JP2010137370A - ベントピース及び前記ベントピースを備えた加硫用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加硫時における加硫用金型内のエアを低コストで確実に排気する。
【解決手段】タイヤの加硫用金型のエア排気用のベントホール内に挿入して用いるベントピース20であって、ベントピース20の円筒体30の排気路32内に摺動自在に配置され、コイルスプリング34によって前記加硫用金型内に突出する方向に付勢された作動軸36と、作動軸36の先端側にその中央部分が取り付けられ下端側は前記排気路32と同心に配置された、前記排気路32を閉鎖可能な大きさを有し、その中央部分から外方に向かって連続した切断片44を形成するように切断された板状体とからなる。
【選択図】 図2

Description

本発明は加硫用金型、例えば未加硫タイヤを加硫成形する加硫用金型のエアを排気するためにベントホール内に配置して用いるベントピース、及び前記ベントピースをそのベントホール内に配置して備えた加硫用金型に関する。
一般に未加硫タイヤを加硫するには、アルミニウム合金もしくは鉄製のタイヤ加硫用金型が用いられる。生タイヤの加硫成形においては、このタイヤ加硫用金型内に未加硫のゴムタイヤ(生タイヤ)を配置して、これを内部に配置したブラダーを膨張させることで上記生タイヤを拡張し、その外表面をタイヤ成形金型の内面に圧着させて成形する。この加硫成形において、加硫用金型内に封じ込められた空気や加硫時に生ゴムから発生するガス(総称してここではエアという)は、タイヤ表面のベアやタイヤ内部のエア入りを発生させ、タイヤの外観品質や耐久性を低下させる。このため、加硫成形においてエアを抜くために従来から種々の方法が採られている。
その第1の方法は、ベントホールと称する円板の孔をタイヤ成形用金型のタイヤ外表面から金型外部に向けて多数貫通して形成し、それによってガスを排気するものである(特許文献1参照)。
この方法を用いることにより、加硫成形工程実行中に加硫用金型からエアを抜くことができる。しかし、ベントホール部分にエアと共に流れ込んだゴム(スピュー又はゴムバリ)は、成型品(ゴムタイヤ)と一体になって離型時にベントホールから引き出される。そのため、そのスピュー部分を除去(トリミング)するための後工程が必要となる。そのためこの方法はタイヤ成形の効率上の問題やコストが掛かるという問題がある。
第2の方法は、ベントホールにさらに小径の穴を持ったベントピースを埋め込むものである(特許文献2参照)。
この方法によるときは、ベントピースのエア排気路は小径でありゴムが流入し難いために上記スピューの発生を抑制することができる。しかし、この方法では、逆にエアの排気路が小径であることにより、加硫中に発生するガスやゴムの分解物の付着が生じると、それによって排気路が詰まり、エア排気不良が生じるという問題が生じる。そのため、定期的に清掃してエア排気路の付着物を除去しなければならない。定期的に加硫用金型の清掃を行うことは工数が掛かることに加え、生産を阻害する等の問題がある。
第3の方法は、タイヤ加硫用の金型を多数に分割し、分割金型を組み合わせたときに金型間に隙間(スリット)を空けておく方法である(特許文献3参照)。
この方法によるときは、上記のスピュー発生の問題や、排気路の閉塞の問題は生じない。しかし、この方法は金型の生産にコストが掛かるという別の問題がある。
第4の方法は開閉可能な弁(タペット弁)を用いるものである。即ち、ケーシング内に収納されたエア抜き弁を加硫用金型のエア抜き穴(ベントホール)に挿入したものである。この弁は加硫中に拡張する生タイヤ表面に押圧されて閉じ、離型時に再び開放するようにバネ付勢されたものである。(特許文献4参照)。
また、第4の方法における他の例では、タイヤ成形金型に形成したベントホールに、排気筒部側面に排気経路を形成した筒状の金属製のホルダと、このホルダに弾性部材を介して常時開弁方法に附勢された栓部材とから成るタイヤ成形プラグを装着し、常時所定の間隔を形成したホルダの嵌合部と栓部材のヘッド部を、金型内のタイヤの押圧力で閉鎖するようにしている(特許文献5参照)。
しかし、この第4の方法によるときは、成形型内のエアが完全に除去される前に弁が閉じることがあり、その場合は成形型内にエア残りが生じるため、成型品(タイヤ)の外観不良が生じる。
特許公開平5 −131451号公報 特許公開2002−113719号公報 特許公開2001−150455号公報 特許公開2006−168253号公報 特許公開平9 −141660号公報
本発明は、従来の未加硫ゴムの加硫成形用金型における上記の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、簡易な構成により加硫用金型内に残留するエア等を確実に排気することが出来ると共に、ゴム詰まりがなく維持管理が容易なベントピース及び当該ベントピースを備えた加硫用金型を提供することである。
請求項1の発明はベントピースであって、加硫用金型のエア排気用のベントホール内に挿入して用いるベントピースであって、排気路を備えた筒体と、筒体の排気路内に摺動自在に配置され付勢手段によって前記加硫用金型内に突出する方向に付勢された軸部材と、前記軸部材の先端側に取り付けられた中央部分と前記筒体に取り付けられた周縁部とを有し、前記排気路と同心に配置されかつ前記排気路よりも大きく、前記中央部分から外方に向かって連続した切断片を形成するように切断された板状体と、からなることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたベントピースにおいて、前記板状体は、前記筒体の前記排気路の周りに設けられた凹所に配置され、前記軸部材が前記加硫用金型内に突出するとき前記加硫用金型内に延び出して前記切断片間を開き、かつ前記軸部材が拡張する未加硫ゴム製品に押されて前記付勢手段の付勢力に抗して前記ベントピース内に退却するのに伴い前記切断片間を閉塞しつつ前記凹所内に収容されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載されたベントピースにおいて、前記板状体が前記凹所内に収容されている状態において、前記切断片間の隙間は、ゴム粒子を通過させずしかしエアを通過させる間隔に維持されることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載されたベントピースにおいて、前記板状体は円板であって、その中央部分から渦巻き状の切断線に沿って切断されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載されたベントピースにおいて、前記軸部材は前記ベントホール内に配置されたコイルバネにその下端が連結されていることを特徴とする。
請求項6の発明は加硫用金型であって、請求項1ないし5のいずれかに記載されたベントピースを、加硫用金型に設けたベントホール内に装着したことを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成により加硫用金型内のエアを確実に排気出来ると共に、ゴム詰まりがなく維持管理が容易である。また、これに加え、構造が簡易で製作が容易であるのでコストを低減することができる。
本発明のベントピース及び加硫用金型を添付図面にしたがって実施形態に基づき説明する。
図1は、本願発明のベントピースを適用する加硫用金型の内面を展開して示した正面図である。加硫用金型10の表面には、例えばタイヤのトレッドを形成するためのパターン12が形成されており、そのパターンを構成する凸又は凹条14に応じて従来と同様に、図示の例では各凸又は凹条14間にベントホール16が形成されている。
図2は本実施形態に係るベントピースを示し、図2Aは、図1の各ベントホール16内に挿入されるベントピースの断面図であり、図2Bはベントピースを構成する後述する円板の正面図である。
本実施形態に係るベントピース20は、中心に例えば断面円形の排気路32を有する筒体(ケーシング)ここでは円筒体30と、上記排気路32内に取り付けた付勢手段、例えばコイルスプリング34と、コイルスプリング34の上端に取り付けられた軸部材例えば金属性の丸棒からなる作動軸36と、作動軸36に取り付けられた金属製の板状体、ここでは円板40とから成っている。
上記作動軸36は上記円筒体30内においてコイルスプリング34により常に円筒体30から外方、即ち加硫用金型内(つまり加硫用金型とブラダー間に形成されるキャビティ)に向かって突出するように付勢されている。
円板40は、図2Bに示すように、その中央部分に上記作動軸36が挿入可能な円板の孔42が形成されていると共に、その孔42から円板40の外縁部近傍まで螺旋状の切断線に沿って例えばレーザ加工などにより切断して(或いは切り込みを入れて)、一連の螺旋状の切断片44となるように構成されている。
この円板40を上記作動軸36に組み付けるに際して、上記円板の孔42の周縁の切断片44先端を例えば接着などの適宜の手段で作動軸36の加硫用金型キャビティに向かう先端部に取り付け、他方、円板40の外周縁部を、円筒体30の加硫用金型内面側の表面に上記排気路32と同心状に形成された凹所38内に配置して、凹所38の表面に例えば接着等の適宜の手段により取り付ける。
ここで凹所38は、円板40が収容されたとき、円板40が、その切断片44間に、エアは通すがゴム粒子は通過させないごく狭い空隙を残留させる余地を残して畳み込まれる深さに形成されている。円板40の切断片44が上記凹所38内に完全に収容されたとき、円板40とベントピース20の加硫用金型側の表面は面一となり、例えば生タイヤを加硫したときにその表面に段差が生じることがない。
上記ベントピース20は、例えば、図1の加硫用金型のベントホール16に挿入(圧入)することで、ベントピース20付き加硫用金型を形成することができる。加硫用金型に挿入されたベントピース20の排気路32中に挿入された作動軸36は、コイルスプリング34による付勢力により加硫用金型のキャビティに向かって突出し、それに伴って作動軸36の先端部に固着された円板40の切断片44が螺旋状に開き、切断片44間に隙間が生じる。
したがって、加硫用金型内のエアは、加硫時に加硫用金型内でブラダーの膨張にしたがって拡張された生タイヤにより圧縮され、図2Aの破線で示すように、切断片44間の隙間から円筒体30の排気路32を通して加硫用金型10外に排気される。
図3は、円板がベントピースの凹所内に収容された状態を示す断面図である。
加硫が進行してやがて図3に示すように生タイヤTが作動軸36に当接して作動軸36を押圧すると、作動軸36は、円板40の螺旋状に展開した切断片44間の隙間を縮めながらコイルスプリング34の弾発力に抗してベントピース20の上記排気路32中を、その上端がベントピース30のキャビティ側の表面と面一になるまで退却する。
作動軸36がベントピース20の排気路32中に完全に退却した状態では、円板40は上記円筒体30の厚み内に収納される。円板40は、その状態で上記切断片44間にゴム粒子は通過できないがエアは通過出来る隙間が残るよう構成されていることにより、ゴム粒子がベントピース20の排気路32に流入してこれを閉塞することがない。
加硫が終了し、加硫済みのタイヤが加硫用金型から除去されると、上記作動軸36は、コイルスプリング34の付勢力で再び加硫用金型のキャビティ内に突出し、同時に円板40の切断片44は螺旋状に展開して切断片44間の隙間が再び拡大する。
これにより加硫中の生タイヤの膨張の初期から最終段階に至るまでの殆どの期間に渡って、拡開した上記切断片44間の最大限に開いた隙間からベントピース20の排気を行うことができる(図2A参照)。
なお、生タイヤの最後の拡張段階で上記切断片44間の隙間は縮小するが(図3参照)、その場合でもゴム粒子は通過させないがエアは通過できる隙間を残留させてあるため、加硫中の全期間に渡って加硫用金型内のエアを排出し続けることができる。
したがって、エア残りによる成型品(タイヤ)の不良の発生を完全に防止することができる。
なお、上記実施形態において、円板40の形状は必ずしも必須ではなく、その形状は任意である。製作のし易さなどの問題はあるが、例えば図4に示すように、矩形板40’としてその中心に作動軸36の断面形状に合致した円板の孔42を形成し、そこから円板と同様にその板体の外縁に向かって一条の切断線に沿って互いに並行に切断した切断片44’を形成されたものであってもよい。また、切断片44、44’も必ずしも並行である必要はなく、要は、作動軸36をスプリング等の付勢力により加硫用金型のキャビティに向けて突出させたとき、切断片間に大きな隙間ができ、作動軸36を円筒体30の排気路32内に収容したときには、既に述べたように、エアは通すがゴム粒子は通さない隙間が形成できるものであればどのようなものでもよい。
その際、筒体(円筒体30)の加硫用金型のキャビティに面する側の面に設けた凹所38の形状は、切断片を備えた板状体の外形に合致させておくことにより、加硫された成型品(タイヤ)の表面にスピュー(ゴムバリ)が発生することを防止できる。
なお、板状体の中心に設けた円板の孔は必ずしも必要ではなく、例えば図5Bのように板状体、ここでは円板40の中央部分43近傍の位置を切断端として切断片44を形成してもよい。この場合は、図示のように、円板40の中央部分43を作動軸36の上端部に接着その他の方法で取り付ける。図5Aはこの円板40を取り付けたベントピースの図2Aと同様の図である。
本実施形態のベントピース20は以上のとおりであるが、その筒体(円筒体30)は従来の加硫用金型に形成されたベントホール16に合わせた形状に作成することにより、そのまま挿入することができるため、ベントホールを備えた加硫用金型に全て適用可能である。
また、板状体が加硫中の生タイヤに押されてベントピース内に収納された状態では、切断片間はエアのみが通過でき、ゴムの流入は阻止できるから、従来のようにベントピースがゴムで閉塞されることがないため、ゴム屑を除去する等の保守を必要とせず、仮にコイルスプリング34が折損したり或いは切断片が外れたり折損した場合にも、新たなベントピース20と取り替えるのみで簡単に修復することができる。
本願発明のベントピースを適用する加硫用金型の内面を展開して示した正面図である。 本実施形態に係るベントピースを示し、図2Aは、各ベントホール内に挿入されるベントピースの断面図であり、図2Bはベントピースを構成する円板の正面図である。 円板がベントピースの凹所内に収容された状態を示す断面図である。 板状体の別の実施形態を示す平面図である。 別の本実施形態に係るベントピースを示し、図5Aは、各ベントホール内に挿入されるベントピースの断面図であり、図5Bはベントピースを構成する円板の正面図である。
符号の説明
10・・・加硫用金型、12・・・パターン、14・・・凸又は凹条、16・・・ベントホール、20・・・ベントピース、30・・・円筒体、32・・・排気路、34・・・コイルスプリング、36・・・作動軸、38・・・凹所、40・・・円板、42・・・円板の孔、44・・・切断片。

Claims (6)

  1. 加硫用金型のエア排気用のベントホール内に挿入して用いるベントピースであって、排気路を備えた筒体と、筒体の排気路内に摺動自在に配置され付勢手段によって前記加硫用金型内に突出する方向に付勢された軸部材と、前記軸部材の先端側に取り付けられた中央部分と前記筒体に取り付けられた周縁部とを有し、前記排気路と同心に配置されかつ前記排気路よりも大きく、前記中央部分から外方に向かって連続した切断片を形成するように切断された板状体と、からなることを特徴とするベントピース。
  2. 請求項1に記載されたベントピースにおいて、
    前記板状体は、前記筒体の前記排気路の周りに設けられた凹所に配置され、前記軸部材が前記加硫用金型内に突出するとき前記加硫用金型内に延び出して前記切断片間を開き、かつ前記軸部材が拡張する未加硫ゴム製品に押されて前記付勢手段の付勢力に抗して前記ベントピース内に退却するのに伴い前記切断片間を閉塞しつつ前記凹所内に収容されることを特徴とするベントピース。
  3. 請求項2に記載されたベントピースにおいて、
    前記板状体が前記凹所内に収容されている状態において、前記切断片間の隙間は、ゴム粒子を通過させずしかしエアを通過させる間隔に維持されることを特徴とするベントピース。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載されたベントピースにおいて、
    前記板状体は円板であって、その中央部分から渦巻き状の切断線に沿って切断されていることを特徴とするベントピース。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載されたベントピースにおいて、
    前記軸部材は前記ベントホール内に配置されたコイルバネにその下端が連結されていることを特徴とするベントピース。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載されたベントピースを、加硫用金型に設けたベントホール内に装着したことを特徴とする加硫用金型。
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