JP7302731B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

本技術は、二次電池に関する。
携帯電話機などの多様な電子機器が普及しているため、小型かつ軽量であると共に高エネルギー密度を得ることが可能である電源として、二次電池の開発が進められている。この二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えており、その二次電池の構成に関しては、様々な検討がなされている。
具体的には、優れた貯蔵特性などを得るために、正極活物質としてLiCoO2 系化合物を用いていると共に、正極表面のXPS分析においてフッ素原子などを検出している(例えば、特許文献1参照。)。サイクル特性を向上させるために、正極活物質の一部(第1の領域)がコバルト酸リチウムを含んでいると共に、X線光電子分光により測定されるフッ素濃度の範囲などを規定している(例えば、特許文献2参照。)。電極とセパレータとの接着性を向上させるために、XPSによりフッ化ビニリデン共重合体粒子の表面において測定される酸素原子比率を規定している(例えば、特許文献3参照。)。このフッ化ビニリデン共重合体粒子は、フッ化ビニリデンと、酸素原子を含む官能基を有する化合物とを含んでいる。
特開2002-093405号公報 特開2018-206747号公報 特開2018-172596号公報
二次電池の性能を改善するために様々な検討がなされているが、エネルギー密度の向上と電気抵抗の低下とを両立させることに関しては未だ改善の余地がある。
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、エネルギー密度の向上と電気抵抗の低下とを両立させることが可能である二次電池を提供することにある。
本技術の一実施形態の二次電池は、正極活物質、正極結着剤および正極導電剤を含む正極活物質層を備えた正極と、負極活物質を含む負極と、電解液とを備えたものである。正極活物質はリチウムコバルト複合酸化物を含み、正極結着剤は160℃以上170℃以下の融点を有するフッ化ビニリデン重合体を含み、正極導電剤は中空構造を有するカーボンブラックを含み、負極活物質は炭素材料を含む。正極活物質の重量と正極結着剤の重量と正極導電剤の重量との和に対する正極活物質の重量の割合は97.9重量%以上98.5重量%以下であり、正極活物質の重量と正極結着剤の重量と正極導電剤の重量との和に対する正極結着剤の重量の割合は0.8重量%以上1.4重量%以下であり、正極活物質の重量と正極結着剤の重量と正極導電剤の重量との和に対する正極導電剤の重量の割合は0.5重量%以上1.1重量%以下であり、正極活物質層の体積密度は4.15g/cm3 以上であり、X線光電子分光分析法を用いた正極活物質層の表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度は1.9%以上3.0%以下である。
本技術の一実施形態の二次電池によれば、正極活物質がリチウムコバルト複合酸化物を含み、正極結着剤が上記した融点を有するフッ化ビニリデン重合体を含み、正極導電剤が中空構造を有するカーボンブラックを含み、負極活物質が炭素材料を含む。また、正極活物質、正極結着剤および正極導電剤のそれぞれの重量の割合と、正極活物質層の体積密度と、X線光電子分光分析法を用いた正極活物質層の表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度とが上記した範囲内である。よって、エネルギー密度の向上と電気抵抗の低下とを両立させることができる。
ここで、「リチウムコバルト複合酸化物」とは、リチウムおよびコバルトを構成元素として含む酸化物の総称であると共に、「フッ化ビニリデン重合体」とは、フッ化ビニリデンを重合単位として含む重合体の総称である。なお、リチウムコバルト複合酸化物およびフッ化ビニリデン重合体のそれぞれの詳細に関しては、後述する。
なお、本技術の効果は、必ずしもここで説明された効果に限定されるわけではなく、後述する本技術に関連する一連の効果のうちのいずれの効果でもよい。
本技術の一実施形態における二次電池の構成を表す斜視図である。 図1に示した電池素子の構成を表す断面図である。 二次電池の適用例の構成を表すブロック図である。
以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.二次電池
1-1.構成
1-2.動作
1-3.製造方法
1-4.作用および効果
2.変形例
3.二次電池の用途
<1.二次電池>
まず、本技術の一実施形態の二次電池に関して説明する。
ここで説明する二次電池は、電極反応物質の吸蔵放出を利用して電池容量が得られる二次電池であり、正極および負極と共に、液状の電解質である電解液を備えている。この二次電池では、充電途中において負極の表面に電極反応物質が析出することを防止するために、その負極の充電容量は、正極の放電容量よりも大きくなっている。すなわち、負極の単位面積当たりの電気化学容量は、正極の単位面積当たりの電気化学容量よりも大きくなるように設定されている。
電極反応物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などの軽金属である。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどであると共に、アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどである。
以下では、電極反応物質がリチウムである場合を例に挙げる。リチウムの吸蔵放出を利用して電池容量が得られる二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池である。このリチウムイオン二次電池では、リチウムがイオン状態で吸蔵放出される。
<1-1.構成>
図1は、二次電池の斜視構成を表していると共に、図2は、図1に示した電池素子10の断面構成を表している。ただし、図1では、電池素子10と外装フィルム20とが互いに分離された状態を示していると共に、図2では、電池素子10の一部だけを示している。
この二次電池は、図1に示したように、電池素子10と、外装フィルム20と、正極リード31と、負極リード32とを備えている。ここで説明する二次電池は、電池素子10を収納するために可撓性(または柔軟性)の外装部材(外装フィルム20)を用いたラミネートフィルム型の二次電池である。
[外装フィルム]
外装フィルム20は、図1に示したように、1枚のフィルム状の部材であり、矢印R(一点鎖線)の方向に折り畳み可能である。この外装フィルム20は、上記したように、電池素子10を収納しているため、後述する正極11および負極12と共に電解液を収納している。外装フィルム20には、電池素子10を収容するための窪み部20U(いわゆる深絞り部)が設けられている。
具体的には、外装フィルム20は、融着層、金属層および表面保護層が内側からこの順に積層された3層のラミネートフィルムであり、その外装フィルム20が折り畳まれた状態において、互いに対向する融着層のうちの外周縁部同士が互いに融着されている。これにより、外装フィルム20は、電池素子10を内部に封入可能である袋状の構造を有している。融着層は、ポリプロピレンなどの高分子化合物を含んでいる。金属層は、アルミニウムなどの金属材料を含んでいる。表面保護層は、ナイロンなどの高分子化合物を含んでいる。
ただし、外装フィルム20の構成(層数)は、特に、限定されないため、1層または2層でもよいし、4層以上でもよい。すなわち、外装フィルム20は、ラミネートフィルムに限られず、単層フィルムでもよい。
外装フィルム20と正極リード31との間には、密着フィルム21が挿入されていると共に、外装フィルム20と負極リード32との間には、密着フィルム22が挿入されている。密着フィルム21,22のそれぞれは、外装フィルム20の内部に外気などが侵入することを防止する部材であり、正極リード31および負極リード32のそれぞれに対して密着性を有するポリオレフィンなどの高分子化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。このポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンなどである。ただし、密着フィルム21,22のうちの一方または双方は、省略されてもよい。
[電池素子]
電池素子10は、図1および図2に示したように、外装フィルム20の内部に収納されており、正極11と、負極12と、セパレータ13と、電解液(図示せず)とを含んでいる。この電解液は、正極11、負極12およびセパレータ13のそれぞれに含浸されている。
ここでは、電池素子10は、正極11および負極12がセパレータ13を介して互いに積層されると共に、その正極11、負極12およびセパレータ13が巻回軸(Y軸方向に延在する仮想軸)を中心として巻回された構造体(巻回電極体)である。このため、正極11および負極12は、セパレータ13を介して互いに対向している。
電池素子10の立体的形状は、扁平形状である。すなわち、巻回軸と交差する電池素子10の断面(XZ面に沿った断面)の形状は、長軸および短軸により規定される扁平形状であり、より具体的には、扁平な略楕円形である。この長軸は、X軸方向に延在すると共に相対的に大きい長さを有する仮想軸であると共に、短軸は、X軸方向と交差するZ軸方向に延在すると共に相対的に小さい長さを有する仮想軸である。
(正極)
正極11は、図2に示したように、正極活物質層11Bを備えている。ここでは、正極11は、上記した正極活物質層11Bと共に、その正極活物質層11Bを支持する正極集電体11Aを備えている。
具体的には、正極11は、一対の面を有する正極集電体11Aと、その正極集電体11Aの両面に配置された正極活物質層11Bとを備えている。このため、正極11は、2個の正極活物質層11Bを備えている。ただし、正極活物質層11Bは、正極集電体11Aの片面だけに配置されているため、正極11は、1個の正極活物質層11Bだけを備えていてもよい。
正極集電体11Aは、金属材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その金属材料は、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどである。正極活物質層11Bは、正極活物質、正極結着剤および正極導電剤を含んでいる。正極活物質層11Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
(正極活物質)
正極活物質は、リチウムを吸蔵放出可能であるリチウム含有化合物を含んでおり、より具体的には、リチウムコバルト複合酸化物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この「リチウムコバルト複合酸化物」とは、上記したように、リチウムおよびコバルトを構成元素として含む酸化物の総称であり、層状岩塩型の結晶構造を有している。高いエネルギー密度が得られるからである。
リチウムコバルト複合酸化物の種類(組成)は、リチウムおよびコバルトを構成元素として含んでいる酸化物であれば、特に限定されない。具体的には、リチウムコバルト複合酸化物は、リチウムと、コバルトと、他元素とを構成元素として含んでおり、その他元素は、長周期型周期表中の1族~17族に属する元素(ただし、リチウム、コバルトおよび酸素を除く。)のうちのいずれか1種類または2種類以上である。
より具体的には、リチウムコバルト複合酸化物は、下記の式(1)で表される化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。高いエネルギー密度が安定して得られるからである。
Lix Co1-y y 2-z z ・・・(1)
(Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Na、Mg、Al、Si、Sn、K、Ca、Zn、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ba、La、WおよびBのうちの少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、IおよびSのうちの少なくとも1種である。x、yおよびzは、0.8<x<1.2、0≦y<0.15および0≦z<0.05を満たす。ただし、Liの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、xの値は、完全放電状態の値である。)
式(1)から明らかなように、リチウムコバルト複合酸化物は、リチウムと、コバルトと、第1他元素(M)と、第2他元素(X)とを構成元素として含んでいる酸化物である。ただし、yが取り得る値の範囲(y≧0)から明らかなように、リチウムコバルト複合酸化物は、第1他元素(M)を構成元素として含んでいてもよいし、第1他元素(M)を構成元素として含んでいなくてもよい。また、zが取り得る値の範囲(z≧0)から明らかなように、リチウムコバルト複合酸化物は、第2他元素(X)を構成元素として含んでいてもよいし、第2他元素(X)を構成元素として含んでいなくてもよい。
リチウムコバルト複合酸化物の具体例は、LiCoO2 、LiCo0.90Al0.102 、LiCo0.98Al0.022 、LiCo0.98Al0.01Mg0.012 、LiCo0.98Al0.01Mg0.011.980.02、LiCo0.98Mn0.022 、LiCo0.98Zr0.022 およびLiCo0.98Ti0.022 などである。
なお、正極活物質は、上記したリチウムコバルト複合酸化物を含んでいれば、さらに、他のリチウム含有化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
他のリチウム含有化合物の種類は、特に限定されないが、具体的には、リチウム遷移金属化合物などである。この「リチウム遷移金属化合物」とは、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含む化合物の総称であり、さらに、他元素を含んでいてもよい。他元素に関する詳細は、上記した通りである。ただし、上記したリチウムコバルト複合酸化物は、ここで説明するリチウム遷移金属化合物から除かれる。
リチウム遷移金属化合物の種類は、特に限定されないが、具体的には、酸化物、リン酸化合物、ケイ酸化合物およびホウ酸化合物などである。酸化物の具体例は、LiNiO2 、LiNi0.5 Co0.2 Mn0.3 2 、LiNi0.8 Co0.15Al0.052 、LiNi0.33Co0.33Mn0.332 、Li1.2 Mn0.52Co0.175 Ni0.1 2 、Li1.15(Mn0.65Ni0.22Co0.13)O2 およびLiMn2 4 などである。リン酸化合物の具体例は、LiFePO4 、LiMnPO4 、LiFe0.5 Mn0.5 PO4 およびLiFe0.3 Mn0.7 PO4 などである。
(正極結着剤)
正極結着剤は、結着性材料を含んでおり、より具体的には、低い融点を有するフッ化ビニリデン重合体のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この「フッ化ビニリデン重合体」とは、上記したように、フッ化ビニリデンを重合単位として含む重合体の総称であり、その重合体の融点は、160℃~170℃である。
後述するように、二次電池の製造工程(正極11の作製工程)において正極11が圧縮成型されることにより、正極結着剤と正極導電剤との混合膜が正極活物質の表面を被覆するからである。これにより、正極活物質同士の摩擦(粒子間摩擦)が低減するため、正極活物質層11Bの圧縮成型時において正極活物質が破損しにくくなる。この正極活物質の破損とは、正極活物質が割れることの他、その正極活物質にクラックが発生することなどである。
以下では、上記した低い融点(=160℃~170℃)を有するフッ化ビニリデン重合体と、高い融点(=170℃超、より具体的には170℃超175℃以下)を有するフッ化ビニリデン重合体とを区別するために、前者の重合体を「低融点フッ化ビニリデン重合体」と呼称すると共に、後者の重合体を「高融点フッ化ビニリデン重合体」と呼称する。高融点フッ化ビニリデン重合体の融点は、上記したように、170℃よりも高い温度であり、より具体的には170℃よりも高いと共に175℃以下の範囲内の温度である。
低融点フッ化ビニリデン重合体の構成は、低い融点を有していると共にフッ化ビニリデンを重合単位として含んでいる重合体であれば、特に限定されない。このため、低融点フッ化ビニリデン重合体は、単独重合体でもよいし、共重合体でもよいし、双方でもよい。
単独重合体である低融点フッ化ビニリデン重合体は、いわゆるポリフッ化ビニリデンである。この低融点フッ化ビニリデン重合体であるポリフッ化ビニリデンは、主に、高融点フッ化ビニリデン重合体である通常のポリフッ化ビニリデンに対して1種類または2種類以上の官能基が導入された重合体である。すなわち、低融点フッ化ビニリデン重合体であるポリフッ化ビニリデンは、1種類または2種類以上の官能基を用いて通常のポリフッ化ビニリデンが変性された重合体であるため、低い融点を有している。
共重合体である低融点フッ化ビニリデン重合体は、フッ化ビニリデンと共に1種類または2種類以上の単量体(フッ化ビニリデンを除く。)を重合単位として含んでいるため、そのフッ化ビニリデンと1種類または2種類以上の単量体とが共重合された重合体である。すなわち、共重合体である低融点フッ化ビニリデン重合体は、フッ化ビニリデンだけでなく1種類または2種類以上の単量体を重合単位として含んでいるため、低い融点を有している。
単量体の種類は、低融点フッ化ビニリデン重合体の融点(=160℃~170℃)を実現可能である単量体であれば、特に限定されないが、具体的には、ヘキサフルオロプロピレンなどである。なお、共重合体(低融点フッ化ビニリデン重合体)中における単量体の共重合量は、特に限定されないため、任意に設定可能である。
なお、正極結着剤は、上記した低融点フッ化ビニリデン重合体を含んでいれば、さらに、他の結着性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。ただし、低融点フッ化ビニリデン重合体は、ここで説明する他の結着性材料から除かれる。
他の結着性材料は、合成ゴムおよび高分子化合物などである。合成ゴムの具体例は、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物の具体例は、高融点フッ化ビニリデン重合体である通常のポリフッ化ビニリデン(融点=170℃超175℃以下)、ポリイミドおよびカルボキシメチルセルロースなどである。
(正極導電剤)
正極導電剤は、導電性材料を含んでおり、より具体的には、中空構造を有するカーボンブラックのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。上記したように、二次電池の製造工程において正極11が圧縮成型された際に、正極結着剤と正極導電剤との混合膜が正極活物質の表面を被覆することにより、その正極活物質同士の摩擦が低減するため、その正極活物質が破損しにくくなるからである。
中空構造を有するカーボンブラックの具体例は、ケッチェンブラックなどである。正極結着剤と正極導電剤との混合膜が正極活物質の表面を被覆しやすくなるため、その正極活物質同士の摩擦がより低減するからである。
なお、正極導電剤は、上記した中空構造を有するカーボンブラックを含んでいれば、さらに、他の導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。ただし、中空構造を有するカーボンブラックは、ここで説明する他の導電性材料から除かれる。
他の導電性材料は、炭素材料であり、その炭素材料の具体例は、黒鉛およびアセチレンブラックなどである。ただし、他の導電性材料は、金属材料および高分子化合物などでもよい。
(添加剤)
なお、正極活物質層11Bは、さらに、添加剤のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。添加剤の種類は、その添加剤の機能などに応じて任意に選択可能である。添加剤の具体例は、ポリビニルピロリドンなどである。後述する正極合剤スラリーの調製工程において、正極活物質などの分散性が促進されるからである。すなわち、正極活物質などの凝集物が存在していても、その凝集物が分散されやすくなるため、その正極活物質などの分散性が向上する。これにより、正極合剤スラリーの塗布性が向上すると共に、正極集電体11Aに対する正極活物質層11Bの密着性が向上する。正極活物質層11B中におけるポリビニルピロリドンの含有量は、特に限定されないが、具体的には、0.01重量%~0.05重量%である。
(混合比)
正極活物質と正極結着剤と正極導電剤との混合比は、所定の範囲内となるように設定されている。特に、正極結着剤および正極導電剤のそれぞれの混合比は、正極活物質の混合比に対して十分に小さくなるように設定されており、逆に言えば、正極活物質の混合比は、正極結着剤および正極導電剤のそれぞれの混合比に対して十分に大きくなるように設定されている
具体的には、正極活物質の重量M1と正極結着剤の重量M2と正極導電剤の重量M3との和に対する正極活物質の重量M1の割合R1は、97.9重量%~98.5重量%である。この割合R1は、R1=[M1/(M1+M2+M3)]×100により算出される。
正極活物質の重量M1と正極結着剤の重量M2と正極導電剤の重量M3との和に対する正極結着剤の重量M2の割合R2は、0.8重量%~1.4重量%である。この割合R2は、R2=[M2/(M1+M2+M3)]×100により算出される。
正極活物質の重量M1と正極結着剤の重量M2と正極導電剤の重量M3との和に対する正極導電剤の重量M3の割合R3は、0.5重量%~1.1重量%である。この割合R3は、R3=[M3/(M1+M2+M3)]×100により算出される。
割合R1,R2,R3のそれぞれが上記した範囲内であるのは、正極活物質の重量M1を相対的に大きくすると共に、正極結着剤の重量M2および正極導電剤の重量M3のそれぞれを小さくする場合において、その割合R1,R2,R3の関係が相互に適正化されるからである。これにより、第1に、割合R1の増加に応じて正極活物質層11B中における正極活物質の占有割合が増加するため、高いエネルギー密度が得られる。第2に、正極結着剤と正極導電剤との混合膜が正極活物質の表面を均一に被覆しやすくなることにより、正極活物質同士の摩擦が安定に低減するため、正極活物質層11Bの圧縮成型時において正極活物質が安定して破損しにくくなる。第3に、割合R2,R3のそれぞれが小さくても、正極活物質同士が混合膜を介して互いに結着されやすくなると共に、正極活物質同士が混合膜を介して互いに電気的に接続されやすくなる。
割合R1,R2,R3のそれぞれを特定する手順は、以下で説明する通りである。最初に、二次電池を解体することにより、正極11を回収する。続いて、熱重量(Thermogravimetric analysis)分析法を用いて正極11(正極活物質層11B)を分析することにより、正極活物質の重量M1、正極結着剤の重量M2および正極導電剤の重量M3のそれぞれを測定する。最後に、重量M1,M2,M3に基づいて、割合R1,R2,R3のそれぞれを算出する。
(体積密度)
上記したように、割合R1,R2,R3のそれぞれが所定の範囲内であることに応じて、正極活物質同士の摩擦が低減するため、正極活物質層11Bの圧縮成型時において正極活物質が破損しにくくなる。これにより、正極11の作製工程では、正極活物質の破損を抑制しながら、正極活物質層11Bを十分に圧縮成型可能になる。
具体的には、割合R1,R2,R3のそれぞれが所定の範囲内であるため、正極活物質同士の摩擦が低減している正極活物質層11Bの体積密度は、割合R1,R2,R3のそれぞれが所定の範囲内でないため、正極活物質同士の摩擦が低減していない正極活物質層11Bの体積密度と比較して、十分に増加する。具体的には、正極活物質層11Bの体積密度は、4.15g/cm3 以上であり、好ましくは4.15g/cm3 ~4.20g/cm3 である。
(物性)
X線光電子分光分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy(XPS))を用いて正極活物質層11Bの表面を分析(元素分析)した際、その正極活物質層11Bの表面において測定されるフッ素原子の元素濃度は、十分に小さくなる。具体的には、XPSを用いた正極活物質層11Bの表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度は、1.9%~3.0%である。正極活物質層11Bにおいてフッ素の反応物(LiF)の形成量が減少するからである。
詳細には、上記したように、正極結着剤が低融点フッ化ビニリデン重合体を含んでいると共に、その正極結着剤の割合R2が正極活物質の割合R1に対して十分に小さいため、二次電池の製造工程において正極活物質層11Bが加熱された際に、その正極結着剤中のフッ素原子によりフッ素の反応物が形成されにくくなる。これにより、正極結着剤がフッ素を構成元素として含んでいても、正極活物質層11Bの加熱時においてフッ素の反応物が形成されにくくなるため、XPSを用いた正極活物質層11Bの表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度が十分に小さくなる。
(負極)
負極12は、図2に示したように、セパレータ13を介して正極11に対向している。この負極12は、一対の面を有する負極集電体12Aと、その負極集電体12Aの両面に配置された2個の負極活物質層12Bとを含んでいる。ただし、負極活物質層12Bは、負極集電体12Aの片面だけに配置されていてもよい。
負極集電体12Aは、金属材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その金属材料は、銅、アルミニウム、ニッケルおよびステンレスなどである。負極活物質層12Bは、リチウムを吸蔵放出可能である負極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、さらに、負極結着剤および負極導電剤などを含んでいてもよい。負極活物質層12Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
負極活物質は、活物質材料を含んでおり、より具体的には、炭素材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。高いエネルギー密度が得られるからである。炭素材料は、黒鉛、易黒鉛化性炭素および難黒鉛化性炭素鉛などであり、その黒鉛は、天然黒鉛および人造黒鉛などである。中でも、炭素材料は、人造黒鉛および天然黒鉛のうちの一方または双方を含んでいることが好ましい。負極12において充放電反応が円滑かつ安定に進行しやすくなるからである。
この負極活物質は、上記した炭素材料と共に、さらに、ケイ素含有材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。エネルギー密度がより増加するからである。この「ケイ素含有材料」とは、ケイ素を構成元素として含む材料の総称であり、ケイ素の単体でもよいし、ケイ素の合金でもよいし、ケイ素の化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよい、それらの2種類以上の相を含む材料でもよい。炭素材料とケイ素含有材料との混合比は、特に限定されないため、任意に設定可能である。
ケイ素含有材料の具体例は、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiOx (0<x≦2)およびLiSiOなどである。ただし、SiOx のxは、0.2<x<1.4を満たしていてもよい。
なお、負極活物質は、上記した炭素材料を含んでおり、必要に応じて炭素材料と共にケイ素含有材料を含んでいれば、さらに、他の活物質材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。ただし、炭素材料およびケイ素含有材料のそれぞれは、ここで説明する他の活物質材料から除かれる。
他の活物質材料は、金属系材料のうちのいずれか1種類または2種類以上である。この金属系材料は、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を含む材料であり、その金属元素および半金属元素は、スズなどである。ただし、金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよい、それらの2種類以上の相を含む材料でもよい。
金属系材料の具体例は、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOおよびMg2 Snなどである。ただし、ケイ素と共にスズを構成元素として含む材料は、ケイ素含有材料でなく金属系材料に該当することとする。
負極結着剤は、合成ゴムおよび高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムは、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物は、低融点フッ化ビニリデン重合体であるポリフッ化ビニリデン、高融点フッ化ビニリデン重合体であるポリフッ化ビニリデン、ポリイミドおよびカルボキシメチルセルロースなどである。
負極導電剤は、炭素材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その炭素材料は、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、導電性材料は、金属材料および高分子化合物などでもよい。
(セパレータ)
セパレータ13は、図2に示したように、正極11と負極12との間に介在している絶縁性の多孔質膜であり、その正極11と負極12との接触を防止しながらリチウムイオンを通過させる。このセパレータ13は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどの高分子化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
正極11およびセパレータ13では、正極活物質層11Bが正極集電体11Aとセパレータ13との間に介在しているため、その正極活物質層11Bが正極集電体11Aおよびセパレータ13のそれぞれに密着している。
ここでは、後述するように、正極11の作製工程において、正極集電体11Aの表面に正極合剤スラリーが塗布されることにより、正極活物質層11Bが形成されている。これにより、完成後の二次電池において、正極集電体11Aに対する正極活物質層11Bの密着強度S1は、セパレータ13に対する正極活物質層11Bの密着強度S2よりも大きくなっている。正極集電体11Aに対して正極活物質層11Bが十分に密着するため、正極11の集電性が向上するからである。
密着強度S1,S2の大小関係を調べる際には、二次電池を解体することにより、互いに密着された正極11およびセパレータ13を回収したのち、その正極11からセパレータ13を剥離させる。これにより、正極活物質層11Bがセパレータ13と一緒に剥離されずに正極集電体11Aの上に残存した場合には、密着強度S1が密着強度S2よりも大きいことになる。一方、正極活物質層11Bがセパレータ13と一緒に正極集電体11Aから剥離した場合には、密着強度S1が密着強度S2よりも小さいことになる。
もちろん、剥離試験機(180°剥離法)などを用いて密着強度S1,S2のそれぞれを実測することにより、その密着強度S1,S2の大小関係を調べてもよい。
(電解液)
電解液は、溶媒および電解質塩を含んでいる。
溶媒は、非水溶媒(有機溶剤)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その非水溶媒を含んでいる電解液は、いわゆる非水電解液である。この非水溶媒は、エステル類およびエーテル類などであり、より具体的には、炭酸エステル系化合物、カルボン酸エステル系化合物およびラクトン系化合物などである。電解質塩の解離性が向上すると共に、高いイオンの移動度が得られるからである。
具体的には、炭酸エステル系化合物は、環状炭酸エステルおよび鎖状炭酸エステルなどである。環状炭酸エステルの具体例は、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどであると共に、鎖状炭酸エステルの具体例は、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸メチルエチルなどである。
カルボン酸エステル系化合物は、カルボン酸エステルなどである。カルボン酸エステルの具体例は、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピルおよびトリメチル酢酸エチルなどである。
ラクトン系化合物は、ラクトンなどである。ラクトンの具体例は、γ-ブチロラクトンおよびγ-バレロラクトンなどである。なお、エーテル類は、上記したラクトン系化合物の他、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサンなどでもよい。
また、非水溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、酸無水物、ニトリル化合物およびイソシアネート化合物などでもよい。電解液の化学的安定性が向上するからである。
不飽和環状炭酸エステルの具体例は、炭酸ビニレン(1,3-ジオキソール-2-オン)、炭酸ビニルエチレン(4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン)および炭酸メチレンエチレン(4-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オン)などである。ハロゲン化炭酸エステルの具体例は、フルオロ炭酸エチレン(4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン)およびジフルオロ炭酸エチレン(4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン)などである。スルホン酸エステルの具体例は、1,3-プロパンスルトンおよび1,3-プロペンスルトンなどである。リン酸エステルは、リン酸トリメチルおよびリン酸トリエチルなどである。
酸無水物は、環状ジカルボン酸無水物、環状ジスルホン酸無水物および環状カルボン酸スルホン酸無水物などである。環状ジカルボン酸無水物の具体例は、コハク酸無水物、グルタル酸無水物およびマレイン酸無水物などである。環状ジスルホン酸無水物の具体例は、1,2-エタンジスルホン酸無水物および1,3-プロパンジスルホン酸無水物などである。環状カルボン酸スルホン酸無水物の具体例は、スルホ安息香酸無水物、スルホプロピオン酸無水物およびスルホ酪酸無水物などである。
ニトリル化合物は、モノニトリル化合物およびジニトリル化合物などである。モノニトリル化合物の具体例は、アセトニトリルなどである。ジニトリル化合物の具体例は、スクシノニトリル、グルタロニトリルおよびアジポニトリルなどである。イソシアネート化合物の具体例は、ヘキサメチレンジイソシアネートなどである。
電解質塩は、リチウム塩などの軽金属塩のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。リチウム塩の具体例は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(FSO2 2 )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 )、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム(LiC(CF3 SO2 3 )、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウム(LiBF2 (C2 4 ))およびビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C2 4 2 )などである。
電解質塩の含有量は、特に限定されないが、具体的には、溶媒に対して0.3mol/kg~3.0mol/kgである。高いイオン伝導性が得られるからである。
[正極リードおよび負極リード]
正極リード31は、正極11(正極集電体11A)に接続された正極端子であり、アルミニウムなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。正極リード31の形状は、特に限定されないが、具体的には、薄板状および網目状などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
負極リード32は、負極12(負極集電体12A)に接続された負極端子であり、銅、ニッケルおよびステンレスなどの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。負極リード32の形状に関する詳細は、上記した正極リード31の形状に関する詳細と同様である。
ここでは、正極リード31および負極リード32のそれぞれは、図1に示したように、外装フィルム20の内部から外部に向かって互いに共通する方向に導出されている。ただし、正極リード31および負極リード32のそれぞれは、互いに異なる方向に導出されていてもよい。
また、正極リード31の本数は、1本である。ただし、正極リード31の本数は、特に限定されないため、2本以上でもよい。特に、正極リード31の本数が2本以上であると、二次電池の電気抵抗が低下する。ここで正極リード31の本数に関して説明したことは、負極リード32の本数に関しても同様であるため、その負極リード32の本数は、1本に限らずに2本以上でもよい。
<1-2.動作>
二次電池の充電時には、正極11からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して負極12に吸蔵される。また、二次電池の放電時には、負極12からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して正極11に吸蔵される。これらの充放電時には、リチウムがイオン状態で吸蔵および放出される。
<1-3.製造方法>
二次電池を製造する場合には、以下で説明する手順により、正極11および負極12を作製すると共に電解液を調製したのち、その正極11、負極12および電解液を用いて二次電池を作製する。以下では、随時、既に説明した図1および図2を参照する。
[正極の作製]
最初に、リチウムコバルト複合酸化物を含む正極活物質と、低融点フッ化ビニリデン重合体を含む正極結着剤と、中空構造を有するカーボンブラックを含む正極導電剤とを混合することにより、正極合剤とする。この場合には、正極活物質の割合R1が97.9重量%~98.5重量%、正極結着剤の割合R2が0.8重量%~1.4重量%、正極導電剤の割合R3が0.5重量%~1.1重量%となるように、正極活物質と正極結着剤と正極導電剤との混合比を調整する。なお、必要に応じて、正極合剤にポリビニルピロリドンなどの添加剤を添加してもよい。
続いて、有機溶剤などに正極合剤を投入することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製する。続いて、正極集電体11Aの両面に正極合剤スラリーを塗布することにより、正極活物質層11Bを形成する。
続いて、ロールプレス機などを用いて、正極活物質層11Bを圧縮成型する。この場合には、体積密度が4.15g/cm3 以上になるまで正極活物質層11Bを圧縮成型する。また、正極活物質層11Bを加熱しながら圧縮成型してもよいし、その圧縮成型処理を複数回繰り返してもよい。
最後に、真空環境中において正極活物質層11Bを加熱する。この場合には、XPSを用いた正極活物質層11Bの表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度が1.9%~3.0%となるように加熱温度を設定する。この加熱時の加熱温度は、任意に設定可能であるが、具体的には、100℃以上である。
これにより、正極集電体11Aの両面に正極活物質層11Bが配置されるため、正極11が作製される。この場合には、正極集電体11Aに対して正極活物質層11Bが十分に密着するため、完成後の二次電池では、正極集電体11Aに対する正極活物質層11Bの密着強度S1がセパレータ13に対する正極活物質層11Bの密着強度S2よりも大きくなる。
[負極の作製]
上記した正極11の作製手順とほぼ同様の手順により、負極12を作製する。
具体的には、炭素材料を含む負極活物質と、負極結着剤および負極導電剤などとを混合することにより、負極合剤としたのち、有機溶剤などに負極合剤を投入することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製する。なお、必要に応じて、負極合剤に負極活物質としてケイ素含有材料を添加してもよい。続いて、負極集電体12Aの両面に負極合剤スラリーを塗布することにより、負極活物質層12Bを形成する。こののち、負極活物質層12Bを圧縮成型してもよい。
これにより、負極集電体12Aの両面に負極活物質層12Bが配置されるため、負極12が作製される。
[電解液の調製]
溶媒に電解質塩を投入する。これにより、溶媒中において電解質塩が分散または溶解されるため、電解液が調製される。
[二次電池の組み立て]
最初に、溶接法などを用いて正極11(正極集電体11A)に正極リード31を接続させると共に、溶接法などを用いて負極12(負極集電体12A)に負極リード32を接続させる。
続いて、セパレータ13を介して正極11および負極12を互いに積層させたのち、その正極11、負極12およびセパレータ13を巻回させることにより、巻回体を作製する。この巻回体は、正極11、負極12およびセパレータ13のそれぞれに電解液が含浸されていないことを除いて、電池素子10の構成と同様の構成を有している。続いて、プレス機などを用いて巻回体を押圧することにより、扁平形状となるように巻回体を成型する。
続いて、窪み部20Uの内部に巻回体を収容したのち、外装フィルム20(融着層/金属層/表面保護層)を折り畳むことにより、その外装フィルム20同士を互いに対向させる。続いて、熱融着法などを用いて、互いに対向する外装フィルム20(融着層)のうちの2辺の外周縁部同士を互いに接着させることにより、袋状の外装フィルム20の内部に巻回体を収納する。
最後に、袋状の外装フィルム20の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などを用いて外装フィルム20(融着層)のうちの残りの1辺の外周縁部同士を互いに接着させる。この場合には、外装フィルム20と正極リード31との間に密着フィルム21を挿入すると共に、外装フィルム20と負極リード32との間に密着フィルム22を挿入する。これにより、巻回体に電解液が含浸されるため、巻回電極体である電池素子10が作製される。よって、袋状の外装フィルム20の内部に電池素子10が封入されるため、二次電池が組み立てられる。
[二次電池の安定化]
組み立て後の二次電池を充放電させる。環境温度、充放電回数(サイクル数)および充放電条件などの各種条件は、任意に設定可能である。これにより、負極12などの表面に被膜が形成されるため、二次電池の状態が電気化学的に安定化する。よって、外装フィルム20を用いた二次電池、すなわちラミネートフィルム型の二次電池が完成する。
<1-4.作用および効果>
この二次電池によれば、正極活物質がリチウムコバルト複合酸化物を含んでおり、正極結着剤が低融点フッ化ビニリデン重合体を含んでおり、正極導電剤が中空構造を有するカーボンブラックを含んでおり、負極活物質が炭素材料を含んでいる。また、正極活物質の割合R1が97.9重量%~98.5重量%であり、正極結着剤の割合R2が0.8重量%~1.4重量%であり、正極導電剤の割合R3が0.5重量%~1.1重量%であり、正極活物質層11Bの体積密度が4.15g/cm3 以上であり、XPSを用いた正極活物質層11Bの表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度が1.9%~3.0%である。
この場合には、正極11(正極活物質)がリチウムコバルト複合酸化物を含んでいると共に、負極12(負極活物質)が炭素材料を含んでいるため、その正極11および負極12では充放電時においてリチウムが円滑かつ安定に吸蔵放出されやすくなる。
また、割合R1が割合R2,R3のそれぞれに対して十分に大きくなるため、正極活物質層11B中における正極活物質の含有量が十分に増加する。これにより、割合R1が割合R2,R3のそれぞれに対して十分に大きくない場合、すなわち割合R1が97.9重量%未満である場合と比較して、単位体積当たりのエネルギー密度が増加する。
ここで、割合R2が割合R1に対して十分に小さくなると、正極活物質層11B中における正極結着剤の含有量が減少しすぎることに起因して、その正極結着剤が不足するため、正極活物質同士が正極結着剤を介して互いに結着されにくくなる。
また、割合R3が割合R1に対して十分に小さくなると、正極活物質層11B中における正極導電剤の含有量が減少しすぎることに起因して、その正極導電剤が不足するため、正極11の内部抵抗(正極活物質層11Bの電気抵抗)が増加しやすくなる。
さらに、割合R1が割合R2,R3のそれぞれに対して十分に大きくなると、正極活物質層11B中における正極活物質の含有量が増加しすぎることに起因して、その正極活物質同士の摩擦(粒子間摩擦)が増加しやすくなる。これにより、正極活物質層11Bの圧縮成型時において、正極活物質同士の衝突などに起因して正極活物質が破損しやすくなるため、正極11の内部抵抗がより増加しやすくなる。
しかしながら、正極結着剤が低融点フッ化ビニリデン重合体を含んでいると共に、正極導電剤が中空構造を有するカーボンブラックを含んでいる場合において、割合R1,R2,R3のそれぞれが上記した範囲内であると、上記したように、正極結着剤と正極導電剤との混合膜が正極活物質の表面を被覆する。
この場合には、正極活物質同士が混合膜を介して互いに結着されるため、割合R2が割合R1に対して十分に小さくても、その正極活物質同士が混合膜を介して互いに結着されやすくなる。これにより、正極活物質層11Bの加熱時において、低融点フッ化ビニリデン重合体中のフッ素原子によりフッ素の反応物(LiF)が形成されにくくなる。具体的には、XPSを用いた正極活物質層11Bの表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度は、上記したように、1.9%~3.0%となるまで減少する。
また、混合膜の存在に起因して正極活物質同士の摩擦が低下するため、正極活物質層11Bの圧縮成型時において正極活物質同士が互いに衝突しても、その正極活物質が破損しにくくなる。これにより、割合R3が割合R1に対して十分に小さくても、正極11の内部抵抗が増加しにくくなる。
さらに、正極活物質が破損しにくくなることに応じて、正極活物質層11Bが十分に圧縮成型されやすくなるため、その正極活物質層11Bの体積密度は、正極活物質の破損を抑制しながら十分に増加する。具体的には、正極活物質層11Bの体積密度は、上記したように、4.15g/cm3 以上まで増加する。これにより、単位体積当たりのエネルギー密度がより増加する。
これらのことから、正極活物質がリチウムコバルト複合酸化物を含んでいると共に、負極活物質が炭素材料を含んでいる場合において、正極11の内部抵抗の増加が抑制されながら、単位体積当たりのエネルギー密度が増加する。よって、エネルギー密度の向上と電気抵抗の低下とを両立させることができる。
特に、リチウムコバルト複合酸化物が式(1)に示した化合物を含んでいれば、高いエネルギー密度が安定して得られるため、より高い効果を得ることができる。
また、中空構造を有するカーボンブラックがケッチェンブラックを含んでいれば、正極結着剤と正極導電剤との混合膜が正極活物質の表面を被覆しやすくなることにより、その正極活物質同士の摩擦がより低減するため、より高い効果を得ることができる。
また、炭素材料が人造黒鉛などを含んでいれば、負極12において充放電反応が円滑かつ安定に進行しやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
また、負極活物質がさらにケイ素含有材料を含んでいれば、単位体積当たりのエネルギー密度がより増加するため、より高い効果を得ることができる。
また、正極活物質層11Bがさらに添加剤としてポリビニルピロリドンを含んでいれば、正極合剤スラリー中における正極活物質などの分散性が促進される。よって、正極合剤スラリーの塗布性が向上すると共に、正極集電体11Aに対する正極活物質層11Bの密着性が向上するため、より高い効果を得ることができる。
また、正極11(正極集電体11Aおよび正極活物質層11B)と負極12との間にセパレータ13が介在しており、正極集電体11Aに対する正極活物質層11Bの密着強度S1がセパレータ13に対する正極活物質層11Bの密着強度S2よりも大きければ、密着強度S1が密着強度S2よりも小さい場合と比較して正極11の集電性が向上するため、より高い効果を得ることができる。
また、二次電池がリチウムイオン二次電池であれば、リチウムの吸蔵放出を利用して十分な電池容量が安定に得られるため、より高い効果を得ることができる。
<2.変形例>
次に、上記した二次電池の変形例に関して説明する。二次電池の構成は、以下で説明するように、適宜、変更可能である。ただし、以下で説明する一連の変形例のうちの任意の2種類以上は、互いに組み合わされてもよい。
[変形例1]
多孔質膜であるセパレータ13を用いた。しかしながら、ここでは具体的に図示しないが、多孔質膜であるセパレータ13の代わりに、高分子化合物層を含む積層型のセパレータを用いてもよい。
具体的には、積層型のセパレータは、一対の面を有する多孔質膜と、その多孔質膜の片面または両面に配置された高分子化合物層とを含んでいる。正極11および負極12のそれぞれに対するセパレータの密着性が向上するため、電池素子10の位置ずれが発生しにくくなるからである。これにより、電解液の分解反応などが発生しても、二次電池が膨れにくくなる。高分子化合物層は、物理的強度に優れていると共に電気化学的に安定であるポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を含んでいる。
なお、多孔質膜および高分子化合物層のうちの一方または双方は、複数の絶縁性粒子のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。二次電池の発熱時において複数の絶縁性粒子が放熱するため、その二次電池の安全性(耐熱性)が向上するからである。絶縁性粒子は、無機粒子および樹脂粒子などである。無機粒子の具体例は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ベーマイト、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウムおよび酸化ジルコニウムなどの粒子である。樹脂粒子の具体例は、アクリル樹脂およびスチレン樹脂などの粒子である。
積層型のセパレータを作製する場合には、高分子化合物および有機溶剤などを含む前駆溶液を調製したのち、多孔質膜の片面または両面に前駆溶液を塗布する。この他、前駆溶液中に多孔質膜を浸漬させてもよい。この場合には、必要に応じて前駆溶液に複数の絶縁性粒子を添加してもよい。
この積層型のセパレータを用いた場合においても、正極11と負極12との間においてリチウムイオンが移動可能になるため、同様の効果を得ることができる。
[変形例2]
液状の電解質である電解液を用いた。しかしながら、ここでは具体的に図示しないが、電解液の代わりに、ゲル状の電解質である電解質層を用いてもよい。
電解質層を用いた電池素子10では、セパレータ13および電解質層を介して正極11および負極12が巻回されている。この電解質層は、正極11とセパレータ13との間に介在していると共に、負極12とセパレータ13との間に介在している。
具体的には、電解質層は、電解液と共に高分子化合物を含んでおり、その電解質層中では、電解液が高分子化合物により保持されている。電解液の漏液が防止されるからである。電解液の構成は、上記した通りである。高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデンなどを含んでいる。電解質層を形成する場合には、電解液、高分子化合物および有機溶剤などを含む前駆溶液を調製したのち、正極11および負極12のそれぞれの片面または両面に前駆溶液を塗布する。
この電解質層を用いた場合においても、正極11と負極12との間において電解質層を介してリチウムイオンが移動可能になるため、同様の効果を得ることができる。
<3.二次電池の用途>
次に、上記した二次電池の用途(適用例)に関して説明する。
二次電池の用途は、主に、駆動用の電源または電力蓄積用の電力貯蔵源などとして二次電池を利用可能である機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として用いられる二次電池は、主電源でもよいし、補助電源でもよい。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、主電源の代わりに用いられる電源でもよいし、必要に応じて主電源から切り替えられる電源でもよい。二次電池を補助電源として用いる場合には、主電源の種類は二次電池に限られない。
二次電池の用途の具体例は、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む。)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。これらの用途では、1個の二次電池が用いられてもよいし、複数個の二次電池が用いられてもよい。
中でも、電池パックは、電動車両、電力貯蔵システムおよび電動工具などの比較的大型の機器などに適用されることが有効である。電池パックは、単電池を用いてもよいし、組電池を用いてもよい。電動車両は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、上記したように、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が蓄積されているため、その電力を利用して家庭用の電気製品などを使用可能である。
ここで、二次電池の適用例の一例に関して具体的に説明する。以下で説明する適用例の構成は、あくまで一例であるため、適宜、変更可能である。
図3は、電池パックのブロック構成を表している。ここで説明する電池パックは、1個の二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆるソフトパック)であり、スマートフォンに代表される電子機器などに搭載される。
この電池パックは、図3に示したように、電源41と、回路基板42とを備えている。この回路基板42は、電源41に接続されていると共に、正極端子43、負極端子44および温度検出端子45(いわゆるT端子)を含んでいる。
電源41は、1個の二次電池を含んでいる。この二次電池では、正極リードが正極端子43に接続されていると共に、負極リードが負極端子44に接続されている。この電源41は、正極端子43および負極端子44を介して外部と接続可能であるため、その正極端子43および負極端子44を介して充放電可能である。回路基板42は、制御部46と、スイッチ47と、熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient(PTC)素子)48と、温度検出部49とを含んでいる。ただし、PTC素子48は省略されてもよい。
制御部46は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit )およびメモリなどを含んでおり、電池パック全体の動作を制御する。この制御部46は、必要に応じて電源41の使用状態の検出および制御を行う。
なお、制御部46は、電源41(二次電池)の電圧が過充電検出電圧または過放電検出電圧に到達すると、スイッチ47を切断することにより、電源41の電流経路に充電電流が流れないようにする。また、制御部46は、充電時または放電時において大電流が流れると、スイッチ47を切断することにより、充電電流を遮断する。過充電検出電圧および過放電検出電圧は、特に限定されない。一例を挙げると、過充電検出電圧は、4.2V±0.05Vであると共に、過放電検出電圧は、2.4V±0.1Vである。
スイッチ47は、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオードなどを含んでおり、制御部46の指示に応じて電源41と外部機器との接続の有無を切り換える。このスイッチ47は、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor (MOSFET))などを含んでおり、充放電電流は、スイッチ47のON抵抗に基づいて検出される。
温度検出部49は、サーミスタなどの温度検出素子を含んでおり、温度検出端子45を用いて電源41の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部46に出力する。温度検出部49により測定される温度の測定結果は、異常発熱時において制御部46が充放電制御を行う場合および残容量の算出時において制御部46が補正処理を行う場合などに用いられる。
本技術の実施例に関して説明する。
(実験例1~25)
二次電池を作製したのち、その二次電池の性能を評価した。
[二次電池の作製]
以下で説明する手順により、図1および図2に示したラミネートフィルム型の二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製した。
(正極の作製)
最初に、正極活物質(リチウムコバルト複合酸化物)と、正極結着剤(低融点フッ化ビニリデン重合体)と、正極導電剤(中空構造を有するカーボンブラック)とを混合することにより、正極合剤とした。
リチウムコバルト複合酸化物としては、LiCoO2 (LOC)と、LiCo0.98Al0.022 (LCOA)とを用いた。低融点フッ化ビニリデン重合体としては、低融点を有するポリフッ化ビニリデン(LMPVDF,アルケマ株式会社製の電極バインダ Kynar HSV1800(登録商標),融点=160℃~170℃)を用いた。中空構造を有するカーボンブラックとしては、ケッチェンブラック(KB)を用いた。正極合剤を得る場合には、割合R1,R2,R3のそれぞれが表1および表2に示した値となるように、正極活物質と正極結着剤と正極導電剤との混合比を調整した。
続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に正極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて正極集電体11A(厚さ=12μmであるアルミニウム箔)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層11Bを形成した。
続いて、ロールプレス機を用いて、正極活物質層11Bを圧縮成型した。圧縮成型後における正極活物質層11Bの体積密度(g/cm3 )は、表1および表2に示した通りである。この体積密度は、正極活物質層11Bの圧縮成型後における体積密度の最大値である。
最後に、真空環境中において正極活物質層11Bを加熱(加熱温度=100℃)した。これにより、正極集電体11Aの両面に正極活物質層11Bが配置されたため、正極11が作製された。
正極11の完成後、XPSを用いて正極活物質層11Bの表面を分析することにより、フッ素原子の元素濃度(%)を測定したところ、表1および表2に示した結果が得られた。
なお、比較のために、負極結着剤として、低融点フッ化ビニリデン重合体の代わりに高融点フッ化ビニリデン重合体を用いたことを除いて同様の手順により、正極11を作製した。高融点フッ化ビニリデンとしては、高融点を有するポリフッ化ビニリデン(HMPVDF,株式会社クレハ製の電極用高性能バインダ クレハKFポリマー #7300(登録商標),融点=170℃超175℃以下)を用いた。
また、比較のために、負極導電剤として、中空構造を有するカーボンブラックの代わりに、中空構造を有しないカーボンブラック(アセチレンブラック(AB))を用いたことを除いて同様の手順により、正極11を作製した。
(負極の作製)
最初に、負極活物質98重量部と、負極結着剤2重量部とを混合することにより、負極合剤とした。負極活物質としては、炭素材料である人造黒鉛および天然黒鉛と、ケイ素含有材料である酸化ケイ素(SiOx )とを用いた。人造黒鉛とケイ素含有材料とを併用する場合には、混合比(重量比)を人造黒鉛:ケイ素含有材料=80:20とした。負極結着剤としては、上記した高融点フッ化ビニリデン重合体であるポリフッ化ビニリデンを用いた。
続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体12A(厚さ=15μmである銅箔)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層12Bを形成した。
最後に、ロールプレス機を用いて負極活物質層12Bを圧縮成型した。これにより、負極集電体12Aの両面に負極活物質層12Bが配置されたため、負極12が作製された。
(電解液の調製)
溶媒(環状炭酸エステルである炭酸エチレンおよび鎖状炭酸エステルである炭酸ジエチル)に電解質塩(リチウム塩であるLiPF6 )を添加したのち、その溶媒を撹拌した。この場合には、溶媒の混合比(重量比)を炭酸エチレン:炭酸ジエチル=30:70としたと共に、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。これにより、溶媒中において電解質塩が溶解または分散されたため、電解液が調製された。
(二次電池の組み立て)
最初に、正極11(正極集電体11A)にアルミニウム製の正極リード31を溶接したと共に、負極12(負極集電体12A)に銅製の負極リード32を溶接した。
続いて、セパレータ13(厚さ=15μmである微多孔性ポリエチレンフィルム)を介して正極11および負極12を互いに積層させたのち、その正極11、負極12およびセパレータ13を巻回させることにより、巻回体を作製した。続いて、プレス機を用いて巻回体をプレスすることにより、扁平形状となるように巻回体を成型した。
続いて、外装フィルム20に設けられた窪み部20Uの内部に巻回体を収容した。外装フィルム20としては、融着層(厚さ=30μmであるポリプロピレンフィルム)と、金属層(厚さ=40μmであるアルミニウム箔)と、表面保護層(厚さ=25μmであるナイロンフィルム)とがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。続いて、巻回体を挟むと共に融着層が内側となるように外装フィルム20を折り畳んだのち、その外装フィルム20(融着層)のうちの2辺の外周縁部同士を互いに熱融着することにより、袋状の外装フィルム20の内部に巻回体を収納した。
最後に、袋状の外装フィルム20の内部に電解液を注入したのち、減圧環境中において外装フィルム20(融着層)のうちの残りの1辺の外周縁部同士を互いに熱融着した。この場合には、外装フィルム20と正極リード31との間に密着フィルム21(厚さ=5μmであるポリプロピレンフィルム)を挿入したと共に、外装フィルム20と負極リード32との間に密着フィルム22(厚さ=5μmであるポリプロピレンフィルム)を挿入した。これにより、巻回体に電解液が含浸されたため、電池素子10が作製された。よって、外装フィルム20の内部に電池素子10が封入されたため、二次電池が組み立てられた。
(二次電池の安定化)
常温環境中(温度=23℃)において二次電池を1サイクル充放電させた。充電時には、0.1Cの電流で電圧が4.2Vに到達するまで定電流充電したのち、その4.2Vの電圧で電流が0.05Cに到達するまで定電圧充電した。放電時には、0.1Cの電流で電圧が2.5Vに到達するまで定電流放電した。0.1Cとは、電池容量(理論容量)を10時間で放電しきる電流値であると共に、0.05Cとは、電池容量を20時間で放電しきる電流値である。
これにより、負極12の表面などに被膜が形成されたため、二次電池の状態が安定化した。よって、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。
なお、二次電池の完成後、正極11およびセパレータ13を回収したのち、その正極11からセパレータ13を剥離させたところ、正極活物質層11Bがセパレータ13と一緒に剥離されずに正極集電体11Aの上に残存した。これにより、正極集電体11Aに対する正極活物質層11Bの密着強度S1はセパレータ13に対する正極活物質層11Bの密着強度S2よりも大きいことが確認された。
[性能の評価]
二次電池の性能(エネルギー特性および電気抵抗特性)を評価したところ、表1および表2に示した結果が得られた。各特性の評価手順は、以下で説明する通りである。
(エネルギー特性)
常温環境中において二次電池を充放電させることにより、その二次電池の放電容量(電池容量(mAh))を測定した。充放電条件は、上記した二次電池の安定化時の充放電条件と同様にした。
(電気抵抗特性)
最初に、常温環境中において二次電池を充電させた。充電条件は、上記した二次電池の安定化時の充電条件と同様にした。続いて、0.1Cの電流で二次電池を5時間定電流放電させることにより、その二次電池の充電深度を50%となるように調整した。続いて、50%となるように充電深度を調整した直後、1.0Cの電流で二次電池を1秒間定電流放電させることにより、その定電流放電の前後における電圧変化量ΔVを測定した。1.0Cとは、電池容量を1時間で放電しきる電流値である。最後に、直流抵抗(mΩ)=電圧変化量ΔV/電流値(=1.0C)という計算式に基づいて、二次電池の直流抵抗を測定した。
Figure 0007302731000001
Figure 0007302731000002
[考察]
表1および表2に示したように、正極11(正極活物質)がリチウムコバルト複合酸化物を含んでいると共に負極12(負極活物質)が炭素材料を含んでいる二次電池では、エネルギー特性および電気抵抗特性のそれぞれが正極活物質層11Bの構成(正極結着剤の種類、正極導電剤の種類および割合R1,R2,R3)に応じて変動した。
具体的には、正極結着剤が高融点フッ化ビニリデン重合体(HMPVDF)を含んでいる場合(実験例20~22)および正極導電剤が中空構造を有しないカーボンブラック(AB)を含んでいる場合(実験例23~25)には、割合R1,R2,R3に依存せずに、電池容量および直流抵抗の双方に関して良好な結果が得られなかった。すなわち、ほとんどの場合において十分な電池容量が得られなかったと共に、直流抵抗が軒並み増加した。
これに対して、正極結着剤が低融点フッ化ビニリデン重合体(LMPVDF)を含んでいると共に正極導電剤が中空構造を有するカーボンブラック(KB)を含んでいる場合(実験例1~19)には、割合R1,R2,R3に応じて、電池容量および直流抵抗の双方に関して良好な結果が得られた。
すなわち、割合R1が97.9重量%~98.5重量%であり、割合R2が0.8重量%~1.4重量%であり、割合R3が0.5重量%~1.1重量%であるという3つの条件が同時に満たされている場合(実験例2~7,10~15,17~19)には、その3つの条件が同時に満たされていない場合(実験例1,8,9,16)とは異なり、電池容量が十分に増加したと共に、直流抵抗が十分に減少した。
特に、3つの条件が同時に満たされている場合には、以下で説明する一連の傾向が得られた。
第1に、割合R1,R2,R3のそれぞれが上記した範囲内であることに応じて、正極活物質層11Bの体積密度が4.15g/cm3 以上になるまで増加したと共に、フッ素原子の元素濃度が1.9%~3.0%になるまで減少した。
第2に、リチウムコバルト複合酸化物の種類を変更した場合(実験例17)および炭素材料の種類を変更した場合(実験例18)においても、電池容量が十分に増加したと共に、直流抵抗が十分に減少した。
第3に、負極活物質が炭素材料と共にケイ素含有材料を含んでいる場合(実験例19)には、負極活物質が炭素材料をだけを含んでいる場合(実験例4)と比較して、電池容量がより増加した。
(実験例26)
表3に示したように、正極合剤に添加剤(ポリビニルピロリドン(PVP))を添加したことを除いて同様の手順により、二次電池を作製したと共に、その二次電池の性能を評価した。この場合には、正極合剤に対する添加剤の添加量を0.03重量%とした。
Figure 0007302731000003
表3に示したように、正極活物質層11Bが添加剤(PVP)を含んでいる場合(実験例26)には、正極活物質層11Bが添加剤を含んでいない場合(実験例4)と比較して、電池容量がより増加したと共に、直流抵抗がより減少した。
(実験例27,28)
表4に示したように、正極11の作製工程(圧縮成型後)において正極活物質層11Bの加熱温度(℃)を変更したことを除いて同様の手順により、二次電池を作製したと共に、その二次電池の性能を評価した。
Figure 0007302731000004
表4に示したように、フッ素原子の元素濃度は、加熱温度に応じて変化した。この場合には、加熱温度が150℃以下であると、フッ素原子の元素濃度が3.0%以下になるまで減少したため、電池容量が十分に増加したと共に、直流抵抗が十分に減少した。
[まとめ]
表1~表4に示した結果から、正極活物質がリチウムコバルト複合酸化物を含んでおり、正極結着剤が低融点フッ化ビニリデン重合体を含んでおり、正極導電剤が中空構造を有するカーボンブラックを含んでおり、負極活物質が炭素材料を含んでいる場合において、正極活物質の割合R1が97.9重量%~98.5重量%であり、正極結着剤の割合R2が0.8重量%~1.4重量%であり、正極導電剤の割合R3が0.5重量%~1.1重量%であり、XPSを用いた正極活物質層11Bの表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度が1.9%~3.0%であると、正極活物質層11Bの体積密度が4.15g/cm3 以上まで増加したことに加えて、電池容量が十分に増加したと共に直流抵抗が十分に減少した。よって、二次電池において、エネルギー密度の向上と電気抵抗の低下とを両立させることができた。
以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術に関して説明したが、その本技術の構成は、一実施形態および実施例において説明された構成に限定されないため、種々に変形可能である。
二次電池の電池構造がラミネートフィルム型である場合に関して説明したが、その電池構造は、特に限定されない。具体的には、電池構造は、円筒型、角型、コイン型およびボタン型などでもよい。
また、電池素子の素子構造が巻回型である場合に関して説明したが、その電池素子の素子構造は、特に限定されない。具体的には、素子構造は、電極(正極および負極)が積層された積層型および電極(正極および負極)がジグザグに折り畳まれた九十九折り型などでもよい。
さらに、電極反応物質がリチウムである場合に関して説明したが、その電極反応物質は、特に限定されない。具体的には、電極反応物質は、上記したように、ナトリウムおよびカリウムなどの他のアルカリ金属でもよいし、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属でもよい。この他、電極反応物質は、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。
本明細書中に記載された効果は、あくまで例示であるため、本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本技術に関して、他の効果が得られてもよい。

Claims (8)

  1. 正極活物質、正極結着剤および正極導電剤を含む正極活物質層、を備えた正極と、
    負極活物質を含む負極と、
    電解液と
    を備え、
    前記正極活物質は、リチウムコバルト複合酸化物を含み、
    前記正極結着剤は、160℃以上170℃以下の融点を有するフッ化ビニリデン重合体を含み、
    前記正極導電剤は、中空構造を有するカーボンブラックを含み、
    前記負極活物質は、炭素材料を含み、
    前記正極活物質の重量と前記正極結着剤の重量と前記正極導電剤の重量との和に対する前記正極活物質の重量の割合は、97.9重量%以上98.5重量%以下であり、
    前記正極活物質の重量と前記正極結着剤の重量と前記正極導電剤の重量との和に対する前記正極結着剤の重量の割合は、0.8重量%以上1.4重量%以下であり、
    前記正極活物質の重量と前記正極結着剤の重量と前記正極導電剤の重量との和に対する前記正極導電剤の重量の割合は、0.5重量%以上1.1重量%以下であり、
    前記正極活物質層の体積密度は、4.15g/cm3 以上であり、
    X線光電子分光分析法を用いた前記正極活物質層の表面分析により測定されるフッ素原子の元素濃度は、1.9%以上3.0%以下である、
    二次電池。
  2. 前記リチウムコバルト複合酸化物は、下記の式(1)で表される化合物を含む、
    請求項1記載の二次電池。
    Lix Co1-y y 2-z z ・・・(1)
    (Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Na、Mg、Al、Si、Sn、K、Ca、Zn、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ba、La、WおよびBのうちの少なくとも1種である。Xは、F、Cl、Br、IおよびSのうちの少なくとも1種である。x、yおよびzは、0.8<x<1.2、0≦y<0.15および0≦z<0.05を満たす。ただし、Liの組成は、充放電状態に応じて異なると共に、xの値は、完全放電状態の値である。)
  3. 前記中空構造を有するカーボンブラックは、ケッチェンブラックを含む、
    請求項1または請求項2に記載の二次電池。
  4. 前記炭素材料は、人造黒鉛および天然黒鉛のうちの少なくとも一方を含む、
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
  5. 前記負極活物質は、さらに、ケイ素含有材料を含む、
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の二次電池。
  6. 前記正極活物質層は、さらに、ポリビニルピロリドンを含む、
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の二次電池。
  7. さらに、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータを備え、
    前記正極は、さらに、前記正極活物質層を支持する正極集電体を備え、
    前記正極活物質層は、前記正極集電体および前記セパレータのそれぞれに密着しており、
    前記正極集電体に対する前記正極活物質層の密着強度は、前記セパレータに対する前記正極活物質層の密着強度よりも大きい、
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の二次電池。
  8. リチウムイオン二次電池である、
    請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の二次電池。
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