JPH078961B2 - チタニルフタロシアニン結晶型変換方法 - Google Patents

チタニルフタロシアニン結晶型変換方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光導電材料として有用なチタニルフタロシア
ニン結晶の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
フタロシアニン化合物は、塗料、印刷インク、触媒或い
は電子材料として有用な材料であり、特に近年、電子写
真感光体用材料、光記録用材料及び光電変換材料とし
て、広範に検討がなされている。一般に、フタロシアニ
ン化合物は、製造方法、処理方法の違いにより、幾つか
の結晶型を示すことが知られており、この結晶型の違い
は、フタロシアニン化合物の光電変換特性に大きな影響
を及ぼすことが知られている。フタロシアニン化合物の
結晶型については、例えば、銅フタロシアニンについて
みると、安定系のβ型以外に、α、ε、π、χ、ρ、
γ、δ等の結晶型が知られており、これらの結晶型は、
機械的歪力、硫酸処理、有機溶剤処理及び熱処理等によ
り、相互に転移が可能であることが知られている(例え
ば米国特許第2,770,629号、同第3,160,635号、同第3,70
8,292号及び同第3,357,989号明細書等)。また、特開昭
50−38543号公報等には、銅フタロシアニンの結晶型の
違いと電子写真感度について記載されている。
また、チタニルフタロシアニンについても、種々の結晶
型のものが提案されており、例えば特開昭62−67094号
公報には安定系のβ型のものが、特開昭61−217050号公
報にはα型のものが記載され、また、特開昭63−366
号、同63−20365号、同64−17066号、特開平1−153757
号公報には、他の結晶型のものが記載されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記した従来提案されているフタロシア
ニン化合物は、感光材料として使用した場合の光感度と
耐久性の点で、未だ十分満足のいくものではなく、新た
な結晶型のフタロシアニン化合物の開発や、安定な結晶
型のものを容易に製造する方法の開発が望まれている。
本発明は、従来の技術における上記のような実状に鑑み
てなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、高い光感度を有するチタニ
ルフタロシアニンの安定な結晶を容易に製造する方法を
提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、検討の結果、チタニルフタロシアニンに
簡単な処理を施すことによって、光導電材料として高い
感度と耐久性を有する安定な結晶型のものが得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ブラッグ角度(2θ±0.2)の少なく
とも27.3゜、24.0゜、18.0゜及び14.3゜に回折ピークを
示すチタニルフタロシアニン結晶の製造方法に関するも
のであって、チタニルフタロシアニンを濃硫酸に溶解ま
たはスラリー化した後、トルエンとメタノールの混合溶
媒、又は水とモノクロルベンゼンの混合溶剤で希釈し
て、結晶を析出させることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、合成によって得られたチタニルフタロシアニン、
例えば1,3−ジイミノイソインドリンとチタニウムテト
ラブトキシドとを反応させることによって得られたチタ
ニルフタロシアニンを濃硫酸に投入し、溶解又はスラリ
ー化させる。その際、濃硫酸の濃度は70〜100%、好ま
しくは90〜97%のものが使用され、濃硫酸の量は、チタ
ニルフタロシアニンの重量に対して1〜100倍、好まし
くは3〜60倍に設定される。また、溶解またはスラリー
化温度は、−20〜100℃、好ましくは0〜60℃の範囲に
設定される。次いで、得られた濃硫酸溶液又はスラリー
をトルエンとメタノールの混合溶媒、又は水とモノクロ
ルベンゼンの混合溶剤に投入して結晶を析出させる。
その混合比(容量)としては、メタノール/トルエン=
90/10〜50/50、モノクロルベンゼン/水=60/40〜5/95
の範囲が採用される。
溶媒の使用量は、濃硫酸溶液またはスラリーに対して2
〜50倍、好ましくは5〜20倍の範囲に設定される。
析出した結晶は、濾別して単離し、溶剤で洗浄する。
本発明の方法によって得られるチタニルフタロシアニン
結晶は、ブラッグ角度(2θ±0.2)の少なくとも27.3
゜、24.0゜、18.0゜及び14.3゜、に回折ピークを示す新
規な結晶を含み、これらチタニルフタロシアニン結晶
は、感光波長域が長波長まで伸びているため、半導体レ
ーザーを利用するプリンター等の電子写真感光体用の光
導電材料として非常に有用である。
〔実施例〕
以下、実施例によって本発明を説明する。
チタニルフタロシアニンの合成例 1,3−ジイミノイソインドリン3部、チタニウムテトラ
ブトキシド1.7部を1−クロルナフタレン20部中に入
れ、190℃において5時間反応させた後、生成物を濾過
し、アンモニア水、水、アセトンで洗浄し、チタニルフ
タロシアニン4.0部を得た。得られたチタニルフタロシ
アニン結晶の粉末X線回折図を、第3図に示す。
実施例1 上記合成例で得たチタニルフタロシアニン結晶2.0部を9
7%硫酸100部に5℃で溶解した後、氷冷したトルエン40
0部とメタノール600部の混合溶媒中に注ぎ、析出した結
晶を濾過し、メタノール、希アンモニア水、次いで水で
洗浄した後、乾燥して、1.6部のチタニルフタロシアニ
ン結晶を得た。得られたチタニルフタロシアニン結晶の
粉末X線回折図を第1図に示す。
実施例2 上記合成例で得たチタニルフタロシアニン結晶2.0部を9
7%硫酸100部に5℃で溶解した後、氷冷した水720部と
モノクロルベンゼン80部の混合溶媒中に注ぎ、その後、
湯浴で50℃において1時間攪拌した後、濾過し、メタノ
ール、希アンモニア水、次いで水で洗浄して0.8部のチ
タニルフタロシアニン結晶を得た。得られたチタニルフ
タロシアニン結晶の粉末X線回折図を第2図に示す。
応用例 実施例1で得たチタニルフタロシアニン1部をポリビニ
ルブチラール(商品名;エスレックBM−1、積水化学
(株)製)1部及びシクロヘキサノン100部と混合し、
ガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間処理し
て分散した後、得られた塗布液を、浸漬コーティング法
でアルミニウム基板上に塗布し、100℃において5分間
加熱乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式 で示される化合物2部と下記構造式 で示されるポリ(4,4−シクロヘキシリデンジフェニレ
ンカーボネート)3部を、モノクロロベンゼン20部に溶
解し、得られた塗布液を、電荷発生層が形成されたアル
ミニウム基板上に、浸漬コーティング法で塗布し、120
℃において1時間加熱乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層
を形成した。
得られた電子写真感光体を、常温常湿(20℃、50%RH)
の環境の中で、静電複写紙試験装置(EPA−8100、川口
電機(株)製)を用いて、−6KVのコロナ放電を行い帯
電させた後、タングステンランプの光を、モノクロメー
ターを用いて800nmの単色光にし、感光体表面上で1μW
/cm2になるように調整し、照射した。そして、その表面
電位が初期V0(ボルト)の1/2になるまでの露光量E1/2
(erg/cm2)を測定し、その後10ルックスのタングステ
ン光を1秒間感光体表面上に照射し、残留電位VRを測定
した。さらに、上記の帯電、露光を1000回繰り返した後
のV0、E1/2、VRを測定した。その結果、V0は−840V、
1/2は1.3erg/cm2、VRは0Vであり、1000回測定を繰り
返した後のV0は−830V、E1/2は1.3erg/cm2、VRは0Vで
あった。
参考例 比較のために、電荷発生材料として、合成例で得られた
第3図の粉末X線回折図を示すチタニルフタロシアニン
結晶を用いた以外は、上記応用例と同様にして電子写真
感光体を作成し、同様にして評価を行った。その結果、
V0は−780V、E1/2は4.1erg/cm2、VRは10Vであり、1000
回測定を繰り返した後のV0は−780V、E1/2は3.8erg/cm
2、VRは15Vであった。したがって、この電子写真感光体
は、上記の場合に比して電子写真特性が劣っていた。
〔発明の効果〕
本発明の方法によれば、簡単な処理でブラッグ角度(2
θ±0.2)の少なくとも27.3゜、24.0゜、18.0゜及び14.
3゜に回折ピークを示すチタニルフタロシアニンの安定
な結晶を容易に製造することができる。本発明によって
得られるチタニルフタロシアニン結晶は、半導体レーザ
ーを利用するプリンター等の電子写真感光体用の光導電
材料として非常に有用であり、その電子写真感光体は、
優れた感光及び耐久性を有している。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、それぞれ実施例1及び2のチタニ
ルフタロシアニン結晶のX線回折図、第3図は、合成例
で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大門 克己 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社竹松事業所内 (72)発明者 額田 克己 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社竹松事業所内 (56)参考文献 特開 平3−181570(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタニルフタロシアニンを濃硫酸に溶解ま
    たはスラリー化した後、トルエンとメタノールの混合溶
    媒、又は水とモノクロルベンゼンの混合溶剤で希釈し
    て、結晶を析出させることを特徴とするX線回折図にお
    いてブラッグ角度(2θ±0.2)の少なくとも27.3゜、2
    4.0゜、18.0゜及び14.3゜に回折ピークを示すチタニル
    フタロシアニン結晶の製造方法。
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