WO2014045790A1 - フューエルリッドの支持構造 - Google Patents

Abstract

ヒンジにより車体に取り付けられるフューエルリッドの支持構造は、前記車体の給油口を囲むように車体に設けられた環状のシールゴム（４）であって、上面および内周面を有するシールゴム（４）と、前記フューエルリッドの裏面に設けられ、当該フューエルリッドが閉状態にあるときに前記シールゴムに当接可能な当接板部（９）と、を備える。前記当接板部（９）は、前記シールゴムの上面に当接する上面当接部（９ａ）と、前記シールゴムの内周面に当接する内面当接部（９ｂ）と、を有する。

Description

フューエルリッドの支持構造

　本発明は、フューエルリッドを閉じるとき、および閉じた状態におけるフューエルリッドのガタツキを低減するための支持構造に関する。

　フューエルリッドの支持構造に関する技術として、例えば特許文献１に記載のものがある。特許文献１に記載のフューエルリッド支持構造は、フューエルリッドの裏面に設けられるとともにフューエルリッドの動きを規制する２つの脚部と、フューエルリッドが閉方向へ移動することを規制する当接部（閉方向規制部）と、フューエルリッドが閉方向と略直交する面に沿う方向（面方向）へ移動することを規制する上側変化部および下側変化部（面方向規制部）とを有する。当接部、上側変化部、および下側変化部は、車体のフューエルアダプタに設けられる。フューエルリッドが閉じた状態において、フューエルリッドの脚部が、フューエルアダプタの閉方向規制部および面方向規制部と当接することでフューエルリッドの動きを規制する。

　この構造により、フューエルリッドの閉状態における閉方向の移動と、この閉方向と略直交する面に沿う方向の移動とが規制されるので、特に、一本のボルトで車体に固定される軽量タイプのヒンジを用いた場合でも、ヒンジと車体との固定部を中心としたフューエルリッドの面方向での揺動が規制される、と特許文献１に記載されている。

特開２００５－７５１１２号公報

　フューエルリッドの脚部とフューエルアダプタの面方向規制部とがフューエルリッドを閉じる際に干渉しないように、当該脚部と面方向規制部との間にはクリアランスを設ける必要がある。このクリアランスが大きいと、フューエルリッドはガタツキやすくなる。すなわち、面方向規制部が規制部として機能し難い。そのため、クリアランスはできるだけ小さいことが望ましい。クリアランスを小さくするということは、各部品に高い寸法精度が要求される。

　しかしながら、特許文献１に記載のフューエルリッド支持構造の閉方向規制部および面方向規制部は、いずれもフューエルアダプタに施された凹凸（段差）により形成されている。そのため、クリアランスの精度は、フューエルアダプタに施す凹凸加工の精度に影響を受ける。凹凸加工の精度にばらつきがあると、クリアランスもばらついてしまう。

　また、面方向規制部を有するフューエルアダプタの組み付け位置にばらつきがあることがある。これも、クリアランスがばらつき、フューエルリッドにガタツキが生じる原因の一つである。

　本開示の目的は、フューエルリッドのガタツキを容易に低減できるフューエルリッド支持構造を提供することである。

　前記の目的を達成するためのフューエルリッドの支持構造は、ヒンジにより車体に取り付けられ、前記車体の給油口を囲むように車体に設けられた環状のシールゴムであって、上面および内周面を有するシールゴムと、前記フューエルリッドの裏面に設けられ、当該フューエルリッドが閉状態にあるときに前記シールゴムに当接可能な当接板部と、を備える。前記当接板部は、前記シールゴムの上面に当接する上面当接部と、前記シールゴムの内周面に当接する内面当接部と、を有する。

第１実施形態のフューエルリッドの支持構造を示す斜視図であり、フューエルリッドが開いた状態を図示している。 図１に示すフューエルリッドが閉じた状態の当接板部まわりの拡大斜視図である。 図２のIII－III線に沿った断面図である。 第２実施形態のフューエルリッドの支持構造を示す斜視図であり、フューエルリッドが開いた状態を図示している。 図４に示すフューエルリッドが閉じた状態の当接板部まわりの拡大斜視図である。 図５のＶＩ－ＶＩ線に沿った断面図である。

　以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
（第１実施形態）
　図１～図３を参照しつつ本発明の第１実施形態を説明する。図１に示すように、フューエルリッド１は、乗用車などの車体２に形成された円形の開口２ａを開閉するものである。開口２ａの内側の略中心には、燃料タンクから延びる給油管の先端部である給油口５が配置されている。この給油口５がフューエルリッド１の開閉により露出または閉塞される。なお、給油口５にはキャップ（不図示）が取り付けられる。

　フューエルリッド１（給油口５）は、車体２の例えば側面後方部に配置される。フューエルリッド１の閉状態において、フューエルリッド１の外表面は、車体２の外表面と面一になっている。

　また、本実施形態においては、フューエルリッド１を閉じたとき、フューエルリッド１の外表面は、鉛直方向に対して車体２の中心側に少し傾斜した状態となる。具体的に説明すると、フューエルリッド１を閉じたとき、フューエルリッド１の上部が、フューエルリッド１の下部よりも図１において奥側に位置するようになる（第２実施形態においても同様）。
<シールゴム>
　給油口５の周囲には、給油口５との間に所定の間隔をあけて給油口５を囲むように環状（リング状）のシールゴム４が配置されている。シールゴム４は開口２ａ内において車体２に取り付けられる。シールゴム４は、所定の厚みを有する環状のゴムであって、例えば、車体２の表面に沿って流れてくる雨水などが給油口５部分に流れ込まないようにする。

　フューエルリッド１は、例えば鋼板材からなり、本実施形態では円形とされている。なお、フューエルリッド１および開口２ａの形状は、楕円、四角形などであってもよい。

　フューエルリッド１の裏面には、フューエルリッドインナーパネル３（以下、「インナーパネル」と記載する）が接合されている。インナーパネル３の一端にはヒンジ６が固定され、その反対側の他端には係止部８が形成されている。すなわち、インナーパネル３は、本体部７と、本体部の端に位置する係止部８とを含む。インナーパネル３およびヒンジ６は、例えば鋼板材からなる。

　ヒンジ６の一端は前述したようにインナーパネル３に固定され、その他端は車体２に取り付けられている。すなわち、フューエルリッド１は、ヒンジ６により車体２に取り付けられている。ヒンジ６の車体２に取り付けられた端部には不図示のスプリング（弾性体）が配置されており、このスプリングにより、フューエルリッド１は、その閉状態において、開く方向に付勢される。

　インナーパネル３の端に形成された係止部８は、スプリングの付勢力に抗してフューエルリッド１をその閉状態で車体にロック（係止）しておくためのものである。係止部８は係止孔８ａを有する。車体２の係止部８に対応する位置には、ピン１１を含むロック機構１０が取り付けられている。係止孔８ａにピン１１が係合することで、フューエルリッド１は、その閉状態で車体にロックされる。

　ロック解除操作が行われたときには、ロック機構１０の本体部１３内にピン１１が没入することでピン１１と係止部８との係合が解除され、開方向に付勢されているフューエルリッド１が所定量開く。その後、フューエルリッド１を手動で開いて、給油操作などを行う。
<当接板部>
　係止部８の先端部の端には、フューエルリッド１の閉状態において、車体２に設けられた環状のシールゴム４に当接可能な当接板部９が形成されている。この当接板部９は、例えば鋼板材からなる。

　図２および図３に示すように、当接板部９は、シールゴム４の上面４ａ１に当接する上面当接部９ａと、シールゴム４の内周面４ａ２に当接する内面当接部９ｂとを備えている。内面当接部９ｂは、上面当接部９ａから延在する。内面当接部９ｂは、曲げ加工などにより設けられてもよいし、溶接などにより上面当接部９ａに接合されていてもよい。

　シールゴム４のうち当接板部９が当接する当接部４ａは、シールゴム４の他の部分よりも高く形成されている。換言すると、当接部４ａは、シールゴム４の軸方向において、シールゴム４の他の部分よりも長い。なお、シールゴム４のうち当接板部９が当接する部分を、シールゴム４の他の部分よりも高く形成する必要は必ずしもない。

　ただし、本実施形態のように、当接部４ａをシールゴム４の他の部分よりも高くすることで、当接板部９の内面当接部９ｂとシールゴム４の内周面４ａ２との当接面積を大きくすることができる。これにより、フューエルリッド１の閉方向（シールゴム４の軸方向）と略直交する面に沿う方向（車体２の表面に沿う方向、以下、「面方向」と記載する）のうち、図１に示す三方向、すなわち両矢印Ｙで示す二方向および片矢印Ｘ１で示す一方向へのフューエルリッド１のガタツキを効果的に低減することができる。

　また、シールゴム４の軸方向（フューエルリッド１の閉方向）の寸法が増すことで、当接部４ａの弾力性が増し、フューエルリッド１の閉方向におけるガタツキをより低減することができる。

　本実施形態では、シールゴム４において、当接部４ａの上面４ａ１と内周面４ａ２とのなす角度は略９０度とされている。これに合わせて、当接板部９において、内面当接部９ｂは上面当接部９ａに対して略９０度の角度をなす。なお、シールゴム４の当接部４ａの断面形状、および当接板部９の上面当接部９ａと内面当接部９ｂとのなす角度は、これに限られるものではなく、例えば、後述する第２実施形態のようにしてもよい。

　本実施形態では、インナーパネル３に形成された係止部８の先端部の端に当接板部９を設けているが、例えば、係止部８の先端部の中央に当接板部９を設けてもよい。

　フューエルリッド１をヒンジ６を支点にして回動させて閉じると、当接板部９は、図２及び図３に示した位置となる。当接板部９の上面当接部９ａにより、フューエルリッド１の閉方向への移動が規制され、当接板部９の内面当接部９ｂにより、フューエルリッド１の面方向のうち、図１に示す三方向、すなわち両矢印Ｙで示す二方向および片矢印Ｘ１で示す一方向へのフューエルリッド１の移動が規制される。環状のシールゴム４の内周面４ａ２は円形（円弧状）に湾曲している。この湾曲した内周面４ａ２に当接板部９の内面当接部９ｂが当たることで、フューエルリッド１の面方向のうちの三方向（両矢印Ｙで示す二方向および片矢印Ｘ１で示す一方向）へのフューエルリッド１の移動が好適に規制される。
（第２実施形態）
　図４～図６を参照しつつ本発明の第２実施形態を説明する。なお、第１実施形態における部材と同様の部材については同一の符号を付している。

　第１実施形態では、インナーパネル３に形成された係止部８に当接板部９を設けている。これに対して本実施形態では、インナーパネル３の本体部７に、シールゴム４に当接可能な当接板部１２を設けている。

　図５および図６に示すように、当接板部１２は、シールゴム４の上面４ｂ１に当接する上面当接部１２ａと、シールゴム４の内周面４ｂ２に当接する内面当接部１２ｂとを備えている。内面当接部１２ｂは、上面当接部１２ａから延在する。内面当接部１２ｂは、曲げ加工などにより設けられてもよいし、溶接などにより上面当接部１２ａに接合されていてもよい。

　シールゴム４のうち当接板部１２が当接する当接部４ｂは、第１実施形態と同様に、シールゴム４の他の部分よりも高く形成されている。

　第１実施形態では、シールゴム４の当接部４ａは、上面４ａ１に対する内周面４ａ２の角度が略９０度であるように構成される。これに対して、本実施形態では、シールゴム４の当接部４ｂは、上面４ｂ１に対して内周面４ｂ２が９０度よりも大きな角度αをなすように傾斜させられるよう構成されている。換言すれば、当接部４ｂの内周面４ｂ２は、開口２ａの底に近づくにつれて給油口５（シールゴム４の中心）に近づいていく傾斜面とされている。

　また、当接板部１２の内面当接部１２ｂは、この内周面４ｂ２に沿うように、曲げられている（上面当接部１２ａに対して傾斜させられている）。

　フューエルリッド１をヒンジ６を支点にして回動させて閉じると、当接板部１２は、図５および図６に示した位置となる。当接板部１２の上面当接部１２ａにより、フューエルリッド１の閉方向への移動が規制され、当接板部１２の内面当接部１２ｂにより、フューエルリッド１の面方向のうち、図４に示す三方向、すなわち両矢印Ｘで示す二方向および片矢印Ｙ１で示す一方向への移動が規制される。
（作用および効果）
　上記各実施形態では、給油口５を囲むように車体２に設けられた環状のシールゴム４を、フューエルリッド１のガタツキを防止する部品として利用している。環状のシールゴム４の内周面の寸法精度は確保し易い。すなわち、環状のシールゴム４の内周面の寸法精度は容易に高くすることができる。また、環状のシールゴム４は、正しい組み付け位置から多少回転した状態で車体２へ組み付けられたとしても、形状が環状であるため、その断面形状は変わらない（当接板部とシールゴム４の当接部との間の位置関係にほとんど変化は生じない）。

　すなわち、フューエルリッド１のガタツキを防止する部品（部位）の寸法精度を高くすることが容易であり、かつ、その部品の組み付け位置にばらつきがあったとしてもフューエルリッド１のガタツキを低減することができる。

　環状のシールゴム４の内周面は湾曲している。この湾曲した内周面に当接板部を当てる、という構造を採用したことで、フューエルリッド１の閉方向と略直交する面に沿う方向（面方向）のうちの３方向へのフューエルリッドの移動を１つの部材のみで規制できるという効果もある。

　また、例えば第１および第２実施形態のように、当接板部９，１２を、フューエルリッド１の裏面に配置されるとともにヒンジ６が固定されるインナーパネル３の一部として形成することで、フューエルリッド１を回動させるヒンジ６と、当接板部９，１２との間の連結箇所は、インナーパネル３とヒンジ６との固定箇所だけとなる。すなわち、この構成によると、ヒンジ６と当接板部９，１２との間の連結箇所が少ないため、フューエルリッド１のガタツキをより低減することができる。

　さらには、例えば第１実施形態のように、当接板部９を、インナーパネル３に形成されているとともに、フューエルリッド１を車体２に係止させる係止部８に形成することで、フューエルリッド１のガタツキをさらに低減することができる。フューエルリッド１が閉じられる際には、フューエルリッド１の表面において係止部８に対応する部分が押されることが多い。当接板部９は、この押される部分の直近に設けられることになるので、フューエルリッド１のガタツキをさらに低減することができるのである。

　また、当接板部９が設けられた係止部８は、インナーパネル３のうちのヒンジ６が固定された側とは反対側（１８０度反対側）の端に形成されている。すなわち、当接板部９は、ヒンジ６に起因するガタツキが最も大きくなる部位に形成されている。これにより、当接板部９によるフューエルリッド１の移動規制効果が安定する。結果として、フューエルリッド１のガタツキをより低減することができる。

　以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。

　例えば、第１実施形態の当接板部９（係止部８に形成された当接板部９）と、第２実施形態の当接板部１２とを両方有するフューエルリッド支持構造としてもよい。また、内面当接部９ｂ、１２ｂはシールゴム４の内周面４ａ２，４ｂ２の形状に沿った曲面を有していてもよく、単なる平面を有するだけでもよいし、あるいは複数の平面の組み合わせを有していてもよい。

　また、当接板部９，１２を設ける箇所は、フューエルリッド１の裏面であればよく、インナーパネル３に形成することに限られることはない。例えば、フューエルリッド１の裏面に当接板部９，１２を直接設けてもよい。

Claims (6)

1. 　ヒンジにより車体に取り付けられるフューエルリッドの支持構造において、
   　前記車体の給油口を囲むように車体に設けられた環状のシールゴムであって、上面および内周面を有するシールゴムと、
   　前記フューエルリッドの裏面に設けられ、当該フューエルリッドが閉状態にあるときに前記シールゴムに当接可能な当接板部と、
   　を備え、
   　前記当接板部は、前記シールゴムの上面に当接する上面当接部と、前記シールゴムの内周面に当接する内面当接部と、を有する、フューエルリッドの支持構造。
2. 　請求項１に記載のフューエルリッド支持構造において、
   　前記フューエルリッドの裏面に配置されるとともに前記ヒンジが固定されるフューエルリッドインナーパネルをさらに備え、
   　前記当接板部は、前記フューエルリッドインナーパネルの一部である、フューエルリッドの支持構造。
3. 　請求項２に記載のフューエルリッド支持構造において、
   　前記フューエルリッドインナーパネルは、前記フューエルリッドを前記車体に対して係止させる係止部を有し、
   　前記当接板部は、前記係止部に形成されている、フューエルリッドの支持構造。
4. 　請求項３に記載のフューエルリッド支持構造において、
   　前記フューエルリッドインナーパネルの一端に前記ヒンジが固定されており、前記フューエルリッドインナーパネルの他端に前記係止部が形成されている、フューエルリッドの支持構造。
5. 　請求項１乃至請求項４のいずれか一項に記載のフューエルリッド支持構造において、
   　前記シールゴムは、前記フューエルリッドが閉状態にあるときに前記当接板部に当接可能な当接部を有し、
   　前記当接部は、シールゴムの軸方向においてシールゴムの他の部分よりも長い、フューエルリッドの支持構造。
6. 　請求項１乃至請求項５のいずれか一項に記載のフューエルリッド支持構造において、
   　前記シールゴムの内周面は、前記上面に対して９０度よりも大きな角度をなす、フューエルリッドの支持構造。

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