WO2015049974A1 - ベントピースおよび空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
空気入りタイヤの加硫成形において、後から容易に追加することが可能で、綺麗に配置できる場所の制約も受けることなく、スピューの発生を充分に抑制することができるベントピースと、前記ベントピースが埋め込まれた空気入りタイヤの加硫金型を用いてローカバーの加硫成形を行う空気入りタイヤの製造方法を提供する。 空気入りタイヤの加硫金型の内面に設けられたエア抜き用の下穴に埋め込まれて使用されるベントピースであって、軸方向に穴を有しない柱状体であり、エア抜き用の下穴の側面部との間に形成される隙間からエア抜きを行うように構成されているベントピース。柱状体の側面部に、軸方向に伸びるソーカットが形成されているベントピース。前記ベントピースが埋め込まれた空気入りタイヤの加硫金型を用いて、ローカバーの加硫成形を行う空気入りタイヤの製造方法。
Description
本発明は、空気入りタイヤの加硫成形においてローカバー(未加硫タイヤ)のエア抜きを行うために用いられるベントピースと、加硫金型に前記ベントピースを埋め込んで空気入りタイヤの加硫成形を行う空気入りタイヤの製造方法に関する。
空気入りタイヤの加硫成形は、ローカバーを加硫金型内にセットし、ローカバーの内側に配置されたブラダーを膨張させることにより、ローカバーの外表面を加硫金型の内面に圧着すると共に、ローカバーを所定の温度および圧力で所定時間加熱、加圧することによって行われる。
この加硫成形において、ローカバー内面や表面にエアが残っていると、製品である空気入りタイヤの外観品質や耐久性が低下する原因になるため、例えば、加硫金型にベントホールを設けてエア抜きを行うこと(例えば、特許文献1)や、金型に形成された下穴にベントピースを埋め込んでエア抜きを行うことが広く行われていた。
しかし、これらの方法においては、ベントホールやベントピースの穴へのゴムのはみ出しによってスピューが発生することが避けられなかった。この内、ベントホールにより発生したスピューは製造工程で除去する必要がある。また、ベントピースにより発生したスピューは数が増えると外観上好ましくない。
このようなスピューの発生を抑制する方法として、金型を複数に分割する方法(例えば、特許文献2)や、スプリング状のベントピース(スプリングベント)を用いる方法が提案されている。
しかし、これらの方法は、未だ以下に示すような問題点を有していた。
即ち、金型を複数に分割する方法の場合には、分割された金型の合わせ面に形成される隙間からエアを抜くことによりエア抜きを行うことができるが、エアを抜く部分は金型の初期設計で決定されるため、後から追加することができない。また、金型を余り多く分割すると、加圧に耐えきれず歪みが生じる恐れがある。
そして、スプリングベントを用いる方法の場合には、図6に示すように、筒状のベントピース31に装着された弁体32とスプリング33との動作により、エア抜きを行うことができ、後から追加することも可能であるが、スプリングベント3は構造上直径が2.0~4.0mmと大きくならざるを得ず、綺麗に配置できる場所に制約が生じる。
そこで、本発明は、空気入りタイヤの加硫成形において、後から容易に追加することが可能で、綺麗に配置できる場所の制約も受けることなく、スピューの発生を充分に抑制することができるベントピースと、前記ベントピースが埋め込まれた空気入りタイヤの加硫金型を用いてローカバーの加硫成形を行う空気入りタイヤの製造方法を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、
空気入りタイヤの加硫金型の内面に設けられたエア抜き用の下穴に埋め込まれて使用されるベントピースであって、
軸方向に穴を有しない柱状体であり、
前記エア抜き用の下穴の側面部との間に形成される隙間からエア抜きを行うように構成されている
ことを特徴とするベントピースである。
空気入りタイヤの加硫金型の内面に設けられたエア抜き用の下穴に埋め込まれて使用されるベントピースであって、
軸方向に穴を有しない柱状体であり、
前記エア抜き用の下穴の側面部との間に形成される隙間からエア抜きを行うように構成されている
ことを特徴とするベントピースである。
請求項2に記載の発明は、
前記柱状体の側面部に、軸方向に伸びるソーカットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベントピースである。
前記柱状体の側面部に、軸方向に伸びるソーカットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベントピースである。
請求項3に記載の発明は、
前記柱状体の側面部に、さらに、周方向のベントラインが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のベントピースである。
前記柱状体の側面部に、さらに、周方向のベントラインが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のベントピースである。
請求項4に記載の発明は、
前記柱状体の側面部の少なくとも一部に、アヤ目ローレットが形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のベントピースである。
前記柱状体の側面部の少なくとも一部に、アヤ目ローレットが形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のベントピースである。
請求項5に記載の発明は、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のベントピースが埋め込まれた空気入りタイヤの加硫金型を用いて、ローカバーの加硫成形を行うことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のベントピースが埋め込まれた空気入りタイヤの加硫金型を用いて、ローカバーの加硫成形を行うことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
本発明によれば、空気入りタイヤの加硫成形において、後から容易に追加することが可能で、綺麗に配置できる場所の制約も受けることなく、スピューの発生を充分に抑制することができるベントピースと、前記ベントピースが埋め込まれた空気入りタイヤの加硫金型を用いてローカバーの加硫成形を行う空気入りタイヤの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を参照して説明する。
1.ベントピース
図1は、本発明の一実施の形態に係るベントピースの平面図および側面図であり、図2はその斜視図である。図1、図2において、1はベントピースであり、11はその頭部であり、12は胴体部であり、13はソーカットであり、14はベントラインであり、15はアヤ目ローレットである。
図1は、本発明の一実施の形態に係るベントピースの平面図および側面図であり、図2はその斜視図である。図1、図2において、1はベントピースであり、11はその頭部であり、12は胴体部であり、13はソーカットであり、14はベントラインであり、15はアヤ目ローレットである。
図1、図2に示すように、ベントピース1は、軸方向に穴を有しない柱状体に形成されており、頭部11および胴体部12を備えている。そして、このベントピース1は、空気入りタイヤの加硫金型の内面に設けられたエア抜き用の下穴に埋め込まれて使用され、エア抜き用の下穴の側面部との間に形成される隙間からエア抜きを行うように構成されている。
この結果、このベントピース1が埋め込まれた加硫金型を用いて、ローカバーの加硫成形を行った場合、ベントピース1の側面部とエア抜き用の下穴の側面部との間に形成されたエア抜き用の隙間を通じてエアが抜けていくため、スピューの発生が抑制された空気入りタイヤを得ることができる。
そして、本実施の形態に係るベントピース1は、単純な構造の柱状体であるため、従来のスプリングベントのような構造上の制約がなく、より小さなサイズとすることができ、どのような箇所であっても特に制約なく、綺麗に埋め込んで配置することができる。
ベントピース1の材質としては、ステンレス、鉄、アルミなどが好ましく、この内でも、ステンレスが特に好ましい。
ベントピース1の形状としては、加硫金型に下穴を設ける際の加工のし易さなどを考慮すると円柱状が好ましく、具体的には、頭部11の直径D1、胴体部12の直径D2が1.4~2.6mm、全長L1が6~14mmの円柱状のベントピース1が好ましい。
なお、ベントピース1の側面部とエア抜き用の下穴の側面部との間に形成されるエア抜き用の隙間としては、エアを充分に抜いてスピューの発生を抑制することができる隙間が形成されていればよく、前記した頭部11の直径D1および胴体部12の直径D2は、この点を考慮して、上記範囲で適宜設定される。
そして、ベントピース1の形状としては、上記した円柱状に限定されず、角柱状やその他の柱状であってもよい。
ベントピース1の側面部には、軸方向に伸びるソーカット13が形成されていることが好ましい。このようなソーカット13が設けられていることにより、同じサイズのベントピース1であっても、エアの通路がより充分に確保されて、エア抜き機能がより向上する。
また、ベントピース1において、頭部11と胴体部12との間に、周方向に伸びるベントライン14が形成されているとより好ましい。このようなベントライン14が設けられていることにより、頭部11の周囲の隙間を通過したエアがベントライン14を経由してソーカット13に導かれるため、エアの通路がさらに充分に確保されて、エア抜き機能がさらに向上する。
ソーカット13およびベントライン14の具体的な形状としては、R0.1~0.4mmもしくは類似する形状の溝であることが好ましい。
ソーカットやベントラインの形成は、1箇所に限定されず、2箇所以上の複数箇所に形成されていてもよい。また、ソーカットやベントラインを設けなくても充分にエアの通路を確保できる場合には、形成させる必要はない。
さらに、胴体部12の側面部の少なくとも一部表面には、アヤ目ローレット15が形成されていることが好ましい。アヤ目ローレット15は、ベントピース1が埋め込まれる加硫金型の下穴と同じ程度で胴体部12よりも大きな径D3に形成されており、加硫金型に埋め込まれたベントピース1が下穴から抜け落ちることを防止する。そして、アヤ目ローレット15の凹凸と下穴の側面部との間に形成されたエア抜き用の隙間に沿ってエアが充分に抜けていくため、エア抜き機能がより向上する。
なお、アヤ目ローレット15が形成される長さL3およびアヤ目のピッチは、ベントピース1の下穴への埋め込み作業性や下穴からの抜け落ち防止性などを考慮して、適宜決定されるが、具体的には、0.3~0.7mmピッチであることが好ましい。
2.ベントピースを用いた空気入りタイヤの加硫
次に、上記のベントピースを用いた空気入りタイヤの加硫について説明する。具体的には、上記したベントピース1を空気入りタイヤの加硫金型2の内面に設けられたエア抜き用の下穴に、頭部が加硫金型面上に位置するように埋め込み(図3)、ローカバーの加硫成形を行う。
次に、上記のベントピースを用いた空気入りタイヤの加硫について説明する。具体的には、上記したベントピース1を空気入りタイヤの加硫金型2の内面に設けられたエア抜き用の下穴に、頭部が加硫金型面上に位置するように埋め込み(図3)、ローカバーの加硫成形を行う。
これにより、加硫成形時、ベントピースの側面部とエア抜き用の下穴の側面部との間に形成されたエア抜き用の隙間を通じてエアを充分に抜くことができるため、ベアの発生がなく、スピューの発生も抑制された空気入りタイヤを得ることができる。
このとき、前記したように、本実施の形態においてはベントピースのサイズを小さくすることができるため、図4に示すように、従来のスプリングベントを綺麗に埋め込んで配置することができない幅狭のライン21上であっても、ベントピースを綺麗に埋め込んで配置することができる。
なお、ベントピースは下穴との間に形成された僅かな隙間からエアを抜くため、スプリングベントに比べて1個当たりでは多くのエアを抜くことがない恐れがあるが、ベントピースは、上記したように、スプリングベントを綺麗に配置できない箇所にも容易に綺麗に配置できるため、配置数を容易に増やすことができ、全体として充分な量のエアを抜くことができる。
また、ベントピースの配置は、加硫金型の内面にエア抜き用の下穴を設けることにより行うことができるため、必要に応じて後から追加配置することができる。
図5に、従来のスプリングベントと本実施の形態に係るベントピースとが混在した加硫金型により加硫成形した空気入りタイヤの外観を示す。なお、図5において、Tは加硫成形されたタイヤであり、P1は本実施の形態に係るベントピースによるベント跡、P2は従来のスプリングベントによるベント跡である。
図5に示すように、本実施の形態に係るベントピースによるベント跡P1は一重丸で外観上余り目立たないのに対して、スプリングベントによるベント跡P2は二重丸であり、外観上かなり目立っている。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
1.評価用タイヤの作製
2ピース金型の下型に、図1に示すベントピースを埋め込み、サイズ215/45R17 SP8090の評価用タイヤを作製した。
2ピース金型の下型に、図1に示すベントピースを埋め込み、サイズ215/45R17 SP8090の評価用タイヤを作製した。
なお、図1に示すベントピースにおける各仕様は以下の通りである(単位は全てmm)。
・D1=D2=φ2.0、D3=φ2.1
・L1=10、L2=1、L3=3
・ソーカット13のサイズ=(R)0.2×(深さ)0.2
・ベントライン14のサイズ=(R)0.2
・アヤ目ローレット15のピッチ=0.5
・D1=D2=φ2.0、D3=φ2.1
・L1=10、L2=1、L3=3
・ソーカット13のサイズ=(R)0.2×(深さ)0.2
・ベントライン14のサイズ=(R)0.2
・アヤ目ローレット15のピッチ=0.5
このベントピースの埋め込みは、MFS頂点の周上24箇所、およびサイド部の周上4箇所に行った。なお、MFS頂点の周上にベントピースを多く配置したのは、MFS頂点はエア抜きできないと必ずエア残り(ベア)が発生するためである。
2.評価
作製された評価用タイヤを目視観察して、外観を評価した。
作製された評価用タイヤを目視観察して、外観を評価した。
その結果、ベントピース跡は殆ど目立つことがなく、非常に綺麗な外観の空気入りタイヤが得られていることが確認できた。また、サイドにおけるR40曲面でも、特に問題となるような異常は確認できなかった。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1、31 ベントピース
2 加硫金型
3 スプリングベント
11 頭部
12 胴体部
13 ソーカット
14 ベントライン
15 アヤ目ローレット
21 ライン
32 弁体
33 スプリング
D1 頭部の直径
D2 胴体部の直径
D3 アヤ目ローレットの直径
L1 全長
L2 頭部の厚み
L3 アヤ目ローレットの長さ
P1、P2 ベント跡
T タイヤ
2 加硫金型
3 スプリングベント
11 頭部
12 胴体部
13 ソーカット
14 ベントライン
15 アヤ目ローレット
21 ライン
32 弁体
33 スプリング
D1 頭部の直径
D2 胴体部の直径
D3 アヤ目ローレットの直径
L1 全長
L2 頭部の厚み
L3 アヤ目ローレットの長さ
P1、P2 ベント跡
T タイヤ
Claims (5)
- 空気入りタイヤの加硫金型の内面に設けられたエア抜き用の下穴に埋め込まれて使用されるベントピースであって、
軸方向に穴を有しない柱状体であり、
前記エア抜き用の下穴の側面部との間に形成される隙間からエア抜きを行うように構成されている
ことを特徴とするベントピース。 - 前記柱状体の側面部に、軸方向に伸びるソーカットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベントピース。
- 前記柱状体の側面部に、さらに、周方向のベントラインが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のベントピース。
- 前記柱状体の側面部の少なくとも一部に、アヤ目ローレットが形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のベントピース。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のベントピースが埋め込まれた空気入りタイヤの加硫金型を用いて、ローカバーの加硫成形を行うことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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