JP7272457B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

本技術は、正極および負極と共に電解液を備えた二次電池に関する。
携帯電話機などの多様な電子機器が普及しているため、小型かつ軽量であると共に高エネルギー密度が得られる電源として、二次電池の開発が進められている。この二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えている。二次電池の構成は、電池特性に影響を及ぼすため、その二次電池の構成に関しては、様々な検討がなされている。
具体的には、サイクル特性を改善するために、カルボニルα位に3級炭素を有するエステルが電解液に含有されている(例えば、特許文献1参照。)。また、負荷特性を改善するために、イソ酪酸メチルなどの鎖状カルボン酸エステルが電解液に含有されていると共に、満充電状態の正極電位(リチウム金属基準)が4.50V未満となるように設定されている(例えば、特許文献2参照。)。
国際公開第2012/141001号パンフレット 特開2008-140760号公報
二次電池の電池特性を改善するために様々な検討がなされているが、その電池特性は未だ十分でないため、未だ改善の余地がある。
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた電池特性を得ることが可能な二次電池を提供することにある。
本技術の一実施形態の二次電池は、充電時の電位がリチウム金属基準において4.50V以上である正極と、負極と、式(1)で表される分岐状カルボン酸エステル化合物を含む電解液とを備えたものである。
Figure 0007272457000001
(R1、R2およびR3のそれぞれは、水素基、ハロゲン基、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであると共に、R4は、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。ただし、R1、R2およびR3のうちの少なくとも2つは、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであると共に、R1の炭素数とR2の炭素数とR3の炭素数との和は、2または3である。)
ここで、「ハロゲン化アルキル基」とは、アルキル基のうちの1つ以上の水素基がハロゲン基により置換された基である。ハロゲン基の種類は、特に限定されないため、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
本技術の一実施形態の二次電池によれば、正極の充電時の電位がリチウム金属基準において4.50V以上であると共に、電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいるので、優れた電池特性を得ることができる。
なお、本技術の効果は、必ずしもここで説明された効果に限定されるわけではなく、後述する本技術に関連する一連の効果のうちのいずれの効果でもよい。
本技術の一実施形態の二次電池(ラミネートフィルム型)の構成を表す斜視図である。 図1に示した巻回電極体の構成を表す断面図である。 変形例1の二次電池の構成を表す斜視図である。 図3に示した積層電極体の構成を表す断面図である。 二次電池の適用例(電池パック:単電池)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電池パック:組電池)の構成を表すブロック図である。 二次電池の適用例(電動車両)の構成を表すブロック図である。
以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.二次電池
1-1.構成
1-2.動作
1-3.製造方法
1-4.作用および効果
2.変形例
3.二次電池の用途
3-1.電池パック(単電池)
3-2.電池パック(組電池)
3-3.電動車両
3-4.その他
<1.二次電池>
まず、本技術の一実施形態の二次電池に関して説明する。ここで説明する二次電池は、電極反応物質の吸蔵および放出を利用して電池容量が得られる二次電池であり、正極および負極と共に電解液を備えている。
この二次電池では、充電途中において負極の表面に電極反応物質が析出することを防止するために、その負極の充電容量は、正極の放電容量よりも大きくなっている。すなわち、負極の単位面積当たりの電気化学容量は、正極の単位面積当たりの電気化学容量よりも大きくなるように設定されている。
電極反応物質の種類は、特に限定されないが、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などの軽金属である。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどであると共に、アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどである。以下では、電極反応物質がリチウムである場合を例に挙げる。リチウムの吸蔵および放出を利用して電池容量が得られる二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池であり、そのリチウムイオン二次電池では、リチウムがイオン状態で吸蔵および放出される。
<1-1.構成>
図1は、二次電池の斜視構成を表していると共に、図2は、図1に示した巻回電極体10の断面構成を表している。ただし、図1では、巻回電極体10とフィルム20とが互いに分離された状態を示していると共に、図2では、巻回電極体10の一部だけを示している。
ここで説明する二次電池は、ラミネートフィルム型の二次電池である。この二次電池では、図1に示したように、袋状のフィルム20の内部に巻回型の電池素子(巻回電極体10)が収納されていると共に、その巻回電極体10に正極リード14および負極リード15が接続されている。
[フィルム]
フィルム20は、巻回電極体10を収納するための外装部材であり、柔軟性(または可撓性)を有している。このフィルム20は、図1に示した矢印R(一点鎖線)の方向に折り畳み可能な1枚のフィルムである。このフィルム20には、巻回電極体10を収容するための窪み部20U(いわゆる深絞り部)が設けられている。
具体的には、フィルム20は、融着層、金属層および表面保護層が内側からこの順に積層された3層のラミネートフィルムであり、そのフィルム20が折り畳まれた状態では、融着層のうちの外周縁部同士が互いに融着されている。融着層は、ポリプロピレンなどの高分子化合物を含んでいる。金属層は、アルミニウムなどの金属材料を含んでいる。表面保護層は、ナイロンなどの高分子化合物を含んでいる。ただし、ラミネートフィルムであるフィルム20の層数は、3層に限定されないため、1層でもよいし、2層または4層以上でもよい。
フィルム20と正極リード14との間には、密着フィルム21が挿入されていると共に、フィルム20と負極リード15との間には、密着フィルム22が挿入されている。密着フィルム21,22は、外気の侵入を防止する部材であり、正極リード14および負極リード15のそれぞれに対して密着性を有するポリオレフィン樹脂などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。このポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどである。ただし、密着フィルム21,22のうちの一方または双方は、省略されてもよい。
[巻回電極体]
巻回電極体10は、図1および図2に示したように、正極11と、負極12と、セパレータ13と、液状の電解質である電解液とを備えている。この巻回電極体10は、セパレータ13を介して正極11および負極12が互いに積層されたのち、その正極11、負極12およびセパレータ13が巻回された構造体である。電解液は、正極11、負極12およびセパレータ13のそれぞれに含浸されている。なお、正極11、負極12および電解液は、上記したように、柔軟性を有する外装部材(フィルム20)の内部に収納されている。
[正極]
正極11は、図2に示したように、正極集電体11Aと、その正極集電体11Aの両面に設けられた2つの正極活物質層11Bとを含んでいる。ただし、正極活物質層11Bは、正極集電体11Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体11Aは、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。正極活物質層11Bは、リチウムを吸蔵および放出する正極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、正極活物質層11Bは、さらに、正極結着剤および正極導電剤などを含んでいてもよい。
正極活物質の種類は、特に限定されないが、リチウム含有遷移金属化合物などのリチウム含有化合物である。このリチウム含有遷移金属化合物は、リチウムと共に1種類または2種類以上の遷移金属元素を含んでおり、さらに、1種類または2種類以上の他元素を含んでいてもよい。他元素の種類は、任意の元素(ただし、遷移金属元素を除く。)であれば、特に限定されない。中でも、他元素は、長周期型周期表における2族~15族に属する元素であることが好ましい。なお、リチウム含有遷移金属化合物は、酸化物でもよいし、リン酸化合物、ケイ酸化合物およびホウ酸化合物などでもよい。
酸化物の具体例は、LiNiO2 、LiCoO2 、LiCo0.98Al0.01Mg0.012 、LiNi0.5 Co0.2 Mn0.3 2 、LiNi0.8 Co0.15Al0.052 、LiNi0.33Co0.33Mn0.332 、Li1.2 Mn0.52Co0.175 Ni0.1 2 、Li1.15(Mn0.65Ni0.22Co0.13)O2 およびLiMn2 4 などである。リン酸化合物の具体例は、LiFePO4 、LiMnPO4 、LiFe0.5 Mn0.5 PO4 およびLiFe0.3 Mn0.7 PO4 などである。
正極結着剤は、合成ゴムおよび高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドおよびカルボキシメチルセルロースなどである。
正極導電剤は、炭素材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この炭素材料は、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、正極導電剤は、導電性を有していれば、金属材料および導電性高分子などでもよい。
この二次電池は、充電時において、電池電圧が十分に高くなるまで充電可能である。具体的には、二次電池は、充電時における正極11の電位がリチウム金属基準において4.50V以上になるまで充電可能である。
[負極]
負極12は、図2に示したように、負極集電体12Aと、その負極集電体12Aの両面に設けられた2つの負極活物質層12Bとを含んでいる。ただし、負極活物質層12Bは、負極集電体12Aの片面だけに設けられていてもよい。
負極集電体12Aは、銅、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。負極活物質層12Bは、リチウムを吸蔵および放出する負極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、負極活物質層12Bは、さらに、負極結着剤および負極導電剤などを含んでいてもよい。
負極活物質の種類は、特に限定されないが、炭素材料および金属系材料などである。炭素材料は、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。金属系材料は、リチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素であり、より具体的には、ケイ素およびスズなどである。ただし、金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよい。
金属系材料の具体例は、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2または0.2<v<1.4)、LiSiO、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOおよびMg2 Snなどである。
負極結着剤に関する詳細は、上記した正極結着剤に関する詳細と同様であると共に、負極導電剤に関する詳細は、上記した正極導電剤に関する詳細と同様である。
負極活物質層12Bの形成方法は、特に限定されないが、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
[セパレータ]
セパレータ13は、図2に示したように、正極11と負極12との間に介在している。このセパレータ13は、正極11と負極12との接触に起因する短絡を防止しながらリチウムを通過させる絶縁性の多孔質膜であり、1種類の多孔質膜からなる単層膜でもよいし、1種類または2種類以上の多孔質膜が互いに積層された多層膜でもよい。多孔質膜は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどの高分子化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
[電解液]
電解液は、溶媒および電解質塩を含んでいる。ただし、溶媒の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよいと共に、電解質塩の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
(溶媒(分岐状カルボン酸エステル化合物))
溶媒は、非水溶媒(有機溶剤)のうちのいずれか1種類または2種類以上である。非水溶媒を含む電解液は、いわゆる非水電解液である。
具体的には、溶媒は、式(1)で表される分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいる。ただし、分岐状カルボン酸エステル化合物の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
Figure 0007272457000002
(R1、R2およびR3のそれぞれは、水素基、ハロゲン基、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであると共に、R4は、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。ただし、R1、R2およびR3のうちの少なくとも2つは、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであると共に、R1の炭素数とR2の炭素数とR3の炭素数との和は、2または3である。)
この分岐状カルボン酸エステル化合物は、式(1)から明らかなように、カルボン酸エステル部(-C(=O)-O-R4)以外の炭素鎖部(R1-C(-R2)(-R3)-)が分岐構造を有する鎖状の化合物である。
電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいるのは、上記したように、充電時において正極11の電位がリチウム金属基準において4.50V以上になるまで、すなわち電池電圧が高充電電圧になるまで二次電池が充電されても、電解液の分解反応が抑制されるからである。これにより、高充電電圧の条件において充放電が繰り返されても放電容量が低下しにくくなる。
なお、電解液が分岐状カルボン酸化合物を含んでいる場合には、袋状のフィルム20の内部において電解液の分解反応に起因するガスの発生が抑制されるため、柔軟性を有するフィルム20を用いても二次電池が膨れにくくなる。すなわち、巻回電極体10(正極11、負極12および電解液)が柔軟性を有する(変形しやすい)フィルム20の内部に収納されていても、二次電池が十分に膨れにくくなる。
R1、R2およびR3のそれぞれは、上記したように、水素基、ハロゲン基、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。ただし、R1、R2およびR3のうちの2つ以上は、互いに結合されることにより、環を形成していてもよい。
ハロゲン基は、フッ素基、塩素基、臭素基およびヨウ素基などのうちのいずれかである。アルキル基は、メチル基およびエチル基などのうちのいずれかである。ハロゲン化アルキル基は、上記したように、アルキル基のうちの1つ以上の水素基がハロゲン基により置換された基である。ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン基の種類は、上記したように、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。具体的には、ハロゲン化アルキル基は、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、モノフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基およびペンタフルオロエチル基などである。
ただし、R1、R2およびR3のうちの2つ以上は、上記したように、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。このため、R1、R2およびR3のうちの任意の2つは、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであると共に、残りの1つは、水素基、ハロゲン基、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。または、R1、R2およびR3のうちの全ては、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。
また、R1の炭素数とR2の炭素数とR3の炭素数との和は、2または3である。R1、R2およびR3のそれぞれがアルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである場合には、上記した炭素数は、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のそれぞれに含まれる炭素原子の数である。また、R1、R2およびR3のそれぞれが水素基およびハロゲン基のうちのいずれかである場合には、上記した炭素数は、0である。
これにより、R1、R2およびR3のそれぞれの種類は、実質的に限定される。具体的には、R1、R2およびR3のそれぞれの種類は、以下で説明する2通り(第1の場合および第2の場合)になる。
第1の場合では、R1およびR2のそれぞれがメチル基(炭素数=1)およびハロゲン化メチル基(炭素数=1)のうちのいずれかであると共に、R3は、水素基、ハロゲン基、メチル基およびハロゲン化メチル基のうちのいずれかである。
第2の場合では、R1がメチル基(炭素数=1)およびハロゲン化メチル基(炭素数=1)のうちのいずれかであり、R2がエチル基(炭素数=2)およびハロゲン化エチル基(炭素数=2)のうちのいずれかであると共に、R3は、水素基およびハロゲン基のうちのいずれかである。この場合には、もちろん、R2がメチル基(炭素数=1)およびハロゲン化メチル基(炭素数=1)のうちのいずれかであると共に、R1がエチル基(炭素数=2)およびハロゲン化エチル基(炭素数=2)のうちのいずれかでもよい。
R1の炭素数とR2の炭素数とR3の炭素数との和が2または3であるのは、その和が大きすぎないため、分岐状カルボン酸エステル化合物の溶解性および相溶性が担保されるからである。
中でも、R1およびR2のそれぞれは、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであると共に、R3は、水素基およびハロゲン基のうちのいずれかであることが好ましい。すなわち、R1~R3のそれぞれの種類は、上記した第2の場合であることが好ましい。分岐状カルボン酸エステル化合物の溶解性および相溶性が担保されながら、電解液の分解反応が十分に抑制されるからである。
この場合には、さらに、R1およびR2のそれぞれがアルキル基であると共に、R3が水素基であることが好ましい。分岐状カルボン酸エステル化合物の溶解性および相溶性が担保されながら、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
R4は、上記したように、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。アルキル基およびハロゲン化アルキル基のそれぞれに関する詳細は、上記した通りである。
R4の炭素数は、特に限定されないが、中でも、1~5であることが好ましい。分岐状カルボン酸エステル化合物の溶解性および相溶性が担保されるからである。
具体的には、分岐状カルボン酸エステル化合物は、式(1-1)~式(1-11)のそれぞれで表される化合物などである。ただし、分岐状カルボン酸エステル化合物は、式(1)に示した一般式に該当する化合物であれば、式(1-1)~式(1-11)のそれぞれに示した化合物に限られない。
Figure 0007272457000003
溶媒中における分岐状カルボン酸エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、中でも、50重量%~80重量%であることが好ましい。電解液の分解反応が十分に抑制されるからである。
なお、溶媒は、上記した分岐状カルボン酸エステル化合物と共に、他の化合物を含んでいてもよい。この他の化合物は、非水溶媒(分岐状カルボン酸エステル化合物を除く。)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
他の化合物は、エステル類およびエーテル類などであり、より具体的には、炭酸エステル系化合物、カルボン酸エステル系化合物およびラクトン系化合物などである。
炭酸エステル系化合物は、環状炭酸エステルおよび鎖状炭酸エステルを含んでいる。環状炭酸エステルは、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどであると共に、鎖状炭酸エステルは、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸メチルエチルなどである。カルボン酸エステル系化合物は、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピルおよびトリメチル酢酸エチルなどである。ラクトン系化合物は、γ-ブチロラクトンおよびγ-バレロラクトンなどである。エーテル類は、上記したラクトン系化合物の他、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサンなどである。
中でも、溶媒は、分岐状カルボン酸エステル化合物と共に環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。高い比誘電率を有する環状炭酸エステルが溶媒に含まれることにより、電解質塩の解離性およびリチウムの移動性が向上するからである。溶媒中における環状炭酸エステルの含有量は、特に限定されないが、中でも、20重量%~50重量%であることが好ましい。電解液の分解反応が十分に抑制されるからである。
また、他の化合物は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、酸無水物、ニトリル化合物およびイソシアネート化合物などである。電解液の化学的安定性が向上するからである。
具体的には、不飽和環状炭酸エステルは、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンおよび炭酸メチレンエチレンなどである。ハロゲン化炭酸エステルは、フルオロ炭酸エチレンおよびジフルオロ炭酸エチレンなどである。スルホン酸エステルは、1,3-プロパンスルトンなどである。リン酸エステルは、リン酸トリメチルなどである。酸無水物は、環状カルボン酸無水物、環状ジスルホン酸無水物および環状カルボン酸スルホン酸無水物などである。環状カルボン酸無水物は、無水コハク酸、無水グルタル酸および無水マレイン酸などである。環状ジスルホン酸無水物は、無水エタンジスルホン酸および無水プロパンジスルホン酸などである。環状カルボン酸スルホン酸無水物は、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸および無水スルホ酪酸などである。ニトリル化合物は、アセトニトリルおよびスクシノニトリルなどである。イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートなどである。
中でも、電解液は、分岐状カルボン酸エステル化合物と共に環状ジスルホン酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が十分に向上するため、その電解液が十分に分解されにくくなるからである。電解液中における環状ジスルホン酸無水物の含有量は、特に限定されないが、中でも、0.01重量%~1重量%であることが好ましい。電解液の分解反応がより抑制されるからである。
(電解質塩)
電解質塩は、リチウム塩などの軽金属塩のうちのいずれか1種類または2種類以上である。このリチウム塩は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(FSO2 2 )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 )、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )およびビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C2 4 2 )などである。電解質塩の含有量は、特に限定されないが、溶媒に対して0.3mol/kg~3.0mol/kgである。高いイオン伝導性が得られるからである。
[正極リードおよび負極リード]
正極リード14は、正極11(正極集電体11A)に接続されていると共に、負極リード15は、負極12(負極集電体12A)に接続されている。この正極リード14は、アルミニウムなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいると共に、負極リード15は、銅、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。正極リード14および負極リード15のそれぞれは、フィルム20の内部から外部に向かって同様の方向に導出されている。正極リード14および負極リード15のそれぞれの形状は、薄板状および網目状などである。
<1-2.動作>
この二次電池は、以下で説明するように動作する。
充電時には、正極11からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して負極12に吸蔵される。この場合には、上記したように、正極11の電位がリチウム金属基準において4.50V以上になるまで二次電池が充電されるため、電池電圧が高充電電圧になるまで二次電池が充電される。
また、放電時には、負極12からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して正極11に吸蔵される。
<1-3.製造方法>
二次電池を製造する場合には、以下で説明する手順により、正極11および負極12を作製すると共に電解液を調製したのち、二次電池を組み立てる。
[正極の作製]
最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合することにより、正極合剤とする。続いて、有機溶剤などに正極合剤を投入することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製する。最後に、正極集電体11Aの両面に正極合剤スラリーを塗布することにより、正極活物質層11Bを形成する。こののち、ロールプレス機などを用いて正極活物質層11Bを圧縮成型してもよい。この場合には、正極活物質層11Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。これにより、正極集電体11Aの両面に正極活物質層11Bが形成されるため、正極11が作製される。
[負極の作製]
上記した正極11の作製手順と同様の手順により、負極集電体12Aの両面に負極活物質層12Bを形成する。具体的には、負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとを混合することにより、負極合剤としたのち、有機溶剤などに負極合剤を投入することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製する。続いて、負極集電体12Aの両面に負極合剤スラリーを塗布することにより、負極活物質層12Bを形成する。こののち、負極活物質層12Bを圧縮成型してもよい。これにより、負極集電体12Aの両面に負極活物質層12Bが形成されるため、負極12が作製される。
[電解液の調製]
分岐状カルボン酸エステル化合物を含む溶媒に電解質塩を添加する。これにより、溶媒中において電解質塩が分散または溶解されるため、電解液が調製される。
[二次電池の組み立て]
最初に、溶接法などを用いて正極11(正極集電体11A)に正極リード14を接続させると共に、溶接法などを用いて負極12(負極集電体12A)に負極リード15を接続させる。続いて、セパレータ13を介して正極11および負極12を互いに積層させたのち、その正極11、負極12およびセパレータ13を巻回させることにより、巻回体を形成する。続いて、窪み部20Uの内部に巻回体を収容すると共に、その巻回体を挟むようにフィルム20を折り畳んだのち、熱融着法などを用いてフィルム20(融着層)のうちの2辺の外周縁部同士を互いに接着させることにより、袋状のフィルム20の内部に巻回体を収納する。
最後に、袋状のフィルム20の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などを用いてフィルム20(融着層)のうちの残りの1辺の外周縁部同士を互いに接着させることにより、そのフィルム20を封止する。この場合には、フィルム20と正極リード14との間に密着フィルム21を挿入すると共に、フィルム20と負極リード15との間に密着フィルム22を挿入する。これにより、巻回体に電解液が含浸されるため、巻回電極体10が形成される。よって、フィルム20の内部に巻回電極体10が封入されるため、ラミネートフィルム型の二次電池が完成する。
<1-4.作用および効果>
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、正極11の充電時の電位がリチウム金属基準において4.50V以上であると共に、電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいる。
この場合には、上記したように、充電時において電池電圧が高充電電圧になるまで二次電池が充電されても、電解液の分解反応が抑制される。これにより、電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいない場合および電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物以外の他の化合物を含んでいる場合と比較して、高充電電圧の条件において二次電池が繰り返して充放電されても放電容量が低下しにくくなる。この「他の化合物」とは、分岐状カルボン酸エステル化合物に類似する化合物であり、具体的には、プロピオン酸プロピルなどのカルボン酸エステル系化合物および炭酸ジエチルなどの炭酸エステル系化合物(鎖状炭酸エステル)である。よって、優れた電池特性を得ることができる。
特に、分岐状カルボン酸エステル化合物に関する式(1)において、R1およびR2のそれぞれがアルキル基などであると共にR3が水素基などであれば、分岐状カルボン酸エステル化合物の溶解性および相溶性が担保されながら電解液の分解反応が十分に抑制されるため、より高い効果を得ることができる。この場合には、R1およびR2のそれぞれがアルキル基であると共にR3が水素基であれば、電解液の分解反応がより抑制されるため、さらに高い効果を得ることができる。
また、式(1)において、R4の炭素数が1~5であれば、分岐状カルボン酸エステル化合物の溶解性および相溶性が担保されるため、より高い効果を得ることができる。
また、溶媒中における分岐状カルボン酸エステル化合物の含有量が50重量%~80重量%であれば、電解液の分解反応が十分に抑制されるため、より高い効果を得ることができる。
また、溶媒がさらに環状炭酸エステルを含んでおり、その溶媒中における環状炭酸エステルの含有量が20重量%~50重量%であれば、電解液の分解反応が十分に抑制されながら、電解質塩の解離性およびリチウムの移動性が向上するため、より高い効果を得ることができる。
また、電解液がさらに環状ジスルホン酸無水物を含んでおり、その電解液中における環状ジスルホン酸無水物の含有量が0.01重量%~1重量%であれば、電解液の分解反応がより抑制されるため、より高い効果を得ることができる。
また、二次電池がリチウムイオン二次電池であれば、リチウムの吸蔵および放出を利用して十分な電池容量が安定して得られるため、より高い効果を得ることができる。
<2.変形例>
次に、上記した二次電池の変形例に関して説明する。二次電池の構成は、以下で説明するように、適宜、変更可能である。ただし、以下で説明する一連の変形例のうちの任意の2種類以上が互いに組み合わされてもよい。
[変形例1]
図1および図2では、巻回型の電池素子(巻回電極体10)を用いた。しかしながら、図1に対応する図3および図2に対応する図4に示したように、巻回電極体10の代わりに積層型の電池素子(積層電極体50)を用いてもよい。
図3および図4に示したラミネートフィルム型の二次電池は、巻回電極体10(正極11、負極12およびセパレータ13)、正極リード14および負極リード15の代わりに、積層電極体50(正極51、負極52およびセパレータ53)、正極リード54および負極リード55を備えていることを除いて、図1および図2に示したラミネートフィルム型の二次電池と同様の構成を有している。
正極51、負極52、セパレータ53、正極リード54および負極リード55のそれぞれの構成は、以下で説明することを除いて、正極11、負極12、セパレータ13、正極リード14および負極リード15のそれぞれの構成と同様である。
積層電極体50では、正極51および負極52がセパレータ53を介して交互に積層されている。正極51、負極52およびセパレータ53の積層数は、特に限定されないが、ここでは、複数の正極51および複数の負極52が複数のセパレータ53を介して互いに積層されている。電解液は、正極51、負極52およびセパレータ53のそれぞれに含浸されている。正極51は、正極集電体51Aおよび正極活物質層51Bを含んでいると共に、負極52は、負極集電体52Aおよび負極活物質層52Bを含んでいる。
ただし、図3および図4に示したように、正極集電体51Aは、正極活物質層51Bが形成されていない突出部51ATを含んでいると共に、負極集電体52Aは、負極活物質層52Bが形成されていない突出部52ATを含んでいる。この突出部52ATは、突出部51ATと重ならない位置に配置されている。複数の突出部51ATは、互いに接合されることにより、1本のリード状の接合部51Zを形成していると共に、複数の突出部52ATは、互いに接合されることにより、1本のリード状の接合部52Zを形成している。正極リード54は、接合部51Zに接続されていると共に、負極リード55は、接合部52Zに接続されている。
図3および図4に示したラミネートフィルム型の二次電池の製造方法は、巻回電極体10(正極リード14および負極リード15)の代わりに積層電極体50(正極リード54および負極リード55)を作製することを除いて、図1および図2に示したラミネートフィルム型の二次電池の製造方法と同様である。
積層電極体50を作製する場合には、最初に、正極集電体51A(突出部51ATを除く。)の両面に正極活物質層51Bが形成された正極51を作製すると共に、負極集電体52A(突出部52ATを除く。)の両面に負極活物質層52Bが形成された負極52を作製する。続いて、複数のセパレータ53を介して複数の正極51および複数の負極52を互いに積層させることにより、積層体を形成する。続いて、溶接法などを用いて複数の突出部51ATを互いに接合させることにより、接合部51Zを形成すると共に、溶接法などを用いて複数の突出部52ATを互いに接合させることにより、接合部52Zを形成する。続いて、溶接法などを用いて接合部51Zに正極リード54を接続させると共に、溶接法などを用いて接合部52Zに負極リード55を接続させる。最後に、積層体が収納された袋状のフィルム20の内部に電解液を注入したのち、そのフィルム20を封止する。これにより、積層体に電解液が含浸されるため、積層電極体50が作製される。
この積層電極体50を用いた場合においても、巻回電極体10を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
[変形例2]
図3および図4に示したラミネートフィルム型の二次電池において、正極リード54の数および負極リード55の数は、特に限定されない。すなわち、正極リード54の数は、1つだけに限られず、2つ以上でもよいと共に、負極リード55の数は、1つだけに限られず、2つ以上でもよい。正極リード54の数および負極リード55の数を変更した場合においても、同様の効果を得ることができる。
[変形例3]
図1~図4に示したラミネートフィルム型の二次電池では、多孔質膜であるセパレータ13を用いた。しかしながら、多孔質膜であるセパレータ13の代わりに、高分子化合物層を含む積層型セパレータを用いてもよい。
具体的には、積層型セパレータは、上記した多孔質膜である基材層と共に、その基材層の片面または両面に設けられた高分子化合物層を含んでいる。正極11および負極12のそれぞれに対する積層型セパレータの密着性が向上するため、巻回電極体10の位置ずれが発生しにくくなるからである。これにより、電解液の分解反応などが発生しても、二次電池が膨れにくくなる。高分子化合物層は、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。
なお、基材層の両面に2つの高分子化合物層が形成されている場合には、その2つの高分子化合物層のうちの一方または双方は、複数の無機粒子および複数の樹脂粒子などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。二次電池の発熱時において複数の無機粒子などが放熱するため、その二次電池の耐熱性および安全性が向上するからである。無機粒子の種類は、特に限定されないが、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、ベーマイト、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)および酸化ジルコニウム(ジルコニア)などである。
積層型セパレータを作製する場合には、高分子化合物および有機溶剤と共に必要に応じて複数の無機粒子などを含む前駆溶液を調製したのち、基材層の片面または両面に前駆溶液を塗布する。
この積層型セパレータを用いた場合においても、正極11と負極12との間においてリチウムが移動可能になるため、同様の効果を得ることができる。
[変形例4]
図1および図2に示したラミネートフィルム型の二次電池では、液状の電解質である電解液を用いた。しかしながら、電解液の代わりに、ゲル状の電解質である電解質層を用いてもよい。
電解質層を用いた巻回電極体10では、セパレータ13および電解質層を介して正極11および負極12が互いに積層されたのち、その正極11、負極12、セパレータ13および電解質層が巻回されている。この電解質層は、正極11とセパレータ13との間に介在していると共に、負極12とセパレータ13との間に介在している。
具体的には、電解質層は、電解液と共に高分子化合物を含んでおり、その電解質層中では、電解液が高分子化合物により保持されている。電解液の構成は、上記した通りである。高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデンなどを含んでいる。電解質層を形成する場合には、電解液、高分子化合物および有機溶剤などを含む前駆溶液を調製したのち、正極11および負極12の両面に前駆溶液を塗布する。
この電解質層を用いた場合においても、正極11と負極12との間において電解質層を介してリチウムが移動可能になるため、同様の効果を得ることができる。
<3.二次電池の用途>
次に、上記した二次電池の用途(適用例)に関して説明する。
二次電池の用途は、主に、駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして二次電池を利用可能である機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として用いられる二次電池は、主電源でもよいし、補助電源でもよい。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、主電源の代わりに用いられる電源でもよいし、必要に応じて主電源から切り替えられる電源でもよい。二次電池を補助電源として用いる場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
二次電池の用途の具体例は、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む。)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。なお、二次電池の電池構造は、上記したラミネートフィルム型および円筒型でもよいし、それら以外の他の電池構造でもよい。また、電池パックおよび電池モジュールなどとして、複数の二次電池が用いられてもよい。
中でも、電池パックおよび電池モジュールは、電動車両、電力貯蔵システムおよび電動工具などの比較的大型の機器などに適用されることが有効である。電池パックは、後述するように、単電池を用いてもよいし、組電池を用いてもよい。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して家庭用の電気製品などを使用可能である。
ここで、二次電池のいくつかの適用例に関して具体的に説明する。以下で説明する適用例の構成は、あくまで一例であるため、適宜、変更可能である。以下の適用例に用いられる二次電池の種類は、特に限定されないため、ラミネートフィルム型でもよいし、円筒型でもよい。
<3-1.電池パック(単電池)>
図5は、単電池を用いた電池パックのブロック構成を表している。ここで説明する電池パックは、1個の二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆるソフトパック)であり、スマートフォンに代表される電子機器などに搭載される。
この電池パックは、図5に示したように、電源61と、回路基板62とを備えている。この回路基板62は、電源61に接続されていると共に、正極端子63、負極端子64および温度検出端子(いわゆるT端子)65を含んでいる。
電源61は、1個の二次電池を含んでいる。この二次電池では、正極リードが正極端子63に接続されていると共に、負極リードが負極端子64に接続されている。この電源61は、正極端子63および負極端子64を介して外部と接続可能であるため、その正極端子63および負極端子64を介して充放電可能である。回路基板62は、制御部66と、スイッチ67と、PTC素子68と、温度検出部69とを含んでいる。ただし、PTC素子68は省略されてもよい。
制御部66は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit )およびメモリなどを含んでおり、電池パック全体の動作を制御する。この制御部66は、必要に応じて電源61の使用状態の検出および制御を行う。
なお、制御部66は、電源61(二次電池)の電池電圧が過充電検出電圧または過放電検出電圧に到達すると、スイッチ67を切断させることにより、電源61の電流経路に充電電流が流れないようにする。また、制御部66は、充電時または放電時において大電流が流れると、スイッチ67を切断させることにより、充電電流を遮断する。過充電検出電圧および過放電検出電圧は、特に限定されない。一例を挙げると、過充電検出電圧は、4.2V±0.05Vであると共に、過放電検出電圧は、2.4V±0.1Vである。
スイッチ67は、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオードなどを含んでおり、制御部66の指示に応じて電源61と外部機器との接続の有無を切り換える。このスイッチ67は、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor )などを含んでおり、充放電電流は、スイッチ67のON抵抗に基づいて検出される。
温度検出部69は、サーミスタなどの温度検出素子を含んでおり、温度検出端子65を用いて電源61の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部66に出力する。温度検出部69により測定される温度の測定結果は、異常発熱時において制御部66が充放電制御を行う場合および残容量の算出時において制御部66が補正処理を行う場合などに用いられる。
<3-2.電池パック(組電池)>
図6は、組電池を用いた電池パックのブロック構成を表している。以下の説明では、随時、単電池を用いた電池パック(図5)の構成要素を引用する。
この電池パックは、図6に示したように、正極端子81および負極端子82を含んでいる。具体的には、電池パックは、筐体70の内部に、制御部71と、電源72と、スイッチ73と、電流測定部74と、温度検出部75と、電圧検出部76と、スイッチ制御部77と、メモリ78と、温度検出素子79と、電流検出抵抗80とを備えている。
電源72は、2個以上の二次電池が互いに接続された組電池を含んでおり、その2個以上の二次電池の接続形式は、特に限定されない。このため、接続方式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。一例を挙げると、電源72は、2並列3直列となるように互いに接続された6個の二次電池を含んでいる。
制御部71、スイッチ73、温度検出部75および温度検出素子79の構成は、制御部66、スイッチ67および温度検出部69(温度検出素子)の構成と同様である。電流測定部74は、電流検出抵抗80を用いて電流を測定すると共に、その電流の測定結果を制御部71に出力する。電圧検出部76は、電源72(二次電池)の電池電圧を測定すると共に、アナログ-デジタル変換された電圧の測定結果を制御部71に供給する。
スイッチ制御部77は、電流測定部74および電圧検出部76から入力される信号に応じてスイッチ73の動作を制御する。このスイッチ制御部77は、電池電圧が過充電検出電圧または過放電検出電圧に到達すると、スイッチ73(充電制御スイッチ)を切断させることにより、電源72の電流経路に充電電流が流れないようにする。これにより、電源72では、放電用ダイオードを介して放電だけが可能になり、または充電用ダイオードを介して充電だけが可能になる。また、スイッチ制御部77は、充電時または放電時において大電流が流れると、充電電流または放電電流を遮断する。
なお、スイッチ制御部77を省略することにより、制御部71がスイッチ制御部77の機能を兼ねてもよい。過充電検出電圧および過放電検出電圧は、特に限定されないが、単電池を用いた電池パックに関して説明した場合と同様である。
メモリ78は、不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などを含んでおり、そのメモリ78には、制御部71により演算された数値および製造工程において測定された二次電池の情報(初期状態の内部抵抗、満充電容量および残容量など)などが記憶されている。
正極端子81および負極端子82は、電池パックを用いて稼働する外部機器(ノート型のパーソナルコンピュータなど)および電池パックを充電するために用いられる外部機器(充電器など)などに接続される端子である。電源72(二次電池)は、正極端子81および負極端子82を介して充放電可能である。
<3-3.電動車両>
図7は、電動車両の一例であるハイブリッド自動車のブロック構成を表している。この電動車両は、図7に示したように、筐体90の内部に、制御部91と、エンジン92と、電源93と、モータ94と、差動装置95と、発電機96と、トランスミッション97およびクラッチ98と、インバータ99,100と、各種センサ101とを備えている。また、電動車両は、差動装置95およびトランスミッション97に接続された前輪用駆動軸102および一対の前輪103と、後輪用駆動軸104および一対の後輪105とを備えている。
この電動車両は、エンジン92およびモータ94のうちのいずれか一方を駆動源として用いて走行可能である。エンジン92は、ガソリンエンジンなどの主要な動力源である。エンジン92を動力源とする場合には、駆動部である差動装置95、トランスミッション97およびクラッチ98を介してエンジン92の駆動力(回転力)が前輪103および後輪105に伝達される。なお、エンジン92の回転力が発電機96に伝達されるため、その回転力を利用して発電機96が交流電力を発生させると共に、その交流電力がインバータ100を介して直流電力に変換されるため、その直流電力が電源93に蓄積される。一方、変換部であるモータ94を動力源とする場合には、電源93から供給された電力(直流電力)がインバータ99を介して交流電力に変換されるため、その交流電力を利用してモータ94が駆動する。モータ94により電力から変換された駆動力(回転力)は、駆動部である差動装置95、トランスミッション97およびクラッチ98を介して前輪103および後輪105に伝達される。
なお、制動機構を介して電動車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ94に回転力として伝達されるため、その回転力を利用してモータ94が交流電力を発生させてもよい。この交流電力は、インバータ99を介して直流電力に変換されるため、その直流回生電力は、電源93に蓄積される。
制御部91は、CPUなどを含んでおり、電動車両全体の動作を制御する。電源93は、1個または2個以上の二次電池を含んでおり、外部電源と接続されている。この場合には、電源93は、外部電源から電力を供給されることにより、電力を蓄積させてもよい。各種センサ101は、エンジン92の回転数を制御すると共に、スロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。この各種センサ101は、速度センサ、加速度センサおよびエンジン回転数センサなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
なお、電動車両がハイブリッド自動車である場合を例に挙げたが、その電動車両は、エンジン92を用いずに電源93およびモータ94だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよい。
<3-4.その他>
ここでは具体的に図示しないが、二次電池の適用例としては他の適用例も考えられる。
具体的には、二次電池は、電力貯蔵システムに適用可能である。この電力貯蔵システムは、一般住宅および商業用ビルなどの家屋の内部に、制御部と、1個または2個以上の二次電池を含む電源と、スマートメータと、パワーハブとを備えている。
電源は、家屋の内部に設置された冷蔵庫などの電気機器に接続されていると共に、その家屋の外部に停車されたハイブリッド自動車などの電動車両に接続可能である。また、電源は、家屋に設置された太陽光発電機などの自家発電機にパワーハブを介して接続されていると共に、スマートメータおよびパワーハブを介して外部の火力発電所などの集中型電力系統に接続されている。
または、二次電池は、電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具に適用可能である。この電動工具は、ドリル部および鋸刃部などの可動部が取り付けられた筐体の内部に、制御部と、1個または2個以上の二次電池を含む電源とを備えている。
本技術の実施例に関して説明する。
(実験例1-1~1-9)
以下で説明するように、図1および図2に示したラミネートフィルム型の二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製したのち、その二次電池の電池特性を評価した。
[二次電池の作製]
以下の手順により、二次電池を作製した。
(正極の作製)
最初に、正極活物質(LiCoO2 )91質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)3質量部と、正極導電剤(黒鉛)6質量部とを混合することにより、正極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に正極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて正極集電体11A(帯状のアルミニウム箔,厚さ=12μm)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層11Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層11Bを圧縮成型した。これにより、正極集電体11Aの両面に正極活物質層11Bが形成されたため、正極11が作製された。
(負極の作製)
最初に、負極活物質(黒鉛)93質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)7質量部とを混合することにより、負極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体12A(帯状の銅箔,厚さ=15μm)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層12Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて負極活物質層12Bを圧縮成型した。これにより、負極集電体12Aの両面に負極活物質層12Bが形成されたため、負極12が作製された。
(電解液の調製)
溶媒に電解質塩(六フッ化リン酸リチウム)を加えたのち、その溶媒を撹拌した。溶媒としては、炭酸エステル系化合物(環状炭酸エステル)である炭酸エチレン(EC)と、分岐状カルボン酸エステル化合物である式(1-1)に示した化合物とを用いた。溶媒の組成、すなわち各成分の含有量(重量%)は、表1に示した通りである。電解質塩の含有量は、溶媒に対して1mol/kgとした。この場合には、必要に応じて、後述する他の化合物(カルボン酸エステル系化合物であるプロピオン酸プロピル)も溶媒として用いた。
なお、比較のために、分岐状カルボン酸エステル化合物の代わりに他の化合物を用いたことを除いて同様の手順により、電解液を調製した。他の化合物としては、カルボン酸エステル系化合物であるプロピオン酸プロピル(PrPr)を用いた。
(二次電池の組み立て)
最初に、正極集電体11Aにアルミニウム製の正極リード14を溶接したと共に、負極集電体12Aに銅製の負極リード15を溶接した。続いて、セパレータ13(微多孔性ポリエチレンフィルム,厚さ=15μm)を介して正極11および負極12を互いに積層させたのち、その正極11、負極12およびセパレータ13を巻回させることにより、巻回体を作製した。
続いて、窪み部20Uに収容された巻回体を挟むようにフィルム20を折り畳んだのち、そのフィルム20のうちの2辺の外周縁部同士を互いに熱融着することにより、袋状のフィルム20の内部に巻回体を収納した。フィルム20としては、融着層(ポリプロピレンフィルム,厚さ=30μm)と、金属層(アルミニウム箔,厚さ=40μm)と、表面保護層(ナイロンフィルム,厚さ=25μm)とが内側からこの順に積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。
最後に、袋状のフィルム20の内部に電解液を注入したのち、減圧環境中においてフィルム20のうちの残りの1辺の外周縁部同士を熱融着した。この場合には、フィルム20と正極リード14との間に密着フィルム21(ポリプロピレンフィルム,厚さ=5μm)を挿入したと共に、フィルム20と負極リード15との間に密着フィルム22(ポリプロピレンフィルム,厚さ=5μm)を挿入した。これにより、巻回体に電解液が含浸されたため、巻回電極体10が形成された。よって、フィルム20の内部に巻回電極体10が封入されたため、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。
[電池特性の評価]
二次電池の電池特性(サイクル特性)を評価したところ、表1に示した結果が得られた。
サイクル特性を調べる場合には、最初に、二次電池の状態を安定化させるために、常温環境中(温度=23℃)において二次電池を1サイクル充放電させた。続いて、同環境中において二次電池を再び充放電させることにより、放電容量(2サイクル目の放電容量)を測定した。続いて、同環境中において総サイクル数が50サイクルに到達するまで二次電池を繰り返して充放電させることにより、放電容量(50サイクル目の放電容量)を測定した。最後に、容量維持率(%)=(50サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。
充電時には、0.1Cの電流において正極11の電位(正極電位:リチウム金属基準)が表1に示した値に到達するまで定電流充電したのち、その正極電位において電流が0.05Cに到達するまで定電圧充電した。放電時には、0.1Cの電流で電圧が3.00Vに到達するまで定電流放電した。0.1Cとは、電池容量(理論容量)を10時間で放電しきる電流値であると共に、0.05Cとは、上記した電池容量を20時間で放電しきる電流値である。
なお、表1に示した容量維持率の値は、正極電位(=4.45V、4.50Vおよび4.55V)ごとに、環状炭酸エステル(EC)の含有量=30重量%および他の化合物(PrPr)の含有量=70重量%である場合(実験例1-5,1-7,1-9)における容量維持率の値を100として規格化した値である。
Figure 0007272457000004
[考察]
表1に示したように、二次電池のサイクル特性は、正極電位の値(充電電圧の上限値)および電解液の組成に応じて大きく変動した。
具体的には、正極電位が4.50V未満になるまで二次電池を充電した場合(実験例1-8,1-9)には、電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいるか否かに応じて容量維持率がほとんど変化しなかった。すなわち、分岐状カルボン酸エステル化合物を用いた場合(実験例1-8)に得られた容量維持率は、他の化合物を用いた場合(実験例1-9)に得られた容量維持率とほぼ同等であった。
これに対して、正極電位が4.50V以上になるまで二次電池を充電した場合(実験例1-1~1-7)には、電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいるか否かに応じて容量維持率が大幅に変化した。
詳細には、分岐状カルボン酸エステル化合物を用いた場合(実験例1-1~1-4,1-6)には、他の化合物を用いた場合(1-5,1-7)と比較して、容量維持率が大幅に増加した。
特に、電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいる場合には、溶媒中における分岐状カルボン酸エステル化合物の含有量が50重量%~80重量%であると共に、溶媒中における環状炭酸エステルの含有量が20重量%~50重量%であると(実験例1-1~1-3)、十分な容量維持率が得られた。また、電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいれば、その電解液がさらに他の化合物(カルボン酸エステル系化合物)を含んでいても(実験例1-4)、十分な容量維持率が得られた。
(実験例2-1~2-3)
表2に示したように、電解液の組成を変更したことを除いて同様の手順により、二次電池を作製したと共に電池特性を評価した。この場合には、上記した手順により、電解液を調整したのち、その電解液に環状ジスルホン酸無水物(1,3-プロパンジスルホン酸無水物(PSAH))を添加した。電解液中における環状ジスルホン酸無水物の含有量(重量%)は、表2に示した通りである。
Figure 0007272457000005
表2に示したように、電解液が環状ジスルホン酸無水物を含んでいる場合(実験例2-1~2-3)には、電解液が環状ジスルホン酸無水物を含んでいない場合(実験例1-2)と比較して、容量維持率がより増加した。この場合には、電解液中における環状ジスルホン酸無水物の含有量が0.01重量%~1重量%であると、十分な容量維持率が得られた。
[まとめ]
表1および表2に示した結果から、正極電位(リチウム金属基準)が4.50V以上になるまで充電される二次電池において、電解液が分岐状カルボン酸エステル化合物を含んでいると、サイクル特性が改善された。よって、二次電池において優れた電池特性が得られた。
以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術に関して説明したが、その本技術の構成は、一実施形態および実施例において説明された構成に限定されないため、種々に変形可能である。
具体的には、液状の電解質(電解液)およびゲル状の電解質(電解質層)を用いる場合に関して説明したが、その電解質の種類は、特に限定されないため、固体状の電解質(固体電解質)を用いてもよい。
また、二次電池の電池構造がラミネートフィルム型である場合に関して説明したが、その電池構造は、特に限定されないため、円筒型、角型およびコイン型などの他の電池構造でもよい。
また、電池素子の素子構造が巻回型および積層型である場合に関して説明したが、その電池素子の素子構造は、特に限定されないため、電極(正極および負極)がジグザグに折り畳まれた九十九折り型などの他の素子構造でもよい。
さらに、電極反応物質がリチウムである場合に関して説明したが、その電極反応物質は、特に限定されない。具体的には、電極反応物質は、上記したように、ナトリウムおよびカリウムなどの他のアルカリ金属でもよいし、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属でもよい。この他、電極反応物質は、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。
本明細書中に記載された効果は、あくまで例示であるため、本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本技術に関して、他の効果が得られてもよい。

Claims (5)

  1. 充電時の電位がリチウム金属基準において4.50V以上である正極と、
    負極と、
    式(1)で表される分岐状カルボン酸エステル化合物を含む電解液と
    を備えた、二次電池。
    Figure 0007272457000006
    R1およびR2のそれぞれは、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかであり、R3は、水素基およびハロゲン基のうちのいずれかであり、R4は、アルキル基およびハロゲン化アルキル基のうちのいずれかである。ただし、R1の炭素数とR2の炭素数とR3の炭素数との和は、2または3であると共に、R4の炭素数は、2以上5以下である。
  2. 前記電解液は、溶媒を含み、
    前記溶媒は、前記分岐状カルボン酸エステル化合物を含み、
    前記溶媒中における前記分岐状カルボン酸エステル化合物の含有量は、50重量%以上80重量%以下である、
    請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記電解液は、溶媒を含み、
    前記溶媒は、環状炭酸エステルを含み、
    前記溶媒中における前記環状炭酸エステルの含有量は、20重量%以上50重量%以下である、
    請求項1または請求項に記載の二次電池。
  4. 前記電解液は、さらに、環状ジスルホン酸無水物を含み、
    前記電解液中における前記環状ジスルホン酸無水物の含有量は、0.01重量%以上1重量%以下である、
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の二次電池。
  5. リチウムイオン二次電池である、
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の二次電池。
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