JP2000007933A - 結晶型オキソチタニルフタロシアニン及び電子写真感光体とその製造方法 - Google Patents

結晶型オキソチタニルフタロシアニン及び電子写真感光体とその製造方法

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JP2000007933A
JP2000007933A JP17989698A JP17989698A JP2000007933A JP 2000007933 A JP2000007933 A JP 2000007933A JP 17989698 A JP17989698 A JP 17989698A JP 17989698 A JP17989698 A JP 17989698A JP 2000007933 A JP2000007933 A JP 2000007933A
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oxotitanyl phthalocyanine
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phthalocyanine
crystalline
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Satoshi Nishigaki
敏 西垣
Masato Miyauchi
真人 宮宇地
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境の変化による電位特性の変化や微小な画
像欠陥のない感光体を作製できるような結晶型オキソチ
タニルフタロシアニンは得られていなかった。従って、
本発明では上記課題を解決する結晶型オキソチタニルフ
タロシアニンを提供し、それを用いた電子写真感光体と
その製造方法を提供する。 【解決手段】 CuKα特性X線(波長:1.5418
Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラッ
グ角(2θ±0.2゜)で10゜以下の低角側に少なく
とも4本の強い回折線と、27.2°に強い回折線を示
し、前記4本の強い回折線の内最大ピーク強度を有する
回折線は、27.2°の回折線よりピーク強度の大きい
ことを特徴とする結晶型オキソチタニルフタロシアニン
とそれを用いた電子写真感光体及びその製造方法を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の結晶型オキ
ソチタニルフタロシアニン及び結晶型オキソチタニルフ
タロシアニンを含む組成物を電荷発生層に用いた電子写
真感光体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】C.F.カールソンの発明による電子写
真技術は、即時性、高品質かつ保存性の高い画像が得ら
れることなどから、近年では、複写機の分野にとどまら
ず、各種プリンターやファクシミリの分野でも広く使わ
れ、その技術分野は大きな広がりを見せている。
【0003】この電子写真プロセスは、基本的に、感光
体の均一な帯電、像露光による潜像形成、該潜像のトナ
ーによる現像、該トナー像の紙への転写(中間に転写体
を経由する場合もある)、および、定着による画像形成
プロセスから構成される。
【0004】電子写真技術の中核となる感光体について
は、その光導電材料として、従来からのセレニウム、ヒ
素−セレニウム合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛といっ
た無機系の光導電体から、最近では、無公害で成膜が容
易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電
材料を使用した感光体が開発されている。中でも、電荷
発生層と電荷輸送層を積層した、いわゆる、積層型感光
体(機能分離型)はより高感度な感光体が得られるこ
と、材料の選択範囲が広く、且つ、安全性の高い感光体
が得られること、また、塗布方式による製造方法が採用
できて生産性が高く、安価に生産できること等から、現
在では、感光体の主流になっている。
【0005】一方、近年、より高画質な画像を得るため
や入力画像を記憶したり自由に編集したりするために、
画像形成のためのデジタル化が急速に進行している。こ
れまで、デジタル的に画像形成するものとしては、ワー
プロやパソコンの出力機器であるレーザープリンター、
LEDプリンターや一部のカラーレーザーコピア等に限
られていたが、従来、アナログ的な画像形成が主流であ
った普通の複写機の分野もどんどんデジタル化が進行し
てきており、複写機/プリンターの境界がなくなりつつ
ある。
【0006】このようなデジタル化に対応した感光体に
は、要求される性能の1つとして以下の要件を満たす必
要がある。このようなデジタル画像形成を行う場合、コ
ンピュータ情報を直接利用する場合には、その文字・画
像情報を光信号に変換し、また、原稿からの情報入力の
場合には、原稿情報は光情報として読み取った後、一
旦、デジタル電気信号に変換、再度光信号に変換して感
光体上に記録される。
【0007】何れの場合も、感光体に対しては光情報と
して記録されるが、記録手段としては主として、レーザ
ー光やLED光が用いられる。現在最もよく使用される
のは、780nmの近赤外光や650nmの赤色光源で
ある。デジタル用感光体では、これらの光源に対して高
い感度を有することが要求され、結晶型フタロシアニン
系化合物が幅広く検討され実用に供されている。結晶型
フタロシアニン類は、中心金属の有無や種類によって感
度ピークや物性が異なるだけでなく、その結晶型の違い
によっても物性が大きく変化することが知られている
(澤田 学:染料と薬品 第24巻、第6号、p122
(1979))。そのため、感光体の研究は結晶型の検
討までを含めて開発を行うことが重要である。例えば、
電子写真用感光体において、特定の結晶型が選択されて
いる例がいくつか報告されている。無金属フタロシアニ
ンを用いた感光体(例えば、特開昭60−86551号
公報)、アルミニウムを含有するフタロシアニンを用い
た感光体(例えば、特開昭63−133462号公
報)、そのほか中心金属としてチタニウム(例えば、特
開昭59−49544号公報)、インジウム、ガリウム
など、多くの中心金属が知られており、ほとんどが特定
の結晶型を選択している。
【0008】近年、それらフタロシアニン類の中でも高
感度を示すオキソチタニルフタロシアニンの研究が精力
的に行われている。オキソチタニルフタロシアニンだけ
でも、電子写真学会誌 第32巻、第3号、p289に
記載のとおりX線回折スペクトルの回折角の違いから数
多くの結晶型に分類されている。具体的に、特徴的な結
晶を示すと、特許登録2007449号公報にはα型、
特許登録1917796号公報にはA型、特許登録18
76697号公報及び特許登録1997269号公報に
はC型、特許登録1950255号公報及び特許登録2
128593号公報にはY型、特公平7−15067号
公報にはM−α型、特許登録2502404号公報には
I型、特許登録1978469号公報にはM型結晶が記
載されている。さらに、特許登録2700859号公
報、特開平8−209023号公報には基本的にY型に
分類される結晶が記載されている。
【0009】ところで、オキソチタニルフタロシアニン
の結晶において構造解析から格子定数が判っているもの
は、C型,PhaseI型,およびPhaseII型で
ある。PhaseII型は三斜晶系、PhaseI型,
C型は単斜晶系に属する。これらの公知の結晶格子定数
から上記の特許明細書に記載された結晶形を解析してみ
ると、A型およびI型はPhaseI型に属し、α型お
よびB型はPhaseII型に属し、M型はC型に属す
る。同様のことをJ.of Imaging Science and Technolog
y Vol.37,No6,1993,p605-p609に説明されている。
【0010】特に、結晶型オキソチタニルフタロシアニ
ンでは、種々の結晶系が存在するが、三斜晶系では6本
の回折線、単斜晶系では4本の回折線が一致すれば格子
定数が同じであり、その格子の大きさと形が規定され、
その回折強度の相対的な強さがオキソチタニルフタロシ
アニン分子の結晶格子中の配列を規定することになる。
結晶型オキソチタニルフタロシアニンでは、このような
結晶系の違い、さらには、同じ結晶格子であっても分子
配列の違いにより帯電性、暗減衰、感度等に大きな差が
あることが報告されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】デジタル用感光体に好
適な電荷発生材料としてフタロシアニン系化合物、特
に、オキソチタニルフタロシアニンが挙げられるが、そ
の機能発現は結晶格子中での分子配列に支配されている
ので、結晶系と分子配列の制御が重要な因子となる。
【0012】従来の電荷発生材料として用いられる結晶
型材料は、結晶性の悪いものが多く、特に、フタロシア
ニン分子の最隣接分子間の秩序性は良いが、第3隣接以
上の長距離秩序性に劣る結晶材料であったため、最大ピ
ークを示す回折線以外は、合成時の結晶の乱れ、あるい
は塗液作製の分散工程における機械的なシェアによるス
トレスのためにブロードなX線回折ピークを示す結晶格
子の乱れた材料しか得られていない。
【0013】そのため、結晶系の安定性の問題、該結晶
物質の分散液の安定性に問題があり、且つ、反転現像を
用いた電子写真装置では、帯電電位の初期安定性(特
に、暗順応後の1回転目の帯電)、帯電能(初期および
ライフ後の電荷保持能力)、環境変化による電位特性の
変化(特に、温度特性)、微小画像欠陥の発生等の問題
が発生し未だ高感度、高画質、高安定性の全てを充分に
満足する感光体は得られていないのが現状である。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる状況を鑑み、高感
度で結晶系の安定なオキソチタニルフタロシアニン化合
物を得るために、塗液の分散工程に於ける諸条件を詳細
に追究した結果、X線回折スペクトルと電子写真特性、
特に、該物質の分散条件の詳細な検討から、分散液とし
ての安定性に優れ、前記課題を解決できる分子の長距離
配列に複数の配列モードを示すものの、その秩序性は良
い新たな結晶型オキソチタニルフタロシアニンが得られ
ることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0015】さらには、分子の最隣接の近距離分子配列
においても、特に、キャリアのトラップ準位となり電子
写真特性の悪化を来す2量体形成の特定の配列(隣接分
子間距離が長いところと短いところを局所的に有する配
列)の寄与が極めて小さな結晶型オキソチタニルフタロ
シアニンが上記高性能な電子写真感光体の製造を可能と
するものである。このように、分子の長距離配列の秩序
性のみならず短距離配列の秩序性の制御が重要な材料設
計要因となり、本発明はこの様な優れた材料設計の結晶
型を与えるものである。
【0016】本発明の結晶型オキソチタニルフタロシア
ニンは、CuKα特性X線(波長:1.5418Å)に
対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラッグ角
(2θ±0.2゜)で10゜以下の低角側に少なくとも
4本の強い回折線と、27.2°に強い回折線を示し、
前記4本の強い回折線の内最大ピーク強度を有する回折
線は、27.2°の回折線よりピーク強度の大きいこと
を特徴とする。
【0017】本発明の結晶型オキソチタニルフタロシア
ニンは、CuKα特性X線(波長:1.5418Å)に
対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラッグ角
(2θ±0.2゜)で10゜以下の低角側に少なくとも
4本の強い回折線と、前記4本の強い回折線の内の最大
強度のピーク強度の80%以下、40%以上のピーク強
度を有する回折線を27.2゜に示すことを特徴とす
る。
【0018】また、前記4本の強い回折ピークが、少な
くとも7.3゜、9.0゜、9.3゜、9.5゜、9.
7゜の何れかの回折線を含むことを特徴とする。
【0019】また、本発明に係る電子写真感光体は、少
なくとも結晶型オキソチタニルフタロシアニンを含む電
荷発生層と電荷輸送層を積層した構成からなる電子写真
感光体において、前記電荷発生層は、前述の結晶型オキ
ソチタニルフタロシアニンを主成分とすることを特徴と
する。
【0020】また、導電性支持体上に感光層を設けた電
子写真感光体の製造方法において、前述の結晶型オキソ
チタニルフタロシアニンと、少なくともブチラール化さ
れたポリマー、あるいは、水酸基を持つポリマーとを含
んだ分散液で分散され、前記分散液を用いて少なくとも
浸漬塗布法により感光層を形成することを特徴とする。
さらに、前記分散液は、分散媒がケトン類分散媒である
ことを特徴とする。
【0021】また、電子写真感光体の製造方法におい
て、前記感光層は導電性支持体上に設けられた中間層上
に浸漬塗布法により形成されることを特徴とする。さら
に、前記中間層は、少なくともルチル型酸化チタン結晶
をポリアミド樹脂に分散した組成物層からなることを特
徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のオキソチタニルフタロシアニンの基本構造は、
下記一般式〔1〕
【0023】
【化1】
【0024】(式中、Xは水素原子、ハロゲン原子、ア
ルキル基、あるいはアルコキシ基を表わし、k,l,
m,nは0から4の整数を表わす。)で示される。
【0025】オキソチタニルフタロシアニンの合成方法
は、モーザー及びトーマスの「フタロシアニン化合物」
(MOSER and Thomas."Phthalocianine Compounds")に
記載されている公知の方法等、いずれによってもよい。
例えば、o−フタロニトリルと四塩化チタンを加熱融解
またはα−クロロナフタレンなどの有機溶媒の存在下で
加熱する方法等によりジクロロチタニウムフタロシアニ
ンは収率良く得られる。さらにこのジクロロチタニウム
フタロシアニンを塩基もしくは水で加水分解することに
よってオキソチタニルフタロシアニンが得られる。ま
た、1,3−ジイミノイソインドリンとテトラブトキシ
チタンをN−メチルピロリドンなどの有機溶媒で加熱す
る方法等でも合成できる。この得られたオキソチタニル
フタロシアニンには、ベンゼン環の水素原子が塩素、フ
ッ素、ニトロ基、シアノ基またはスルホン基等の置換基
で置換されたフタロシアニン誘導体が含有されていても
良い。
【0026】このようなオキソチタニルフタロシアニン
組成物を水の存在下にジクロロエタン等の水に非混和性
の有機溶媒で処理することにより、本発明の結晶型を得
る。本発明の結晶型は、基本的には、結晶格子の乱れの
大きなオキソチタニルフタロシアニン結晶を作った後、
さらに溶剤と機械的な歪力によりその分子配列を変換さ
せて得られるが、このようにして作製された結晶型オキ
ソチタニルフタロシアニンは、塗液作製時の機械的なシ
ェアによるストレスにも耐え、安定な結晶型オキソチタ
ニルフタロシアニンを得るのに好適である。
【0027】オキソチタニルフタロシアニンを水の存在
下で水に非混和性の有機溶媒で処理する方法としては、
オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤させ有機溶媒
で処理する方法、或いは膨潤処理を行わずに、水を有機
溶媒中に添加し、その中にオキソチタニルフタロシアニ
ン粉末を投入する方法等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0028】オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤
させる方法としては、例えば、オキソチタニルフタロシ
アニンを硫酸に溶解させ水中で析出させてウエットペー
スト状にする方法。また、ホモミキサー、ペイントミキ
サー、ボールミル、又はサンドミル等の攪拌・分散装置
を用いて、オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤さ
せ、ウエットペースト状にする方法等が挙げられるが、
これらの方法に限られるものではない。
【0029】また、加水分解で得られたオキソチタニル
フタロシアニン組成物を十分な時間の撹拌、もしくは、
機械的な歪力をもってミリングすることにより、本発明
の結晶型を得る。特に、いわゆるY型に分類される結晶
型オキソチタニルフタロシアニンを前記処理により分子
配列を制御する方法が好適である。
【0030】この処理に用いられる装置としては、一般
的な攪拌装置の他に、ホモミキサー、ペイントミキサ
ー、ディスパーサー、アジター、或いはボールミル、サ
ンドミル、アトライター、超音波分散装置等を用いるこ
ともできる。処理後、ろ過し、メタノール、エタノー
ル、水等を用いて洗浄し単離される。
【0031】尚、本発明のフタロシアニン組成物は、上
記の製造方法により製造されたもののみに限定されるも
のではなく、いかなる製造方法により製造されても、本
発明の特定ピークを示す限り包含するものである。
【0032】このようにして得られたオキソチタニルフ
タロシアニンは、電子写真感光体の電荷発生材料として
優れた特性を発揮する。本発明では、上記のオキソチタ
ニルフタロシアニンのほかに他の電荷発生材料を併用し
ても良い。その様な電荷発生材料としては、本発明のオ
キソチタニルフタロシアニンとは結晶型において異なる
α型、β型、C型、I型、M型、M−α型、アモルファ
スのオキソチタニルフタロシアニンあるいは、結晶格子
の似たY型、または、他のフタロシアニン類、さらに、
アゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、多環キ
ノン顔料、スクエアリウム顔料等が挙げられる。
【0033】本発明の電子写真感光体の構成としては、
図1のように、導電性支持体1上に感光層4が積層さ
れ、感光層4は電荷発生物質2を含む電荷発生層5と電
荷輸送物質3を含む電荷輸送層6の2層からなる機能分
離型感光体、または、図2のように電荷輸送物質3を含
む電荷輸送層6に電荷発生物質5を分散した単層型の感
光層4’のいずれの構成でも良いが、図3及び図4のよ
うに導電性支持体1と感光層4の間に通常使用されてい
るような公知の中間層7を設けるのが製造上好適であ
る。結晶型オキソチタニルフタロシアニンを主成分とす
る電荷発生層形成用分散液は、浸漬塗布法により感光層
を作製する際、分散溶剤の蒸発潜熱のため、用いる支持
体の熱容量の影響を受け易いが、中間層を用いることで
その影響が緩和される。
【0034】本発明に用いられる導電性支持体として
は、基体自体が導電性を持つもの、例えば、アルミニウ
ム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、ニッケ
ル、チタン等を用いることができ、その他にアルミニウ
ム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン、酸化インジ
ウム、酸化錫等を蒸着したプラスチックや紙、導電性粒
子を含有したプラスチックや紙、導電性ポリマーを含有
するプラスチック等を用いることができ、それらの形状
としては、ドラム状、シート状、シームレスベルト状の
ものなどが使用できる。
【0035】機能分離型感光体の場合、電荷発生層中の
電荷発生材料には本発明のオキソチタニルフタロシアニ
ンが用いられ、また、上述のほかの電荷発生材料が含ま
れていても良い。
【0036】電荷発生層の形成方法としては、オキソチ
タニルフタロシアニンにバインダー樹脂と溶剤を加え、
ボールミル、サンドグラインダー、ペイントシェイカ
ー、超音波分散機等によって粉砕、分散して得られる塗
液を用い、シートの場合にはベーカーアプリケーター、
バーコーター、キャスティング、スピンコート等、ドラ
ムの場合にはスプレー法、垂直型リング法、浸漬塗工法
により作製される。
【0037】バインダー樹脂としては、塗液の安定性、
結晶型の安定性から、ブチラール化されたポリマー、あ
るいは、水酸基を持つポリマーが好適であるが、ポリエ
ステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エ
ステル、ポリメタクリル酸エステルポリエステル、ポリ
カーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニ
ルプロピオナール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル
等を混合して用いても良い。
【0038】溶剤としては、塗液の安定性、結晶型の安
定性からアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類が好適であ
るが、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロ
トン性極性溶媒等との混合にて用いることもできる。
【0039】形成する電荷発生層の膜厚としては0.0
5〜5μmで、好ましくは0.08〜1μmである。
【0040】電荷輸送層中の電荷輸送材料としてはポリ
ビニルカルバゾール、ポリシラン等の高分子化合物、ヒ
ドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサジアゾール
化合物、スチルベン化合物、トリフェニルメタン化合
物、トリフェニルアミン化合物、エナミン化合物等の低
分子化合物が用いられる。
【0041】電荷輸送層の形成方法としては電荷輸送材
料を溶剤に溶解、バインダー樹脂を加え、シートの場合
にはベーカーアプリケーター、バーコーター、キャステ
ィング、スピンコート等、ドラムの場合にはスプレー
法、垂直型リング法、浸漬塗工法により作製される。
【0042】バインダー樹脂としては、ポリメチルメタ
クリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル
重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、フ
ェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂などが挙げられ、
これらは単独あるいは2種類以上混合して使用してもよ
く、またそれらの樹脂を構成するのに必要なモノマーの
共重合体等や部分的に架橋した熱硬化性樹脂も使用でき
る。
【0043】溶剤としてはジクロロメタン、1,2−ジ
クロロエタン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒
等を用いることができる。
【0044】形成する電荷輸送層の膜厚としては5〜4
0μmで、好ましくは15〜30μmである。
【0045】電荷発生層または電荷輸送層に必要に応じ
て添加剤としてレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の
各種添加剤を含んでもよい。酸化防止剤としては、ビタ
ミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダー
ドフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアル
カンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化
合物などが用いられる。
【0046】導電性支持体と感光層の間に設ける中間層
としてはアルミニウム陽極酸化膜、酸化アルミニウム、
水酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機層のほかポリ
ビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニル
ピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチ
ン、でんぷん、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミ
ド、カゼイン、N−メトキシメチル化ナイロン等が用い
られる。さらに、これらに酸化チタン、酸化スズ、酸化
アルミニウム等の粒子を分散させてもよいが、特に、ル
チル型酸化チタンとポリアミド樹脂を主成分とした中間
層が好適である。
【0047】電荷輸送層に電荷発生材料を分散した単層
型の場合には、上記のような配合比の電荷輸送層中に、
本発明のオキソチタニルフタロシアニン化合物が分散さ
れる。その場合の粒径は十分小さいことが必要であり、
このましくは1μm以下で使用される。感光層内に分散
される電荷発生物質の量は過少では感度不足、過多では
帯電性低下、感度低下を誘発する等の弊害があり、0.
5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%で使用され
る。感光層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜3
0μmで使用される。また、この場合にも成膜性、可と
う性、機械的強度等を改善するための公知の可塑剤、残
留電位を抑制するための添加剤、分散安定向上のための
分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界
面活性剤、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイル、
その他の添加剤が加えられても良い。
【0048】(実施例)以下に実施例をあげて本発明を
具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限
り以下の実施例に限定されるものではない。 (製造例1)o−フタロジニトリル40gと4塩化チタ
ン18g、α−クロロナフタレン500mlを窒素雰囲
気下200〜250℃で3時間加熱撹拌し反応させ、1
00〜130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に加
熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジク
ロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得る。この粗
生成物を室温にてα−クロロナフタレン200ml、つ
いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール
500ml中で1時間熱懸洗を行う。濾過後得られた粗
生成物を濃硫酸100ml中で撹拌、溶解させた後、不
溶物を濾取する。その硫酸溶液を水3000ml中に注
ぎ、析出した結晶を濾取し、水500ml中で、pHが
6〜7になるまで、熱懸洗を繰り返した後、また濾取
し、ウエットケーキをジクロロメタンで処理し、メタノ
ール処理、乾燥して得られた結晶を、ペイントコンディ
ショナー装置(レッドレベル社製)により、メチルエチ
ルケトン中、直径1mmのガラスビーズと共にミリング
処理を加えることによって本発明の結晶を得た。
【0049】この結晶は、図5に示すようなX線回折ス
ペクトルを示す。CuKα特性X線(波長:1.541
8Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラ
ッグ角(2θ±0.2゜)で、10゜以下の低角側に
7.3°,9.0°,9.4°,9.6°の4本の強い
回折線と、27.2゜にも強い回折線を有し、9.4°
及び9.6°が最大回折ピークとなる回折線を持つ本発
明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンであること
が分かる。
【0050】なお、X線回折スペクトルの測定条件は、 X線源 CuKα=1.5418Å 電圧 30〜40kV 電流 50mA スタート角度 5.0゜ ストップ角度 30.0゜ ステップ角度 0.01〜0.02゜ 測定時間 2.0〜0.5゜/min. 測定方法 θ/2θ スキャン方法 の測定条件となっている。以下、X線スペクトルの測定
条件は同様とする。
【0051】(比較製造例1)製造例1と同様の方法で
ジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物までを得た
後、この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン20
0ml、ついでメタノール200mlで洗浄後、さらに
メタノール500ml中で1時間熱懸洗を行う。濾過後
得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6〜7に
なるまで、熱懸洗を繰り返した後、乾燥して比較製造例
1の結晶を得た。
【0052】この結晶は、図7に示すようなX線回折ス
ペクトルを示す。ブラッグ角(2θ±0.2゜)が2
7.3゜に最大回折ピークを有する特許登録19502
55号公報記載のY型オキソチタニルフタロシアニンに
分類される類似の結晶であることが分かる。
【0053】(製造例2)比較製造例1で得られたオキ
ソチタニルフタロシアニンの結晶を、シクロヘキサノン
に混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径1mmのガラスビーズと共にミリン
グ処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して本発明の
結晶を得た。
【0054】この結晶は、図6に示すようなX線回折ス
ペクトルを示す。CuKα特性X線(波長:1.541
8Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、そのブラ
ッグ角(2θ±0.2゜)で、10゜以下の低角側に
7.3°,9.0°,9.4°,9.6°の4本の強い
回折線と、27.2゜にも強い回折線を有し、9.4°
の50%程度のピーク強度を持つ27.2°の回折線を
有する本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニンで
あることが分かる。本実施例では9.4°の50%程度
のピーク強度であったが、少なくとも10°以下の低角
側にある4本の強い回折線の内の少なくとも1本のピー
ク強度に対して80%以下、40%以上のピーク強度を
有する回折線が27.2゜に存在すれば本発明の結晶型
オキソチタニルフタロシアニンが得られる。
【0055】(比較製造例2)製造例1と同様の方法で
ジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物までを得た
後、この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン20
0ml、ついでメタノール200mlで洗浄後、さらに
メタノール500ml中で1時間熱懸洗を行う。濾過後
得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6〜7に
なるまで、熱懸洗を繰り返した後、更に、1,2−ジメ
トキシエタンでミリング処理、乾燥して比較製造例2の
結晶を得た。
【0056】この結晶は、図8に示すようなX線回折ス
ペクトルを与え、ブラッグ角(2θ±0.2゜)27.
3゜に最大回折ピーク、更に、7.4、9.4、9.
7、11.7、13.2、14.1、15.0、18.
0、23.5、24.1゜にも少なくとも回折ピークを
持つもので、特許登録2700859号公報記載の例示
結晶に類似していることが分かる。
【0057】(比較製造例3)製造例1と同様の方法で
ジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物までを得た
後、この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン20
0ml、ついでメタノール200mlで洗浄後、さらに
メタノール500ml中で1時間熱懸洗を行う。濾過後
得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6〜7に
なるまで、熱懸洗を繰り返した後、更に、メタノール/
1,2−ジメトキシエタン混合溶媒でミリング処理、乾
燥して比較製造例3の結晶を得た。
【0058】この結晶は、図9に示すようなX線回折ス
ペクトルを与え、ブラッグ角(2θ±0.2゜)27.
3゜に最大回折ピーク、更に、9.1゜、14.3゜、
18.0゜、24.0゜にも少なくとも回折ピークを持
つもので、特許登録2502404号公報記載の例示結
晶に類似していることが分かる。
【0059】(実施例1)酸化チタン(STR−60
N:堺化学社製)71.6重量部と共重合ナイロン(ア
ラミンCM−8000:東レ社製)107.4重量部を
メチルアルコール287重量部と1,2−ジクロロエタ
ン533重量部の混合溶剤に加え、ペイントシェーカー
にて8時間分散処理し、中間層形成用塗液を調製した。
この塗液中に、直径65mm、長さ332mmのアルミ
製円筒状支持体を浸漬塗布、乾燥して、膜厚1μmの中
間層を形成した。
【0060】製造例1において得られた本発明の結晶型
オキソチタニルフタロシアニン3重量部とブチラール樹
脂(積水化学工業製 エスレックBX−1:水酸基33
±3mol%)1重量部とをメチルエチルケトン70重
量部に混合し、同様のペイントシェーカーにて分散処理
し、得られた溶液中に上記中間層形成を終えたアルミ製
円筒状支持体を再度浸漬し、乾燥して、膜厚0.3μm
の電荷発生層を形成した。中間層上に形成された電荷発
生層は均一なものであった。
【0061】次に下記構造式〔2〕
【0062】
【化2】
【0063】で示されるエナミン化合物をポリカーボネ
ート樹脂(三菱瓦斯化学社製 PCZ−400)と1:
1の重量比で混合し、ジクロロメタンを溶剤とし15w
t%の溶液を作り上記電荷発生層上に同様に浸漬塗布、
乾燥し膜厚20μmの電荷移動層を作成した。以上の様
にして電荷発生層、電荷輸送層から構成される、機能分
離型感光体試料1を得た。なお、同様の構成の感光体を
アルミ蒸着膜が形成されたポリエステルフィルムを導電
性支持体に形成したシート状感光体試料も作製した。
【0064】(実施例2)製造例1において得られた本
発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニン2重量部
とブチラール樹脂(積水化学工業製 エスレックBM−
1:ブチラール化度65±3mol%)1重量部とをメ
チルエチルケトン70重量部に混合し、ペイントシェー
カーにて分散処理し、得られた溶液を実施例1と同様の
中間層上に浸漬塗布、乾燥して、膜厚0.3μmの電荷
発生層を形成した。中間層上に形成された電荷発生層は
均一なものであった。
【0065】次に、下記構造式〔3〕
【0066】
【化3】
【0067】で示されるスチリル系化合物を電荷輸送物
質として用いた電荷移動層を形成し、実施例1と同様な
機能分離型感光体試料を得た。
【0068】(実施例3)製造例1において得られた本
発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニン2重量部
とブチラール樹脂(積水化学工業製 エスレックBH−
S:ブチラール化度70mol%以上)1重量部とをメ
チルエチルケトン70重量部に混合して得られた塗液を
用いて電荷発生層を作製し、電荷輸送物質として下記構
造式〔4〕
【0069】
【化4】
【0070】で示されるトリフェニルアミン2量体系化
合物を用いた他は、実施例1と同様にして機能分離型感
光体試料を得た。
【0071】(実施例4)製造例2において得られた本
発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニン3重量部
とブチラール樹脂(積水化学工業製 BX−1:水酸基
33±3mol%)1重量部とをメチルエチルケトン7
0重量部に混合し、分散処理して得られた塗液を電荷発
生層形成に用いた他は、実施例1と同様にして感光体試
料を作製した。
【0072】(製造例5)製造例1において得られた図
5に示すX線回折パターンを持つ結晶型オキソチタニル
フタロシアニンの結晶2重量部と塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂(日新化学製 ソルバインM)1重量部
を用いた他は実施例1と同様にして機能分離型感光体試
料を得た。
【0073】(製造例6)製造例2において得られた図
6に示すX線回折パターンを持つ結晶型オキソチタニル
フタロシアニンの結晶2重量部と塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂(日新化学製 ソルバインM)1重量部
を用いた他は実施例1と同様にして機能分離型感光体試
料を得た。
【0074】(実施例7)製造例2において得られた本
発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン1重量部と
ブチラール樹脂(積水化学工業製 エスレックBL−
1:ブチラール化度63±3mol%)1重量部とをメ
チルエチルケトン70重量部に混合して得られた塗液を
用いて電荷発生層形成し、かつ、電荷輸送物質として上
記構造式(3)で示されるスチリル系化合物を用いた他
は、実施例1と同様にして感光体試料を作製した。
【0075】(実施例8)製造例2において得られた本
発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン1重量部と
ブチラール樹脂(積水化学工業製 エスレックBL−
1:ブチラール化度63±3mol%)1重量部とをテ
トラヒドロフラン70重量部に混合して得られた塗液を
用いて電荷発生層形成し、かつ、電荷輸送物質として上
記構造式(3)で示されるスチリル系化合物を用いた他
は、実施例1と同様にして感光体試料を作製した。
【0076】(実施例9)中間層を設けず、実施例1と
同様にして感光体試料を作製した。この感光体は、電荷
発生層作製時にやや不均質は塗膜が形成される場合があ
り、コピーの中間調画像に斑として見える場合があっ
た。製造歩留まりの点でやや劣ることが判明した。
【0077】(実施例10)酸化チタン(STR−60
N:堺化学社製)71.6重量部と共重合ナイロン(ア
ラミンCM−8000:東レ社製)107.4重量部を
メチルアルコール287重量部と1,2−ジクロロエタ
ン533重量部の混合溶剤に加え、ペイントシェーカー
にて8時間分散処理し、中間層形成用塗液を調製した。
この塗液中にアルミ製円筒状支持体を浸漬塗布、乾燥し
て、膜厚1μmの中間層を形成した。製造例1において
得られた本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニ
ン1重量部と上記構造式〔2〕で示されるエナミン化合
物10重量部をポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社
製 PCZ−200)10重量部と混合し、ジクロロメ
タンを溶剤とし15wt%の溶液とし、ペイントシェー
カーにて分散処理し、感光体作製用の塗液を得た。この
塗液を、上記中間層上に浸漬塗布し、乾燥膜厚25μm
の感光体層を作成した。以上の様にして電荷輸送層に電
荷発生材料を分散した単層型感光体試料を得た。
【0078】(比較例1)比較製造例1において得られ
た図7に示すX線回折パターンを持つオキソチタニルフ
タロシアニンの結晶を用いた他は実施例1と同様にして
機能分離型感光体試料を得た。
【0079】(比較例2)比較製造例2において得られ
た図8に示すX線回折パターンを持つオキソチタニルフ
タロシアニンの結晶を用いた他は実施例2と同様にして
機能分離型感光体試料を得た。
【0080】(比較例3)比較製造例3において得られ
た図8に示すX線回折パターンを持つオキソチタニルフ
タロシアニンの結晶を用いた他は実施例2と同様にして
機能分離型感光体試料を得た。
【0081】(比較例4)中間層を設けず、比較製造例
1において得られた図7に示すX線回折パターンを持つ
オキソチタニルフタロシアニンの結晶を用いた他は実施
例1と同様にして機能分離型感光体試料を得た。この感
光体の電荷発生層には周方向あるいは軸方向に斑が発生
しやすく、また、コピー上でも中間調の濃度斑として明
瞭に観察された。
【0082】(比較例5)比較製造例1において得られ
た図7に示すX線回折パターンを持つオキソチタニルフ
タロシアニンの結晶を用い、分散溶剤としてテトラヒド
ロフランを用いた他は実施例1と同様にして機能分離型
感光体試料を得た。
【0083】(評価)このようにして作成した電子写真
感光体は静電記録紙試験装置(川口電機製;EPA−8
200)により電子写真特性を評価した。測定条件は、
加電圧:−6kV、スタティック:No.3であり、干
渉フィルターで分光した780nmの単色光(照射光:
2μW/cm2)による、−500Vから−250Vに
減衰させるに要する露光量E1/2(μJ/cm2)及び初
期電位V0(−V)を測定した。また単層型電子写真感
光体も同じく静電記録紙試験装置を使用し、測定条件、
加電圧:+6kV、スタティック:No.3であり干渉
フィルターで分光した780nmの単色光(照射光:1
0μW/cm2)による+500Vから+250Vに減
衰させるに要する露光量E1/2(μJ/cm2)及び初期
電位V0(+V)を測定した。
【0084】また、市販のデジタル複写機(シャープ社
製 AR5130)を改造してそれぞれの感光体試料を
セットし、連続空コピー(Non Copy Agin
g)を3万回行って、その前後において、V0、ならび
に前記静電記録紙試験装置を用いE1/2、帯電能(帯電
5秒後の保持率%、前/後)、更に、5℃/20%RH
の低温低湿環境と35℃/85%RHの高温高湿環境に
おける明電位レベルの変化(ΔVL:V)の測定を行っ
た。また、低温低湿環境下での暗順応後のドラム1回転
目の帯電低下量(V)、高温高湿環境下で帯電電位−8
00Vで反転現像して得たコピーの画像特性の測定も同
時に行った。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、分子の
長距離配列が支配的である結晶系で、その長距離分子配
列がわずかに異なるがその秩序性は保たれた新たな結晶
型オキソチタニルフタロシアニンを電荷発生材料として
用いることにより、分散液としての安定性に優れ、1回
転目からコピーの取れるプロセス設計が可能であり、環
境変化による電位特性変化が小さく、電荷保持能力に優
れ、且つ、微小な画像欠陥のない良好なコピーが得られ
る高感度な電子写真感光体の製造が可能となる。
【0087】従って本発明は、昨今、開発の進展著しい
半導体レーザーあるいはLEDアレイを光源とした光プ
リンターやデジタル複写機等の高性能化に最適の感光体
が提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】電荷発生層と電荷輸送層との2層からなる機能
分離型感光体を示す図である。
【図2】電荷輸送層に電荷発生物質を分散した単層型感
光体を示す図である。
【図3】中間層及び電荷発生層と電荷輸送層との3層か
らなる機能分離型感光体を示す図である。
【図4】中間層及び電荷輸送層に電荷発生物質を分散し
た単層型感光体を示す図である。
【図5】本発明の製造例1で得られたオキソチタニルフ
タロシアニンのX線回折スペクトル図である。
【図6】本発明の製造例2で得られたオキソチタニルフ
タロシアニンのX線回折スペクトル図である。
【図7】本発明の比較製造例1で得られたオキソチタニ
ルフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。
【図8】本発明の比較製造例2で得られたオキソチタニ
ルフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。
【図9】本発明の比較製造例3で得られたオキソチタニ
ルフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生物質 3 電荷輸送物質 4 、4’ 感光層 5 電荷発生層 6 電荷輸送層 7 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H068 AA13 AA19 AA21 AA28 AA34 AA43 AA44 AA45 BA39 BB11 BB12 BB16 BB28 CA29 EA14 EA16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuKα特性X線(波長:1.5418
    Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、 そのブラッグ角(2θ±0.2゜)で10゜以下の低角
    側に少なくとも4本の強い回折線と、27.2°に強い
    回折線を示し、 前記4本の強い回折線の内最大ピーク強度を有する回折
    線は、27.2°の回折線よりピーク強度の大きいこと
    を特徴とする結晶型オキソチタニルフタロシアニン。
  2. 【請求項2】 CuKα特性X線(波長:1.5418
    Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、 そのブラッグ角(2θ±0.2゜)で10゜以下の低角
    側に少なくとも4本の強い回折線と、 前記4本の強い回折線の内の最大強度のピーク強度の8
    0%以下、40%以上のピーク強度を有する回折線を2
    7.2゜に示すことを特徴とする結晶型オキソチタニル
    フタロシアニン。
  3. 【請求項3】 前記4本の強い回折ピークが、少なくと
    も7.3゜、9.0゜、9.3゜、9.5゜、9.7゜
    の何れかの回折線を含むことを特徴とする請求項1項あ
    るいは2項記載の結晶型オキソチタニルフタロシアニ
    ン。
  4. 【請求項4】 少なくとも結晶型オキソチタニルフタロ
    シアニンを含む電荷発生層と電荷輸送層を積層した構成
    からなる電子写真感光体において、前記電荷発生層は、
    請求項1又は2に記載の結晶型オキソチタニルフタロシ
    アニンを主成分とすることを特徴とする電子写真感光
    体。
  5. 【請求項5】 導電性支持体上に感光層を設けた電子写
    真感光体の製造方法において、 請求項1又は2に記載の結晶型オキソチタニルフタロシ
    アニンと、少なくともブチラール化されたポリマー、あ
    るいは、水酸基を持つポリマーとを含んだ分散液で分散
    され、前記分散液を用いて浸漬塗布法により感光層を形
    成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記分散液は、分散媒がケトン類分散媒
    であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光
    体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記請求項5又は6に記載の電子写真感
    光体の製造方法において、前記感光層は導電性支持体上
    に設けられた中間層上に浸漬塗布法により形成されるこ
    とを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記中間層は、少なくともルチル型酸化
    チタン結晶をポリアミド樹脂に分散した組成物層からな
    ることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体の
    製造方法。
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