WO2014021361A1

WO2014021361A1 - 電磁弁システム

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Publication number: WO2014021361A1
Application number: PCT/JP2013/070704
Authority: WO
Inventors: 洋輝川島; 中尾　春樹
Original assignee: 日東工器株式会社
Priority date: 2012-07-31
Filing date: 2013-07-31
Publication date: 2014-02-06
Also published as: GB2518571B; US20150141887A1; GB2518571A; JP2014027969A; US9931270B2; GB201501082D0; JP5841503B2

Abstract

【課題】供給電力が遮断された際の安全性を確保しつつ、消費電力を低減できる電磁弁システムを提供する。【解決手段】空気式マッサージ装置（１）のマッサージ具（２）の複数の空気室（３）への圧縮空気の供給排出を行うための電磁弁システム（１０）において、各空気室（３）に供給管（６０）を介して接続される複数の第１の電磁弁（３０）と、外部大気と連通する第１開口（４７－１）を有する第２の電磁弁（４０）と、第２の電磁弁（４０）から接続管（６２）を通って各空気室（３）に向かう途中の位置でヘッダー（２０）内に設けられた複数の第１の逆止弁（５１）であって、第２の電磁弁（４０）の側の空気圧が空気室（３）側の空気圧よりも小さくなったときにのみ空気室（３）から第２の電磁弁（４０）に向かう空気を通す第１の逆止弁（５１）と、を備えている。第１の電磁弁（３０）は、供給電圧が一定値以下になっても、そのときの第１又は第２状態を維持する自己保持型の電磁弁であり、第２の電磁弁（４０）は、供給電圧が一定値以下になると第２状態へと切り替わる自動解除型の電磁弁とする。

Description

電磁弁システム

　本発明は電磁弁システム及び該電磁弁システムを備えた空気式マッサージ装置に関する。

　従来から、腕又は脚の周りに装着される複数の空気室を備え、各空気室に対して圧縮空気を供給・排出することにより該空気室を膨張・収縮させて身体をマッサージする空気式マッサージ装置が知られている。このようなマッサージ装置においては、複数の空気室に対して、それぞれ、圧縮空気を供給・排出させるための複数の電磁弁を備える電磁弁システムが使用される。

　そのような電磁弁システムに使用される電磁弁は、圧縮空気をマッサージ具の空気室に供給する状態と、空気室内の圧縮空気を大気へ開放する状態とを切り替える三方弁となっており、通常、電磁弁のソレノイドへの通電時には弁体を電磁力によりスプリングの付勢力に抗して第１位置に移動させて圧縮空気を空気室に供給し、非通電時にはスプリングにより弁体が付勢されて第２位置に保持されて空気室内の圧縮空気を排出するようになっている。（特許文献１）

特許第３９０９７８９号

　これまでのこの種の空気式マッサージ装置は、ＡＣ電源を用いるものが一般的であった。しかし、使用の利便性を考えた場合、電源としてバッテリーを用いた可搬性のあるものが望まれる。

　本発明は、このような利便性に鑑みて、バッテリー電源でも使用可能な空気式マッサージ装置及びそれに適した電磁弁システムを提供することを目的とする。

　すなわち本発明は、
　空気式マッサージ装置のマッサージ具の複数の空気室への圧縮空気の供給排出を行うための電磁弁システムであって、
　圧縮空気を受け入れる圧縮空気入口と、
　前記マッサージ具の各空気室に接続される複数の第１の電磁弁であって、それぞれ、前記圧縮空気入口と連通する第１開口、外部大気と連通する第２開口、及び対応する空気室と連通する第３開口を有し、前記第２開口が塞がれると共に前記第１開口と前記第３開口とが連通された第１状態と、前記第１開口が塞がれると共に前記第２開口と前記第３開口とが連通された第２状態とを切り替え可能とされている第１の電磁弁と、
　外部大気と連通する第１開口、及び前記複数の空気室と連通する第２開口を有する第２の電磁弁であって、当該第２の電磁弁の前記第１開口と前記第２開口との間の連通が遮断された第１状態と、当該第２の電磁弁の前記第１開口と前記第２開口との間が連通された第２状態とを切り替え可能とされている第２の電磁弁と、
　各空気室と前記第２の電磁弁の前記第２開口との間に設けられた複数の第１の逆止弁であって、前記第２の電磁弁の前記第２開口側の空気圧が前記空気室側の空気圧よりも小さくなったときにのみ前記空気室から前記第２の電磁弁の前記第２開口に向かう空気を通すようにされた複数の第１の逆止弁と、
　を備えており、
　前記第１の電磁弁は、該第１の電磁弁への供給電圧が一定値以下になっても、該供給電圧が一定値以下になった時点での前記第１又は第２状態を維持する自己保持型の電磁弁であり、前記第２の電磁弁は、該第２の電磁弁への供給電圧が一定値以下になると前記第２状態へと切り替わる自動解除型の電磁弁である、電磁弁システムを提供する。

　マッサージ具の空気室に対して圧縮空気を供給・排出するための第１の電磁弁が自己保持型の電磁弁であるので、電力は主に弁体の位置を第１状態と第２状態との間で切り替える瞬間にだけ消費される。これにより、電磁弁による電力消費量を低減することができ、限られた電源容量の中でもより長時間使用できるようになる。一方で、第２の電磁弁は自動解除型の電磁弁であるので、第２の電磁弁への供給電力が遮断もしくは一定値以下に低下した場合には第２状態へと切り替わり各空気室内の圧縮空気を大気に開放するようになるので、非常時の安全性も同時に確保することができる。

　好ましくは、
　前記第１及び第２の電磁弁を制御する制御装置をさらに備え、該制御装置が、前記第２の電磁弁への供給電圧が設定値以下となった場合に前記第２の電磁弁への電圧供給を止めて前記第２の電磁弁を前記第２状態にするように制御するようにすることができる。

　具体的には、前記第２の電磁弁が、前記圧縮空気入口と連通する第３開口をさらに有し、前記第１状態においては、当該第２の電磁弁の前記第１開口が塞がれると共に前記第２開口と前記第３開口とが連通され、前記第２状態においては、当該第２の電磁弁の前記第３開口が塞がれると共に前記第１開口と前記第２開口とが連通されるようにすることができる。

　この場合には、前記圧縮空気入口と前記第２の電磁弁の前記第３開口との間に、前記圧縮空気入口から前記第２の電磁弁の前記第３開口の方向に向かう空気のみを通すようにされた第２の逆止弁を更に備えるようにすることができる。

　または、前記第２の電磁弁の前記第２開口が前記圧縮空気入口とも連通しており、
　前記第２の電磁弁は、前記第１状態においては前記第２開口を塞ぎ、前記第２状態においては前記第２開口を開放して前記第１開口と前記第２開口とを連通するようにすることができる。

　この場合には、前記圧縮空気入口と前記第２の電磁弁の前記第２開口の間で且つ前記圧縮空気入口と前記空気室との間に、前記圧縮空気入口から前記第２の電磁弁の前記第２開口及び前記空気室の方向に向かう空気のみを通すようにされた第２の逆止弁を更に備えるようにすることができる。

　圧縮空気入口側の圧力が下がった場合であっても、第２の電磁弁側の空気が逆流して第２の電磁弁側の圧力が下がらないようになるので、第２の電磁弁の第２開口側の空気圧が空気室側の空気圧よりも小さくなったときに、不要に第１の逆止弁が開いてしまうことが阻止される。

　さらに好ましくは、
　前記圧縮空気入口と各第１の電磁弁の第１開口との間に、前記圧縮空気入口から前記第１開口の方向に向かう空気のみを通すようにされた第３の逆止弁を更に備えるようにすることができる。

　圧縮空気入口側への空気の流出を防止することで、新たな圧縮空気を空気室に供給する必要がない状態において、圧縮空気入口に接続される圧縮空気供給装置の出力を低下若しくは停止させることができるようになり、更なる低消費電力化が図れるようになる。

　好ましくは、
　前記供給電圧がバッテリーによって供給されるようにすることができる。

　具体的には、前記第１の電磁弁が、
　ソレノイドコイルと、
　該ソレノイドコイルに磁気的に吸引されるプランジャーと、
　該プランジャーの先端に取り付けられ該第１の電磁弁の前記第１及び第２開口を選択的に塞ぐ弁体と、
　前記プランジャーを該プランジャーが前記ソレノイドコイルに吸引される方向とは逆向きに付勢するスプリングと、
　前記プランジャーを磁気吸着して、該プランジャーの位置を保持する永久磁石と、を有し、
　前記ソレノイドコイルに前記永久磁石の磁気吸引作用を増強するような磁力を発生させる順方向の電圧を印加することによって、前記プランジャーが前記スプリングの付勢力に抗して吸引されて前記第１状態となり、
　前記ソレノイドコイルに前記永久磁石の磁気吸引作用を低下するような磁力を発生させる逆方向の電圧を印加することによって、前記プランジャーが前記スプリングの付勢力によって移動されて前記第２状態となるようにすることができる。

　第１の電磁弁がこのような構成になっていることにより、第１状態と第２状態との間で弁体を移動させる瞬間にのみソレノイドコイルを励磁し、第１状態又は第２状態に保持されている間は永久磁石又はスプリングによりその位置が保持されるので、ソレノイドコイルを励磁する必要がなくなる。従って、第１状態及び第２状態に保持している間は電力を消費しないので、電力供給が必要とされる時間が非常に短くなり、消費電力をさらに低減することが可能となる。

　また本発明は、
　身体に装着されるようになされ、複数の空気室を有し、該空気室に対し圧縮空気を供給排出して、該空気室を膨張収縮させることにより身体に作用するマッサージ具と、
　該マッサージ具とは別体に用意された圧縮空気供給装置と、
　上述のいずれかの電磁弁システムであって、前記圧縮空気入口が前記圧縮空気供給装置に接続され、前記第１の電磁弁の前記第３開口が対応する空気室に接続されている、電磁弁システムと、
　を備える空気式マッサージ装置であって、
　前記第２の電磁弁への供給電圧が一定値以下になると、前記第２の電磁弁が前記第２状態へと切り替わり、膨張状態にある空気室内の空気が前記第２の電磁弁の前記第１開口を介して大気開放されるようにされた、空気式マッサージ装置を提供する。

　以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。

本発明に係る電磁弁システムが用いられる空気式マッサージ装置を示す図である。本発明の第１の実施形態に係る電磁弁システムの斜視図である。図２の電磁弁システムのヘッダー内を示す斜視図である。図２の電磁弁システムの第１の電磁弁が第１状態にあるときの、第１の電磁弁における断面図である。図２の電磁弁システムの第１の電磁弁が第２状態にあるときの、第１の電磁弁における断面図である。図２の電磁弁システムの第２の電磁弁が第１状態にあるときの、第２の電磁弁における断面図である。図２の電磁弁システムの第２の電磁弁が第２状態にあるときの、第２の電磁弁における断面図である。本発明の第２の実施形態に係る電磁弁システムの斜視図である。図８の電磁弁システムの第２の電磁弁が第１状態にあるときの、第２の電磁弁における断面図である。図８の電磁弁システムの第２の電磁弁が第２状態にあるときの、第２の電磁弁における断面図である。

　図１のマッサージ装置１は、脚の周りに装着されるマッサージ具２を備え、該マッサージ具２にはその長さ方向で順次配置される複数の空気室３が備えられている。また、マッサージ装置１は、各空気室３に対して圧縮空気を供給・排出するための圧縮空気制御装置４を備える。マッサージ具２の各空気室３と圧縮空気制御装置４との間は、圧縮空気を供給・排出するための複数のチューブ５により繋がれている。

　該圧縮空気制御装置４は、ハウジング内に収納されたエアポンプ等の圧縮空気供給装置（図示せず）、該圧縮空気供給装置に接続された本発明の第１の実施形態に係る電磁弁システム１０、及び圧縮空気供給装置と電磁弁システム１０に電力を供給するためのバッテリー（図示せず）を有する。この電磁弁システム１０は、図２に示すように、圧縮空気供給装置に接続される圧縮空気入口２２を有するヘッダー２０と、それぞれヘッダー２０に連通されると共に、各空気室３にチューブ５を介して接続される複数の第１の電磁弁３０と、ヘッダー２０に連通された第２の電磁弁４０と、を備えている。

　ヘッダーキャップ２１が取り外された状態の電磁弁システム１０を示す図３から分かるように、ヘッダー２０は、上部チャンバー２６及び下部チャンバー２７を有する。図３、図６及び図７に示すように、下部チャンバー２７は圧縮空気入口２２に連通されると共に、第２の電磁弁４０を介して上部チャンバー２６と連通されている。

　図４及び図５に示すように、下部チャンバー２７は、圧縮空気入口２２から供給される圧縮空気が該下部チャンバー２７から排出されるのを許容する逆止弁５３（特許請求の範囲における第３の逆止弁に対応）を介して各第１の電磁弁３０に接続されている。また、上部チャンバー２６は、ダックビル型の複数の逆止弁５１（特許請求の範囲の第１の逆止弁に対応）を介して各供給管６０に連通されている。逆止弁５１は圧縮空気入口２２からの圧縮空気の圧力が第２の電磁弁４０を介して上部チャンバー２６にかけられているときには、供給管６０から上部チャンバー２６へ向かう空気の流れを阻止するようになっている。

　第１の電磁弁３０は、ソレノイドコイル３１と、ソレノイドコイル３１内に当該ソレノイドコイル３１の長手方向に延びるように設定されたプランジャー３２と、ソレノイドコイル３１に隣接してプランジャー３２の周りに設定された環状の永久磁石３３と、ソレノイドコイル３１、永久磁石３３及びプランジャー３２を収納するハウジング３８と、プランジャー３２の先端に弁体支持部材３４を介して取り付けられた球形の弁体３５と、プランジャー３２を図で見て右方に付勢するスプリング３６と、を備えている。第１の電磁弁３０は、ヘッダー２０の下部チャンバー２７と連通する第１開口３７－１と、大気に開放された第２開口３７－２と、供給管６０に接続された第３開口３７－３と、を有していて、３つの開口の間の連通状態を球形の弁体３５で切り替えるようにされた三方弁である。この第１の電磁弁３０は、図４に示す第１状態と、図５に示す第２状態との間で駆動される。第１の電磁弁３０を第１状態とする際には、ソレノイドコイル３１に順方向の電圧を印加して、永久磁石３３の磁界により生じているプランジャー３２内を通る磁力線の方向と同じ方向の磁力線を生じるような磁界に発生させる。それによりプランジャー３２内を通る磁力線の磁束密度が大きくなり、プランジャー３２はスプリング３６の付勢力に抗して図で見て左方向に吸引される。ハウジング３８は磁性体により形成されていて永久磁石３３の磁気回路を形成するようになっているが、図４に示す第１状態とされたプランジャー３２は、ハウジング３８の端壁３８ａに近づいた状態にあるので、上記磁気回路の磁気抵抗は小さくなる。それにより、ソレノイドコイル３１への順方向の電圧が印加されなくなった後も永久磁石３３の磁気吸着作用によってスプリング３６の付勢力に抗して第１の状態に保持される。第１状態から第２状態へと切り替える際には、ソレノイドコイル３１に逆方向の電圧を印加して永久磁石３３による磁気吸着作用を弱めるような磁界を発生させ、それによってプランジャー３２をスプリング３６の付勢力によりハウジング３８から右方へ押し出すようにする。プランジャー３２が押し出されると、該プランジャー３２はハウジング３８の端壁３８ａから離されて上記磁気回路の磁気抵抗が大きくなるので、永久磁石３３による磁気吸引作用が小さくなる。このため、プランジャー３２は、ソレノイドコイル３１への逆方向の電圧が印加されなくなった後でもスプリング３６の付勢力によって第２状態に保持される。第１の電磁弁３０は、プランジャー３２を第１状態及び第２状態との間で切り替える際にのみソレノイドコイル３１に電圧を印加し、プランジャー３２が第１又は第２状態にあるときにはソレノイドコイル３１に電圧を印加する必要がない、いわゆる自己保持型の電磁弁である。従って、当該マッサージ装置１が作動されている間の第１の電磁弁３０への電力供給の時間が非常に短くなるので、消費電力は小さくて済む。ソレノイドコイル３１等を収容しているハウジング３８内には、ソレノイドコイル３１によって吸引されたプランジャー３２を受け止める衝撃吸収部材３９が設けられており、プランジャー３２を吸引した際の衝撃音を緩和するようにしている。第１の電磁弁３０を図４に示す第１状態にしたときの永久磁石３３の磁気吸引作用を強くするためには、衝撃吸収部材３９が磁性を有するものであることが好ましい。

　図４の第１状態では、球形の弁体３５によって第２開口３７－２が塞がれる一方で第１開口３７－１と第３開口３７－３とが連通されており、圧縮空気入口２２から供給される圧縮空気が、逆止弁５３を介し第１の電磁弁３０の第１開口３７－１と第３開口３７－３とを通って空気室３に供給され、空気室３を膨張させる。図５の第２状態では、球形の弁体３５によって第１の電磁弁３０の第１開口３７－１が塞がれる一方で第３開口３７－３と第２開口３７－２とが連通されており、空気室３内の圧縮空気が第２開口３７－２を通して大気に排出され空気室３が収縮する。空気式マッサージ装置１は、図示しない制御装置により、各空気室３に接続された各第１の電磁弁３０を第１状態と第２状態との間で制御することにより、所要のマッサージ作用を行うようにされている。

　第２の電磁弁４０は、図６及び図７に示すように、コイルハウジング４８内に配置されたソレノイドコイル４１と、ソレノイドコイル４１内を貫通して延在しているシャフト４２と、ソレノイドコイル４１の内側でシャフト４２の回りに固定されたプランジャー４３と、ソレノイドコイル４１の内側におけるプランジャー４３の左側位置でコイルハウジング４８に固定されたプランジャー受部材４９と、シャフト４２の一端に固定された第１弁体４４－１と、シャフト４２の他端に固定された第２弁体４４－２と、シャフト４２、プランジャー４３並びに第１及び第２弁体４４－１，４４－２を図で見て右側に付勢するスプリング４５と、が設けられている。ソレノイドコイル４１等を収容する弁ハウジング４６には、外部に開放された第１開口４７－１、接続管６２を通してヘッダー２０の上部チャンバー２６に接続された第２開口４７－２、及びダックビル型の逆止弁５２（特許請求の範囲の第２の逆止弁に対応）を介して下部チャンバー２７連通された第３開口４７－３が設けられている。ソレノイドコイル４１に電力が供給されてソレノイドコイル４１が励磁されると、図６に示すように、プランジャー４３がスプリング４５の付勢力に抗して図で見て左側に引き込まれる。この第１状態においては、第２の電磁弁４０の第１開口４７－１が第２弁体４７－２によって塞がれる一方で第３開口４７－３は開放されるので、圧縮空気入口２２から供給される圧縮空気が下部チャンバー２７から逆止弁５２を介して第３開口４７－３と第２開口４７－２とを通過してヘッダー２０の上部チャンバー２６に供給される。第２の電磁弁４０への供給電力が一定値以下に低下すると、第２の電磁弁４０のソレノイドコイル４１のプランジャー４３を引きつけていた磁力が低下し、プランジャー４３がスプリング４５の付勢力により、図７に示すように、図で見て右側に移動して第２状態となる。この第２状態では、第３開口４７－３が第１弁体４４－１により塞がれる一方で第１開口４７－１が開放されるので、ヘッダー２０の上部チャンバー２６内の圧縮空気が排気されて圧力が下がる。そうすると、ダックビル型の逆止弁５１（図４、図５）が開き、空気室３内の圧縮空気はチューブ５、供給管６０を通って上部チャンバー２６内に入り、接続管６２を通り、当該第２の電磁弁４０の第２開口４７－２から第１開口４７－１を通過して大気中に排出される。このようにして、第２の電磁弁４０への供給電力が一定以下に下がった場合は、マッサージ具２の空気室３に残されていた圧縮空気は排出されて空気室３が収縮され、マッサージ具２の使用者に対する圧迫がなくなり安全な状態となる。なお本明細書では、第２の電磁弁４０のように、電力が供給されなくなると第２状態に自動的に移行する電磁弁を自動解除型の電磁弁と呼ぶ。

　なお、各電磁弁を制御する制御装置が、当該マッサージ装置の電源としてのバッテリーの電圧を監視していて、第２の電磁弁４０への供給電圧がある設定値以下となったときに第２の電磁弁４０への電圧供給を止めて第２状態に移行させることで、空気室３内の圧縮空気を排出して安全な状態で停止するようにしてもよい。

　図１に示すマッサージ装置１の基本的な動作について説明する。起動前の状態では、第１の電磁弁３０及び第２の電磁弁４０は共に第２状態（図５、図７）となっている。電源を入れると第２の電磁弁４０が第１状態（図６）となるとともに圧縮空気供給装置から圧縮空気入口２２を介して電磁弁システム１０内に圧縮空気が供給される。供給された圧縮空気は、逆止弁５２を介して第２の電磁弁４０の第３開口４７－３及び第２開口４７－２を通って上部チャンバー２６に至る。これによって、上部チャンバー２６内の圧力が上昇するので、逆止弁５１が閉じられて供給管６０側から上部チャンバー２６内への空気の流入が阻止される。空気室３を膨張させる際には、対応する第１の電磁弁３０を駆動させて第１状態（図４）とする。そうすると、圧縮空気が、下部チャンバー２７から逆止弁５３を介して、第１の電磁弁３０の第１開口３７－１及び第３開口３７－３を通り、さらに供給管６０及びチューブ５を通って、対応する空気室３に供給されて該空気室３が膨張する。このとき、下部チャンバー２７の圧力が瞬間的に下がることになるが、逆止弁５２（図６）により上部チャンバー２６から下部チャンバー２７への空気の逆流は阻止されるので、上部チャンバー２６の圧力は下がらず、上部チャンバー２６の圧力によって閉じられている逆止弁５１は閉じた状態を維持することができる。すなわち、既に膨張している空気室３の空気が逆止弁５１を介して不用意に抜けることがないようになっている。第１の電磁弁３０を第２状態（図５）に戻すと空気室３内の空気が第１の電磁弁３０の第２開口３７－２を介して大気に排出されるので、空気室３が収縮する。マッサージ装置１を停止させる際には、全ての第１の電磁弁３０を第２状態として全ての空気室３内の圧縮空気を各第１の電磁弁３０の第２開口３７－２から大気に放出する。圧縮空気供給装置を停止させ、さらに第２の電磁弁４０も第２状態（図７）として、上部チャンバー２６内の圧縮空気も第２の電磁弁４０を介して大気に放出し、圧縮された空気が内部に残っていない安全な状態で停止させる。なお、停止する際には、第１の電磁弁３０よりも先に第２の電磁弁４０を第２状態として、空気室３内の空気を逆止弁５１を通して第２の電磁弁４０の第１開口４７－１から排出するようにしてもよい。

　図８に示す本発明の第２の実施形態にかかる電磁弁システム１１０は、第１の実施形態にかかる電磁弁システム１０とほぼ同様の構成とされている。構成要素は１００番台の参照番号で示しており、その下２桁は第１の実施形態における対応する構成要素の参照番号と同じものとしている。第２の実施形態にかかる電磁弁システム１１０は、主に第２の電磁弁１４０が異なっている。第２の電磁弁１４０は、図９及び図１０に示すように、コイルハウジング１４８内に配置されたソレノイドコイル１４１と、ソレノイドコイル１４１内を貫通して延在するシャフト１４２と、ソレノイドコイル１４１の内側でシャフト１４２の回りに固定されたプランジャー１４３と、ソレノイドコイル１４１の内側におけるプランジャー１４３の右側位置でコイルハウジング１４８に固定されたプランジャー受部材１４９、及び、コイルハウジング１４８の図で見て右端に接続されている弁ハウジング１４６内においてシャフト１４２の一端に固定された弁体１４４と、弁体１４４を図で見て左側に付勢するスプリング１４５と、を備えている。第２の電磁弁１４０は、弁ハウジング１４６とコイルハウジング１４８との間の隙間として形成される第１開口１４７－１と、接続管１６２を通して上部チャンバー１２６に連通するように弁ハウジング１４６の右端壁に開口された第２開口１４７－２とをさらに有している。また、第２開口１４７－２はダックビル型の逆止弁１５２を介してヘッダー１２０の下部チャンバー１２７にも連通しており、上部チャンバー１２６と下部チャンバー１２７とは逆止弁１５２を介して、第２の電磁弁１４０を介すること無く連通している。ソレノイドコイル１４１に電力が供給されてソレノイドコイル１４１が励磁されると、図９に示すように、プランジャー１４２がスプリング１４５の付勢力に抗して図で見て右側にプランジャー受部材１４９に当接する位置にまで引き込まれる。この第１状態においては、第２の電磁弁１４０の第２開口１４７－２が塞がれる。第２の電磁弁１４０への供給電圧が一定値以下に低下すると、第２の電磁弁１４０のソレノイドコイル１４１のプランジャー１４２を引き付けていた磁力が低下し、プランジャー１４２がスプリング１４５の付勢力により、図１０に示すように、図で見て左側に移動して第２状態となる。この第２状態では、第２開口１４７－２が開放されて、第２開口１４７－２が第１開口１４７－１と連通しているので、ヘッダー１２０の上部チャンバー１２６内の圧縮空気が排気されて上部チャンバー１２６内の圧力が下がる。そうすると、ダックビル型の逆止弁５１（図４）が開き、各空気室３内の圧縮空気は第２の電磁弁１４０の第２開口１４７－２及び第１開口１４７－１を通過して大気中に排出される。

　本実施形態にかかるヘッダー１２０の外表面には、図８に示すように、多数のフィン１２８が形成されており、圧縮空気によって加熱されるヘッダー１２０の熱を効率的に放熱するようにもなっている。

　上記実施形態に係る電磁弁システム１０、１１０は、第１の電磁弁３０を５つ備えているが、その数は必要に応じて増減させてもよい。例えば図１に示すマッサージ具２に対応するために、第１の電磁弁３０を８つとしても良い。また、必ずしも備えている全ての第１の電磁弁３０を使用する必要はなく、第１の電磁弁３０の数よりもマッサージ具２の空気室３の数が少ないのであれば、余分となる第１の電磁弁３０を第２状態に保持したままとして使用しないようにしてもよい。

　当該電磁弁システム１０は、自己保持型の電磁弁を使用することで、たとえ自動解除型の電磁弁がさらに一つ必要になるとしても全体としての消費電力を低減させることができる。したがって、本実施形態に係る電磁弁システム１０のようにバッテリーにより駆動されるときにその効果が特に有効に発揮されるが、バッテリー以外のＡＣ電源等により駆動されるようにしてももちろんよい。

１　　マッサージ装置　　　　　　　　　　２　　マッサージ具
３　　空気室　　　　　　　　　　　　　　１０　電磁弁システム
２０　ヘッダー　　　　　　　　　　　　　２１　ヘッダーキャップ
２２　圧縮空気入口　　　　　　　　　　　２６　上部チャンバー
２７　下部チャンバー　　　　　　　　　　３０　第１の電磁弁
３１　ソレノイドコイル　　　　　　　　　３２　プランジャー
３３　永久磁石　　　　　　　　　　　　　３４　弁体支持部材
３５　弁体　　　　　　　　　　　　　　　３６　スプリング
３７－１　（第１の電磁弁の）第１開口　　３７－２　（第１の電磁弁の）第２開口
３７－３　（第１の電磁弁の）第３開口　　３８　ハウジング
３８ａ　端壁　　　　　　　　　　　　　　３９　衝撃吸収部材
４０　第２の電磁弁　　　　　　　　　　　４１　ソレノイドコイル
４２　シャフト　　　　　　　　　　　　　４３　プランジャー
４４－１　第１弁体　　　　　　　　　　　４４－２　第２弁体
４５　スプリング　　　　　　　　　　　　４６　弁ハウジング
４７－１　（第２の電磁弁の）第１開口　　４７－２　（第２の電磁弁の）第２開口
４７－３　（第２の電磁弁の）第３開口　　４８　コイルハウジング
４９　プランジャー受部材　　　　　　　　５１　（第１の）逆止弁
５２　（第２の）逆止弁　　　　　　　　　５３　（第３の）逆止弁
６０　供給管　　　　　　　　　　　　　　６２　接続管
１１０　電磁弁システム　　　　　　　　　１２０　ヘッダー
１２６　上部チャンバー　　　　　　　　　１２７　下部チャンバー
１２８　フィン　　　　　　　　　　　　　１４０　第２の電磁弁
１４１　ソレノイドコイル　　　　　　　　１４２　シャフト
１４３　プランジャー　　　　　　　　　　１４４　弁体
１４５　スプリング　　　　　　　　　　　１４６　弁ハウジング
１４７－１　（第２の電磁弁の）第１開口
１４７－２　（第２の電磁弁の）第２開口
１４８　コイルハウジング　　　　　　　　１４９　プランジャー受部材
１６２　接続管

Claims

　空気式マッサージ装置のマッサージ具の複数の空気室への圧縮空気の供給排出を行うための電磁弁システムであって、
　圧縮空気を受け入れる圧縮空気入口と、
　前記マッサージ具の各空気室に接続される複数の第１の電磁弁であって、それぞれ、前記圧縮空気入口と連通する第１開口、外部大気と連通する第２開口、及び対応する空気室と連通する第３開口を有し、前記第２開口が塞がれると共に前記第１開口と前記第３開口とが連通された第１状態と、前記第１開口が塞がれると共に前記第２開口と前記第３開口とが連通された第２状態とを切り替え可能とされている第１の電磁弁と、
　外部大気と連通する第１開口、及び前記複数の空気室と連通する第２開口を有する第２の電磁弁であって、当該第２の電磁弁の前記第１開口と前記第２開口との間の連通が遮断された第１状態と、当該第２の電磁弁の前記第１開口と前記第２開口との間が連通された第２状態とを切り替え可能とされている第２の電磁弁と、
　各空気室と前記第２の電磁弁の前記第２開口との間に設けられた複数の第１の逆止弁であって、前記第２の電磁弁の前記第２開口側の空気圧が前記空気室側の空気圧よりも小さくなったときにのみ前記空気室から前記第２の電磁弁の前記第２開口に向かう空気を通すようにされた複数の第１の逆止弁と、
　を備えており、
　前記第１の電磁弁は、該第１の電磁弁への供給電圧が一定値以下になっても、該供給電圧が一定値以下になった時点での前記第１又は第２状態を維持する自己保持型の電磁弁であり、前記第２の電磁弁は、該第２の電磁弁への供給電圧が一定値以下になると前記第２状態へと切り替わる自動解除型の電磁弁である、電磁弁システム。
　前記第１及び第２の電磁弁を制御する制御装置をさらに備え、該制御装置が、前記第２の電磁弁への供給電圧が設定値以下となった場合に前記第２の電磁弁への電圧供給を止めて前記第２の電磁弁を前記第２状態にするように制御する、請求項１に記載の電磁弁システム。
　前記第２の電磁弁が、前記圧縮空気入口と連通する第３開口をさらに有し、前記第１状態においては、当該第２の電磁弁の前記第１開口が塞がれると共に前記第２開口と前記第３開口とが連通され、前記第２状態においては、当該第２の電磁弁の前記第３開口が塞がれると共に前記第１開口と前記第２開口とが連通されるようにされた、請求項１又は２に記載の電磁弁システム。
　前記圧縮空気入口と前記第２の電磁弁の前記第３開口との間に、前記圧縮空気入口から前記第２の電磁弁の前記第３開口の方向に向かう空気のみを通すようにされた第２の逆止弁を更に備える、請求項３に記載の電磁弁システム。
　前記第２の電磁弁の前記第２開口が前記圧縮空気入口とも連通しており、
　前記第２の電磁弁は、前記第１状態においては前記第２開口を塞ぎ、前記第２状態においては前記第２開口を開放して前記第１開口と前記第２開口とを連通するようにされた、請求項１又は２に記載の電磁弁システム。
　前記圧縮空気入口と前記第２の電磁弁の前記第２開口の間で且つ前記圧縮空気入口と前記空気室との間に、前記圧縮空気入口から前記第２の電磁弁の前記第２開口及び前記空気室の方向に向かう空気のみを通すようにされた第２の逆止弁を更に備える、請求項５に記載の電磁弁システム。
　前記圧縮空気入口と各第１の電磁弁の第１開口との間に、前記圧縮空気入口から前記第１開口の方向に向かう空気のみを通すようにされた第３の逆止弁を更に備える、請求項１乃至６の何れか一項に記載の電磁弁システム。
　前記供給電圧がバッテリーによって供給されるようにされた、請求項１乃至７の何れか一項に記載の電磁弁システム。
　前記第１の電磁弁が、
　ソレノイドコイルと、
　該ソレノイドコイルに磁気的に吸引されるプランジャーと、
　該プランジャーの先端に取り付けられ該第１の電磁弁の前記第１及び第２開口を選択的に塞ぐ弁体と、
　前記プランジャーを該プランジャーが前記ソレノイドコイルに吸引される方向とは逆向きに付勢するスプリングと、
　前記プランジャーを磁気吸着して、該プランジャーの位置を保持する永久磁石と、を有し、
　前記ソレノイドコイルに前記永久磁石の磁気吸引作用を増強するような磁力を発生させる順方向の電圧を印加することによって、前記プランジャーが前記スプリングの付勢力に抗して吸引されて前記第１状態となり、
　前記ソレノイドコイルに前記永久磁石の磁気吸引作用を低下するような磁力を発生させる逆方向の電圧を印加することによって、前記プランジャーが前記スプリングの付勢力によって移動されて前記第２状態となるようにされた、請求項１乃至８の何れか一項に記載の電磁弁システム。
　身体に装着されるようになされ、複数の空気室を有し、該空気室に対し圧縮空気を供給排出して、該空気室を膨張収縮させることにより身体に作用するマッサージ具と、
　該マッサージ具とは別体に用意された圧縮空気供給装置と、
　請求項１乃至９の何れか一項に記載された電磁弁システムであって、前記圧縮空気入口が前記圧縮空気供給装置に接続され、前記第１の電磁弁の前記第３開口が対応する空気室に接続されている、電磁弁システムと、
　を備える空気式マッサージ装置であって、
　前記第２の電磁弁への供給電圧が一定値以下になると、前記第２の電磁弁が前記第２状態へと切り替わり、膨張状態にある空気室内の空気が前記第２の電磁弁の前記第１開口を介して大気開放されるようにされた、空気式マッサージ装置。