JP3576908B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オキソチタニルフタロシアニンと、ベンゾフラン−アミン化合物を電荷輸送物質として用いた電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、実用化されている電子写真感光体(以下、「感光体」とも称す)は、導電性を有する基体上に形成された感光層に、無機物質を用いた無機感光体と、有機物質を用いた有機感光体とに分類される。従来から、主として用いられてきた電子写真感光体は、感度および耐久性の両面から無機感光体である。無機感光体の代表としては、アモルファスセレン(以下、「a−Se」と表記する)およびアモルファスセレンひ素(以下、「a−AsSe」と表記する)などのセレン系の感光体、色素増感した酸化亜鉛(ZnO)あるいは硫化カドミウム(CdS)を結着樹脂中に分散したZnO樹脂分散系感光体、ならびにアモルファスシリコン(以下、「a−Si」と表記する)を使用したa−Si感光体などがある。セレン系の感光体およびCdSを使用した感光体は、耐熱性および保存安定性に問題があり、また毒性を有するのでその廃棄が問題となって公害をもたらす原因となる。ZnO樹脂分散系感光体は、低感度であり、かつ耐久性が低いという点から、現在はほとんど使用されていない。無公害性の無機感光体として注目されるa−Si感光体は、高感度および高い耐久性などの長所を有するが、a−Si感光体の製造プロセスにおいてプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いることに起因する画像欠陥および生産性の低さに起因するコストアップなどの欠点を有している。このように無機感光体には様々な欠点がある。
【0003】
有機感光体は、用いられる有機物質が多種存在するので、適宜選択することによって保存安定性がよくて毒性のない感光体を製造することができ、かつ塗工による薄膜形成が容易であり低原価にて製造し得るという利点がある。これらの利点に加え、有機感光体は、近年、急激に感度および耐久性の向上が図られてきている。そのため現在では、電子写真感光体としては、特別な場合を除いて有機感光体が使用されるようになってきている。
【0004】
また従来の白色光に代って、レーザ光を光源として、高速化、高画質およびノンインパクト化を利点とするレーザビームプリンタなどが広く普及するに至り、このようなプリンタの要求に耐え得る感光体の開発が望まれている。特にレーザ光の中でも近年進展著しい半導体レーザを光源とする光照射方式が種々試みられており、半導体レーザの光源の波長は800nm前後であることから、800nm前後の長波長光に対し、高感度な特性を有する感光体が強く望まれている。
【0005】
この要求を満たす有機物質としては、従来からスクアリック酸メチン系色素、インドリン系色素、シアニン系色素、ピリリウム系色素、ポリアゾ系色素、フタロシアニン系色素およびナフトキノン系色素などが知られている。スクアリック酸メチン系色素、インドリン系色素、シアニン系色素およびピリリウム系色素は、長波長化が可能であるが実用的安定性としての繰返し特性に欠ける。ポリアゾ系色素は、長波長化が難しく、かつ製造において不利である。ナフトキノン系は、感度において問題がある。
【0006】
フタロシアニン系色素のうち、金属フタロシアニン化合物を用いた感光体は、米国特許第3357989号明細書、特開昭49−11136号公報、米国特許第4214907号明細書、英国特許第1268422号明細書などから明らかなように、感度ピークは金属フタロシアニンの中心金属によって異なるが、いずれも700〜750nmと比較的長波長側にある。
【0007】
特開昭59−49544号公報には、オキソチタニルフタロシアニン類を基板上に蒸着して電荷発生層を作成し、さらにその上に2,6−ジメトキシ−9,10−ジヒドロキシアントラセンを主成分とする電荷輸送層を設けた感光体が記載されている。前記感光体は、残留電位が高く使用方法にやや制約を受け、かつ蒸着法による膜厚の不均一性から諸電気特性の再現性という点で不利であり、感光体の工業的規模での大量生産上制約を受けざるを得ない。
【0008】
近年、フタロシアニン類の中でも高感度を示すオキソチタニルフタロシアニンの研究が精力的に行われている。オキソチタニルフタロシアニンだけでも、電子写真学会誌第32巻、第3号、282頁に記載のとおり、X線回折スペクトルの回折角の違いから数多くの結晶型に分類されている。具体的に、特徴的な結晶型を示すと、特開昭61−217050号公報および特開昭61−239248号公報にはα型、特開昭62−67094号公報にはA型、特開昭63−366号公報および特開昭63−198067号公報にはC型、特開昭63−20365号公報、特開平2−8256号公報および特開平1−17066号公報にはY型、特開平3−54265号公報にはM型、特開平3−54264号公報にはM−α型、ならびに特開平3−128973号公報にはI型結晶が記載されている。特開昭62−67094号公報にはIおよびII型結晶が記載されている。
【0009】
オキソチタニルフタロシアニンの結晶において構造解析から格子定数が判っているものは、C型、PhaseI型およびPhaseII型である。PhaseII型は三斜晶系、PhaseI型およびC型は単斜晶系に属する。これらの公知の結晶格子定数から前記公報に記載された結晶型を解析してみると、A型およびI型はPhaseI型に属し、α型およびB型はPhaseII型に属し、M型はC型に属する(同様のことを説明した文献には、J.of Imaging Science and
Technology Vol.37, No6, 1993, pp.605−609がある)。
【0010】
感光体そのものの問題としては、露光に使用されるレーザ光の基板反射が主原因と考えられる干渉縞の発生などが起こり、解決方法としていくつかの技術が公知である。その1つの手段として、電荷発生層の膜厚を厚くし、露光したレーザ光を吸収させて基板からの反射をなくする方法が知られている。従来の蒸着法によって電荷発生層の膜厚を厚くしようとする場合、形成できる膜厚には制限があり、制御も難しい。バインダ分散液を塗布して電荷発生層を形成する場合には、任意の厚さとでき、再現性よく、制御も容易で、蒸着時の高真空度装置も不要であり、加熱による熱分解および熱変性を避けることができる。バインダ分散液を塗布する場合、蒸着法による場合のように、蒸着後、種々の方法で蒸着品の結晶化を行わなければならないといった工業的生産上での煩わしさもないので有利である。
【0011】
特開昭61−109056号公報には、オキソチタニルフタロシアニン化合物とバインダポリマとを含む電荷発生層上にヒドラゾン化合物とバインダポリマとを含む電荷輸送層である電荷輸送層を積層した感光体が記載されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報において提供される感光体は、800nm前後に感度を有するものの、現在の高画質化および高速化に要求される感度には及ばない。
【0013】
本発明の目的は、新規な結晶型オキソチタニルフタロシアニンおよび特定のベンゾフラン−アミン化合物を用いて、半導体レーザ用の近赤外光に対して高感度で、電気特性および耐久性に優れた電子写真感光体を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも表面が導電性である基体と、基体上に形成される感光層であって、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2番目の大きなピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニンを電荷発生物質として含有し、下記の一般式(1)で表されるベンゾフラン−アミン化合物(以後「ベンゾフラン−アミン化合物(1)」と称す)を電荷輸送物質として含有する感光層とを含むことを特徴とする電子写真感光体(以後「電子写真感光体(1)」と称す)である。
【0015】
【化2】
Figure 0003576908
【0016】
〔式中、Arはパラフェニレン基を示す。Arはフェニル基、p−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基またはp−メトキシフェニル基を示す。aはメトキシ基または水素原子を示す。nは1を示す。ただし、Arがフェニル基である時、aはクマロン環の7位に結合するメトキシ基であり、Arがp−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基またはp−メトキシフェニル基である時、aは水素原子である。〕
【0017】
本発明に従えば、電荷発生物質として前述の新規な結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを含有し、電荷輸送物質として前述の特定のベンゾフラン−アミン化合物を含有することによって、帯電性良好で残留電位もきわめて低く、かつ良好な耐久性を有しながら、800nm前後の長波長域の光に強い感度を有し、特に半導体レーザおよびLEDに最適な電子写真感光体を提供できる。
【0018】
本発明は、前記感光層が、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造から成ることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、感光層が電荷発生層と電荷輸送層との積層構造を有する機能分離型の電子写真感光体において、電荷発生層の電荷発生物質として前記結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを含有し、電荷輸送層の電荷輸送物質として前記ベンゾフラン−アミン化合物を含有することによって、このような電子写真感光体は、帯電性良好で残留電位もきわめて低く、かつ良好な耐久性を有しながら、800nm前後の長波長域の光に強い感度を有し、特に半導体レーザおよびLEDに最適である。
【0022】
本発明は、前記基体と前記感光層との間に中間層を設けたことを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、基体と感光層との間に中間層を設けた電子写真感光体において、電荷発生物質として前記結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを含有し、電荷輸送物質として前記ベンゾフラン−アミン化合物を含有することによって、このような電子写真感光体は、帯電性良好で残留電位もきわめて低く、かつ良好な耐久性を有しながら、800nm前後の長波長域の光に強い感度を有し、特に半導体レーザおよびLEDに最適である。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真感光体(1)は、導電性基体上に電荷発生物質であるオキソチタニルフタロシアニンと、電荷輸送物質であるベンゾフラン−アミン化合物(1)と、バインダポリマとを含む感光層を形成して構成される。
【0043】
電荷発生物質であるオキソチタニルフタロシアニンは、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2番目の大きなピークを示す結晶型のオキソチタニルフタロシアニンである。
【0044】
前記結晶型のオキソチタニルフタロシアニンの合成方法は、モーザーおよびトーマスの「フタロシアニン化合物」(MOSER and THOMAS.“Phthalocianine
Compounds”)に記載されている方法およびその他の公知の方法のうちのいずれでもよい。たとえば、o−フタロニトリルと四塩化チタンとを加熱融解する方法、またはα−クロロナフタレンなどの有機溶媒の存在下で加熱する方法などによって、ジクロロチタニウムフタロシアニンは収率よく得られる。得られたジクロロチタニウムフタロシアニンを塩基あるいは水で加水分解することによって、オキソチタニルフタロシアニン粗成物が得られる。また1,3−ジイミノイソインドリンとテトラブトキシチタンとをN−メチルピロリドンなどの有機溶媒で加熱する方法などによって、オキソチタニルフタロシアニン粗成物が得られる。オキソチタニルフタロシアニン粗成物には、ベンゼン環の水素原子が塩素、フッ素、ニトロ基、シアノ基およびスルホン基などの置換基で置換されたフタロシアニン誘導体が含有されていてもよい。
【0045】
得られたオキソチタニルフタロシアニン組成物を水の存在下にジクロロエタンなどの水に非混和性の有機溶媒で処理することによって、本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを得る。
【0046】
オキソチタニルフタロシアニン粗成物を水の存在下で水に非混和性の有機溶媒で処理する方法としては、オキソチタニルフタロシアニン粗成物を水で膨潤させ有機溶媒で処理する方法、および膨潤処理を行わずに、水を有機溶媒中に添加し、水が添加された有機溶媒の中にオキソチタニルフタロシアニン粉末を投入する方法などが挙げられる。オキソチタニルフタロシアニン粗成物を水で膨潤させる方法としては、たとえば、硫酸に溶解したオキソチタニルフタロシアニン粗成物を水中に滴下し、水中でオキソチタニルフタロシアニンを析出させてウエットペースト状にする方法、およびホモミキサ、ペイントミキサ、ボールミルおよびサンドミルなどの撹拌・分散装置を用いて、オキソチタニルフタロシアニン粗成物を水で膨潤させ、ウエットペースト状にする方法などが挙げられる。
【0047】
また加水分解で得られたオキソチタニルフタロシアニン組成物を溶液中もしくはバインダポリマを溶解させた溶液中で充分な時間撹拌あるいは機械的な歪力をもって粉砕する処理によって、本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを得る。この処理に用いられる装置としては、一般的な撹拌装置の他に、ホモミキサ、ペイントミキサ、ディスパーサ、アジター、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカ、ダイノミル、アトライタおよび超音波分散装置などを用いることができる。処理後の溶液は、ろ過してメタノール、エタノールおよび水などを用いて洗浄し、オキソチタニルフタロシアニンを単離してもよいし、バインダポリマを加えてそのまま塗液として使用してもよい。バインダポリマを溶解させた溶液中で処理して得たオキソチタニルフタロシアニンは、そのまま塗液として使用できる。
【0048】
なお本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンは、前述の製造方法によって製造されなくてもよく、いかなる製造方法によって製造されても、本発明の特定の回折ピークを示せばよい。
【0049】
既知のオキソチタニルフタロシアニンの結晶型の中で、比較的光感度特性のよい結晶型はY型およびM−α型である。同様に比較的光感度特性のよい結晶型であるI型およびM型は、電子写真学会誌 第32巻、第3号、p282に記載のとおりM−α型を処理して得られた結晶であり、M−α型と結晶系および特性が類似しているので、M−α型に含める。本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンは、Y型およびM−α型のうちのいずれとも一致しないだけでなく、さらに良好な特性を示した。
【0050】
X線回折スペクトルにおける主ピーク位置を比較すると、M−α型はブラッグ角(2θ±0.2°)7.2°、14.2°、24.0°、27.1°であるのに対して、本発明の結晶は7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°である。したがってM−α型と本発明の結晶とは、全く別の結晶系であることは明白である。またY型の主ピーク位置は、9.6°、11.7°、15.0°、24.1°、27.1°であり、本発明の結晶の主ピーク位置と似ている。しかしながら2つのスペクトルはその相対強度の関係が大きく異なる。すなわち最大ピーク位置はブラッグ角(2θ±0.2°)で、本発明が9.4°と9.6°との重なったピーク束であるのに対して、Y型が27.3°である。ちなみにM−α型は27.3°である。相対強度は、結晶型によって決定されるので、ピーク強度が著しく相違している2つのスペクトルは、双方の結晶系が異なることを明示している。さらにY型では特開平7−271073号公報に記載されているとおり、ブラッグ角(2θ±0.2°)18°付近と24°付近に2つの明瞭なピークが見られるスペクトル(図8参照)であることに対して、本発明ではブラッグ角(2θ±0.2°)17.9°、24.1°には1つのピークしか見られない点でも大きく異なっている。さらに光感度特性、繰返し使用特性および溶剤安定性においても、本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンが優っていた。
【0051】
前述の電子写真学会誌 第32巻、第3号、p282においては報告されていない新規結晶型であって、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.6°に最大ピークを持つオキソチタニルフタロシアニンが特開平8−209023号公報に記載されている。前記新規結晶型は、いかなる合成法でも製造することができなかったので、光感度特性などの特性を本発明の結晶型と比較することはできなかった。しかし前記新規結晶型の主ピークがブラッグ角(2θ±0.2°)7.22°、9.60°、11.60°、13.40°、14.88°、18.34°、23.62°、24.14°、27.32であるという記述に対し、本発明の結晶では18.34°±0.2°と23.62°±0.2°にピークは存在しない。したがって本発明の結晶は前記新規結晶型とも異なる。
【0052】
このようにして得られた新規な結晶型のオキソチタニルフタロシアニンは、電子写真感光体の電荷発生物質として優れた特性を発揮する。本発明では、電荷発生物質として、本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンに、その他の電荷発生物質を併用してもよい。併用する電荷発生物質としては、本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンとは結晶型において異なるα型、β型、Y型およびアモルファスのオキソチタニルフタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン以外のフタロシアニン類、ならびにアゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料およびスクエアリウム顔料などの顔料などが挙げられる。
【0053】
電荷輸送物質としては、ベンゾフラン−アミン化合物(1)が使用される。
【0060】
ベンゾフラン−アミン化合物(1)は、種々の方法で合成することができ、通常、以下の合成過程で容易に合成される。
すなわち一般式(2)
【化3】
Figure 0003576908
〔式中、Ar、aおよびnは上記に同じ。〕
で表わされる2−(アミノアリル)ベンゾ[b]フラン化合物誘導体(1.0当量)と、一般式(3)
Ar−X (3)
〔式中、Arは上記に同じ。Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を示す。〕
で表わされるハロゲン化合物(2.0〜5.0当量)とを、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンまたはジメチルスルフォキシドなどの溶剤中、4.0/8.0の当量比で銅粉末、8.0/12.0の当量比で炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カルシウムなどの炭酸塩基、0.2/0.8の当量比でたとえば18−クラウン−6−エーテルなどのクラウンエーテルを加え、激しく加熱、撹拌を行うことによって、ベンゾフラン−アミン化合物(1)が合成される。
【0064】
ベンゾフラン−アミン化合物(1)の具体例を以下に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0003576908
【0067】
電荷輸送物質であるベンゾフラン−アミン化合物(1)は、後述するバインダポリマに対して、0.2重量%以上、1.5重量%以下で使用されることが好ましく、より好ましくは0.3重量%以上、1.2重量%以下である。
【0068】
バインダポリマとしては、たとえばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体およびその共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、ならびにウレタン樹脂などが挙げられる。バインダポリマは単独あるいは2種類以上混合して使用してもよく、またこれらの樹脂を構成するのに必要なモノマの共重合体および部分的に架橋した熱硬化性樹脂も使用することができる。
【0069】
特に下記一般式(4)のポリカーボネート樹脂と下記一般式(5)のポリエステル樹脂との混合は好適である。これによって、感光体の耐磨耗性がさらに優れる。
【0070】
【化4】
Figure 0003576908
【0071】
〔式中、R1およびR2はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子または水素原子を示す。Xは直接結合しているか、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜10の環状アルキリデン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリレーン基、スルホニル基またはカルボニル基を示す。Zは置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数6〜12のアリレーン基、炭素数7〜17のアリレーンアルキル基またはハロゲン原子を示す。Wは置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキルエステル基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリールエステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、ハロゲン原子または水素原子を示す。eおよびfは1から4の整数、uは10〜200の整数を示す。
【0072】
一般式(4)のポリカーボネート樹脂の具体例として、以下の表2に示す構造を有する化合物を示すが、これによって本発明における化合物が限定されるものではない。
【0073】
【表2】
Figure 0003576908
【0074】
【化5】
Figure 0003576908
【0075】
〔式中、g、hおよびiは1から10の整数、v,w,xおよびyは10から1000の整数を示す。〕
【0076】
一般式(5)のポリエステル樹脂は、バインダポリマ全体に対して、5重量%以上、50重量%以下で使用されることが好ましく、より好ましくは10重量%以上、30重量%以下である。5重量%未満では、添加効果の発現が弱い傾向があり、50重量%を超えると粘度低下等弊害を引き起こす傾向にあるからである。
【0077】
導電性基体としては、基体自体が導電性を持つもの、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、ニッケルおよびチタンなどを用いることができる。その他、アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン、酸化インジウムおよび酸化錫などを蒸着したプラスチックまたは紙、導電性粒子を含有したプラスチックまたは紙、ならびに導電性ポリマを含有するプラスチックなどを用いることができる。導電性基体の形状は、ドラム状、シート状およびシームレスベルト状などである。
【0078】
図1は、感光層4が電荷発生物質2を含む電荷発生層5と電荷輸送物質3を含む電荷輸送層6との2層から成る機能分離型感光体の構成を示す図である。図2は、中間層7と電荷発生物質2を含む電荷発生層5と電荷輸送物質3を含む電荷輸送層6との3層から成る機能分離型感光体の構成を示す図である。
【0079】
本発明の電子写真感光体の構成としては、図1に示す機能分離型、図2に示す中間層を設けた機能分離型などが挙げられる。中間層として導電性基体と感光層との間に設けられる下引き層には、通常使用されている公知材料を用いることが可能である。中間層としては、アルミニウム陽極酸化膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化チタンなどの無機層の他、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、でんぷん、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、カゼイン、N−メトキシメチル化ナイロンなどが用いられる。これらの材料に、さらに酸化チタン、酸化スズおよび酸化アルミニウムなどの粒子を分散させてもよい。
【0080】
本発明の電子写真感光体は、最表面層として従来公知のたとえば熱可塑性あるいは熱硬化性ポリマを主体とするオーバコート層を設けてもよい。
【0081】
前記各層の形成法としては、各層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
【0082】
本発明の電子写真感光体を図1または図2に示す機能分離型感光体とする場合、電荷発生層には、電荷発生物質である本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを含み、電荷輸送層には、電荷輸送物質であるベンゾフラン−アミン化合物(1)およびバインダポリマを含む。また電荷発生層には、前述の他の電荷発生物質が含まれてもよく、電荷輸送層には、必要に応じてレベリング剤、酸化防止剤および増感剤などの各種添加剤を含んでもよい。特にレベリング剤として、ポリジメチルシロキサンが好適で、バインダポリマに対して、0.001重量%以上、5重量%以下含まれていることが好ましい。これによって、表面性の優れた感光体が得られる。
【0083】
また、特に酸化防止剤としては、α−トコフェロールまたは2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールが好適であり、α−トコフェロールは、電荷輸送物質に対して0.1重量%以上、5重量%以下含まれていることが好ましく、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールは、電荷輸送物質に対して0.1重量%以上、10重量%以下含まれていることが好ましい。これらによって、電位特性の優れた安定性が得られる。
【0084】
電荷発生層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリングおよびCVDなどの気相堆積法が挙げられる。また溶解、またはボールミル、サンドグラインダ、ペイントシェーカおよび超音波分散機などによって粉砕または分散された電荷発生物質に、必要に応じてバインダポリマおよび溶剤が加えて分散液を調製する。この分散液を用いて、シートの場合にはベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティングおよびスピンコートなどによって、ドラムの場合にはスプレイ法、垂直型リング法および浸漬塗工法によって形成する方法が挙げられる。特に、分散液を塗布する方法は、層を任意の厚さとして、露光したレーザ光を吸収させて基板からの反射をなくすことができ、再現性よく、制御も容易である。また分散液を塗布する方法は、蒸着法と比較して、蒸着時の高真空度装置も不要であり、加熱による熱分解および熱変性を避けることができ、蒸着後の蒸着品の結晶化などの工業的生産上での煩わしさもないので有利である。
【0085】
前記溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などを単独もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
【0086】
電荷発生層の膜厚は、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.08〜1μmである。
【0087】
電荷輸送層の形成方法としては、溶剤に溶解されて前述のようなバインダポリマが加えられた電荷輸送物質を用いて、シートの場合にはベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティングおよびスピンコートなどによって、ドラムの場合にはスプレイ法、垂直型リング法および浸漬塗工法によって形成する方法が挙げられる。
【0088】
前記溶剤としては、ジクロロメタンおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などを用いることができる。
【0089】
電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5〜60μmで、より好ましくは10〜40μmで使用される。
【0090】
通常は電荷発生層の上に電荷輸送層を形成するが、その逆も可能である。
【0093】
以上のようにして得られた本発明の感光体の特徴は、電荷発生物質として用いる本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンが長波長域でも高感度を示すので、長波長域の光、特に半導体レーザおよびLEDに最適な感光波長域を有することである。また本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンの結晶型は安定であり、溶剤および熱に対する結晶安定性に優れるので、該結晶型を用いた本発明の感光体は、感光体としての光感度特性および繰返し使用特性に優れるという特徴を有する。このような電子写真感光体の特徴は、感光体の製造および使用においても大きな長所となる。
【0094】
【実施例】
以下実施例によって、本発明の感光体の作成方法およびその電気特性について、さらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0095】
(合成例1)オキソチタニルフタロシアニンの合成
o−フタロジニトリル40gと4塩化チタン18gとα−クロロナフタレン500mlとを窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱撹拌して反応させ、100〜130℃まで放冷後、熱時瀘過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た。ジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を室温にて、まずα−クロロナフタレン200mlで、次いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱懸洗を行う。瀘過後得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6〜7になるまで熱懸洗を繰返した。その後、乾燥してオキソチタニルフタロシアニン中間結晶を得、以下の条件でX線回折を測定した。
【0096】
(X線回折の測定条件)
X線源 CuKα=1.54050Å
電圧 40kV
電流 50mA
スタート角度 5.0deg.
ストップ角度 30.0deg.
ステップ角度 0.02deg.
測定時間 0.5deg./sec
測定方法 θ/2θ スキャン方法
以下、合成例3までに得られた結晶についても、前記測定条件でX線回折を測定した。
【0097】
図6は、合成例1において得られた中間結晶のX線回折スペクトルを示すスペクトル図である。得られた中間結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、かつ7.4°、9.7°、27.3°に回折ピークを有する。これらのピークから、この中間結晶は特開平2−8256号公報および特開平7−271073号公報に記載されたY型と称される結晶型オキソチタニルフタロシアニンであることが判る。
【0098】
得られた中間結晶1.0gをメチルエチルケトン30gに混合し、ペイントコンディショナ装置(レッドレベル社製)によって直径2mmのガラスビーズとともにミリング処理し、メタノールで洗浄した。その後、乾燥して本発明の結晶を得、前述の条件でX線回折を測定した。
【0099】
図3は、合成例1において得られた結晶のX線回折スペクトルを示すスペクトル図である。得られた結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°と9.6°との重なったピーク束に最大回折ピークを示し、かつ7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°に回折ピークを有するので、本発明の結晶型オキソチタニルフタロシアニンであることが判る。
【0100】
(合成例2)オキソチタニルフタロシアニンの合成
合成例1の合成過程途中で得られたオキソチタニルフタロシアニン中間結晶0.6gとポリブチラール(積水化学工業社製エスレックBL−1)0.6gとをメチルエチルケトン40gに混合し、ビーズミル装置によって直径2mmのガラスビーズとともにミリング処理し、本発明の結晶を得た。
【0101】
図4は、合成例2において得られた結晶のX線回折スペクトルを示すスペクトル図である。得られた結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°と9.6°との重なったピーク束に最大回折ピークを示し、かつ7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°に回折ピークを有し、さらに14.1°から14.9°に強度が同程度である回折ピークを複数本有して台形状を示すピーク分離困難なピークの集合体を示しているので、本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンであることが判る。
【0102】
(合成例3)オキソチタニルフタロシアニンの合成
合成例1の合成過程途中で得られたオキソチタニルフタロシアニン中間結晶0.6gとポリブチラール(積水化学工業社製エスレックBL−1)0.3gと塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(積水化学工業社製エスレックM−1)0.3gとをメチルエチルケトン40gに混合し、ペイントコンディショナ装置によって直径2mmのガラスビーズとともにミリング処理し、本発明の結晶を得た。
【0103】
図5は、合成例3において得られた結晶のX線回折スペクトルを示すスペクトル図である。得られた結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)9.4°と9.6°との重なったピーク束に最大回折ピークを示し、かつ7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°に回折ピークを有する。また得られた結晶は14.1°から14.9°に強度が同程度である回折ピークを複数本有して台形状を示すピーク分離困難なピークの集合体を示す。さらに得られた結晶は9.0°位置に9.4°と9.6°との重なったピーク束のショルダーピークとして、該ピーク束の半分程度の強度のピークが存在している。これらの回折ピークから、得られた結晶は本発明の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンであることが判る。
【0104】
(合成例4)ベンゾフラン−アミン化合物の合成
o−ジクロロベンゼン150ml中で、2−(p−アミノベンジル)ベンゾ[b]フラン4.02g(1.0当量)、p−ヨードトルエン8.82g(2.1当量)、18−クラウン−6−エーテル1.02g(0.2当量)、銅粉末4.9g(4.0当量)、無水炭酸カリウム21.3g(8.0当量)を混合し30時間、激しく加熱、撹拌および還流して反応させた。反応終了後、熱時セライト瀘過を行い、瀘液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーでn−ヘキサン:塩化メチレン=3:7から塩化メチレン単独までの勾配で溶出することによって精製し、目的のベンゾフラン−アミン化合物である例示化合物No1の6.7gが白色粉末化合物として得られた。収率は89.5%であった。
【0105】
このようにして得られたベンゾフラン−アミン化合物である例示化合物No1の構造は、1H−NMR、通常13C−NMRおよびDEPT135 13C−NMRを測定することによって確認した。
【0106】
図7は、例示化合物1の1H−NMRの測定結果を示すスペクトル図である。図8は、例示化合物1の通常13C−NMRの測定結果を示すスペクトル図である。図9は、例示化合物1のDEPT135 13C−NMRの測定結果を示すスペクトル図である。これらのNMRシグナルは、目的とするベンゾフラン−アミン化合物である例示化合物1の構造をよく支持している。
【0107】
以下、例示化合物1の合成方法と同様にして、例示化合物2、3および4に対応するベンゾフラン−1級アミン化合物およびハロゲン化合物をそれぞれ選択し、選択した化合物を用いて例示化合物2、3および4を合成した。
【0108】
(実施例1)
アルミ蒸着のポリエステルフィルムを導電性基体として、この基体上に酸化チタン2.1gと共重合ナイロン(東レ社製CM8000)3.9gとをメチルアルコール:ジクロロエタン=32.9g:61.1gの混合溶剤に溶解した溶液を塗布、乾燥して、膜厚1μmの中間層を作成した。
【0109】
電荷発生物質として合成例1において得られた結晶型オキソチタニルフタロシアニン1重量部と、バインダポリマとしてポリブチラール(積水化学工業製 エスレックBL−1)1重量部とをメチルエチルケトン70重量部に混合し、ペイントコンディショナ装置(レッドレベル社製)によって直径2mmのガラスビーズとともに分散処理して電荷発生層用溶液を得た。得られた電荷発生層用溶液を前記中間層上に塗布し、乾燥して、膜厚0.4μmの電荷発生層を作成した。
【0110】
電荷輸送物質としてベンゾフラン−アミン化合物である例示化合物1を10重量部、バインダポリマとして前記構造式(4−1)で表わされるポリカーボネート樹脂8重量部および一般式(5)で表わされるポリエステル樹脂2重量部、酸化防止物質としてα−トコフェロール0.2重量部、ならびにレベリング剤としてポリジメチルシロキサン0.0002重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として15重量%の溶液を作り、前記電荷発生層の被膜上に塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を作成した。
以上のようにして、基体、中間層、電荷発生層および電荷輸送層から構成される機能分離型感光体を得た。
【0111】
(実施例2)
中間層を作成せず、基体上に直接膜厚0.4μmの電荷発生層を作成し、電荷輸送物質としてベンゾフラン−アミン化合物である例示化合物2を用い、バインダポリマとして前記構造式(4−1)で表されるポリカーボネート樹脂7重量部および一般式(5)で表されるポリエステル樹脂3重量部を用い、酸化防止物質として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして基体、電荷発生層および電荷輸送層から構成される機能分離型感光体を得た。
【0112】
(実施例3)
電荷発生層のバインダポリマとして塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(積水化学工業社製エスレックM−1)を用い、電荷輸送物質としてベンゾフラン−アミン化合物である例示化合物3を用い、バインダポリマとして前記構造式(4−1)で表されるポリカーボネート樹脂9重量部および一般式(5)で表されるポリエステル樹脂1重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして機能分離型感光体を得た。
【0113】
(実施例4)
電荷発生物質として合成例2において得られた結晶型オキソチタニルフタロシアニンを用い、電荷輸送層の作成において、酸化防止物質として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5重量部を用い、ジクロロメタンを溶剤とし、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を作成した以外は、実施例1と同様にして基体、中間層、電荷発生層および電荷輸送層から構成される機能分離型感光体を得た。
【0115】
(実施例5)
電荷発生物質として合成例3において得られた結晶型オキソチタニルフタロシアニンを用い、電荷輸送層の作成において、酸化防止物質として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5重量部を用い、ジクロロメタンを溶剤とし、乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を作成した以外は、実施例1と同様にして基体、中間層、電荷発生層および電荷輸送層から構成される機能分離型感光体を得た。
【0119】
(実施例6)
電荷輸送層に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを加えなかった以外は、実施例2と同様にして、同様の機能分離型感光体を得た。
【0120】
(実施例7)
電荷輸送層にα−トコフェロールを加えなかった以外は、実施例1と同様にして、同様の機能分離型感光体を得た。
【0122】
(実施例8)
電荷輸送層にポリジメチルシロキサンを加えなかった以外は、実施例1と同様にして機能分離型感光体を作成した。作成された感光体の表面には、凹凸が生じ、均一な塗膜が得られなかった。
【0123】
(比較例1)
電荷発生物質として、合成例1の合成過程途中において得られた中間結晶である図6のX線回折パターンを持つオキソチタニルフタロシアニンの結晶を用いた以外は、実施例1と同様にして、同様の機能分離型感光体を得た。
【0124】
(比較例2)
電荷発生物質として、合成例1の合成過程途中において得られた中間結晶である図6のX線回折パターンを持つオキソチタニルフタロシアニンの結晶を用いた以外は、実施例2と同様にして、同様の機能分離型感光体を得た。
【0125】
(比較例3)
電荷輸送物質として、従来公知の電荷輸送物質である4−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、同様の機能分離型感光体を得た。
【0130】
以上のようにして、実施例1〜8および比較例1〜3において得られた感光体の主な構成物質を表3に示す。
【0131】
【表3】
Figure 0003576908
【0132】
(評価方法)
実施例1〜8および比較例1〜3において得られた感光体は、帯電電位、半減減衰露光量、残留電位および磨耗量の電子写真特性を評価した。
【0133】
市販のデジタル複写機(シャープ社製AR5130)を改造し、ドラム部に実施例1〜8および比較例1〜3において得られた各感光体を使用し、トナーを消費することなく露光だけを行う連続空複写(Non Copy Aging)を3万回行った。3万回の連続空複写の前後において、帯電電位および露光量E1/2を測定した。露光量E1/2は静電記録紙試験装置(川口電機製;EPA−8200)を用いて、以下の測定条件で測定した。機能分離型感光体の測定条件は、加電圧:−6kV、スタティック:No.3であり、干渉フィルタで分光した780nmの単色光(照射光:2μW/cm)による−500Vから−250Vに減衰させるために要する露光量E1/2(μJ/cm)および初期電位V0(−ボルト)を測定した。分散型感光体の測定条件は、加電圧:+6kV、スタティック:No.3であり、干渉フィルタで分光した780nmの単色光(照射光:10μW/cm)による+500Vから+250Vに減衰させるために要する露光量E1/2(μJ/cm)を測定した。
【0134】
また高温高湿度環境下(35℃、85%)で、前記複写機において連続空複写(Non
Copy Aging)を3万回行い、その前後において、残留電位を測定した。
さらに感光体膜厚の減少具合を評価するため、スガ試験機社製磨耗試験機を用いて感光体膜厚の磨耗量を測定した。研摩材を酸化アルミニウム#2000、荷重200gf、磨耗回数10000回の条件で測定した。
実施例1および実施例8については、感光体表面膜の均一さを目視によって評価した。以上の評価結果を表4および表5に示す。
【0135】
【表4】
Figure 0003576908
【0136】
【表5】
Figure 0003576908
【0137】
表4に示すとおり、実施例1〜5の感光体は、従来の電荷発生物質または電荷輸送物質を含む感光体である比較例1〜3と比べて、いずれも帯電電位の耐久試験(連続空複写3万回)後の電位劣化が充分小さく、かつ初期感度(半減露光量)においても充分高いうえに、耐久試験後でも感度劣化が小さいという特徴が判る。また実施例1〜5の感光体は、高温高湿度下での耐久試験(連続空複写3万回)後の残留電位上昇が、比較例1〜3と比べて充分小さいという特徴も判る。実施例6〜7の感光体は、電荷輸送層に酸化防止剤を添加しなかったので、高温高湿度下での耐久試験後の残留電位上昇が大きいが、帯電電位の耐久試験後の電位劣化が小さく、かつ半減露光量においても高いという特徴がある。
【0138】
また表4および表5の結果から、実施例8の感光体は、レベリング剤であるポリジメチルシロキサンを用いなかったので、表面全体に柚子肌状の欠陥が発生し、電気特性を正確に測定することができなかった。しかしポリジメチルシロキサンを用いた以外は、実施例8と同様の感光体である実施例1において、表面膜が良好に均一で電気特性が測定されているので、実施例8の電気特性は、実施例1と同等であると推測できる。
【0139】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、新規な結晶型オキソチタニルフタロシアニンを電荷発生物質とし、特定のベンゾフラン−アミン化合物を電荷輸送物質として用いることによって、長波長域での感度が著しく高く、かつ高耐久性に優れた電子写真感光体を提供することができる。このような電子写真感光体は、昨今開発の進展が著しい半導体レーザ光を発生する光源を用いたレーザプリンタおよびデジタル複写機などの感光体に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】感光層が、電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層との2層から成る機能分離型感光体の層構成を模式的に示す断面図である。
【図2】中間層と電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層との3層から成る機能分離型感光体の層構成を模式的に示す断面図である。
【図3】合成例1で得られたオキソチタニルフタロシアニンのX線スペクトル図である。
【図4】合成例2で得られたオキソチタニルフタロシアニンのX線スペクトル図である。
【図5】合成例3で得られたオキソチタニルフタロシアニンのX線スペクトル図である。
【図6】合成例1の合成過程途中で得られたオキソチタニルフタロシアニン中間結晶のX線スペクトル図である。
【図7】重クロロホルム中での例示化合物1の1H−NMRスペクトル図である。
【図8】重クロロホルム中での例示化合物1の13C−NMRスペクトル図である。
【図9】重クロロホルム中での例示化合物1のDEPT135での13C−NMRスペクトル図である。

Claims (3)

  1. 少なくとも表面が導電性である基体と、基体上に形成される感光層であって、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°、27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2番目の大きなピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニンを電荷発生物質として含有し、下記の一般式(1)
    Figure 0003576908
    〔式中、Arはパラフェニレン基を示す。Arはフェニル基、p−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基またはp−メトキシフェニル基を示す。aはメトキシ基または水素原子を示す。nは1を示す。ただし、Arがフェニル基である時、aはクマロン環の7位に結合するメトキシ基であり、Arがp−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基またはp−メトキシフェニル基である時、aは水素原子である。〕
    で表されるベンゾフラン−アミン化合物を電荷輸送物質として含有する感光層とを含むことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記感光層は、前記電荷発生物質を含有する電荷発生層と、前記電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造から成ることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記基体と前記感光層との間に中間層を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
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