JP2549168B2 - モールドコイルおよびその製造方法 - Google Patents

モールドコイルおよびその製造方法

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全郎 林
次郎 由上
滋 平野
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は配電用モールドトランスのモールドコイルお
よびその製造方法に関するものである。
従来の技術 従来のモールドコイルはシート状導体と、この導体幅
よりも広いシート状絶縁物を巻回して成る巻線は1個又
は複数個接続して成る素コイルの周囲を合成樹脂、例え
ばエポキシ樹脂硬化物層で被覆して形成されている。
上記のような従来のモールドコイルの製造方法は最初
にシート状導体とシート状導体より幅の広いシート状絶
縁物を巻心を用いて巻線(コイル)を形成した後、この
巻線を1個又は複数個接続して素コイルとする。その後
この素コイルを注型用心と、底板および側板、端子板等
からなる外枠とで構成される注型用金型にセットし金型
と素コイルとを予熱した後、エポキシ樹脂配合物等の合
成樹脂を注入、硬化し、前記素コイルの周囲に樹脂硬化
物層を形成していた。
発明が解決しようとする課題 モールドコイルの合成樹脂層は電気的絶縁、放熱媒
体、コイルの構造材としての役割を有するが、稀に固化
された合成樹脂層にクラックが発生すると絶縁性能の著
しい低下をまねくため、クラックの発生しにくいコイル
構造や樹脂の改良が必要とされている。しかし、従来の
シート巻線を用いたモールドコイルは巻線の巻回間の絶
縁に用いるシート状絶縁物は導体幅よりも広幅であるた
め、絶縁物の端部が直接合成樹脂層中に突っ込む状態で
固定されていた。そのためこれらシート状絶縁物の端部
はあたかも樹脂層中に打込まれたクサビと同様の効果を
示し、内周樹脂層のクラック発生の原因となっていた。
またこれらシート状絶縁物の端部はモールド樹脂との間
に一種の界面を形成するため、絶縁強度の低下する原因
となり、特にインパルス強度の低下に大きな影響を与え
ていた。
さらにシート状導体が薄い場合には、素コイルを巻心
から外して注型用金型にセットする時、素コイルの変形
が発生しやすく、注型用心と素コイル間の間隔を一定に
保つことが困難であり、結果的に絶縁強度を低下させる
原因となっていた。この問題を解決するため、たとえば
円錐型の樹脂硬化物を素コイルと金型間に取付ける方法
等が行われているが、界面の発生は避けることができ
ず、製作工数増加の原因にもなっていた。
本発明はクラックが生じにくく且つ樹脂層が薄く軽量
なモールドコイルを効率良く製造することを目的とする
ものである。
問題点を解決するための手段 本発明によるモールドコイルは上記目的を達成するた
めに、ガラスクロス、ガラステープ等の基材に熱硬化性
樹脂を含浸、付着して硬化したFRPボビンに、前記ボビ
ン上にシート状導体及びシート状絶縁物を巻回して形成
した1個もしくは複数個のシート巻線とからなる素コイ
ルを形成し、この素コイルの周囲を被覆した合成樹脂層
中に、密度0.5g/cm3〜1.8g/cm3、無機繊維含有率が50重
量%以上の直方体状プレスボードを埋設して成り、その
製造方法はガラスクロス、ガラステープ等の基材に熱硬
化性樹脂を含浸、付着させて硬化したFRPボビン上にシ
ート状導体とシート状絶縁物を巻回して1個もしくは複
数個のシート巻線を形成して素コイルとし、前記素コイ
ルを注型用金型にセットすると共に、金型と前記素コイ
ル間に断面積が長方形で、密度0.5g/cm3〜1.8g/cm3、無
機繊維含有率が50重量%以上のプレスボードを介在し、
金型と素コイル間の間隔を保持した条件下で合成樹脂を
注入し硬化している。
作 用 FRPボビン上にシート巻線を形成することにより、シ
ート状絶縁物の端部が直接内周樹脂層中に突っ込む状態
で固定されるのを防止することができるため、耐クラッ
ク性およびインパルス強度の低下を防止することができ
る。また、合成樹脂層中に断面積が長方形で一定の厚さ
を有し、密度0.5g/cm3〜1.8g/cm3、無機繊維含有率が50
重量%以上のプレスボードを埋設することにより、注型
用樹脂が完全に含浸され、界面のない合成樹脂層を形成
できると共に樹脂層厚が均一化され、絶縁の信頼性を向
上することができる。
また、FRPボビン上にシート巻線を形成することによ
り、素コイルの変形を最少限にでき、前記プレスボード
により容易に界面のない合成樹脂層を形成することがで
きる。
実施例 以下、本発明によるモールドコイルの構成を図面に従
って説明する。第1図は本発明によるモールドコイルの
外観斜視図、第2図はA−A断面図、第3図はモールド
コイルの上から一段目の巻線を含む面で横断した断面
図、第5図及び第6図は部品を示している。
1はFRPボビンで、ガラスクロス、ガラステープ等の
基材に熱硬化性樹脂を含浸、付着して硬化されている
(第4図)。2はシート巻線で、シート状導体とシート
状絶縁物とを巻回して形成されている。このシート巻線
2を前記FRPボビン1に複数個貫通形成して素コイルを
形成している(第5図)。3、4はシート巻線2の内周
及び外周の樹脂層で、樹脂モールドしたエポキシ樹脂配
合物等の合成樹脂によってシート巻線を被覆している。
5は樹脂層3、4に複数個埋設したプレスボードで、密
度0.5g/cm3〜1.8g/cm3、無機繊維含有率50重量%以上の
直方体状のものを配設位置に応じた寸法に切断して樹脂
層3、4のうち素コイルが変形し易い位置に配設して樹
脂モールドされている。
次に、上記樹脂モールドコイルの製造方法について説
明する。
第6図は本発明方法に用いた注型用金型の注型心を示
した斜視図、第7図は金型に素コイル及びプレスボード
をセットした状態の斜視図である。
FRPボビン1上にシート巻線2を形成して成る素コイ
ルを第6図に示す注型用心6にセットする。この時注型
用心の底板上に例えば10mm×10mm×20mmのプレスボード
5を数個置き、このプレスボード5上に素コイルのFRP
ボビン1端部をのせて端部の樹脂厚を調整する。次に残
る注型用外枠7等の金型部品をセットした後、例えば1.
6mm×10mm×300mmの寸法に切断したプレスボードを注型
用心6とFRPボビン1間、シート巻線2の最外周と注型
用外枠7間に複数個挟むことにより素コイルと金型間の
間隔を一定に保つことができる(第7図)。
次に金型および素コイルを例えば80℃で4時間予熱、
乾燥後エポキシ樹脂配合物を注型、硬化して絶縁性の優
れたモールドコイルを得ることができる。
発明の効果 本発明は上記のような製造方法を採ったので、ボビン
とプレスボードにより、素コイルを金型にセットする場
合に金型と素コイルとの間隔を一定に保持し易く、シー
ト状導体が変形することもなく容易に作業能率をあげる
ことができる。しかも本発明方法によって得た樹脂モー
ルドコイルはクラックが入りにくく、比較的薄い樹脂厚
で均一にでき界面がなく絶縁強度が優れ、軽量である等
の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるモールドコイルの外観斜視図、第
2図は第1図のA−A断面図、第3図は第1図の要部断
面図、第4図は本発明方法に用いたFRPボビンの一例を
示す斜視図、第5図は同、素コイルの側面図、第6図は
同、注型金型の注型心を示す斜視図、第7図は本発明方
法において金型に素コイルおよびプレスボードをセット
した状態の斜視図である。 1……FRPボビン、2……シート巻線 3……内周樹脂層、4……外周樹脂層 5……プレスボード、6……注型用心 7……注型用外枠

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラスクロス、ガラステープ等の基材に熱
    硬化性樹脂を含浸、付着して硬化したFRPボビンに、前
    記ボビン上にシート状導体及びシート状絶縁物を巻回し
    て形成した1個もしくは複数個のシート巻線とからなる
    素コイルを形成し、この素コイルの周囲を被覆した合成
    樹脂層中に、密度0.5g/cm3〜1.8g/cm3、無機繊維含有率
    が50重量%以上の直方体状プレスボードを埋設して成る
    ことを特徴とするモールドコイル。
  2. 【請求項2】ガラスクロス、ガラステープ等の基材に熱
    硬化性樹脂を含浸、付着させて硬化したFRPボビン上に
    シート状導体とシート状絶縁物を巻回して1個もしくは
    複数個のシート巻線を形成して素コイルとし、前記素コ
    イルを注型用金型にセットすると共に、金型と前記素コ
    イル間に断面積が長方形で、密度0.5g/cm3〜1.8g/cm3
    無機繊維含有率が50重量%以上のプレスボードを介在
    し、金型と素コイル間の間隔を保持した条件下で合成樹
    脂を注入し硬化したことを特徴とするモールドコイルの
    製造方法。
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