JP2000226531A - 低結晶性チタニルフタロシアニンおよび電子写真感光体とその製造方法 - Google Patents

低結晶性チタニルフタロシアニンおよび電子写真感光体とその製造方法

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JP2000226531A JP2886699A JP2886699A JP2000226531A JP 2000226531 A JP2000226531 A JP 2000226531A JP 2886699 A JP2886699 A JP 2886699A JP 2886699 A JP2886699 A JP 2886699A JP 2000226531 A JP2000226531 A JP 2000226531A
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Satoshi Nishigaki
敏 西垣
Kazuya Ishida
一也 石田
Masato Miyauchi
真人 宮宇地
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度、高画質、高安定性で、特に微小画像
欠落のない、半導体レーザーあるいはLEDアレイを光
源とする光プリンターやデジタル複写機などの高性能化
に最適な電子写真感光体を提供することを課題とする。 【解決手段】 電荷発生物質として特定のX線回折スペ
クトルを有する低結晶性チタニルフタロシアニンを用い
ることにより、上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低結晶性チタニル
フタロシアニンおよび電子写真感光体とその製造方法に
関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の低結晶性チ
タニルフタロシアニン、および電荷発生物質として該低
結晶性チタニルフタロシアニンを含む電子写真感光体と
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】C.F.カールソンの発明による電子写
真技術は、即時性があり、高品質かつ保存性の高い画像
が得られることなどから、近年では、複写機の分野にと
どまらず、各種プリンターやファクシミリの分野でも広
く使われ、その技術分野は大きな広がりを見せている。
この電子写真プロセスは、基本的に感光体の均一な帯
電、像露光による潜像形成、該潜像のトナーによる現
像、該トナー像の紙への転写(中間に転写体を経由する
場合もある)および定着による画像形成プロセスから構
成される。
【0003】電子写真感光体は電子写真技術の中核であ
り、該感光体の感光層を形成する光導電性材料として
は、その感度、耐久性の両面から従来より酸化亜鉛系、
セレン系および硫化カドミウム系などの無機光導電性材
料が主として用いられてきた。
【0004】しかし、近年、これらの無機光導電性材料
はさまざまな問題点が指摘され、最近では、無公害で、
かつ成膜を含む製造が容易な有機光導電性材料が開発さ
れている。有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の
中でも、電荷発生層と電荷輸送層を積層した、いわゆる
積層型(機能分離型)電子写真感光体は、高感度である
こと、材料の選択範囲が広いこと、安全性が高いこと、
塗布方式による製造方法が採用できるため、生産性が高
く、かつ安価に生産できることなどの利点を有し、現在
では、電子写真感光体の主流になっている。
【0005】一方、近年、より高画質な画像を得るため
や入力画像を記憶したり自由に編集したりするために、
画像形成のためのデジタル化が急速に進行している。こ
れまでデジタル的に画像形成するものとしては、ワープ
ロやパソコンの出力機器であるレーザープリンター、L
EDプリンターや一部のカラーレーザーコピアなどに限
られていた。しかし、従来、アナログ的な画像形成が主
流であった普通の複写機の分野においてもデジタル化が
進行してきており、複写機/プリンターの境界がなくな
りつつある。
【0006】デジタル画像形成に際して、コンピュータ
情報を直接利用する場合には、その文字・画像情報は光
信号に変換され、また原稿からの情報入力の場合には、
原稿情報は光情報として読み取った後、一旦、デジタル
電気信号に変換、再度光信号に変換して電子写真感光体
上に記録される。何れの場合においても、電子写真感光
体に対して光情報として記録されるが、記録手段として
は主としてレーザー光やLED光などの光源が用いられ
る。現在最もよく使用されているものは、780nmの
近赤外光や650nmの赤色光源である。
【0007】デジタル用電子写真感光体では、これらの
光源に対して高い感度を有することが要求される。有機
光導電性材料の中でも結晶型フタロシアニン系化合物
は、このデジタル用電子写真感光体の有機光導電性材料
として幅広く検討され、実用に供されている。結晶型フ
タロシアニン系化合物は、中心金属の有無や種類によっ
て感度ピークや物性が異なるだけでなく、その結晶型の
違いによっても物性が大きく変化することが知られてい
る〔澤田 学:「染料と薬品」第24巻、第6号、第1
22頁(1979)参照〕。
【0008】したがって、有機光導電性材料としての結
晶型フタロシアニン系化合物の研究は、結晶型の検討ま
でを含めて開発が行われている。フタロシアニン系化合
物の結晶型が選択された電子写真感光体の研究として
は、例えば、無金属フタロシアニンを用いたもの(例え
ば、特開昭60−86551号公報)、アルミニウムを
含有するフタロシアニンを用いたもの(例えば、特開昭
63−133462号公報)、中心金属としてチタニウ
ムを用いたもの(例えば、特開昭59−49544号公
報)、中心金属としてインジウムまたはガリウムなどを
用いたものなどが知られている。
【0009】近年、それらフタロシアニン系化合物の中
でも高感度を示すチタニルフタロシアニンの研究が精力
的に行われている。電子写真学会誌、第32巻、第3
号、第282頁には、チタニルフタロシアニンだけで
も、X線回折スペクトルの回折角の違いから数多くの結
晶型に分類できることが記載されている。
【0010】具体的に特徴的な結晶を示すと、特許掲載
公報第2007449号にはα型、特許掲載公報第19
17796号にはA型、特許掲載公報第1876697
号および同第1997269号にはC型、特許掲載公報
第1950255号および同第2128593号にはY
型、特公平7−15067号公報にはM−α型、特許掲
載公報第2502404号にはPhaseI型、特許掲
載公報第1978469号にはM型、特許掲載公報第2
700859号および特開平8−209023号公報に
は基本的にY型にそれぞれ分類される結晶が記載されて
いる。
【0011】チタニルフタロシアニン結晶において、構
造解析から格子定数が判明しているものは、C型、Ph
aseI型およびPhaseII型であり、Phase
II型は三斜晶系、PhaseI型およびC型は単斜晶
系に属する。これらの公知の格子定数から上記の公報に
記載された結晶型を解析してみると、A型およびI型は
PhaseI型、αおよびB型はPhaseII型、M
型はC型に属することがわかる(同様のことを説明した
文献には、J. of Imaging Science and Technology, Vo
l.37, No.6, 1993, p605〜609 がある)。
【0012】チタニルフタロシアニン結晶には種々の結
晶型が存在するが、X線回折スペクトルにおいて、三斜
晶系では6本の回折ピーク、単斜晶系では4本の回折ピ
ークが一致すれば格子定数が同じであり、その格子の大
きさと形が規定される。また、その回折強度の相対的な
強さからチタニルフタロシアニン分子の結晶格子中の配
列が規定される。チタニルフタロシアニン結晶では、こ
のような結晶型の違い、さらには同じ結晶格子であって
も分子配列の違いによって帯電性や暗減衰、感度などの
物性に大きな差があることが報告されている。
【0013】デジタル用電子写真感光体に好適な有機光
導電性材料としてフタロシアニン系化合物、特にチタニ
ルフタロシアニンが挙げられるが、その機能発現は結晶
格子中での分子配列に依存する。そこで、高性能な有機
光導電性材料を得るためには、結晶系と分子配列の制御
が重要になる。従来から用いられている結晶型材料は、
結晶系の安定性および該結晶型材料の分散液中での安定
性に問題があり、かつ反転現像を用いた電子写真装置で
は、帯電電位の初期安定性(特に、暗順応後の1回転目
の帯電)、帯電能(初期およびライフ後の電荷保持能
力)、環境変化による電位特性の変化(特に、温度特
性)および微小画像欠落の発生などの問題が発生し、未
だ高感度、高画質、高安定性の全てを充分に満足する電
子写真感光体は得られていない。
【0014】特に、結晶性の良好なチタニルフタロシア
ニン結晶は、均一な超微粒子からなる分散液の作成が困
難であり、反転現像によって作像されるプロセスに用い
られる大面積の電子写真感光体では、局所的な微小画像
欠落の発生防止が極めて難しい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高感度、高
画質、高安定性で、特に微小画像欠落のない、半導体レ
ーザーあるいはLEDアレイを光源とする光プリンター
やデジタル複写機などの高性能化に最適な電子写真感光
体を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状
況を鑑み、高感度の電子写真感光体に応用することがで
き、かつ結晶型の安定なチタニルフタロシアニン化合物
を得るために、該化合物のX線回折スペクトル、感光層
形成用塗液の分散工程における諸条件、ならびに電子写
真特性を詳細に追求した結果、本発明の低結晶性チタニ
ルフタロシアニンを用いた場合に、極めて均一で、かつ
安定性に優れた塗液(分散液)を作成することができる
ことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0017】かくして、本発明によれば、CuKα固有
X線(波長:1.5418Å)を用いたX線スペクトル
において、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に
最大回折強度のシャープな回折線、24.0°にブロー
ドな回折線および9.0°〜10.0°の範囲に複数の
回折線群を有することを特徴とする低結晶性チタニルフ
タロシアニンが提供される。
【0018】また、本発明によれば、導電性支持体上に
感光層が形成された電子写真感光体であって、電荷発生
物質として、感光層が上記の低結晶性チタニルフタロシ
アニンを含有することを特徴とする電子写真感光体が提
供される。
【0019】さらに、本発明によれば、導電性支持体上
に電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を
含有する電荷輸送層との積層構造の感光層が形成された
電子写真感光体の製造方法において、電荷発生物質とし
て上記の低結晶性チタニルフタロシアニンとバインダー
樹脂とを溶剤に分散し、得られた分散液を用いて浸漬塗
布法により電荷発生層を形成することを特徴とする電子
写真感光体の製造方法が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の低結晶性チタニルフタロ
シアニンの基本構造は、下記一般式(I):
【0021】
【化1】
【0022】(式中、Xはアルキル基、アルコキシ基ま
たはハロゲン原子であり;mは0〜4の整数である)で
表される。
【0023】一般式(I)における置換基Xの「アルキ
ル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、
イソプロピル基、n-ブチル基およびイソブチル基などが
挙げられ、「アルコキシ基」としては、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基などが挙げら
れる。また、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、
塩素原子および臭素原子などが挙げられる。
【0024】本発明の低結晶性チタニルフタロシアニン
は、CuKα固有X線(波長:1.5418Å)を用い
たX線スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2
°)27.3°に最大回折強度のシャープな回折線、2
4.0°にブロードな回折線および9.0°〜10.0
°の範囲に複数の回折線群を有する。特に、上記のブロ
ードな回折線および複数の回折線群の回折強度が最大回
折強度の25%以下であり、かつその他の回折線が非晶
質パターンを示すものが好ましい。また、上記の複数の
回折線群が、少なくともブラッグ角9.1°、9.3
°、あるいは9.5°の回折線を含むものが好ましい。
【0025】本発明の低結晶性チタニルフタロシアニン
は、合成方法によって限定されるものではなく、いかな
る製造方法により製造されても、上記のX線回折スペク
トルの特徴を有するものであればよい。
【0026】チタニルフタロシアニンの合成方法は、モ
ーザーおよびトーマスの「フタロシアニン化合物」(MO
SER and Thomas. "Phthalocyanine Compounds")に記載
されている公知の方法など、いずれの方法によってもよ
い。例えば、o−フタロニトリルと四塩化チタンを加熱
融解またはα−クロロナフタレンなどの有機溶媒の存在
下で加熱する方法などにより、ジクロロチタニウムフタ
ロシアニンを収率良く得る。さらにこのジクロロチタニ
ウムフタロシアニンを塩基もしくは水で加水分解するこ
とによってチタニルフタロシアニンを得る。
【0027】また、1,3−ジイミノイソインドリンと
テトラブトキシチタンをN−メチルビロリドンなどの有
機溶媒中で加熱する方法などにより、チタニルフタロシ
アニンを得る。得られたチタニルフタロシアニンは、ベ
ンゼン環の水素原子が塩素、フッ素、ニトロ基、シアノ
基またはスルホン基などの置換基で置換されたフタロシ
アニン誘導体が含有されていてもよい。上記の方法によ
り得られたチタニルフタロシアニンを特定の有機溶剤で
処理することにより、本発明の低結晶性チタニルフタロ
シアニンを得る。
【0028】本発明の低結晶性チタニルフタロシアニン
は、基本的には、結晶格子の乱れの大きな結晶を作った
後、さらに有機溶剤と機械的な歪力によりその分子配列
を変換させて得る。このようにして得られた低結晶性チ
タニルフタロシアニンは、感光体形成用塗液を作成する
際に、機械的なシェアによるストレスにも耐え、安定な
塗液を得ることができる。したがって、電荷発生物質と
して、本発明の低結晶性チタニルフタロシアニンを用い
た電子写真感光体は、優れた特性を有する。中でも、記
録波長780nmに対する感度が半減露光エネルギー値
で0.20μJ/cm2 以下のものが好ましい。
【0029】有機溶剤との処理に用いる装置としては、
ホモミキサー、ペイントミキサー、ペイントコンディシ
ョナー、ディスパーサー、アジター、あるいはボールミ
ル、サンドミル、アトライター、超音波分散装置などが
挙げられ、中でもペイントコンディショナーが好まし
い。処理後、混合溶液を濾過し、固形物をメタノール、
エタノールおよび水などを用いて洗浄して単離する。
【0030】本発明においては、低結晶性チタニルフタ
ロシアニン以外に他の電荷発生物質を併用してもよい。
他の電荷発生物質としては、本発明の低結晶性チタニル
フタロシアニンとは結晶型において異なるα型、β型
(A型)、C型、Y型、M型、M−α型、アモルファス
のチタニルフタロシアニン、あるいは他のフタロシアニ
ン類、およびアゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン
顔料、多環キノン顔料およびスクエアリウム顔料などが
挙げられる。
【0031】本発明の電子写真感光体を模式的に図1〜
4に基づいて説明する。図1は、導電性支持体1上に、
感光層4として、電荷発生物質2を主成分としてバイン
ダー樹脂中に分散させた電荷発生層5と、この電荷発生
層5上に形成され、かつ電荷輸送物質3を主成分として
バインダー樹脂中に分散させた電荷輸送層6との積層層
が形成されてなる機能分離型電子写真感光体である。図
2は、導電性支持体1と感光層4との間に中間層7を設
けたものであり、上記と同様の積層層よりなる機能分離
型電子写真感光体の構成を示すものである。
【0032】図3は、導電性支持体1上に、感光層4’
として、電荷輸送物質3を主成分としてバインダー樹脂
中に分散させた電荷輸送層6に電荷発生物質2を分散さ
せた電荷輸送層6の単一層が形成されてなる単層型電子
写真感光体である。図4は、導電性支持体1と感光層
4’との間に中間層7を設けたものであり、上記と同様
の単層よりなる単層型電子写真感光体の構成を示すもの
である。本発明の電子写真感光体の構造としては、感光
層が電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質
を含有する電荷輸送層との積層構造が好ましく、また導
電性支持体と感光層との間に中間層を設けたものが好ま
しい。
【0033】本発明の電子写真感光体における導電性支
持体としては、通常この種の導電性支持体として使用さ
れるものであれば特に限定されるものではない。その材
質としては、例えば、支持体自体が導電性を持つもの、
例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、
ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの金属材料を
用いることができ、その他にアルミニウム、金、銀、
銅、パラジウム、亜鉛、ニッケル、チタン、酸化インジ
ウムおよび酸化錫などを蒸着したたプラスチック(例え
ば、ポリエチレン)や紙、導電性ポリマーを含有するプ
ラスチックなどが挙げられ、それらの形状としては、ド
ラム状、シート状およびシームレスベルト状のものなど
が挙げられる。
【0034】本発明の電子写真感光体の電荷輸送物質と
しては、公知の化合物、すなわちポリビニルカルバゾー
ルおよびポリシランなどの高分子化合物、ヒドラゾン化
合物、ビラゾリン化合物、オキサジアゾール化合物、ス
チルベン化合物、トリフェニルメタン化合物、トリフェ
ニルアミン化合物およびエナミン化合物などの低分子化
合物が用いられる。例えば、ブタジエン化合物、スチリ
ル系化合物およびトリフェニルアミン2量体系化合物な
どが挙げられる。
【0035】本発明の電子写真感光体の感光層は、電荷
発生層と電荷輸送層との積層層、または電荷発生物質を
分散させた電荷輸送層の単層からなる。電荷発生物質お
よび電荷輸送物質は、フィルム形成能を有するバインダ
ー樹脂の助けを借りて皮膜状の電荷発生層および電荷輸
送層に形成される。
【0036】上記の導電性支持体、電荷発生物質および
電荷輸送物質などを用いて、図1〜4のような構成を有
する電子写真感光体を作成する。各層の形成方法として
は、層に含有させる物質およびバインダー樹脂を溶剤に
溶解または分散させて得られた塗布液を順次塗布するな
どの公知の方法が適用される。通常は電荷発生層の上に
電荷輸送層を形成するが、その逆も可能である。
【0037】図1および図2の機能分離型電子写真感光
体の形成方法について説明する。電荷発生層中の電荷発
生物質には本発明の低結晶性チタニルフタロシアニンを
用いるが、本発明の効果を阻害しない範囲で他の電荷発
生物質が含まれていてもよい。
【0038】電荷発生層は、電荷発生物質として、本発
明の低結晶性チタニルフタロシアニンとバインダー樹脂
とを溶剤に分散し、得られた分散液を用いて浸漬塗布法
によりを形成することができるが、この方法に限定され
ない。例えば、本発明の低結晶性チタニルフタロシアニ
ンにバインダー樹脂と溶剤を加え、ボールミル、サンド
グラインダー、ペイントシェイカーまたは超音波分散機
などによって粉砕、分散して得られる塗液を、シートの
場合にはベーカーアプリケーター、バーコーター、キャ
スティングおよびスピンコートなど、ドラムの場合には
スプレー法、垂直型リング法および浸漬塗工法などの方
法により形成される。
【0039】バインダー樹脂としては、塗液の安定性、
結晶型の安定性の点から、ブチラール化されたポリマー
が好適である。具体的には、ポリエステル、ポリビニル
アセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル
酸エステル、、ポリカーボネート、ポリビニルアセトア
セタール、ポリビニルプロピオナール、フェノキシ樹
脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステ
ル、セルロースエーテルおよび塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体などが挙げられ、これらを混合して用いてもよ
い。
【0040】溶剤としては、塗液の安定性、結晶型の安
定性の点から、アセトン、エチルメチルケトン、メチル
イソブチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン
類が好適であるが、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどの
エステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサンなど
のエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなど
の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドお
よびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒
なども用いることができ、これらを混合して用いてもよ
い。
【0041】電荷発生層における、バインダー樹脂と電
荷発生物質としての低結晶性チタニルフタロシアニンと
の配合割合は、各配合成分の種類および電子写真感光体
に要求される性能により適宜選択される。バインダー樹
脂は配合しなくてもよいが、配合する場合には、通常、
電荷発生物質の重量に対して10倍量までである。電荷
発生層の膜厚としては0.05〜5μmで、好ましくは
0.08〜1μmである。
【0042】次いで、電荷発生層上に電荷輸送層を形成
する。電荷輸送層は、電荷発生層と同様に公知の方法に
より形成することができる。電荷輸送層は、電荷輸送材
料を溶剤に溶解、バインダー樹脂を加え、シートの場合
にはベーカーアプリケーター、バーコーター、キャステ
ィングおよびスピンコートなど、ドラムの場合にはスプ
レー法、垂直型リング法および浸漬塗工法などの方法に
より作製される。
【0043】バインダー樹脂としては、ポリメチルメタ
クリレート、ポリスチレンおよびポリ塩化ビニルなどビ
ニル重合体もしくはその共重合体、ポリカーボネート、
ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホ
ン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、
ならびにそれらの樹脂を構成するのに必要なモノマーの
共重合体や架橋した熱硬化性樹脂などが挙げられ、これ
らを混合して用いてもよい。
【0044】溶剤としては、ジクロロメタンおよび1,
2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶剤、アセトン、
メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケト
ン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、
テトラヒドラフランおよびジオキサンなどのエーテル
類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭
化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチ
ルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げ
られ、これらを混合して用いてもよい。
【0045】電荷輸送層における、バインダー樹脂と電
荷輸送物質との配合割合は、各配合成分の種類および電
子写真感光体に要求される性能により適宜選択される。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の配合割合は、通常、重
量比で、3:1〜1:3である。電荷輸送層の膜厚とし
ては5〜40μmで、好ましくは10〜30μmであ
る。
【0046】電荷発生層または電荷輸送層には、必要に
応じてレベリング剤や酸化防止剤、増感剤などの各種添
加剤を含んでもよい。酸化防止剤としては、ビタミン
E、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフ
ェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン
およびそれらの誘導体、有機硫黄化合物および有機燐化
合物などが挙げられる。
【0047】次に、図3および図4の単層型電子写真感
光体の形成方法について説明する。単層型電子写真感光
体の場合には、電荷輸送層中に、本発明の低結晶性チタ
ニルフタロシアニン化合物を分散する。その場合の粒径
は十分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下
である。
【0048】電荷発生物質の量は、電荷輸送層に対して
0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%であ
る。電荷発生物質の量が上記範囲より過少の場合には、
感度不足となるので好ましくなく、また過多の場合には
帯電性低下および感度低下を誘発するなどの弊害がある
ので好ましくない。感光層の形成方法は、上記の電荷輸
送層と同様である。感光層の膜厚は5〜40μm、好ま
しくは15〜30μmである。
【0049】電子写真感光体の形成において、各層の成
膜性、可撓性および機械的強度などを改善するための可
塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定向上
のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリン
グ剤、海面活性剤(例えばシリコーンオイルおよびフッ
素系オイルなど)やその他の添加剤を加えてもよい。特
にレベリング剤としてのジメチルポリシロキサンの添加
が好ましい。
【0050】導電性支持体と感光層の間には中間層が設
けられていてもよい(図2および図4参照)。中間層と
しては、アルミニウム陽極酸化膜、酸化アルミニウム、
水酸化アルミニウム、酸化チタンなどの無機層、共重合
ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロー
ス類、ゼラチン、でんぷん、ポリウレタン、ポリイミ
ド、ポリアミド、カゼインおよびN−メトキシメチル化
ナイロンなどの有機層が挙げられる。また、有機層には
酸化チタン、酸化錫、酸化ルミニウムなどの粒子が分散
されていてもよく、特にルチル型酸化チタン結晶とポリ
アミドを主成分としたものが好ましい。
【0051】中間層は、例えば、上記の材料を溶剤に溶
解し、導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形
成される。中間層の膜厚は0.01〜100μm、好ま
しくは0.1〜10μmである。電荷輸送層上の最表面
層として従来公知の、例えば、熱可塑性あるいは熱硬化
性ポリマーを主体とするオーバーコート層を設けてもよ
い。
【0052】
【実施例】本発明を製造例および実施例により感光体の
作成方法およびその電位特性について、さらに具体的に
説明するが、これらの製造例および実施例により本発明
が限定されるものではない。
【0053】製造例1 o−フタロジニトリル40gと四塩化チタン18gと
を、α−クロロナフタレン500ml中で窒素雰囲気
下、200〜250℃で3時間加熱攪拌して反応させ
た。次いで、反応混合物を100〜130℃まで放冷し
て熱時濾過し、得られた固形物を100℃に加熱したα
−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタ
ニルフタロシアニン粗生成物35gを得た。
【0054】得られた粗生成物を室温にてα−クロロナ
フタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗
浄し、さらにメタノール500ml中で1時間熱懸洗を
行った。これを濾過し、得られた粗生成物を濃硫酸10
0ml中で攪拌して溶解させ、粗生成物中の不純物を濾
取した。得られた濾液(硫酸溶液)を水3000ml中
に注ぎ、析出した結晶を濾取し、その固形物を水500
ml中で、pHが6〜7になるまで、熱懸洗を繰り返し
た後、濾取した。次いで、得られた固形物(ウェットケ
ーキ)を乾燥させ、ペイントコンディショナー装置(レ
ッドレベル社製)により、エチルメチルケトン300m
l中、直径1mmのガラスビーズ300gと共に約1時
間、ミリング処理して、低結晶性チタニルフタロシアニ
ン31gを得た。
【0055】得られた結晶を下記の条件でX線回折法に
より分析して、X線回折スペクトルを求めた。 X線源 CuKa=1.5418Å 電圧 30〜40kV 電流 50mA スタート角度 5.0° ストップ角度 30.0° ステップ角度 0.01〜0.02° 測定時間 2.0〜0.5°/min. 測定方法 θ/2θスキャン方法
【0056】図5に得られた低結晶性チタニルフタロシ
アニンのX線回折スペクトルを示す。製造した結晶は、
CuKα固有X線(波長:1.5418Å)を用いたX
線スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)
27.3°に最大回折強度のシャープな回折線、24.
0°にブロードな回折線および9.0°〜10.0°の
範囲に複数の回折線群を有し、前記のブロードな回折線
と複数の回折線群の回折強度が最大回折強度の25%以
下であり、その他の回折線が非晶質パターンを示す本発
明の低結晶性チタニルフタロシアニンであることが分か
る。
【0057】製造例2 製造例1で得られたウェットケーキの乾燥固形物1.2
gをペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により、モノクロロベンゼン30ml中、直径1m
mのガラスビーズ30gと共に約1時間、ミリング処理
して、低結晶性チタニルフタロシアニン1gを得た。得
られた結晶を製造例1と同様にしてX線回折法により分
析したところ、その回折線の特徴は製造例1で得られた
低結晶性チタニルフタロシアニンと同じであった。
【0058】比較製造例1 製造例1で得られたウェットケーキの乾燥固形物1.2
gをペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により、ジクロロエタン30ml中、直径1mmの
ガラスビーズ30gと共に約1時間、ミリング処理し
て、チタニルフタロシアニン結晶1gを得た。得られた
結晶を製造例1と同様にしてX線回折法により分析し
て、X線回折スペクトルを求めた。
【0059】図6に得られたチタニルフタロシアニン結
晶のX線回折スペクトルを示す。製造した結晶は、ブラ
ッグ角(2θ±0.2°)26.3°に最大回折強度の
回折線、ならびに9.3°、10.6°、13.1°、
15.1°、20.7°および27.2°にそれぞれ明
瞭な回折線を有する、特許掲載公報第1917796号
に記載のβ型に分類されるチタニルフタロシアニン結晶
であることが分かった。
【0060】比較製造例2 製造例1で得られたウェットケーキの乾燥固形物2gを
再度、濃硫酸100ml中で攪拌して溶解させた。次い
で、この硫酸溶液を水3000ml中に注ぎ、析出した
結晶を濾取し、その固形物を水で十分に洗浄し、さらに
メタノール処理してチタニルフタロシアニン結晶1gを
得た。得られた結晶を製造例1と同様にしてX線回折法
により分析して、X線回折スペクトルを求めた。
【0061】図7に得られたチタニルフタロシアニン結
晶のX線回折スペクトルを示す。製造した結晶は、ブラ
ッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折強度の
回折線、ならびに9.0°、14.3°および18.0
°にそれぞれ特徴的な回折線を有する、特許掲載公報第
2502404号に記載のPhaseI型に分類される
チタニルフタロシアニン結晶であることが分かった。
【0062】実施例1 アルミ蒸着膜が形成されたポリエステルフィルム(膜厚
100μm)を導電性支持体とし、製造例1において得
られた結晶性チタニルフタロシアニン1重量部とポリブ
チラール(積水化学工業製 エスレックBL−1)1重
量部とをエチルメチルケトン70重量部に混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径2mmのガラスビーズ30gと共に0.5時間、分
散処理した。得られた溶液を上記の導電性支持体上に塗
布、乾燥して、膜厚0.4μmの電荷発生層を形成し
た。次に、電荷輸送物質として下記の化学構造式(I
I):
【0063】
【化2】
【0064】で表されるブタジエン化合物と、バインダ
ー樹脂としてポリカーボネート(三菱瓦斯化学社製、P
CZ−200)とを重量比1:1で混合し、ジクロロメ
タンを溶剤として18重量%の溶液を作り、上記の電荷
発生層上に塗布、乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層
を形成した。以上のようにして電荷発生層および電荷輸
送層から構成される、シート状の機能分離型感光体試料
1を得た。
【0065】実施例2 電荷発生層形成用塗液分散溶剤としてテトラヒドロフラ
ン70重量部を用いる以外は実施例1と同様にして、シ
ート状の機能分離型感光体試料2を得た。
【0066】実施例3 酸化チタン(堺化学社製、STR−60N)71.6重
量部と共重合ナイロン(東レ社製、アラミンCM800
0)107.4重量部とを、メチルアルコール287重
量部と1,2−ジクロロエタン533重量部との混合溶
剤に加え、ペイントシェイカー装置(レッドレベル社
製)にて8時間、分散処理して、中間層形成用塗液を調
整した。得られた中間層形成用塗液中に、直径65mm
×長さ332mmのアルミ製円筒状支持体を浸漬し、乾
燥して、膜厚1μmの中間層を形成した。
【0067】製造例1において得られた低結晶性チタニ
ルフタロシアニン3重量部とポリブチラール(積水化学
工業製 エスレックBL−1)1重量部とをエチルメチ
ルケトン70重量部に混合し、実施例1と同様にして分
散処理して、電荷発生層形成用塗液を調整した。得られ
た電荷発生層形成用塗液に、中間層を形成したアルミ製
円筒状支持体を浸漬し、乾燥して、膜厚0.3μmの均
一な電荷発生層を形成した。
【0068】次に、実施例1で用いたブタジエン化合物
とポリカーボネート(三菱瓦斯化学社製、PCZ−20
0)とを重量比1:1で混合し、ジクロロメタンを溶剤
として15重量%の電荷輸送層形成用塗液を調整した。
得られた電荷輸送層形成用塗液に、電荷発生層を形成し
たアルミ製円筒状支持体を浸漬し、乾燥して、膜厚20
μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして電荷発
生層および電荷輸送層から構成される、円筒状の機能分
離型感光体試料3を得た。
【0069】導電性支持体としてアルミ製円筒状支持体
の代わりに、アルミ蒸着膜が形成されたポリエステルフ
ィルム(膜厚100μm)を用いる以外は、上記と同様
にしてシート状の機能分離型感光体試料も作成した。
【0070】実施例4 実施例3と同様にしてアルミ製円筒状支持体上に中間層
を形成した。製造例1において得られた低結晶性チタニ
ルフタロシアニン1重量部と実施例1で用いたブタジエ
ン化合物10重量部とポリカーボネート(三菱瓦斯化学
社製、PCZ−200)10重量部とを混合し、ジクロ
ロメタンを溶剤として15重量%の溶液を作った。この
溶液をペイントシェイカー装置(レッドレベル社製)に
て1時間、分散処理して、感光体層形成用塗液を調整し
た。得られた感光体層形成用塗液に、中間層を形成した
アルミ製円筒状支持体を浸漬し、乾燥して、膜厚20μ
mの感光体層を形成した。以上のようにして電荷輸送層
に電荷発生物質を分散した、円筒状の単層型感光体試料
4を得た。
【0071】実施例5 実施例3と同様にしてアルミ製円筒状支持体上に中間層
を形成した。製造例1において得られた低結晶性チタニ
ルフタロシアニン2重量部とポリブチラール(積水化学
工業製、エスレックBL−1)1重量部とをエチルメチ
ルケトン70重量部に混合し、実施例1と同様にして分
散処理して、電荷発生層形成用塗液を調整した。得られ
た電荷発生層形成用塗液に、中間層を形成したアルミ製
円筒状支持体を浸漬し、乾燥して、膜厚0.3μmの均
一な電荷発生層を形成した。次に、電荷輸送物質として
下記の化学構造式(III):
【0072】
【化3】
【0073】で表されるスチリル系化合物を用いる以外
は、実施例3と同様にして、膜厚20μmの電荷輸送層
を形成した。以上のようにして電荷発生層および電荷輸
送層から構成される、円筒状の機能分離型感光体試料5
を得た。
【0074】実施例6 製造例1において得られた低結晶性チタニルフタロシア
ニン2重量部とポリブチラール(積水化学工業製、エス
レックBL−1)1重量部とをエチルメチルケトン70
重量部に混合し分散処理した溶液を電荷発生層形成用塗
液とし、かつ電荷輸送物質として下記の化学構造式(I
V):
【0075】
【化4】
【0076】で表されるトリフェニルアミン2量体系化
合物を用いる以外は、実施例3と同様にして、円筒状の
機能分離型感光体試料6を得た。
【0077】実施例7 製造例2において得られた低結晶性チタニルフタロシア
ニン3重量部とポリブチラール(積水化学工業製、エス
レックBL−1)1重量部とをエチルメチルケトン70
重量部に混合し分散処理した溶液を電荷発生層形成用塗
液とし用いる以外は、実施例3と同様にして、円筒状の
機能分離型感光体試料7を得た。
【0078】実施例8 中間層を形成しない以外は、実施例3と同様にして、円
筒状の機能分離型感光体試料8を得た。この感光体にお
いては、電荷発生層がやや不均質な塗膜になる傾向があ
る。このような不均質な塗膜は、コピー機に応用した場
合に中間調画像の斑の原因となるので、製造歩留りの点
でやや劣ることが分かった。
【0079】比較例1 比較製造例1において得られたβ型チタニルフタロシア
ニン結晶を用いる以外は実施例3と同様にして、機能分
離型感光体試料9を得た。電荷発生層の塗工後の自然乾
燥において斑を防止するのが困難であった。この感光体
試料9を評価したところ、画像斑が出やすく、かつ感度
が悪い感光体であることが分かった。
【0080】比較例2 比較製造例2において得られたPhaseI型に分類さ
れるチタニルフタロシアニン結晶を用いる以外は実施例
3と同様にして、機能分離型感光体試料10を得た。感
光体試料10の作成において、比較例1において得られ
た感光体試料9と同じように、電荷発生層の塗工後の自
然乾燥において斑を防止するのが困難で、大面積にわた
る均一な塗膜ができなかった。
【0081】比較例3 中間層を形成しない以外は、比較例1と同様にして、円
筒状の機能分離型感光体試料11を得た。電荷発生層の
周方向あるいは軸方向に斑が発生しやすい傾向にあっ
た。この感光体試料11を評価したところ、コピー上で
も中間調の濃度斑が明瞭に観察され、白地に無数の微小
黒点が認められた。
【0082】比較例4 比較製造例2において得られたPhaseI型に分類さ
れるチタニルフタロシアニン結晶を用い、分散溶媒とし
てテトラヒドロフランを用いる以外は実施例3と同様に
して、機能分離型感光体試料12を得た。この感光体試
料12を評価したところ、感度が悪い感光体であること
がわかった。そこで、電荷発生層形成用塗液中のチタニ
ルフタロシアニンの結晶型を調べてみると、β型に結晶
転移していることが分かった。
【0083】このようにして作成した機能分離型電子写
真感光体試料を、静電記録紙試験装置(川口電機製、E
PA−8200)により電子写真特性を評価した。測定
条件は、加電圧;−6kV、スタティック;No.3で
あり、干渉フィルターで分光した780nmの単色光
(照射光;2μW/cm2 )による、−500Vから−
250Vに減衰させるに要する露光量E1/2 (μJ/c
2 )および初期電位V 0 (−V)を測定した。また、
単層型電子写真感光体試料については、単色光の照射光
を10μW/cm2 )とする以外は、上記と同様にして
測定した。
【0084】また、市販のデジタル複写機(シャープ社
製、AR5130)を改造し、それぞれの感光体試料を
セットし、連続空コピー(Non Copy Agin
g)を4万回行い、その前後において、初期帯電電位V
0 ならびに前記静電記録紙試験装置を用いて露光量E
1/2 、帯電能(帯電5秒後の保持率%、前/後)を測定
した。さらに、高温高湿度環境下(35℃、85%)で
帯電電位−800Vで反転現像して得たコピーの画像特
性を同時に測定した。得られた結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【発明の効果】本発明は、CuKα線を用いたX線回折
スペクトルにおいて、最隣接分子配列に帰属する回折線
のみに強い回折を有し、その他の回折線はブロードな回
折線あるいは回折線群として2カ所のみに回折を有する
新たな低結晶性チタニルフタロシアニンおよびそれを電
荷発生物質として用いた電子写真感光体、ならびにその
製造方法を提供するものである。電荷発生物質として本
発明の低結晶性チタニルフタロシアニンを用いた電荷発
生層形成用塗液が分散安定性に優れているので、微小画
像欠落のない良好なコピーを得ろことができる、高感度
の電子写真感光体を製造することができる。
【0087】すなわち、電荷発生物質の材料設計におい
ては、分子の配列の秩序性の制御が重要な要因となる
が、この点で本発明の低結晶性チタニルフタロシアニン
は、優れた材料設計の結晶型を与えるものである。した
がって、本発明は、昨今、開発の進展著しい半導体レー
ザーあるいはLEDアレイを光源とする光プリンターや
デジタル複写機などの高性能化に最適な電子写真感光体
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能分離型電子写真感光体の概略断面
図である。
【図2】本発明の中間層を設けた機能分離型電子写真感
光体の概略断面図である。
【図3】本発明の単層型電子写真感光体の概略断面図で
ある。
【図4】本発明の中間層を設けた単層型電子写真感光体
の概略断面図である。
【図5】本発明の製造例1で得られた低結晶性チタニル
フタロシアニンのX線回折スペクトルである。
【図6】本発明の比較製造例1で得られたチタニルフタ
ロシアニン結晶のX線回折スペクトルである。
【図7】本発明の比較製造例2で得られたチタニルフタ
ロシアニン結晶のX線回折スペクトルである。
【符号の説明】 1 導電性支持体 2 電荷発生物質 3 電荷輸送物質 4,4’感光層 5 電荷発生層 6 電荷輸送層 7 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮宇地 真人 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA13 AA19 AA28 AA37 AA43 AA45 BA39 BB16 BB28 CA29 EA14 EA16

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuKα固有X線(波長:1.5418
    Å)を用いたX線スペクトルにおいて、ブラッグ角(2
    θ±0.2°)27.3°に最大回折強度のシャープな
    回折線、24.0°にブロードな回折線および9.0°
    〜10.0°の範囲に複数の回折線群を有することを特
    徴とする低結晶性チタニルフタロシアニン。
  2. 【請求項2】 ブロードな回折線および複数の回折線群
    の回折強度が最大回折強度の25%以下であり、かつそ
    の他の回折線が非晶質パターンを示すことを特徴とする
    請求項1記載の低結晶性チタニルフタロシアニン。
  3. 【請求項3】 複数の回折線群が、少なくともブラッグ
    角9.1°、9.3°、あるいは9.5°の回折線を含
    むことを特徴とする請求項1または2に記載の低結晶性
    チタニルフタロシアニン。
  4. 【請求項4】 導電性支持体上に感光層が形成された電
    子写真感光体であって、電荷発生物質として、感光層が
    請求項1〜3のいずれか1つに記載の低結晶性チタニル
    フタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真感
    光体。
  5. 【請求項5】 感光層が電荷発生物質を含有する電荷発
    生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造
    であり、該電荷発生層が低結晶性チタニルフタロシアニ
    ンを含有することを特徴とする請求項4記載の電子写真
    感光体。
  6. 【請求項6】 記録波長780nmに対する感度が半減
    露光エネルギー値で0.20μJ/cm2 以下である請
    求項5記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送
    層とがこの順で積層され、かつ導電性支持体と電荷発生
    層との間に中間層が設けられてなる請求項5または6に
    記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 中間層が、ルチル型酸化チタン結晶を分
    散したポリアミド組成物である請求項7記載の電子写真
    感光体。
  9. 【請求項9】 導電性支持体上に電荷発生物質を含有す
    る電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との
    積層構造の感光層が形成された電子写真感光体の製造方
    法において、電荷発生物質として請求項1〜3のいずれ
    か1つに記載の低結晶性チタニルフタロシアニンとバイ
    ンダー樹脂とを溶剤に分散し、得られた分散液を用いて
    浸漬塗布法により電荷発生層を形成することを特徴とす
    る電子写真感光体の製造方法。
  10. 【請求項10】 バインダー樹脂が、ブチラール化され
    た樹脂である請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 溶剤が、アセトン、エチルメチルケト
    ン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンか
    ら選択される少なくとも1種である請求項9または10
    に記載の製造方法。
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