WO2015025474A1 - 透明電極の製造方法、透明電極、及びそれを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Abstract

 透明導電層の高さの不均一による透明電極の表面平滑性の低下を抑制することができる透明電極の製造方法、透明電極、及びそれを備えた有機EL素子を提供する。本発明に係る透明電極は、透明基材(12)と、透明基材(12)の表面の一部を覆う、導電材料で形成された細線構造部(13)と、細線構造部(13)を覆うように透明基材(12)上に形成された透明導電層(21)と、を有する透明電極において、透明導電層(21)を、2層以上の層で形成したものである。

Description

透明電極の製造方法、透明電極、及びそれを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子
 本発明は、透明電極の製造方法、透明電極、及びそれを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、特に、塗布や印刷法を用いた透明電極の製造方法に関する。
 近年、液晶表示素子(LCD)に続く次世代表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する。)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた発光装置の研究開発が行われている。
 有機EL素子は、陽極と、陰極と、これらの一対の電極間に形成される、例えば有機発光層、正孔注入層等を有する有機EL層(発光機能層)とを備える。有機EL素子では、有機発光層において正孔と電子が再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
 このような有機EL素子の光を取り出す側の透明電極は、一般的には、錫ドープ酸化インジウム(Indium Thin Oxide;ITO)や亜鉛ドープ酸化インジウム(Indium Zinc Oxide;IZO)などを用いて形成される。しかしながら、これらの材料を用いて透明電極を形成する場合、低抵抗を得るためには、厚く均一な膜を形成しなければならず、透明電極の光透過率が減少したり、その透明電極を備えた製品が高価になったりすることがあった。また、透明電極の形成プロセスで高温処理が必要になったりすることがあった。このため、特にフィルム上での透明電極の低抵抗化には、限界があった(例えば、特許文献1参照)。
 上記透明電極に関しては、近年、ITO等を用いない透明電極の技術が開発され開示されている。ITO等を用いない透明電極を形成する方法としては、例えば以下のような方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。まず初めに、一様な網目状、櫛型あるいはグリッド型等の金属及び/または合金の細線構造部を配置した導電性面を作製する。次に、その導電性面上に例えば、導電性高分子材料を適当な溶媒に溶解または分散したインクを、塗布法や印刷法を用いて塗工して透明導電層を形成する。こうして、ITO等を用いない透明電極を形成する。
特開平10-162961号公報 特開2005-302508号公報 特開2006-93123号公報
 上述した透明導電層の形成方法では、例えば、導電性高分子材料を含んだインクを塗布法や印刷法を用いて基材上に吐出もしくは転写した後、インクに含まれる溶剤が蒸発することにより乾燥固化し塗膜が形成される。この際、塗膜の下部に配置される金属及び/または合金の細線構造部からなる導電性面の形状の影響により、インクの乾燥過程において、導電性高分子材料の流動が均一にならず、形成される透明導電層の高さが不均一になる場合があった。このため、上述した透明導電層の形成方法は、透明電極の表面平滑性が低下するという問題を有していた。
 透明電極の表面形状が不均一になってしまうと、例えば、有機EL素子の透明電極として用いた場合、有機EL層に印加する電界強度が不均一になることがある。このため、従来技術に係る透明電極は、発光動作時における発光開始電圧や有機EL層から放射される光の波長(すなわち、発光時の色度)が設計値からずれて、所望の発光色が得られなくなるという問題を有するとともに、電界が集中する領域では有機EL層(有機EL素子)の劣化が著しくなり発光の信頼性や寿命が低下するという問題を有していた。
 本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、透明導電層の高さの不均一による透明電極の表面平滑性の低下を抑制することができる透明電極の製造方法、透明電極、及びそれを備えた有機EL素子を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するために、本発明の一態様は、透明基材と、前記透明基材の表面の一部を覆う、導電材料で形成された細線構造部と、前記細線構造部を覆うように前記透明基材上に形成された透明導電層と、を有する透明電極において、前記透明導電層を、2層以上の層で形成したことを特徴とする透明電極である。
 また、上記透明電極において、前記透明導電層の各層を分離している界面の少なくとも一部を、前記細線構造部の形成領域である細線構造部形成領域を除く領域では、前記細線構造部の最上部よりも低くしてもよい。
 また、上記透明電極において、前記透明導電層の各層を分離している界面の形状を、前記透明基材と平行な方向から見て、前記細線構造部の形成領域である細線構造部形成領域では凸形状とし、前記細線構造部形成領域を除く領域では凹形状としたこととしてもよい。
 また、上記透明電極において、前記透明導電層を、ポリチオフェン、ポリチオフェンの誘導体、または、ポリチオフェンとポリチオフェンの誘導体との混合物を含んだものとしたこととしてもよい。
 また、上記透明電極において、前記透明導電層を、ポリアニリン、ポリアニリンの誘導体、または、ポリアニリンとポリアニリンの誘導体との混合物を含んだものとしたこととしてもよい。
 なお、複数層からなる透明導電層は、全て同じ材料を用いて形成するほうが生産性向上の点で好ましいが、各層で異なる材料を用いても構わない。
 また、各層を形成する際にインクの粘度やタック値を調整することで平坦性を向上させることも可能である。
 また、本発明の別の態様は、透明基材と、前記透明基材上の表面の一部を覆う、導電材料で形成された細線構造部と、前記細線構造部を覆うように前記透明基材上に形成された透明導電層と、を有する透明電極の製造方法において、前記細線構造部が形成された前記透明基材上の前記透明電極の形成領域に、前記透明導電層の材料を含む溶液を塗布した後、前記溶液を塗布した前記透明電極の形成領域に、再び前記溶液を少なくとも一回塗布して前記透明導電層を形成する透明導電層形成工程を含むことを特徴とする透明電極の製造方法である。
 また、上記透明電極の製造方法において、前記透明導電層形成工程は、前記透明電極の形成領域に塗布した前記溶液を乾燥させて前記透明導電層の一部となる薄膜を形成する薄膜形成工程を、最終回の前記溶液の塗布に先立って実施して、前記透明導電層を形成することとしてもよい。
 また、上記透明電極の製造方法において、前記透明導電層形成工程は、前記透明電極の形成領域全面に前記溶液を塗布する全面塗布工程と、前記透明電極の形成領域のうち前記細線構造部が形成された細線構造部形成領域を除く領域のみに前記溶液を塗布する部分塗布工程と、を含むこととしてもよい。
 また、上記透明電極の製造方法において、前記透明導電層形成工程は、最初に、前記部分塗布工程を実施することとしてもよい。
 また、上記透明電極の製造方法において、前記透明導電層形成工程は、最後に、前記部分塗布工程を実施することとしてもよい。
 また、上記透明電極の製造方法において、前記全面塗布工程と、前記部分塗布工程とで塗布方法がそれぞれ異なることとしてもよい。
 また、本発明の別の態様は、前述した透明電極の製造方法によって製造された透明電極である。
 また、本発明の別の態様は、前述した透明電極を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子である。
 本発明の一態様は、透明導電層を2層以上の層で形成しているので、透明導電層の形成時における細線構造部の形状の影響を緩和できる。このため、透明導電層の高さを均一化でき、表面平滑性の高い透明電極が得られる。よって、本発明の一態様によれば、発光品位及び生産性が高い有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる
第1、第2及び第3の実施形態に係る、細線構造部が形成された透明基材の構造を示す概略平面図である。 第1の実施形態に係る透明電極の製造方法の要部具体例を示す工程断面図である。 第2の実施形態に係る透明電極の製造方法の要部具体例を示す工程断面図である。 第3の実施形態に係る透明電極の製造方法の要部具体例を示す工程断面図である。
 以下、この発明の実施の形態に係る透明電極の製造方法、透明電極及びそれを備えた有機EL素子について説明する。なお、以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
[第1の実施形態]
 第1の実施形態に係る透明電極の構成、透明電極の製造方法及び有機EL素子の構成について説明する。
<透明電極の構成>
 本実施形態の透明電極は、透明基材と、金属及び/または合金の細線構造部と、塗布法や印刷法を用いて形成されてなる透明導電層とを有する。透明電極は、通常、透明基材上に設けられ、細線構造部、透明導電層が基材側からこの順に作製されて構成される。
 本実施形態の透明電極は、有機EL素子に用いた場合に輝度を向上させる観点から、透明電極の導電性面の表面抵抗率は0.01Ω/□以上100Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1Ω/□以上10Ω/□以下である。
 本実施形態の透明電極は、例えば、LCD、エレクトロルミネッセンス素子、プラズマディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極、電子ペーパーならびに電磁波遮蔽材などに用いることができるが、導電性、透明性に優れ、また平滑性も高いため、有機EL素子に用いることが好ましい。
(透明基材)
 本実施形態では、透明基材として、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラスなどを用いることができる。
 プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
 透明基材は、表面平滑性に優れているものが好ましい。透明基材の表面平滑性は算術平均粗さ(Ra)が5nm以下且つ最大高さ(Ry)が50nm以下であることが好ましく、さらに好ましくはRaが1nm以下且つRyが20nm以下である。透明基材の表面は、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等の下塗り層を付与して平滑化してもよいし、研磨などの機械加工によって平滑にすることもできる。また、透明導電層の塗布、接着性を向上させるため、例えば、コロナ、プラズマ、UV/オゾンによる表面処理を透明基材に施してもよい。ここで、透明基材の表面平滑性は、原子間力顕微鏡(AFM)等による測定から算出することができる。
 また、透明基材上には、大気中の酸素、水分を遮断する目的でガスバリア層を設けるのが好ましい。ガスバリア層の形成材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属窒化物が使用できる。これらの材料は、水蒸気バリア機能のほかに酸素バリア機能も有する。上記材料の中でも、特に、バリア性、耐溶剤性、透明性が良好な窒化シリコン、酸化窒化シリコンが好ましい。また、ガスバリア層は必要に応じて多層構成にすることも可能である。その場合、ガスバリア層を、無機層のみで構成してもよいし、無機層と有機層とで構成してもよい。ガスバリア層の形成方法は、材料に応じて、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。また、ガスバリア層の厚みに関しては特に限定されないが、典型的には1層あたり5nm以上500nm以下の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1層あたり10nm以上200nm以下の範囲内である。ガスバリア層は透明基材の少なくとも一方の面に設けられていればよく、両面に設けられていればより好ましい。
(細線構造部)
 本実施形態における細線構造部としては、電気抵抗が低いことが好ましく、その材料は通常は10S/cm以上の電気伝導度を有する材料が使用される。かかる導電材料の具体例としては、アルミニウム、銀、クロミニウム、金、銅、タンタル、モリブデン等の金属及び/またはその合金を挙げることができる。これらの中でも、電気伝導度の高さ、及び材料のハンドリングの容易さの観点から、アルミニウム、クロミニウム、銅、銀及びその合金が好ましい。
 本実施形態では上述の導電材料を、例えば、一様な網目状、櫛型あるいはグリッド型等に配置し、導電性面を作製して通電性を向上している。この金属や合金の細線の幅は、任意であるが、0.1μm程度から1000μmの間が好ましい。また、金属や合金の細線は、50μmから5cmの間隔(ピッチ)で連続的に配置されていることが好ましく、特に、100μmから1cmの間隔(ピッチ)で連続的に配置されていることが好ましい。
 金属及び/またはその合金の細線構造部を配置することで、光の透過率が減少する。この減少はできるだけ小さいことが重要で、細線同士の間隔を狭くしすぎたり、細線幅を大きく取りすぎたりすることなく、好ましくは80%以上の光の透過率を確保することが重要である。細線幅と細線間隔との関係については、細線幅は、その平面配置上、目的に応じて決めればよいが、細線間隔の1/10000以上1/5以下が好ましく、さらに好ましくは1/100以上1/10以下である。
 金属及び/またはその合金の細線構造部の高さ(厚み)は、0.05μm以上10μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以上1μm以下である。細線幅と細線高さとの関係については、細線構造部の高さは所望の導電性に応じて決めればよいが、細線幅の1/10000以上10倍以下の範囲で好ましく用いられる。また、細線構造部は必要に応じて多層構成にすることも可能である。その場合、同一導電材料のみで構成してもよいし、異なる導電材料で構成してもよい。
(透明導電層)
 透明導電層を塗布法により形成する際に用いられる溶液は、透明導電層となる材料(透明導電材料)と溶媒とを含む。透明導電層は導電性を示す高分子化合物を含むことが好ましい。該高分子化合物は、ドーパントを含有していてもよい。該高分子化合物の導電性は通常、導電率で10-5S/cm以上10S/cm以下の範囲内であり、好ましくは10-3S/cm以上10S/cm以下の範囲内である。また、透明導電層は、実質的に導電性を示す高分子化合物から成ることが好ましい。透明導電材料としては、例えば、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、等を挙げることができる。ドーパントとしては、公知のドーパントを用いることができ、その例としては、ポリスチレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸、PF、AsF、SbF等のルイス酸が挙げられる。また導電性を示す高分子化合物は、ドーパントが高分子化合物に直接結合した自己ドープ型の高分子化合物であってもよい。
 透明導電層は、ポリチオフェン及び/またはポリチオフェンの誘導体を含んで構成されることが好ましく、実質的にポリチオフェン及び/またはポリチオフェンの誘導体から成ることが好ましい(ポリチオフェン及び/またはポリチオフェンの誘導体はドーパントを含有していてもよい)。ポリチオフェン、ポリチオフェンの誘導体、または、ポリチオフェンとポリチオフェンの誘導体との混合物は、水及びアルコールなどの水系溶媒に溶解、もしくは分散しやすいので、塗布法に用いられる塗布液の溶質として好適に用いられる。またこれらは導電性が高く、電極材料として好適に用いられる。さらにこれらは、HOMOエネルギーが5.0eV程度であり、通常の有機EL素子に用いられる有機発光層のHOMOエネルギーとの差が1eV程度と低く、有機発光層に正孔を効率的に注入することができるので、特に、陽極の材料として好適に用いることができる。また、透明性が高く、有機EL素子の発光取り出し側の電極として好適に用いられる。
 透明導電層は、ポリアニリン及び/またはポリアニリンの誘導体を含んで構成されることが好ましく、実質的にポリアニリン及び/またはポリアニリンの誘導体から成ることが好ましい(ポリアニリン及び/またはポリアニリンの誘導体はドーパントを含有していてもよい)。ポリアニリン、ポリアニリンの誘導体、または、ポリアニリンとポリアニリンの誘導体との混合物は、導電性及び安定性に優れるために、電極材料として好適に用いられる。また、透明性が高く、有機EL素子の発光取り出し側の電極として好適に用いられる。
<透明電極の製造方法>
 本実施形態にかかる、透明電極の製造方法について説明する。通常、透明電極は、透明基材上に細線構造部、透明導電層がこの順に作製されて製造される。本実施形態においては、例えば、透明導電層を2層に分けて成膜する場合を示すが、2層以上の複数層に分けて成膜してもよい。
 本実施形態にかかる透明電極の製造方法では、まず、前述した透明基材の一方の面であって透明電極の形成領域に、前述した細線構造部を形成する。
 細線構造部を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、または金属薄膜を熱圧縮するラミネート法等により、細線構造部の構成材料から成る膜を形成した後に、フォトレジストを用いたエッチング法により前述したパターンを形成する方法が挙げられる。
 また、上記方法以外にも、細線構造部となる材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、細線構造部となる材料を溶解させるものであれば、特に制限はない。溶液からの成膜方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スリットコート法、インクジェットプリント法、ノズルプリント法などの塗布法を挙げることができる。特に、前述したパターンを直接形成できる成膜方法が好ましく、適宜選択可能であるが、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法などの印刷法、インクジェットプリント法、ノズルプリント法などの吐出による塗布法が好適である。その後、乾燥固化して細線構造部が形成される。
 次いで、透明電極の形成領域に透明導電材料を含む溶液を塗布して、透明導電層を成膜する。成膜方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スリットコート法、インクジェットプリント法、ノズルプリント法などの塗布法を挙げることができる。特に、透明電極の形成領域を全面に渡って成膜するため、一様に塗布成膜する方法が好ましく、適宜選択可能であるが、例えば、スピンコート法、バーコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スリットコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布法が好適である。
 次いで、透明電極の形成領域全面に透明導電材料を含む溶液が塗布された透明基材を、乾燥処理室内で、例えば100℃以上の温度条件で加熱処理する。これにより、透明導電材料を含む溶液に含まれる溶媒を気化させて、透明基材、及び細線構造部の上に透明導電材料を固着させて、透明導電層を形成する。
 次いで、再び、透明電極の形成領域に透明導電材料を含む溶液を塗布して、透明導電層を成膜する。成膜方法としては、上述した1回目の透明導電層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
 次いで、再び、透明電極の形成領域全面に透明導電材料を含む溶液が塗布された透明基材を、乾燥処理室内で、例えば100℃以上の温度条件で加熱処理する。これにより、透明導電材料を含む溶液に含まれる溶媒を気化させて、透明基材、及び細線構造部の上に透明導電材料を固着させる。こうして、透明導電層を形成し透明電極が完成する。
 透明導電層を2層以上の複数層に分ける場合は、上述した成膜方法及び加熱処理を繰り返し行うことで2層以上の複数層を有する透明導電層が成膜される。
<有機EL素子の構成>
 本実施形態の有機EL素子は、上述の透明電極を有することを特徴とする。本実施形態の有機EL素子は、上述の透明電極を陽極として用い、有機発光層、陰極については有機EL素子に一般的に使われている材料、構成等の任意のものを用いることができる。有機EL素子の素子構成としては、例えば、
陽極/有機発光層/陰極、
陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、
陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、
陽極/正孔注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極、
等の各種の構成のものを挙げることができる。
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同様。)
 本実施形態の有機EL素子は、2層以上の有機発光層を有していてもよく、2層の有機発光層を有する有機EL素子としては、例えば、以下に示す層構成を挙げることができる。
陽極/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層/電荷発生層/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
 また、3層以上の有機発光層を有する有機EL素子としては、具体的には、(電荷発生層/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層)を一つの繰り返し単位として、以下に示す前記繰り返し単位を2つ以上含む層構成を挙げることができる。陽極/電荷注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電荷注入層/(該繰り返し単位)/(該繰り返し単位)/・・・/陰極
 上記層構成において、陽極、陰極、有機発光層以外の各層は必要に応じて削除することができる。
 ここで、電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば、酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデンなどからなる薄膜を挙げることができる。
 以下、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極の各層について説明する。
(陽極と有機発光層との間に設けられる層)
 必要に応じて陽極と有機発光層との間に設けられる層としては、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層等が挙げられる。正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層であり、正孔輸送層は、正孔注入層または陽極により近い層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。また、正孔注入層または正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を電子ブロック層と称することがある。電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
(正孔注入層)
 正孔注入層は、陽極と正孔輸送層との間、または陽極と有機発光層との間に設けることができる。正孔注入層を構成する材料としては、公知の材料を適宜用いることができ、特に制限はない。例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化モリブデン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
 正孔注入層の成膜方法としては、例えば、正孔注入層となる材料(正孔注入材料)を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させるものであれば、特に制限はなく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、及び水を挙げることができる。
 溶液からの成膜方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スリットコート法、インクジェットプリント法、ノズルプリント法などの塗布法を挙げることができる。
 また、正孔注入層の厚みとしては、5nm以上300nm以下の範囲内であることが好ましい。この厚みが5nm未満では、製造が困難になる傾向があり、他方、300nmを越えると、駆動電圧、及び正孔注入層に印加される電圧が大きくなる傾向となる。
(正孔輸送層)
 正孔輸送層を構成する材料(正孔輸送材料)としては、特に制限はないが、例えば、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)4,4’-ジアミノビフェニル(TPD)、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)等の芳香族アミン誘導体、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリアリールアミンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p-フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5-チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
 これらの中でも、正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリアリールアミンもしくはその誘導体、ポリ(p-フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5-チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましい。低分子の正孔輸送材料の場合は、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
 正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば、特に制限はなく、正孔注入層の項で例示した溶媒をその一例として挙げることができる。溶液からの成膜方法としては、上述した正孔注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
 正孔輸送層の厚みは、特に制限されないが、目的とする設計に応じて適宜変更することができ、1nm以上1000nm以下の範囲内であることが好ましい。この厚みが前記下限値未満となると、製造が困難になる、または正孔輸送の効果が十分に得られないなどの傾向があり、他方、前記上限値を超えると、駆動電圧及び正孔輸送層に印加される電圧が大きくなる傾向がある。したがって正孔輸送層の厚みは、好ましくは、1nm以上1000nm以下の範囲内であるが、より好ましくは、2nm以上500nm以下の範囲内であり、さらに好ましくは、5nm以上200nm以下の範囲内である。
(有機発光層)
 有機発光層は、主として蛍光または燐光を発光する有機物(低分子化合物または高分子化合物)を有する。なお、さらにドーパント材料を含んでいてもよい。本実施形態において用いることができる有機発光層を形成する材料(有機発光材料)としては、例えば以下のものが挙げられる。
「色素系材料」
 色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、キナクドリン誘導体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどが挙げられる。
「金属錯体系材料」
 金属錯体系材料としては、例えば、イリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体など、中心金属に、Al、Zn、BeなどまたはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体などを挙げることができる。
「高分子系材料」
 高分子系材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
 上記有機発光材料のうち、青色に発光する材料としては、例えば、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、及びそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。
 また、緑色に発光する材料としては、例えば、キナクドリン誘導体、クマリン誘導体、及びそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。
 また、赤色に発光する材料としては、例えば、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、及びそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。
「ドーパント材料」
 有機発光層中に発光効率の向上や発光波長を変化させる目的で、ドーパントを添加することができる。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクドリン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、有機発光層の厚さは、通常約2nm~200nmである。
 有機発光層の成膜方法としては、有機発光材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、有機発光材料を溶解させるものであれば、特に制限はなく、正孔注入層の項で例示した溶媒をその一例として挙げることができる。溶液からの成膜方法としては、上述した正孔注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
(陰極と有機発光層との間に設けられる層)
 必要に応じて陰極と有機発光層との間に設けられる層としては、例えば、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層等が挙げられる。陰極と有機発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。
 電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極により近い層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/または電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
(電子輸送層)
 電子輸送層を構成する材料(電子輸送材料)としては、公知のものを使用でき、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン若しくはその誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8-ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
 これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、8-ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8-キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
 電子輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、高分子バインダーと電子輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では、電子輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、電子輸送材料を溶解させるものであれば、特に制限はなく、正孔注入層の項で例示した溶媒をその一例として挙げることができる。溶液からの成膜方法としては、上述した正孔注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
 電子輸送層の厚みは、用いる材料によって最適値が異なり、目的とする設計に応じて適宜変更することができ、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要である。膜厚として、例えば、1nm以上1000nm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、2nm以上500nm以下の範囲内であり、さらに好ましくは、5nm以上200nm以下の範囲内である。
(電子注入層)
 電子注入層を構成する材料(電子注入材料)としては、有機発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、及び炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、及び炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよく、例えばフッ化リチウム/カルシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、例えば、各種蒸着法、スパッタリング法、各種塗布法などにより形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm以上1000nm以下の範囲内が好ましい。
(陰極)
 陰極の材料(陰極材料)としては、仕事関数が小さく、有機発光層への電子注入が容易な材料及び/または電気伝導度が高い材料及び/または可視光反射率の高い材料が好ましい。かかる陰極材料としては、具体的には、金属、金属酸化物、合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物、酸化亜鉛等の無機半導体などを挙げることができる。
 上記金属としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属やIII-b属金属等を用いることができる。これらの金属の具体的例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等を挙げることができる。
 また、合金としては、上記金属の少なくとも一種を含む合金を挙げることができ、具体的には、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、カルシウム-アルミニウム合金等を挙げることができる。
 陰極は必要に応じて透明電極とされるが、それらの材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫、ITO、IZOなどの導電性酸化物、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの導電性有機物を挙げることができる。
 なお、陰極を2層以上の積層構造としてもよい。また、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
 陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば、10nm以上10000nm以下の範囲内であり、好ましくは20nm以上1000nm以下の範囲内であり、さらに好ましくは、50nm以上500nm以下の範囲内である。
 本実施形態の有機EL素子は、例えば、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることができる。また、本実施形態の有機EL素子は、均一にムラなく発光させることができるため、例えば、照明用途で用いることが好ましい。
<作用効果>
 次に、上述したような透明電極の構成とその製造方法を用いた場合の作用効果について、図1及び図2を参照しつつ、効果を確認した実施例と比較例を用いて説明する。
 図1に透明基材12上に細線構造部13までを作製した状態の概略平面図を示す。一例として、細線構造部13を透明基材12上にグリッド型に配置したが、特に制限されない。また、図2は、細線構造部13まで作製した透明基材10上に、本実施例である透明電極を製造した要部具体例を示す工程図である。以下、透明導電層21を複数の層に分ける一例として、2層に分ける場合について説明する。
 まず、図2(a)に示すように、透明電極形成領域11の全面にわたり(図1参照)、透明導電材料を含む溶液20が、細線構造部13上を含む透明基材10を覆うように塗布される。ここで、図2(a)は、1層目の透明導電材料を含む溶液20が塗布された直後の状態を示す。
 その後、加熱処理を行い、透明導電材料を含む溶液20を乾燥させ、溶媒を気化させることにより、図2(b)に示すように、細線構造部13上を含む透明基材10一面に透明導電層21が形成される。この時点では、細線構造部13の形状の影響を受けて、透明導電層21の高さが不均一になるため、表面平滑性の低い透明電極が作製される。
 この時の透明導電層21の厚みは、透明基材12と細線構造部13との接点における角度の緩和や材料使用量の低減の観点から、細線構造部形成領域を除く領域14では、細線構造部13の厚み(高さ)よりも薄い(低い)ことが好ましい。そのため、透明導電層21の各層を分離する界面の一部の高さは、細線構造部形成領域を除く領域14では、細線構造部13の高さ(細線構造部13の最上部)よりも低くなっている。
 この時の透明導電層21の形状は、細線構造部13の形状の影響を大きく受けるため、細線構造部13上では凸形状となり、細線構造部形成領域を除く領域14では凹形状となる。そのため、透明導電層21の各層を分離する界面の形状は、透明基材と平行な方向から見て、細線構造部13の上部(つまり、細線構造部形成領域)では凸形状となり、細線構造部形成領域を除く領域14では凹形状となる。
 次いで、図2(c)に示すように、再び、透明電極形成領域11の全面にわたり(図1参照)、透明導電材料を含む溶液20が、細線構造部13上を含む透明基材10を覆うように塗布される。ここで、図2(c)は、2層目の透明導電材料を含む溶液20が塗布された直後の状態を示す。
 その後、加熱処理を行い、透明導電材料を含む溶液20を乾燥させ、溶媒を気化させることにより、図2(d)に示すように、細線構造部13上を含む透明基材10一面に透明導電層21が形成される。本実施例では、2層に分けて透明導電層21を成膜するため、細線構造部13の形状の影響を緩和でき、透明導電層21の高さの均一性が向上するので、表面平滑性の高い透明電極が作製される。
 ここで上述の図2において、透明導電層21を複数の層に分けて成膜することで、表面平滑性の高い透明電極が作製できることについて考察する。
 透明基材10上に塗布された透明導電材料を含む溶液20は、乾燥する過程において、流動しながら乾燥固化し成膜される。一般的に、構造体が形成された基材の表面に溶液を塗布する場合、構造体と基材との接点において、毛細管現象により乾燥過程の溶液は特に引き付けられる。そのため、塗膜は構造体の側面に沿って形成され、いわゆる構造体の側面にせり上がった形状となる。本実施例においては、特に、細線構造部13と透明基材12との接点で、毛細管現象により乾燥過程の透明導電材料を含む溶液20が引き付けられて、透明導電層21の高さの不均一を引き起こすこととなる。この状態を比較例とする(図2(b)の状態)。
 複数層に分けて成膜を行う場合、最終層の塗布成膜が、透明導電層21の形状、及び透明電極の表面平滑性に支配的であると考えられる。最終層の成膜工程の際には、複数層に分けて成膜しているため、細線構造部13の側面にはせり上がった既塗膜が存在し、透明基材12上面に突き出す構造体(本実施例における細線構造部13)と透明基材12との接点において、その角度は緩和している。このため、毛細管現象による乾燥過程の透明導電材料を含む溶液20を引き付ける引力も低下していると考えられる。よって、本実施例では、比較例(図2(b)の状態)と比べて、透明導電層21の高さの均一性が向上するため、表面平滑性の高い透明電極を作製することができる(図2(d)の状態)。
 また、最終層の塗布成膜の際に、下層の材料を溶解してしまうと、既塗膜まで溶液状態となるため、上述した効果は減ってしまう。そのため、最終層の塗布に先立って加熱処理を実施し、塗膜を固化しておくことが望ましい。
[第2の実施形態]
 次に、第2の実施形態に係る透明電極の構成、透明電極の製造方法及び有機EL素子の構成について説明する。
<透明電極の製造方法>
 第2の実施形態に係る透明電極の構成、透明電極の製造方法及び有機EL素子の構成と、上述した第1の実施形態に係る透明電極の構成、透明電極の製造方法及び有機EL素子の構成とは、その構成は同じであるが、製造方法において、透明導電層21の形成領域に関して異なることを特徴としている。そのため、図1及び図3を参照し、透明電極の製造方法を説明し、その他については省略する。本実施形態においては、一例として、透明導電層を2層に分けて成膜する場合を示すが、2層以上の複数層に分けて成膜してもよい。
 上述した第1の実施形態においては、複数の層に分けて形成する透明導電層21の各層を、透明電極形成領域11の全面にわたり形成する製造方法について説明した。第2の実施形態においては、複数の層に分けて形成する透明導電層21の各層について、第1層を透明電極形成領域11のうち、細線構造部形成領域を除く領域14に形成し、その後の層は、透明電極形成領域11の全面にわたり形成する。
 図3(a)に示すように、透明導電材料を含む溶液20を、透明電極形成領域11のうち、細線構造部形成領域を除く領域14の透明基材12上に塗布する(部分塗布工程)。なお、図3(a)は、1層目の透明導電材料を含む溶液20が塗布された直後の状態を示す。
 この時の成膜方法としては、特に、パターン形成できる成膜方法が好ましく、適宜選択可能であるが、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法などの印刷法、インクジェットプリント法、ノズルプリント法などの吐出による塗布法が好適であり、第1の実施形態とは異なる。
 その後、加熱処理を行い、透明導電材料を含む溶液20を乾燥させ、溶媒を気化させることにより、図3(b)に示すように、透明電極形成領域11のうち、細線構造部形成領域を除く領域14の透明基材12上に透明導電層21が形成される。この時点では、細線構造部13の形状の影響を受けて、透明導電層21の高さが不均一になり、また、細線構造部13の表面(上面)は露出している。
 次いで、図3(c)に示すように、透明電極形成領域11の全面にわたり、透明導電材料を含む溶液20を、細線構造部13上を含む透明基材10を覆うように塗布する(全面塗布工程)。ここで、図3(c)は、2層目の透明導電材料を含む溶液20が塗布された直後の状態を示す。
 この時の成膜方法としては、特に、透明電極形成領域11を全面に渡って成膜するため、一様に塗布成膜する方法が好ましく、適宜選択可能であるが、例えば、スピンコート法、バーコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スリットコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布法が好適であり、1層目の透明導電層21の成膜方法とは異なる。
 その後、加熱処理を行い、透明導電材料を含む溶液20を乾燥させ、溶媒を気化させることにより、図3(d)に示すように、細線構造部13上を含む透明基材10一面に透明導電層21が形成される。2層に分けて透明導電層21を成膜するため、細線構造部13の形状の影響を緩和でき、透明導電層21の高さの均一性が向上するので、表面平滑性の高い透明電極が作製される。
<作用効果>
 ここで上述の図3における透明電極の製造方法を用いた場合の作用効果について説明する。
 本実施形態のように、透明導電層21の1層目を透明電極形成領域11のうち、細線構造部形成領域を除く領域14に形成し、その後の層は、透明電極形成領域11の全面にわたり形成した場合においても、最終層の成膜の際には、細線構造部13の形状の影響を緩和できており、第1の実施形態と同様の効果は得られる。また、本実施形態では、透明導電層21を細線構造部形成領域を除く領域14にのみ形成しているため、透明導電材料の使用量を低減させた上、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態では、細線構造部形成領域を除く領域14への透明導電層21の形成を1層目に用いてするため、透明基材12上の細線構造部13による凹凸のパターンを最も有効的に使用することができる。
[第3の実施形態]
 次に、第3の実施形態に係る透明電極の構成、透明電極の製造方法及び有機EL素子の構成について説明する。
<透明電極の製造方法>
 第3の実施形態に係る透明電極の構成、透明電極の製造方法及び有機EL素子の構成と、上述した第1、及び第2の実施形態に係る透明電極の構成、透明電極の製造方法及び有機EL素子の構成とは、その構成は同じであるが、製造方法において、透明導電層の形成領域に関して異なることを特徴としている。そのため、図1及び図4を参照し、透明電極の製造方法を説明し、その他については省略する。本実施形態においては、一例として、透明導電層21を2層に分けて成膜する場合を示すが、2層以上の複数層に分けて成膜してもよい。
 第3の実施形態においては、複数の層に分けて形成する透明導電層21の各層にうち、最終成膜層である2層目を透明電極形成領域11のうち、細線構造部形成領域を除く領域14に形成することを特徴とする。
 図4(a)に示すように、透明電極形成領域11の全面にわたり(図1参照)、透明導電材料を含む溶液20を、細線構造部13上を含む透明基材10を覆うように塗布する。ここで、図4(a)は、1層目の透明導電材料を含む溶液20が塗布された直後の状態を示す。
 この時の成膜方法としては、特に、透明電極の形成領域を全面に渡って成膜するため、一様に塗布成膜する方法が好ましく、適宜選択可能であるが、例えば、スピンコート法、バーコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スリットコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布法が好適である。
 その後、加熱処理を行い、透明導電材料を含む溶液20を乾燥させ、溶媒を気化させることにより、図4(b)に示すように、細線構造部13上を含む透明基材10一面に透明導電層21が形成される。
 次いで、図4(c)に示すように、透明電極形成領域11のうち、細線構造部形成領域を除く領域14に、透明導電材料を含む溶液20を塗布する。ここで、図4(c)は、2層目の透明導電材料を含む溶液20が塗布された直後の状態を示す。
 この時の成膜方法としては、特に、パターン形成できる成膜方法が好ましく、適宜選択可能であるが、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法などの印刷法、インクジェットプリント法、ノズルプリント法などの吐出による塗布法が好適であり、1層目の成膜方法とは異なる。
 その後、加熱処理を行い、透明導電材料を含む溶液20を乾燥させ、溶媒を気化させることにより、図4(d)に示すように、細線構造部13上を含む透明基材10一面に透明導電層21が形成される。2層に分けて透明導電層21を成膜するため、細線構造部13の形状の影響を緩和でき、透明導電層21の高さの均一性が向上するので、表面平滑性の高い透明電極が作製される。
<作用効果>
 ここで上述の図4における透明電極の製造方法を用いた場合の作用効果について説明する。
 本実施形態のように、透明導電層21の最終成膜層を透明電極形成領域11のうち、細線構造部形成領域を除く領域14に形成した場合においても、最終層の成膜の際には、細線構造部13の形状の影響を緩和できており、第1の実施形態と同様の効果は得られる。また、本実施形態では、透明導電層21を細線構造部形成領域を除く領域14にのみ形成しており、透明導電材料の使用量を低減させた上、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態では、細線構造部形成領域を除く領域14に複数回にわたり成膜を行うことも可能なため、所望の平坦性が得られるまで複数回にわたり成膜を行うことで、特に大きな表面平坦性の改善効果を得ることができる。
 また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
 以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。したがって、請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
10…細線構造部が形成された透明基材
11…透明電極形成領域
12…透明基材
13…細線構造部
14…細線構造部形成領域を除く領域
20…透明導電層の材料を含む溶液
21…透明導電層

Claims (13)

  1.  透明基材と、前記透明基材の表面の一部を覆う、導電材料で形成された細線構造部と、前記細線構造部を覆うように前記透明基材上に形成された透明導電層と、を有する透明電極において、
     前記透明導電層を、2層以上の層で形成したことを特徴とする透明電極。
  2.  前記透明導電層の各層を分離している界面の少なくとも一部を、前記細線構造部の形成領域である細線構造部形成領域を除く領域では、前記細線構造部の最上部よりも低くしたことを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
  3.  前記透明導電層の各層を分離している界面の形状を、前記透明基材と平行な方向から見て、前記細線構造部の形成領域である細線構造部形成領域では凸形状とし、前記細線構造部形成領域を除く領域では凹形状としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透明電極。
  4.  前記透明導電層を、ポリチオフェン、ポリチオフェンの誘導体、または、ポリチオフェンとポリチオフェンの誘導体との混合物を含んだものとしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の透明電極。
  5.  前記透明導電層を、ポリアニリン、ポリアニリンの誘導体、または、ポリアニリンとポリアニリンの誘導体との混合物を含んだものとしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の透明電極。
  6.  請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の透明電極を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7.  透明基材と、前記透明基材上の表面の一部を覆う、導電材料で形成された細線構造部と、前記細線構造部を覆うように前記透明基材上に形成された透明導電層と、を有する透明電極の製造方法において、
     前記細線構造部が形成された前記透明基材上の前記透明電極の形成領域に、前記透明導電層の材料を含む溶液を塗布した後、前記溶液を塗布した前記透明電極の形成領域に、再び前記溶液を少なくとも一回塗布して前記透明導電層を形成する透明導電層形成工程を含むことを特徴とする透明電極の製造方法。
  8.  前記透明導電層形成工程は、前記透明電極の形成領域に塗布した前記溶液を乾燥させて前記透明導電層の一部となる薄膜を形成する薄膜形成工程を、最終回の前記溶液の塗布に先立って実施して前記透明導電層を形成することを特徴とする請求項7に記載の透明電極の製造方法。
  9.  前記透明導電層形成工程は、前記透明電極の形成領域全面に前記溶液を塗布する全面塗布工程と、前記透明電極の形成領域のうち前記細線構造部が形成された細線構造部形成領域を除く領域のみに前記溶液を塗布する部分塗布工程と、を含むことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の透明電極の製造方法。
  10.  前記透明導電層形成工程は、最初に、前記部分塗布工程を実施することを特徴とする請求項9に記載の透明電極の製造方法。
  11.  前記透明導電層形成工程は、最後に、前記部分塗布工程を実施することを特徴とする請求項9に記載の透明電極の製造方法。
  12.  前記全面塗布工程と、前記部分塗布工程とで塗布方法がそれぞれ異なることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の透明電極の製造方法。
  13.  請求項7から請求項12のいずれか一項に記載の透明電極の製造方法によって製造された透明電極を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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