WO2023063008A1 - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

この二次電池は、正極と負極とがセパレータを介して積層されて巻回軸を中心として巻回され、巻回軸と交差する断面形状が長軸および短軸により規定される扁平形状をなす電池素子を備える。電池素子は、長軸の方向に延在する平坦領域と、その平坦領域と接続されて湾曲する湾曲領域と、を有する。正極は、正極集電体と、その正極集電体に形成された正極活物質層とを有する。負極は、負極集電体と、その負極集電体に形成されて正極活物質層と対向する負極活物質層とを有する。電池素子の正極のうち少なくとも最内周の正極活物質層は、第1の面積密度の正極活物質を有する第1部分と第1の面積密度よりも低い第2の面積密度の正極活物質を有する第2部分とを含む。第2部分は、少なくとも、湾曲領域における最内周の正極活物質層の全体に設けられ、かつ、平坦領域のうちの湾曲領域との境界の近傍における最内周の正極活物質層に設けられている。

Description

二次電池
 本技術は、二次電池に関する。
 携帯電話機などの多様な電子機器が普及しているため、小型かつ軽量であると共に高エネルギー密度を得ることが可能である電源として、二次電池の開発が進められている。この二次電池は、外装部材の内部に収納された正極、負極および電解質を備えており、その二次電池の構成に関しては、様々な検討がなされている(例えば特許文献1参照)。
 例えば、特許文献1には、平坦部及び湾曲部を有する扁平状の巻回型電極体を備えた非水電解質二次電池が開示されている。
特開2020-57458号公報
 二次電池の性能を改善するために様々な検討がなされている。しかしながら、二次電池の性能には改善の余地がある。
 本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、より優れた性能を有する二次電池を提供することにある。
 本技術の一実施形態の二次電池は、正極と負極とがセパレータを介して積層されて巻回軸を中心として巻回され、巻回軸と交差する断面形状が長軸および短軸により規定される扁平形状をなす電池素子を備える。電池素子は、長軸の方向に延在する平坦領域と、その平坦領域と接続されて湾曲する湾曲領域と、を有する。正極は、正極集電体と、その正極集電体に形成された正極活物質層とを有する。負極は、負極集電体と、その負極集電体に形成されて正極活物質層と対向する負極活物質層とを有する。電池素子の正極のうち少なくとも最内周の正極活物質層は、第1の面積密度の正極活物質を有する第1部分と第1の面積密度よりも低い第2の面積密度の正極活物質を有する第2部分とを含む。第2部分は、少なくとも、湾曲領域における最内周の正極活物質層の全体に設けられ、かつ、平坦領域のうちの湾曲領域との境界の近傍における最内周の正極活物質層に設けられている。
 本技術の一実施形態の二次電池によれば、扁平形状をなす巻回構造の湾曲領域においても負極の利用率が100%以下となり、リチウムの析出を抑制できる。
 なお、本技術の効果は、必ずしもここで説明された効果に限定されるわけではなく、後述する本技術に関連する一連の効果のうちのいずれの効果でもよい。
本技術の一実施形態における二次電池の構成を表す斜視図である。 図1に示した二次電池の構成を表す断面図である。 図2に示した電池素子の巻回軸の周辺の構成を表す断面図である。 図1に示した電池素子の構成を模式的に表す他の断面図である。 図2に示した電池素子の一部の構成を拡大して表す拡大断面図である。 図5に示したセパレータの構成を拡大して表す断面図である。 図3に示した電池素子を展開して表した平面図および断面図である。 比較例の二次電池の構成を表す断面図である。 図8に示した電池素子の平坦領域の一部の構成を拡大して表す断面図である。 図8に示した電池素子の湾曲領域の一部の構成を拡大して表す断面図である。 二次電池の適用例(電池パック)の構成を表すブロック図である。
 以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

 1.二次電池
  1-1.構成
  1-2.動作
  1-3.製造方法
  1-4.作用および効果
 2.変形例
 3.二次電池の用途
<1.二次電池>
 まず、本技術の一実施形態の二次電池に関して説明する。
 ここで説明する二次電池は、電極反応物質の吸蔵放出を利用して電池容量が得られる二次電池であり、正極および負極と共に電解液を備えている。この二次電池では、充電途中において負極の表面に電極反応物質が意図せずに析出することを防止するために、その負極の充電容量は、正極の放電容量よりも大きくなっている。すなわち、負極の単位面積当たりの電気化学容量は、正極の単位面積当たりの電気化学容量よりも大きくなるように設定されている。
 電極反応物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などの軽金属である。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどであると共に、アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどである。
 以下では、電極反応物質がリチウムである場合を例に挙げる。リチウムの吸蔵放出を利用して電池容量が得られる二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池である。このリチウムイオン二次電池では、リチウムがイオン状態で吸蔵放出される。
<1-1.構成>
 図1は、電池素子10を含む本実施の形態の二次電池の斜視構成を表している。図2は、図1に示した電池素子10の断面構成を表している。図3は、図2に示した電池素子10の巻回軸Jの周辺を拡大して表す拡大断面図である。図4は、図1に示した電池素子10の断面の形状を模式的に表している。図5は、図2に示した電池素子10の一部の構成を拡大して表す拡大断面図である。図6は、図5に示したセパレータ13の構成を拡大して表す断面図である。ただし、図1では、電池素子10と外装フィルム20とが互いに分
離された状態を示していると共に、図4では、Y軸方向に延在する巻回軸Jと交差する電池素子10の断面を示している。
 この二次電池は、図1~図4に示したように、電池素子10と、外装フィルム20と、正極リード14と、負極リード15とを備えている。電池素子10は、外装フィルム20の内部に収納されている。正極リード14および負極リード15のそれぞれは、外装フィルム20の内部から外部に向かって互いに共通する方向に導出されている。
 この二次電池は、電池素子10を収納するための外装部材として、可撓性、または柔軟性を有する外装フィルム20を用いたラミネートフィルム型の二次電池である。
[外装フィルム]
 外装フィルム20は、図1に示したように、1枚のフィルム状の部材であり、矢印R(一点鎖線)の方向に折り畳み可能である。外装フィルム20は、電池素子10を収納している。よって、正極11、負極12および電解液が外装フィルム20に収納されている。なお、外装フィルム20には、電池素子10を収容するための窪み部20Uが設けられている。窪み部20Uは、いわゆる深絞り部である。
 具体的には、外装フィルム20は、融着層、金属層および表面保護層が内側からこの順に積層された3層のラミネートフィルムである。外装フィルム20が折り畳まれた状態では、外装フィルム20の互いに対向する融着層のうちの外周縁部同士が互いに融着されている。外装フィルム20の融着層は、ポリプロピレンなどの高分子化合物を含んでいる。外装フィルム20の金属層は、アルミニウムなどの金属材料を含んでいる。外装フィルム20の表面保護層は、ナイロンなどの高分子化合物を含んでいる。
 ただし、外装フィルム20の構成は、上記に限定されない。外装フィルム20の層数は、1層または2層でもよいし、4層以上でもよい。
 外装フィルム20と正極リード14との間には、密着フィルム21が挿入されている。外装フィルム20と負極リード15との間には、密着フィルム22が挿入されている。密着フィルム21,22は、それぞれ、外装フィルム20の内部に外気が意図せずに進入することを防止する部材である。密着フィルム21,22は、それぞれ、正極リード14および負極リード15のそれぞれに対して密着性を有するポリオレフィンなどの高分子化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。このポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどである。ただし、密着フィルム21,22のうちの一方または双方は、省略されてもよい。
[電池素子]
 電池素子10は、図1~図4に示したように、正極11と、負極12と、セパレータ13とを備えている。正極11、負極12およびセパレータ13のそれぞれには、液状の電解質である電解液が含浸されている。
 電池素子10は、図1~図3に示したように、正極11および負極12がセパレータ13を介して巻回方向Dに巻回された構造体であり、いわゆる巻回電極体である。より具体的には、巻回電極体である電池素子10では、正極11および負極12がセパレータ13を介して互いに積層されていると共に、正極11、負極12およびセパレータ13が巻回軸Jを中心として巻回方向Dに巻回されている。すなわち、正極11および負極12は、セパレータ13を介して互いに対向しながら、セパレータ13と一緒に巻回方向Dに巻回されている。
 巻回軸Jと交差する電池素子10の断面(XZ面に沿った断面)の形状は、図4に示したように、長軸K1および短軸K2により規定される扁平形状であり、より具体的には扁平な略楕円形である。長軸K1は、X軸方向に延在すると共に相対的に大きい長さを有する軸(横軸ともいう。)である。短軸K2は、X軸方向と交差するY軸方向に延在すると共に相対的に小さい長さを有する軸(縦軸ともいう。)である。
 すなわち、巻回電極体である電池素子10は、全体として、扁平状の立体的形状を有している。このため、電池素子10は、図2および図4に示したように、一対の湾曲領域10Aと、一対の湾曲領域10Aの間に位置して一対の湾曲領域10Aと接続された平坦領域10Bとを含んでいる。湾曲領域10Aは、正極11、負極12およびセパレータ13が曲線を描くように湾曲している領域である。これに対して、平坦領域10Bは、正極11、負極12およびセパレータ13が湾曲しておらずに長軸K1に沿ってほぼ平坦をなしている領域である。すなわち、平坦領域10Bは、電池素子10の短軸K2に沿った寸法が最大かつ一定の領域である。一方、湾曲領域10Aは、電池素子10のうち、短軸K2に沿った寸法が平坦領域10Bよりも小さく、平坦領域10Bから遠ざかるほど短軸K2に沿った寸法が小さくなる領域である。図2および図4では、湾曲領域10Aと平坦領域10Bとの境界に破線を付している。
(正極)
 正極11は、図2、図3および図5に示したように、正極集電体11Aと、正極集電体11Aの両面に形成された2個の正極活物質層11Bとを含んでいる。ただし、正極活物質層11Bは、正極集電体11Aの片面だけに形成されていてもよい。なお、図3では、正極集電体11Aの巻内側の面に形成された正極活物質層11Bを正極活物質層11B1とし、正極集電体11Aの巻外側の面に形成された正極活物質層11Bを正極活物質層11B2としている。本明細書の説明では、正極活物質層11B1および正極活物質層11B2を包括的に正極活物質層11Bと称する場合がある。
 正極集電体11Aは、金属材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その金属材料は、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどである。正極活物質層11Bは、リチウムを吸蔵放出することが可能である正極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、正極活物質層11Bは、さらに、正極結着剤および正極導電剤などを含んでいてもよい。
 正極活物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、リチウム含有遷移金属化合物などのリチウム含有化合物である。このリチウム含有遷移金属化合物は、リチウムと共に1種類または2種類以上の遷移金属元素を含んでおり、さらに、1種類または2種類以上の他元素を含んでいてもよい。他元素の種類は、遷移金属元素以外の任意の元素であれば、特に限定されないが、具体的には、長周期型周期表中の2族~15族に属する元素である。リチウム含有遷移金属化合物の種類は、特に限定されないが、具体的には、酸化物、リン酸化合物、ケイ酸化合物およびホウ酸化合物などである。
 酸化物の具体例は、LiNiO2、LiCoO2、LiCo0.98Al0.01Mg0.012、LiNi0.5Co0.2Mn0.32、LiNi0.8Co0.15Al0.052、LiNi0.33Co0.33Mn0.332、Li1.2Mn0.52Co0.175Ni0.12、Li1.15(Mn0.65Ni0.22Co0.13)O2およびLiMn24などである。リン酸化合物の具体例は、LiFePO4、LiMnPO4、LiFe0.5Mn0.5PO4およびLiFe0.3Mn0.7PO4などである。
 ここでは、図2に示したように、正極活物質層11Bは、巻回方向Dにおける正極集電体11Aの途中だけに設けられている。このため、正極11の巻内側の端部である正極端部11Tでは、正極集電体11Aが正極活物質層11Bにより被覆されておらずに露出している。また、正極11の巻外側の端部においても、正極集電体11Aが正極活物質層11Bにより被覆されておらずに露出している。
 正極結着剤は、合成ゴムおよび高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドおよびカルボキシメチルセルロースなどである。
 正極導電剤は、炭素材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その炭素材料は、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、導電性材料は、金属材料および高分子化合物などでもよい。
(負極)
 負極12は、図2、図3および図5に示したように、負極集電体12Aと、その負極集電体12Aの両面に形成された2個の負極活物質層12Bとを含んでいる。ただし、負極活物質層12Bは、負極集電体12Aの片面だけに形成されていてもよい。なお、図3では、負極集電体12Aの巻内側の面に形成された負極活物質層12Bを負極活物質層12B1とし、負極集電体12Aの巻外側の面に形成された負極活物質層12Bを負極活物質層12B2としている。本明細書の説明では、負極活物質層12B1および負極活物質層12B2を包括的に負極活物質層12Bと称する場合がある。
 負極集電体12Aは、金属材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その金属材料は、銅、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどである。負極活物質層12Bは、リチウムを吸蔵放出することが可能である負極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、負極活物質層12Bは、さらに、負極結着剤および負極導電剤などを含んでいてもよい。負極結着剤に関する詳細は、正極結着剤に関する詳細と同様であると共に、負極導電剤に関する詳細は、正極導電剤に関する詳細と同様である。
 負極活物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、炭素材料および金属系材料などである。炭素材料は、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などであり、その黒鉛は、天然黒鉛および人造黒鉛などである。金属系材料は、リチウムと合金を形成することが可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を含む材料であり、その金属元素および半金属元素は、ケイ素およびスズなどである。ただし、金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよい、それらの2種類以上の相を含む材料でもよい。
 金属系材料の具体例は、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiOv (0<v≦2)、LiSiO、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSnOおよびMgSnなどである。ただし、SiOのvは、0.2<v<1.4を満たしていてもよい。
 負極活物質層12Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
 ここでは、図2に示したように、負極活物質層12Bは、巻回方向Dにおける負極集電体12Aの途中だけに設けられている。このため、負極12の巻内側の端部である負極端部12Tでは、負極集電体12Aが負極活物質層12Bにより被覆されておらずに露出している。また、負極12の巻外側の端部においても負極集電体12Aが負極活物質層12Bにより被覆されておらずに露出している。
 また、負極12の満充電状態における最大利用率(以下、単に「負極利用率」という。)は、4.4Vの電池電圧で充電したとき、90%以上100%以下であるとよい。負極利用率は、負極利用率(%)=単位面積当たりの正極放電容量÷単位面積当たりの負極放電容量で表される。ここで「単位面積当たり」というのは、正極11と負極12とが対向している面積当たりという意味である。対向している部分のみが実質的に機能するからである。負極利用率を90%以上とすれば、初回充電効率が低下せず、電池容量を十分に確保できる。また、負極利用率を100%以下とすれば、Liが析出してしまうことがなく、より高い安全性を確保できる。
(セパレータ)
 セパレータ13は、図2および図4に示したように、正極11と負極12との間に介在している絶縁性の多孔質膜であり、その正極11と負極12との接触を防止しながらリチウムイオンを通過させる。図2では、図示内容を簡略化するために、セパレータ13を線状に示している。
 ここでは、セパレータ13は、後述する高分子化合物層13Bを含む多層構造を有している。具体的には、セパレータ13は、図5に示したように、多孔質層13Aと、その多孔質層13Aの両面に設けられた2個の高分子化合物層13Bとを含んでいる。正極11および負極12のそれぞれに対するセパレータ13の密着性が向上するため、電池素子10の位置ずれが発生しにくくなるからである。これにより、電解液の分解反応などが発生しても、二次電池が膨れにくくなる。
 多孔質層13Aは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどの高分子化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、一対の面(対向面M1,M2)を有している。対向面M1は、正極11に対向する側における多孔質層13Aの表面であると共に、対向面M2は、負極12に対向する側における多孔質層13Aの表面である。なお、多孔質層13Aは、単層でもよいし、多層でもよい。
 高分子化合物層13Bは、多孔質層13Aの両面に設けられているため、面M1,M2のそれぞれに設けられている。この高分子化合物層13Bは、高分子化合物と共に、複数の無機粒子を含んでいる。二次電池の発熱時において複数の無機粒子が放熱するため、その二次電池の耐熱性および安全性が向上するからである。なお、高分子化合物層13Bは、単層でもよいし、多層でもよい。
 高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデンなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。優れた物理的強度が得られると共に、電気化学的な安定性も得られるからである。複数の無機粒子は、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、ベーマイト、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)および酸化ジルコニウム(ジルコニア)などの無機材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
 なお、セパレータ13は、単層構造を有していてもよい。この単層構造を有するセパレータ13の構成は、上記した多孔質層13Aの構成と同様である。
(電解液)
 電解液は、溶媒および電解質塩を含んでいる。
 溶媒は、非水溶媒(有機溶剤)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その非水溶媒を含んでいる電解液は、いわゆる非水電解液である。この非水溶媒は、エステル類およびエーテル類などであり、より具体的には、炭酸エステル系化合物、カルボン酸エステル系化合物およびラクトン系化合物などである。
 炭酸エステル系化合物は、環状炭酸エステルおよび鎖状炭酸エステルなどである。環状炭酸エステルは、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどであると共に、鎖状炭酸エステルは、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸メチルエチルなどである。カルボン酸エステル系化合物は、酢酸エチル、プロピオン酸エチルおよびトリメチル酢酸エチルなどである。ラクトン系化合物は、γ-ブチロラクトンおよびγ-バレロラクトンなどである。エーテル類は、上記したラクトン系化合物の他、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサンなどである。
 また、非水溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、酸無水物、ニトリル化合物およびイソシアネート化合物などである。電解液の化学的安定性が向上するからである。
 具体的には、不飽和環状炭酸エステルは、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンおよび炭酸メチレンエチレンなどである。ハロゲン化炭酸エステルは、モノフルオロ炭酸エチレンおよびジフルオロ炭酸エチレンなどである。スルホン酸エステルは、1,3-プロパンスルトンおよび1,3-プロペンスルトンなどである。リン酸エステルは、リン酸トリメチルなどである。酸無水物は、環状カルボン酸無水物、環状ジスルホン酸無水物および環状カルボン酸スルホン酸無水物などである。環状カルボン酸無水物は、コハク酸無水物、グルタル酸無水物およびマレイン酸無水物などである。環状ジスルホン酸無水物は、エタンジスルホン酸無水物およびプロパンジスルホン酸無水物などである。環状カルボン酸スルホン酸無水物は、スルホ安息香酸無水物、スルホプロピオン酸無水物およびスルホ酪無水物などである。ニトリル化合物は、アセトニトリル、アクリロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、セバコニトリルおよびフタロニトリルなどである。イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートなどである。
 電解質塩は、リチウム塩などの軽金属塩のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。このリチウム塩は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(FSO)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CFSO)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CFSO)およびビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C)などである。電解質塩の含有量は、特に限定されないが、具体的には、溶媒に対して0.3mol/kg~3.0mol/kgである。高いイオン伝導性が得られるからである。
[正極リードおよび負極リード]
 正極リード14は、正極11に接続された正極端子であり、その正極11が負極12に対向する側において正極11に接続されている。この正極リード14は、アルミニウムなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。負極リード15は、負極12に接続された負極端子であり、その負極12が正極11に対向する側において負極12に接続されている。この負極リード15は、銅、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。正極リード14および負極リード15のそれぞれの形状は、薄板状および網目状などである。
 上記したように、電池素子10は、一対の湾曲領域10Aと平坦領域10Bとを含んでいる。正極リード14は、平坦領域10Bにおいて正極11に接続されている。負極リード15は、平坦領域10Bにおいて負極12に接続されている。
 ただし、負極リード15は、正極リード14と対向しない位置に配置されている。すなわち、負極リード15は、セパレータ13を介して正極リード14と重ならないように配置されている。正極リード14の位置および負極リード15の位置は、図2に示したように、巻回方向Dにおいて互いにずれている。図2に示した二次電池の例では、負極リード15は、巻回方向Dにおいて正極リード14よりも巻内側に位置している。
 正極リード14および負極リード15のそれぞれの数は、特に限定されず、1本でもよいし、2本以上でもよい。特に、正極リード14および負極リード15のそれぞれの数が2本以上であれば、二次電池の電気抵抗が低下する。
(正極の構成の詳細)
 次に、主に図3および図7を参照して、巻回構造を有する電池素子10を構成する正極11の構成の詳細について説明する。図7の紙面上部の(A)は、巻回構造体である電池素子10を平面状に展開して表した展開図である。図7の(A)では、正極集電体11Aの内面側の様子を模式的に示している。図7の紙面下部の(B)は、展開した電池素子10の厚み方向の断面図であり、図7の(A)のVIIB-VIIB線に沿った断面を表している。図7の(B)では、正極集電体11Aの内面S1を紙面下方とし、正極集電体11Aの外面S2を紙面上方として正極11を記載している。図3および図7に示したように、本実施の形態の二次電池では、電池素子10のうち少なくとも最内周の正極活物質層11Bは、第1部分P1と第2部分P2とを含んでいる。なお、図3および図7では、正極11の巻内側の正極端部11Tから数えて第1~第3番目の第2部分P2をそれぞれ符号P2A~P2Cと表している。
 第1部分P1は、第1の面積密度D1の正極活物質を有する。第2部分P2は、第1の面積密度よりも低い第2の面積密度D2(<D1)の正極活物質を有する。第2部分P2は、少なくとも、湾曲領域10Aにおける最内周の正極活物質層11B1の全体に設けられ、かつ、平坦領域10Bのうちの湾曲領域10Aとの境界の近傍に設けられている。ここでいう面積密度とは、正極集電体11Aの表面に設けられた正極活物質層11Bに含まれる正極活物質の、単位面積当たりの重量である。第1の面積密度D1とは、正極活物質層11Bの第1部分P1における面積密度であり、第2の面積密度D2とは、正極活物質層11Bの第2部分P2における面積密度である。第2の面積密度D2は、第1の面積密度D1の70%以上95%以下であるとよい。すなわち、第1の面積密度D1に対する第2の面積密度D2の比である面積密度比D2/D1が下記の式を満たすとよい。
0.7≦(D2/D1)≦0.9
 第1部分P1における第1の面積密度D1は、例えば以下のようにして求められる値である。まず、電池を完全放電させてから解体して正極11を取り出す。次に正極11を溶剤(例えばジメチルカーボネート)で洗浄した後、充分に乾燥させる。その後、正極集電体11Aの外面S2に形成されている正極活物質層11B2を、溶剤(例えばN-メチル-2-ピロリドン)を染み込ませた布地等で剥がし取る。次に、エタノールを染み込ませた布地で、正極集電体11Aの外面S2に残留した溶剤を拭き取った後、正極11B1を室温で充分に乾燥させる。このようにして、正極集電体11Aの内面S1のみに正極活物質層11B1を有する正極11が得られる。次に、正極活物質層11B1のうち第1部分P1に相当する部分を例えば直径5mmの円形状に正極集電体11Aと共に打ち抜き、質量[mg](以下「質量A1」という。)を測定する。続いて、正極21のうち、正極活物質層11B1,11B2が設けられておらず、正極集電体11Aの内面S1および外面S2の双方が露出した部分を上記と同様にして打ち抜き、質量[mg](以下「質量B」という。)を測定する。そして、下記の式により第1の面積密度D1を算出する。なお、複数(例えば10個)の第1部分P1について第1の面積密度D1を算出し、それらの単純平均を求めるようにしてもよい。
第1の面積密度D1[mg/cm2]=(質量A1[mg]-質量B[mg])÷(打ち抜き面積[cm2])
 第2部分P2における第2の面積密度D2は、例えば以下のようにして求められる値である。充分に乾燥させた正極活物質層11B1のうち第2部分P2に相当する部分を例えば直径5mmの円形状に打ち抜き、質量[mg](以下「質量A2」という。)を測定する。続いて、正極活物質層11B1,11B2が設けられておらず、正極集電体11Aの内面S1および外面S2の双方が露出した部分を上記と同様にして打ち抜き、質量B[mg]を測定する。そして、下記の式により第2の面積密度D2を算出する。なお、複数(例えば10個)の第2部分P2について第2の面積密度D2を算出し、それらの単純平均を求めるようにしてもよい。
第2の面積密度D2[mg/cm2]=(質量A2[mg]-質量B[mg])÷(打ち抜き面積[cm2])
 電池素子10の正極11のうちの最内周の正極活物質層11Bは、電池素子10の負極12のうちの最内周の負極活物質層12Bよりも巻外側に位置する。図3に示した例では、最内周の正極活物質層11B1が、最内周の負極活物質層12B2よりも巻外側に位置し、セパレータ13を介してその負極活物質層12B2と対向している。最内周の正極活物質層11B1は、正極集電体11Aの内面側、すなわち巻回軸J側に形成されている。
 図3および図7に示したように、正極活物質層11Bにおける第2部分P2は、電池素子10の長手方向に沿って離散的に設けられている。図3および図7に示した例では、正極活物質層11B1のうち、巻内側の正極端部11Tから数えて第1~第3番目の湾曲領域10Aに設けられた正極活物質層11B1が第2部分P2(P2A~P2C)である。第2部分P2A~P2Cは、それぞれ、湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1の巻回方向、すなわち電池素子10の長手方向の前後の平坦領域10Bにも広がっている。
 第1部分P1の正極活物質の第1の面積密度D1と第2部分P2の正極活物質の第2の面積密度D2とが異なるようにするため、図7の(B)に示したように、第1部分P1は第1の厚さT1を有し、第2部分P2は、第1の厚さT1よりも薄い第2の厚さT2を有するようにしてもよい。その場合、第1部分P1の正極活物質の体積密度と第2部分P2の正極活物質の体積密度とは互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、第2の厚さP2は、第1の厚さP1の70%以上95%以下であるとよい。
 あるいは、第1部分P1の正極活物質の体積密度と第2部分P2の正極活物質の体積密度とを互いに異なるようにしてもよい。そのような構成は、例えば第1部分P1の正極活物質の材料種と、第2部分P2の正極活物質の材料種とを異ならせることで実現することができる。その場合、第1部分P1の第1の厚さT1と、第2部分P2の第2の厚さT2とを実質的に等しくさせてもよいし、異ならせるようにしてもよい。
<1-2.動作>
 二次電池の充電時には、正極11からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して負極12に吸蔵される。また、二次電池の放電時には、負極12からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して正極11に吸蔵される。この充放電時には、リチウムがイオン状態で吸蔵放出される。
<1-3.製造方法>
 二次電池を製造する場合には、以下で説明する手順により、正極11および負極12を作製すると共に電解液を調製したのち、正極11、負極12および電解液を用いて二次電池を作製する。以下では、既に説明した図1~図7のそれぞれの図示内容を随時引用する。
[正極の作製]
 最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合することにより、正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を投入することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製する。最後に、正極集電体11Aの両面に正極合剤スラリーを塗布することにより、正極活物質層11Bを形成する。この場合には、上記したように、正極活物質層11Bが正極集電体11Aの両面の一部に形成されるように、正極合剤スラリーの塗布範囲を調整する。こののち、ロールプレス機を用いて正極活物質層11Bを圧縮成型してもよい。この場合には、正極活物質層11Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。これにより、正極集電体11Aの両面に正極活物質層11Bが形成される。さらに、正極集電体11Aの内面S1(図7の(B)参照)のうちの第2部分P2を形成すべき領域に形成された正極活物質層11B1の一部を、その厚さ方向に掘り下げるように選択的に除去する。これにより、第1部分P1および第2部分P2を形成する。その結果、正極11が得られる。
[負極の作製]
 上記した正極11の作製手順と同様の手順により、負極集電体12Aの両面に負極活物質層12Bを形成する。具体的には、負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとを混合することにより、負極合剤としたのち、有機溶剤などに負極合剤を投入することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製する。続いて、負極集電体12Aの両面に負極合剤スラリーを塗布することにより、負極活物質層12Bを形成する。この場合には、上記したように、負極活物質層12Bが負極集電体12Aの両面の一部に形成されるように、負極合剤スラリーの塗布範囲を調整する。こののち、負極活物質層12Bを圧縮成型してもよい。これにより、負極集電体12Aの両面に負極活物質層12Bが形成され、負極12が得られる。
[電解液の調製]
 溶媒に電解質塩を投入する。これにより、溶媒中において電解質塩が分散または溶解されるため、電解液が調製される。
[セパレータの準備]
 最初に、多孔質層13Aを準備する。続いて、有機溶剤などに高分子化合物および複数の無機粒子を投入することにより、ペースト状のスラリーを調製する。続いて、多孔質層13Aの両面にスラリーを塗布することにより、高分子化合物層13Bを形成する。これにより、セパレータ13が作製される。
[二次電池の組み立て]
 最初に、溶接法などを用いて正極11の正極端部11Tに正極リード14を接続する。次に、溶接法などを用いて負極12の負極端部12Tに負極リード15を接続する。続いて、セパレータ13を介して正極11および負極12を互いに積層させたのち、その正極11、負極12およびセパレータ13を巻回軸Jを中心として巻回方向Dに巻回させることにより、巻回体を作製する。続いて、プレス機などを用いて巻回体を押圧することにより、巻回軸Jと交差する断面の形状が扁平形状となるように巻回体を成型する。
 続いて、窪み部20Uの内部に巻回体を収容したのち、矢印Rの方向に外装フィルム20を折り畳む。続いて、熱融着法などを用いて外装フィルム20(融着層)のうちの2辺の外周縁部同士を互いに接着させることにより、袋状の外装フィルム20の内部に巻回体を収納する。
 最後に、袋状の外装フィルム20の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などを用いて外装フィルム20(融着層)のうちの残りの1辺の外周縁部同士を互いに接着させる。この場合には、外装フィルム20と正極リード14との間に密着フィルム21を挿入すると共に、外装フィルム20と負極リード15との間に密着フィルム22を挿入する。これにより、巻回体に電解液が含浸されて電池素子10が作製されると共に、袋状の外装フィルム20の内部に電池素子10が封入される。その結果、二次電池の組み立てが終了する。
[二次電池の安定化]
 組み立て後の二次電池を充放電させる。環境温度、充放電回数(サイクル数)および充放電条件などの各種条件は、任意に設定可能である。これにより、負極12などの表面に被膜が形成されるため、二次電池の状態が電気化学的に安定化する。よって、外装フィルム20を用いた二次電池、すなわちラミネートフィルム型の二次電池が完成する。
<1-4.作用および効果>
 本実施の形態の二次電池では、扁平形状をなす電池素子10の正極11のうち少なくとも最内周の正極活物質層11B1が第1部分P1と第2部分P2と含む。第2部分P2は、少なくとも、湾曲領域10Aにおける最内周の正極活物質層11B1の全体と、平坦領域10Bのうちの湾曲領域10Aとの境界の近傍における最内周の正極活物質層11B1とに設けられている。よって、湾曲領域10Aにおいても負極12の利用率を100%以下とすることができ、金属リチウムの析出を抑制できる。また、電池素子10の全体の負極利用率の低下を抑え、電池容量を大きくすることができる。さらに、湾曲領域10Aにおける正極活物質層11B1の割れも効果的に防ぐことができる。
 図8は、比較例の電池素子110の一部を拡大した断面構成を表している。図8の比較例の電池素子110では、正極活物質層111Bにおける正極活物質の面積密度が実質的に一様である。その点を除き、電池素子110の構成は、図1~図3などに示した電池素子10の構成と実質的に同じである。すなわち、電池素子110では、正極集電体11Aの内面に形成される正極活物質層11B1の厚さが実質的に一定であると共に、正極活物質層11B1に含まれる正極活物質の体積密度も実質的に一定である。
 図9Aは、図8に示した比較例の電池素子110のうちの平坦領域10Bの一部を模式的に表した断面図である。また、図9Bは、図8に示した比較例の電池素子110のうちの湾曲領域10Aの一部を模式的に表した断面図である。図9Aに示したように、電池素子110のうちの平坦領域10Bでは、正極活物質層11B1と負極活物質層12B2とは、いずれもXY平面に沿って実質的に平行に延在しており、厚さ方向に重なり合うようにセパレータ13を介して対向している。図9Bに示したように、電池素子110のうち、湾曲領域10Aに設けられた正極活物質層11B1と、湾曲領域10Aに設けられた負極活物質層12B2とについても、厚さ方向に重なり合うようにセパレータ13を介して対向している。但し、正極活物質層11B1および負極活物質層12B2はいずれも湾曲しており、巻回軸Jから見て正極活物質層11B1は負極活物質層12B2の外側に位置する。そのため、湾曲領域10Aにおいて単位面積に設けられた負極活物質層12B2に対向する正極活物質層11B1の体積は、平坦領域10Bにおいて単位面積に設けられた負極活物質層12B2に対向する正極活物質層11B1の体積よりも大きくなる。したがって、電池素子110において、平坦領域10Bでの負極利用率が100%となるように、すなわち、平坦領域10Bでの単位面積当たりの正極放電容量と単位面積当たりの負極放電容量とが実質的に等しくなるように正極活物質層11B1と負極活物質層12B2とを調整した場合、湾曲領域10Aでは、単位面積当たりの正極放電容量が単位面積当たりの負極放電容量よりも大きくなってしまう。その場合、負極利用率が100%を超えることとなるので、充放電サイクルの繰り返しによって金属リチウムの析出が生じ、負極12が劣化しやすくなる可能性が懸念される。このような懸念は、最内周の正極活物質層11B1と、その巻内側において正極活物質層11B1と対向する負極活物質層12B2との間で生じやすい。
 そこで、本実施の形態では、上述したように、少なくとも、湾曲領域10Aおよびそれに連続する平坦領域10Bの一部を占める最内周の正極活物質層11B1に第2部分P2を設けるようにしている。すなわち、湾曲領域10Aおよびその近傍の平坦領域10Bを占める最内周の正極活物質層11B1の正極活物質の面積密度を、その周囲の正極活物質の面積密度よりも低くするようにしている。そうすることにより、平坦領域10Bでの負極利用率が100%となるように調整した場合であっても、湾曲領域10Aでの負極利用率が100%を超えるのを回避することができる。その結果、負極12の劣化を抑えつつ、電池容量を向上させることができる。
 特に、第2部分P2における第2の面積密度D2を、第1部分P1における第1の面積密度D1の75%以上95%以下とすれば、金属リチウムの析出を抑制しつつ、より高い電池容量を確保することができる。
<2.変形例>
 次に、二次電池の変形例に関して説明する。上記した二次電池の構成は、以下で説明するように、適宜、変更可能である。ただし、以下で説明する一連の変形例に関しては、任意の2種類以上が互いに組み合わされてもよい。
[変形例1]
 図3および図7では、巻内側の正極端部11Tから数えて第1~第3番目の湾曲領域10Aの全体およびその湾曲領域10Aの前後の平坦領域10Bの一部を占めるように第2部分P2を設けるようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、巻内側の正極端部11Tから数えて第4番目以降の湾曲領域10Aの全体およびその湾曲領域10Aの前後の平坦領域10Bの一部を占めるように第2部分P2を設けるようにしてもよい。あるいは、湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1の全てを第2部分P2としてもよい。
[変形例2]
 上記実施の形態では、正極11を作製するにあたり、均質な厚さに形成された正極活物質層11B1の一部を選択的に除去することで面積密度を調整するようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、正極集電体11Aの内面S1に正極合剤スラリーを塗布する際、時間当たりの吐出量を変化させることのできる可変ヘッドを用いることにより、正極集電体11Aの内面S1の場所に応じて正極合剤スラリーの厚さを選択的に異ならせるようにしてもよい。
<3.二次電池の用途>
 次に、上記した二次電池の用途(適用例)に関して説明する。
 二次電池の用途は、主に、駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして二次電池を利用可能である機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として用いられる二次電池は、主電源でもよいし、補助電源でもよい。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、主電源の代わりに用いられる電源でもよいし、必要に応じて主電源から切り替えられる電源でもよい。二次電池を補助電源として用いる場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
 二次電池の用途の具体例は、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む。)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。なお、二次電池の電池構造は、上記したラミネートフィルム型および円筒型でもよいし、それら以外の他の電池構造でもよい。また、電池パックおよび電池モジュールなどとして、複数の二次電池が用いられてもよい。
 中でも、電池パックおよび電池モジュールは、電動車両、電力貯蔵システムおよび電動工具などの比較的大型の機器などに適用されることが有効である。電池パックは、後述するように、単電池を用いてもよいし、組電池を用いてもよい。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して家庭用の電気製品などを使用可能である。
 ここで、代表的な二次電池の適用例に関して具体的に説明する。以下で説明する適用例の構成は、あくまで一例であるため、適宜、変更可能である。
 図10は、電池パックのブロック構成を表している。ここで説明する電池パックは、1個の二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆるソフトパック)であり、スマートフォンに代表される電子機器などに搭載される。
 この電池パックは、図10に示したように、電源41と、回路基板42とを備えている。この回路基板42は、電源41に接続されていると共に、正極端子43、負極端子44および温度検出端子45を含んでいる。この温度検出端子45は、いわゆるT端子である。
 電源41は、1個の二次電池を含んでいる。この二次電池では、正極リードが正極端子43に接続されていると共に、負極リードが負極端子44に接続されている。この電源41は、正極端子43および負極端子44を介して外部と接続可能であるため、その正極端子43および負極端子44を介して充放電可能である。回路基板42は、制御部46と、スイッチ47と、熱感抵抗素子(PTC(Positive Temperature Coefficient)素子)48と、温度検出部49とを含んでいる。ただし、PTC素子48は省略されてもよい。
 制御部46は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit )およびメモリなどを含んでおり、電池パック全体の動作を制御する。この制御部46は、必要に応じて電源41の使用状態の検出および制御を行う。
 なお、制御部46は、電源41(二次電池)の電池電圧が過充電検出電圧または過放電検出電圧に到達すると、スイッチ47を切断することにより、電源41の電流経路に充電電流が流れないようにする。また、制御部46は、充電時または放電時において大電流が流れると、スイッチ47を切断することにより、充電電流を遮断する。過充電検出電圧および過放電検出電圧は、特に限定されない。一例を挙げると、過充電検出電圧は、4.2V±0.05Vであると共に、過放電検出電圧は、2.4V±0.1Vである。
 スイッチ47は、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオードなどを含んでおり、制御部46の指示に応じて電源41と外部機器との接続の有無を切り換える。このスイッチ47は、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor )などを含んでおり、充放電電流は、スイッチ47のON抵抗に基づいて検出される。
 温度検出部49は、サーミスタなどの温度検出素子を含んでおり、温度検出端子45を用いて電源41の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部46に出力する。温度検出部49により測定される温度の測定結果は、異常発熱時において制御部46が充放電制御を行う場合および残容量の算出時において制御部46が補正処理を行う場合などに用いられる。
 本技術の実施例に関して説明する。
(実施例1)
 以下で説明するように、図1などに示したラミネートフィルム型の二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製したのち、その二次電池のサイクル特性を評価した。
[二次電池の作製]
 以下の手順により、二次電池を作製した。
(正極の作製)
 最初に、正極活物質(コバルト酸リチウム(LiCoO))96質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)1質量部と、正極導電剤(黒鉛)3質量部とを混合することにより、正極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に正極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて正極集電体11A(アルミニウム箔,厚さ=10μm)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層11Bを形成した。ここで、正極集電体11Aの内面S1となる面に正極合剤スラリーを塗布する際、可変ヘッドにより吐出量を変化させることで、湾曲領域10Aを占めることとなる部分の一部での正極合剤スラリーの目付量を減らし、正極活物質の面積密度を選択的に低くするようにした。実験例1-1では、正極活物質層11B1,11B2のうち第1部分P1の正極活物質の第1の面積密度D1を30.84mg/cm2(100%)とした。ただし、正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める3か所の第2部分P2の正極活物質の第2の面積密度D2を27.78mg/cm2(90%)とした。正極活物質層11B1の長手方向の長さは939mmとした。第2部分P2の長手方向の長さは5mmとした。そののち、ロールプレス機を用いて正極活物質層11Bを圧縮成型したのち、150℃で熱処理を行うことで正極活物質の結着性を向上させた。最後に、75.6mmの幅に切断したのち、正極端部11Tに正極リード14を溶接した。これにより、正極11が作製された。なお、正極活物質層11Bが形成されていない正極集電体11Aの表面を保護するように絶縁性のテープを貼り付けた。
 第1部分P1における第1の面積密度D1は、以下のようにして求めた。まず、電池を完全放電させてから解体して正極11を取り出した。次に正極11を溶剤(例えばジメチルカーボネート)で洗浄した後、充分に乾燥させた。その後、正極集電体11Aの外面S2に形成されている正極活物質層11B2を、溶剤(例えばN-メチル-2-ピロリドン)を染み込ませた布地等で剥がし取った。次にエタノールを染み込ませた布地で、正極集電体11Aの外面S2に残留した溶剤を拭き取った後、正極11B1を室温で充分に乾燥させた。このようにして、正極集電体11Aの内面S1のみに正極活物質層11B1を有する正極11を得た。次に、正極活物質層11B1のうちの第1部分P1に相当する部分を直径5mmの円形状に正極集電体11Aと共に打ち抜き、質量A1[mg]を測定した。続いて、正極21のうち、正極活物質層11B1,11B2が設けられておらず、正極集電体11Aの内面S1および外面S2の双方が露出した部分を上記と同様にして打ち抜き、質量Bを測定した。そして、下記の式により第1の面積密度D1を算出した。なお、本実施例では10箇所の第1部分P1について第1の面積密度D1を算出し、それらの単純平均を求めた。
第1の面積密度D1[mg/cm2]=(質量A1[mg]-質量B[mg])÷(打ち抜き面積[cm2])
 第2部分P2における第2の面積密度D2は、以下のようにして求めた。まず、正極活物質層11B1を充分に乾燥させたのち、正極活物質層11B1のうちの第2部分P2に相当する部分を直径5mmの円形状に打ち抜き、質量A2[mg]を測定した。続いて、正極21のうち、正極活物質層11B1,11B2が設けられておらず、正極集電体11Aの内面S1および外面S2の双方が露出した部分を上記と同様にして打ち抜き、質量Bを測定した。そして、下記の式により第2の面積密度D2を算出した。なお、本実施例では10箇所の第2部分P2について第2の面積密度D2を算出し、それらの単純平均を求めた。
第2の面積密度D2[mg/cm2]=(質量A2[mg]-質量B[mg])÷(打ち抜き面積[cm2])
(負極の作製)
 最初に、負極活物質(炭素材料である人造黒鉛)93質量部と、負極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)7質量部とを混合することにより、負極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体12A(銅箔,厚さ=15μm)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層12Bを形成した。この場合には、巻回方向Dにおける負極集電体12Aの両端部に負極活物質層12Bが形成されないように負極合剤スラリーの塗布範囲を調整することにより、負極端部12Tにおいて負極集電体12Aを露出させた。そののち、ロールプレス機を用いて負極活物質層12Bを圧縮成型したのち、200℃で熱処理を行うことで負極活物質の結着性を向上させた。最後に、77.4mmの幅に切断したのち、負極端部12Tに負極リード15を溶接した。これにより、負極12が作製された。なお、負極活物質層12Bが形成されていない負極集電体12Aの表面を保護するように絶縁性のテープを貼り付けた。
(電解液の調製)
 溶媒(炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチルおよびプロピオン酸プロピル)に電解質塩(六フッ化リン酸リチウム(LiPF))を添加したのち、その溶媒を撹拌した。この場合には、溶媒の混合比(重量比)を炭酸エチレン:炭酸プロピレン:炭酸ジエチル:プロピオン酸プロピル=30:10:40:20としたと共に、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。これにより、溶媒中において電解質塩が溶解されたため、電解液が調製された。
(二次電池の組み立て)
 セパレータ13を介して正極11および負極12を互いに積層させたのち、正極11、負極12およびセパレータ13を巻回軸Jを中心として巻回方向Dに巻回させることにより、巻回体を作製した。続いて、プレス機を用いて巻回体を1N/cm2の圧力で押圧することにより、巻回軸Jと交差する断面の形状が扁平形状となるように巻回体を成型した。このとき、長軸K1に沿ったX軸方向における平坦領域10Bの長さが55.1mmとなるようにした。また、正極端部11Tから数えて第1番目から第4番目の湾曲領域10Aの正極活物質層11B1の長さは、それぞれ1.6mm、2.1mm、2.3mm、2.7mmとなるようにした。
 続いて、窪み部20Uに収容された巻回体を挟むように外装フィルム20を折り畳んだのち、その外装フィルム20のうちの2辺の外周縁部同士を互いに熱融着することにより、袋状の外装フィルム20の内部に巻回体を収納した。外装フィルム20としては、融着層(ポリプロピレンフィルム,厚さ=30μm)と、金属層(アルミニウム箔,厚さ=40μm)と、表面保護層(ナイロンフィルム,厚さ=25μm)とが内側からこの順に積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。
 続いて、袋状の外装フィルム20の内部に電解液を注入したのち、減圧環境中において外装フィルム20のうちの残りの1辺の外周縁部同士を熱融着した。この場合には、外装フィルム20と正極リード14との間に密着フィルム21(ポリプロピレンフィルム,厚さ=5μm)を挿入したと共に、外装フィルム20と負極リード15との間に密着フィルム22(ポリプロピレンフィルム,厚さ=5μm)を挿入した。これにより、巻回体に電解液が含浸されたため、電池素子10が作製された。よって、外装フィルム20の内部に電池素子が封入され、二次電池が組み立てられた。
(二次電池の安定化)
 電解液を注入後、48時間以上経過した二次電池を60℃まで加温した状態で、20kgf/cm2で加圧しながら満充電となるまで充電した。
 これにより、負極12などの表面に被膜が形成されたため、二次電池の状態が安定化した。よって、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。
[サイクル特性の評価]
 充放電サイクル試験により、二次電池のサイクル特性を評価したところ、表1に示した結果が得られた。
 充放電サイクル試験では、最初に、常温環境(温度=25℃)において二次電池を充放電させることにより、放電容量(1サイクル目の放電容量)を測定した。続いて、同環境中において総サイクル数が1000サイクルに到達するまで二次電池を繰り返して充放電させることにより、放電容量(1000サイクル目の放電容量)を測定した。最後に、容量維持率(%)=(1000サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100を算出した。
 充放電サイクル試験では、充電時には、2Cの電流で電池電圧が4.25Vに到達するまで定電流充電したのち、その4.45Vの電圧で電流が0.025Cに到達するまで定電圧充電した。放電時には、0.7Cの電流で電池電圧が3.0Vに到達するまで定電流放電した。2Cとは、電池容量(理論容量)を0.5時間で放電しきる電流値であると共に、0.7Cとは、電池容量を1.43時間で放電しきる電流値である。
 さらに、4.45Vの電池電圧で充電したときの、正極端部11Tから数えて第1番目から第4番目の湾曲領域10Aの正極活物質層11B1と対向する負極12の負極利用率を測定した。表1にその結果を併せて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
[リチウム化合物の析出の評価]
 また、充放電サイクル試験後の二次電池について、サイクル膨れの主要因である負極表面上に析出するリチウム化合物の評価も行った。その結果も併せて表1に示す。リチウム化合物の析出の評価は、乾燥した空気中において、すなわちドライ環境下において以下の手順で行う。まず、充放電サイクル試験後の二次電池を解体し、負極を取り出す。次に、取り出した負極から、ジメチルカーボネートを用いて電解液を除去する。そののち、洗浄し、常温かつ真空環境において乾燥させる。最後に、負極表面を目視で観察し、リチウム化合物の有無を確認する。
(実施例2)
 第2部分P2の長手方向の長さを3mmとした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例2の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例3)
 第2部分P2の長手方向の長さを1.6mmとした。すなわち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aの正極活物質層11B1の全部または一部のみが第2部分P2を含み、平坦領域10Bの正極活物質層11B1には第2部分P2が含まれないようにした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例3の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。なお、負極利用率については、湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1のうち第2部分P2と対向する負極の利用率が93.3~97.8%となり、湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1のうち第1部分P1と対向する負極の利用率が97.8~107.7%となった。
(実施例4)
 第2部分P2の長手方向の長さを1.0mmとした。すなわち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aの正極活物質層11B1の一部のみが第2部分P2を含み、平坦領域10Bの正極活物質層11B1には第2部分P2が含まれないようにした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例4の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。なお、負極利用率については、湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1のうち第2部分P2と対向する負極の利用率が93.3~97.8%となり、湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1のうち第1部分P1と対向する負極の利用率が97.8~107.7%となった。
(実施例5)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める3か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を30.18mg/cm2(98%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例5の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例6)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める3か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を29.31mg/cm2(95%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例6の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例7)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める3か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を24.72mg/cm2(80%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例7の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例8)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める3か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を21.54mg/cm2(70%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例8の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例9)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める3か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を18.48mg/cm2(60%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例9の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例10)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目から第3番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める3か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を9.30mg/cm2(30%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例10の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例11)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目の湾曲領域10Aおよびその近傍の平坦領域10Bの一部を占める1か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を27.78mg/cm2(90%)とした。正極端部11Tから数えて第2番目以降の湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1の正極活物質の面積密度は30.84mg/cm2(100%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例11の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例12)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目および第2番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める2か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を27.78mg/cm2(90%)とした。正極端部11Tから数えて第3番目以降の湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1の正極活物質の面積密度は30.84mg/cm2(100%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例12の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(実施例13)
 正極活物質層11B1のうち、正極端部11Tから数えて第1番目から第4番目の湾曲領域10Aおよびそれらの近傍の平坦領域10Bの一部を占める4か所の第2部分P2の正極活物質の面積密度を27.78mg/cm2(90%)とした。正極端部11Tから数えて第5番目以降の湾曲領域10Aを占める正極活物質層11B1の正極活物質の面積密度は30.84mg/cm2(100%)とした。この点を除き、他は実施例1と同様にして実施例13の二次電池を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
(比較例1)
 正極活物質層11B1の正極活物質の面積密度を全体に亘って15.42mg/cm2(100%)とした。この点を除き、他は実施例1-1と同様にして比較例1の二次電池を作製し、実施例1-1と同様の評価をおこなった。その結果を表1に併せて示す。
[考察]
 表1に示したように、実施例1~13では、比較例1と比較すると、1000サイクル後の容量維持率を向上させ、膨れを抑えることができた。さらに、実施例1~13では、比較例1と比較すると、リチウム化合物の析出を抑制することができた。第1部分P1の面積密度よりも低い面積密度を有する第2部分P2を湾曲領域10Aの正極活物質層11B1が有することにより、湾曲領域10Aにおける負極利用率を低く抑えることができたためと考えられる。
 また、実施例1,2では、実施例3,4と比較すると1000サイクル後の容量維持率を向上させ、膨れを抑えることができた。さらに、実施例1,2では、実施例3,4と比較すると、リチウム化合物の析出を抑制することができた。実施例3,4では、第2部分P2が湾曲領域10Aのみに設けられているのに対し、実施例1,2では、湾曲領域10Aのみならず平坦領域10Bの一部にも第2部分P2が広がっている。このため、実施例1,2では、湾曲領域10Aと平坦領域10Bとの境界近傍での負極利用率を100%以下に抑えることができ、容量維持率および膨れを改善することができたと考えられる。
 また、実施例11,12と実施例1との比較により、正極端部11Tから数えて少なくとも第1番目から第3番目の湾曲領域10Aを占めるように第2部分P2を設けることで、より効果的に1000サイクル後の容量維持率を向上させ、かつ膨れを抑えることができることが確認できた。また、実施例11,12では、正極端部11Tの近傍の正極11と対向する負極12の一部に、僅かにリチウム化合物の析出が確認された。したがって、正極端部11Tから数えて少なくとも第1番目から第3番目の湾曲領域10Aを占めるように第2部分P2を設けることで、より効果的にリチウム化合物の析出を抑制できることが確認できた。
 以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術に関して説明したが、その本技術の構成は、一実施形態および実施例において説明された構成に限定されず、種々に変形可能である。
 具体的には、二次電池の電池構造がラミネートフィルム型である場合に関して説明したが、その電池構造は、特に限定されず、角型などの他の電池構造でもよい。これに伴い、外装部材の種類は、特に限定されず、可撓性を有するフィルムを用いてもよいし、剛性を有する金属缶を用いてもよい。
 さらに、電極反応物質がリチウムである場合に関して説明したが、その電極反応物質は、特に限定されない。具体的には、電極反応物質は、上記したように、ナトリウムおよびカリウムなどの他のアルカリ金属でもよいし、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属でもよい。この他、電極反応物質は、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。
 本明細書中に記載された効果は、あくまで例示であり、本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本技術に関して、他の効果が得られてもよい。

Claims (8)

  1.  正極と負極とがセパレータを介して積層されて巻回軸を中心として巻回され、前記巻回軸と交差する断面形状が長軸および短軸により規定される扁平形状をなす電池素子を備え、
     前記電池素子は、前記長軸の方向に延在する平坦領域と、前記平坦領域と接続されて湾曲する湾曲領域と、を有し、
     前記正極は、正極集電体と前記正極集電体に形成された正極活物質層とを有し、
     前記負極は、負極集電体と前記負極集電体に形成されて前記正極活物質層と対向する負極活物質層とを有し、
     前記電池素子の前記正極のうち少なくとも最内周の前記正極活物質層は、第1の面積密度の正極活物質を有する第1部分と前記第1の面積密度よりも低い第2の面積密度の正極活物質を有する第2部分とを含み、
     前記第2部分は、少なくとも、前記湾曲領域における前記最内周の前記正極活物質層の全体に設けられ、かつ、前記平坦領域のうちの前記湾曲領域との境界の近傍における前記最内周の前記正極活物質層に設けられている
     二次電池。
  2.  前記第2の面積密度は、前記第1の面積密度の70%以上95%以下である
     請求項1記載の二次電池。
  3.  前記正極活物質層のうち、前記電池素子の巻内側の端部から数えて第1から第3番目の前記湾曲領域の前記正極活物質層が、前記第2部分である
     請求項1または請求項2に記載の二次電池。
  4.  前記最内周の前記正極活物質層は、前記電池素子の前記負極のうちの最内周の前記負極活物質層よりも巻外側に位置する
     請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
  5.  前記最内周の前記正極活物質層は、前記正極集電体の巻内側の面に形成されている
     請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
  6.  前記第1部分は第1の厚さを有し、
     前記第2部分は、前記第1の厚さよりも薄い第2の厚さを有する
     請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の二次電池。
  7.  前記第2の厚さは、前記第1の厚さの70%以上95%以下である
     請求項6に記載の二次電池。
  8.  4.4Vの電池電圧で充電したときの前記負極の利用率が90%以上100%以下である
     請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の二次電池。
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