JP3475122B2 - 電子写真感光体および電荷発生層用塗液 - Google Patents

電子写真感光体および電荷発生層用塗液

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JP3475122B2
JP3475122B2 JP13899199A JP13899199A JP3475122B2 JP 3475122 B2 JP3475122 B2 JP 3475122B2 JP 13899199 A JP13899199 A JP 13899199A JP 13899199 A JP13899199 A JP 13899199A JP 3475122 B2 JP3475122 B2 JP 3475122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電荷発生物質とし
てチタニルフタロシアニン組成物を含有する電荷発生層
と、電荷輸送物質としてビスアミン化合物を含有する電
荷輸送層との積層構造を有する感光層を備えた電子写真
感光体、特に1,200dpi以上の高密度露光を行っ
て電子写真感光体上に潜像を形成し、平均粒径6μm以
下のトナーを使用して反転現像方式で潜像の可視化を行
うデジタル画像形成装置に適用される電子写真感光体に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真技術は、即時性に優れ、高品質
で保存性の高い画像が得られることなどから、近年、複
写機分野だけでなく、各種のプリンタおよびファクシミ
リの分野でも採用されている。電子写真プロセスは、基
本的に、電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともい
う)の均一な帯電、露光による潜像の形成、潜像のトナ
ーによる現像、トナー像の転写材への転写および定着の
各プロセスから成る。なお、場合によってトナー像は、
中間転写体に転写した後、転写材に転写される。
【0003】感光体としては、セレニウム、ヒ素−セレ
ニウム合金、硫化カドミウムおよび酸化亜鉛などの無機
系材料のほか、無公害で、感光層の形成が容易で製造が
容易である有機系材料を光導電材料として使用した感光
体が開発されている。また、電荷発生層と電荷輸送層と
の積層構造を備える機能分離型の感光体は、高感度で、
材料の選択範囲が広く、安全性が高く、また生産性の高
い塗布方式による安価な製造が可能である。
【0004】一方、近年、より高画質な画像を得るため
に、もしくは入力画像を記憶したり自由に編集したりす
るために、画像形成のデジタル化が急速に進行してい
る。これによって、ワードプロセッサおよびパーソナル
コンピュータの出力機器として用いられるレーザプリン
タ、LED(発光ダイオード)プリンタおよび一部のカ
ラーレーザ複写機に限られていたデジタル画像形成が、
アナログ画像形成が主流であった一般の複写機の分野に
も広がっている。
【0005】このようなデジタル画像形成に対応した感
光体では、画像情報を感光体上に記録するための記録手
段として、レーザ光源またはLEDなどが用いられる。
前記記録手段では、特に780nmの近赤外光源または
650nmの赤色光源が多く用いられる。したがって、
これらの波長光に対する高い感度が要求されており、こ
のような高感度の感光体を実現する材料として、結晶型
フタロシアニン組成物、特に高感度な結晶型チタニルフ
タロシアニン組成物が検討されている。結晶型チタニル
フタロシアニン組成物には種々の結晶型が存在し、X線
回折スペクトルにおける回折ピークの一致/不一致によ
って結晶格子の大きさと形とが規定され、回折ピークの
相対的強度によって結晶格子中の分子配列が規定され
る。結晶型チタニルフタロシアニンを用いた感光体で
は、結晶格子の大きさ、形および結晶格子中の分子配列
によって、帯電性、暗減衰性および感度が大きく異な
る。
【0006】また上述したように、デジタル画像形成で
はレーザ光源またはLEDなどが画像情報を感光体上に
記録するための記録手段として用いられる。この場合、
画像は画素と呼ばれる微小ドットの集合および配列で表
わされるので、光学系の高分解能化による微小スポット
の形成技術が必須となり、光学系側では1,200dp
i以上の記録密度が可能となる。すなわちデジタル画像
形成においては、1,200dpi以上の高記録密度に
対応した感光体が要求される。
【0007】特許番号第2696400号公報には、6
00dpi以上の記録密度でデジタル画像露光を行い、
8μm以下の重量平均粒径のトナーを使用する画像形成
技術が記載されている。しかし、1,200dpi以上
の高記録密度のデジタル画像形成では、上記公報のよう
に単にトナーの重量平均粒径を規定するだけでは、感光
体上の静電潜像を忠実に再現することは困難である。ま
た、感光体において記録密度が劣化しないような設計が
必要である。
【0008】なお、高感度化および長寿命化の要求によ
って厚い層厚の感光層が検討されている。たとえば、特
開平3−11353号公報、特開平3−63653号公
報、特開平3−87749号公報、特開平3−5696
6号公報、特開平6−301224号公報、特開平7−
244388号公報および特開平7−261415号公
報で検討されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】電荷発生物質として用
いられる従来技術の結晶型チタニルフタロシアニン組成
物は、結晶系の安定性および結晶物質の分散液の安定性
に問題がある。また、従来技術の感光層を備える感光体
を反転現像の画像形成装置に適用した場合、帯電電位の
初期安定性、特に暗順応後1番最初の帯電電位の安定
性、および帯電能、すなわち初期およびライフ後の電荷
保持の能力に問題がある。また環境の変化、特に温度の
変化によって電位特性が変化し、さらに微小な画像欠陥
が発生するという問題もある。したがって、従来技術の
感光体において高感度、高画質および高安定性の全ては
充分に満足できない。
【0010】また、高画質化の追究によって感光体自体
の高解像度化の検討が求められ、1,200dpi以上
の高密度記録、たとえば1,500dpi〜2,400
dpiの高密度記録で静電潜像を忠実に再現する高感度
な感光体が必要となる。600dpi以下の記録密度で
用いられる感光体の感光層の層厚は20μm〜35μm
であるけれども、この感光層の厚さは感光体に要求され
る感度および耐刷性(寿命)の要因を考慮して設定され
ている。したがって感光体上の静電潜像の再現性は特に
問題にならないので考慮されていない。しかし、1,2
00dpi以上の記録密度で用いる感光体の感光層の層
厚を20μm以上とすると、静電潜像を忠実に再現する
ことが困難となる。
【0011】また、上述のように高記録密度で用いる感
光体の感光層の層厚を20μm以上とすると、感光層内
の電荷の輸送距離に依存して電荷が拡散し、解像度が劣
化する。たとえば、シミュレーションによれば、感光層
の層厚が30μmのとき、電荷の拡散による静電潜像の
劣化は約25μmに広がる。高解像度が要求される感光
体において、静電潜像形成時の解像度の劣化を防止する
ためには、表面電荷密度を高くするか、あるいは電荷の
拡散による劣化が問題とならないレベルまで感光層の層
厚を薄くすればよい。しかしながら感光層の層厚が薄く
なると、感光層にかかる電界強度が高まって耐圧性が低
下するという不具合が生じる。また、電気容量の増大に
伴う実効的な感度が低下する。耐圧性の低下は、反転現
像における微小な画像欠陥の発生につながる。実効的な
感度低下は電位コントラストの低下につながり、充分な
画像濃度の確保のためには、さらに表面電位を高め、光
源の電力を上げる必要が生じる。
【0012】特公平5−55860号公報には、チタニ
ルフタロシアニン化合物を結着樹脂中に分散した塗液で
形成した電荷発生層と、ヒドラゾン系化合物を含有する
電荷輸送層との積層型電子写真感光体が記載されている
けれども、高感度、高画質、高安定性および高解像度の
要求をすべて満たすことはできない。なお、このような
要求を満たす感光体として、0.1μJ/cm2 の感度
が達成できるa−Si系感光体が挙げられるけれども、
このような感光体は環境や成層性に問題がある。したが
って無公害で、層の形成が容易で製造が容易であり、か
つ上述した要求を満たすことのできる有機系感光体が望
まれている。またこのような有機系感光体の内、特に電
荷発生層の作製に好適に用いられるような塗液が望まれ
ている。
【0013】本発明の目的は、高感度、高画質、高安定
性および高解像度の電子写真感光体ならびに前記感光体
の電荷発生層の作製に好適に用いられる塗液を提供する
ことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層との積
層構造を有する感光層を備える電子写真感光体におい
て、前記電荷発生層は、電荷発生物質として結晶性チタ
ニルフタロシアニン組成物を含有し、前記電荷輸送層
は、電荷輸送物質として下記一般式(I)で表されるビ
スアミン化合物を少なくとも1種含有し、前記結晶性チ
タニルフタロシアニン組成物は、CuKα特性X線(波
長:1.5418Å)に対するX線回折スペクトルにお
いて、ブラッグ角(2θ±0.2°)10.0°以下の
7.3°,9.0°,9.3°,9.5°および9.7
°に少なくとも4本の回折ピークを示すとともに、ブラ
ッグ角27.2°に回折ピークを示し、前記ブラッグ角
10.0°以下の4本の回折ピークの各強度のうちの最
大の強度は、ブラッグ角27.2°の回折ピークの強度
よりも大きいことを特徴とする電子写真感光体である。
【0015】
【化5】
【0016】[一般式(I)中、Ar,Arは、置
換基を有してもよいアリール基、複素環基、アラルキル
基または複素環置換アルキル基を表す。]
【0017】本発明に従えば、導電性支持体上に形成さ
れる感光層は、上述したような特定のX線回折スペクト
ルを示す結晶性チタニルフタロシアニン組成物を電荷発
生物質として含有する電荷発生層と、上述したような一
般式(I)で表されるビスアミン化合物を電荷輸送物質
として含有する電荷輸送層との積層構造を備える。この
ような感光層を有する電子写真感光体では、電荷発生物
質として上述したようなX線回折スペクトルを示さない
ようなチタニルフタロシアニン組成物を電荷発生物質と
して含有するような感光体と比較して、優れた感度特性
および繰返し使用特性を示すことが判った。さらにこの
ような感光体を反転現像の画像形成装置に適用した場
合、帯電電位の初期安定性、特に暗順応後の一番最初の
帯電電位の安定性に優れていることが判った。したがっ
てこのような画像形成装置では、1回目から画像が形成
できるプロセス設計が可能である。
【0018】さらに前記感光体は、環境の変化による電
位特性の変化が小さく、優れた電荷保持能力を有し、微
小欠陥の少ない高品位の画像を形成することができる。
【0019】また上述したような結晶性チタニルフタロ
シアニン組成物を電荷発生物質として含有する電荷発生
層用の塗液は、分散安定性に優れている。
【0020】したがって上述した感光体は、半導体レー
ザ光源を用いたレーザプリンタおよびデジタル複写機な
どの高感度な画像形成装置に好適に搭載することができ
る。
【0021】請求項2記載の本発明は、前記電荷発生層
は、ブチラール化度50モル%以上70モル%未満のポ
リビニルブチラール樹脂をさらに含むことを特徴とす
る。
【0022】本発明に従えば、上述したような特に高解
像度の画像形成に適用される感光体では、電荷発生層に
上述の範囲でブチラール化されたポリビニルブチラール
樹脂を結着樹脂として用いることによって、電荷発生層
が上述のようなポリビニルブチラールを含まないような
感光体と比較して、電荷発生層用塗液および電荷発生物
質の結晶型において優れた安定性が得られ、また電荷発
生層を容易に層状とすることができることが判った。
【0023】請求項3記載の本発明は、前記電荷発生層
は、ビニル化合物の重合体またはビニル化合物の共重合
体をさらに含むことを特徴とする。
【0024】本発明に従えば、上述したように、特に高
解像度の画像形成に適用される感光体では、電荷発生層
にビニル化合物の重合体またはビニル化合物の共重合体
を結着樹脂として用いることによって、上述のようなビ
ニル化合物の重合体またはビニル化合物の共重合体を含
まないような感光体と比較して、電荷発生層用塗液およ
び電荷発生物質の結晶型において優れた安定性が得ら
れ、電荷発生層を容易に層状とすることができることが
判った。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】請求項4記載の本発明は、一般式(I)の
ビスアミン化合物は、下記一般式(II)で表されるこ
とを特徴とする。
【0034】
【化6】
【0035】[一般式(II)中、R,Rはそれぞ
れ置換基を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、ジ
アルキルアミノ基または水素原子を表す。l,kは1〜
3の整数である。ただし、lおよびkが2以上のとき、
およびRはそれぞれ同一でも異なってもよく、ま
た互いに環を形成してもよい。]
【0036】本発明に従えば、感光体の電荷輸送層の電
荷輸送物質として用いられる前記ビスアミン化合物は、
上述した一般式(II)で表されるものがさらに好まし
いことが判った。
【0037】請求項5記載の本発明は、前記導電性支持
体と感光層との間に配置される中間層を含むことを特徴
とする。
【0038】本発明に従えば、前記導電性支持体と感光
層との間に中間層が設けられる。これによって、前記結
晶性チタニルフタロシアニン組成物を電荷発生物質とし
て含有する電荷発生層用の塗液が、浸漬塗布法によって
感光層を形成する場合に、分散溶剤の蒸発潜熱に起因す
る導電性支持体の熱容量の影響を緩和することができ
る。
【0039】請求項6記載の本発明は、前記中間層はル
チル型酸化チタンとポリアミドとを含有し、前記ルチル
型酸化チタンは中間層の全重量に対して30重量%以上
50重量%以下の範囲で含まれ、前記導電性支持体上
に、中間層、電荷発生層および電荷輸送層がこの順番に
積層されていることを特徴とする。
【0040】本発明に従えば、前記中間層はその全重量
に対して30重量%以上50重量%以下の範囲でルチル
型酸化チタンを含有するとともに、ポリアミドを含有す
るものが特に好ましいことが判った。このような中間層
を導電性支持体上に設け、電荷発生層および電荷輸送層
を順番に積層して形成された感光体は、電位特性の安定
性および画像欠陥の防止効果が向上する。
【0041】請求項7記載の本発明は、1,200dp
i以上の高密度露光を行って電子写真感光体上に潜像を
形成し、平均粒径6μm以下のトナーを使用して反転現
像方式で潜像の可視化を行う画像形成装置に適用される
電子写真感光体では、電荷輸送層の層厚が10μm以上
20μm以下の範囲に選ばれることを特徴とする。
【0042】本発明に従えば、上述したような特に高解
像度の画像形成に適用される感光体では、電荷輸送層の
層厚を上述の範囲に選ぶことによって、極めて高い感度
が得られることが判った。また電荷輸送層の層厚を上述
の範囲に選ぶことによって、高解像度の高画質が安定し
て得られることが判った。
【0043】請求項8記載の本発明は、前記電荷輸送層
は結着樹脂として、下記一般式(III)で表されるポ
リカーボネートであって、粘度平均分子量が35,00
0〜85,000の範囲に選ばれるポリカーボネートを
含むことを特徴とする。
【0044】
【化7】
【0045】[一般式(III)中、R〜Rは水素
原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を
表し、Zは置換、無置換の炭素環もしくは置換、無置換
の複素環を形成するのに必要な原子群を表す。]
【0046】本発明に従えば、上述したような特に高解
像度の画像形成に適用される感光体では、電荷輸送層に
上述のような結着樹脂を用いることが、高感度、高解像
度および高画質を安定して得るために好ましいことが判
った。
【0047】請求項9記載の本発明は、前記電荷輸送層
は、酸化防止剤としてヒンダードフェノールを含有する
ことを特徴とする。
【0048】本発明に従えば、上述したような特に高解
像度の画像形成に適用される感光体では、電荷輸送層に
酸化防止剤としてヒンダードフェノールを用いること
が、電位特性の安定化の上で好ましいことが判った。
【0049】請求項10記載の本発明は、導電性支持体
上に、電荷発生物質として、CuKα特性X線(波長:
1.5418Å)に対するX線回折スペクトルにおい
て、ブラッグ角(2θ±0.2°)10.0°以下の
7.3°,9.0°,9.3°,9.5°および9.7
°に少なくとも4本の回折ピークを示すとともに、ブラ
ッグ角27.2°に回折ピークを示し、前記ブラッグ角
10.0°以下の4本の回折ピークの各強度のうちの最
大の強度は、ブラッグ角27.2°の回折ピークの強度
よりも大きい結晶性チタニルフタロシアニンを含有する
電荷発生層と、電荷輸送物質として上記一般式(I)で
表されるビスアミン化合物を少なくとも1種含有する電
荷輸送層との積層構造を有する感光層を備える電子写真
感光体の電荷発生層用塗液であって、前記結晶性チタニ
ルフタロシアニンと、結着樹脂と、ケトン類溶剤とを含
むことを特徴とする電荷発生層用塗液である。
【0050】本発明に従えば、上述したようなX線回折
スペクトルを示す結晶性チタニルフタロシアニン組成物
を電荷発生物質として含有する電荷発生層用の塗液は、
分散安定性が優れている。このような電荷発生用塗液で
も特に、前記結晶性チタニルフタロシアニン組成物と、
結着樹脂と、ケトン類溶剤とを含有する電荷発生層用塗
液は、特に分散安定性が優れていることが判った。また
環境上においても比較的低公害であることが判った。こ
のような塗液を用いて形成される電荷発生層を備える感
光層を、導電性支持体上に設けた電子写真感光体が、上
述したような結晶性チタニルフタロシアニン組成物と、
結着樹脂と、ケトン類溶剤とを含有しないような電荷発
生層用塗液で形成される電荷発生層を備える感光体と比
較して、優れた光感度特性および繰返し使用特性を示す
ことが判った。
【0051】さらにこのような電子写真感光体を搭載し
た反転現像を用いる画像形成装置では、帯電電位、特に
暗順応後、1番最初の帯電電位の初期安定性に優れるこ
とが判った。このような画像形成装置では、1回目から
画像を形成することができるプロセス設計が可能とな
る。
【0052】また環境変化による電位特性変化が小さ
く、優れた電荷保持能力を有し、微小欠陥の少ない高品
位の画像を形成することができる。したがって高感度、
高画質、高安定性および高解像度の電子写真感光体を提
供することができる。このような電荷発生層用塗液を用
いて形成した電荷発生層を備える感光体は、半導体レー
ザ光源を用いたレーザプリンタおよびデジタル複写機な
どの高感度な画像形成装置に好適に搭載することができ
る。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある電子写真感光体1,7の断面図である。図1(A)
に示される感光体1は導電性支持体2の上に感光層3を
形成して構成され、図1(B)に示される感光体7は導
電性支持体2と感光層3との間にさらに中間層6を介在
して構成される。いずれの感光体1,7も、感光層3が
少なくとも電荷発生物質4aを含有する電荷発生層4
と、少なくとも電荷輸送物質5aを含有する電荷輸送層
5との積層構造を有する機能分離型の感光体である。こ
こでは、導電性支持体2の側に電荷発生層4が配置さ
れ、その上に電荷輸送層5が配置される。
【0058】本発明の実施の他の形態として、電荷発生
層4と電荷輸送層5とを逆に配置してもかまわない。ま
た感光体1,7は、感光層3の上にさらに図示しないオ
ーバーコート層を配置して構成してもかまわない。オー
バーコート層は、感光層3の保護機能を有する。
【0059】導電性支持体2としては、アルミニウム、
アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、ニッケル
およびチタンなど、導電性を有する金属材料で実現され
る。また、導電性支持体2は、プラスチックおよび紙の
表面に、アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、
チタン、酸化インジウムおよび酸化錫などを蒸着して実
現される。さらに、プラスチックおよび紙は、導電性粒
子や導電性ポリマを含有してもかまわない。導電性支持
体2の形状としては、ドラム状、シート状およびシーム
レスベルト状などが使用可能である。電荷発生層4は、
電荷発生物質4aとして下記構造式(IV)の基本構造
で表され、CuKα特性X線(波長:1.5418Å)
に対するX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2
θ±0.2°)10.0°以下の7.3°,9.0°,
9.3°,9.5°および9.7°に少なくとも4本の
強い回折ピークを示すとともに、ブラッグ角27.2°
に回折ピークを示し、前記ブラッグ角10.0°以下の
4本の強い回折ピークの各強度のうちの最大の強度は、
ブラッグ角27.2°の回折ピークの強度よりも大きい
ような結晶性のチタニルフタロシアニン組成物を含有す
る。
【0060】
【化8】
【0061】式(IV)中、Xは水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基およびアルコキシ基のうちのいずれかを
表し、mは0〜4の整数を表す。前記ブラッグ角とは、
結晶性物質にX線が入射してブラッグの式を満足して回
折するときの、結晶性物質の表面と入射X線との成す角
度θの2倍の角度2θに0.2°の誤差を考慮した角度
であり、いわゆる回折角度を表す。
【0062】
【0063】
【0064】チタニルフタロシアニンの合成方法は、モ
ーザおよびトーマスの「フタロシアニン化合物」(MOSE
R and Thomas.“Phthalocyanine Compounds”)に記載
されている方法およびそれ以外の公知の方法を採用する
ことができる。
【0065】たとえば、o−フタロニトリルと四塩化チ
タンとを加熱融解することまたはα−クロロナフタレン
などの有機溶媒の存在下で加熱することによって、ジク
ロロチタニウムフタロシアニンが収率良く得られる。さ
らに、ジクロロチタニウムフタロシアニンを塩基または
水で加水分解することによって、チタニルフタロシアニ
ンが得られる。また、1,3−ジイミノイソインドリン
とテトラブトキシチタンとをN−メチルピロリドンなど
の有機溶媒で加熱することによって、チタニルフタロシ
アニンが得られる。
【0066】得られたチタニルフタロシアニンは、その
ベンゼン環の水素原子が塩素原子、フッ素原子、ニトロ
基、シアノ基およびスルホン基などのうちのいずれかの
置換基で置換されたフタロシアニン誘導体が含有されて
いてもかまわない。
【0067】チタニルフタロシアニンにおける本発明の
結晶型は、チタニルフタロシアニンを水の存在下でジク
ロロエタンなどの水に非混和性の有機溶媒で処理するこ
とによって得られる。すなわち、結晶格子の乱れの大き
なチタニルフタロシアニンを作った後、溶剤処理を施
し、さらに機械的な歪力を与えることによって、チタニ
ルフタロシアニンの分子配列が変換されて本発明の結晶
型が得られる。このようにして作製されたチタニルフタ
ロシアニンは、塗液作製時の機械的なシェアによるスト
レスに耐え、高い安定性を示す。
【0068】チタニルフタロシアニンを水の存在下で水
に非混和性の有機溶媒で処理する方法としては、チタニ
ルフタロシアニンを水で膨潤させて有機溶媒で処理する
方法、および膨潤処理を行わずに水を有機溶媒中に添加
し、その中にチタニルフタロシアニン粉末を投入する方
法などが挙げられるけれども、これらに限定されるもの
ではない。
【0069】チタニルフタロシアニンを水で膨潤させる
方法としては、チタニルフタロシアニンを硫酸に溶解さ
せ、水中で析出させてウェットペースト状にする方法、
およびホモミキサ、ペイントミキサ、ボールミルおよび
サンドミルなどの撹拌・分散装置を用いてチタニルフタ
ロシアニンを水で膨潤させ、ウェットペースト状にする
方法などが挙げられるけれども、これらの方法に限られ
るものではない。
【0070】加水分解で得られたチタニルフタロシアニ
ンを充分な時間で撹拌すること、または機械的な歪力を
もってミリング処理することによって、本発明の結晶型
が得られる。このような処理による分子配列の制御は、
いわゆるI型に分類される結晶型のチタニルフタロシア
ニンに対して好適である。
【0071】上述した処理に用いられる装置としては、
一般的な撹拌装置の他に、ホモミキサ、ペイントミキ
サ、ディスパーサ、アジタ、ボールミル、サンドミル、
アトライタおよび超音波分散装置などを用いることがで
きる。処理後、チタニルフタロシアニンは濾過され、メ
タノール、エタノールおよび水などを用いて洗浄されて
単離される。
【0072】本発明のチタニルフタロシアニン組成物
は、上記の製造方法によって製造されたものに限定され
ず、本発明に特有の上述したX線回折スペクトルを示す
ものであれば、いかなる製造方法によって製造されたも
のであってもかまわない。
【0073】このようにして得られたチタニルフタロシ
アニンは、電子写真感光体1,7の電荷発生物質4aと
して優れた特性を発揮する。
【0074】電荷発生層4は、電荷発生物質4aとして
上述のチタニルフタロシアニン以外にさらに含有しても
かまわない。たとえば、本発明のチタニルフタロシアニ
ンとは結晶型が異なるα型、β型(A型)、C型、Y
型、M型、M−α型およびアモルファス性のチタニルフ
タロシアニンをさらに含有してもかまわない。また、そ
の他のフタロシアニン類、アゾ顔料、アントラキノン顔
料、ペリレン顔料、多環キノン顔料およびスクエアリウ
ム顔料などをさらに含有してもかまわない。
【0075】オキソチタニルフタロシアニンの結晶型
は、たとえば「電子写真学会誌、第32巻、第3号、p
289」に記載されているようにX線解析スペクトルの
回析角の違いから数多くの結晶型に分類される。たとえ
ば、特許番号第2007449号公報にはα型、特許番
号第1917796号公報にはA型、特許番号第187
6697号公報および特許番号第1997269号公報
にはC型、特許番号第1950255号公報および特許
番号第2128593号公報にはY型、特公平7−15
067号公報にはM−α型、特許番号第2502404
号公報にはI型、特許番号第1978469号公報には
M型が記載されている。さらに特許番号第270085
9号公報および特開平8−209023号公報には基本
的にY型に属する結晶型が記載されている。
【0076】また、オキソチタニルフタロシアニンの結
晶構造解析から格子定規が判っているものは、C型、P
haseI型およびPhaseII型である。Phas
eII型は三斜晶系に属し、PhaseI型およびC型
は単斜晶系に属する。これらの公知の結晶格子定数から
上記公報に記載された結晶型を解析すると、A型および
I型はPhaseI型に属し、α型およびB型はPha
seII型に属し、M型はC型に属する。このような説
明は、たとえば「J.of Imaging Science andTechnology
Vol.37,No6,1993,p605〜p609」に説明されている。
【0077】上述した電荷発生層4は、好ましくは電荷
発生物質4aに加えて結着樹脂を含有する。このような
結着樹脂としては、ブチラール化度50モル%以上70
モル%未満のポリビニルブチラール樹脂あるいはビニル
化合物の重合体またはビニル化合物の共重合体が特に好
適である。上述のような結着樹脂を用いることによっ
て、電荷発生層用塗液および電荷発生物質の結晶型にお
いて優れた安定性が得られる。
【0078】結着樹脂は上述の範囲のブチラール化度の
ポリビニルブチラールあるいはビニル化合物の重合体ま
たはビニル化合物の共重合体に限定されず、ポリエステ
ル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリルサンエス
テル、ポリメタクレールサンエステルポリエステル、ポ
リカーボネイト、ポリビニルアセトアセタール、ポリビ
ニルポリピオナール、エノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、セルロールエステルおよびセルロースエー
テルを単独でもしくは混合して用いてもよい。
【0079】このような電荷発生層4を作成するための
塗液としては、CuKα特性X線(波長:1.5418
Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角
10.0°以下の7.3°,9.0°,9.3°,9.
5°および9.7°に少なくとも4本の強い回折ピーク
を示すとともに、ブラッグ角27.2°に回折ピークを
示し、前記ブラッグ角10.0°以下の4本の強い回折
ピークの各強度のうちの最大の強度は、ブラッグ角2
7.2°の回折ピークの強度よりも大きいような結晶性
チタニルフタロシアニン組成物と、結着樹脂と、ケトン
類溶剤とを含有する塗液が好ましい。
【0080】
【0081】
【0082】このような電荷発生層用塗液に含有される
溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン
類の溶剤が好適である。このようなケトン類溶剤を用い
ることによって、電荷発生層塗液および電荷発生物質の
結晶型において優れた安定性が得られる。また環境上に
おいても比較的低公害である。
【0083】溶剤は、ケトン類溶剤に限定されず、酢酸
エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒド
ロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、ベンゼ
ン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、
N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキ
シドなどの非プロトン性溶媒を単独もしくは混合して用
いても構わない。
【0084】電荷発生層4は、たとえば次のようにして
作製される。電荷発生物質4aおよび結着樹脂を溶剤に
加え、ボールミル、サンドグラインダ、ペイントシェー
カおよび超音波分散器などを用いて粉砕し分散して、電
荷発生層用塗液を得る。このようにして得られた塗液を
用いて、シート形状の場合にはベーカアプリケータ、バ
ーコータ、キャスティングおよびスピンコートなどの塗
工方法によって電荷発生層4を作成する。またドラム形
状の場合には、スプレー法、垂直型リング法および浸漬
塗工法などによって作成する。このような電荷発生層4
の層厚は、たとえば0.05μm〜5μmの範囲に選ば
れ、好ましくは0.08μm〜1μmの範囲に選ばれ
る。
【0085】電荷輸送層5は、電荷輸送物質5aを含有
する。電荷輸送物質5aは、下記の一般式(I)で示さ
れるビスアミン構造を有する。
【0086】
【化9】
【0087】[一般式(I)中、ArおよびAr
前記に同じ。]
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】また前記ビスアミン化合物は、下記一般式
(II)で表されるビスアミン化合物が特に好ましい。
【0092】
【化10】
【0093】[一般式(II)中、R,R,kおよ
びlは前記に同じ。]
【0094】このような一般式(II)で示されるビス
アミン化合物は、合成コストの面から好適である。また
ビスアミン化合物の具体例を表1〜表4に示すけれど
も、これによって本発明のビスアミン化合物が限定され
るものではない。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【0099】
【表4】
【0100】電荷輸送物質5aとして、上記ビスアミン
化合物を1種類または2種類以上含有させてもかまわな
い。また、他の電荷輸送物質をさらに含有させてもかま
わない。
【0101】また電荷輸送層5は、結着樹脂を含有す
る。上述した特に高解像度な画像形成装置に適用される
感光体に用いられる結着樹脂としては、特に下記一般式
(III)で示されるポリカーボネート樹脂であって、
粘度平均分子量が35,000〜85,000の範囲に
選ばれるポリカーボネート樹脂が好適である。
【0102】
【化11】
【0103】[一般式(III)中、R〜Rおよび
Zは前記に同じ。]
【0104】また結着樹脂とは上述したポリカーボネー
ト樹脂に限定されず、ポリメチルメタクリレート、ポリ
スチレンおよびポリ塩化ビニルなどのビニル重合体およ
びその共重合体、ポリエステル、ポリエステルカーボネ
ート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、およびシ
リコーン樹脂などが挙げられ、これらの樹脂を単独であ
るいは2種類以上混合して使用してもかまわない。ま
た、これらの樹脂を構成するのに必要なモノマーの共重
合体や部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもかま
わない。
【0105】また、電荷輸送層5を作製するための塗液
には、上記電荷輸送物質5aおよび結着樹脂に加えて、
溶剤が含まれる。溶剤としては、ジクロロメタンおよび
1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶剤、アセト
ン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどの
ケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル
類、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテ
ル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族
炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメ
チルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒を用いて
もかまわない。
【0106】電荷輸送層5は、たとえば次のようにして
作製される。電荷輸送物質5aを溶剤に溶解し、さらに
結着樹脂を加えて塗液を得る。このようにして得られた
塗液を用い、シート形状の場合にはベーカアプリケー
タ、バーコータ、キャスティングおよびスピンコートな
どの塗工方法によって、ドラム形状の場合にはスプレー
法、垂直型リング法および浸漬塗工法などによって、電
荷輸送層5を作製する。
【0107】電荷輸送層5の層厚は、たとえば5μm〜
40μmの範囲に選ばれ、好ましくは10μm〜30μ
mの範囲に選ばれる。またさらに上述した特に高解像度
な画像形成装置に適用される感光体では、電荷輸送層5
の層厚は10μm以上20μm以下の範囲に選ばれ、好
ましくは10μm〜17μmの範囲に選ばれる。
【0108】中間層6としては、アルミニウム陽極酸化
膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化
チタンなどの無機層を用いてもかまわない。また、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニル
ピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチ
ン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミ
ド、カゼインおよびN−メトキシメチル化ナイロンなど
の有機層を用いてもかまわない。さらに、これらの層
に、酸化チタン、酸化錫および酸化アルミニウムなどの
粒子を分散させてもかまわない。特に、ルチル型酸化チ
タンとポリアミド樹脂を主成分とした中間層6が好まし
く、さらにルチル型酸化チタン結晶が中間層6の全重量
に対して30重量%以上50重量%以下の範囲で含まれ
ることが好ましい。この場合、電位特性の優れた安定性
が得られ、画像欠陥の防止効果が向上する。
【0109】なお、中間層6を設けることは感光体7を
製造する上で好ましい。すなわち、前記電荷発生層用塗
液は、浸漬塗布法によって電荷発生層4を導電性支持体
2の上に形成する場合、溶剤の蒸発潜熱のために導電性
支持体2の熱容量の影響を受け易い。中間層6によって
このような影響を緩和することができる。
【0110】また、前記電荷発生層4および電荷輸送層
5には、必要に応じてレベリング剤、酸化防止剤および
増感剤などの各種添加剤を含んでもかまわない。酸化防
止剤としては、特に高解像度な画像形成装置に適用され
る感光体の電荷輸送層5では、ヒンダードフェノールを
含有することが好ましい。これによって、電位特性の優
れた安定性が得られる。このようなヒンダードフェノー
ルは、さらに好ましくは、電荷輸送物質5aに対して
0.5重量%以上10重量%以下の範囲で含有される。
【0111】また前記添加剤としては、ヒンダードフェ
ノールに限定されず、たとえばビタミンE、ハイドロキ
ノン、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、ア
リールアルカンおよびそれらの誘導体、有機イオウ化合
物および有機リン化合物などを用いてもかまわない。
【0112】以下に製造例および実施例を挙げて本発明
を具体的に説明するけれども、本発明はその要旨を越え
ない限り以下の製造例および実施例に限定されるもので
はない。
【0113】(製造例1)o−フタロジニトリル40
g、4塩化チタン18gおよびα−クロロナフタレン5
00mlを窒素雰囲気下の200℃〜250℃で3時間
加熱撹拌して反応させ、100℃〜130℃まで放冷
後、熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタ
レン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシ
アニン粗生成物を得る。この粗生成物を室温にてα−ク
ロロナフタレン200mlで洗浄し、さらにメタノール
200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で
1時間熱懸洗を行う。濾過後、得られた粗生成物を濃硫
酸100ml中で撹拌し溶解させた後、不溶物を濾取す
る。その硫酸溶液を水3000ml中に注ぎ、析出した
結晶を濾取し、水500ml中でpHが6〜7になるま
で熱懸洗を繰返した後、濾取し、ウエットケーキをモノ
クロロベンゼンで処理し、メタノール処理してシクロヘ
キサン処理した後、乾燥して結晶性物質を得る。
【0114】図2は、得られた結晶性物質のX線回折ス
ペクトルを示すグラフである。X線回折スペクトルの測
定条件は以下のとおりである。
【0115】 X線源 CuKα=1.5418Å 電圧 30kV〜40kV 電流 50mA スタート角度 5.0゜ ストップ角度 30.0゜ ステップ角度 0.01°〜0.02゜ 測定時間 2.0°/min〜0.5゜/min 測定方法 θ/2θ スキャン方法
【0116】このX線回折スペクトルから、得られた結
晶性物質は本発明の結晶性チタニルフタロシアニンであ
ることが判る。特に、CuKα特性X線(波長:1.5
418Å)に対するX線回折スペクトルにおいて、ブラ
ッグ角(2θ±0.2°)10.0°以下の低角側に少
なくとも4本の強い回折ピークを示すとともに、ブラッ
グ角27.2°に回折ピークを示し、前記ブラッグ角1
0.0°以下の4本の強い回折ピークの各強度のうちの
最大の強度は、ブラッグ角27.2°の回折ピークの強
度よりも大きい結晶性チタニルフタロシアニン組成物で
あることが判る。また前記ブラッグ角27.2°に存在
する回折ピークの強度は、ブラッグ角10.0°以下の
4本の強い回折ピークの各強度のうちの最大の強度の4
0%以上80%以下であるような結晶性チタニルフタロ
シアニン組成物であることが判る。またさらに前記ブラ
ッグ角10.0%以下に存在する4本の強い回折ピーク
は、ブラッグ角7.3°,9.0°,9.4°および
9.6°にそれぞれ存在し、ブラッグ角9.4°の回折
ピークが上述した4本の強い回折ピークの各強度のうち
の最大の強度を有する回折ピークであるような本発明の
結晶性チタニルフタロシアニン組成物であることが判
る。
【0117】(比較製造例1)製造例1と同様の方法で
ジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た後、
この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン200m
lで洗浄し、さらにメタノール200mlで洗浄後、さ
らにメタノール500ml中で1時間熱懸洗を行う。濾
過後、得られた粗生成物を水500ml中でpHが6〜
7になるまで熱懸洗を繰返した後、乾燥して比較製造例
1の結晶性物質を得る。
【0118】図3は、得られた結晶性物質のX線回折ス
ペクトルを示すグラフである。X線回折スペクトルの測
定条件は製造例1と同じである。ブラッグ角(2θ±
0.2゜)27.3゜に最大の強度の回折ピークを示す
特許番号第1950255号公報に記載のY型チタニル
フタロシアニンに分類される類似の結晶であることが判
る。
【0119】(実施例1)製造例1で得られた本発明の
結晶性チタニルフタロシアニン(電荷発生物質)1重量
部とブチラール樹脂(結着樹脂)(積水化学工業社製:
エスレックBX−1:ブチラール化度67±3モル%)
1重量部とをメチルエチルケトン70重量部に混合し、
ペイントコンディショナ装置(レッドレベル社製)で直
径2mmのガラスビーズとともに分散処理して電荷発生
層用塗液を調整した。得られた塗液をアルミニウム膜が
蒸着形成されたポリエステルフィルムで実現される導電
性支持体2の上に塗布し乾燥して、層厚0.4μmの電
荷発生層4を形成した。なお、前記電荷発生層用塗液の
乾固物のX線回折スペクトルは、図2に示すX線回折ス
ペクトルと同一であった。
【0120】次に、例示化合物1で示されるビスアミン
化合物(電荷輸送物質)とポリカーボネート樹脂(結着
樹脂)(帝人化成社製:C−1400:粘度平均分子量
38,000)とを1:1の重量比で混合し、ジクロル
メタンを溶剤として18重量%の電荷輸送層用塗液を調
整した。得られた塗液を電荷発生層4の上に塗布し乾燥
して、層厚24μmの電荷輸送層5を形成した。
【0121】このようにして作製した感光体1の感度を
静電記録紙試験装置(川口電機社製:EPA−820
0)を用いて評価した結果、表面電位を−500Vから
−250Vに光減衰させるに必要な半減露光エネルギー
値として、0.10μJ/cm2(波長780nm、露光
強度2.0μW/cm2 )と極めて高い感度が得られ
た。この感度では、高速機用の感光体への応用が可能で
ある。
【0122】(実施例2) 例示化合物1で示されるビスアミン化合物に代わって例
示化合物11で示されるビスアミン化合物を用いた以外
は、実施例1と同様にして感光体1を作製した。得られ
た感光体1は半減露光エネルギー値が0.09μJ/c
であり、極めて高い感度が得られた。
【0123】(実施例3) 電荷発生層4の結着樹脂としてブチラール樹脂(積水化
学工業社製:エスレックBL−1:ブチラール化度63
±3モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして感光
体1を作成した。実施例1と同様にして感度を評価した
結果、半減露光エネルギ値が0.07μJ/cmと極
めて高い感度が得られた。
【0124】(実施例4) 電荷発生層4の結着樹脂として塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体樹脂(日新化学社製:ソロバインM)を用いた
以外は実施例1と同様にして感光体1を作成した。実施
例1と同様にして感度を評価した結果、半減露光エネル
ギ値が0.05μJ/cmと極めて高い感度が得られ
た。
【0125】(実施例5) 酸化チタン(堺化学社製:STR−60N)71.6重
量部と共重合ナイロン(東レ社製:アラミンCM−80
00)107.4重量部とをメチルアルコール287重
量部と1,2−ジクロロエタン533重量部との混合溶
剤に加え、ペイントシェーカで8時間分散処理して中間
層用塗液を調製した。この塗液中に、直径65mm、長
さ332mmのアルミニウム製の円筒状導電性支持体2
を浸漬して中間層用塗液を塗布し乾燥して、層厚1μm
の中間層6を導電性支持体2の上に形成した。本実施例
で用いた酸化チタンは、表面未処理の針状のルチル型酸
化チタンである。なお中間層用塗液中の溶剤は、乾燥に
よって全て蒸発したものとする。
【0126】製造例1で得られた本発明の結晶性チタニ
ルフタロシアニン(電荷発生物質)3重量部とブチラー
ル樹脂(結着樹脂)(積水化学工業社製:エスレックB
L−1:ブチラール化度63±3モル%)1重量部とを
メチルエチルケトン70重量部に混合し、ペイントシェ
ーカで分散処理し、電荷発生層用塗液を調整した。得ら
れた塗液中に中間層6を形成した導電性支持体2を浸漬
して電荷発生層用塗液を塗布し乾燥して、層厚0.3μ
mの電荷発生層4を形成した。中間層6の上に形成され
た電荷発生層4の層厚は、概ね均一であった。
【0127】次に、例示化合物2で示されるビスアミン
化合物(電荷輸送物質)とポリカーボネート樹脂(結着
樹脂)(三菱瓦斯化学社製:PCZ−400:粘度平均
分子量40,000)とを1:1の重量比で混合し、さ
らにヒンダードフェノールの一種であるα−トコフェロ
ール(酸化防止剤)をポリカーボネート樹脂に対して2
重量%添加し、ジクロロメタンを溶剤として、15重量
%の電荷輸送層用塗液を調整した。得られた塗液中に電
荷発生層4を形成した導電性支持体2を浸漬して電荷輸
送層用塗液を塗布し乾燥して、層厚15μmの電荷輸送
層5を形成した。このようにして中間層6を有する円筒
状の感光体7を得た。
【0128】なお、同様の層構成のシート状の感光体を
作製し、その感度を前記静電記録紙試験装置を用いて評
価した結果、前記半減露光エネルギー値が0.06μJ
/cm2 と極めて高い感度が得られた。また、円筒状の
感光体7を市販の複写機(シャープ社製:AR513
0)に搭載して記録光源をそのまま用い、光学系の解像
度を改造してパルス幅変調法によって1,500dpi
の記録密度で中間電位の記録を行い、平均粒径5.5μ
mの重合トナーを用いて複写画像評価を行ったところ、
中間濃度での濃度むらは認められず、解像度のテストパ
ターンでは16本/mmまでの解像が可能であり、かつ
白地部のかぶりおよび微小黒点のない鮮明な画像が得ら
れた。4万枚相当の複写後の特性変化も問題はなかっ
た。複写後の感光層3の層厚を測定したところ、1.3
μmしか減少しておらず、耐刷性に優れていることが判
った。
【0129】(実施例6) 製造例1において得られた本発明の結晶性チタニルフタ
ロシアニン(電荷発生物質)2重量部とブチラール樹脂
(結着樹脂)(積水化学工業社製:エスレックBM−
1:ブチラール化度65±3モル%)1重量部とをメチ
ルエチルケトン70重量部に混合し、ペイントシェーカ
で分散処理して得られた電荷発生層用塗液を実施例6と
同様の中間層6の上に浸漬塗布し乾燥して、層厚0.3
μmの電荷発生層4を形成した。中間層6の上に形成さ
れた電荷発生層4の層厚は、概ね均一であった。
【0130】次に、例示化合物3で示されるビスアミン
化合物(電荷輸送物質)に対して、ヒンダードフェノー
ルの1種である2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−
フェノール(酸化防止剤)を5重量%添加して電荷輸送
層用塗液を調整し、電荷発生層4の上に浸漬塗布し乾燥
して、層厚14μmの電荷輸送層5を形成した。このよ
うにして中間層6を有する円筒状の感光体7を得た。
【0131】実施例5と同様にして感度を評価した結
果、半減露光エネルギー値が0.06μJ/cmと極
めて高い感度が得られた。また、実施例5と同様にして
複写画像を評価した結果、16本/mmまでの解像が可
能であり、かつ白地部のかぶりおよび微小黒点のない鮮
明な画像が得られた。
【0132】(実施例7) 中間層6を設けなかった以外は、実施例5と同様にして
円筒状の感光体1を作製した。実施例5と同様の感度評
価結果では、半減露光エネルギー値が0.07μJ/c
と極めて高い感度が得られたけれども、電荷発生層
用塗液の塗布工程時にやや不均質な塗膜が形成される場
合があり、複写画像に斑および微小黒点が見られる場合
があり、製造歩留りの点でやや劣ることが判明した。
【0133】(実施例8) 実施例5で中間層6のために用いた酸化チタン(堺化学
社製:STR−60N)は、表面未処理の針状のルチル
型酸化チタンである。実施例8ではこれに代わって、表
面未処理の粒状のルチル型の酸化チタン(石原産業社
製:TTO−55N)を用い、該酸化チタン90重量部
と共重合ナイロン(東レ社製:アミランCM8000)
90重量部とした。また、電荷輸送層の層厚を16μm
とした。これ以外は実施例5と同様にして円筒状の感光
体7を作製した。
【0134】実施例5と同様の感度評価結果では、半減
露光エネルギー値が0.10μJ/cmと極めて高い
感度が得られた。また、実施例5と同様にして複写画像
を評価した結果、16本/mmまでの解像が可能であ
り、かつ白地部のかぶりおよび微小黒点のない鮮明な画
像が得られた。
【0135】(比較例1)比較製造例1で得られたチタ
ニルフタロシアニンを用いた以外は実施例1と同様にし
て感光体1を作製した。実施例1と同様にして感度を評
価した結果、半減露光エネルギー値が0.42μJ/c
2 であった。電荷発生層用塗液中のチタニルフタロシ
アニンの結晶型をX線回折パターンで調べたところ、い
わゆるβ型に分類される結晶型に転移していることが判
明した。
【0136】(比較例2) 電荷輸送物質として、下記構造式(V)のブタジエン化
合物を用いた以外は実施例1と同様にして感光体1を作
製した。実施例1と同様にして感度を評価した結果、半
減露光エネルギー値が0.21μJ/cmであり、実
施例1のような高感度特性は得られなかった。
【0137】
【化12】
【0138】(比較例3) 電荷輸送物質として、下記構造式(VI)のトリフェニ
ルアミン2量体化合物を用いた以外は実施例1と同様に
して感光体1を作製した。実施例1と同様にして感度を
評価した結果、半減露光エネルギー値が0.25μJ/
cmであり、実施例1のような高感度特性は得られな
かった。
【0139】
【化13】
【0140】(比較例4) 電荷輸送物質として、下記構造式(VII)のスチリル
化合物を用いた以外は実施例1と同様にして感光体1を
作製した。実施例1と同様にして感度を評価した結果、
半減露光エネルギー値が0.22μJ/cmであり、
実施例1のような高感度特性は得られなかった。
【0141】
【化14】
【0142】(比較例5) 電荷輸送物質として、下記構造式(VIII)のヒドラ
ゾン化合物を用いた以外は実施例1と同様にして感光体
1を作製した。実施例1と同様にして感度を評価した結
果、半減露光エネルギー値が0.25μJ/cmであ
り、実施例1のような高感度特性は得られなかった。
【0143】
【化15】
【0144】(比較例6) 電荷輸送層5の層厚を28μmとした以外は実施例3と
同様にして感光体7を作製した。実施例5と同様にして
感度を評価した結果、半減露光エネルギー値が0.04
μJ/cmと極めて高い感度であった。しかしながら
実施例5と同様にして平均粒子径5.5μmの重合トナ
ーを用いて複写画像を評価した結果、10本/mmの判
別ができる程度の低い解像度であり、実施例5のような
16本/mmの判別が可能であるような高い解像度は得
られなかった。
【0145】(比較例7) α−トコフェロール(酸化防止剤)を添加しない以外
は、実施例5と同様にして感光体7を作製した。実施例
5と同様にして感度を評価した結果、半減露光エネルギ
ー値は、0.06μJ/cmと極めて高い感度であっ
た。また実施例5と同様にして画像を評価した結果、1
6本/mmの判別が可能であるような高い解像度が得ら
れた。しかしながら耐久性において帯電電位の劣化に問
題があった。
【0146】(比較例8) 酸化チタン(堺化学社製:STR−60N)120重量
部と共重合ナイロン(東レ社製:アミランCM800
0)60重量部とをメチルアルコール287重量部と
1,2−ジクロロエタン533重量部との混合溶剤に加
えて調整した中間層用塗液によって、中間層6を作製し
た以外は、実施例5と同様にして感光体7を作製した。
実施例5と同様にして感度を評価した結果、半減露光エ
ネルギー値が0.07μJ/cmと高い感度であっ
た。しかしながら実施例5と同様にして画像を評価した
結果、画像中の白地に微小な黒点の発生が多く、高質な
画像を得ることができなかった。
【0147】(比較例9) 電荷輸送層5の結着樹脂としてポリカーボネート樹脂
(帝人化成社製:C−1400)を用いた以外は実施例
5と同様にして感光体7を作製した。実施例5と同様に
して感度を評価した結果、半減露光エネルギー値は0.
07μJ/cmと高い感度であった。また、実施例5
と同様にして画像を評価した結果、16本/mmの判別
が可能な解像度が得られた。しかし、4万枚相当の複写
実施後の帯電性の低下が実施例5と比較して大きいこと
が判明した。電位の低下は感光層の層厚の減少に起因す
るものであって、5.3μmの層厚が減少していた。
【0148】(評価) 実施例1〜6および比較例1〜9の感光体に対して、デ
ジタル複写機(シャープ社製:AR5130改造機)を
用いて、連続空コピー(Non Copy Aging)を4万回行
い、その前後において初期帯電電位V(V)および感
度(半減露光量)(μJ/cm)を評価した。また、
5℃/20%RHの低温低湿環境と35℃/80%RH
の高温高湿環境における、明電位レベルの変化(温度特
性変化)ΔV(V)を測定した。さらに、低湿低湿環
境下での帯電電位の初期安定性の評価、すなわち暗順応
後の円筒状感光体の1回転目の帯電低下量(V)の測定
も同時に行った。
【0149】また、円筒状の感光体では、高温高湿環境
下で帯電電位−800Vで反転現像し、得られたコピー
の画像特性として微小画像欠陥を評価した。また解像度
(本/mm)を測定した。さらに、一部の実施例および
比較例では、4万枚相当のコピーを実施してその耐久性
を調べた。評価結果を表5にまとめて示す。
【0150】
【表5】
【0151】実施例1〜6に示されるような本発明の結
晶性チタニルフタロシアニン組成物を電荷発生物質とし
て含有する電荷発生層4を備える感光体1,7は、比較
例1に示されるような本発明でないチタニルフタロシア
ニン組成物を電荷発生物質として含有する電荷発生層を
備える感光体と比較して、初期感度すなわち半減露光量
が充分に高く、低温低湿環境下での暗順応後のプロセス
1回目の帯電の低下が小さい。
【0152】また実施例1〜6に示される本発明の結晶
性チタニルフタロシアニン組成物を電荷発生物質4aと
して含有する電荷発生層4とビスアミン化合物を電荷輸
送物質5aとして含有する電荷輸送層5とを備える感光
体1,7は、比較例2〜5に示されるような本発明の電
荷輸送物質を含有しない電荷輸送層を備える感光体と比
較して、初期感度すなわち半減露光量が充分に高い。ま
た低温低湿環境下での暗順応後のプロセス1回目の帯電
の低下が小さい。
【0153】さらに実施例5に示されるような前記中間
層6にルチル型の酸化チタンとポリアミドとを含有し、
前記ルチル型酸化チタンが中間層6の全重量に対して3
0重量%以上50重量%以下の範囲で含まれるような感
光体7は、比較例8に示されるように酸化チタンが中間
層の全重量の50重量%以上含まれるような感光体と比
較して、微小画像の欠陥がなく、良好な画像特性が得ら
れた。また初期感度が充分に高く、低温低湿度環境下で
の暗順応後のプロセス1回目の帯電の低下が小さい。
【0154】また実施例5に示されるような、電荷輸送
層5の層厚が10μm以上20μm以下の範囲に選ばれ
るような感光体7は、比較例6に示されるような電荷輸
送層の層厚が20μmよりも大きい感光体と比較して、
解像度に優れ、16本/mmの解像度を示した。
【0155】また実施例5に示されるような酸化防止剤
としてα−トコフェロールなどのヒンダードフェノール
を含有するような感光体7は、比較例7に示されるよう
な酸化防止剤を含有しないような感光体と比較して、低
温低湿環境下での暗順応後のプロセス1回目の帯電の低
下が小さいことが判った。
【0156】このように本発明の電子写真感光体は、1
回目からコピーを取ることができるプロセス設計が可能
であり、環境変化による電位特性変化が小さく、微小の
画像欠陥のない良好なコピーが得られ、かつ感度が高い
という優れた性質を有する。したがって、半導体レーザ
光を光源としたレーザプリンタおよびデジタル複写機な
どの感光体に好適に用いることができる。また本発明に
よる電荷発生層用塗液は、上述のような感光体の作成に
好適に用いることができる。
【0157】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、導電性
支持体上に形成される感光層は、上述したような特定の
X線回折スペクトルを示す結晶性チタニルフタロシアニ
ン組成物を電荷発生物質として含有する電荷発生層と、
上述したような一般式(I)で表されるビスアミン化合
物を電荷輸送物質として含有する電荷輸送層との積層構
造を備える。このような感光層を有する電子写真感光体
では、電荷発生物質として上述したようなX線回折スペ
クトルを示さないようなチタニルフタロシアニン組成物
を電荷発生物質として含有するような感光体と比較し
て、優れた感度特性および繰返し使用特性を示すことが
判った。さらにこのような感光体を反転現像の画像形成
装置に適用した場合、帯電電位の初期安定性、特に暗順
応後の一番最初の帯電電位の安定性に優れていることが
判った。したがってこのような画像形成装置では、1回
目から画像が形成できるプロセス設計が可能である。
【0158】さらに前記感光体は、環境の変化による電
位特性の変化が小さく、優れた電荷保持能力を有し、微
小欠陥の少ない高品位の画像を形成することができる。
【0159】また上述したような結晶性チタニルフタロ
シアニン組成物を電荷発生物質として含有する電荷発生
層用の塗液は、分散安定性に優れている。
【0160】したがって上述した感光体は、半導体レー
ザ光源を用いたレーザプリンタおよびデジタル複写機な
どの高感度な画像形成装置に好適に搭載することができ
る。
【0161】請求項2記載の本発明によれば、上述した
ような特に高解像度の画像形成に適用される感光体で
は、電荷発生層に上述の範囲でブチラール化されたポリ
ビニルブチラール樹脂を結着樹脂として用いることによ
って、電荷発生層が上述のようなポリビニルブチラール
を含まないような感光体と比較して、電荷発生層用塗液
および電荷発生物質の結晶型において優れた安定性が得
られ、また電荷発生層を容易に層状とすることができる
ことが判った。
【0162】請求項3記載の本発明によれば、上述した
ように、特に高解像度の画像形成に適用される感光体で
は、電荷発生層にビニル化合物の重合体またはビニル化
合物の共重合体を結着樹脂として用いることによって、
上述のようなビニル化合物の重合体またはビニル化合物
の共重合体を含まないような感光体と比較して、電荷発
生層用塗液および電荷発生物質の結晶型において優れた
安定性が得られ、電荷発生層を容易に層状とすることが
できることが判った。
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】請求項4記載の本発明によれば、感光体の
電荷輸送層の電荷輸送物質として用いられる前記ビスア
ミン化合物は、上述した一般式(II)で表されるもの
がさらに好ましいことが判った。
【0167】請求項5記載の本発明によれば、前記導電
性支持体と感光層との間に中間層が設けられる。これに
よって、前記結晶性チタニルフタロシアニン組成物を電
荷発生物質として含有する電荷発生層用の塗液が、浸漬
塗布法によって感光層を形成する場合に、分散溶剤の蒸
発潜熱に起因する導電性支持体の熱容量の影響を緩和す
ることができる。
【0168】請求項6記載の本発明によれば、前記中間
層はその全重量に対して30重量%以上50重量%以下
の範囲でルチル型酸化チタンを含有するとともに、ポリ
アミドを含有するものが特に好ましいことが判った。こ
のような中間層を導電性支持体上に設け、電荷発生層お
よび電荷輸送層を順番に積層して形成された感光体は、
電位特性の安定性および画像欠陥の防止効果が向上す
る。
【0169】請求項7記載の本発明によれば、上述した
ような特に高解像度の画像形成に適用される感光体で
は、電荷輸送層の層厚を上述の範囲に選ぶことによっ
て、極めて高い感度が得られることが判った。また電荷
輸送層の層厚を上述の範囲に選ぶことによって、高解像
度の高画質が安定して得られることが判った。
【0170】請求項8記載の本発明によれば、上述した
ような特に高解像度の画像形成に適用される感光体で
は、電荷輸送層に上述のような結着樹脂を用いること
が、高感度、高解像度および高画質を安定して得るため
に好ましいことが判った。
【0171】請求項9記載の本発明に従えば、上述した
ような特に高解像度の画像形成に適用される感光体で
は、電荷輸送層に酸化防止剤としてヒンダードフェノー
ルを用いることが、電位特性の安定化の上で好ましいこ
とが判った。
【0172】請求項10記載の本発明によれば、上述し
たようなX線回折スペクトルを示す結晶性チタニルフタ
ロシアニン組成物を電荷発生物質として含有する電荷発
生層用の塗液は、分散安定性が優れている。このような
電荷発生用塗液でも特に、前記結晶性チタニルフタロシ
アニン組成物と、結着樹脂と、ケトン類溶剤とを含有す
る電荷発生層用塗液は、特に分散安定性が優れているこ
とが判った。また環境上においても比較的低公害である
ことが判った。このような塗液を用いて形成される電荷
発生層を備える感光層を、導電性支持体上に設けた電子
写真感光体が、上述したような結晶性チタニルフタロシ
アニン組成物と、結着樹脂と、ケトン類溶剤とを含有し
ないような電荷発生層用塗液で形成される電荷発生層を
備える感光体と比較して、優れた光感度特性および繰返
し使用特性を示すことが判った。
【0173】さらにこのような電子写真感光体を搭載し
た反転現像を用いる画像形成装置では、帯電電位、特に
暗順応後、1番最初の帯電電位の初期安定性に優れるこ
とが判った。このような画像形成装置では、1回目から
画像を形成することができるプロセス設計が可能とな
る。
【0174】また環境変化による電位特性変化が小さ
く、優れた電荷保持能力を有し、微小欠陥の少ない高品
位の画像を形成することができる。したがって高感度、
高画質、高安定性および高解像度の電子写真感光体を提
供することができる。このような電荷発生層用塗液を用
いて形成した電荷発生層を備える感光体は、半導体レー
ザ光源を用いたレーザプリンタおよびデジタル複写機な
どの高感度な画像形成装置に好適に搭載することができ
る。
【0175】
【0176】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である電子写真感光体
1,7の断面図である。
【図2】製造例1で得られた結晶性物質のX線回折スペ
クトルを示すグラフである。
【図3】比較製造例1で得られた結晶性物質のX線回折
スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1,7 電子写真感光体 2 導電性支持体 3 感光層 4 電荷発生層 4a 電荷発生物質 5 電荷輸送層 5a 電荷輸送物質 6 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03G 5/14 101 G03G 5/14 101D 101E 9/08 9/08 (56)参考文献 特開 昭63−55553(JP,A) 特開 平10−282695(JP,A) 特開 平10−237347(JP,A) 特開 平10−221871(JP,A) 特開 平10−171137(JP,A) 特開 平10−148953(JP,A) 特開 平10−73936(JP,A) 特開 平8−184973(JP,A) 特開 平7−271063(JP,A) 特開 平7−84393(JP,A) 特開 平5−289380(JP,A) 特開 平5−265231(JP,A) 特開 平5−216330(JP,A) 特開 平4−369664(JP,A) 特開 平3−20768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸
    送層との積層構造を有する感光層を備える電子写真感光
    体において、 前記電荷発生層は、電荷発生物質として結晶性チタニル
    フタロシアニン組成物を含有し、 前記電荷輸送層は、電荷輸送物質として下記一般式
    (I)で表されるビスアミン化合物を少なくとも1種含
    有し、 前記結晶性チタニルフタロシアニン組成物は、CuKα
    特性X線(波長:1.5418Å)に対するX線回折ス
    ペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)1
    0.0°以下の7.3°,9.0°,9.3°,9.5
    °および9.7°に少なくとも4本の回折ピークを示す
    とともに、ブラッグ角27.2°に回折ピークを示し、
    前記ブラッグ角10.0°以下の4本の回折ピークの各
    強度のうちの最大の強度は、ブラッグ角27.2°の回
    折ピークの強度よりも大きいことを特徴とする電子写真
    感光体。 【化1】 [一般式(I)中、Ar,Arは、置換基を有して
    もよいアリール基、複素環基、アラルキル基または複素
    環置換アルキル基を表す。]
  2. 【請求項2】 前記電荷発生層は、ブチラール化度50
    モル%以上70モル%未満のポリビニルブチラール樹脂
    をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の電子写真
    感光体。
  3. 【請求項3】 前記電荷発生層は、ビニル化合物の重合
    体またはビニル化合物の共重合体をさらに含むことを特
    徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 一般式(I)のビスアミン化合物は、下
    記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1
    〜3のうちのいずれかに記載の電子写真感光体。 【化2】 [一般式(II)中、R,Rはそれぞれ置換基を有
    してもよいアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミ
    ノ基または水素原子を表す。l,kは1〜3の整数であ
    る。ただし、lおよびkが2以上のとき、RおよびR
    はそれぞれ同一でも異なってもよく、また互いに環を
    形成してもよい。]
  5. 【請求項5】 前記導電性支持体と感光層との間に配置
    される中間層を含むことを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記中間層はルチル型酸化チタンとポリ
    アミドとを含有し、前記ルチル型酸化チタンは中間層の
    全重量に対して30重量%以上50重量%以下の範囲で
    含まれ、 前記導電性支持体上に、中間層、電荷発生層および電荷
    輸送層がこの順番に積層されていることを特徴とする請
    求項5記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 1,200dpi以上の高密度露光を行
    って電子写真感光体上に潜像を形成し、平均粒径6μm
    以下のトナーを使用して反転現像方式で潜像の可視化を
    行う画像形成装置に適用される電子写真感光体では、電
    荷輸送層の層厚が10μm以上20μm以下の範囲に選
    ばれることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 前記電荷輸送層は結着樹脂として、下記
    一般式(III)で表されるポリカーボネートであっ
    て、粘度平均分子量が35,000〜85,000の範
    囲に選ばれるポリカーボネートを含むことを特徴とする
    請求項7記載の電子写真感光体。 【化3】 [一般式(III)中、R〜Rは水素原子、ハロゲ
    ン原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zは置
    換、無置換の炭素環もしくは置換、無置換の複素環を形
    成するのに必要な原子群を表す。]
  9. 【請求項9】 前記電荷輸送層は、酸化防止剤としてヒ
    ンダードフェノールを含有することを特徴とする請求項
    8記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 導電性支持体上に、電荷発生物質とし
    て、CuKα特性X線(波長:1.5418Å)に対す
    るX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±
    0.2°)10.0°以下の7.3°,9.0°,9.
    3°,9.5°および9.7°に少なくとも4本の回折
    ピークを示すとともに、ブラッグ角27.2°に回折ピ
    ークを示し、前記ブラッグ角10.0°以下の4本の回
    折ピークの各強度のうちの最大の強度は、ブラッグ角2
    7.2°の回折ピークの強度よりも大きい結晶性チタニ
    ルフタロシアニンを含有する電荷発生層と、電荷輸送物
    質として下記一般式(I)で表されるビスアミン化合物
    を少なくとも1種含有する電荷輸送層との積層構造を有
    する感光層を備える電子写真感光体の電荷発生層用塗液
    であって、 前記結晶性チタニルフタロシアニンと、 結着樹脂と、 ケトン類溶剤とを含むことを特徴とする電荷発生層用塗
    液。 【化4】 [一般式(I)中、Ar,Arは、置換基を有して
    もよいアリール基、複素環基、アラルキル基または複素
    環置換アルキル基を表す。]
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