JP2000292949A - 電子写真感光体および電荷発生層作成用塗液組成物 - Google Patents

電子写真感光体および電荷発生層作成用塗液組成物

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JP2000292949A
JP2000292949A JP10551699A JP10551699A JP2000292949A JP 2000292949 A JP2000292949 A JP 2000292949A JP 10551699 A JP10551699 A JP 10551699A JP 10551699 A JP10551699 A JP 10551699A JP 2000292949 A JP2000292949 A JP 2000292949A
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oxotitanyl phthalocyanine
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JP10551699A
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Satoshi Nishigaki
敏 西垣
Yuko Takeda
祐子 竹田
Takatsugu Obata
孝嗣 小幡
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体レーザーの近赤外光に対して高感度
で、電気特性に優れ、繰り返し使用しても感度の低下が
ほとんど起こらず、帯電電位が安定な電子写真感光体を
提供することを課題とする。 【解決手段】 電荷発生物質として特定のX線回折スペ
クトルを有する結晶型オキソチタニルフタロシアニンを
用い、かつ電荷輸送物質として特定のビスアミン化合物
を用いることにより、上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体お
よび電荷発生層作成用塗液組成物に関する。さらに詳し
くは、本発明は、電荷発生物質として特定の結晶型オキ
ソチタニルフタロシアニン化合物を、電荷輸送物質とし
て特定のビスアミン化合物を用いた、特に近赤外の波長
域において高い感度を有する電子写真感光体および該感
光体の製造に用いられる電荷発生層作成用塗液組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】C.F.カールソンにより発明された電
子写真技術は、即時性があり、高品質でかつ保存性の高
い画像が得られることから、近年では、複写機の分野に
とどまらず、各種プリンターやファクシミリの分野でも
広く用いられ、その技術分野は大きな広がりを見せてい
る。この電子写真のプロセスは、基本的に感光体の均一
な帯電、像露光による潜像形成、該潜像のトナーによる
現像、該トナー像の紙への転写(中間に転写体を経由す
る場合もある)、および定着による画像形成プロセスか
ら構成される。
【0003】従来、電子写真感光体の感光層を形成する
光導電性材料としては、その感度、耐久性の両面から無
機光導電性材料が主として用いられてきた。無機光導電
性材料の代表的なものとしては、酸化亜鉛系、セレン系
および硫化カドミウム系などの材料が挙げられる。
【0004】しかし、近年、これらの無機光導電性材料
はさまざまな問題点が指摘されている。すなわち、酸化
亜鉛系の材料では、添加した増感剤がコロナ放電による
帯電性劣化や露光による光褐色を生じるため、長期にわ
たって安定な画像を得ることができないという問題があ
った。また、セレン系の材料は毒性が強く、温度や湿度
などの外的要因で容易に結晶化が進行し、帯電性が低下
したり画像に白点が生じたりする問題があった。また、
硫化カドミウム系の材料では、多湿の環境下で安定した
感度が得られないという問題点があった。
【0005】そこで、近年では、有機系光導電性材料が
用いられるようになってきた。一般に、有機系光導電性
材料は、製造コストを低く抑えることができるので、量
産性が高く、毒性が低く、易廃棄性のものが多い。ま
た、有機系光導電性材料は、光吸収波長領域の設定変更
が容易で、種々の材料を組み合わせることによって簡単
に電子写真特性を制御することができるという利点を有
する。このような有機光導電性材料を用いた電子写真感
光体の中でも、導電性支持体の上に電荷発生層と電荷輸
送層とを順に積層する機能分離型電子写真感光体が主に
研究開発されている。
【0006】これまでにさまざまな分子構造を有する有
機光導電性材料が開発されてきた。代表的なものとして
は、ヒドラゾン系(特開昭54−59143号公報)、
スチルベン・スチリル系(特開昭58−198043号
公報)、トリアリールアミン系(特公昭58−3237
3号公報)、フェノチアジン系、トリアゾール系、キノ
キサリン系、オキサジアゾール系、オキサゾール系、ピ
ラゾリン系、トリフェニルメタン系、ジヒドロニコチン
アミド系、インドリン化合物およびセミカルバゾン化合
物などが挙げられる。
【0007】一方、近年、従来の白色光の代わりにレー
ザー光を用いて、高速化、高画質、ノンインパクト化を
メリットとしたレーザービームプリンターなどが広く普
及するに至り、その要求に耐え得る感光体の開発が望ま
れている。レーザー光を用いた方式が試みられている
が、これらのレーザー光の波長は800nm前後である
ことから、この長波長光に対し高感度な特性を有する感
光体が強く望まれている。
【0008】このような要求を満たす有機光導電性材料
としては、従来、スクアリック酸メチン系色素、インド
リン系色素、シアニン系色素、ビリリウム系色素、ポリ
アゾ系色素、フタロシアニン系色素およびナフトキノン
系色素などが知られている。しかし、スクアリック酸メ
チン系色素、インドリン系色素、シアニン系色素および
ビリリウム系色素は長波長化が可能であるが、実用的安
定性(繰り返し特性)に欠け、ポリアゾ系色素は長波長
化が難しく、かつ製造上不利であり、またナフトキノン
系色素は感度的に問題がある。
【0009】一方、フタロシアニン系化合物は、長波長
域に良好な感度を有することが知られており、上記の他
の色素に比べて実用安定性が比較的良好なため、近年盛
んに研究が行われている。フタロシアニン系化合物は、
中心金属の有無やその種類によって感度ピークや物性が
異なるだけでなく、その結晶型の違いによっても物性が
大きく変化することが知られている〔澤田 学:「染料
と薬品」第24巻、第6号、第122頁(1979)参
照〕。したがって、フタロシアニン系化合物を用いた電
子写真感光体の研究は、結晶型の検討までを含めて行わ
れている。
【0010】フタロシアニン系化合物の結晶型が選択さ
れた電子写真感光体の研究としては、例えば、無金属フ
タロシアニンを用いたもの(例えば、特開昭63−86
551号公報)、アルミニウムを含有するフタロシアニ
ンを用いたもの(例えば、特開昭63−133462号
公報)、中心金属としてチタニウムを用いたもの(例え
ば、特開昭59−49544号公報)、中心金属として
インジウムおよびガリウムなどを用いたものなどが知ら
れている。
【0011】近年、それらフタロシアニン系化合物の中
でも高感度を示すオキソチタニルフタロシアニンの研究
が精力的に行われている。電子写真学会誌、第32巻、
第3号、第282頁には、オキソチタニルフタロシアニ
ンだけでも、X線回折スペクトルの回折角の違いから数
多くの結晶型に分類されることが記載されている。具体
的に特徴的な結晶を示すと、特開昭61−217050
号公報および特開昭61−239248号公報にはα
型、特開昭62−67094号公報にはA型、特開昭6
3−366号公報および特開昭63−198067号公
報にはC型、特開昭63−20365号公報、特開平2
−8256号公報、特開平1−17066号公報および
特開平7−271073号公報にはY型、特開平3−5
4265号公報にはM型、特開平3−54264号公報
にはM−α型、特開平3−128973号公報にはPh
aseI型、特開昭62−67094号公報にはPha
seI型およびPhaseII型の結晶が記載されてい
る。
【0012】オキソチタニルフタロシアニン結晶におい
て、構造解析から格子定数が判明しているものは、C
型、PhaseI型およびPhaseII型であり、P
haseII型は三斜晶系、PhaseI型およびC型
は単斜晶系に属する。これらの公知の格子定数から上記
の公報に記載された結晶型を解析してみると、A型およ
びI型はPhaseI型、αおよびB型はPhaseI
I型、M型はC型に属することがわかる(同様のことを
説明した文献には、J. of Imaging Science and Techno
logy, Vol.37, No.6, 1993, p605〜609 がある)。
【0013】オキソチタニルフタロシアニン結晶には種
々の結晶型が存在するが、X線回折スペクトルにおい
て、三斜晶系では6本の回折ピーク、単斜晶系では4本
の回折ピークが一致すれば格子定数が同じであり、その
格子の大きさと形が規定される。また、その回折ピーク
の強度の相対的な強さからオキソチタニルフタロシアニ
ン分子の結晶格子中の配列が規定される。結晶型オキソ
チタニルフタロシアニンでは、このような結晶型の違
い、さらには同じ結晶格子であっても分子配列の違いに
よって帯電性や感度などの物性に大きな差があることが
報告されている。
【0014】また、特開昭61−109056号公報に
は、オキソチタニルフタロシアニン化合物とバインダー
樹脂を含む電荷発生層上に、ヒドラゾン化合物とバイン
ダー樹脂を含む電荷輸送層を積層した電子写真感光体が
記載されている。この電子写真感光体は、800nm前
後に感度を有するものの、現在の高画質化、高速化に要
求される感度には及ばない。
【0015】以上のことから、フタロシアニン系化合
物、特にオキソチタニルフタロシアニン化合物が、長波
長域に感度を有する有機光導電性材料として有用である
ことがわかる。有機光導電性材料としての機能発現は、
結晶格子中での分子配列に依存する。そこで、高性能な
有機光導電性材料を得るためには、結晶型と分子配列の
制御が重要になる。従来から用いられている結晶型材料
は、1つの結晶型からなる同一層の結晶材料であるため
に、X線回折による最大回折ピーク以外は合成時の結晶
の乱れあるいは塗液作成の分散工程における機械的なシ
ェアによるストレスによってブロードな回折ピークを有
する、結晶格子の乱れた材料しか得られていない。
【0016】このため、従来のオキソチタニルフタロシ
アニン結晶では、結晶型の安定性、結晶物質の分散液の
安定性に問題があり、かつ反転現象を用いた電子写真装
置において帯電電位の初期安定性(特に暗順応後の1回
転目の帯電)、環境変化による電位特性の変化(特に温
度特性)および微小画像欠陥の発生などの問題があり、
現在のところ高感度、高画質、高安定性のすべての性能
を十分に満足する電子写真感光体は得られていない。
【0017】半導体レーザーやLEDアレイを記録光源
とする方式では、画像は、画素と呼ばれる微小ドットの
集合および配列で表現されるため、光学系の高分解能化
による微小スポットの形成技術が必須となり、光学系側
では、1200dpi以上の記録密度が可能になってき
た。一方、高画質化設計は、トナー粒子径の小粒径化や
現像あるいは転写時のトナー飛び散りの最小限化などの
技術と相まって、画像データを如何に電子写真技術のも
つ画像再現特性に見合うように加工するかという画像処
理技術の開発面でも行われている。
【0018】特許掲載公報第2696400号には、6
00dpi以上の記録密度でデジタル画像露光を行い、
8μm以下のトナーを使用する画像形成法が記載されて
いるが、1200dpi以上のさらに高分解能のデジタ
ル画像記録においては、単なるトナーの重量平均粒径の
規定のみでは電子写真感光体上の静電潜像の忠実な再生
が困難であり、かつ使用される電子写真感光体も記録密
度の劣化を来さない設計が必要になる。
【0019】目視の画質は、その解像度と階調性の相乗
効果により決定される。例えば、美術書の印刷において
は、分解能が200dpiであっても256階調の表現
により高品質画像が得られている。人間の目は、300
dpiの解像度と64階調の濃度を検知する能力とをも
つと言われている。階調表現法として、面積階調では高
解像度がよく、あるいは濃度階調では低解像度でよいこ
とが明らかであり、これらのバランスを考慮した画像形
成が重要である。画質の経時安定性、環境安定性などを
勘案し、電子写真技術のハーフトーン濃度の不安定性を
考慮すれば、前者の面積階調による階調表現と高解像度
化が安定した高画質を実現する上で有利となる。
【0020】電子写真学会誌、第26号第1号(198
7年)第75〜83頁には、「電子写真の高画質化・・
・デジタル記録技術」と題して技術解説がなされてい
る。この中で、レーザーの多値出力方法として、パルス
幅変調法を用いると、光エネルギー分布のピーク値が低
下すること、その分布が強度変調特性を帯びてくるた
め、潜像電位分布としても暗時帯電電位と明時表面電位
の中間値を示すことなどが述べられている。高分解能記
録になればなるほど、多値記録になればなるほど、高感
度・高解像度の電子写真感光体が必要になることは明ら
かである。
【0021】しかしながら、電子写真感光体自体あるい
は該感光体と記録方式との関連での解像度に関する検討
は希薄であり、従来、電子写真感光体自体の解像度は問
題とされていない。これは、400〜600dpiの記
録密度では、実用化されている膜厚の電子写真感光体で
充分な解像度を有していること、膜厚に依存したキャリ
ア拡散に基づく解像度劣化が課題とならなかったからに
他ならない。むしろ、高感度化や長寿命化の要求と相ま
って、より厚い膜厚の電子写真感光体が検討されてきた
(特開平3−11353号公報、特開平3−63653
号公報、特開平3−87749号公報、特開平3−56
966号公報、特開平6−301224号公報、特開平
7−244388号公報および特開平7−261415
公報参照)。
【0022】デジタル用電子写真感光体に好適な電荷発
生物質としてフタロシアニン系化合物、チタニルフタロ
シアニンが挙げられるが、その機能発現は結晶格子中で
の分子配列に支配されているので、結晶型と分子配列の
制御が重要な因子となる。従来の電荷発生物質として用
いられている結晶型では、安定性の問題や分散液中での
安定性に問題がある。また、反転現像を用いた電子写真
装置では、帯電電位の初期安定性(特に、暗順応後の1
回転目の帯電)、帯電能(初期およびライフ後の電荷保
持能力)、環境変化による電位特性の変化(特に、温度
特性)、微小画像欠陥の発生などの問題が発生し、未だ
に高感度、高画質、高安定性のすべてを充分に満足する
電子写真感光体は得られていない。
【0023】今後、更なる高画質化を追求するために
は、電子写真感光体自体の高解像度化の観点からの検討
が求められる。1500〜2400dpiの高密度記録
を忠実に再現する高感度な電子写真感光体の検討が必要
になってくる。現状の600dpi以下の記録密度で
は、実用化されている電子写真感光体の膜厚は20〜3
5μmである。この膜厚は感光体に要求される感度、耐
刷性(寿命)などの要因から設定されており、電子写真
感光体上に形成される潜像は記録密度の再現性で問題に
ならない。しかしながら、例えば、1500dpi以上
の分解能を有する潜像形成の場合には、20μm以上の
膜厚の電子写真感光体では、忠実な再現が困難になり、
電子写真感光体中のキャリア走行距離に依存したキャリ
ア拡散を生じ、解像度劣化を来すことになる。例えば、
キャリア拡散による潜像の劣化は、電子写真感光体の膜
厚が30μmのときには、約25μmの広がりとシュミ
レーションされる。
【0024】高解像度が要求される電子写真感光体にお
ける潜像形成時の解像度劣化を防止するためには、表面
電荷密度を高くする、あるいはキャリア拡散による劣化
が問題にならないレベルまで電子写真感光体の膜厚を薄
くすればよい。しかし、膜厚が薄くなると感光層にかか
る電界強度が高まることによる耐圧の問題、電気容量の
増大に伴う実効的な感度の低下などの問題が新たに生じ
ることになる。前者は反転現像における微小画像欠陥の
発生、後者は電位コントラストの低下に繋がる。そし
て、充分な画像濃度の確保にためには、更なる表面電位
のアップと記録光源のパワーアップといった悪循環を生
じることになる。
【0025】特許掲載公報第2073696号には、チ
タニルフタロシアニン類をバインダー樹脂に分散した塗
液組成物で電荷発生層を形成し、ヒドラゾン系化合物を
電荷輸送層に用いた積層型電子写真感光体が記載されて
いるが、高感度、高画質および高解像度の要求に対応で
きるものではなかった。このような要求を満たす電子写
真感光体の一例として、感度0.1μJ/cm 2 を達成
できるa−Si系の電子写真感光体が挙げられるが、有
機系の電子写真感光体では、このような高感度特性が得
られるものはない。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、半導体レー
ザーの近赤外光に対して高感度で、電気特性に優れ、繰
り返し使用しても感度の低下がほとんど起こらず、帯電
電位が安定な電子写真感光体を提供することを課題とす
る。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、帯電性が
良好で残留電位が極めて低く、かつ良好な耐久性を有し
ながら800nm前後に強い感度を有する電子写真感光
体を提供するオキソチタニルフタロシアニンについて鋭
意検討を重ねた結果、本発明の結晶型オキソチタニルフ
タロシアニンと特定のビスアミン化合物とを使用するこ
とにより、上記の特性を有する電子写真感光体が得られ
ることを見出し、本発明に到った。
【0028】かくして、本発明によれば、導電性支持体
上に感光層が形成された電子写真感光体であって、感光
層が、電荷発生物質としてCuKα線(波長1.541
8Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ
角(2θ±0.2°)27.2°にシャープな回折ピー
クを有し、9.0°〜10.0°の範囲のそれぞれ異な
る回折角に強いシャープな回折ピークを有し、さらに
7.3°と24.1°にそれぞれ弱い回折ピークを有す
る微結晶の集合体からなることを特徴とする結晶型オキ
ソチタニルフタロシアニンと、電荷輸送物質として一般
式(I):
【0029】
【化4】
【0030】(式中、Ar1 およびAr2 は同一または
異なって、置換基を有してもよいアリール基、置換基を
有してもよいアラルキル基もしくは置換基を有してもよ
い複素環基、または複素環置換アルキル基であり;R1
およびR2 は同一または異なって、置換基を有してもよ
いアルキル基もしくは置換基を有してもよいアルコキシ
基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、または水素原
子であり;Zは酸素原子、硫黄原子またはセレン原子で
あり;mは1〜4の整数であり;nは1〜3の整数であ
り;nおよびmが2以上のとき、R1 およびR2 は同一
でも異なってもよく、またお互いに環を形成してもよ
い)で表されるビスアミン化合物を少なくとも1種含有
することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0031】また、本発明によれば、導電性支持体上
に、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層
構造の感光層を形成する電子写真感光体の製造に用いら
れる電荷発生層作成用塗液組成物であって、CuKα線
(波長1.5418Å)を用いたX線回折スペクトルに
おいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°にシ
ャープな回折ピークを有し、9.0°〜10.0°の範
囲のそれぞれ異なる回折角に強いシャープな回折ピーク
を有し、さらに7.3°と24.1°にそれぞれ弱い回
折ピークを有する微結晶の集合体からなることを特徴と
する結晶型オキソチタニルフタロシアニン、バインダー
樹脂およびケトン類溶媒を主成分とすることを特徴とす
る電荷発生層作成用塗液組成物が提供される。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真感光体を模式的
に図1〜4に基づいて説明する。図1は、導電性支持体
1上に、感光層4として、電荷発生物質2を主成分とし
てバインダー樹脂中に分散させた電荷発生層5と、この
電荷発生層5上に形成され、かつ電荷輸送物質3を主成
分としてバインダー樹脂中に分散させた電荷輸送層6と
の積層層が形成されてなる機能分離型電子写真感光体で
ある。図2は、導電性支持体1と感光層4との間に中間
層7を設けたものであり、上記と同様の積層層よりなる
機能分離型電子写真感光体の構成を示すものである。
【0033】図3は、導電性支持体1上に、感光層4’
として、電荷輸送物質3を主成分としてバインダー樹脂
中に分散させた電荷輸送層6に電荷発生物質2を分散さ
せた電荷輸送層6の単一層が形成されてなる単層型電子
写真感光体である。図4は、導電性支持体1と感光層
4’との間に中間層7を設けたものであり、上記と同様
の単層よりなる単層型電子写真感光体の構成を示すもの
である。本発明の電子写真感光体の構造としては、感光
層が電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質
を含有する電荷輸送層との積層構造が好ましい。
【0034】本発明の電子写真感光体における導電性支
持体としては、通常この種の導電性支持体として使用さ
れるものであれば特に限定されるものではない。その材
質としては、例えば、支持体自体が導電性を持つもの、
例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、
ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの金属材料を
用いることができ、その他にアルミニウム、金、銀、
銅、パラジウム、亜鉛、ニッケル、チタン、酸化インジ
ウムおよび酸化錫などの導電層を設けたプラスチック
(例えば、ポリエチレン)フィルムや紙などが挙げら
れ、それらの形状としては、ドラム状、シート状および
シームレスベルト状のものなどが挙げられる。
【0035】本発明の電子写真感光体の感光層は、電荷
発生層と電荷輸送層との積層層、または電荷発生物質を
分散させた電荷輸送層の単層からなる。
【0036】電荷発生層中に含有される電荷発生物質
は、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、
ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°にシャープな
回折ピークを有し、9.0°〜10.0°の範囲のそれ
ぞれ異なる回折角に強いシャープな回折ピークを有し、
さらに7.3°と24.1°にそれぞれ弱い回折ピーク
を有する微結晶の集合体からなることを特徴とする結晶
型オキソチタニルフタロシアニンである。
【0037】このようなX線回折スペクトルの特徴をも
つ結晶型オキソチタニルフタロシアニンの中でも、
「9.0°〜10.0°の範囲のそれぞれ異なる回折角
の強いシャープな回折ピーク」が異なる微結晶に帰属す
る回折ピークであり、該回折角が少なくとも9.4°と
9.6°であるものが特に好ましい。
【0038】オキソチタニルフタロシアニンの基本構造
は、一般式(V):
【0039】
【化5】
【0040】(式中、Xは置換基を有してもよいアルキ
ル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原
子または水素原子であり;aは0〜4の整数である)で
表される。
【0041】本発明において用いられる結晶型オキソチ
タニルフタロシアニンは、合成方法によって限定される
ものではなく、いかなる製造方法により製造されても、
上記のX線回折スペクトルの特徴を有するものであれば
よい。
【0042】オキソチタニルフタロシアニンの合成方法
は、モーザーおよびトーマスの「フタロシアニン化合
物」(MOSER and Thomas. 「Phthalocyanine Compound
s」)に記載されている公知の方法など、いずれの方法
によってもよい。例えば、o−フタロニトリルと四塩化
チタンを加熱融解またはα−クロロナフタレンなどの有
機溶媒の存在下で加熱する方法などにより、ジクロロチ
タニウムフタロシアニンを収率良く得る。さらにこのジ
クロロチタニウムフタロシアニンを塩基もしくは水で加
水分解することによってオキソチタニルフタロシアニン
を得る。
【0043】また、1,3−ジイミノイソインドリンと
テトラブトキシチタンをN−メチルピロリドンなどの有
機溶媒中で加熱する方法などにより、オキソチタニルフ
タロシアニンを得る。得られたオキソチタニルフタロシ
アニンは、ベンゼン環の水素原子が塩素、フッ素、ニト
ロ基、シアノ基またはスルホン基などの置換基で置換さ
れたフタロシアニン誘導体が含有されていてもよい。上
記の方法により得られたオキソチタニルフタロシアニン
を水の存在下で、ジクロロエタンのような水に非混和性
の有機溶媒で処理することにより、本発明の結晶型オキ
ソチタニルフタロシアニンを得る。
【0044】オキソチタニルフタロシアニンを水の存在
下で水に非混和性の有機溶媒で処理する方法としては、
例えば、オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤させ
て有機溶媒で処理する方法、あるいは膨潤処理を行わず
に、水を添加した有機溶媒中にオキソチタニルフタロシ
アニン粉末を投入する方法などが挙げられるが、これら
の方法に限定されるものではない。
【0045】オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤
させる方法としては、例えば、オキソチタニルフタロシ
アニンを硫酸に溶解させ、水中で析出させてウェットペ
ースト状にする方法、またホモミキサー、ペイントミキ
サー、ボールミルまたはサンドミルなどの撹拌・分散装
置を用いて、オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤
させてウェットペースト状にする方法などが挙げられる
が、これらの方法に限定されるものではない。また、加
水分解で得られたオキソチタニルフタロシアニン組成物
を溶液中もしくはバインダー樹脂を溶解させた溶液中で
十分な時間、撹拌する、あるいは機械的な歪力をもって
ミリングすることにより、本発明の結晶型オキソチタニ
ルフタロシアニンを得ることもできる。
【0046】上記の処理に用いられる装置としては、一
般的な撹拌装置の他に、ホモミキサー、ペイントミキサ
ー、ディスパーサー、アジターあるいはボールミル、サ
ンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、アトライ
ターおよび超音波分散装置などが挙げられる。処理後、
混合溶液を濾過し、固形物をメタノール、エタノールお
よび水などを用いて洗浄して単離してもよく、また処理
後にバインダー樹脂を加えてそのまま塗液として使用し
てもよい。また、処理の際に予めバインダー樹脂を加え
ておけば、そのまま塗液として使用できるので好まし
い。
【0047】上記のようにして得られるオキソチタニル
フタロシアニンは、電子写真感光体の電荷発生物質とし
て優れた特性を有する。本発明においては、結晶性オキ
ソチタニルフタロシアニン以外に他の電荷発生物質を併
用してもよい。他の電荷発生物質としては、本発明の結
晶性オキソチタニルフタロシアニンとは結晶型において
異なるα型、β型、Y型、アモルファスのオキソチタニ
ルフタロシアニン、あるいは他のフタロシアニン類、お
よびアゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、多
環キノン顔料およびスクエアリウム顔料などが挙げられ
る。
【0048】電荷輸送層中に含有される電荷輸送物質の
ビスアミン化合物は、下記の一般式(I)で表される。
【0049】
【化6】
【0050】(式中、Ar1 およびAr2 は同一または
異なって、置換基を有してもよいアリール基、置換基を
有してもよいアラルキル基もしくは置換基を有してもよ
い複素環基、または複素環置換アルキル基であり;R1
およびR2 は同一または異なって、置換基を有してもよ
いアルキル基もしくは置換基を有してもよいアルコキシ
基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子、または水素原
子であり;Zは酸素原子、硫黄原子またはセレン原子で
あり;mは1〜4の整数であり;nは1〜3の整数であ
り;nおよびmが2以上のとき、R1 およびR2 は同一
でも異なってもよく、またお互いに環を形成してもよ
い)
【0051】一般式(I)におけるAr1 およびAr2
の「アリール基」、「アラルキル基」および「複素環
基」における置換は、モノ置換に限らず、複数の置換で
あってもよい。複数の置換基は同一または異なる置換基
であってもよく、その置換位置は、立体障害があり、か
つ合成面で問題があるオルト位(o−)ではなく、メタ
位(m−)およびパラ位(p−)が好ましい。置換基と
しては、例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子およ
び臭素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、
n プロピル基、イソプロピル基、n ブチル基およびイソ
ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基などの
炭素数1〜4のアルコキシ基;置換基を有してもよいフ
ェニル基;ならびに同一もしくは異なる置換基を有する
ジ置換アミノ基などが挙げられる。
【0052】「同一もしくは異なる置換基を有するジ置
換アミノ基」としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジ
エチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニル
アミノ基、エチルフェニルアミノ基、ジ(p−トリルフ
ェニル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ベンジルメチ
ルアミノ基、ベンジルエチルアミノ基およびベンジルフ
ェニルアミノ基などが挙げられる。
【0053】一般式(I)におけるAr1 およびAr2
の「アリール基」としては、例えば、フェニル基、(1
−または2−)ナフチル基、(1−,2−または9−)
アントリル基および(1−または2−)ピレニル基など
の炭素数6〜16のものが挙げられる。
【0054】一般式(I)におけるAr1 およびAr2
の「置換基を有してもよいアラルキル基」としては、例
えば、ベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基お
よびメトキシベンジル基などが挙げられる。一般式
(I)におけるAr1 およびAr2 の「置換基を有して
もよい複素環基」としては、例えば、(2−または3
−)フリル基、(2−または3−)ベンゾフリル基、
(2−,4−,5−,6−または7−)ベンゾチアゾリ
ル基、(2−,4−,5−,6−または7−)ベンゾオ
キサゾリル基、(1−,2−,3−,4−または9−)
カルバゾリル基およびN−エチルカルバゾリル基などが
挙げられる。
【0055】一般式(I)におけるAr1 およびAr2
の「複素環置換アルキル基」としては、上記の複素環基
に置換されたアルキル基が挙げられる。このアルキル基
としては、炭素数1〜5のものが好ましく、中でもメチ
ル基、エチル基、n プロピル基およびイソプロピル基な
どの炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
【0056】一般式(I)におけるR1 およびR2
「アルキル基」および「アルコキシ基」の置換基として
は、Ar1 およびAr2 に例示のものが挙げられる。
「アルキル基」としては、炭素数1〜5のものが挙げら
れ、中でもメチル基、エチル基、n プロピル基およびイ
ソプロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基が好まし
く、メチル基が特に好ましい。「アルコキシ基」として
は、炭素数1〜5のものが挙げられ、中でもメトキシ
基、エトキシ基、n プロポキシ基、イソプロポキシ基な
どの炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ
基が特に好ましい。
【0057】一般式(I)におけるR1 およびR2
「ジ低級アルキルアミノ基」としては、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基およびジイソプロピルアミノ基な
どが挙げられる。一般式(I)におけるR1 の「ハロゲ
ン原子」としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原
子などが挙げられる。上記の置換基としては、一般的に
電子供与性の置換基が好ましい。
【0058】一般式(I)で表されるビスアミン化合物
の中でも、下記の一般式(II)および一般式(III)で表
される化合物が好ましい。
【0059】
【化7】
【0060】(式中、Ar1 、Ar2 、R1 、R2 、m
およびnは一般式(I)と同義である)
【0061】
【化8】
【0062】(式中、R3 およびR4 は同一または異な
って、置換基を有してもよいアルキル基もしくは置換基
を有してもよいアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ま
たは水素原子であり;lおよびkは1〜3の整数であ
り;R1 、R2 、mおよびnは一般式(I)と同義であ
る) 一般式(III)のR3 およびR4 としては、一般式(I)
のR1 およびR2 に例示のものが挙げられる。
【0063】一般式(I)で表されるビスアミン化合物
の具体的な化合物を例示する。しかし、これらの例示化
合物によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】電荷発生物質および電荷輸送物質は、フィ
ルム形成能を有するバインダー樹脂の助けを借りて皮膜
状の電荷発生層および電荷輸送層に形成される。
【0070】電荷発生層の形成に用いられるバインダー
樹脂としては、ブチラール化度70モル%未満のポリビ
ニルブチラール、ビニル化合物の重合体もしくはその共
重合体(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)、
ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸
エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネー
ト、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオ
ール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、
セルロースエステル、セルロースエーテルおよびナイロ
ン樹脂(例えば、共重合ナイロン樹脂)などが挙げら
れ、これらを単独もしくは2種類以上の混合にて用いる
ことができる。これらのバインダー樹脂の中でも、皮膜
形成組成物の安定性および電荷発生物質の安定性の点
で、ブチラール化度70モル%未満のポリビニルブチラ
ールおよびビニル化合物の重合体もしくはその共重合体
が特に好ましい。
【0071】また、電荷輸送層の形成に用いられるバイ
ンダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリメチルメ
タクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビ
ニル重合体およびその共重合体、ポリエステル、ポリエ
ステルカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、
エポキシ樹脂ならびにシリコーン樹脂などが挙げられ、
これらを単独もしくは2種類以上の混合にて用いること
ができる。また、これらの樹脂を構成するモノマーの共
重合体や部分的に架橋した熱硬化性樹脂を用いることも
できる。これらのバインダー樹脂の中でも、機械的強
度、耐刷性の点で、一般式(IV):
【0072】
【化9】
【0073】(式中、R5 〜R8 は同一または異なっ
て、アルキル基またはハロゲン原子であり;Yは置換基
を有していてもよい炭素環もしくは複素環を形成しうる
原子群である)で表され、かつ粘度平均分子量が35,
000〜85,000であるポリカーボネートが特に好
ましい。
【0074】一般式(IV)のR5 〜R8 としては、一般
式(I)のR1 およびR2 に例示のものが挙げられ、中
でも、機械的強度の点で水素原子が好ましい。また、Y
としては、置換、非置換の炭素環が挙げられ、中でも、
成膜性、耐刷性の点でシクロヘキサン環が好ましい。
【0075】上記の導電性支持体、電荷発生物質、電荷
輸送物質およびバインダー樹脂などを用いて、図1〜4
のような構成を有する電子写真感光体を作成する。各層
の形成方法としては、層に含有させる物質を溶媒に溶解
または分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの
公知の方法が適用される。通常は電荷発生層の上に電荷
輸送層を形成するが、その逆も可能である。
【0076】図1および図2の機能分離型電子写真感光
体の形成方法について説明する。電荷発生層中の電荷発
生物質には本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニ
ンを用いるが、本発明の効果を阻害しない範囲で他の電
荷発生物質が含まれていてもよい。
【0077】電荷発生層は、真空蒸着法、スパッタリン
グ、CVDなどの気相堆積法、または電荷発生物質を溶
媒に溶解、もしくはボールミル、サンドグラインダー、
ペイントシェイカー、超音波分散機などによって粉砕、
分散、必要に応じてバインダー樹脂と溶媒を加え、シー
トの場合にはベーカーアプリケーター、バーコーター、
キャスティング、スピンコートなどの方法、ドラムの場
合にはスプレー法、垂直型リング法、浸漬塗工法により
形成される。
【0078】電荷発生層における、バインダー樹脂と電
荷発生物質としての結晶型オキソチタニルフタロシアニ
ンとの配合割合は、各配合成分の種類および電子写真感
光体に要求される性能により適宜選択される。例えば、
ポリビニルブチラールと結晶型オキソチタニルフタロシ
アニンとの重量比は3:1〜1:1が好ましく、2:1
〜1:1が特に好ましい。また、ビニル化合物の重合体
もしくはその共重合体と結晶型オキソチタニルフタロシ
アニンとの重量比は2:1〜1:1が好ましく、3:2
〜1:1が特に好ましい。
【0079】また、溶媒としては、塗布液の安定性およ
び本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニンの結晶
型の安定性の点から、アセトン、エチルメチルケトン、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケト
ン類が好適であるが、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなど
のエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサンな
どのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンな
どの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド
およびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶
媒なども用いることができ、これらの溶媒を単独もしく
は2種類以上の混合にて用いることができる。
【0080】電荷発生層の膜厚としては0.05〜5μ
mで、好ましくは0.08〜0.1μmである。
【0081】次いで、電荷発生層上に電荷輸送層を形成
する。電荷輸送層は、電荷発生層と同様に公知の方法に
より形成することができる。電荷輸送層中の電荷輸送物
質には本発明の一般式(I)で表されるビスアミン化合
物を用いる。ビスアミン化合物は2種以上を混合して用
いてもよく、また本発明の効果を阻害しない範囲で他の
電荷発生物質を用いてもよい。
【0082】さらに、電荷輸送層は、必要に応じてレベ
リング剤や酸化防止剤、増感剤などの各種添加剤を含ん
でいてもよい。酸化防止剤としては、α−トコフェロー
ル、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフ
ェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン
およびそれらの誘導体、有機硫黄化合物および有機燐化
合物などが挙げられる。
【0083】溶媒としては、ジクロロメタンおよび1,
2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、アセトン、
メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケト
ン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、
テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル
類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭
化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチ
ルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などを単独
もしくは2種類以上の混合にて用いることができる。こ
れらの溶媒の中でも、結晶型の安定性の点でアセトン、
メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケト
ン類が好ましい。
【0084】電荷輸送層における、バインダー樹脂と電
荷輸送物質としてのビスアミン化合物との配合割合は、
各配合成分の種類および電子写真感光体に要求される性
能により適宜選択される。特に、高解像度の電子写真感
光体における電荷発生層作成用塗液組成物としては、本
発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン、バインダ
ー樹脂およびケトン類溶媒を主成分とする塗液組成物が
好ましい。通常、バインダー樹脂とビスアミン化合物と
は重量比で3:1〜1:2程度で用いられる。
【0085】電荷輸送層の膜厚は5〜60μm、好まし
くは10〜40μm、より好ましくは10〜30μmで
ある。特に、長寿命の電子写真感光体においては、電荷
輸送層の膜厚は25μm以上に設定されるのが好まし
い。また、高解像度の電子写真感光体においては、電荷
輸送層の膜厚は20μm以下に設定され、好ましくは1
0〜17μmである。ここで、高解像度の電子写真感光
体とは、1200dpi以上の高密度露光により電子写
真感光体上に潜像を形成し、平均粒径6μm以下のトナ
ーを用いて反転現像方式で潜像を可視化する画像形成装
置に用いられる電子写真感光体を意味する。
【0086】次に、図3および図4の単層型電子写真感
光体の形成方法について説明する。単層型電子写真感光
体の場合には、電荷輸送層中に、本発明の結晶型オキソ
チタニルフタロシアニン化合物を分散する。その場合の
粒径は十分小さいことが必要であり、好ましくは1μm
以下である。
【0087】電荷発生物質の量は、電荷輸送層に対して
0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%であ
る。電荷発生物質の量が上記範囲より過少の場合には、
感度不足となるので好ましくなく、また過多の場合には
帯電性低下および感度低下を誘発するなどの弊害がある
ので好ましくない。感光層の形成方法は、上記の電荷輸
送層と同様である。感光層の膜厚は5〜50μm、好ま
しくは10〜40μmである。
【0088】電子写真感光体の形成において、各層の成
膜性、可撓性および機械的強度などを改善するための可
塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定向上
のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリン
グ剤、界面活性剤(例えばシリコーンオイルおよびフッ
素系オイルなど)やその他の添加剤を加えてもよい。特
にレベリング剤としてのジメチルポリシロキサンの添加
が好ましい。特に、帯電性保持能の劣化防止の点で酸化
防止剤としてさらにヒンダードフェノールを含むのが好
ましい。
【0089】導電性支持体と感光層の間には中間層が設
けられていてもよい(図2および図4参照)。結晶性チ
タニルフタロシアニンを主成分とする電荷発生層作成用
塗液組成物を用いて浸漬塗布法などにより感光層を作成
するときに、導電性支持体は分散溶媒の蒸発潜熱による
熱容量の影響を受け易い。そこで、中間層はこの影響を
緩和する。
【0090】中間層としては、アルミニウム陽極酸化
膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化チタ
ンなどの無機層、共重合ナイロン、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、カゼイン、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリル酸、N−メトキシメチル化ナイロ
ン、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタ
ン、ポリイミドおよびポリアミドなどの有機層が挙げら
れる。
【0091】また、有機層には酸化チタン(例えば、ル
チル型)、酸化錫、酸化アルミニウムなどの粒子が分散
されていてもよい。特に、中間層としては、ポリアミド
にルチル型酸化チタン結晶を分散させた樹脂層であり、
該ルチル型酸化チタン結晶の含有量が30〜50重量%
であるものが、電位特性の安定性、画像欠陥防止に著し
い効果を発揮するので好ましい。
【0092】中間層は、例えば、上記の材料を溶媒に溶
解し、導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形
成される。中間層の膜厚は0.5〜3μm、好ましくは
1〜2μmである。電荷輸送層上の最表面層として従来
公知の、例えば、熱可塑性あるいは熱硬化性ポリマーを
主体とするオーバーコート層を設けてもよい。
【0093】
【実施例】本発明を製造例および実施例により感光体の
作成方法およびその電位特性について、さらに具体的に
説明するが、これらの製造例および実施例により本発明
が限定されるものではない。
【0094】製造例1 o−フタロジニトリル40gと四塩化チタン18gと
を、α−クロロナフタレン500ml中で窒素雰囲気
下、200〜250℃で3時間加熱攪拌して反応させ
た。次いで、反応混合物を100〜130℃まで放冷し
て熱時濾過し、得られた固形物を100℃に加熱したα
−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタ
ニルフタロシアニン粗生成物32gを得た。
【0095】得られた粗生成物を室温にてα−クロロナ
フタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗
浄し、さらにメタノール500ml中で1時間熱懸洗を
行った。これを濾過し、得られた粗生成物を濃硫酸10
0ml中で攪拌して溶解させ、粗生成物中の不純物を濾
取した。得られた濾液を水3リットル中に注ぎ、析出し
た結晶を濾取し、その固形物を水500ml中で、pH
が6〜7になるまで、熱懸洗を繰り返した後、濾取し
た。次いで、得られた固形物(ウェットケーキ)をジク
ロロメタン500mlで処理し、さらにメタノール50
0mlで処理した後、乾燥して本発明の結晶型オキソチ
タニルフタロシアニン25gを得た。
【0096】得られた結晶を下記の条件でX線回折法に
より分析して、X線回折スペクトルを求めた。 X線源 CuKa=1.5418Å 電圧 30〜40kV 電流 50mA スタート角度 5.0° ストップ角度 30.0° ステップ角度 0.01〜0.02° 測定時間 0.5〜2.0°/min. 測定方法 θ/2θスキャン方法
【0097】図5に得られたオキソチタニルフタロシア
ニン結晶のX線回折スペクトルを示す。製造した結晶
は、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に共通な
シャープな回折ピークを有し、9.0°〜10.0°の
範囲のそれぞれ異なる回折角に強いシャープな回折ピー
クを有し(9.1°、9.4°および9.6°にピーク
分離できる)、さらに7.3°、24.1°に微結晶の
集合体からなることを示す弱いブロードな回折ピークを
有する本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニンで
あることが分かる。また、9.0°〜10.0°の範囲
の回折線が、27.2°の回折線より大きなピーク強度
を有している。このように低角度側で大きなピーク強度
を有することは、長距離配列の秩序性がよいことを意味
する。ここで、「共通なシャープな回折ピーク」とは、
複数の結晶相が混在しても回折角が共通である回折ピー
クのことを意味する。
【0098】比較製造例1 製造例1と同様にしてジクロロチタニルフタロシアニン
粗生成物33gを得た。得られた粗生成物を室温にてα
−クロロナフタレン200mlで洗浄し、さらにメタノ
ール500ml中で1時間熱懸洗を行った。これを濾過
し、得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6〜
7になるまで、熱懸洗を繰り返した後、乾燥してオキソ
チタニルフタロシアニン結晶25gを得た。得られた結
晶を製造例1と同様にしてX線回折法により分析して、
X線回折スペクトルを求めた。
【0099】図6に得られたオキソチタニルフタロシア
ニン結晶のX線回折スペクトルを示す。製造した結晶
は、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回
折ピークを有する特許掲載公報第1950255号に記
載のY型オキソチタニルフタロシアニン結晶に分類され
る類似の結晶であることが分かる。
【0100】製造例2 比較製造例1で得られたオキソチタニルフタロシアニン
結晶0.6gをエチルメチルケトン40gに混合し、ペ
イントコンディショナー装置(レッドレベル社製)によ
り直径2mmのガラスビーズ40gと共に5時間ミリン
グ処理し、メタノール100mlで処理した後、乾燥し
て本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニン0.5
gを得た。得られた結晶を製造例1と同様にしてX線回
折法により分析して、X線回折スペクトルを求めた。
【0101】図7に得られた結晶型オキソチタニルフタ
ロシアニンのX線回折スペクトルを示す。製造した結晶
は、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°にシャー
プな回折ピークを有し、9.0°〜10.0°の範囲の
それぞれ異なる回折角に強いシャープな回折ピークを有
し、さらに7.3°、24.1°に微結晶の集合体から
なることを示す弱い回折ピークを有する本発明の結晶型
オキソチタニルフタロシアニンであることが分かる。
【0102】比較製造例2 製造例1と同様にしてジクロロチタニルフタロシアニン
粗生成物32gを得た。得られた粗生成物を室温にてα
−クロロナフタレン200ml、次いでメタノール20
0mlで洗浄し、さらにメタノール500ml中で1時
間熱懸洗を行った。これを濾過し、得られた粗生成物を
水500ml中で、pHが6〜7になるまで、熱懸洗を
繰り返した後、さらに1,2−ジメトキシエタン100
0mlでミリング処理し、乾燥してオキソチタニルフタ
ロシアニン結晶25gを得た。得られた結晶を製造例1
と同様にしてX線回折法により分析して、X線回折スペ
クトルを求めた。
【0103】図8に得られたオキソチタニルフタロシア
ニン結晶のX線回折スペクトルを示す。製造した結晶
は、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回
折ピークを有し、少なくとも7.3°、9.5°、9.
7°、11.7°、15.0°、18.0°、23.5
°および24.1°に回折ピークを有する特許掲載公報
第2700859号に記載の例示結晶に類似の結晶であ
ることが分かる。
【0104】実施例1 アルミ蒸着のポリエステルフィルム(膜厚100μm)
を導電性支持体とし、その上に酸化チタン(堺化学社
製、STR−60N)71.6重量部と共重合ナイロン
(東レ社製、CM8000)107.4重量部とをメチ
ルアルコール287重量部とジクロロエタン533重量
部との混合溶媒に溶解した溶液を塗布、乾燥して、膜厚
1μmの中間層を形成した。
【0105】製造例1において得られた本発明の結晶型
オキソチタニルフタロシアニン1重量部とポリブチラー
ル(積水化学工業製 エスレックBL−1)1重量部と
をエチルメチルケトン70重量部に混合し、ペイントコ
ンディショナー装置(レッドレベル社製)により直径2
mmのガラスビーズ70重量部と共に5時間、分散処理
した。得られた溶液を上記の中間層上に塗布、乾燥し
て、膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。このとき
のエスレックBL−1のブチラール樹脂のブチラール化
度は63モル%であった。
【0106】電荷輸送物質として本発明の例示化合物4
のビスアミン化合物と、バインダー樹脂としてポリカー
ボネート(三菱瓦斯化学社製、PCZ−200)とを重
量比1:1で混合し、ジクロロメタンを溶媒として15
重量%の溶液を作り、上記の電荷発生層上に塗布、乾燥
して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。以上のよ
うにして電荷発生層および電荷輸送層から構成される、
機能分離型感光体試料1を得た。
【0107】実施例2〜5 電荷輸送物質として本発明の例示化合物8、12、27
および39のビスアミン化合物をそれぞれ用いる以外は
実施例1と同様にして、機能分離型感光体試料2〜5を
得た。
【0108】実施例6 製造例1において得られた本発明の結晶型オキソチタニ
ルフタロシアニン2重量部と塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体(日新化学社製 ソルバインA5)1重量部とを
エチルメチルケトン70重量部に混合し、ペイントシェ
イカー装置(浅田鉄工社製)にて分散処理した。この得
られた溶液を用いる以外は実施例1と同様にして、機能
分離型感光体試料6を得た。
【0109】実施例7 製造例1において得られた本発明の結晶型オキソチタニ
ルフタロシアニン2重量部とポリブチラール(積水化学
工業製 エスレックBL−1)1重量部とをエチルメチ
ルケトン70重量部に混合し、ペイントシェイカー装置
(浅田鉄工社製)にて分散処理した。この得られた溶液
を用いる以外は実施例1と同様にして、機能分離型感光
体試料7を得た。
【0110】実施例8 電荷発生物質として製造例2において得られた本発明の
結晶型オキソチタニルフタロシアニンを用いる以外は実
施例1と同様にして、機能分離型感光体試料8を得た。
【0111】実施例9 製造例1において得られた本発明の結晶型オキソチタニ
ルフタロシアニン3重量部とポリブチラール(積水化学
工業製 エスレックBL−1)1重量部とをエチルメチ
ルケトン70重量部に混合し、ペイントシェイカー装置
(浅田鉄工社製)にて分散処理した。この得られた溶液
を用いる以外は実施例1と同様にして、機能分離型感光
体試料9を得た。
【0112】実施例10 製造例2において得られた本発明の結晶型オキソチタニ
ルフタロシアニン1重量部とポリブチラール(積水化学
工業製 エスレックBL−1)1重量部とをエチルメチ
ルケトン70重量部に混合し、ペイントシェイカー装置
(浅田鉄工社製)にて分散処理した。この得られた溶液
を用いる以外は実施例1と同様にして、機能分離型感光
体試料10を得た。
【0113】実施例11 アルミ蒸着のポリエステルフィルム(膜厚100μm)
を導電性支持体とし、その上に酸化チタン(堺化学社
製、STR−60N)71.6重量部と共重合ナイロン
(東レ社製、CM8000)107.4重量部とをメチ
ルアルコール287重量部とジクロロエタン535重量
部との混合溶媒に溶解した溶液を塗布、乾燥して、膜厚
1μmの中間層を形成した。
【0114】製造例1において得られた本発明の結晶型
オキソチタニルフタロシアニン1重量部と本発明の例示
化合物4のビスアミン化合物10重量部とポリカーボネ
ート(三菱瓦斯化学社製、PCZ−200)10重量部
とを混合し、ジクロロメタンを溶媒として18重量%の
溶液を作り、ペイントコンディショナー装置(レッドレ
ベル社製)により直径2mmのガラスビーズ100重量
部と共に5時間、分散処理した。得られた溶液を上記の
中間層上に塗布、乾燥して、膜厚20μmの感光体層を
形成した。以上のようにして電荷輸送層に電荷発生物質
を分散した単層型感光体試料11を得た。
【0115】比較例1 比較製造例1において得られた、図6のX線回折パター
ンをもつオキソチタニルフタロシアニン結晶を用いる以
外は実施例1と同様にして、機能分離型感光体試料12
を得た。
【0116】比較例2 比較製造例2において得られた、図8のX線回折パター
ンをもつオキソチタニルフタロシアニン結晶を用いる以
外は実施例1と同様にして、機能分離型感光体試料13
を得た。
【0117】比較例3 製造例1において得られた本発明の結晶型オキソチタニ
ルフタロシアニン2重量部とポリブチラール(積水化学
工業製 エスレックBL−S)1重量部とをエチルメチ
ルケトン70重量部に混合し、分散処理した。この得ら
れた溶液を用いる以外は実施例1と同様にして、機能分
離型感光体試料14を得た。
【0118】比較例4 製造例2において得られた本発明の結晶型オキソチタニ
ルフタロシアニン4重量部とポリブチラール(積水化学
工業製 エスレックBL−1)1重量部とをエチルメチ
ルケトン70重量部に混合し、分散処理した。この得ら
れた溶液を用いる以外は実施例1と同様にして、機能分
離型感光体試料15を得た。
【0119】このようにして作成した機能分離型および
単層型電子写真感光体試料を、静電記録紙試験装置(川
口電機製、EPA−8200)により電子写真特性を評
価した。測定条件は、加電圧;−6kV、スタティッ
ク;No.3であり、干渉フィルターで分光した780
nmの単色光(照射光;10μW/cm2 )による、−
500Vから−250Vに減衰させるに要する露光量E
1/2 (μJ/cm2 )および初期電位V0 (+ボルト)
を測定した。
【0120】また、市販のデジタル複写機(シャープ社
製 AR5130)を改造し、ドラム部に表6の感光体
試料1〜15を使用し、連続空コピーを3万回行い、そ
の前後において、帯電電位ならびに前記静電記録紙試験
装置を用いて露光量E1/2 を測定した。さらに、高温高
湿度環境下(35℃、85%)での連続空コピーを3万
回行い、その前後において、残留電位Vr を測定した。
また同様に、低温低湿度環境下(5℃、20%)での暗
順応後のドラム1回転目の帯電低下量(V)も測定し
た。また、高温高湿度環境下で帯電電位−800Vで反
転現像して得られたコピーの画像特性の評価を行った。
得られた結果を表6に示す。
【0121】
【表6】
【0122】表6に示すとおり、実施例1から11まで
は、どの試料も帯電電位の耐久試験(3万回)後の電位
劣化は、従来の試料である比較例1、2と比べて、十分
小さく、かつ初期感度(半減露光量)においても比較例
に比べて十分高く、耐久試験後でも感度劣化が小さいと
いう特徴が分かる。さらに、高温高湿度下での耐久試験
(3万回)後の残留電位上昇は、従来の試料である比較
例1、2と比べて、十分小さいという特徴も分かる。さ
らに、実施例1は比較例3と比べて、画像特性が良好で
あることが分かる。また、実施例8は比較例4と比べ
て、高温高湿度下での耐久試験(3万回)後の残留電位
上昇が十分小さいことがわかる。
【0123】実施例12 アルミ蒸着のポリエステルフィルム(膜厚100μm)
を導電柱支持体とし、その上に製造例1において得られ
た本発明の結晶型チタニルフタロシアニン1重量部とポ
リブチラール(積水化学工業製 エスレックBX−1、
水酸基33±3モル%)1重量部とをメチルエチルケト
ン70重量部に混合し、ペイントコンディショナー装置
(レッドレベル社製)により直径2mmのガラスビーズ
60重量部と共に1時間、分散処理した。得られた溶液
を導電性支持体上に塗布、乾燥して、膜厚0.4μmの
電荷発生層を形成した。このときのエスレックBX−1
のブチラール化度は70モル%以上であった。形成した
電荷発生層のX線回折スペクトルは、図5の結晶型チタ
ニルフタロシアニンと同一のスペクトルを示し、長期保
存後の結晶型の転移も認められず、塗液安定性にも優れ
ていた。
【0124】電荷輸送物質として本発明の例示化合物1
のビスアミン化合物と、バインダー樹脂としてポリカー
ボネート(帝人化成社製 C−1400)とを重量比
1:1で混合し、ジクロロメタンを溶媒として18重量
%の溶液を作り、上記の電荷発生層上に塗布、乾燥し
て、膜厚26μmの電荷輸送層を形成した。
【0125】このようにして得られた電子写真感光体試
料を、静電記録紙試験装置(川口電機製 EPA−82
00)により電子写真特性を評価した。測定条件は、加
電圧;−6kV、スタティック;No.3であり、干渉
フィルターで分光した780nmの単色光(露光強度
2.0μW/cm2 )による、表面電位−500Vから
−250Vに光減衰させるに要する露光量E1/2 (半減
露光量 μJ/cm2 )を測定した。上記の感光体試料
の半減露光量は、0.05μJ/cm2 と極めて高く、
高速機用の感光体への応用が可能な感度であった。
【0126】また、デジタル複写機(シャープ社製 A
R5130を改造)を用いて、連続空コピー(Non Copy
Aging)を4万回行い、上記感光体の連続空コピー前後
におけるV0 、感度、および低温低湿度環境(5℃/2
0%RH)と高温高湿環境(35℃/85%RH)にお
ける明電位レベルの変化(ΔVL :V)を測定した。低
温低湿環境下においては、暗順応後、プロセス1回転目
の帯電低下量(V)を測定した。円筒状感光体では、高
温高湿環境下において、帯電電位−800Vで反転現像
して得たコピーの画像特性を測定し、一部は4万枚相当
のコピーを実施して、その耐久性を調べた。得られた結
果を表7に示す。なお、以下の実施例および比較例にお
いても同様の評価を行った。
【0127】実施例13、14 電荷輸送物質として本発明の例示化合物11および14
のビスアミン化合物をそれぞれ用いる以外は実施例12
と同様にして、感光体試料を得た。上記の感光体試料の
半減露光量は、例示化合物11を用いた場合には0.0
8μJ/cm2 、例示化合物14を用いた場合には0.
11μJ/cm2 と極めて高く、高速機用の感光体への
応用が可能な感度であった。
【0128】実施例15 電荷発生層作成用塗液組成物のバインダー樹脂としてブ
チラール樹脂(積水化学工業製 エスレックBL−1
ブチラール化度63±3モル%)を用いる以外は実施例
12と同様にして、感光体試料を得た。上記の感光体試
料の半減露光量は、0.04μJ/cm2 と極めて高い
感度であった。
【0129】実施例16 電荷発生層作成用塗液組成物のバインダー樹脂として塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(日新化学製 ソル
バインM)を用いる以外は実施例12と同様にして、感
光体試料を得た。形成した電荷発生層のX線回折スペク
トルは、図5の結晶型チタニルフタロシアニンと同一の
スペクトルを示し、長期保存後の結晶型の転移も認めら
れず、塗液安定性にも優れていた。上記の感光体試料の
半減露光量は、0.05μJ/cm2 と極めて高い感度
であった。
【0130】実施例17 酸化チタン(堺化学社製 STR−60N)71.6重
量部と共重合ナイロン(東レ社製 アラミンCM−80
00)107.4重量部とをメチルアルコール287重
量部と1,2−ジクロロエタン533重量部の混合溶媒
に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理し、中
間層形成用塗液を調製した。この塗液中に、アルミ製円
筒状支持体(直径65mm、長さ332mm)を浸漬塗
布、乾燥して、膜厚1μmの中間層を形成した。
【0131】製造例1において得られた本発明の結晶型
オキソチタニルフタロシアニン3重量部とポリブチラー
ル(積水化学工業製 エスレックBL−1)1重量部と
をメチルエチルケトン70重量部に混合し、ペイントシ
ェーカー装置(レッドレベル社製)にて直径2mmのガ
ラスビーズ70重量部と共に5時間、分散処理した。得
られた溶液中に上記の中間層形成を終えたアルミ製円筒
状支持体を再度浸漬し、乾燥して、膜厚0.3μmの電
荷発生層を形成した。中間層上に形成された電荷発生層
は均一なものであった。
【0132】電荷輸送物質として本発明の例示化合物2
のビスアミン化合物と、バインダー樹脂としてポリカー
ボネート(三菱瓦斯化学社製 PCZ−400)とを重
量比1:1で混合し、α−トコフェロールを樹脂に対し
て2/100添加して、ジクロロメタンを溶媒とし15
重量%の溶液を得た。得られた溶液に上記の電荷発生層
形成と同様にアルミ製円筒状支持体を浸漬し、乾燥し
て、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。以上のよう
にして電荷発生層および電荷輸送層から構成される、円
筒状機能分離型感光体を得た。
【0133】また、同様の層構成のシート状感光体を作
製し、その感度を静電記録紙試験装置(川口電機製:E
PA−8200)を用いて評価した。表面電位−500
Vから−250Vに光減衰させるに必要な半減露光量
は、0.10μJ/cm2 (波長780nm、露光強度
2.0μW/cm2 )と極めて高い感度を得ることがで
きた。
【0134】得られた円筒状感光体は、市販の複写機
(シャープ社製 AR5130)の記録光源をそのまま
用い、光学系の解像度を解像してパルス幅変調法により
1500dpiの記録密度で中間電位の記録を行い、平
均粒径5.5μmの重合トナーを用いて画像評価を行な
った。中間濃度での濃度むらは認められず、解像度のテ
ストパターンでは16本/mmまでの解像が可能であ
り、かつ白地部のかぶり、微小黒点のない鮮明な画像が
得られた。また、4万枚相当のコピー後の特性変化に問
題はなかった。コピー実施後の感光層の膜厚を測定した
ところ、1.5μmの減少であり、耐刷性に優れている
ことが判った。
【0135】実施例18 製造例1において得られた本発明の結晶型オキソチタニ
ルフタロシアニン2重量部とポリブチラール(積水化学
工業製 エスレックBM−1、ブチラール化度65±3
モル%)1重量部とをメチルエチルケトン70重量部に
混合し、ペイントシェーカー装置(レッドレベル社製)
にて分散処理した。得られた溶液を実施例17と同様の
中間層上に浸漬塗布、乾燥して、膜厚0.3μmの電荷
発生層を形成した。中間層上に形成された電荷発生層は
均一なものであった。
【0136】電荷輸送物質として本発明の例示化合物3
のビスアミン化合物と、酸化防止剤として2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチル−フェノールを添加量5/10
0で混合し、ジクロロメタンを溶媒として16重量%の
溶液を得た。得られた溶液に上記の電荷発生層形成と同
様にアルミ製円筒状支持体を浸漬し、乾燥して、膜厚1
7μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして電荷
発生層および電荷輸送層から構成される、円筒状機能分
離型感光体を得た。
【0137】得られた円筒状感光体の感度は、0.08
μJ/cm2 であり、コピー画像評価では、16本/m
mまでの解像が可能であり、かつ白地部のかぶり、微小
黒点のない鮮明な画像が得られた。
【0138】実施例19 中間層を設けない以外は実施例17と同様にして円筒状
感光体を作製した。得られた円筒状感光体の感度は0.
07μJ/cm2 であった。しかし、電荷発生層塗布工
程時にやや不均質は塗膜が形成される場合があり、コピ
ー画像評価では、斑点、微小黒点の見られる場合もあっ
た。製造歩留まりの点でやや劣ることが判明した。
【0139】実施例20 表面未処理の針状酸化チタン(堺化学社製 STR−6
0N)の代わりに表面未処理の粒状酸化チタン(石原産
業社製 TTO−55N)90重量部と共重合ナイロン
(東レ社製 アミランCM8000)90重量部とを用
いる以外は実施例17と同様にして円筒状感光体を作製
した。電荷輸送層の膜厚は16μmであった。得られた
円筒状感光体の感度は0.08μJ/cm2 であり、コ
ピー画像評価では、16本/mmまでの解像が可能であ
り、かつ白地部のかぶり、微小黒点のない鮮明な画像が
得られた。
【0140】比較例5 比較製造例1において得られたオキソチタニルフタロシ
アニン結晶を用いる以外は実施例12と同様にして、感
光体試料を得た。得られた感光体試料の感度は0.48
μJ/cm2 と悪かった。電荷発生層塗液中のチタニル
フタロシアニン結晶の結晶型をX線回折パターンで調べ
た結果、いわゆるβ型に分類される結晶型に転移してい
ることが判明した。
【0141】比較例6 電荷輸送材料として、下記構造式(VI)で表されるブタ
ジエン化合物を用いる以外は実施例12と同様にして、
感光体試料を得た。得られた感光体試料の感度は0.2
3μJ/cm2 であり、実施例12の感光体試料の高感
度特性は得られないものであった。
【0142】
【化10】
【0143】比較例7 電荷輸送材料として、下記構造式(VII)で表されるトリ
フェニルアミン2量体化合物を用いる以外は実施例12
と同様にして感光体試料を得た。得られた感光体試料の
感度は0.26μJ/cm2 であり、実施例12の感光
体の高感度特性は得られないものであった。
【0144】
【化11】
【0145】比較例8 電荷輸送材料として、下記構造式(VIII)で表されるスチ
リル化合物を用いる以外は実施例12と同様にして感光
体試料を得た。得られた感光体試料の感度は0.25μ
J/cm2 であり、実施例1の感光体の高感度特性は得
られないものであった。
【0146】
【化12】
【0147】比較例9 電荷輸送材料として、下記構造式(IX)で表されるヒド
ラゾン化合物を用いる以外は実施例12と同様にして感
光体試料を得た。得られた感光体試料の感度は0.22
μJ/cm2 であり、実施例1の感光体の高感度特性は
得られないものであった。
【0148】
【化13】
【0149】比較例10 電荷輸送層の膜厚を30μmとする以外は実施例12と
同様にして感光体試料を得た。得られた感光体試料の感
度は0.04μJ/cm2 と極めて高い感度であった。
しかし、平均粒子径5.5μmの重合トナーを用いて画
像評価を行ったところ、10本/mmの判別ができる程
度で16本/mmの判別は困難であり、高解像度が必要
とされる感光体には不向きなものであることが判った。
【0150】比較例11 酸化防止剤としてα−トコフェロールを添加しない以外
は実施例6と同様にして感光体試料を得た。得られた感
光体試料の感度は0.11μJ/cm2 と極めて高い感
度であった。平均粒子径5.5μmの重合トナーを用い
た画像評価においても、16本/mmの判別は可能であ
ったが、耐久性の点で帯電電位の劣化に問題があった。
【0151】比較例12 酸化チタン(堺化学社製 STR−60N)120重量
部と共重合ナイロン(東レ社製 アミランCM800
0)60重量部を用いる以外は実施例12と同様にして
感光体試料を得た。得られた感光体試料の感度は0.0
9μJ/cm2 と高い感度であった。しかし、画像中の
白地に微小な黒点の発生が多く、高品質なコピーは取れ
ないものであることが判った。
【0152】比較例13 電荷輸送層作成用塗液組成物のバインダー樹脂としてポ
リカーボネート(帝人化成 C−1400)を用いる以
外は実施例12と同様にして感光体試料を得た。得られ
た感光体試料の感度は0.10μJ/cm2 と極めて高
い感度であった。また、平均粒子径5.5μmの重合ト
ナーを用いた画像評価においても、16本/mmの判別
は可能であったが、4万枚相当のコピー実施後の帯電性
の低下が実施例12に比べて大きく、性能的にやや劣る
ことが判明した。電位低下の原因を調べたところ、感光
層の膜減り(4.8μm減少)によることが判った。
【0153】
【表7】
【0154】
【発明の効果】本発明は、分子の長距離配列の秩序性が
良好で、その長距離配列がわずかに異なる微結晶の集合
体である結晶型オキソチタニルフタロシアニンおよびそ
れを用いた電子写真感光体を提供するものである。本発
明の電子写真感光体は、従来の結晶型のオキソチタニル
フタロシアニンを用いた電子写真感光体に比べ、1回転
目からコピーのとれるプロセス設計が可能であり、環境
変化による電位特性の変化が小さく、微小な画像欠陥の
ない良好なコピーが得られ、かつ感度が高いという特徴
を有する。これらの特性は従来にないものであり、従来
技術を凌駕するものである。したがって、本発明は昨今
開発の進展著しい半導体レーザー光またはLEDアレイ
を光源としたレーザープリンターやデジタル複写機など
の高性能化、高速化に最適の電子写真感光体を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能分離型電子写真感光体の概略断面
図である。
【図2】本発明の中間層を設けた機能分離型電子写真感
光体の概略断面図である。
【図3】本発明の単層型電子写真感光体の概略断面図で
ある。
【図4】本発明の中間層を設けた単層型電子写真感光体
の概略断面図である。
【図5】本発明の製造例1で得られた結晶型オキソチタ
ニルフタロシアニンのX線回折スペクトルである。
【図6】本発明の比較製造例1で得られたオキソチタニ
ルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルである。
【図7】本発明の製造例2で得られた結晶型オキソチタ
ニルフタロシアニンのX線回折スペクトルである。
【図8】本発明の比較製造例1で得られたオキソチタニ
ルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルである。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生物質 3 電荷輸送物質 4,4’感光層 5 電荷発生層 6 電荷輸送層 7 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小幡 孝嗣 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA13 AA19 AA20 AA34 AA35 BA14 BA16 BA39 BB16 BB20 FA01 FA13

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層が形成された電
    子写真感光体であって、感光層が、電荷発生物質として
    CuKα線(波長1.5418Å)を用いたX線回折ス
    ペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)2
    7.2°にシャープな回折ピークを有し、9.0°〜1
    0.0°の範囲のそれぞれ異なる回折角に強いシャープ
    な回折ピークを有し、さらに7.3°と24.1°にそ
    れぞれ弱い回折ピークを有する微結晶の集合体からなる
    ことを特徴とする結晶型オキソチタニルフタロシアニン
    と、電荷輸送物質として一般式(I): 【化1】 (式中、Ar1 およびAr2 は同一または異なって、置
    換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい
    アラルキル基もしくは置換基を有してもよい複素環基、
    または複素環置換アルキル基であり;R1 およびR2
    同一または異なって、置換基を有してもよいアルキル基
    もしくは置換基を有してもよいアルコキシ基、ジアルキ
    ルアミノ基、ハロゲン原子、または水素原子であり;Z
    は酸素原子、硫黄原子またはセレン原子であり;mは1
    〜4の整数であり;nは1〜3の整数であり;nおよび
    mが2以上のとき、R1 およびR2 は同一でも異なって
    もよく、またお互いに環を形成してもよい)で表される
    ビスアミン化合物を少なくとも1種含有することを特徴
    とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 9.0°〜10.0°の範囲のそれぞれ
    異なる回折角の強いシャープな回折ピークが異なる微結
    晶に帰属する回折ピークであり、該回折角が少なくとも
    9.4°と9.6°である請求項1記載の電子写真感光
    体。
  3. 【請求項3】 感光層が電荷発生物質を含有する電荷発
    生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造
    であり、該電荷発生層がブチラール化度70モル%未満
    のポリビニルブチラールと結晶型オキソチタニルフタロ
    シアニンを含有することを特徴とする請求項1または2
    に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 ポリビニルブチラールと結晶型オキソチ
    タニルフタロシアニンとの重量比が3:1〜1:1であ
    る請求項3記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 感光層が電荷発生物質を含有する電荷発
    生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造
    であり、該電荷発生層がビニル化合物の重合体もしくは
    その共重合体と結晶型オキソチタニルフタロシアニンを
    含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電
    子写真感光体。
  6. 【請求項6】 ビニル化合物の重合体もしくはその共重
    合体と結晶型オキソチタニルフタロシアニンとの重量比
    が2:1〜1:1である請求項5記載の電子写真感光
    体。
  7. 【請求項7】 一般式(I)のビスアミン化合物が、一
    般式(II): 【化2】 (式中、Ar1 、Ar2 、R1 、R2 、mおよびnは一
    般式(I)と同義である)で表されるビスアミン化合物
    である請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子写真感
    光体。
  8. 【請求項8】 一般式(I)のビスアミン化合物が、一
    般式(III): 【化3】 (式中、R3 およびR4 は同一または異なって、置換基
    を有してもよいアルキル基もしくは置換基を有してもよ
    いアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、または水素原子
    であり;lおよびkは1〜3の整数であり;R1
    2 、mおよびnは一般式(I)と同義である)で表さ
    れるビスアミン化合物である請求項1〜6のいずれか1
    つに記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生
    層と電荷輸送層とからなる積層構造の感光層を形成する
    電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生層作成用塗
    液組成物であって、CuKα線(波長1.5418Å)
    を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2
    θ±0.2°)27.2°にシャープな回折ピークを有
    し、9.0°〜10.0°の範囲のそれぞれ異なる回折
    角に強いシャープな回折ピークを有し、さらに7.3°
    と24.1°にそれぞれ弱い回折ピークを有する微結晶
    の集合体からなることを特徴とする結晶型オキソチタニ
    ルフタロシアニン、バインダー樹脂およびケトン類溶媒
    を主成分とすることを特徴とする電荷発生層作成用塗液
    組成物。
  10. 【請求項10】 9.0°〜10.0°の範囲のそれぞ
    れ異なる回折角の強いシャープな回折ピークが異なる微
    結晶に帰属する回折ピークであり、該回折角が少なくと
    も9.4°と9.6°である請求項9記載の塗液組成
    物。
  11. 【請求項11】 バインダー樹脂が、ブチラール化度7
    0モル%未満のポリビニルブチラールであり、ポリビニ
    ルブチラールと結晶型オキソチタニルフタロシアニンと
    の重量比が3:1〜1:1である請求項9または10に
    記載の塗液組成物。
  12. 【請求項12】 バインダー樹脂が、ビニル化合物の重
    合体もしくはその共重合体であり、ビニル化合物の重合
    体もしくはその共重合体と結晶型オキソチタニルフタロ
    シアニンとの重量比が2:1〜1:1である請求項9ま
    たは10に記載の塗液組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011002783A (ja) * 2009-06-22 2011-01-06 Mitsubishi Chemicals Corp 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置

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