29,30,31は、ほぼ同様の構成をなし、インキ装置(図示略)と版胴32とブランケット胴33と圧胴34とを備え、各印刷ユニット28,29,30,31の間に中間胴35が設けられている。この版胴32とブランケット胴33と圧胴34は、鉛直方向上側から下側にこの順で相互に接するように配置されており、インキ装置により版胴32を介してブランケット胴33にインキが供給され、ブランケット胴33と圧胴34との間に印刷シートSが通過するときに、ブランケット胴33から印刷シートSにインキ(印刷画像)が転写される。
反転装置14は、印刷ユニット29,30の間に配設されており、両面印刷を実施するときに、印刷の途中で印刷シートSの表裏と搬送方向を反転させるものである。この反転装置14は、反転第1中間胴36と反転倍胴中間胴37と反転胴38を備えている。従って、片面印刷を行う場合、印刷シートSは、印刷ユニット29から反転第1中間胴36、反転倍胴中間胴37、反転胴38を経て、印刷シートSの表裏と搬送方向がそのままの状態で、印刷ユニット30に送られる。一方、両面印刷を行う場合、印刷シートSは、印刷ユニット29から反転第1中間胴36を介して反転倍胴中間胴37へ送られ、反転胴38にて、印刷シートSの表裏と搬送方向が反転させられた後、印刷ユニット30に送られる。
排紙装置15は、印刷装置13で印刷された印刷シートSを搬送し、整列した状態で積み重ねるものである。この排紙装置15は、印刷シートSを搬送するチェーングリッパ機構41と、印刷された印刷シートSが積層される排紙台42と、チェーングリッパ機構41により搬送される印刷シートSを適正に支持して排紙台42に排紙するシート支持ユニット43と、排紙台42にて印刷シートSの進行方向における下流側位置を規制する紙当て44を有している。チェーングリッパ機構41は、印刷シートSの進行方向に対して最下流側に配置される印刷ユニット31から印刷シートSを受け取って排紙台42の上方位置の所定位置まで搬送する。排紙台42は、印刷シートSが積層されるにしたがって最上段の上面部高さが上昇した場合に、印刷シートSの落下距離が略一定となるように連続的、あるいは、段階的に昇降可能となっている。
従って、上述した本実施例のオフセット枚葉印刷機では、両面印刷を行う場合、給紙装置11の給紙台21に積載された印刷シートSは、給紙機構22により最上部から1枚ずつ取り出されて搬送装置12に送り出され、この搬送装置12は、印刷シートSを所定の位置に位置決めした後、順次、印刷装置13に供給する。この印刷装置13では、印刷ユニット28,29ごとに印刷シートSの表面に対して2色の印刷が施され、その後、反転装置14にて、反転第1中間胴36から反転倍胴中間胴37へ送られ、反転胴38の爪部材が印刷シートSの後端部を咥え、反転胴38の回転に伴って印刷シートSを搬送する途中で爪部材が反転し、この爪部材が咥えた印刷シートSの端部を前端として印刷ユニット30に送る。そして、印刷ユニット30,31ごとに印刷シートSの裏面に対して2色の印刷が施された後、この印刷が施された印刷シートSは、印刷装置13から排紙装置15のチェーングリッパ機構41に咥えられながら搬送され、排紙台42上に積み上げられる。
ここで、上述した本実施例のオフセット枚葉印刷機における反転装置14について、その構成及び作用を詳細に説明する。なお、図1乃至図3は、操作側から反転装置14等を見たものである。
本実施例のオフセット枚葉印刷機における反転装置14において、図10に示すように、反転胴38は、反転倍胴中間胴37と印刷ユニット30の圧胴34との間に両者と対接して同期回転可能に配置されている。そして、反転胴38は、外周部に周方向に等間隔を開けて爪装置51が設けられており、この爪装置51は、後述する各爪駆動装置52,53(図1及び図2参照)により駆動することができる。また、反転倍胴中間胴37及び圧胴34も同様に、外周部に周方向に等間隔を開けて爪装置37a,34aが設けられており、この爪装置37a,34aは、図示しない爪駆動装置により駆動することができる。
この爪装置51において、図1乃至図3に示すように、反転胴38における図示しない一対のフレーム(操作側フレームと駆動側フレーム)には、爪軸を構成する外側爪軸(表爪軸)54と内側爪軸(裏爪軸)55の軸端部が回動自在に支持されている。即ち、外側爪軸54は円筒形状をなし、一方、内側爪軸55は円柱形状をなし、外側爪軸54の内部に内側爪軸55が配置され、相対回転自在となっている。そして、外側爪軸54には、ブラケット57を介して表爪58が固定され、内側爪軸55には、ブラケット59を介して裏爪60が固定されており、内側爪軸55のブラケット59は、外側爪軸54に形成された開口54aを通して外部に突出している。この表爪58と裏爪60は、各爪軸54,55が回動することで、開閉し、印刷シートSを咥えたり、離したりすることができる。なお、この表爪58及び裏爪60は、各爪軸54,55の軸方向に所定間隔で複数設けられている。
従って、外側爪軸54を回動することで、表爪58を作動して裏爪60に対して開閉することができ、内側爪軸55を回動することで、裏爪60を作動して表爪58に対して開閉することができる。また、外側爪軸54及び内側爪軸55を同期して回動することで、表爪58及び裏爪60を閉じたまま、または、開放したまま反転することができる。
また、爪駆動装置52,53は、図1及び図2に示すように、上述した表爪58及び裏爪60を回動することで、この表爪58及び裏爪60を開閉したり、反転したりするものである。即ち、表爪駆動装置52は、外側爪軸54を介して表爪58を作動し、裏爪駆動装置53は、内側爪軸55を介して裏爪60を作動することができる。この表爪駆動装置52は、印刷機の操作側に設けられ、裏爪駆動装置53は、駆動側に設けられ、両者は、左右(操作側と駆動側)対称でほぼ同様の構成をなしている。
表爪駆動装置52は、図1及び図3に示すように、外側爪軸54を支点として表爪58を開閉させると共に、外側爪軸54を支点として表爪58を回動して印刷シートSの表裏を反転させるものである。この表爪駆動装置52は、反転胴38における操作側のフレームに設けられている。また、表爪駆動装置52は、装置フレーム61側における反転胴38の外周側の所定位置に固定された開閉カム62a,62bと、装置フレーム61側における反転胴38の中心側に固定された旋回カム63を有している。この場合、旋回カム63を反転胴38の中心側に周方向全周に設け、開閉カム62a,62bを反転胴38の外周側に周方向の一部に対向して設けている。即ち、表爪駆動装置52は、旋回カム63により旋回カムフォロアが作動することで表爪58を開閉可能であると共に回動可能であり、開閉カム62a,62bにより開閉カムフォロアが作動することで表爪58を開閉可能である。また、装置フレーム61側には、開閉カム62a,62bより反転胴38の回転方向上流側に位置して、開閉カムフォロアの相対速度を調整する相対速度調整機構が設けられている。
表爪駆動装置52は、反転胴38が倍胴であることから、この反転胴38の外周部に周方向に均等間隔で2つ設けられており、両者は同様の構成となっている。この表爪駆動装置52において、反転胴38が支持される装置フレーム61側には、反転胴38の外周側における所定位置にブラケット64a,64bを介して開閉カム62a,62bが固定されると共に、反転胴38の中心側にリング形状をなす旋回カム63が固定されている。
表爪駆動装置52において、反転胴38のフレームには、支持軸65が支持されており、この支持軸65には、L字形状をなす第1連結リンク66が回動自在に支持されており、この第1連結リンク66の一端部には連結軸67により旋回カムフォロア68が回転自在に装着されている。また、支持軸65には第2連結リンク69の一端部が回動自在に支持されており、第2連結リンク69の他端部には連結軸70により第3連結リンク71の一端部が回動自在に連結されている。この場合、第1連結リンク66の他端部に係合部66aが形成され、第2連結リンク69に被係合部69aが形成され、第1連結リンク66が図1にて反時計回り方向に回動するとき、係合部66aが被係合部69aに当接して押圧可能であり、一方、第1連結リンク66が図1にて時計回り方向に回動するとき、係合部66aが被係合部69aから離間するようになっている。そして、第1連結リンク66は、支持軸65に設けられたトーションバー65aにより図1にて時計回り方向に付勢支持され、旋回カムフォロア68が旋回カム63に接触する方向に付勢支持されている。
反転胴38のフレームには、カム入力軸72が支持されており、このカム入力軸72には、セクタギア73が固結されており、このセクタギア73の連結部が連結軸74により第3連結リンク71の他端部と回動自在に連結されている。一方、爪装置51における外側爪軸54には、ピニオン75が固結されており、セクタギア73がこのピニオン75に噛み合っている。そして、この外側爪軸54に、レバー76が一体に固結され、このレバー76の端部に開閉カムフォロア77が回転自在に装着されている。そして、セクタギア73は、カム入力軸72に設けられたトーションバー72aにより図1にて反時計回り方向に付勢支持され、表爪58が図1にて時計回り方向、つまり、開方向に付勢支持されている。
また、各表爪駆動装置52には、開閉カムフォロア77の相対速度を調整する相対速度調整機構81a,81bが設けられている。即ち、この相対速度調整機構81a,81bにおいて、装置フレーム61には、各開閉カム62a,62bより反転胴38の回転方向上流側に位置して支持ブラケット82が支持軸83により回動自在に装着されている。この各支持ブラケット82は、湾曲形状をなし、反転胴38側の曲面に基板84a,84bを介して相対速度調整機構を構成する速度調整部材85a,85bが固定されている。
この基板84a,84bに固定された速度調整部材85a,85bは、各開閉カム62a,62bのカム面より軟質材料、好適には、弾性部材としてのゴム部材(硬度50〜100度)により形成されている。そして、この速度調整部材85a,85bには、その内面側に開閉カムフォロア77と接触してこの開閉カムフォロア77の自転速度を予め設定された所定速度まで上昇させる助走面86a,86bが形成されている。従って、助走面86a,86bを開閉カム62a,62bのカム面より軟質材料であるゴム部材で構成することで、安価な材料で、開閉カムフォロア77が助走面86a,86bに接触して回転が開始するときのショックが吸収されて摩耗が抑制される。この場合、速度調整部材85a,85bの助走面86a,86bは、開閉カムフォロア77と接触するものの、表爪58及び裏爪60の開閉動作や回動(反転)動作に影響がない形状となっており、開閉カム62a,62bのカム面に滑らかに連続する形状となっている。
また、各支持ブラケット82は、装置フレーム61側との間に介装された圧縮ばね87により反転胴38側に付勢されると共に、装置フレーム61側との間に設けられた調整ねじ88によりその位置が調整自在となっている。この場合、圧縮ばね87及び調整ねじ88により位置調整機構が構成される。従って、圧縮ばね87の付勢力により速度調整部材85a,85bが開閉カムフォロア77に付勢支持されており、調整ねじ88を回転することで、支持ブラケット82を支持軸83を支点として回動し、開閉カムフォロア77に対する助走面86a,86bの相対位置を調整することができる。
一方、裏爪駆動装置53は、図2及び図3に示すように、内側爪軸55を支点として裏爪60を開閉させると共に、内側爪軸55を支点として裏爪60を回動して印刷シートSの表裏を反転させるものである。この裏爪駆動装置53は、反転胴38における駆動側のフレームに設けられている。また、裏爪駆動装置53は、装置フレーム101側における反転胴38の外周側の所定位置に固定された開閉カム102a,102bと、装置フレーム101側における反転胴38の中心側に固定された旋回カム103を有している。この場合、旋回カム103を反転胴38の中心側に周方向全周に設け、開閉カム102a,102bを反転胴38の外周側に周方向の一部に対向して設けている。即ち、裏爪駆動装置53は、旋回カム103により旋回カムフォロアが作動することで裏爪60を開閉可能であると共に回動可能であり、開閉カム102a,102bにより開閉カムフォロアが作動することで裏爪60を開閉可能である。また、装置フレーム101側には、開閉カム102a,102bより反転胴38の回転方向上流側に位置して、開閉カムフォロアの相対速度を調整する相対速度調整機構が設けられている。
裏爪駆動装置53は、反転胴38が倍胴であることから、この反転胴38の外周部に周方向に均等間隔で2つ設けられており、両者は同様の構成となっている。この裏爪駆動装置53において、反転胴38が支持される装置フレーム101側には、反転胴38の外周側における所定位置にブラケット104a,104bを介して開閉カム102a,102bが固定されると共に、反転胴38の中心側にリング形状をなす旋回カム103が固定されている。
裏爪駆動装置53において、反転胴38のフレームには、支持軸105が支持されており、この支持軸105には、L字形状をなす第1連結リンク106が回動自在に支持されており、この第1連結リンク106の一端部には連結軸107により旋回カムフォロア108が回転自在に装着されている。また、支持軸105には第2連結リンク109の一端部が回動自在に支持されており、第2連結リンク109の他端部には連結軸110により第3連結リンク111の一端部が回動自在に連結されている。この場合、第1連結リンク106の他端部に係合部106aが形成され、第2連結リンク109に被係合部109aが形成され、第1連結リンク106が図2にて時計回り方向に回動するとき、係合部106aが被係合部109aに当接して押圧可能であり、一方、第1連結リンク106が図2にて反時計回り方向に回動するとき、係合部106aが被係合部109aから離間するようになっている。そして、第1連結リンク106は、支持軸105に設けられたトーションバー105a(トーションバー65aと一体)により図2にて反時計回り方向に付勢支持され、旋回カムフォロア108が旋回カム103に接触する方向に付勢支持されている。
反転胴38のフレームには、カム入力軸112が支持されており、このカム入力軸112には、セクタギア113が固結されており、このセクタギア113の連結部が連結軸114により第3連結リンク111の他端部と回動自在に連結されている。一方、爪装置51における内側爪軸55には、ピニオン115が固結されており、セクタギア113がこのピニオン115に噛み合っている。そして、この内側爪軸55に、レバー116が一体に固結され、このレバー116の端部に開閉カムフォロア117が回転自在に装着されている。そして、セクタギア113は、カム入力軸112に設けられたトーションバー112a(トーションバー72aと一体)により図2にて時計回り方向に付勢支持され、裏爪60が図2にて反時計回り方向、つまり、開方向に付勢支持されている。
また、各裏爪駆動装置53には、開閉カムフォロア117の相対速度を調整する相対速度調整機構121a,121bが設けられている。即ち、この相対速度調整機構121a,121bにおいて、装置フレーム101には、開閉カム102aより反転胴38の回転方向上流側に位置して支持ブラケット122が支持軸123により回動自在に装着されている。この各支持ブラケット122は、湾曲形状をなし、反転胴38側の曲面に基板124a,124bを介して相対速度調整機構を構成する速度調整部材125a,125bが固定されている。
この基板124a,124bに固定された速度調整部材125a,125bは、各開閉カム102a,102bのカム面より軟質材料、好適には、弾性部材としてのゴム部材により形成されている。この場合、ゴム部材により本発明の接触力調整機構が機能する。そして、この速度調整部材125a,125bには、その内面側に開閉カムフォロア117と接触してこの開閉カムフォロア117の自転速度を予め設定された所定速度まで上昇させる助走面126a,126bが形成されている。従って、助走面126a,126bを開閉カム102a,102bのカム面より軟質材料であるゴム部材で構成することで、安価な材料で、開閉カムフォロア117が助走面126a,126bに接触して回転が開始するときのショックが吸収されて摩耗が抑制される。この場合、速度調整部材125a,125bの助走面126a,126bは、開閉カムフォロア117と接触するものの、表爪58及び裏爪60の開閉動作や回動(反転)動作に影響がない形状となっており、開閉カム102a,102bのカム面に滑らかに連続する形状となっている。
また、各支持ブラケット122は、装置フレーム101側との間に介装された圧縮ばね127により反転胴38側に付勢されると共に、装置フレーム101側との間に設けられた調整ねじ128によりその位置が調整自在となっている。この場合、圧縮ばね127及び調整ねじ128により位置調整機構が構成される。従って、圧縮ばね127の付勢力により速度調整部材125a,125bが開閉カムフォロア117に付勢支持されており、調整ねじ128を回転することで、支持ブラケット122を支持軸123を支点として回動し、開閉カムフォロア117に対する助走面126a,126bの相対位置を調整することができる。
なお、上述した表爪駆動装置52では、支持軸65、第1連結リンク66、連結軸67、旋回カムフォロア68により本発明の第1リンク機構が構成され、支持軸65、第2連結リンク69、連結軸70、第3連結リンク71、カム入力軸72、セクタギア73、ピニオン75、レバー76、開閉カムフォロア77、トーションバー(付勢手段)72aにより本発明の第2リンク機構が構成される。一方、裏爪駆動装置53では、支持軸105、第1連結リンク106、連結軸107、旋回カムフォロア108により本発明の第1リンク機構が構成され、支持軸105、第2連結リンク109、連結軸110、第3連結リンク111、カム入力軸112、セクタギア113、連結軸114、ピニオン115、レバー116、開閉カムフォロア117、トーションバー(付勢手段)112aにより本発明の第2リンク機構が構成される。
ここで、両面印刷時における表爪駆動装置52及び裏爪駆動装置53の作動について、図1及び図2に基づいて説明する。
図1に示すように、一方の表爪駆動装置52(図1にて右上)において、反転胴38がこの図1に示す状態にあるとき、開閉カムフォロア77が開閉カム62aから離間し、第1連結リンク66と第2連結リンク69との係合部が押圧されていることから、表爪58が開いた状態にある。この状態から、反転胴38が時計回り方向に回転すると、旋回カムフォロア68が旋回カム63のカムプロフィールに応じて内側に移動し、外側爪軸54を時計回り方向に回動することで、表爪58を同方向に移動すると共に爪装置51を同方向に旋回させる。そして、開閉カムフォロア77が開閉カム62aに至ると、この開閉カム62aにより開閉カムフォロア77の外側への移動が規制されることから、外側爪軸54の反時計回り方向の回動が規制され、表爪58の回動位置が維持される。
このとき、開閉カムフォロア77は、相対速度調整機構81aにおける助走面86aに接触し、この助走面86aを転動しながら開閉カム62aのカム面に進入する。そのため、開閉カムフォロア77は、助走面86aによりその自転速度が所定速度まで上昇してから、開閉カム62aのカム面に進入することとなり、開閉カムフォロア77と開閉カム62aのカム面との接触による衝撃が緩和され、開閉カムフォロア77はスムーズに開閉カム62aのカム面に進入する。
反転胴38が更に時計回り方向に回転すると、開閉カムフォロア77が開閉カム62aから離脱する一方、旋回カムフォロア68が旋回カム63に接触し、内側への移動が規制されることで、表爪58の回動位置が維持される。その後、反転胴38が時計回り方向に回転すると、旋回カムフォロア68が旋回カム63のカムプロフィールに応じて外側に移動し、外側爪軸54を反時計回り方向に回動することで、爪装置51を同方向に旋回させる。そして、開閉カムフォロア77が開閉カム62bに至ると、この開閉カムフォロア77の外側への移動が開閉カム62bにより規制されることから、表爪58の回動位置が維持される。
このとき、開閉カムフォロア77は、相対速度調整機構81bにおける助走面86bに接触し、この助走面86bを転動しながら開閉カム62bのカム面に進入する。このとき、開閉カムフォロア77が助走面86bに接触した際、助走面86bに対して略垂直方向へ移動する。そのため、開閉カムフォロア77は、助走面86bによりその自転速度が所定速度まで上昇してから、開閉カム62bのカム面に進入することとなり、開閉カムフォロア77と開閉カム62bのカム面との接触による衝撃が緩和され、開閉カムフォロア77はスムーズに開閉カム62aのカム面に進入する。
そして、開閉カムフォロア77が開閉カム62bのカムプロフィールに応じて外側に移動するため、外側爪軸54が時計回り方向に回動して表爪58を開く。続いて、開閉カムフォロア77が開閉カム62bから離脱する一方、旋回カムフォロア68が旋回カム63からの駆動力を第1連結リンク66と第2連結リンク69との係合部を介して内側爪軸55を表爪58の開き状態に維持する。
一方、裏爪駆動装置53も同様に、図2に示すように、一方の裏爪駆動装置53(図2にて右上)において、反転胴38がこの図2に示す状態にあるとき、開閉カムフォロア117が開閉カム102aから離間し、第1連結リンク106と第2連結リンク109との係合部が押圧されていることから、裏爪60が開いた状態にある。この状態から、反転胴38が時計回り方向に回転すると、旋回カムフォロア108が旋回カム103のカムプロフィールに応じて外側に移動し、内側爪軸55を時計回り方向に回動することで、裏爪60を同方向に移動する。そして、開閉カムフォロア117が開閉カム102aに至ると、この開閉カム102aのカムプロフィールに応じて時計回り方向に移動し、内側爪軸55を時計回り方向に回動して裏爪60を閉じる。そして、反転胴38が時計回り方向に回転し、旋回カムフォロア108が旋回カム103により旋回カムフォロア108の内側への移動が規制されることから、内側爪軸55の反時計回り方向の回動が規制され、裏爪60の閉じ状態が維持される一方、開閉カムフォロア117は開閉カム102aから離脱する。
このとき、開閉カムフォロア117は、相対速度調整機構121aにおける助走面126aに接触し、この助走面126aを転動しながら開閉カム102aのカム面に進入する。そのため、開閉カムフォロア117は、助走面126aによりその自転速度が所定速度まで上昇してから、開閉カム102aのカム面に進入することとなり、開閉カムフォロア117と開閉カム102aのカム面との接触による衝撃が緩和され、開閉カムフォロア117はスムーズに開閉カム102aのカム面に進入する。
反転胴38が更に時計回り方向に回転すると、旋回カムフォロア107が旋回カム103のカムプロフィールに応じて内側に移動するため、内側爪軸55が時計回り方向に回動して裏爪60を開く。続いて、第1連結リンク106と第2連結リンク109との係合部が離脱する一方、開閉カムフォロア117が開閉カム102bに接触し、裏爪60の閉じ状態が維持される。
このとき、開閉カムフォロア117は、相対速度調整機構121bにおける助走面126bに接触し、この助走面126bを転動しながら開閉カム102bのカム面に進入する。そのため、開閉カムフォロア117は、助走面126bによりその自転速度が所定速度まで上昇してから、開閉カム102bのカム面に進入することとなり、開閉カムフォロア117と開閉カム102bのカム面との接触による衝撃が緩和され、開閉カムフォロア117はスムーズに開閉カム102bのカム面に進入する。
即ち、表爪駆動装置52及び裏爪駆動装置53は、基本的に、各旋回カム63,103により旋回カムフォロア68,108を作動することで、爪装置51における表爪58及び裏爪60の開閉動作を実行するものである。但し、印刷シートSの咥え動作及び咥え解除動作は、高精度に実行する必要があることから、印刷シートSの咥え動作は、まず、表爪58を裏爪60の閉止位置に移動し、次に、開閉カム102aにより裏爪60を閉止位置に移動することで、印刷シートSを適正位置で咥えるように構成する一方、印刷シートSの咥え解除動作は、先に、開閉カム62bにより表爪58を開放位置に移動することで、印刷シートSを適正位置で離すように構成している。
そして、爪装置51の表爪58及び裏爪60を閉止して印刷シートSを咥えてから、爪装置51の表爪58及び裏爪60を開放してこの印刷シートSを離すまでの間、表爪駆動装置52及び裏爪駆動装置53を同期して作動することで、各旋回カム63,103により旋回カムフォロア68,108を作動し、印刷シートSを保持した爪装置51を所定角度回動し、印刷シートSを反転する動作を実行している。
このように構成された反転装置14にて、印刷装置13により片面印刷を行う場合には、反転胴38の爪装置51が、反転倍胴中間胴37により搬送された印刷シートSの前端部を咥え、そのままの状態で圧胴34に受け渡す。一方、印刷装置13により両面印刷を行う場合には、爪装置51が、反転倍胴中間胴37により搬送された印刷シートSの後端部を咥え、反転胴38の回転に伴って爪装置51が反転し、咥えた印刷シートSの後端部を前端部として圧胴34に受け渡す。そのため、片面印刷時と両面印刷時では、爪装置51の動作が異なることから、印刷状態に応じて爪装置51が異なるような動作が実行できるようにする必要がある。
爪装置51は、爪駆動装置52,53により開閉動作及び旋回動作が実行されるものであるが、この爪駆動装置52,53は、旋回カム63,103や開閉カム62a,62b,102a,102bにより作動する。本実施例では、図4及び図5に示すように、旋回カム63,103として、片面印刷時に使用する第1旋回カム63a,103aと、両面印刷時に使用する第2旋回カム63b,103bとが装置フレーム61,101に固定されている。そして、反転胴38内には、第1リンク機構を第2リンク機構に対して移動することで旋回カムフォロア68,108を第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとの間で切り替える切替機構201が設けられている。
即ち、操作側の装置フレーム61と反転胴38の端面との間には、装置フレーム61に密着するように第1旋回カム63aと第2旋回カム63bとが固定されている。一方、駆動側の装置フレーム101と反転胴38の端面との間には、装置フレーム101に密着するように第1旋回カム103aと第2旋回カム103bとが固定されている。一方、各爪駆動装置52,53にて、第1連結リンク66,106は、支持軸65,105に一体に連結されており、この第1連結リンク66,106の一端部に旋回カムフォロア68,108が装着され、他端部に係合部66a,106aが形成されている。
そして、第1旋回カム63aまたは第2旋回カム63bの外周カム面に対して、旋回カムフォロア68が転動自在であり、第1旋回カム103aと第2旋回カム103bの外周カム面に対して、旋回カムフォロア108が転動自在となっている。切替機構201は、例えば、支持軸65,105の間に位置し、反転胴38に配置されたアクチュエータであり、反転胴38に対して支持軸65,105を軸方向における同方向に移動可能である。従って、この切替機構(アクチュエータ)201により支持軸65,105を軸方向に移動することで、第1連結リンク66,106を介して旋回カムフォロア68,108を移動し、第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとの間で切り替えることができる。
この場合、旋回カムフォロア68と旋回カムフォロア108は、周方向においてθだけ位相がずれて装着されている。そして、各旋回カム63a,63bは、回転領域θだけ位相が同じであり、各旋回カム103a,103bは、回転領域θをだけ位相が同じである。そのため、各旋回カム63a,63b,103a,103bは、回転領域θと回転領域θが合致する回転領域θだけ同じ位相となる。従って、反転胴38が回転するとき、旋回カムフォロア68,108が各旋回カム63a,63b,103a,103bにおける回転領域θを転動するだけ、旋回カム63a,63b,103a,103bのカムプロフィールが同様となる。そのため、切替機構201は、旋回カムフォロア68,108がこの回転領域θにあるときに、旋回カムフォロア68,108を第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとの間で切り替える。
また、本実施例では、切替機構201により旋回カムフォロア68,108を第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとの間で切り替えるとき、旋回カムフォロア68,108が第1旋回カム63a,103aや第2旋回カム63b,103bに押圧する面圧を低減するため、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構が設けられている。
即ち、図6及び図7に示すように、反転胴38と圧胴34との対接部にて、駆動側の装置フレーム101には、取付ブラケット211によりエアシリンダ212が水平方向に沿って固定されており、駆動ロッド213の先端部には連携解除部材としての連携解除カム214が連結されている。また、装置フレーム101には、連携解除カム214の移動をガイドするガイド部材215,216が固定されている。ガイド部材215は、連携解除カム214における水平方向の移動を許容し、反転胴38の軸方向の移動を規制する一方、ガイド部材216は、連携解除カム214における水平方向の移動を許容し、鉛直方向の移動を規制している。従って、エアシリンダ212を駆動することで、駆動ロッド213を往復移動し、連携解除カム214を反転胴38側に移動する連携解除位置(図6及び図7の二点鎖線位置)と、反転胴38から離間する退避位置(図6及び図7の実線位置)とに移動することができる。
この連携解除カム214は、反転胴38における外周側に突出したカム面214aが形成されている。このカム面214aは、裏爪駆動装置53における開閉カムフォロア117が作用することで、内側爪軸55を介して裏爪60を図6にて時計回り方向に所定角度だけ回動し、結果として爪装置51を所定角度だけ回動することができる。
従って、裏爪駆動装置53側にて、図9−1に示すように、エアシリンダ212により連携解除カム214を退避位置に移動したとき、反転胴38が回転しても、開閉カムフォロア117は連携解除カム214(カム面214a)に接触することはない。一方、図9−2に示すように、エアシリンダ212により連携解除カム214を連携解除位置に移動したとき、反転胴38が回転すると、開閉カムフォロア117が連携解除カム214のカム面214aに接触し、開閉カムフォロア117により内側爪軸55が所定角度だけ回動する。すると、裏爪駆動装置53にて、ピニオン115、セクタギア113、第3連結リンク111を介して第2連結リンク109を回動し、係合部109aが第1連結リンク106の係合部106aから離間し、各係合部106a,109aとの間に隙間Sが形成され、第1連結リンク106と第2連結リンク109との連携が解除される。
つまり、連携解除機構を構成する連携解除カム214は、付勢手段としてのトーションバー112aに抗して、第2リンク機構を第1リンク機構から離間させ、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除することができる。この場合、上述した連携解除位置(図6及び図7の二点鎖線位置)は、連携解除カム214が開閉カムフォロア117に接触して第2リンク機構を作動して第1リンク機構から離間させる位置である。また、退避位置(図6及び図7の実線位置)は、連携解除カム214が開閉カムフォロア117から離間する位置である。
一方、表爪駆動装置52では、図8に示すように、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構として、開閉カム62bが機能する。即ち、表爪駆動装置52側にて、反転胴38が回転すると、開閉カムフォロア77が開閉カム62bのカム面に接触し、開閉カムフォロア77により外側爪軸54が所定角度だけ回動する。すると、ピニオン75、セクタギア73、第3連結リンク71を介して第2連結リンク69を回動し、係合部69aが第1連結リンク66の係合部66aから離間し、各係合部66a,69aとの間に隙間Sが形成され、第1連結リンク66と第2連結リンク69との連携が解除される。
つまり、連携解除機構を構成する開閉カム62bは、付勢手段としてのトーションバー72aに抗して、第2リンク機構を第1リンク機構から離間させ、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除することができる。
ここで、実施例1の反転装置14の作動について、図10乃至図18に基づいて説明する。この場合、図11、図13乃至図18では、一方の爪装置は省略している。
オフセット枚葉印刷機により片面印刷を行う場合、反転装置14において、図10に示すように、反転倍胴中間胴37は、反時計回り方向に回転し、爪装置37aが印刷シートSの前端部を咥えて同方向に搬送する一方、反転胴38は、爪装置51が表爪58及び裏爪60が開放状態のままで移動方向の後方を向き、時計回り方向に回転する。そして、反転倍胴中間胴37により搬送される印刷シートSの前端部が反転胴38との対接部に接近し、反転胴38の爪装置51が反転倍胴中間胴37との対接部に接近すると、表爪駆動装置52が作動することで、表爪58を閉じて印刷シートSの前端部を咥える。
即ち、図1に示すように、旋回カム63により旋回カムフォロア68を作動することで表爪58を閉止し、表爪58と裏爪60により印刷シートSの前端部を咥える。そして、図11に示すように、反転胴38の爪装置51が印刷シートSの前端部を咥えると、反転倍胴中間胴37の爪装置37aは、印刷シートSの前端部の咥えを解除する。そして、反転胴38の回転により爪装置51(表爪58及び裏爪60)が咥えた印刷シートSを搬送する。
その後、印刷シートSを保持した反転胴38が時計回り方向に回転し、印刷シートSを咥えた爪装置51が圧胴34との対接部に接近すると共に、圧胴34の爪装置34aが反転胴38との対接部に接近すると、圧胴34の爪装置34aが印刷シートSの前端部を咥える一方、表爪駆動装置52が作動して表爪58を開くことで、印刷シートSの前端部を離す。
即ち、図1に示すように、旋回カム63により旋回カムフォロア68を作動することで表爪58を開放し、表爪58と裏爪60により印刷シートSを開放する。そして、圧胴34は、爪装置34aが印刷シートSを咥えると、反時計回り方向に回転して印刷シートSを搬送する一方、反転胴38は、爪装置51の表爪58と裏爪60が開放されたまま、時計回り方向に回転し、反転倍胴中間胴37により搬送される次の印刷シートSを受取りに行く。
そして、オフセット枚葉印刷機により両面印刷を行う場合には、切替機構201により第1旋回カム63a,103a上に位置している旋回カムフォロア68,108を、第2旋回カム63b,103b上に移動する。まず、図9−2に示すように、裏爪駆動装置53側にて、エアシリンダ212により連携解除カム214を前進して連携解除位置に移動する。この状態で、反転胴38を回転し、爪装置51を圧胴34との対接位置、つまり、旋回カムフォロア68,108が図5に示す回転領域θに位置するように移動する。
すると、図8に示すように、表爪駆動装置52側では、開閉カムフォロア77が開閉カム62bのカム面に接触し、開閉カムフォロア77により外側爪軸54が所定角度だけ回動する。そして、ピニオン75、セクタギア73、第3連結リンク71を介して第2連結リンク69が回動し、係合部69aが第1連結リンク66の係合部66aから離間し、両者の間に隙間Sを形成することで、第1連結リンク66と第2連結リンク69との連携が解除される。
一方、裏爪駆動装置53側では、開閉カムフォロア117が連携解除カム214のカム面214aに接触し、開閉カムフォロア117により内側爪軸55が所定角度だけ回動する。そして、ピニオン115、セクタギア113、第3連結リンク111を介して第2連結リンク109が回動し、係合部109aが第1連結リンク106の係合部106aから離間し、両者の間に隙間Sを形成することで、第1連結リンク106と第2連結リンク109との連携が解除される。
表爪駆動装置52にて、第1連結リンク66と第2連結リンク69との連携が解除されると共に、裏爪駆動装置53にて、第1連結リンク106と第2連結リンク109との連携が解除された状態では、第2リンク機構側におけるトーションバー72a,112aの付勢力が第1リンク機構側に作用しないことから、各旋回カムフォロア68,108は、トーションバー65a,105aの付勢力だけで旋回カム63,103に押圧されることとなり、この押圧力が低減される。
次に、図4に示すように、切替機構201を作動し、各支持軸65,105を軸方向、つまり、図4にて左方に移動する。すると、各支持軸65,105を介して第1連結リンク66,106が同方向に移動し、片面印刷用の第1旋回カム63a,103a上に位置している旋回カムフォロア68,108が、両面印刷用の第2旋回カム63b,103b上に移動する。このようにして反転装置14でのシート搬送形態、つまり、印刷形式を片面印刷から両面印刷に切替えることができる。
そして、オフセット枚葉印刷機により両面印刷を行う場合、反転装置14において、図12に示すように、反転倍胴中間胴37は、反時計回り方向に回転し、爪装置37aが印刷シートSの前端部を咥えて同方向に搬送する一方、反転胴38は、爪装置51が開放状態のままで、時計回り方向に回転する。そして、反転倍胴中間胴37により搬送される印刷シートSの後端部が反転胴38との対接部に接近し、反転胴38の爪装置51が反転倍胴中間胴37との対接部に接近すると、表爪駆動装置52と裏爪駆動装置53が順次作動することで、表爪58と裏爪60を閉じて印刷シートSの後端部を咥える。
即ち、図1及び図2に示すように、旋回カム63により旋回カムフォロア68を作動することで表爪58を閉止し、続いて、開閉カム102aにより開閉カムフォロア117を作動することで裏爪60を閉止し、図13に示すように、表爪58と裏爪60により印刷シートSの後端部を咥える。そして、反転胴38の爪装置51が印刷シートSの後端部を咥えると、反転倍胴中間胴37の爪装置37aは、印刷シートSの前端部の咥えを解除する。
各爪駆動装置52,53により各爪58,60が回動して印刷シートSの後端部を咥えると、次に、表爪駆動装置52及び裏爪駆動装置53が同期して作動し、反転胴38の回転に伴って爪装置51(表爪58及び裏爪60)を反転し、表爪58と裏爪60とで咥えた印刷シートSの後端部を前端部として搬送する。
即ち、図1及び図2に示すように、表爪駆動装置52にて、旋回カム63により旋回カムフォロア68を作動することで、外側爪軸54を図9−1にて反時計回り方向に回動する。また、この表爪駆動装置52の作動に同期して、裏爪駆動装置53にて、旋回カム103により旋回カムフォロア108を作動することで、内側爪軸55を図9−1にて反時計回り方向に回動する。すると、図14乃至図16に示すように、外側爪軸54と内側爪軸55が同期して反時計回り方向に回動し、表爪58と裏爪60は、印刷シートSの後端部を咥えたままで、200度程度回動し、この表爪58と裏爪60とで咥えた印刷シートSの後端部を前端部とする。
そして、反転胴38の時計回り方向の回転に伴って、表爪58(外側爪軸54)及び裏爪60(内側爪軸55)が所定角度回動すると、表爪駆動装置52及び裏爪駆動装置53による爪装置51の回動が停止する。
印刷シートSを保持した反転胴38が時計回り方向に回転し、印刷シートSを咥えた爪装置51が圧胴34との対接部に接近し、圧胴34の爪装置34aが反転胴38との対接部に接近すると、図17に示すように、圧胴34の爪装置34aが印刷シートSの前端部を咥える一方、各爪駆動装置52,53が作動して表爪58及び裏爪60を開けることで、印刷シートSの前端部を離す。
即ち、図1及び図2に示すように、開閉カム62bにより開閉カムフォロア77を作動することで表爪58を開放し、続いて、旋回カム103により旋回カムフォロア108を作動することで裏爪60を開放する。そして、図18に示すように、圧胴34は、爪装置34aが印刷シートSを咥えると、反時計回り方向に回転して印刷シートSを搬送する一方、反転胴38は、爪装置51の表爪58と裏爪60が開放されたまま、時計回り方向に回転し、反転倍胴中間胴37により搬送される次の印刷シートSを受取りに行く。
このように実施例1の枚葉印刷機の反転装置にあっては、反転胴38の外周部に印刷シートSの端部を咥える表爪58及び裏爪60を有する爪装置51を設け、装置フレーム61,101側に固定される第1旋回カム63a,103a及び第2旋回カム63b,103bにより旋回カムフォロア77,117が作動して表爪58及び裏爪60を開閉させると共に爪装置51を旋回させる爪駆動装置52,53を設けて構成し、旋回カムフォロア68,108により作動する第1リンク機構と、第1リンク機構の作動に連携して表爪58及び裏爪60の開閉または爪装置51の旋回を行う第2リンク機構とを設け、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構と、第1リンク機構を第2リンク機構に対して移動することで旋回カムフォロア68,108を第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとの間で切り替える切替機構201を設けている。
従って、連携解除機構により第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除した状態で、切替機構201により第1リンク機構を第2リンク機構に対して移動することで、旋回カムフォロア68,108を第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとの間で切り替えることとなり、旋回カムフォロア68,108は第2リンク機構の影響を受けることなく第1旋回カム63a,103aまたは第2旋回カム63b,103bへ切替えることができ、運転形式の切換え時における旋回カム63,103(63a,63b,103a,103b)と旋回カムフォロア68,108との摩耗を低減して耐久性を向上することができると共に、構造の簡素化を可能とすることができる。
また、実施例1の枚葉印刷機の反転装置では、爪装置51を表爪駆動装置52及び裏爪駆動装置53により爪軸54,55を支点として回動して表爪58及び裏爪60を開閉可能とすると共に印刷シートSの表裏を反転可能とし、この各爪駆動装置52,53は、反転胴38の中心側に固定される旋回カム63,103により旋回カムフォロア68,108が作動することで爪装置51を旋回可能であると共に、爪開閉時は、反転胴38の外周側に固定される開閉カム62a,62b,102a,102bに開閉カムフォロア77,117が接しながら作動することで、表爪58及び裏爪60を精度良く開閉可能としている。
従って、所定の領域で、開閉カムフォロア77,117が開閉カム62a,62b,102a,102bにより作動して表爪58及び裏爪60を開閉するため、印刷シートSの咥え動作と解除動作を高精度に行うことができる。その結果、印刷シートSを搬送するための爪58,60の開閉動作及び回動動作を適正に行い、印刷シートSの搬送動作の高精度化を可能とすることができる。
また、実施例1の枚葉印刷機の反転装置では、各爪駆動装置52,53にて、支持軸65,105、第1連結リンク66,106、連結軸67,107、旋回カムフォロア68,108により第1リンク機構を構成し、支持軸65,105、第2連結リンク69,109、連結軸70,110、第3連結リンク71,111、カム入力軸72,112、セクタギア73,113、ピニオン75,115、レバー76,116、開閉カムフォロア77,117、トーションバー(付勢手段)72a,117aにより第2リンク機構を構成している。そして、第1連結リンク66,106と第2連結リンク69,109との間に連携部を設けている。従って、連携解除機構によりトーションバー72a,117aに抗して第2リンク機構を作動することで、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を容易に解除することができ、トーションバー72a,117aの付勢力による各旋回カム63,103への旋回カムフォロア68,108の押圧力が低減され、運転形式の切換え時における旋回カム63,103と旋回カムフォロア68,108との摩耗を低減することができる。
また、実施例1の枚葉印刷機の反転装置では、装置フレーム61,101側に開閉カム62a,62b,102a,102bを固定し、第2リンク機構として、開閉カム62a,62b,102a,102bにより作動して表爪58及び裏爪60の開閉または爪装置51の旋回を行う開閉カムフォロア77,117を設け、連携解除機構として、開閉カムフォロア77,117を介して第2リンク機構を作動して第1リンク機構から離間させる連携解除カム214を設けている。従って、旋回カム63,103及び旋回カムフォロア68,108とは別に、開閉カム62a,62b,102a,102b及び開閉カムフォロア77,117を設けることで、表爪58及び裏爪60の開閉または爪装置51の旋回を高精度に行うことができると共に、連携解除機構として連携解除カム214を設け、この開閉カムフォロア77,117を利用することで、構造の簡素化を可能とすることができる。
また、実施例1の枚葉印刷機の反転装置では、連携解除カム214を第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとのカムプロフィールが同様である回転領域θに設けている。従って、第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bに対して旋回カムフォロア68,108を容易に移動して切替えることができる。
また、実施例1の枚葉印刷機の反転装置では、連携解除カム214を、エアシリンダ212により、開閉カムフォロア77,117に接触して第2リンク機構を作動して第1リンクから離間させる連携解除位置と、開閉カムフォロア77,117から離間する退避位置とに移動自在に支持している。従って、連携解除カム214の不要時には退避位置に移動することで、通常印刷時に障害となることを防止し、作業の効率化を図ることができる。
また、実施例1の枚葉印刷機の反転装置では、連携解除カム214をフレーム101側に設けており、連携解除カム214の装着が容易となり、製造作業の簡素化を可能とすることができる。
図20は、本発明の実施例2に係る枚葉印刷機の反転装置における連携解除機構を表す概略図、図21は、実施例2の枚葉印刷機の反転装置における連携解除機構の作動を表す概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例2の枚葉印刷機の反転装置において、図20及び図21に示すように、切替機構201により旋回カムフォロア68,108を第1旋回カム63a,103aと第2旋回カム63b,103bとの間で切り替えるとき、旋回カムフォロア68,108が第1旋回カム63a,103aや第2旋回カム63b,103bに押圧する面圧を低減するため、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構が設けられている。
即ち、反転胴38と圧胴34との対接部にて、反転胴38における駆動側には、エアシリンダ251が反転胴38の軸方向に沿って固定されており、駆動ロッドの先端部に連携解除部材としての連携解除ピン252が連結されている。従って、エアシリンダ251を駆動することで、駆動ロッドを往復移動し、連携解除ピン252を反転胴38の外側に移動する連携解除位置(図20の実線位置)と、反転胴38内に収容される退避位置とに移動することができる。
この連携解除ピン252は、裏爪駆動装置53における開閉カムフォロア117が当接することで、内側爪軸55を介して裏爪60を図21にて時計回り方向に所定角度だけ回動し、結果として爪装置51を所定角度だけ回動することができる。
従って、裏爪駆動装置53側にて、エアシリンダ251により連携解除ピン252の退避位置に移動したとき、反転胴38が回転しても、開閉カムフォロア117は連携解除ピン252に接触することはない。一方、エアシリンダ251により連携解除ピン252を連携解除位置に移動したとき、反転胴38が回転すると、開閉カムフォロア117が連携解除ピン252に当接し、開閉カムフォロア117により内側爪軸55が所定角度だけ回動する。すると、裏爪駆動装置53にて、ピニオン115、セクタギア113、第3連結リンク111を介して第2連結リンク109を回動し、係合部109aが第1連結リンク106の係合部106aから離間し、各係合部106a,109aとの間に隙間Sが形成され、第1連結リンク106と第2連結リンク109との連携が解除される。
つまり、連携解除機構を構成する連携解除ピン252は、付勢手段としてのトーションバー112aに抗して、第2リンク機構を第1リンク機構から離間させ、第1リンク機構と第2リンク機構との連携を解除することができる。この場合、上述した連携解除位置(図20の実線位置)は、連携解除ピン252が開閉カムフォロア117に接触して第2リンク機構を作動して第1リンク機構から離間させる位置である。
このように実施例2の枚葉印刷機の反転装置にあっては、連携解除部材を連携解除ピン252とし、反転胴38に設けている。従って、連携解除機構(連携解除ピン252)の簡素化が可能となり、また、切換え作業を容易に行うことができる。
なお、上述した各実施例では、連携解除部材を連係解除カム214や連携解除ピン252としたが、これに限定されるものではなく、開閉カムフォロア117に接触して第2リンク機構を第1リンク機構から離間させるように作動できるものであればよい。連携解除部材を、裏爪駆動装置53側に適用し、表爪駆動装置52側では、開閉カム62bを利用したが、開閉カム62bを廃止し、表爪駆動装置52側に連携解除部材を設けてもよい。
また、上述した各実施例では、本発明の枚葉印刷機の反転装置を、両面枚葉印刷機の反転装置に適用して説明したが、この装置に限定されるものではなく、片面枚葉印刷機の紙搬送装置に適用してもよい。
また、上述した各実施例では、印刷ユニット29,30の間に反転装置14を配置し、反転第1中間胴36と反転倍胴中間胴37と反転胴38とから構成したが、この構成に限るものではない。また、反転胴38は、倍胴でなくてもよい。更に、印刷装置13を4つの印刷ユニット28,29,30,31により構成したが、この構成に限らず、複数あればよく、2つでも5つ以上であってもよい。
本発明に係る枚葉印刷機の反転装置及び枚葉印刷機は、開閉カムフォロア及び開閉カムにおける表面の摩耗を抑制することで、シート搬送動作の高精度化を可能とするものであり、いずれの枚葉印刷機にも適用することができる。
本発明の実施例1に係る枚葉印刷機の反転装置における表爪駆動装置を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における裏爪駆動装置を表す断面図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における爪装置を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における旋回カムを表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における旋回カムのカムプロフィールを表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における連携解除機構を表す正面図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における連携解除機構を表す上面図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における表爪駆動装置側の連携解除機構の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における裏爪駆動装置側の連携解除機構の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における裏爪駆動装置側の連携解除機構の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における片面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における片面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における両面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における両面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における両面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における両面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における両面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における両面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機の反転装置における両面印刷時の反転胴の作動を表す概略図である。 実施例1の枚葉印刷機を表す概略図である。 本発明の実施例2に係る枚葉印刷機の反転装置における連携解除機構を表す概略図である。 実施例2の枚葉印刷機の反転装置における連携解除機構の作動を表す概略図である。
符号の説明
11 給紙装置
12 搬送装置
13 印刷装置
14 反転装置
15 排紙装置
36 反転第1中間胴
37 反転倍胴中間胴
38 反転胴
51 爪装置
52 表爪駆動装置
53 裏爪駆動装置
54 外側爪軸
55 内側爪軸
58 表爪(爪部材)
60 裏爪(爪部材)
62a,62b,102a,102b 開閉カム
63,103 旋回カム
63a,103a 第1旋回カム
63b,103b 第2旋回カム
66,106 第1連結リンク(第1リンク機構)
69,109 第2連結リンク(第2リンク機構)
68,108 旋回カムフォロア
72a,112a トーションバー(付勢手段)
77,117 開閉カムフォロア
201 切替機構
212 エアシリンダ(連携解除機構)
214 連携解除カム(連携解除機構、連携解除部材)
251 エアシリンダ(連携解除機構)
252 連携解除ピン(連携解除機構、連携解除部材)
S 印刷シート

Claims (8)

  1. 一対の印刷ユニットの間でフレームに回転可能に配置される反転胴と、
    該反転胴の外周部に設けられて印刷シートの端部を咥える爪部材を有する爪装置と、
    前記フレーム側に固定される第1旋回カム及び第2旋回カムと、
    前記反転胴側に設けられて前記第1旋回カムまたは前記第2旋回カムにより旋回カムフォロアが作動して前記爪部材を開閉させると共に前記爪装置を旋回させる爪駆動装置と、
    を備える枚葉印刷機の反転装置において、
    前記爪駆動装置は、前記旋回カムフォロアにより作動する第1リンク機構と、該第1リンク機構の作動に連携して前記爪部材の開閉または前記爪装置の旋回を行う第2リンク機構とを有し、
    前記第1リンク機構と前記第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構と、
    前記第1リンク機構を前記第2リンク機構に対して移動することで前記旋回カムフォロアを前記第1旋回カムと前記第2旋回カムとの間で切り替える切替機構と、を設ける、
    ことを特徴とする枚葉印刷機の反転装置。
  2. 前記第2リンク機構は、前記第1リンク機構を介して前記旋回カムフォロアを前記第1旋回カムまたは前記第2旋回カムに押圧する付勢手段を有し、前記連携解除機構は、前記付勢手段に抗して前記第2リンク機構を前記第1リンク機構から離間させることで、前記第1リンク機構と前記第2リンク機構との連携を解除することを特徴とする請求項1に記載の枚葉印刷機の反転装置。
  3. 前記フレーム側に開閉カムが固定され、前記第2リンク機構は、前記開閉カムにより作動して前記爪部材の開閉または前記爪装置の旋回を行う開閉カムフォロアを有し、前記連携解除機構として、前記開閉カムフォロアを介して前記第2リンク機構を作動して前記第1リンク機構から離間させる連携解除部材を設けることを特徴とする請求項2に記載の枚葉印刷機の反転装置。
  4. 前記連携解除部材は、前記第1旋回カムと前記第2旋回カムとのカムプロフィールが同様である回転領域に設けられることを特徴とする請求項3に記載の枚葉印刷機の反転装置。
  5. 前記連携解除部材は、前記開閉カムフォロアに接触して前記第2リンク機構を作動して前記第1リンク機構から離間させる連携解除位置と、前記開閉カムフォロアから離間する退避位置とに移動自在に支持されることを特徴とする請求項3または4に記載の枚葉印刷機の反転装置。
  6. 前記連携解除部材は、前記フレーム側に設けられることを特徴とする請求項5に記載の枚葉印刷機の反転装置。
  7. 前記連携解除部材は、前記反転胴側に設けられることを特徴とする請求項5に記載の枚葉印刷機の反転装置。
  8. 給紙台上に積み重ねられた印刷シートを吸引して送り出す給紙装置と、
    インキ装置から版胴を介してゴム胴に供給されたインキを印刷シートに転写して印刷を行う複数の印刷ユニットを有する印刷装置と、
    前記複数の印刷ユニットの間に設けられて印刷シートの前端部を咥えて搬送可能であると共に印刷シートの後端部を咥えて表裏を反転させて搬送可能である反転装置と、
    前記印刷装置で印刷が施された印刷シートを排紙台に積み重ねて排紙する排紙装置と、を備える枚葉印刷機において、
    前記反転装置は、
    フレームに回転可能に配置される反転胴と、
    該反転胴の外周部に設けられて印刷シートの端部を咥える爪部材を有する爪装置と、
    前記フレーム側に固定される第1旋回カム及び第2旋回カムと、
    前記反転胴側に設けられて前記第1旋回カムまたは前記第2旋回カムにより旋回カムフォロアが作動して前記爪部材を開閉させると共に前記爪装置を旋回させる爪駆動装置と、を有し、
    前記爪駆動装置は、前記旋回カムフォロアにより作動する第1リンク機構と、該第1リンク機構の作動に連携して前記爪部材の開閉または前記爪装置の旋回を行う第2リンク機構とを有し、
    前記第1リンク機構と前記第2リンク機構との連携を解除する連携解除機構と、
    前記第1リンク機構を前記第2リンク機構に対して移動することで前記旋回カムフォロアを前記第1旋回カムと前記第2旋回カムとの間で切り替える切替機構と、
    を設ける、
    ことを特徴とする枚葉印刷機。
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JP2014030961A (ja) * 2012-08-03 2014-02-20 Tokai Seiki Co Ltd シリンダ型スクリーン印刷機

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