JP2000129484A - 電鋳用離型剤 - Google Patents

電鋳用離型剤

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JP2000129484A JP10300510A JP30051098A JP2000129484A JP 2000129484 A JP2000129484 A JP 2000129484A JP 10300510 A JP10300510 A JP 10300510A JP 30051098 A JP30051098 A JP 30051098A JP 2000129484 A JP2000129484 A JP 2000129484A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した良好な離型性が得られると共に導電
性を有する離型皮膜を形成し得る電鋳用離型剤であっ
て、毒性が弱くて安全であると共に取り扱いが簡単であ
り、又、微妙な形状を忠実に再現し得る薄い離型皮膜を
形成し得る電鋳用離型剤を提供する。 【解決手段】 一般式(R1 NH)(R2 NH)C=Sで
表されるチオ尿素誘導体から選ばれる化合物を、少なく
とも1種類含有することを特徴とする電鋳用離型剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電鋳用離型剤に関
し、特には、電鋳母型から電鋳製品を離型するために使
用される電鋳用離型剤に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】金型、管等を製造する方法の一つとし
て、電鋳プロセスがある。これは、母型上に電気めっき
を施した後、このめっき(即ち電鋳品)を母型から離型
するものであり、射出成形用金型等の製造に広く利用さ
れている。
【0003】上記電鋳プロセスにおいて、使用される母
型の素材としてはステンレス、銅、ニッケル、アルミニ
ウム、クロム、鋼、真鍮などがある。これらの母型から
めっき(電鋳品)を離型し易くするという離型効果を得
るため、電気めっき前に母型表面に化学的処理等による
離型皮膜の形成が行われ、しかる後、電気めっきが施さ
れ、そしてめっき(電鋳品)の離型が行われる。例え
ば、特開平4-45297 号公報に記載された方法では、複素
環式チアジアゾール誘導体を含む溶液に母型を浸漬した
後に電気めっきを施すことにより、離型効果を得てい
る。又、母型をクロム酸溶液に浸漬してクロム酸皮膜を
形成させる方法や、塗料を塗布する方法が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記クロム酸皮膜の形
成による方法においては、クロム酸皮膜は離型皮膜とし
て良好な離型性を示すものの、クロム酸は毒性が強いの
で環境に与える影響が懸念されるため、取り扱いに困難
が伴うという問題点がある。前記塗料の塗布による方法
では、膜厚が厚くなるため、微妙な形状を忠実に再現す
ることが難しく、さらに導電性を持たせなければならな
いという欠点がある。前記複素環式チアジアゾール誘導
体を含む溶液への浸漬による方法では、複素環式チアジ
アゾール誘導体はクロム酸よりは毒性が弱いものの、や
や毒性(LD50=200mg/kg程度)をもつために取り扱いに
困難が伴う他、価格が高くて電鋳処理コストが高くなる
という欠点がある。尚、LD50とは、50%致死量のことで
あり、物質を1回投与したのち、一定期間内に動物の半
数を死亡させる量のことである。
【0005】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、安定した良好な離型性が得
られると共に導電性を有する離型皮膜を形成し得る電鋳
用離型剤であって、毒性が弱くて安全であると共に取り
扱いが簡単であり、又、微妙な形状を忠実に再現し得る
薄い離型皮膜を形成し得る電鋳用離型剤を提供しようと
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、チオ尿素
またはその誘導体を含有する電鋳用離型剤によれば、安
定した良好な離型性が得られる離型皮膜を形成し得るこ
とを見出した。
【0007】チオ尿素及びその誘導体は、毒性が弱く
(LD50=8500mg/kg )、クロム酸(六価クロム)よりも
はるかに安全であり、複素環式チアジアゾール誘導体等
のチアジアゾール類よりさらに安全であるため、取り扱
いが簡単である。又、チオ尿素及びその誘導体において
は金属イオン(Mn、Fe、Co、Cd、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、
Rh、Ti、Pb、Cr、Al等の金属イオン)との安定な錯体が
多数知られているが、複素環式チアジアゾール誘導体等
のチアジアゾール類では金属イオンとの安定な錯体が知
られていないことから分かる如く、チオ尿素やチオ尿素
誘導体によって形成される離型皮膜は複素環式チアジア
ゾール誘導体によって形成される離型皮膜よりもはるか
に強固であり、又、分子レベルの厚さであるから、微妙
な形態や形状までも忠実に再現し得、且つ、導電性を有
している。尚、チオ尿素誘導体は、一般式(R1 NH)
(R2 NH)C=Sで表されるものであり、この式での
1 がH、R2 がHであるとき、(NH2)2 C=Sとな
り、これがチオ尿素である。
【0008】本発明は、かかる知見に基づき完成された
ものであり、請求項1〜6記載の電鋳用離型剤としてお
り、それは次のような構成としたものである。
【0009】即ち、請求項1記載の電鋳用離型剤は、一
般式(R1 NH)(R2 NH)C=Sで表されるチオ尿素
誘導体から選ばれる化合物を少なくとも1種類含有する
ことを特徴とする電鋳用離型剤である。但し、上記式に
おいて、R1 ,R2 はH又は炭化水素基である(第1発
明)。
【0010】請求項2記載の電鋳用離型剤は、前記R
1 ,R2 がアルキル基である請求項1記載の電鋳用離型
剤である(第2発明)。請求項3記載の電鋳用離型剤
は、前記アルキル基R1 ,R2 の炭素数がそれぞれ10
以下である請求項2記載の電鋳用離型剤である(第3発
明)。
【0011】請求項4記載の電鋳用離型剤は、前記R
1 ,R2 がHである請求項1記載の電鋳用離型剤である
(第4発明)。
【0012】請求項5記載の電鋳用離型剤は、前記チオ
尿素誘導体を含有する溶液中のチオ尿素誘導体濃度が
0.05〜20g/リットルである請求項1、2、3又
は4記載の電鋳用離型剤である(第5発明)。請求項6
記載の電鋳用離型剤は、前記チオ尿素誘導体を含有する
溶液のpHが4以下である請求項1、2、3、4又は5
記載の電鋳用離型剤である(第6発明)。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、例えば次のような形態
で実施する。チオ尿素又はその誘導体〔(R1 NH)(R
2 NH)C=S〕を水に添加、混合して溶解させる。そ
うすると、チオ尿素又はその誘導体を含有する水溶液か
らなる電鋳用離型剤が得られる。この電鋳用離型剤に電
鋳用母型を浸漬して該母型の表面に離型皮膜を形成させ
た後、この母型上に電気めっきを施し、そしてこのめっ
き(電鋳品)の離型を行う。
【0014】このような形態で本発明に係る電鋳用離型
剤が得られ、そして電鋳用離型剤として使用される。
【0015】以下、本発明について主にその作用効果を
説明する。
【0016】チオ尿素は、様々な金属の塩や酸化物と付
加化合物を形成し、又、金属イオンとは安定な錯体をつ
くる性質がある。このため、種々の材料よりなる電鋳用
母型をチオ尿素を含有する電鋳用離型剤に浸漬すると、
母型表面に微量に存在する金属塩、酸化物、金属イオン
にチオ尿素が結合して膜状に整列し、強固な分子レベル
の厚さの離型皮膜が形成される。こうしてチオ尿素によ
り覆われた母型表面にはそれ以上チオ尿素が結合するこ
とはできないため、離型皮膜が厚膜化することがない。
又、この離型皮膜は導電性を有している。
【0017】上記離型皮膜は上記の如く導電性を有して
いるので、電気めっきを施して電鋳を行うことができ
る。この電気めっきの際、上記離型皮膜の上にめっきが
成長するが、離型皮膜を形成しているチオ尿素とめっき
との間には結合が存在しない。このため、電気めっき
後、めっき(電鋳品)を簡単に離型し得、離型性は極め
て良好である。
【0018】又、上記離型皮膜は、上記の如く強固な分
子レベルの厚さの離型皮膜であるから、微妙な形態や形
状までも忠実に再現し得る。
【0019】上記チオ尿素に代えてチオ尿素誘導体を含
有する電鋳用離型剤の場合も、上記の場合と同様の作用
効果が得られる。
【0020】チオ尿素もチオ尿素誘導体も、前述の如
く、毒性が弱く(LD50=8500mg/kg)、クロム酸(六価ク
ロム)よりもはるかに安全であり、複素環式チアジアゾ
ール誘導体よりさらに安全であるため、取り扱いが簡単
である。
【0021】そこで、本発明に係る電鋳用離型剤は、一
般式(R1 NH)(R2 NH)C=Sで表されるチオ尿素
誘導体から選ばれる化合物を少なくとも1種類含有する
ことを特徴とする電鋳用離型剤であることとしている
(第1発明)。但し、上記式において、R1 ,R2 はH
又は炭化水素基である。
【0022】従って、本発明に係る電鋳用離型剤によれ
ば、安定した良好な離型性が得られると共に導電性を有
する離型皮膜を形成し得、又、微妙な形状を忠実に再現
し得る薄い離型皮膜を形成し得る。このため、電気めっ
き後のめっき(電鋳品)を簡単に離型し得、又、微妙な
表面形状の電鋳品も製作し得る。又、本発明に係る電鋳
用離型剤は、毒性が弱くて安全であると共に取り扱いが
簡単であるという有利な点を有する。
【0023】本発明に係る電鋳用離型剤に含有されるチ
オ尿素誘導体〔(R1 NH)(R2 NH)C=S〕におけ
るR1 ,R2 は、前記の如く、H又は炭化水素基であ
る。このR1 ,R2 が炭化水素基である場合、これが直
鎖であっても分岐構造であっても、アルケニル基やアル
キニル基であっても離型効果(離型性向上効果)に影響
はない。但し、2重結合や3重結合を含む場合は酸化作
用を受け易く、耐久性が低下することから、アルキル基
であることが望ましい(第2発明)。
【0024】前記R1 ,R2 の炭素数に関し、これが1
0超である場合には水に対する溶解度が小さく良好な離
型皮膜が形成され難いことから、炭素数は10以下であ
ることが望ましい(第3発明)。さらに入手のし易さの
観点からすると、前記R1 ,R2 がHであること、即
ち、(R1 NH)(R2 NH)C=Sがチオ尿素であるこ
とが望ましい(第4発明)。
【0025】本発明に係る電鋳用離型剤によれば安定し
た良好な離型性が得られ、又、微妙な形状を忠実に再現
し得る薄い離型皮膜を形成し得るのは、前述のことから
分かる如く、この離型剤の溶液に含有されているチオ尿
素やチオ尿素誘導体の付加化合物形成作用及び錯体形成
作用に起因している。このチオ尿素やチオ尿素誘導体の
付加化合物形成作用及び錯体形成作用は、チオ尿素やチ
オ尿素誘導体を含有する離型剤溶液のpHが4以下であ
る場合に著しく、離型皮膜が特に強固に形成される。か
かる点から、チオ尿素やチオ尿素誘導体を含有する離型
剤溶液のpHは4以下であることが望ましい(第6発
明)。但し、pHが1未満である場合、離型性は劣化し
ないものの、電鋳用母型の表面が荒れる可能性があり、
又、強酸である離型剤溶液の取り扱いに注意が必要とな
ることから、pH1〜4とすることがより好ましい。
尚、チオ尿素のみを含む水溶液(pHは約5)でも離型
性はよいが、これに硫酸等の酸を添加してpHを4以下
に調整して用いることが望ましい。離型剤溶液のpH調
整は酸の添加等により行うことができ、かかる酸として
は例えば硫酸や硝酸を用いることができる。
【0026】離型剤溶液中のチオ尿素誘導体濃度につい
ては、0.05g/リットル(以下L)未満の場合は離
型効果が低くなり、20g/L超の場合には離型効果が
飽和しそれ以上改善されず、かかる点からすると0.0
5〜20g/Lとすることが望ましい(第5発明)。
【0027】尚、本発明において一般式(R1 NH)(R
2 NH)C=Sで表されるチオ尿素誘導体は、R1
H、R2 =Hであるときの(NH2)2 C=S、即ちチオ
尿素を含むものである。(R1 NH)(R2 NH)C=S
におけるR1 とR2 とは同一であるか或いは異なる。
【0028】本発明に係る離型剤はチオ尿素誘導体を含
有するものであるが、pH調整等のために酸を含むこと
ができ、又、取り扱い上の支障等を招かない程度の少量
であればチアジアゾール誘導体やクロム酸を含んでも差
し支えはない。
【0029】
【実施例】(実施例1−A)チオ尿素を水に溶解させ、
チオ尿素濃度8g/Lの水溶液からなる電鋳用離型剤を
得た。この電鋳用離型剤に真鍮製の射出成形用金型電鋳
用母型(射出成形用金型電鋳用の真鍮製母型)を室温に
て2分間浸漬して該母型の表面に離型皮膜を形成させた
後、水洗した。次に、この母型上に表1に示す組成のス
ルファミン酸ニッケル浴から厚さ2.5mm のニッケルめっ
きを電析させた。しかる後、母型上に電析しためっき
(めっきモールド)の離型を行ったところ、めっきモー
ルドは全く抵抗なしに容易に離型することができた。
【0030】(実施例1−B)チオ尿素を水に溶解さ
せ、チオ尿素濃度20g/Lの水溶液(電鋳用離型剤)を
得た。この離型剤に真鍮製の射出成形用金型電鋳用母型
を室温にて2分間浸漬した後、水洗した。次に、この母
型上に表1に示す組成のスルファミン酸ニッケル浴から
厚さ2.5mm のニッケルめっきを電析させた。しかる後、
母型上のめっきモールドの離型を行ったところ、めっき
モールドは全く抵抗なしに容易に離型することができ
た。尚、このときの離型性は実施例1−Aの場合と同様
であった。
【0031】(実施例1−C)チオ尿素を水に溶解さ
せ、チオ尿素濃度0.04g/Lの水溶液を得た。この水溶
液(離型剤)に真鍮製の射出成形用金型電鋳用母型を室
温にて2分間浸漬した後、水洗した。次に、この母型上
に表1に示す組成のスルファミン酸ニッケル浴から厚さ
2.5mm のニッケルめっきを電析させた。しかる後、母型
上のめっきモールドの離型を行ったところ、めっきモー
ルドはやや抵抗があるものの容易に離型することができ
た。
【0032】(実施例2)チオ尿素を水に溶解させ、さ
らに硫酸を加えて、チオ尿素濃度3g/L、pH3の水
溶液(電鋳用離型剤)を得た。この水溶液にステンレス
製の電鋳管母型を室温にて2分間浸漬した後、水洗し
た。次に、この母型上に表1に示す組成のスルファミン
酸ニッケル浴から厚さ1mmのニッケルめっきを電析させ
た。しかる後、母型上のめっきモールド(電鋳管)の離
型を行ったところ、電鋳管は全く抵抗なしに離型するこ
とができた。
【0033】(実施例3)チオ尿素を水に溶解させ、さ
らに硫酸を加えて、チオ尿素濃度2g/L、pH2.1 の
水溶液を得た。この水溶液(離型剤)に銅製の美術工芸
品電鋳用母型を室温にて2分間浸漬した後、水洗した。
次に、この母型上に表2に示す組成の硫酸銅浴から厚さ
1mmの銅めっきを電析させた。しかる後、母型上のめっ
きモールドの離型を行ったところ、全く抵抗なしに離型
することができた。
【0034】(実施例4)N, N'-ジメチルチオ尿素を
水に溶解させ、さらに硫酸を加えて、N, N'-ジメチル
チオ尿素濃度3g/L、pH2.1 の水溶液(電鋳用離型
剤)を得た。この水溶液にニッケル製の建築金物電鋳用
母型を室温にて2分間浸漬した後、水洗した。次に、こ
の母型上に表1に示す組成のスルファミン酸ニッケル浴
から厚さ1mmのニッケルめっきを電析させた。しかる
後、母型上のめっきモールドの離型を行ったところ、全
く抵抗なしに離型することができた。
【0035】(実施例5)N, N'-ジエチルチオ尿素を
水に溶解させ、さらに硫酸を加えて、N, N'-ジエチル
チオ尿素濃度3g/L、pH2.5 の水溶液を得た。この
水溶液(離型剤)にステンレス製のプレス用金型電鋳用
母型を室温にて2分間浸漬した後、水洗した。次に、こ
の母型上に表1に示す組成のスルファミン酸ニッケル浴
から厚さ1mmのニッケルめっきを電析させた。しかる
後、母型上のめっきモールドの離型を行ったところ、全
く抵抗なしに離型することができた。
【0036】(実施例6)N, N'-ジエチルチオ尿素を
水に溶解させ、さらに硫酸を加えて、N, N'-ジエチル
チオ尿素濃度3g/L、pH2.5 の水溶液を得た。この
水溶液にステンレス板を室温にて2分間浸漬した後、水
洗した。次に、このステンレス板上に表3に示す組成の
無電解ニッケルりんめっき浴から厚さ50μm のニッケル
めっきを析出させた。しかる後、ステンレス板上のニッ
ケルりんめっき箔の離型を行ったところ、ニッケルりん
めっき箔は全く抵抗なしに離型することができた。
【0037】(実施例7)チオ尿素を水に溶解させ、さ
らに硫酸を加えて、チオ尿素濃度3g/L、pH1.1 の
水溶液を得た。この水溶液にステンレス板を室温にて2
分間浸漬した後、水洗した。次に、このステンレス板上
に表4に示す組成の金めっき浴から浴温度90℃にて厚さ
10μm の金めっきを析出させた。しかる後、ステンレス
板上の金めっき箔の離型を行ったところ、金めっき箔は
全く抵抗なしに離型することができた。
【0038】(実施例8)チオ尿素およびN, N'-ジメ
チルチオ尿素を水に溶解させ、さらに硫酸を加えて、チ
オ尿素濃度1.5 g/L、N, N'-ジメチルチオ尿素濃度
1.5 g/L、pH1.2 の水溶液を得た。この水溶液にス
テンレス製の電鋳管母型を室温にて2分間浸漬した後、
水洗した。次に、この母型上に表1に示す組成のスルフ
ァミン酸ニッケル浴から厚さ100 μm のニッケルめっき
を電析させた。しかる後、母型上の電鋳管の離型を行っ
たところ、電鋳管は全く抵抗なしに離型することができ
た。
【0039】(実施例9)N, N'-ジデシルチオ尿素を
水に溶解させ、さらに硫酸を加えて、N, N'-ジデシル
チオ尿素濃度0.1 g/L、pH1.2 の水溶液を得た。こ
の水溶液にステンレス製の電鋳管母型を室温にて2分間
浸漬した後、水洗した。次に、この母型上に表1に示す
組成のスルファミン酸ニッケル浴から厚さ100 μm のニ
ッケルめっきを電析させた。しかる後、母型上の電鋳管
の離型を行ったところ、電鋳管はやや抵抗があるものの
容易に離型することができた。
【0040】(実施例10)N, N'-ジドデシルチオ尿素
を水に溶解させ、さらに硫酸を加えて、N, N'-ジドデ
シルチオ尿素濃度0.08g/L、pH1.2 の水溶液を得
た。この水溶液にステンレス製の電鋳管母型を室温にて
2分間浸漬した後、水洗した。次に、この母型上に表1
に示す組成のスルファミン酸ニッケル浴から厚さ50μm
のニッケルめっきを電析させた。しかる後、母型上の電
鋳管の離型を行ったところ、電鋳管はやや抵抗があるも
のの容易に離型することができた。
【0041】(実施例11)N, N'-メチルエチルチオ尿
素を水に溶解させ、更に硫酸を加えて、N, N'-メチル
エチルチオ尿素濃度3g/L、pH2.5 の水溶液を得
た。この水溶液にステンレス製のプレス用金型電鋳用母
型を室温にて2分間浸漬した後、水洗した。次に、この
母型上に表1に示す組成のスルファミン酸ニッケル浴か
ら厚さ1mmのニッケルめっきを電析させた。しかる後、
母型上のめっきモールドの離型を行ったところ、全く抵
抗なしに離型することができた。
【0042】(実施例12)N, N'-ジメチルチオ尿素を
水に溶解させ、さらに硫酸を加えて、N, N'-ジメチル
チオ尿素濃度3g/L、pH2.1 の水溶液を得た。さら
に、この水溶液に3-エチル-5- メルカプト-1,2,4チアジ
アゾールを0.5 g/Lになるように添加した。このよう
にして得られた水溶液(電鋳用離型剤)にニッケル製建
築金物電鋳用母型を室温にて2分間浸漬した後、水洗し
た。次に、この母型上に表1に示す組成のスルファミン
酸ニッケル浴から厚さ1mmのニッケルめっきを電析させ
た。しかる後、母型上のめっきモールドの離型を行った
ところ、全く抵抗なしに離型することができた。
【0043】(実施例13)チオ尿素を水に溶解させ、さ
らに硝酸を加えて、チオ尿素濃度3g/L、pH3の水
溶液(電鋳用離型剤)を得た。この水溶液にステンレス
製の電鋳管母型を室温にて2分間浸漬した後、水洗し
た。次に、この母型上に表1に示す組成のスルファミン
酸ニッケル浴から厚さ1mmのニッケルめっきを電析させ
た。しかる後、母型上のめっきモールド(電鋳管)の離
型を行ったところ、電鋳管は全く抵抗なしに離型するこ
とができた。
【0044】(実施例14)チオ尿素を水に溶解させ、さ
らに塩酸を加えて、チオ尿素濃度3g/L、pH3の水
溶液を得た。この水溶液にステンレス製の電鋳管母型を
室温にて2分間浸漬した後、水洗した。次に、この母型
上に表1に示す組成のスルファミン酸ニッケル浴から厚
さ1mmのニッケルめっきを電析させた。しかる後、母型
上のめっきモールド(電鋳管)の離型を行ったところ、
電鋳管は全く抵抗なしに離型することができた。
【0045】(実施例15)チオ尿素を水に溶解させ、さ
らに硫酸を加えて、チオ尿素濃度3g/L、pH0.1 の
水溶液を得た。この水溶液にステンレス製の電鋳管母型
を室温にて2分間浸漬した後、水洗した。次に、この母
型上に表1に示す組成のスルファミン酸ニッケル浴から
厚さ1mmのニッケルめっきを電析させた。しかる後、母
型上のめっきモールド(電鋳管)の離型を行ったとこ
ろ、電鋳管は全く抵抗なしに離型することができた。
【0046】このような電鋳管母型の浸漬、水洗、母型
上へのニッケルめっきの電析、母型上のめっきモールド
の離型という操作を20回繰り返した後に、ステンレス
製電鋳管母型表面にやや荒れが観察された。
【0047】(比較例1)三酸化クロム濃度75g/L、
硫酸濃度15g/Lの水溶液中に銅製の美術工芸品電鋳用
母型を50℃にて2分間浸漬した後、水洗した。次に、こ
の母型上に表2に示す組成の硫酸銅浴から厚さ1mmの銅
めっきを電析させた。しかる後、母型上のめっきモール
ドの離型を行ったところ、全く抵抗なしに離型すること
ができた。但し、本法では有毒な三酸化クロムを用いる
ため、作業に細心の注意が必要であり、又、廃液処理な
どの際の取り扱いも困難である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】本発明に係る電鋳用離型剤によれば、安
定した良好な離型性が得られると共に導電性を有する離
型皮膜を形成し得、又、微妙な形状を忠実に再現し得る
薄い離型皮膜を形成し得る。このため、電気めっき後の
めっき(電鋳品)を簡単に離型し得、又、微妙な表面形
状の電鋳品も製作し得る。又、本発明に係る電鋳用離型
剤は、毒性が弱くて安全であると共に取り扱いが簡単で
あるという有利な点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 漆原 亘 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 中山 武典 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(R1 NH)(R2 NH)C=Sで
    表されるチオ尿素誘導体から選ばれる化合物を少なくと
    も1種類含有することを特徴とする電鋳用離型剤。但
    し、上記式において、R1 ,R2 はH又は炭化水素基で
    ある。
  2. 【請求項2】 前記R1 ,R2 がアルキル基である請求
    項1記載の電鋳用離型剤。
  3. 【請求項3】 前記アルキル基R1 ,R2 の炭素数がそ
    れぞれ10以下である請求項2記載の電鋳用離型剤。
  4. 【請求項4】 前記R1 ,R2 がHである請求項1記載
    の電鋳用離型剤。
  5. 【請求項5】 前記チオ尿素誘導体を含有する溶液中の
    チオ尿素誘導体濃度が0.05〜20g/リットルであ
    る請求項1、2、3又は4記載の電鋳用離型剤。
  6. 【請求項6】 前記チオ尿素誘導体を含有する溶液のp
    Hが4以下である請求項1、2、3、4又は5記載の電
    鋳用離型剤。
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