WO2013175767A1

WO2013175767A1 - 偏光板、偏光板の製造方法および画像表示装置

Info

Publication number: WO2013175767A1
Application number: PCT/JP2013/003228
Authority: WO
Inventors: 泰宏渡辺
Original assignee: コニカミノルタ株式会社
Priority date: 2012-05-23
Filing date: 2013-05-21
Publication date: 2013-11-28
Also published as: JPWO2013175767A1; KR101688716B1; CN104335085B; CN104335085A; TWI500981B; US20150146294A1; TW201409094A; KR20150004835A

Abstract

　本発明の目的は、表示装置を十分に薄型化しつつ、偏光板やそれを含む表示装置を高温・多湿下で保存した際の、偏光板の変形または反りを抑制しうる偏光板を提供することである。本発明の偏光板は、二色性色素を含む、厚み０．５～１０μｍの偏光子と、ガラスフィルムと、前記偏光子と前記ガラスフィルムとの間に配置され、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層とを有する。

Description

偏光板、偏光板の製造方法および画像表示装置

　本発明は、偏光板、偏光板の製造方法および画像表示装置に関する。

　近年、液晶ディスプレイの市場が急速に拡大している。特に、スマートフォンやタブレットと呼ばれる中小型モバイル機器の市場の拡大が著しい。中小型モバイル機器は、表示画像のコントラストの向上とともに、薄型化や軽量化が求められている。そのため、表示装置の薄型化が検討されている。

　例えば、液晶表示装置は、液晶セルと、その視認側の面に配置される第一の偏光板と、バックライト側の面に配置される第二の偏光板とを有する。第一の偏光板は、少なくとも第一の偏光子と、その視認側の面に配置される保護フィルムＦ１とを有する。

　表示装置を薄型化するために、偏光子の厚みを薄くすることが検討されている。例えば、偏光子を、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を塗布した後、一軸延伸および染色するステップを経て製造する方法が提案されている（例えば特許文献１および２）。これにより、従来の方法で得られる偏光子の厚みが２０μｍ超であるのに対し、１０μｍ以下の厚みの偏光子を得ることができる。

　しかしながら、保護フィルムの厚みは６０～１００μｍであることから、偏光板の厚みを薄くするためには、偏光子だけでなく、保護フィルムの厚みも薄くする、もしくは省略することが望まれる。

　ところで、表示装置の最も視認側には、通常、透明なガラス基板が設けられる。即ち、第一の偏光板を構成する第一の偏光子と透明なガラス基板とは、通常、保護フィルムＦ１を介して積層されている。

　そこで、表示装置を薄型化するために、保護フィルムＦ１を省略すること；具体的には、第一の偏光子と、透明なガラス基板とを、保護フィルムＦ１を介さずに貼り合わせる方法も検討されている。また、表示装置のガラス基板を超薄膜ガラスとすることも提案されている（例えば特許文献３および４）。超薄膜ガラスは、厚みが２００μｍ以下であることから、ロール状に巻き取ることができ、生産性も良好である。

特開２０１１－１００１６１号公報特開２０１１－２４８２９３号公報特許第４３２６６３５号公報特開２０１１－１２１３２０号公報

　本発明者らは、表示装置をさらに薄型化するために、厚みが薄い偏光子と、（表示装置の最も視認側に配置される）ガラス基板とを、保護フィルムＦ１を介さずに積層することを検討した。

　しかしながら、厚みが薄い偏光子とガラス基板とを熱硬化性樹脂を介して接着させると、偏光子とガラス基板の熱膨脹係数の差が大きいため、偏光子に熱による歪み（応力）が残留しやすい。それにより、接着後に得られる偏光板が反りやすいだけでなく、偏光板のロール体を高温多湿下で保存すると偏光板が変形しやすく、それにより偏光度のムラが生じやすいという問題があった。さらに、熱による歪みが残留した偏光子を含む表示装置を高温多湿下で保存すると、偏光子が歪んだり、偏光板の反りが生じたりしやすいという問題があった。これらの問題は、偏光子やガラス基板の厚みが薄い場合に顕著であった。

　本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表示装置を十分に薄型化でき、かつ偏光板やそれを含む表示装置を高温多湿下で保存したときの、偏光板の変形や反りを抑制しうる偏光板とその製造方法およびそれを含む画像表示装置を提供することを目的とする。

　［１］　二色性色素を含む、厚み０．５～１０μｍの偏光子と、ガラスフィルムと、前記偏光子と前記ガラスフィルムとの間に配置され、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層とを含む、偏光板。
　［２］　前記二色性色素は、前記偏光子の一方の面に偏在している、［１］に記載の偏光板。
　［３］　前記活性線硬化性組成物は、紫外線吸収剤を含む、［１］または［２］に記載の偏光板。
　［４］　前記活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層の、波長３８０ｎｍにおける光透過率が５％以上４０％以下である、［１］～［３］のいずれかに記載の偏光板。
　［５］　前記活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層は、前記偏光子の、前記二色性色素が偏在している面上に配置されている、［２］～［４］のいずれかに記載の偏光板。
　［６］　前記ガラスフィルムの厚みが、１～２００μｍである、［１］～［５］のいずれかに記載の偏光板。
　［７］　前記偏光板の幅方向の長さをＷとし、前記偏光板の前記幅方向と直交する方向の長さをＬとしたとき、Ｌ／Ｗが１０～３０００であり、前記偏光板の幅方向と直交する方向にロール状に巻き取られている、［１］～［６］のいずれかに記載の偏光板。

　［８］　［１］～［７］のいずれかに記載の偏光板の製造方法であって、Ａ）偏光子を得る工程と、Ｂ）前記偏光子をガラスフィルムに、活性線硬化性組成物層を介して貼り合わせる工程と、Ｃ）前記活性線硬化性組成物層に活性線を照射して、前記活性線硬化性組成物を硬化させる工程とを含み、前記Ａ）偏光子を得る工程は、１）基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を塗布して、前記基材フィルムと前記ポリビニルアルコール系樹脂層との積層物を得る工程と、２）前記積層物を一軸延伸する工程と、３）前記積層物のポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色するか、または前記一軸延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色する工程とを含む、偏光板の製造方法。
　［９］　前記Ｃ）の工程では、前記活性線を、前記ガラスフィルムを介して前記活性線硬化性組成物層に照射する、［８］に記載の偏光板の製造方法。
　［１０］　前記Ｂ）の工程では、偏光子のロール体から巻き出された偏光子と、ガラスフィルムのロール体から巻き出されたガラスフィルムとを、前記活性線硬化性組成物層を介して貼り合わせる、［８］または［９］に記載の偏光板の製造方法。
　［１１］　前記３）の工程では、前記一軸延伸後の積層物のポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色する、［８］～［１０］のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
　［１２］　前記Ｃ）の工程の後に、前記偏光子に積層された前記基材フィルムを剥離する工程をさらに含む、［８］～［１１］のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
　［１３］　［１］～［６］のいずれかに記載の偏光板を含む、画像表示装置。

　本発明によれば、表示装置を十分に薄型化しつつ、偏光板やそれを含む表示装置を高温・多湿下で保存した際の、偏光板の変形や反りを抑制することができる。

本発明の偏光板の構成の一例を示す模式図である。本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。本発明の有機ＥＬ表示装置の構成の一例を示す模式図である。円偏光板による反射防止機能を説明する模式図である。

　１．偏光板
　図１は、本発明の偏光板の構成の一例を示す模式図である。図１に示されるように、本発明の偏光板１０は、偏光子１２と、ガラスフィルム１４と、それらの間に配置され、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層１６とを含む。本発明の偏光板１０は、特に画像表示装置の視認側に配置される偏光板として好ましく用いられる。

　偏光子１２について
　偏光子は、一定方向の偏波面の光のみを通過させる素子である。偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む偏光フィルムであり；具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂を含むフィルムを一軸延伸し、かつ二色性染料で染色して得られるフィルムである。

　偏光子に含まれるポリビニルアルコール系樹脂の例には、ポリビニルアルコール樹脂およびその誘導体が含まれる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体の例には、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール樹脂をオレフィン（例えばエチレンやプロピレン）、不飽和カルボン酸（例えばアクリル酸、メタクリル酸やクロトン酸）、不飽和カルボン酸のアルキルエステル、アクリルアミドなどで変性したものが含まれる。なかでも、偏光特性や耐久性に優れ、色斑が少ないことなどから、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン変性ポリビニルアルコール樹脂が好ましい。

　ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、１００～１００００であることが好ましく、１０００～１００００であることがより好ましい。平均重合度が１００未満であると、十分な偏光特性が得られにくい。一方、平均重合度が１００００超であると、水に対する溶解性が低下しやすい。ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、８０～１００モル％であることが好ましく、９８モル％以上であることがより好ましい。平均ケン化度が８０モル％未満であると、十分な偏光特性が得られにくいことがある。

　二色性色素の例には、ヨウ素や有機染料などが含まれる。有機染料の例には、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素およびアントラキノン系色素などが含まれる。

　偏光子は、必要に応じて可塑剤、界面活性剤などの添加剤をさらに含有していてもよい。可塑剤の例には、ポリオールおよびその縮合物が含まれ、具体的にはグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの添加剤の含有量は、例えばポリビニルアルコール系樹脂に対して２０重量％以下としうる。

　偏光子における二色性色素は、薄膜の偏光子でも高い偏光度を得るためには、偏光子の一方の面に偏在していることが好ましい。二色性色素が偏在している層の厚みは、偏光子の厚みに対して８０％以下としうる。

　一方の面に偏在した二色性色素を含む偏光子は、片面をマスキングフィルムや基材フィルムで保護した偏光子を、二色性色素を含む溶液に浸漬する方法や、偏光子の片面のみに二色性色素を含む溶液をリップコーター等で塗布する方法などにより作製することができる。

　二色性色素が、偏光子の厚み方向に偏在しているかどうかは、偏光子の切断面を走査型電子顕微鏡（ＳＥＭ）で観察して確認することができる。

　偏光子の、二色性色素が偏在している面上に、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層が積層されることが好ましい。偏光子の、二色性色素が偏在している面が、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層によって覆われることで、偏光子の二色性色素が偏在している面に、外部環境の熱や湿度の影響が伝わりにくくし、二色性色素の配向ムラを抑制することができる。

　偏光子の厚みは、特に制限されないが、３０μｍ以下であることが好ましく、偏光板を十分に薄型化するためには、１０μｍ以下であることがより好ましい。一方、偏光子の厚みは、一定以上の強度や染色性を確保するためには、０．５μｍ以上であることが好ましく、３μｍ以上であることがより好ましい。

　ガラスフィルム１４について
　ガラスフィルムの材質は、ソーダライムガラス、珪酸塩ガラスなどであり、珪酸塩ガラスであることが好ましく、シリカガラスまたはホウ珪酸ガラスであることがより好ましい。

　ガラスフィルムを構成するガラスは、アルカリ成分を実質的に含有していない無アルカリガラスであること、具体的には、アルカリ成分の含有量が１０００ｐｐｍ以下であるガラスであることが好ましい。ガラスフィルム中のアルカリ成分の含有量は、５００ｐｐｍ以下であることが好ましく、３００ｐｐｍ以下であることがより好ましい。アルカリ成分を含有するガラスフィルムは、フィルム表面で陽イオンの置換が発生し、ソーダ吹きの現象が生じやすい。それにより、フィルム表層の密度が低下しやすく、ガラスフィルムが破損しやすいからである。

　ガラスフィルムの厚みは、３００μｍ以下であることが好ましく、一定の強度を確保しつつ、可撓性を付与してロール状に巻き取りやすくするためには、１～２００μｍであることが好ましく、１～１００μｍであることがより好ましく、５～５０μｍであることがさらに好ましい。ガラスフィルムの厚みが３００μｍ超であると、ガラスフィルムに十分な可とう性を付与できず、ロール状に巻き取りにくい。一方、ガラスフィルムの厚みが１μｍ未満であると、ガラスフィルムの強度が不足し、破損しやすい。

　ガラスフィルムは、公知の方法、例えばフロート法、ダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法などにより成形されうる。なかでも、成形時にガラスフィルムの表面が成形部材と接触せず、得られるガラスフィルムの表面に傷がつきにくいことなどから、オーバーフローダウンドロー法が好ましい。

　活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層１６について
　活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層は、前述の偏光子とガラスフィルムとを接着させる機能を有する。活性線硬化性組成物は、後述するように、活性線硬化性化合物を含む。活性線硬化性化合物は、紫外線硬化性化合物であることが好ましい。

　紫外線硬化性化合物は、カチオン重合性化合物であっても、ラジカル重合性化合物であってもよい。紫外線硬化性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーまたはこれらの混合物でありうる。

　カチオン重合性化合物は、硬化物の被接着物との接着性を高めるためには、エポキシ化合物であることが好ましく、塗布性が良好であることから、常温で液体のエポキシ化合物であることがより好ましい。

　常温で液体のエポキシ化合物は、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物でありうる。なかでも、エポキシ化合物の粘度を低くし、かつ高い硬化性を得るためには、脂環式エポキシ化合物が好ましい。

　脂環式エポキシ化合物の例には、以下のものが含まれる。

（式中、Ｙは、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数１～４のアルキル基を表し；Ｒ_１は、炭素数１～４のアルキル基を表し；Ｐは、０または１である）

　脂肪族エポキシ化合物の例には、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルおよび下記グリシドキシ基含有アルコキシシランなどが含まれる。

　芳香族エポキシ化合物の例には、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールＡ型エポキシ樹脂およびビスフェノールＦ型エポキシ樹脂などが含まれる。

　常温で液体のエポキシ化合物は、一種類であってもよいし、二種類以上の混合物であってもよい。硬化性を高めるためには、活性線硬化性組成物における脂環式エポキシ化合物の含有量は、活性線硬化性化合物の合計量に対して３０％以上であることが好ましい。

　ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合性化合物は、一種類であっても、二種以上の混合物であってもよい。

　ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例には、不飽和カルボン酸エステル化合物が含まれる。不飽和カルボン酸エステル化合物における不飽和カルボン酸の例には、（メタ）アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が含まれる。不飽和カルボン酸エステル化合物は、（メタ）アクリレート化合物であることが好ましい。

　（メタ）アクリレート化合物の例には、メチル（メタ）アクリレート、エチル（メタ）アクリレート、イソアミル（メタ）アクリレート、ステアリル（メタ）アクリレート、ラウリル（メタ）アクリレート、オクチル（メタ）アクリレート、デシル（メタ）アクリレート、ブトキシエチル（メタ）アクリレート、ｔ－ブチルシクロヘキシル（メタ）アクリレート等の単官能の（メタ）アクリレート化合物；
　トリエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、テトラエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、トリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、ポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、１，４－ブタンジオールジ（メタ）アクリレート、１，６－ヘキサンジオールジ（メタ）アクリレート等の二官能の（メタ）アクリレート化合物；
　トリメチロールプロパントリ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトールトリ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ（メタ）アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ（メタ）アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ（メタ）アクリレート等の三官能以上の（メタ）アクリレート化合物が含まれる。なかでも、硬化性を高めるためには、二官能または三官能以上の（メタ）アクリレート化合物が好ましい。

　（メタ）アクリレート化合物は、グリシジル基などをさらに有していてもよい。グリシジル基を有する（メタ）アクリレート化合物の例には、（メタ）アクリル酸グリシジルなどが含まれる。

　活性線硬化性組成物は、必要に応じて石油樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂などの他の樹脂や、紫外線吸収剤などをさらに含有していてもよい。なかでも、ガラスフィルムと偏光子との接着性を高めるためには、活性線硬化性組成物；即ち、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層は、紫外線吸収剤をさらに含有していることが好ましい。

　紫外線吸収剤は、特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等でありうる。なかでも、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物が好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物がより好ましい。

　紫外線吸収剤の具体例には、５－クロロ－２－（３，５－ジ－ｓｅｃ－ブチル－２－ヒドロキシルフェニル）－２Ｈ－ベンゾトリアゾール、（２－２Ｈ－ベンゾトリアゾール－２－イル）－６－（直鎖および側鎖ドデシル）－４－メチルフェノール、２－(２Ｈ－ベンゾトリアゾール－２－イル)－６－(１－メチル－１－フェニルエチル)－４－(１,１,３,３－テトラメチルブチル)フェノール、２－ヒドロキシ－４－ベンジルオキシベンゾフェノン、２，４－ベンジルオキシベンゾフェノン等が含まれる。紫外線吸収剤の市販品の好ましい例には、チヌビン１０９、チヌビン１７１、チヌビン２３４、チヌビン３２６、チヌビン３２７、チヌビン３２８、チヌビン９２８等のチヌビン類（いずれもＢＡＳＦジャパン株式会社製）が含まれる。

　その他、１，３，５トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物や、高分子紫外線吸収剤；具体的には、特開平６－１４８４３０号公報に記載されたポリマータイプの紫外線吸収剤なども好ましく用いられる。

　紫外線吸収剤は、一種類であってもよいし、２種以上の混合物であってもよい。

　紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤の種類や使用条件などにより設定されうるが、活性線硬化組成物の硬化物からなる接着層に対して０．５～１５質量％であることが好ましく、０．６～１０質量％であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が０．５質量％未満であると、偏光子近傍の活性線硬化性組成物が硬化されすぎて、得られる接着層の弾性率が高くなりやすい。それにより、当該接着層が、高温多湿下での偏光子の変形を十分には吸収できないことがある。一方、紫外線吸収剤の含有量が１５質量％超であると、偏光子近傍の活性線硬化性組成物の硬化が不十分となりやすく、偏光子との十分な接着性が得られにくい。

　活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層の波長３８０ｎｍでの光透過率は、５～４０％であることが好ましく、５～３５％であることがより好ましい。光透過率が５％未満である接着層は、紫外線吸収剤を多く含みすぎるため、偏光子近傍の活性性硬化性組成物の硬化が不十分であることが多い。一方、光透過率が４０％超である接着層は、紫外線吸収剤をほとんど含まないため、偏光子近傍の接着層の弾性率が高すぎて、高温多湿下で保存したときに偏光子が収縮する応力を吸収しにくいことがある。活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層の光透過率は、紫外線吸収剤の含有量や種類などによって調整されうる。

　活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層の波長３８０ｎｍでの光透過率は、分光光度計（日本分光株式会社製　紫外可視近赤外分光光度計Ｖ－６７０）により測定することができる。

　活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層の厚みは、特に制限されないが、１～３０μｍであることが好ましく、３～２０μｍであることがより好ましい。１μｍ未満であると、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層と偏光子またはガラスフィルムとの接着性が十分でないことがある。一方、３０μｍ超であると、偏光板が厚くなりすぎる。

　保護フィルムについて
　本発明の偏光板は、必要に応じて偏光子の、活性線硬化性化合物の硬化物からなる接着層とは反対側の面に、保護フィルムをさらに含んでいてもよい。

　保護フィルムは、セルロースエステル、環状オレフィン樹脂、（メタ）アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を含む。なかでも、保護フィルムは、偏光子との接着性に優れることなどから、セルロースエステルを含むことが好ましい。

　セルロースエステル
　セルロースエステルは、セルロースの水酸基を、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸でエステル化して得られる化合物である。

　セルロースエステルに含まれるアシル基は、脂肪族アシル基または芳香族アシル基であり、好ましくは脂肪族アシル基である。なかでも、脂肪族アシル基の炭素数は、２～６であることが好ましく、２～４であることがより好ましい。炭素数２～４の脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基などが含まれ、より好ましくはアセチル基、プロピオニル基である。

　セルロースエステルのアシル基の総置換度は、２．０～３．０であり、延伸によって高い位相差を得るためには、２．０～２．６であることが好ましい。

　セルロースエステルのアシル基の置換度は、ＡＳＴＭ－Ｄ８１７－９６に準じて測定することができる。

　セルロースエステルの例には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが含まれ、好ましくはセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。

　セルロースエステルのアセチル基の置換度は、位相差を発現させるためには、２．０～２．６であることが好ましい。セルロースエステルに含まれる、アセチル基以外のアシル基の置換度は１．０以下であることが好ましい。

　セルロースエステルの数平均分子量は、機械的強度が高いフィルムを得るためには、３．０×１０^４以上２．０×１０^５未満であることが好ましく、４．５×１０^４以上１．５×１０^５未満であることがより好ましい。セルロースエステルの重量平均分子量は、１．２×１０^５以上２．５×１０^５未満であることが好ましく、１．５×１０^５以上２．０×１０^５未満であることがより好ましい。

　セルロースエステルの分子量分布（重量平均分子量Ｍｗ／数平均分子量Ｍｎ）は、１．０～４．５であることが好ましい。

　セルロースエステルの数平均分子量Ｍｎおよび重量平均分子量Ｍｗは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー（ＧＰＣ）により測定することができる。測定条件は以下の通りである。
　溶媒：メチレンクロライド
　カラム：Ｓｈｏｄｅｘ　Ｋ８０６、Ｋ８０５、Ｋ８０３Ｇ（昭和電工（株）製）を３本接続して使用する。
　カラム温度：２５℃
　試料濃度：０．１質量％
　検出器：ＲＩ　Ｍｏｄｅｌ　５０４（ＧＬサイエンス社製）
　ポンプ：Ｌ６０００（日立製作所（株）製）
　流量：１．０ｍｌ／ｍｉｎ
　校正曲線：標準ポリスチレンＳＴＫ　ｓｔａｎｄａｒｄポリスチレン（東ソー（株）製）Ｍｗ＝１．０×１０^６～５．０×１０^２までの１３サンプルによる校正曲線を使用する。１３サンプルは、ほぼ等間隔に選択することが好ましい。

　保護フィルムは、必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、レターデーション調整剤、帯電防止剤、剥離剤、マット剤（微粒子）などの添加剤をさらに含んでいてもよい。

　保護フィルムの厚みは、１０～２００μｍであることが好ましく、１０～１００μｍであることがより好ましく、１５～４５μｍであることがさらに好ましい。フィルムの厚みが２００μｍ超であると、熱や湿度により位相差の変動が大きくなりやすい。一方、フィルムの厚みが１０μｍ未満であると、十分なフィルム強度が得られにくい。

　保護フィルムの面内方向または厚み方向のレターデーションは、液晶セルの表示方式や、求められる光学性能に応じて設定される。例えば、ＩＰＳ方式の液晶セルの位相差を調整するためには、保護フィルムの、２３℃５５％ＲＨの環境下で、波長５９０ｎｍにて測定される面内方向のレターデーションＲｏおよび厚み方向のレターデーションＲｔｈは、いずれも－３ｎｍ以上３ｎｍ以下であることが好ましく、－２ｎｍ以上２ｎｍ以下であることがより好ましい。

　レターデーションＲｏおよびＲｔｈは、それぞれ以下の式で定義される。
　式（Ｉ）　Ｒｏ＝（ｎｘ－ｎｙ）×ｄ
　式（II）　Ｒｔｈ＝｛（ｎｘ＋ｎｙ）／２－ｎｚ｝×ｄ
　（ｎｘ：フィルム面内の遅相軸方向ｘの屈折率、ｎｙ：フィルム面内において、遅相軸方向ｘに対して直交する方向ｙの屈折率、ｎｚ：フィルムの厚み方向ｚの屈折率、ｄ：フィルムの厚み（ｎｍ））

　レターデーションＲｏおよびＲｔｈは、例えば以下の方法によって測定することができる。
　１）フィルムを、２３℃５５％ＲＨで調湿する。調湿後のフィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定する。
　２）調湿後のフィルムに、当該フィルム表面の法線に平行に測定波長５９０ｎｍの光を入射させたときのＲｏを、ＫＯＢＲＡ２１ＡＤＨ、王子計測（株）にて測定する。
　３）ＫＯＢＲＡ２１ＡＤＨにより、フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸（回転軸）として、フィルムの表面の法線に対してθの角度（入射角（θ））から測定波長５９０ｎｍの光を入射させたときのレターデーション値Ｒ（θ）を測定する。レターデーション値Ｒ（θ）の測定は、θが０°～５０°の範囲で、１０°毎に６点行うことができる。フィルムの面内の遅相軸は、ＫＯＢＲＡ２１ＡＤＨにより確認できる。
　４）測定されたＲｏおよびＲ（θ）と、前述の平均屈折率と膜厚とから、ＫＯＢＲＡ２１ＡＤＨにより、ｎｘ、ｎｙおよびｎｚを算出して、測定波長５９０ｎｍでのＲｔｈを算出する。レターデーションの測定は、２３℃５５％ＲＨ条件下で行うことができる。

　フィルムの、ＪＩＳ　Ｋ－７１３６に準拠して測定される内部ヘイズは、０．０１～０．１であることが好ましい。フィルムの可視光透過率は、９０％以上であることが好ましく、９３％以上であることがより好ましい。

　２．本発明の偏光板の製造方法
　本発明の偏光板は、Ａ）厚み０．５～１０μｍの偏光子を得る工程と、Ｂ）偏光子をガラスフィルムに、活性線硬化性組成物層を介して貼り合わせる工程と、Ｃ）活性線硬化性組成物層に活性線を照射して、活性線硬化性組成物を硬化させる工程と、を経て製造することができる。

　Ａ）偏光子を得る工程
　偏光子を得る工程は、少なくとも１）基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を塗布して、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との積層物を得る工程と；２）積層物を一軸延伸する工程と；３）積層物のポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色するか、または一軸延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色する工程と、を含む。

　１）塗布工程
　ポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を、基材フィルムの一方の面に塗布した後、乾燥させることで、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の積層物を得ることができる。それにより、薄くて均一な厚みのポリビニルアルコール系樹脂層を形成することができる。

　ポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液は、ポリビニルアルコール系樹脂の粉末を良溶媒に溶解させたものでありうる。ポリビニルアルコール系樹脂は、前述したものと同様である。

　積層物におけるポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは、例えば３～３０μｍであることが好ましく、５～２０μｍであることがより好ましい。３μｍ未満であると、延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層が薄くなりすぎて、染色性が低下しやすい。一方、３０μｍを超えると、偏光板が厚くなりやすい。

　ポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液の塗布は、公知の方法、例えばワイヤーバーコーティング法等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などで行うことができる。乾燥温度は、例えば５０～２００℃としうる。

　基材フィルムの材質は、特に制限されないが、機械的強度、延伸性および熱安定性などが高い熱可塑性樹脂であることが好ましい。そのような熱可塑性樹脂の例には、セルロースエステルなどのセルロースエステル樹脂；ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂；ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが含まれる。

　基材フィルムのガラス転移温度（Ｔｇ）は、延伸に適した範囲であればよく、例えば６０℃以上２５０℃以下でありうる。

　基材フィルムの厚みは、特に制限されないが、一定以上のフィルム強度を得るためなどから、１～５００μｍであることが好ましく、１～３００μｍであることがより好ましく、５～２００μｍであることがより好ましい。

　２）延伸工程
　基材フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂層の積層物を一軸延伸する。積層物の延伸倍率は、求められる偏光特性に応じて設定されうるが、２～７倍であることが好ましく、５～７倍であることがより好ましい。延伸倍率が２倍未満であると、ポリビニルアルコール系樹脂の分子鎖が十分に配向しないため、得られる偏光子の偏光度が不十分となりやすい。一方、延伸倍率が７倍超であると、延伸時に積層物が破断しやすいだけでなく、延伸後の積層物の厚みが必要以上に薄くなりやすい。

　一軸延伸は、積層物の幅方向（ＴＤ方向）、搬送方向（ＭＤ方向）または斜め方向のいずれに行なってもよいが、搬送方向（ＭＤ方向）に行うことが好ましい。搬送方向（ＭＤ方向）に一軸延伸する方法は、ロール間延伸方法、圧縮延伸方法、テンターを用いた延伸方法などでありうる。また、一軸延伸は、自由端延伸であっても、固定端延伸であってもよく、好ましくは自由端延伸である。

　延伸処理は、湿潤式で行っても、乾式で行ってもよいが、積層物の延伸温度を広範囲に設定できることから、乾式で行うことが好ましい。

　延伸温度は、基材フィルムのＴｇ近傍に設定されることが好ましく、具体的には、（基材フィルムのＴｇ－３０℃）～（基材フィルムのＴｇ＋５℃）の範囲であることが好ましく、（基材フィルムのＴｇ－２５℃）～（基材フィルムのＴｇ）の範囲であることがより好ましい。延伸温度が、（基材フィルムのＴｇ－３０℃）未満であると、前述のような高倍率での延伸が困難になる。一方、延伸温度が（基材フィルムのＴｇ＋５℃）超であると、基材フィルムの流動性が大きすぎて延伸が困難となりやすい。延伸温度は、上記範囲内であって、さらに好ましくは１２０℃以上である。

　３）染色工程
　ポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色する工程は、延伸工程と同時あるいはその前後に行うことができ、二色性色素を良好に配向させるためには、延伸工程の後に行うことが好ましい。

　ポリビニルアルコール系樹脂層の染色は、一軸延伸後の積層物を、二色性色素を含有する溶液（染色溶液）に浸漬することによって行なうことができる。

　染色溶液は、前述の二色性色素を溶媒に溶解した溶液でありうる。染色溶液の溶媒は、一般的には水であってよいが、水とそれと相溶する有機溶媒との混合物であってもよい。染色溶液中の二色性色素の濃度は、０．０１～１０重量％であることが好ましく、０．０２～７重量％であることがより好ましく、０．０２５～５重量％であることが特に好ましい。

　二色性色素としてヨウ素を含む染色溶液は、染色効率を一層向上させるためには、ヨウ化物をさらに含有することが好ましい。ヨウ化物の例には、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが含まれ、好ましくはヨウ化カリウムである。

　染色溶液におけるヨウ化物の濃度は、０．０１～１０重量％であることが好ましい。ヨウ化物がヨウ化カリウムである場合、ヨウ素とヨウ化カリウムとの含有比率は、質量比で１：５～１：１００の範囲にあることが好ましく、１：６～１：８０の範囲にあることがより好ましい。

　一軸延伸後の積層物の、染色溶液への浸漬時間は、特に限定されないが、１５秒～１５分間の範囲であることが好ましく、１分～３分間であることがより好ましい。また、染色溶液の温度は、１０～６０℃の範囲にあることが好ましく、２０～４０℃の範囲にあることがより好ましい。

　染色工程の後、染色した二色性色素をポリビニルアルコール系樹脂層に定着させやすくするために、必要に応じて４）架橋工程をさらに行ってもよい。

　４）架橋工程
　架橋工程は、染色工程で染色した積層物を、例えば架橋剤を含む溶液（架橋溶液）中に浸漬して行なうことができる。架橋剤は、公知のものを使用することができ、その例には、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが含まれる。

　架橋溶液は、架橋剤を溶媒に溶解した溶液でありうる。前述と同様、溶媒は、水、または水とそれと相溶する有機溶媒との混合物でありうる。架橋溶液中の架橋剤の濃度は、１～１０重量％の範囲にあることが好ましく、２～６重量％であることがより好ましい。

　架橋溶液は、得られる偏光子の面内における偏光特性を均一にするためには、ヨウ化物をさらに含有することが好ましい。ヨウ化物は、前述と同様としうる。架橋溶液中のヨウ化物の濃度は、好ましくは０．０５～１５重量％、より好ましくは０．５～８重量％である。

　染色した積層物の、架橋溶液への浸漬時間は、１５秒～２０分間であることが好ましく、３０秒～１５分間であることがより好ましい。また、架橋溶液の温度は、１０～８０℃の範囲にあることが好ましい。

　架橋工程は、架橋剤を染色溶液中に含有させて、染色工程と同時に行なってもよい。また、架橋工程と延伸工程とを同時に行ってもよい。

　このようにして得られた積層物を、洗浄した後、乾燥することが好ましい。洗浄は、得られた積層物を、イオン交換水、蒸留水などの純水に浸漬して行なうことができる。水洗温度は、通常、３～５０℃、好ましくは４～２０℃の範囲としうる。浸漬時間は、２～３００秒間、好ましくは５～２４０秒間としうる。

　このように、塗布工程におけるポリビニルアルコール系樹脂層は、少なくとも延伸工程と染色工程を経て、偏光子となる。偏光子は、二色性色素が延伸方向に一軸配向したものである。偏光子における二色性色素の配向状態は、例えば市販の自動複屈折測定装置（王子計測機器（株）製：ＫＯＢＡＲ－ＷＰＲ）などによって測定することができる。

　本工程で得られる偏光板は、幅方向に直交する方向に巻き取られたロール体であってもよい。

　Ｂ）偏光子とガラスフィルムと貼り合わせる工程
　前述で得られた積層物の偏光子をガラスフィルムに、活性線硬化性組成物層を介して貼り合わせる。ガラスフィルムは、前述のものを使用できる。

　活性線硬化性組成物層は、偏光子上またはガラスフィルム上に、活性線硬化性組成物を塗布した後、乾燥させて得ることができる。活性線硬化性組成物層は、偏光子の、二色性色素で染色されている面に配置されてもよいし、二色性色素で染色されていない面に配置されてもよい。高温多湿下での二色性色素の配向ムラを抑制するためには、活性線硬化性組成物層は、偏光子の、二色性色素で染色されている面に配置されることが好ましい。

　活性線硬化性組成物は、前述の活性線硬化性化合物と、光重合開始剤とを含有し、必要に応じて紫外線吸収剤、界面活性剤、カップリング剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤をさらに含有してもよい。

　光重合開始剤は、活性線硬化性化合物の種類に応じて選択され、光カチオン重合開始剤または光ラジカル重合開始剤でありうる。

　光カチオン重合開始剤の例には、ＰＰ－３３（旭電化工業製）などのアリールジアゾニウム塩；ＦＣ－５０９（３Ｍ社製）、ＵＶＥ１０１４（Ｇ・Ｅ．社製）、ＵＶＩ－６９７４、ＵＶＩ－６９７０、ＵＶＩ－６９９０、ＵＶＩ－６９５０（ユニオン・カーバイト社製）、ＳＰ－１７０、ＳＰ－１５０（旭電化工業社製）等のアリールスルホニウム塩；アリールヨードニウム塩；およびＣＧ－２４－６１（チバガイギー社製）などのアレン－イオン錯体が含まれる。

　光ラジカル重合開始剤は、前述のラジカル重合性化合物を重合させるものであり、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型とがある。分子内結合開裂型の光ラジカル重合開始剤の例には、１－ヒドロキシ－シクロヘキシル－フェニル－ケトン、ジエトキシアセトフェノン、２－ヒドロキシ－２－メチル－１－フェニルプロパン－１－オン等のアセトフェノン系；ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン類；２，４，６－トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系等が含まれる。

　分子内水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、ｏ－ベンゾイル安息香酸メチル－４－フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系；２－イソプロピルチオキサントン、２，４－ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系；ミヒラ－ケトン、４，４′－ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系などが含まれる。

　活性線硬化性組成物中の光重合開始剤の含有量は、活性線硬化性化合物に対して０．５～３０質量％であることが好ましい。

　界面活性剤は、活性線硬化性組成物を、偏光子やガラスフィルム上でレベリングさせやすくする目的で含有されうる。界面活性剤は、特に制限されないが、シリコーン系界面活性剤であることが好ましく、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤であることがより好ましい。シリコーン系界面活性剤の市販品の例には、日本ユニカー（株）製のＬシリーズ（例えばＬ７００１、Ｌ－７００６、Ｌ－７６０４、Ｌ－９０００）、Ｙシリーズ、ＦＺシリーズ（ＦＺ－２２０３、ＦＺ－２２０６、ＦＺ－２２０７）などが含まれる。

　活性線硬化性組成物における界面活性剤の含有量は、当該組成物中の固形分に対して０．０１～３質量％程度としうる。

　カップリング剤は、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層とガラスフィルムとの接着性を高める目的で含有されうる。カップリング剤の例には、ビニルトリメトキシシラン、γ－グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が含まれる。

　活性線硬化性組成物におけるカップリング剤の含有量は、０．２～２．０質量％程度としうる。

　活性線硬化性組成物の２５℃での粘度は、作業性がよく、硬化物の透明性が高いことなどから、２０～２０００ｍＰａｓの範囲であることが好ましい。

　活性線硬化性組成物の塗布は、ガラスフィルム上に行っても、偏光子上に行ってもよいが、塗膜の厚みを均一にしやすいことから、ガラスフィルム上に行うことが好ましい。活性線硬化性化合物を含む組成物の塗布方法は、特に制限されず、ワイヤーバーコーティング法等のロールコーティング法、スピンコーティング法などでありうる。

　活性線硬化性組成物層の厚みは、硬化後の厚みが前述の範囲となるように設定され、例えば０．５～５０μｍ程度としうる。

　活性線硬化性組成物層における紫外線吸収剤の含有量は、硬化後に得られる接着層での含有量が前述の範囲となるように設定されることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が多すぎると、硬化後に得られる接着層の光透過率が５％未満となりやすい。そのため、活性線を、ガラスフィルムを介して活性線硬化性組成物層に照射したときに、偏光子近傍の活性線硬化性組成物まで活性線が十分に届かないため、活性性硬化性組成物の硬化が不十分となりやすい。一方、紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると、硬化後に得られる接着層の光透過率が４０％超となりやすい。そのため、活性線を、ガラスフィルムを介して活性線硬化性組成物層に照射したときに、偏光子近傍の活性線硬化性組成物が硬化されすぎる。それにより、偏光子近傍の活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層の弾性率が高くなりすぎて、高温多湿下で保存したときに偏光子が収縮する応力を吸収しにくいことがある。

　本工程では、偏光子のロール体から巻き出された偏光子と、ガラスフィルムのロール体から巻き出されたガラスフィルムとを、活性線硬化性組成物層を介して貼り合わせることが好ましい。

　Ｃ）活性線硬化性組成物層を硬化させる工程
　活性線硬化性組成物層に活性線を照射して、活性線硬化性組成物を硬化させる。それにより、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層を得る。

　活性線は、可視光線、紫外線、Ｘ線、電子線等でありうるが、一般的には、紫外線である。活性線の光源は、特に限定されないが、波長２００～４００ｎｍの光を発する光源；例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、キセノン灯、カーボンアーク灯などでありうる。

　活性線は、ガラスフィルムを介して活性線硬化性組成物層に照射してもよいし、偏光子を介して活性線硬化性組成物層に照射してもよい。活性線硬化性組成物が紫外線吸収剤を含む場合は、活性線は、ガラスフィルムを介して活性線硬化性組成物層に照射することが好ましい。偏光子近傍の活性線硬化性組成物の硬化度を低めにすることができるからである。

　活性線の照射強度は、活性線硬化性組成物層の組成にもよるが、光カチオン重合開始剤を活性化させうる波長領域の照射強度が、１～３０００ｍＷ／ｃｍ^２の範囲にあることが好ましい。

　活性線の照射時間は、例えば照射強度と照射時間の積で表される積算光量が１０～５０００ｍＪ／ｃｍ^２の範囲となるように設定されることが好ましい。積算光量が１０ｍＪ／ｃｍ^２未満であると、光カチオン重合開始剤を活性化させるのに十分でなく、活性線硬化性組成物を十分に硬化させることができないことがある。

　Ｄ）基材フィルムを剥離する工程
　このようにして得られた、基材フィルム／偏光子／活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層／ガラスフィルムの積層物から基材フィルムを剥離する。そして、偏光子の、基材フィルムが剥離された側の面に、必要に応じて保護フィルムを貼着して偏光板を得ることができる。保護フィルムは、前述したものと同様である。

　得られた偏光板は、幅方向と直交する方向に巻き取られたロール体として保存されてもよい。ロール体における偏光板は、生産性がよいことから、偏光板の幅方向の長さをＷとし、偏光板の幅方向と直交する方向の長さをＬとしたとき、Ｌ／Ｗが１０～３０００の範囲であることが好ましい。

　このように本発明では、偏光子とガラスフィルムとを保護フィルムＦ１を介さずに貼り合わせる。それにより、偏光子とガラス基板とを保護フィルムＦ１を介して貼り合わせる従来の方法よりも、薄い偏光板を得ることができる。また、本発明では、塗布法で得られる薄膜の偏光子を用いるので、厚膜の偏光子を用いた従来の方法よりも、一層薄い偏光板を得ることができる。

　一方で、薄膜の偏光子とガラスフィルムとを熱硬化性組成物層を介して接着させると、偏光子とガラスフィルムとの熱膨脹係数の差が大きいため、偏光子に熱による歪み（応力）が残留しやすい。それにより、偏光子の偏光度が低下したり、接着時に偏光板が変形したり、得られた偏光板を高温多湿下で保存したときに偏光子が収縮して偏光板の変形や反りが生じたりしやすい。このような、残留する歪み（応力）による偏光板の変形や反りは、特に偏光子の厚みが薄い場合に顕著である。

　これに対して本発明では、偏光子とガラスフィルムとを、活性線硬化性組成物層を介して接着させる。即ち、活性線硬化性組成物層に活性線を照射して接着させるため、加熱が不要であり、偏光子に熱による歪み（応力）が残留しにくい。そのため、接着時の偏光板の変形や、偏光板のロール体を高温多湿下で保存したときの偏光板の変形、表示装置を高温多湿下で保存したときの偏光板の反りなどを抑制することができる。また、薄膜の偏光子は、従来の厚膜の偏光子よりも、熱や湿度による偏光子の収縮力も小さい。

　さらに、活性線硬化性組成物層の波長３８０ｎｍでの光透過率を５％以上４０％以下とすることで、活性線を、ガラスフィルムを介して活性線硬化性組成物層に照射したときに、ガラスフィルム近傍の活性線硬化性組成物の硬化を妨げることなく、偏光子近傍の活性線硬化性組成物の硬化をやや抑えることができる。それにより、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層の、ガラスフィルムとの接着強度は高くし、かつ偏光子との接着強度を低めにすることができる。その結果、高温多湿下で保存したときに、偏光子の熱や湿度による収縮応力を、当該接着層で適度に吸収させることができるため、当該接着層と偏光子との接着性を維持しやすいと考えられる。

　さらに、偏光子とガラスフィルムとを、偏光子の染色面がガラスフィルム側となるように貼り合せることで、偏光子の染色面に傷が付いたり、偏光子が外部環境の熱や湿度によって変形したりするのを抑制できる。それにより、偏光板の偏光性能を良好に維持しつつ、偏光板のロール体を高温多湿下で保存したときの偏光子の偏光度の低下やムラを抑制することができる。

　３．画像表示装置
　本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板を含む液晶表示装置または有機ＥＬ表示装置でありうる。

　液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する第一および第二の偏光板と、バックライトとを有する。少なくとも液晶セルの視認側に配置される第一の偏光板；好ましくは液晶セルの視認側に配置される第一の偏光板とバックライト側に配置される第二の偏光板の両方を、本発明の偏光板としうる。

　図２は、液晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。図２に示されるように、液晶表示装置２０は、液晶セル４０と、それを挟持する第一の偏光板６０および第二の偏光板８０と、バックライト９０とを有する。同図では、第一の偏光板６０と第二の偏光板８０の両方を本発明の偏光板とした例を示す。

　液晶セル４０の表示方式は、特に制限されず、ＴＮ（ＴｗｉｓｔｅｄＮｅｍａｔｉｃ）方式、ＳＴＮ（ＳｕｐｅｒＴｗｉｓｔｅｄＮｅｍａｔｉｃ）方式、ＩＰＳ（Ｉｎ－ＰｌａｎｅＳｗｉｔｃｈｉｎｇ）方式、ＯＣＢ（ＯｐｔｉｃａｌｌｙＣｏｍｐｅｎｓａｔｅｄＢｉｒｅｆｒｉｎｇｅｎｃｅ）方式、ＶＡ（ＶｅｒｔｉｃａｌＡｌｉｇｎｍｅｎｔ）方式（ＭＶＡ；Ｍｕｌｔｉ－ｄｏｍａｉｎＶｅｒｔｉｃａｌＡｌｉｇｎｍｅｎｔやＰＶＡ；ＰａｔｔｅｒｎｅｄＶｅｒｔｉｃａｌＡｌｉｇｎｍｅｎｔも含む）、ＨＡＮ（ＨｙｂｒｉｄＡｌｉｇｎｅｄＮｅｍａｔｉｃ）方式等がある。視野角を広くするためには、ＩＰＳ方式の液晶セルが好ましい。

　ＩＰＳ方式の液晶セルは、二つの透明基板と、それらの間に配置され、液晶分子を含む液晶層とを含む。

　二つの透明基板のうち、一方の透明基板のみに、画素電極と対向電極とが配置される。画素電極と対向電極とが配置される透明基板は、バックライト８０側に配置されることが好ましい。

　液晶層は、負の誘電率異方性（Δε＜０）または正の誘電率異方性（Δε＞０）を有する液晶分子を含む。液晶分子は、電圧無印加時（画素電極と対向電極との間に電界が生じていない時）には、液晶分子の長軸が、透明基板の表面に対して水平になるように配向している。

　このように構成された液晶セルでは、画素電極に画像信号（電圧）を印加して、画素電極と対向電極との間に基板面に対して電界を生じさせる。それにより、基板面に対して水平配向している液晶分子を、基板面に水平な面内で回転させる。それにより、液晶層を駆動し、各副画素の透過率および反射率を変化させて画像表示を行う。

　第一の偏光板６０は、本発明の偏光板であり、液晶セル４０の視認側の面に配置されている。第一の偏光板６０は、第一の偏光子６２と、その視認側の面に、活性硬化性組成物の硬化物からなる接着層６６を介して配置されるガラスフィルム６４と、第一の偏光子６２の液晶セル４０側の面に配置された保護フィルム６８（Ｆ２）とを有する。

　同様に、第二の偏光板８０は、本発明の偏光板であり、液晶セル４０のバックライト９０側の面に配置されている。第二の偏光板８０は、第二の偏光子８２と、そのバックライト９０側の面に、活性硬化性組成物の硬化物からなる接着層８６を介して配置されるガラスフィルム８４と、第二の偏光子８２の液晶セル４０側の面に配置された保護フィルム８８（Ｆ３）とを有する。

　保護フィルム６８（Ｆ２）と８８（Ｆ３）の少なくとも一方は、必要に応じて省略されてもよい。

　図２では、第一の偏光板６０と第二の偏光板８０の両方が本発明の偏光板である例を示したが、それに限らず、第一の偏光板６０のみを本発明の偏光板とし、第二の偏光板は通常の偏光板としてもよい。その場合、第二の偏光板において、偏光子のバックライト９０側に配置されうる保護フィルムは、透明な保護フィルムでありうる。そのような透明な保護フィルムの例には、セルロースエステルフィルムが含まれる。セルロースエステルフィルムの例には、市販のセルロースエステルフィルム（例えば、コニカミノルタタック　ＫＣ８ＵＸ、ＫＣ５ＵＸ、ＫＣ８ＵＣＲ３、ＫＣ８ＵＣＲ４、ＫＣ８ＵＣＲ５、ＫＣ８ＵＹ、ＫＣ６ＵＹ、ＫＣ４ＵＹ、ＫＣ４ＵＥ、ＫＣ８ＵＥ、ＫＣ８ＵＹ－ＨＡ、ＫＣ８ＵＸ－ＲＨＡ、ＫＣ８ＵＸＷ－ＲＨＡ－Ｃ、ＫＣ８ＵＸＷ－ＲＨＡ－ＮＣ、ＫＣ４ＵＸＷ－ＲＨＡ－ＮＣ、以上コニカミノルタオプト（株）製）などが含まれる。

　透明な保護フィルムの厚みは、特に制限されないが、１０～２００μｍ程度であり、１０～１００μｍであることが好ましく、１０～７０μｍであることがより好ましい。

　このように、本発明の液晶表示装置では、少なくとも視認側の偏光板の偏光子とガラスフィルムとが、保護フィルムを介さずに貼り合わされている。そのため、本発明の液晶表示装置は、視認側の偏光板の偏光子とガラスフィルムとが保護フィルムを介して貼り合わされた従来の液晶表示装置よりも薄くされうる。また、偏光子の厚みも従来よりも十分に薄いため、それを含む液晶表示装置の厚みも高度に薄くされうる。

　また、本発明の偏光板に含まれる偏光子には、前述の通り、熱による歪み（応力）が残留していない。そのため、本発明の偏光板を含む表示装置を高温多湿下で保存した後においても、偏光子に残留する歪み（応力）に起因する偏光板の反りを抑制することができる。それにより、表示装置のコントラストムラや表示ムラを抑制することができる。

　図３は、有機ＥＬ表示装置の構成の一例を示す模式図である。図３に示されるように、有機ＥＬ表示装置１００は、光反射電極１１２と、発光層１１４と、透明電極層１１６と、透明基板１１８と、円偏光板１２０とをこの順に有する。

　光反射電極１１２は、光反射率の高い金属材料で構成されていることが好ましい。金属材料の例には、Ｍｇ、ＭｇＡｇ、ＭｇＩｎ、Ａｌ、ＬｉＡｌ等が含まれる。光反射電極１１２は、スパッタリング法により形成されうる。光反射電極１１２は、パターニングされていてもよい。

　発光層１１４は、Ｒ（レッド）発光層、Ｇ（グリーン）発光層およびＢ（ブルー）発光層を含む。各発光層は、発光材料を含む。発光材料は、無機化合物であっても、有機化合物であってもよく、好ましくは有機化合物である。

　各発光層は、電荷輸送材料をさらに含み、電荷輸送層としての機能をさらに有していてもよいし；ホール輸送材料をさらに含み、ホール輸送層としての機能をさらに有していてもよい。各発光層が、電荷輸送材料またはホール輸送材料を含まない場合、有機ＥＬ表示装置１００は、電荷輸送層またはホール輸送層をさらに有しうる。

　各発光層は、それぞれパターニングされて得られる。パターニングは、フォトマスクなどを用いて行うことができる。発光層１１４は、発光材料を蒸着するなどして形成することができる。

　透明電極層１１６は、一般的には、ＩＴＯ電極でありうる。透明電極層１１６は、スパッタリング法などにより形成されうる。透明電極層１１６は、パターニングされていてもよい。

　透明基板１１８は、光を透過させうるものであればよく、ガラス基板、プラスチックフィルムまたは薄膜などでありうる。

　円偏光板１２０は、本発明の偏光板であり、偏光子（直線偏光膜）１２２と、その視認側の面に、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層１２６を介して配置されたガラスフィルム１２４と、偏光子１２２の透明基板１１８側の面に配置されたλ／４板１２８とを有する。λ／４板１２８の遅相軸と、偏光子１２２の吸収軸とが交差する角度は４５±２°の範囲であることが好ましい。

　有機ＥＬ表示装置１００は、光反射電極１１２と透明電極層１１６とを間を通電させると、発光層１１４が発光し、画像を表示することができる。また、Ｒ（レッド）発光層、Ｇ（グリーン）発光層およびＢ（ブルー）発光層のそれぞれが通電可能に構成されていることで、フルカラー画像の表示が可能となる。

　図４は、円偏光板１２０による反射防止機能を説明する模式図である。同図では、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層１２６とガラスフィルム１２４の図示は省略している。

　図４に示されるように、有機ＥＬ表示装置１００の表示画面の法線に平行に、外部から光（ａ１およびｂ１を含む）が入射すると、偏光子（ＬＰ）１２２の透過軸方向と平行な直線偏光（ｂ１）のみが偏光子（ＬＰ）１２２を通過する。偏光子（ＬＰ）１２２の透過軸方向と平行でない他の直線偏光（ａ１）は、偏光子（ＬＰ）１２２に吸収される。偏光子（ＬＰ）１２２を通過した直線偏光成分（ｂ２）は、λ／４板１２８を通過することで、円偏光（ｃ２）に変換される。円偏光（ｃ２）は、有機ＥＬ表示装置１００の光反射電極１１２（図２参照）で反射されると、逆回りの円偏光（ｃ３）となる。逆回りの円偏光（ｃ３）は、λ／４板１２８を通過することで、偏光子（ＬＰ）１２２の透過軸方向に対して直交する方向の直線偏光（ｂ３）に変換される。この直線偏光（ｂ３）は、偏光子（ＬＰ）１２２を通過できずに、吸収される。

　このように、有機ＥＬ表示装置１００に外部から入射する光（ａ１およびｂ１を含む）は、すべて偏光子（ＬＰ）１２２に吸収されるため、有機ＥＬ表示装置１００の光反射電極で反射しても、外部に出射しない。したがって、背景の映り込みによる画像表示特性の低下を防止することができる。

　また、有機ＥＬ表示装置１００の内部からの光；即ち、発光層１１４（図２参照）からの光は、二種類の円偏光成分（ｃ３およびｃ４）を含む。一方の円偏光（ｃ３）は、λ／４板１２８を通過することで、偏光子（ＬＰ）１２２の透過軸方向と直交する方向の直線偏光（ｂ３）に変換される。そして、直線偏光（ｂ３）は、偏光子（ＬＰ）１２２を通過できずに、吸収される。他方の円偏光（ｃ４）は、λ／４板１２８を通過することで、偏光子（ＬＰ）１２２の透過軸方向と平行な直線偏光（ｂ４）に変換される。そして、直線偏光（ｂ４）は偏光子（ＬＰ）１２２を通過して、直線偏光（ｂ４）となり、画像として認識される。

　偏光子（ＬＰ）１２２とλ／４板１２８との間に、偏光子（ＬＰ）１２２の透過軸方向と直交する方向の直線偏光（ｂ３）を反射する反射偏光板（不図示）をさらに配置してもよい。反射偏光板は、直線偏光（ｂ３）を偏光子（ＬＰ）１２２で吸収させずに反射させ、それを光反射電極１１２（図２参照）で再度反射させて、偏光子（ＬＰ）１２２の透過軸方向と平行な直線偏光（ｂ４）に変換することができる。即ち、反射偏光板をさらに配置することで、発光層が発光した光の全て（ｃ３およびｃ４）を外側に出射させることができる。

　このように、本発明の有機ＥＬ表示装置は、前述と同様に、従来の表示装置よりも薄くされている。

　また、本発明の偏光板に含まれる偏光子には、前述の通り、熱による歪み（応力）が残留していない。そのため、本発明の偏光板を含む有機ＥＬ表示装置を高温多湿下で保存した後においても、偏光子に残留する歪み（応力）に起因する偏光板の反りを抑制することができる。それにより、有機ＥＬ表示装置の正面輝度のムラや、反射率のムラを抑制することができる。

　以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。

　１．偏光子の作製
　（製造例１）
　塗布工程
　帯電防止処理が施された、厚さ１２０μｍの非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面をコロナ処理して、基材フィルムとした。一方、ポリビニルアルコール粉末（日本酢ビポバール（株）製、平均重合度２５００、ケン化度９９．０モル％以上、商品名：ＪＣ－２５）を、９５℃の熱水中に溶解させて、濃度８質量％のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液を、基材フィルム上にリップコーターにて塗工し、８０℃で２０分間乾燥させた。それにより、基材フィルムとポリビニルアルコール樹脂層との積層物を得た。積層物におけるポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは１２．０μｍであった。

　延伸工程
　得られた積層体を、搬送方向（ＭＤ方向）に１６０℃、延伸倍率５．３倍で自由端一軸延伸した。延伸後の積層物におけるポリビニルアルコール樹脂層の厚みは５．６μｍであった。

　染色工程
　延伸後の積層物を、６０℃の温水浴に６０秒間浸漬した後、水１００質量部あたり０．０５質量部のヨウ素と５質量部のヨウ化カリウムとを含有する水溶液に、温度２８℃で６０秒間浸漬した。次いで、延伸後の積層物に一定のテンションを加えたまま、当該積層物を、水１００質量部あたり７．５質量部のホウ酸と６質量部のヨウ化カリウムとを含有するホウ酸水溶液に、温度７３℃で３００秒間浸漬した。その後、得られた積層物を、１５℃の純水で１０秒間洗浄した。得られた積層物に一定のテンションを加えたまま、当該積層物を７０℃で３００秒間乾燥させて、基材フィルムと偏光子１の積層物を得た。偏光子１の厚みは５．６μｍであった。

　得られた積層物の偏光子１の、ヨウ素で染色された層の厚みを、以下の方法で測定した。即ち、偏光子１の切断面の電子顕微鏡写真を、倍率１５０００倍で走査電子顕微鏡（ＳＥＭ）にて撮影した。その結果、偏光子１の基材フィルムと接触していない表層に、厚み２．２μｍのヨウ素で染色された層が確認された。

　（製造例２）
　厚さ７５μｍのポリビニルアルコールフィルム（クラレ製ビニロンフィルムＶＦ－Ｐ＃７５００）を、乾式で、搬送方向（ＭＤ方向）に、１２５℃、延伸倍率５．２倍で一軸延伸した。

　延伸後のポリビニルアルコールフィルムに一定のテンションを加えたまま、当該フィルムを、水１００質量部あたり０．０５質量部のヨウ素と５質量部のヨウ化カリウムとを含有する水溶液に、温度２８℃で６０秒間浸漬した。次いで、得られたフィルムに一定のテンションを加えたまま、当該フィルムを、水１００質量部あたり７．５質量部のホウ酸と６質量部のヨウ化カリウムとを含有するホウ酸水溶液に、温度７３℃で３００秒間浸漬した。その後、得られたフィルムを１５℃の純水で１０秒間洗浄した。得られたフィルムに一定のテンションを加えたまま、当該フィルムを７０℃で３００秒間乾燥させた。次いで、得られたフィルムの端部を切り落として、幅１３００ｍｍの偏光子２（偏光フィルム）を得た。偏光子２（偏光フィルム）の厚さは３３μｍであった。

　偏光子２のヨウ素で染色された層の厚みを製造例１と同様にして測定した結果、偏光子２の両面に、それぞれ厚み２．０μｍのヨウ素で染色された層が確認された。

　（製造例３）
　厚さ３０μｍのポリビニルアルコールフィルムを用い、かつ延伸倍率を５．７倍とした以外は製造例２と同様にして偏光子３を得た。偏光子３（偏光フィルム）の厚みは９．２μｍであった。

　偏光子３のヨウ素で染色された層の厚みを製造例１と同様にして測定した結果、偏光子３の両面に、それぞれ厚み２．０μｍのヨウ素で染色された層が確認された。

　２．その他材料
　１）ガラスフィルム
　フロート法で作製された、下記の厚みを有する無アルカリガラスを準備した。
　ガラスフィルム１：厚み１５０μｍ
　ガラスフィルム２：厚み３００μｍ
　ガラスフィルム３：厚み８８μｍ
　ガラスフィルム４：厚み４５μｍ

　２）硬化性化合物
　ｃｙｒａｃｕｒｅＵＶＲ６１０５（脂環式エポキシ化合物、ユニオンカーバイド社製）
　メタクリル酸メチル／メタクリル酸グリシジルの混合物

　３．偏光板の作製
　（実施例１）
　下記工程１～６に従って、製造例３で得られた偏光子３と、ガラスフィルム１とを貼り合わせた。

　工程１：製造例３で得られた偏光子３の一方の面に、下記組成を有する硬化性組成物１を、硬化後の厚みが１５μｍとなるように塗布した。
　（硬化性組成物１）
　ｃｙｒａｃｕｒｅＵＶＲ６１０５（脂環式エポキシ化合物、ユニオンカーバイド社製）：８７質量部
　ＵＶＩ－６９９０（光カチオン開始剤、ユニオンカーバイド社製）：５．５質量部
　Ｌ－７６０４（界面活性剤、日本ユニカー社製）：０．５質量部
　ＮＡＣシリコンＡ－１８７（γ－グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、日本ユニカー社製）：２質量部
　チヌビン９２８（紫外線吸収剤、チバ・ジャパン（株）製）：７．０質量部

　工程２：工程１で得られた硬化性組成物１層上に、ガラスフィルム１を配置した。
　工程３：工程２で得られた、偏光子３／硬化性組成物１層／ガラスフィルム１の積層物に、ガラスフィルム１側から高圧水銀灯で紫外線を照射し、硬化性組成物１を硬化させて貼り合わせた。照射は、１２０Ｗ×１０ｍ×３パス行い（照射量９００ｍＪ）、搬送速度は約２ｍ／分とした。
　工程４：工程３で得られた積層物を、８０℃の乾燥機中で２分間乾燥させて、偏光板１０１を得た。

　（実施例２）
　工程１：製造例１で得られた偏光子１の表面（ヨウ素で染色されている面）に、下記組成を有する硬化性組成物２を、硬化後の厚みが１５μｍとなるように塗布した。
　（硬化性組成物２）
　ｃｙｒａｃｕｒｅＵＶＲ６１０５（脂環式エポキシ化合物、ユニオンカーバイド社製）：８７質量部
　ＵＶＩ－６９９０（カチオン光開始剤、ユニオンカーバイド社製）：５．５質量部
　Ｌ－７６０４（界面活性剤、日本ユニカー社製）：０．５質量部
　ＮＡＣシリコンＡ－１８７（γ－グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、日本ユニカー社製）：２質量部

　工程２：工程１で得られた硬化性組成物２層上に、ガラスフィルム１を配置した。
　工程３：工程２で得られた、偏光子１／硬化性組成物２層／ガラスフィルム１の積層物に、ガラスフィルム１側から高圧水銀灯で紫外線を照射し、硬化性組成物２層を硬化させて貼り合わせた。照射は、１２０Ｗ×１０ｍ×３パス行い（照射量９００ｍＪ）、搬送速度は約２ｍ／分とした。
　工程４：工程３で得られた積層物を、８０℃の乾燥機中で２分間乾燥させた。
　工程５：得られた基材フィルム／偏光子１／硬化性組成物２の硬化物からなる接着層／ガラスフィルム１の積層物から、基材フィルムを剥離して偏光板１０２を得た。基材フィルムは容易に剥離された。

　（実施例３～６）
　ガラスフィルムの厚みを、表１に示されるように変更した以外は実施例２と同様にして偏光板１０３～１０６を得た。

　（実施例７）
　硬化性組成物１を、下記組成を有する硬化性組成物３に変更した以外は実施例５と同様にして偏光板１０７を得た。
　（硬化性組成物３）
　ｃｙｒａｃｕｒｅＵＶＲ６１０５（脂環式エポキシ化合物、ユニオンカーバイド社製）：８２質量部
　ＵＶＩ－６９９０（光カチオン開始剤、ユニオンカーバイド社製）：５．５質量部
　Ｌ－７６０４（界面活性剤、日本ユニカー社製）：０．５質量部
　ＮＡＣシリコンＡ－１８７（γ－グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、日本ユニカー社製）：２質量部
　チヌビン９２８（紫外線吸収剤、チバ・ジャパン（株）製）：７．０質量部
　チヌビン１７１（紫外線吸収剤、チバ・ジャパン（株）製）：５．０質量部

　（実施例８～９）
　下記工程１～６に従って、偏光子１のヨウ素で染色されていない面上に、硬化性組成物１の硬化物からなる接着層が積層された偏光板１０８～１０９を得た。

　工程１：製造例１で得られた積層物の偏光子１の表面（ヨウ素で染色されている面）にマスキングフィルム（日東電工製表面保護材E-MASK HR6030）を貼り合わせた後、基材フィルムを剥離した。
　工程２：工程１で得られたマスキングフィルムと偏光子１の積層物の、偏光子１の表面（ヨウ素で染色されていない面）に、硬化性組成物１を、硬化後の厚みが１５μｍとなるよう塗布した。
　工程３：得られた硬化性組成物１層上に、ガラスフィルム１または３を配置した。
　工程４：工程３で得られた、マスキングフィルム／偏光子１／硬化性組成物１層／ガラスフィルム１または３の積層物に、ガラスフィルム側から高圧水銀灯で紫外線を照射し、硬化性組成物１を硬化させて貼り合わせた。照射は、１２０Ｗ×１０ｍ×３パス行い（照射量９００ｍＪ）、搬送速度は約２ｍ／分とした。
　工程５：工程４で得られた積層物を、８０℃の乾燥機中で２分間乾燥させた。
　工程６：得られたマスキングフィルム／偏光子１／硬化性組成物１の硬化物からなる接着層／ガラスフィルム１または３の積層物から、マスキングフィルムを剥離して偏光板１０８または１０９を得た。

　（実施例１０）
　硬化性組成物１を、下記組成を有する硬化性組成物４に変更した以外は実施例４と同様にして偏光板１１０を得た。
　（硬化性組成物４）
　メタクリル酸メチル：１００重量部
　メタクリル酸グリシジル：１０重量部
　イルガキュア１８４（チバ・ジャパン社製）：５．０質量部

　（実施例１１）
　硬化性組成物１を、下記組成を有する硬化性組成物５に変更した以外は実施例４と同様にして偏光板１１１を得た。
　（硬化性組成物５）
　メタクリル酸メチル：１００重量部
　メタクリル酸グリシジル：１０重量部
　イルガキュア１８４（チバ・ジャパン社製）：５．０質量部
　紫外線吸収剤：チヌビン９２８（チバ・ジャパン（株）製）：７．０質量部

　（比較例１）
　下記工程１～６に従って、製造例１で得られた偏光子１と、ガラスフィルム１とを貼り合わせた。
　工程１：製造例１で得られた偏光子１の染色面に、下記組成を有する硬化性組成物６（熱硬化性組成物）を、硬化後の厚みが１５μｍとなるように塗布した。
　（硬化性組成物６）
　メタクリル酸メチル：１００重量部
　メタクリル酸グリシジル：１０重量部
　アゾビスイソブチリロニトリル：１重量部

　工程２：工程１で得られた硬化性組成物６層上に、ガラスフィルム１を配置した。
　工程３：工程２で得られた、基材フィルム／偏光子１／硬化性組成物６層／ガラスフィルム１の積層物を、温度１２０℃、圧力２０～３０Ｎ／ｃｍ^２で６０分間貼り合わせた。
　工程４：工程３で得られた積層物を、８０℃の乾燥機中で２分間乾燥させた。それにより、硬化性組成物６層を熱硬化させた。
　工程５：得られた基材フィルム／偏光子１／硬化性組成物６の硬化物からなる接着層／ガラスフィルム１の積層物から、基材フィルムを剥離して偏光板１１２を得た。

　（比較例２）
　偏光子３を偏光子２に変更した以外は、実施例１と同様にして偏光板１１３を得た。

　得られた偏光板のカールおよび耐久性を、以下の方法で測定した。

　（カールの評価）
　得られた偏光板を、幅５０ｍｍ×長手方向３０ｍｍの大きさに切り出した。得られた偏光板を、２３℃、相対湿度８０％の環境下で、水平基板上に２４時間放置した後、偏光板のカール形状を目視観察した。偏光板のカールは、下記の基準に従って評価した。
　◎：ほぼフラットな状態で、カールの発生は認められない
　○：偏光板の４隅がわずかに浮き上がり、弱いカールの発生が認められるが、実用上問題のないレベルである
　△：明らかなカールの発生が認められ、取り扱いが難しいレベルである
　×：カールの状態がきつく、取り扱いが極めて困難なレベルである

　（耐久性１：高温多湿下で保存後の偏光度のバラツキ）
　得られた偏光板を、４２インチ液晶パネルサイズ（９３０ｍｍ×５２０ｍｍ）に切り出して、２３℃、相対湿度５５％の環境下で２４時間放置した。その後、得られた偏光板の対角線の中心点（ρ０）での偏光度Ｃ（０）と、対角線の中心から（当該中心から対角線の端部までの全長に対して）７５％の点（ρ７５）での偏光度Ｃ（７５）とを、それぞれ測定した。偏光度の測定は、自動偏光フィルム測定装置　ＶＡＰ－７０７０（日本分光株式会社製）および専用プログラムを用いて行った。

　次いで、この偏光板を、温度６０℃、相対湿度９０％の高温多湿環境下で３００時間放置した。その後、得られた偏光板の対角線の中心点（ρ０）での偏光度Ｃ’（０）と、対角線上の中心から７５％の点（ρ７５）での偏光度Ｃ’（７５）とを、前述と同様にして測定した。

　そして、対角線上の中心点（ρ０）での偏光度のバラツキ（＝Ｃ’（０）－Ｃ（０））と、中心から７５％の点（ρ７５）での偏光度のバラツキ（＝Ｃ’（７５）－Ｃ（７５））との差を、偏光度のバラツキの差（Δ偏光度）とした。

　偏光板の耐久性１は、下記の基準に従って評価した。
　◎：△偏光度が１．０％未満である
　○：△偏光度が１．０％以上２．０％未満である
　△：△偏光度が２．０％以上５．０％未満である
　×：△偏光度が５．０％以上である

　また、偏光板の作製に用いた硬化性組成物の硬化物からなる接着層の光透過率を、以下の方法で測定した。

　（光透過率）
　偏光板の作製に用いた硬化性組成物を、偏光板の作製時と同様の条件で、ガラス基板上に塗布および乾燥後、硬化させてガラス基板から剥離して、厚み１５μｍの硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムの波長３８０ｎｍにおける透過率を、分光光度計（日本分光株式会社製　紫外可視近赤外分光光度計V-670）により測定した。

　実施例１～１１および比較例１～２の評価結果を表１に示す。

　表１に示されるように、実施例１～１１の偏光板は、比較例１～２の偏光板よりも薄くすることができ、かつ高温多湿環境下で保存したときの、カールの発生が少なく、偏光度のバラツキも少ないことがわかる。

　４．偏光板のロール体の作製
　（実施例１２）
　特開２０１０－１３２３４９号公報に記載に従って、オーバーフローダウンドロー法により、厚み１００μｍ、曲げ強度９２．５ＭＰａの長尺状のガラスフィルム５を得た。次いで、得られた長尺状のガラスフィルムを、直径１２０ｍｍの巻芯に、幅方向に対して直交する方向に巻きつけてロール体を得た。

　そして、ガラスフィルム３に代えて、得られたロール体から巻き出したガラスフィルム５を用いた以外は実施例５と同様にして長尺状の偏光板を作製した。長尺状の偏光板は、幅方向の長さＷが１３００ｍｍ、長手方向の長さＬが１０００ｍであり、幅方向の長さＷに対する長手方向の長さＬの比Ｌ／Ｗが７６９であった。得られた長尺状の偏光板を、直径１２０ｍｍの巻芯に巻き付けて、偏光板２０１のロール体を得た。

　（比較例３）
　ガラスフィルム１に代えて、実施例１０で得られたロール体から巻き出したガラスフィルム５を用いた以外は比較例１と同様にして長尺状の偏光板を作製し、直径１２０ｍｍの巻芯に巻き付けて、偏光板２０２のロール体を得た。

　得られた偏光板のロール体の耐久性１および耐久性２を、以下の方法で測定した。

　（耐久性１：高温多湿下で保存後の偏光度のバラツキ）
　得られた偏光板のロール体から偏光板を巻き出して、巻外から（長手方向）５００ｍの位置の幅方向中央部を、４２インチ液晶パネルサイズ（９３０ｍｍ×５２０ｍｍ）に切り出した。得られた偏光板の耐久性１を、前述と同様にして測定した。

　（耐久性２：ロール体を高温多湿下で保存後の偏光度のムラ）
　得られた偏光板のロール体を、室温６０℃、相対湿度９０％の高温多湿環境下で１週間放置した。その後、得られたロール体の最外周部の偏光板について、幅方向に一方の端部から全幅の２５％の点、５０％の点、７５％の点での偏光度をそれぞれ測定した。次いで、偏光板の長手方向に、ロール体の巻外側から巻芯側への５００ｍの範囲について、１０ｍおきに同様の測定を繰り返し、計１５０点（３点×５０）の偏光度を測定した。そして、全測定点の平均値を１００としたときの、全測定点における偏光度の最大値と最小値の差の割合（％）を「偏光度１のバラツキ」として求めた。偏光度の測定は、自動偏光フィルム測定装置　ＶＡＰ－７０７０（日本分光株式会社製）および専用プログラムを用いて行った。

　同様にして、高温多湿下で保存していない、製造直後の偏光板のロール体についても、合計１５０点の偏光度を測定した。そして、全測定点の平均値を１００としたときの、全測定点における偏光度の最大値と最小値の差の割合（％）を「偏光度２のバラツキ」として求めた。

　そして、得られた偏光度１のバラツキと偏光度２のバラツキを以下の式に当てはめて偏光度のバラツキの増大幅を求めた。

　そして、ロール体を高温多湿下で保存後の偏光度のムラを、下記の基準に従って評価した。
　◎：バラツキの増大幅が１．０％未満である
　○：バラツキの増大幅が１．０％以上２．０％未満である
　△：バラツキの増大幅が２．０％以上５．０％未満である
　×：バラツキの増大幅が５．０％以上である

　実施例１２および比較例３の結果を表２に示す。

　表２に示されるように、実施例１２の偏光板は、比較例３の偏光板よりも、ロール状態においても、高温多湿下で保存した後の偏光度のバラツキが少なく（耐久性１がよく）、ロール体を高温多湿下で保存した後の偏光度のムラも少ない（耐久性２もよい）ことがわかる。

　３．液晶表示装置の作製
　（実施例１３）
　横電界型スイッチングモード型（ＩＰＳモード型）の液晶セルを含む液晶表示装置「東芝（株）製レグザ　４７ＺＧ２」を準備した。この液晶表示装置から、液晶パネルを取り出し、液晶セルの両面に配置されていた２つの偏光板を取り除いて、該液晶セルのガラス面（表裏）を洗浄した。

　第一の偏光板（視認側の偏光板）として偏光板１０１を、液晶セルの視認側の面に、厚み２０μｍのアクリル系粘着剤層を介して貼り付けた。偏光板１０１の貼り付けは、偏光子が液晶セルに接し、かつ偏光子の吸収軸が液晶セルの長辺と平行（０±０．２度）となるように行った。

　第二の偏光板（バックライト側の偏光板）として偏光板１０１を、液晶セルのバックライト側の面に、厚み２０μｍのアクリル系粘着剤層を介して貼り付けた。第二の偏光板の貼り付けは、偏光子が液晶セルに接し、かつ偏光子の吸収軸が、液晶セルの短辺と平行（０±０．２度）となるように行った。それにより、液晶表示装置３０１を得た。

　（実施例１４～２１、比較例４～５）
　第一の偏光板（視認側の偏光板）と、第二の偏光板（バックライト側の偏光板）を表３に示されるように変更した以外は実施例１３と同様にして液晶表示装置３０２～３１１を得た。

　（実施例２２～２３）
　東芝（株）製レグザ　４７ＺＧ２から液晶パネルを取り出し、液晶セルの視認側の面に配置された偏光板のみを取り除いた。そして、液晶セルの視認側の面を洗浄後、表３に示される偏光板を、厚み２０μｍのアクリル系粘着剤層を介して貼り付けた以外は実施例１３と同様にして液晶表示装置３１２～３１３を得た。

　得られた液晶表示装置３０１～３１３のコントラスト比およびコーナームラを、以下の方法で評価した。

　（コントラスト比）
　液晶表示装置に白画像を表示させたときの、表示画面の方位角４５°方向、極角６０°方向におけるＸＹＺ表示系のＹ値を、ＥＬＤＩＭ社製　製品名「ＥＺ　Ｃｏｎｔｒａｓｔ１６０Ｄ」により測定した。同様に、液晶表示装置に黒画像を表示させたときの、表示画面の方位角４５°方向、極角６０°方向におけるＸＹＺ表示系のＹ値を測定した。そして、白画像におけるＹ値（ＹＷ）と、黒画像におけるＹ値（ＹＢ）とから、斜め方向のコントラスト比「ＹＷ／ＹＢ」を算出した。コントラスト比の測定は、温度２３℃、相対湿度５５％の暗室内にて行った。なお、方位角４５°とは、表示画面の面内で、表示画面の長辺を０°としたときに反時計周りに４５°回転させた方位を表す。極角６０°とは、表示画面の法線方向を０°としたときに、法線に対して６０°傾斜した方向を表す。コントラスト比が高いほど、コントラストが高く、好ましい。

　（コーナームラ）
　上記コントラスト比の測定で用いた液晶表示装置を、６０℃、相対湿度９０％の環境下で１５００時間保存した。その後、得られた液晶表示装置を２５℃、相対湿度６０％の環境下で２０時間調湿した後、バックライトを点灯させて、黒表示させたときの光漏れを観察した。光漏れの評価は、以下の基準に従って行った。
　◎：表示画面周辺（コーナー部）の光漏れは全く認められない
　○：表示画面周辺（コーナー部）の光漏れは殆ど気にならない
　△：表示画面周辺（コーナー部）の光漏れが認められる
　×：表示画面周辺（コーナー部）の光漏れが著しい

　実施例１３～２３および比較例４～５で得られた結果を表３に示す。

　表３に示されるように、実施例１３～２３の表示装置は、比較例４～５の表示装置よりも、表示画像のコントラストが高く、高温多湿環境下で保存後のコーナームラも少ないことがわかる。

　４．有機ＥＬ表示装置の作製
　（実施例２４）
　円偏光板の作製
　実施例１で作製した偏光板１０１の偏光子３の表面に、芳香族ポリカーボネート系λ／４板（帝人化成（株）製、ピュアエースＷＲ、Ｒ（４５０）＝１１５ｎｍ、Ｒ（５５０）＝１３８ｎｍ、Ｒ（５９０）＝１４２ｎｍ、Ｒ（４５０）／Ｒ（５９０）＝０．８１）を、厚さ２０μｍのアクリル系粘着剤層を介して貼り合わせて、円偏光板１０１ｂを得た。偏光子３とλ／４板との貼り合わせは、偏光子３の吸収軸と、λ／4板の遅相軸との交差角が４５°±２°となるように行った。

　有機ＥＬ表示装置の作製
　有機ＥＬ型表示装置として、サムスン電子（株）製のギャラクシーＳを準備した。この有機ＥＬ型表示装置を分解し、タッチパネル上に配置された偏光板を取り除いて、該タッチパネルのガラス表面を洗浄した。

　そして、得られた円偏光板１０１ａを、λ／４板が有機ＥＬ発光素子側となるように、厚み２０μｍのアクリル粘着剤層を介して貼り合わせて、有機ＥＬ表示装置４０１を得た。

　（実施例２５～３２、比較例６～７）
　偏光板１０１ａを、表４に示されるように変更した以外は実施例２４と同様にして、有機ＥＬ表示装置４０２～４１１を得た。

　次いで、得られた有機ＥＬ表示装置の正面輝度のムラ、および反射率ムラを、以下の方法で測定した。

　（正面輝度のムラ）
　得られた有機ＥＬ表示装置を、６０℃、相対湿度９０％の高温多湿環境下で１５００時間保存した後、２５℃、相対湿度６０％の環境下で２０時間調湿した。

　次いで、表示画面の対角線の中心点、対角線上の中心から２５％の点、５０％の点、７５％の点の合計１３点における正面輝度を測定した。そのうち、最大輝度と最小輝度の差を求め、その差の１３点の平均輝度１００に対する割合をΔ輝度（％）として求めた。そして、正面輝度のムラを、下記の基準に従って評価した。輝度の測定は、分光放射輝度計ＣＳ－１０００（コニカミノルタセンシング製）を用いて、表示画面の法線方向（正面方向）からの発光輝度（具体的には、法線に対して２°傾斜した角度からの輝度）を測定した。
　◎：Δ輝度が１．０％未満である
　○：Δ輝度が１．０％以上２．０％未満である
　△：Δ輝度が２．０％以上５．０％未満である
　×：Δ輝度が５．０％以上である

　（反射率のムラ）
　得られた有機ＥＬ表示装置を、６０℃、相対湿度９０％の高温多湿環境下で１５００時間保存した後、２５℃、相対湿度６０％の環境下で２０時間調湿した。

　次いで、表示画面の対角線の中心点、対角線上の中心から２５％の点、５０％の点、７５％点の合計１３点における反射率を測定した。そのうち、最大反射率と最小反射率の差を求め、その差の、１３点の平均反射率１００に対する割合をΔ反射率（％）として求めた。そして、反射率のムラを、下記の基準に従って評価した。反射率の測定は、分光測色計ＣＭ２５００ｄ（コニカミノルタセンシング製）を用いて、波長５５０ｎｍにおける反射率を測定した。
　◎：Δ反射率が０．３％未満である
　○：Δ反射率が０．３％以上０．５％未満である
　△：Δ反射率が０．５％以上１．０％未満である
　×：Δ反射率が１．０％以上である

　実施例２４～３２および比較例６～７の評価結果を表４に示す。

　表４に示されるように、実施例２４～３２の表示装置は、比較例６および７の表示装置よりも、高温多湿環境下で長期間に保存した後でも、正面輝度のムラや、反射率のムラが少ないことがわかる。

　本出願は、２０１２年５月２３日出願の特願２０１２－１１７６３９に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。

　本発明によれば、表示装置を十分に薄型化しつつ、偏光板やそれを含む表示装置を高温・多湿下で保存した際の、偏光板の変形または反りを抑制しうる偏光板およびその製造方法を提供することができる。

　１０　偏光板
　１２　偏光子
　１４、６４、８４、１２４　ガラスフィルム
　１６、６６、８６、１２６　活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層
　２０　液晶表示装置
　４０　液晶セル
　６０　第一の偏光板
　６２　第一の偏光子
　６８　保護フィルム（Ｆ２）
　８０　第二の偏光板
　８２　第二の偏光子
　８８　保護フィルム（Ｆ３）
　９０　バックライト
　１００　有機ＥＬ表示装置
　１１２　光反射電極
　１１４　発光層
　１１６　透明電極層
　１１８　透明基板
　１２０　円偏光板
　１２２　偏光子（直線偏光膜）
　１２８　λ／４板

Claims

　二色性色素を含む、厚み０．５～１０μｍの偏光子と、
　ガラスフィルムと、
　前記偏光子と前記ガラスフィルムとの間に配置され、活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層と、を含む、偏光板。
　前記二色性色素は、前記偏光子の一方の面に偏在している、請求項１に記載の偏光板。
　前記活性線硬化性組成物は、紫外線吸収剤を含む、請求項１に記載の偏光板。
　前記活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層の、波長３８０ｎｍにおける光透過率が５％以上４０％以下である、請求項１に記載の偏光板。
　前記活性線硬化性組成物の硬化物からなる接着層は、前記偏光子の、前記二色性色素が偏在している面上に配置されている、請求項２に記載の偏光板。
　前記ガラスフィルムの厚みが、１～２００μｍである、請求項１に記載の偏光板。
　前記偏光板の幅方向の長さをＷとし、前記偏光板の前記幅方向と直交する方向の長さをＬとしたとき、Ｌ／Ｗが１０～３０００であり、
　前記偏光板の幅方向と直交する方向にロール状に巻き取られている、請求項１に記載の偏光板。
　請求項１に記載の偏光板の製造方法であって、
　Ａ）偏光子を得る工程と、
　Ｂ）前記偏光子をガラスフィルムに、活性線硬化性組成物層を介して貼り合わせる工程と、
　Ｃ）前記活性線硬化性組成物層に活性線を照射して、前記活性線硬化性組成物を硬化させる工程と、を含み、
　前記Ａ）偏光子を得る工程は、
　１）基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を塗布して、前記基材フィルムと前記ポリビニルアルコール系樹脂層との積層物を得る工程と、
　２）前記積層物を一軸延伸する工程と、
　３）前記積層物のポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色するか、または前記一軸延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色する工程と、を含む、偏光板の製造方法。
　前記Ｃ）の工程では、前記活性線を、前記ガラスフィルムを介して前記活性線硬化性組成物層に照射する、請求項８に記載の偏光板の製造方法。
　前記Ｂ）の工程では、偏光子のロール体から巻き出された偏光子と、ガラスフィルムのロール体から巻き出されたガラスフィルムとを、前記活性線硬化性組成物層を介して貼り合わせる、請求項８に記載の偏光板の製造方法。
　前記３）の工程では、前記一軸延伸後の積層物のポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色する、請求項８に記載の偏光板の製造方法。
　前記Ｃ）の工程の後に、前記偏光子に積層された前記基材フィルムを剥離する工程をさらに含む、請求項８に記載の偏光板の製造方法。
　請求項１に記載の偏光板を含む、画像表示装置。