JP2000012343A - 樹脂モールドコイル及びその製造方法 - Google Patents

樹脂モールドコイル及びその製造方法

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Yoichi Kamo
洋一 加茂
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敦 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂硬化時及び変圧器運転時の熱応力を緩和
し、変圧器短絡事故時の電磁機械力に対する強度を高
め、そして、内金型の代わりに繊維質材料に熱硬化性樹
脂を含浸、硬化したボビンを使う場合、巻線時のテンシ
ョンに対する強度を向上させ、信頼性の高い樹脂モール
ドコイル及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 ボビン1と、巻線2と、モールド樹脂3
と、からなる樹脂モールドコイルにおいて、ボビン1
は、繊維質のガラス基材のプリプレグ材11、12の複
数の層からなる。ボビン1は、熱硬化性樹脂を少なく含
有し硬化したプリプレグ材からなる巻線2に遠い層11
と、熱硬化性樹脂を多く含有し硬化したプリプレグ材か
らなる巻線2に近い層11と、を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂モールドコイ
ル及びその製造方法に係り、特に静止誘導機器に備えら
れる変圧器を構成する樹脂モールドコイル及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のモールド変圧器等の樹脂モールド
コイルは、特開昭57−187921号公報に見られる
ように内金型の上に繊維質材料に熱硬化性樹脂、例えば
エポキシ系樹脂、を含浸し、半硬化状態にしたプリプレ
グ材を巻回し、そして、モールド樹脂、例えばエポキシ
系樹脂、を充填し硬化していた。しかし、変圧器短絡事
故時等に発生する電磁機械力に対する強度を向上させる
場合や内金型の代わりに繊維質材料に熱硬化性樹脂を含
浸、硬化したボビンを使う場合、繊維質材料としてガラ
ス基材が主に用いられる。
【0003】従来のモールド変圧器は、繊維質のガラス
基材に熱硬化性樹脂を含有させ硬化したプリプレグ材を
巻線の内周に配置していた。巻線導体の線膨張係数は、
アルミニウムは約2.35×1/105、銅は約1.6
5×1/105であり、一方、プリプレグ材に使用する
ガラス基材の線膨張係数は約0.6×1/105であっ
て、線膨張係数の違いから、樹脂硬化時や変圧器運転時
に熱応力が発生し、樹脂モールドコイルにクラックが発
生することがある。そして、そのクラックから水分、塵
埃などが巻線内に侵入し、絶縁破壊事故を起こす原因の
1つであった。繊維質のガラス基材に熱硬化性樹脂の含
有量を多くしてプリプレグ材の線膨張係数を大きくな
り、熱応力は緩和されるが、プリプレグ材硬化物の強度
が低下し、変圧器短絡事故時の電磁機械力に対する強度
不足となり、そして、内金型の代わりに繊維質材料に熱
硬化性樹脂を含浸、硬化したボビンを使う場合、巻線時
のテンションに対する強度不足となる。また、内金型を
使用せずに繊維質材料に熱硬化性樹脂を含浸、硬化した
ボビンを使う場合、巻線と剥離し易く、熱応力によりク
ラックが発生し易いという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、樹脂
硬化時及び変圧器運転時の熱応力を緩和し、変圧器短絡
事故時の電磁機械力に対する強度を高め、そして、内金
型の代わりに繊維質材料に熱硬化性樹脂を含浸、硬化し
たボビンを使う場合、巻線時のテンションに対する強度
を向上させることにより、上記従来技術の問題点を解決
し、信頼性の高い樹脂モールドコイル及びその製造方法
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ボビン、巻
線、モールド樹脂、等からなる樹脂モールドコイルにお
いて、前記ボビンは、繊維質のガラス基材に樹脂を含有
したプリプレグ材の複数の層からなる樹脂モールドコイ
ルである。
【0006】また、本発明における上記ボビンは、熱硬
化性樹脂を少なく含有し硬化したプリプレグ材からなる
巻線に遠い層と、熱硬化性樹脂を多く含有し硬化したプ
リプレグ材からなる巻線に近い層と、を有する樹脂モー
ルドコイルである。
【0007】そして、本発明は、繊維質のガラス基材に
熱硬化性樹脂を含有したプリプレグ材を硬化してボビン
とし、該ボビンの上に巻線を施し、モールド樹脂を充填
し硬化する樹脂モールドコイルの製造方法において、前
記プリプレグ材は、前記熱硬化性樹脂含有量の少ない層
とその周りの含有量の多い層とを有する樹脂モールドコ
イルの製造方法である。
【0008】更に、本発明は、繊維質のガラス基材に熱
硬化性樹脂を含有したプリプレグ材の複数の層からなる
ボビンの上に巻線を施し、モールド樹脂を充填し硬化す
る樹脂モールドコイルの製造方法において、前記プリプ
レグ材の複数の層は、前記熱硬化性樹脂含有量の少ない
層とその周りの含有量の多い層とを有し、そして、前記
モールド樹脂を硬化するときに、前記プリプレグ材を一
緒に硬化する樹脂モールドコイルの製造方法である。
【0009】また、本発明は、繊維質のガラス基材に熱
硬化性樹脂を含有したプリプレグ材の複数の層からなる
ボビンの上に巻線を施し、モールド樹脂を充填する樹脂
モールドコイルの製造方法において、熱硬化性樹脂含有
量が少ない第1プリプレグ材を硬化し、その周りに熱硬
化性樹脂含有量が多い第2プリプレグ材を巻いてボビン
とし、そして、前記モールド樹脂を硬化するときに、前
記第2プリプレグ材を一緒に硬化する樹脂モールドコイ
ルの製造方法である。
【0010】そして、本発明は、繊維質のガラス基材か
らなるボビンの上に巻線を施し、モールド樹脂を充填し
硬化する樹脂モールドコイルの製造方法において、繊維
質のガラス基材に熱硬化性樹脂を含有した第1プリプレ
グ材を硬化し、その周りに繊維質のガラス基材からなる
第2プリプレグ材を巻いてボビンとし、そして、前記モ
ールド樹脂を充填するときに、前記第2プリプレグ材に
も該モールド樹脂を含浸し、そして、モールド樹脂を硬
化するときに、前記第2プリプレグ材内のモールド樹脂
も一緒に硬化する樹脂モールドコイルの製造方法であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の発明の実施の形態を説明
する。本発明の樹脂モールドコイル及びその製造方法の
実施例について、図1及び図2により説明する。図1
は、実施例1の樹脂モールドコイルの断面説明図であ
る。図2は、実施例2の樹脂モールドコイルの断面説明
図である。
【0012】実施例1を説明する。図1は本実施例の樹
脂モールドコイルの断面の説明図である。本実施例の樹
脂モールドコイルは、ボビン1、巻線2、モールド樹脂
層3等からなる。ボビン1は、繊維質のガラス基材に熱
硬化性樹脂、例えばエポキシ系樹脂、を含有し硬化する
プリプレグ材からなり、巻線に遠い第1プリプレグ層1
1と近い第2プリプレグ層12の複数の層を有する。第
2プリプレグ層12は、熱硬化性樹脂の含有量が第1プ
リプレグ層11より多いため、線膨張係数が巻線導体の
線膨張係数と近くなり、熱応力の発生を防止することが
できる。一方、第1プリプレグ層11は、熱硬化性樹脂
の含有量が第2プリプレグ層12より少ないため、強度
を保持することができる。モールド樹脂層3は、モール
ド樹脂、例えばエポキシ系樹脂、を巻線2の外周、上下
等に充填し硬化して形成する。
【0013】次に、本実施例の樹脂モールドコイルの製
造方法を説明する。内金型4の周りに硬化したプリプレ
グ材11、12の複数の層からなるボビン1を形成し、
そのボビン1の上に巻線2を施し、さらにモールド樹脂
を充填し硬化して、外周、上下等にモールド樹脂層3を
設ける。ボビン1として用いるプリプレグ層11、12
は、繊維質のガラス基材に熱硬化性樹脂を含有し硬化し
たもので、巻線に遠い層である第2プリプレグ層12の
樹脂含有量は、巻線に近い層である第1プリプレグ層1
1より多くする。これにより、熱硬化性樹脂を多く含有
し硬化したプリプレグ材からなる巻線に近い層12と、
熱硬化性樹脂を少なく含有し硬化したプリプレグ材から
なる巻線に遠い層11と、を有するボビンを備える樹脂
モールドコイルを得ることができる。
【0014】なお、プリプレグ材11、12として半硬
化状態のものを使用し、そして、モールド樹脂を硬化す
るときに、プリプレグ材11、12を一緒に硬化するこ
ともできる。また、内金型4を使用せず、予め硬化した
プリプレグ層11、12からなるボビン1を使用し、そ
のボビン1の上に巻線2を施し、モールド樹脂を充填し
硬化することもできる。また、予め硬化した第1プリプ
レグ層11の周りに第2プリプレグ12を巻いてボビン
1とし、そして、モールド樹脂を充填し硬化するとき
に、第2プリプレグ材12を一緒に硬化することもでき
る。プリプレグ層11、12は、それぞれ更に複数のプ
リプレグ層からなっていてもよいが、巻線に近いプリプ
レグ層12は、樹脂含有量が多くなるようにする。
【0015】実施例2を説明する。本実施例の樹脂モー
ルドコイルを図2に示す。図2のモールドコイルは、第
1プリプレグ層11の上にガラス基材13を巻き、さら
にその上に巻線2を施す。その外周、上下等にはモール
ド樹脂層3を設ける。この時、第1プリプレグ層11
は、繊維質のガラス基材に予め熱硬化性樹脂を含有し硬
化したものである。ガラス基材13は、モールド樹脂含
浸性のある繊維質のもので、モールド樹脂を含浸した場
合、プリプレグ層11の熱硬化性樹脂含有量よりモール
ド樹脂含有量が多くなるようにする。そして、ガラス基
材13に含浸したモールド樹脂は、モールド樹脂層3を
硬化する時に一緒に硬化する。プリプレグ層11、13
は、それぞれ更に複数のプリプレグ層からなっていても
よいが、巻線に近いプリプレグ層は、樹脂含有量が多く
なるようにする。これにより、モールド樹脂を多く含有
し硬化したプリプレグ材からなる巻線に近い層13と、
熱硬化性樹脂を少なく含有し硬化したプリプレグ材から
なる巻線に遠い層11と、を有するボビンを備える樹脂
モールドコイルを得ることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、樹脂硬化時及び変圧器
運転時の熱応力を緩和し、変圧器短絡事故時の電磁機械
力に対する強度を高め、そして、内金型の代わりに繊維
質材料に熱硬化性樹脂を含浸、硬化したボビンを使う場
合、巻線時のテンションに対する強度を向上させ、信頼
性の高い樹脂モールドコイルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の樹脂モールドコイルの断面説明図。
【図2】実施例2の樹脂モールドコイルの断面説明図。
【符号の説明】
1 ボビン 11、12 プリプレグ層 13、 ガラス基材 2 巻線 3 モールド樹脂層 4 内金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 敦 新潟県北蒲原郡中条町大字富岡46番地1 株式会社日立製作所産業機器事業部内 (72)発明者 竹内 正樹 新潟県北蒲原郡中条町大字富岡46番地1 株式会社日立製作所産業機器事業部内 Fターム(参考) 5E044 AA00 AB01 AC00 AD06 BA01 BB08 CA03 CA04 CA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボビン、巻線、モールド樹脂、等からな
    る樹脂モールドコイルにおいて、前記ボビンは、繊維質
    のガラス基材に樹脂を含有したプリプレグ材の複数の層
    からなることを特徴とする樹脂モールドコイル。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の樹脂モールドコイルにお
    いて、 上記ボビンは、熱硬化性樹脂を少なく含有し硬化したプ
    リプレグ材からなる巻線に遠い層と、熱硬化性樹脂を多
    く含有し硬化したプリプレグ材からなる巻線に近い層
    と、を有することを特徴とする樹脂モールドコイル。
  3. 【請求項3】 繊維質のガラス基材に熱硬化性樹脂を含
    有したプリプレグ材を硬化してボビンとし、該ボビンの
    上に巻線を施し、モールド樹脂を充填し硬化する樹脂モ
    ールドコイルの製造方法において、 前記プリプレグ材は、前記熱硬化性樹脂含有量の少ない
    層とその周りの含有量の多い層とを有することを特徴と
    する樹脂モールドコイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 繊維質のガラス基材に熱硬化性樹脂を含
    有したプリプレグ材の複数の層からなるボビンの上に巻
    線を施し、モールド樹脂を充填し硬化する樹脂モールド
    コイルの製造方法において、 前記プリプレグ材の複数の層は、前記熱硬化性樹脂含有
    量の少ない層とその周りの含有量の多い層とを有し、そ
    して、前記モールド樹脂を硬化するときに、前記プリプ
    レグ材を一緒に硬化することを特徴とする樹脂モールド
    コイルの製造方法。
  5. 【請求項5】 繊維質のガラス基材に熱硬化性樹脂を含
    有したプリプレグ材の複数の層からなるボビンの上に巻
    線を施し、モールド樹脂を充填する樹脂モールドコイル
    の製造方法において、 熱硬化性樹脂含有量が少ない第1プリプレグ材を硬化
    し、その周りに熱硬化性樹脂含有量が多い第2プリプレ
    グ材を巻いてボビンとし、そして、前記モールド樹脂を
    硬化するときに、前記第2プリプレグ材を一緒に硬化す
    ることを特徴とする樹脂モールドコイルの製造方法。
  6. 【請求項6】 繊維質のガラス基材からなるボビンの上
    に巻線を施し、モールド樹脂を充填し硬化する樹脂モー
    ルドコイルの製造方法において、 繊維質のガラス基材に熱硬化性樹脂を含有した第1プリ
    プレグ材を硬化し、その周りに繊維質のガラス基材から
    なる第2プリプレグ材を巻いてボビンとし、そして、前
    記モールド樹脂を充填するときに、前記第2プリプレグ
    材にも該モールド樹脂を含浸し、そして、モールド樹脂
    を硬化するときに、前記第2プリプレグ材内のモールド
    樹脂も一緒に硬化することを特徴とする樹脂モールドコ
    イルの製造方法。
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